あかま日砂紀 - みる会図書館


検索対象: 幸福な降伏
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1. 幸福な降伏

椹野道流烈火情縁ー愛と裏切りの挽歌ー星野ケイ ズ土蜘蛛奇談国 安倍晴明は天本なのか。いま彼はどこに ? ( 絵・あかま日砂紀 ) いま、香港の街が″死人″に侵されていくー ( 絵・夏賀久美子 ) 椹野道流 非常遊戯ーデッド・エンドー 星野ケイ ジ景清奇談 刑事とバン。ハイアの香港ポリス・ファンタジー完結編 ! ( 絵・夏賀久美子 ) 説絵に潜むげ。女の死が怪現象の始まりだ「た。 ( 絵・あかま日砂紀 ) 椹野道流堕落天使 星野ケイ 剞忘恋奇談 一ム天本が敏生に打ち明けた苦い過去とは : : : 。 ( 絵・あかま日砂紀 ) 人間天使の壮絶バトル " " 新シリーズ開慕。 ( 絵・一一越としみ ) 遠日奇談 椹野道流天使降臨 星野ケイ LLJ 君は、僕のために空から降りてきた天使 ! ( 絵・二越としみ ) Z 初の短編集。天本と龍村の出会いが明らかに ! ( 絵・あかま日砂紀 ) 星野ケイ 天使の生態研究のため、ユウが捕獲された ( 絵・二越としみ ) LL 闇を切り裂くネオ・オカルトノベル最新刊 ! ( 絵・あかま日砂紀 ) 童子切奇談 椹野道流爆烈天使 星野ケイ ト 京都の街にあ男が出現 ! 天本、敏生は奔る ! ( 絵・あかま日砂紀 ) 、なぜそんなに、俺を避けるんだ : " ( 絵・二越としみ ) 雨衣奇談 椹野道流天使昇天 星野ケイ ト 達也たち四人の行く手には別れが ? 完結編。 ( 絵・一一越としみ ) イ奇跡をありがと、 ? ーー天本、敏生ベトナム、 ! ( 絵・あかま日砂紀 ) ワ龍猫ーホンコン・シティ・キャットー星野ケイクリスタル・プルーの墓標私設課報を , ん星野ケイ 友情、野望、愛憎渦巻くをで新シリーズ開幕 ! ( 絵・夏賀久美子 ) 政府からのミッションに挑む新シリーズ ( 絵・大蜂ショウコ ) 文聖誕風雲ー血のクリスマスー星野ケイ・蛾 ' 鏸弸ー、・ーーーーーーーー - 川秘引・ 死体から血を抜きとったのはファラオの仕業 ? ( 絵・夏賀久美子 ) 第 5 回ホワイトハ ート大賞《大賞》受賞作リ ( 絵・浅見侑 ) 社 談城市幻影ー愛しのナイトメアー星野ケイ月光真珠斎姫異聞 宮乃崎桜子 人間の肉体を乗っ取るウイルスの正体は : ・ ? ( 絵・夏賀久美子 ) 闇の都大路に現れた姫宮そっくりの者とは ? ( 絵・浅見侑 ) ☆ : : : 今月の新刊

2. 幸福な降伏

ひかわ玲子 ひかわ玲子青い髪のシリーン国 ズ妖精界の秘宝圭 , = : ーンは、母との再会が果たせるのか ? ( 絵・有栖川るい ) ジリオラとヴァンサン公子の体が入れ替わる ? ( 絵・米田仁士 ) ひかわ玲子 ひかわ玲子暁の娘アリエラ上 ノ紫の大陸ザーン匡ジリオ鬲 〃エフェラ & ジリオラシリーズ新章突入 ! ( 絵・はたか乱 ) 説大海原を舞台に、女戦士の剣が一閃する " " ( 絵・米田仁士 ) ひかわ玲子 ひかわ玲子暁の娘アリエラ国 ノロ女戦士 = フ = ラ & 下ノリオラ べレム城にさらわれたアリエラに心境の変化が ( 絵・はたか乱 ) 一ム空飛ぶ絨緞に乗って辿り着いたところは : ・ ? ( 絵・米田仁士 ) 女戦士エフェラ & 、 椹里流 ひカわ玲子人買奇談 オカレスク大帝の夢 ジリオラ同 話題のネオ・オカルト・ノヴェル開幕 " " ( 絵・あかま日砂紀 ) ジリオラが、ついにムアール帝国皇帝に即位 ? ( 絵・米田仁士 ) Z 椹野道流 & 天命の邂逅女戦士彡ら要。 , 鬲ひかわ玲子泣赤子奇談 姿の見えぬ赤ん坊の泣き声は、何の意味 ? ( 絵・あかま日砂紀 ) IL 双子星として生まれた一一人に、別離のときが ? ( 絵・米田仁士 ) 椹野道 ひかわ玲子八咫は奇談 星の ( 何方女戦士フ , ラ & ジリオラ ト 黒い烏の狂い羽はたく、忌まわしき夜。 ( 絵・あかま日砂紀 ) 感動のシリーズ完結編 ! 改題・加筆で登場。 ( 絵・米田仁士 ) 椹野道 偏享奇談 ノグラウイスの封印真ハラーマ戦記田ひかわ玲子 ムアール辺境の地に怪事件が巻き起こる " " ( 絵・由羅カイリ ) 美代子に請われ、倫敦を訪れた天本と毓駟は ? ( 絵・あかま日砂紀 ) イ 椹野道流 黒銀の月乙女真ーマ戦記ひかわ玲子幻月奇談 あの人は死んだ。最後まで私を拒んで。 ( 絵・あかま日砂紀 ) 帝都の祝祭から戻った二人に新たな災厄が ( 絵・由羅カイリ ) 庫 椹野道流 ひかわ玲子龍泉奇談 文漆黒の美神真 ( ラーマ戦記 3 伝説の地・遠野でシリーズ最大の敵、登場 ! ( 絵・あかま日砂紀 ) ^ 闇〉に取り込まれたルファーンたちに光は ? ( 絵・由羅カイリ ) 社 椹野道流 ひかわ玲子土蜘蛛奇談上 談青い髪のシリーン田 少女の夢の中、天本と敏生のたどりつく先は ? ( 絵・あかま日砂紀 ) ーン少年の運命は ? ( 絵・有栖川るい ) 狂王に捕らわれたシリ ☆ : ・ : 今月の新刊 刎し 刎し

3. 幸福な降伏

りのいまのパフォーマンスも、とてもただのパフォ 1 マンスとは思えないほど生々しい さくや 朔也に仕組まれた例の一件で逮捕されて以来、ケンショウは書類送検されるかどうかの こうりゅう せとぎわしんじゅく 瀬戸際で新宿署に勾留され続けていた。それがようやく釈放されたのは、沙樹とのケン ざた カ沙汰をきっかけに朔也が逮捕された二日後だった。 かくせいざい 別件逮捕だったものの、あの晩も朔也は、商品の覚醒剤を上着の隠しポケットに所持し ていた。そのため厳しい尋問を受け、薬物の不法所持で再逮捕されることになった。 おかもと 一方、橋上と沙樹とは同じ晩のうちにケンショウの父親である岡一兀に連絡をとり、由香 里の尽力で手に入れた朔也との会話の録音テープに基づく上申書を作成してもらった。翌 朝には新宿署にそれを提出して、おかげでケンショウは無事、冤罪が晴れて釈放されたの じつのところ、盗聴で録音したテ 1 プなどというものは、裁判になった場合、証拠とし て採用されることはないらしい。が、そんなことは知らない朔也は警察官の誘導尋問にう かうかと乗せられ、結局、簡単に自白してしまったそうだ。 ともあれ釈放の当日は、橋上も沙樹に付き添うかたちで新宿署までケンショウを迎えに 行っている。その折、面会室でようやく顔を合わせた沙樹とケンショウとの様子は、いま だに目の裏に焼きついて離れない。 ふたりはその場でただ黙って見つめ合い、そうしてどちらからともなく抱き合った。た え , 0 い

4. 幸福な降伏

人垣の向こう、料理の並んだテープルの前に、ディレクターの橋上の姿があるのが目に 入る。となりに並んで彼に料理を取り分けてもらっている小柄な女性は奥さんだ。 まだ子供を持たない彼女はフランス語の翻訳の仕事をしているそうで、 リで行われた かくうれいじん 『架空の麗人』のプロモ撮りにも通訳として同行していた。その折も思ったことだが、学 生時代以来のつき合いだという彼らは、充分に円満で仲のいい 友達夫婦のようだ。 その仲を裂こうという意図があったかどうか ? ともあれ、これまでは彼女がいようと おかまいなしに、沙樹がことさら橋上にまつわりついているのが常だった。いや、場に橋 上がいるときは必ず、沙樹はしつこいほどに彼への執心ぶりを誇示していたのだ。 橋上の側は、どうやらその態度にひたすら困惑させられ、ただ振りまわされていたよう かわい たった。が、それでも憎からず沙樹を可愛がっていたことだけはまちがいない。 それがいま、こうして沙樹が彼に絡むことも忘れているような状況を、橋上はいったい どう受け止めているのだろうか。とりあえずはホッとしているのか、それとも少しは落胆 しているのか ? 伏 降いずれにしても、まあいいカ と思う。橋上の本音など、いまとなってはケンショウ 福には関わりのない話だし、無論、尋ねてみる気もない。 これまでいろいろあって理不尽につらい思いも嘗めさせられたが、今回の一件は、ケン ショウにとって、なにもかもをいい方向にシフトさせるターニング・ポイントになったよ かか から はしがみ

5. 幸福な降伏

ことはなにもありませんので』 「そうおっしやるのもわかりますが。でもじつは、私の個人的なってで『ズームアップ』 のデスクから田中さんのご連絡先を聞いてきているんですよ。つまり、内々にお話をうか がっても、編集部は黙認してくれるはずでして」 『とにかく、いまちょっと忙しいんで、込み入った話は遠慮してください』 けんもほろろに断ると、通話はいきなり切られた。が、それもまあ、予測の範囲内の反 応だ。 といき 軽い吐息をひとっ洩らして、橋上は電話をホールドにした。 さあて、これからどうしようか。特に会社に戻る用もない。いったん、連絡をいれてみ て、やはり特になにもなければ、このままケンショウが逮捕された例の新宿の飲み屋に 足を運んでみようか。 そんなことを考えながら、地下鉄の入り口の前に立ち止まり、こんどは会社の短縮番号 かくうれいじん かなはじ を押そうとしたときだ。おばっかない三和音が『架空の麗人』を奏で始め、液晶画面も着 信を告げるメッセージを表示した。 まさか、いきなり話に応じる気になった田中からコ 1 ルバックだろうか ? 一瞬、そん な予測も浮かんだが、通話ボタンを押して電話機を耳に当てると、聞こえてきたのはお馴 染みの甘い調子の青年の声。 しんじゅく

6. 幸福な降伏

もいいぞ。いまから車飛ばせばデパ地下でいろいろ買えるから」 かんしようかたまゆ 沈黙を恐れて言葉を並べ立てる橋上に、沙樹が癇性に片眉をつり上げる。 りよ 「なんだよ、リョウイチ。妙にそわそわしてるな。もしかして、今夜は理世さんが待って るのか ? 」 いや、そんなわけじゃないが」 「いいよ、帰りたいなら帰れよ。俺、ひとりで平気だから」 「本当か ? いや、おまえもそのほうが落ち着くかもしれないな。なら、酒とかは冷蔵庫 のもん好きに開ければいいし、なんか食べたきゃなんでも頼んでかまわないからーー」 ほかでもない沙樹とふたり、この密室内で過ごすのは気づまりこのうえないくせに、い ざ「帰れ」と言われると、妙にうしろ髪引かれる気もした。この非常事態に不謹慎なこと を考えるつもりは毛頭なかったが、自分でもどういう心理の働きなのか、よくわからな いや、万が一にも自分のなかにおかしな気持ちがあるとしたら、むしろ即刻、この場を 伏 講あとにするのが正解だろう。 福「じゃ、ゆっくり休んでくれよ。用があったら、いつでも俺の携帯に電話くれな」 せわ 頭のなかで忙しなく考えをめぐらせた挙げ句、橋上は、なだめるように言い置いて、き びすを返した。が、ノブに手をかけドアを押し開けようとした、その寸前

7. 幸福な降伏

くスライスしたライ麦パン。 あとは理世の座る側にだけ、シリアルのボウルと牛乳パックが出ている。 「今日のオムレツはね、残り物のカマンべ 1 ルを入れてみたんだ。どうかな ? 席に着くなり促されて、橋上は、フォ 1 クにオムレツの切れ端をのせて口に運んだ。 「ん : : : うまいよ。理世は最近、料理の腕が上がったよな」 「そりゃあね、結婚してもう二年だもん。最初のころは確かにリョウちゃんのほうがうま かったけど、いまじや私にかなわないよ、きっと」 得意そうに小鼻を膨らませて、目の前のボウルの中身をスプーンですくう。牛乳を吸っ てふやけかけた茶色く細長い粒々の正体は、「美容こ ) ゝゝ 冫ししカら」と彼女がいつも食べてい る小麦ふすまのシリアルだ。 みは その様子を思わずしげしげ眺めてしまった橋上に、理世はきよとんと目を瞠った。 「なに ? また『原始人の食べ物食べてる』って言いたいの ? 」 ・いいんた、、 へつに」 橋上は以前、いかにもポソボソして不味そうなそれを彼女が食べているのを見て、確か にそんな感想を洩らしたことがあった。が、つい昨日、旨い不味い以前の問題のものを口 にする人間がいるのを知ってしまったところなのだ。 「べつに、ダルの缶詰とかドライフ 1 ドとか食い出すわけじゃなきや、なんの文句もない

8. 幸福な降伏

176 酔うほどにけ合い 溶けるほど絡み合い スパニッシュふうのスタッカートを多用したパッショネイトな曲想に、セクシャルな歌 みだ 詞が淫らな吐息混じりに絡みつく サンクチュアリ 『聖域』ーーと題されたこの曲は、今夜初めて披露される新曲だ。が、満場のオー ディエンスはそれに、熱狂的と言えるほどのリアクションを見せている。 え・ 0 い ケンショウの冤罪が晴れて、無事に解決したあの事件から二か月弱。異例といえる猛ス しぶや ピードでレプリカにはもうお馴染みのここ、渋谷公会堂での復帰ライプが実現したのは、 らつわん すまこ めんもくやくじよ 辣腕をうたわれる須磨子社長の面目躍如の結果である。が、もちろん、一日も早くステー ジに立ちたいというメンバ 1 四人の熱意が強かったことも一言うまでもない。 一一階一列目の関係者席からじっとステージを見守る橋上も、制作ディレクターとして彼 らの熱意に押されて今日までぎりぎり奔走する日々を過ごしたのだ。 ついに気づいたこの聖域で ただふたりたがいのみ いま交わすささやき、肌の熱さも 0 はしがみ

9. 幸福な降伏

なにか大きな会議でもあるのだろうか ? 平日に、全日空規模の大ホテルでシングルが ないというのは珍しいことだ。が、どのみち支払いは会社の経費で賄うのだ。ダブルを頼 んでその分ル 1 ムチャージが割高になろうが、かまいはしない。 「じゃあ、それでお願いします。これから三十分後ぐらいにチェックインできますので」 ご利用、ありがとうございますーー・というマニュアルどおりの挨拶を耳半分に、通話を かす まゆ 終える。沙樹が微かに眉を寄せて目を向けてくる。 「・ : ・ : ホテル、とったのか ? 「ああ。とにかくここ一「三日は隠れてろ。どっちにしたって、マンションの前にマスコ ミが張り込んでる状況じゃ、部屋で落ち着いて寝られもしないだろう ? 」 ろっぽんぎかいわい ためいけ 六本木界隈の混雑を避けて、会社のある溜池側から全日空ホテルの前にたどり着くと、 まず地下の駐車場に車を入れた。一階のフロントに上がってチェックインをすませ、ふた 伏 りが案内されたのは、十四階の部屋だった。 福告げられていたとおりのダブルルームで、広く取られた窓から六本木方面が見渡せた。 「とりあえずル 1 ムサービスでコーヒーでも取るか ? それとも、腹が減ってるならメシ にするか ? もちろん外に食いに出てもいいんだが、その髪じゃちょっと : : : な」 あいさっ まかな

10. 幸福な降伏

の胸に投げかけられた。 とっさのことで、橋上は避けることもできずにその肩を受け止めてしまった。沙樹は沙 樹で、突き放されるのを恐れたように橋上のコートの胸元にしがみついてくる。 リで、リョウイチも俺を欲しがってたじゃないかー 「あのとき ′、り・いろ 声を殺してささやく沙樹の、柔らかな栗色の髪が頬をくすぐる。その感触に、カッと頭 に血が上った。 冗談ではすまされない領域に、沙樹はいま、大きく一歩踏み込んできていた。 からだ そう。 バトー・パリジャンの船上で、ちょうどいまと同じように沙樹の身体 をこの腕に抱きながら、橋上は確かにただならぬ劣情を催していた。あの晩も、ちょうど きざ 今夜と同じ厚地のウ 1 ルコートを着込んでいたのだが、あさましくも露骨な兆しは隠し切 れなかったらしい いやおう あぶ ジリジリと炙られるような、どうにもせつば詰まったあの感覚が、いまふたたび、否応 よみがえ なしに蘇ってくる。こうして無防備に投げかけられた身体を抱き続けて、まちがってまた キスのひとつも交わしてしまったら、今夜はたぶん、引き返せないところまでいってしま うにちがいない。 おとど あらし あふ せき 堰を切って溢れてきそうな劣情の嵐をぎりぎりのところで押し止めたのは、ほんの一 みみざわ かす 瞬、微かに響いた耳障りな音だった。 ほお