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検索対象: 幸福な降伏
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1. 幸福な降伏

傀覚醒 鷹野祐希冷酷な神の恩寵真・霊感探偵倶楽部新田一実 ズ 第 6 回ホワイトハ ト大賞《佳作》受賞作リ ( 絵・九後虎 ) 人気芸能人の周りで謎の連続死。魔の手が迫る ! ( 絵・笠井あゆみ ) 鷹野祐希愚か者の恋真・霊感探偵倶楽部 新田一実 ン傀儡喪失 見知らぬ老婆と背後霊に脅える少女の関係は ? ( 絵・笠井あゆみ ) 説すれ違う凝と考阯に、五鬼衆の新たな罠が。 ( 絵・九後虎 ) 傀儡迷走 鷹野祐希死霊の罠真・霊感探偵倶楽部 新田一実 一ム亡霊に捕われた菜樹は脱出できるのか ? ( 絵・九後虎 ) 奇妙なスプラッタピデオの謎を追う竜憲が ( 絵・笠井あゆみ ) O 傀儡自鳴 鷹野祐希鬼の棲む里真・霊感探偵倶楽部 新田一実 大輔が陰陽の異空間に取り込まれてしまった。 ( 絵・笠井あゆみ ) Z 菜樹は宇津保のあるべき姿を模索し始める。 ( 絵・九後虎 ) & 傀儡解放 鷹野祐希夜かく真・霊感探偵倶楽部 新田一実 ノンストップ伝奇ファンタジー、堂々完結 ! ( 絵・九後虎 ) 携帯電話への不気味な声がもたらす謎の怪死事件。 ( 絵・笠井あゆみ ) IL フィーールド 新田一実 ( ワカ ) 猫の棲む島鷹野祐希紅い雪真・霊感探偵倶楽部 ト 祟り ? 呪い ? 絶海の孤島のオカルトロマン ! ( 絵・九後奈緒子 ) 存在しない雪山の村に紅く染まる怪異の影 ! ( 絵・笠井あゆみ ) セレーネ・セイレーン とみなが貴和緑柱石真・霊感探偵倶楽部 新田一実 第 5 回ホワイトハー ト大賞《佳作》受賞作リ ( 絵・楠本祐子 ) 目玉を抉られる怪事件の真相は ? ( 絵・笠井あゆみ ) イ ワ 一ヒ O CD LLJ とみなが貴和月虹が招く夜真・霊感探偵倶楽部新田一実 ホ 私には犯人が見える : ・天才びを ~ 引登場 ! ( 絵・沖本秀子 ) 妖怪や魔物が跳梁跋扈する真シリーズⅡ弾 ! ( 絵・笠井あゆみ ) 庫 女戦士エフェラ & 文 W O U W 2 5 三月の誘拐者 5 とみなが貴和ムアール宮廷の陰謀 ひかわ玲子 ジリオラ田 天才犯罪心理捜査官が幼女誘拐犯を追う ! ( 絵・沖本秀子 ) 一一人の少女の出会いが帝国の運命を変えた ! ( 絵・米田仁士 ) 社 LLJ c_D 3 5 毒の夏 5 とみなが貴和グラフトンの三つの流星まフ = ラ & ひ、 都会に撤かれる毒。姿の見えない相手に錬摩は ? ( 絵・沖本秀子 ) 興亡に巻きこまれた、三つ子兄妹の運命は卩 ( 絵・米田仁士 ) ☆ 今月の新刊

2. 幸福な降伏

ホワイトハート最新刊 幸福な降伏いとしのレプリカ 3 深沢梨絵・イラスト / 真木しようこ 沙相す、ケンショウ、橋上。愛のラは・・ アオヤマ・コレ・クシン ' 終わらない週末 有馬さつき・イラスト / 鈴木あゆ 本当に彼となにもな力、ったのか ? 誘惑のターゲット・プライスアナリストの憂鬱 井村仁美・イラスト / 如月弘鷹 邦彦に N Y 本ネ土る幵修の話カく持ち上がり 桜の喪失桜を手折るもの 岡野麻里安・イラスト / 高群保 桜の聖域にむかった隼人に、新たな言丸練が ! 華胥の幽夢 + ニ国記 ノ」、野不由美・イラスト / 山田章博 十ニ国の歴史を彩る王朱玉の豆系扁集 ! ! 官育皀的なソナチネ イ山道はるか・イラスト / 沢路きえ かって美幸を襲った男が、再こ見れて・・ ホワイトノトト・来月の予定 ( 2001 年 10 月刊 ) ケノレンの聖女法廷士グラウべン・・・彩穂ひかる 誤解の理由ミス・キャスト・・ ・・伊郷ルウ 晴れやかな午後の光足のない獅子・・・・駒崎優 毎の白鷹プラバ・ゼータミゼルの使・・流星香 黄泉に還る真・霊感探偵倶楽部・・・新田一実 緑のナイトメアケノムの迷宮・・・宮乃崎桜子 ※予定の作家、書名は変更になる場合があります。 本の注文書 03 ー 5972 ー 6300 ( 9 # ) Welcome to 講談社

3. 幸福な降伏

抜きにバンドは成立しない。したがって今回降って湧いたトラブルを前に、レプリカは 死の状態に追い込まれているのだ。 ポーカルの沙樹にしても、むろん、レプリカはなにより大切な生活の中心にほかならな いわけで、そんな状況の彼に対して、ディレクターの自分は当然、メンタルなケアも考え てやらなければならないのだが ようやく渋滞を抜けて、十分ほどで沙樹のマンションの前に差しかかった。しかし橋上 はいつも車を停める路地でプレーキは踏まず、そのまま通り過ぎた。 「どうしたんだ ? 「見ろよ。あれ、張り込み車だ」 黒っほいバンをミラー越しに示した。沙樹も振り返り、確かめる。 「あれが ? どうってことないふつうの車に見えたけど、なんでわかるんだ ? 」 じようとう 「うしろの窓を隠す段ボール、ありやカモフラ 1 ジュの常套手段だ。そっからカメラ出 して狙ってるんだ。もとは私立探偵なんかが使う手だったんだが、最近は芸能マスコミで 伏 降もよくやってるから」 福「よく知ってるな、リョウイチ」 「前、クリバーの頃はよく追っかけられてるリーダーを逃がしてたからな。あいつ、女優 とっき合ったりしてくれたもんだから、大変だったんだよ」 ねら

4. 幸福な降伏

「ご、誤解だよ、ケンショウ。今日はただ、買い物に来ただけで、それも 必死に言い訳を探す橋上をよそに、確信犯で火に油を注いだのはもちろん沙樹だ。 まう 「放っておいてくれ。俺は、奥さんがいたってリョウイチのことが好きなんだから」 かんべき その暴言は、一瞬にしてケンショウと橋上とを完璧なフリ 1 ズ状態にさせるのに充分な とど 破壊力を持っていた。いや、衝撃の余波はそれに留まらない。平和な買い物を楽しんでい あぜん た休日の公衆も、ときならぬゲイの三角関係の修羅場をただ唖然と見守っている。 ぐらりと倒れ込みそうな気分に駆られて、橋上はそばにあった展示品の電子レンジに手 をついた。 こん A 」、つ いっそのこと、本当に意識を手放してこの場で昏倒してしまいたかった。

5. 幸福な降伏

200 「心配するな。迫ったけど、堕ちなかったんだから」 「ーーひどい奴だな、やつばりおまえ」 「ひどい奴だよ、知ってるだろ ? それでもいいのか ? 」 ひとみ 探るように、からかうように、近々と瞳をのぞき込んでくる。ケンショウは、またして も苦笑するほかはない。 「いいさ、しよせん惚れてるんだ。俺の負けだよ」 そうだ。出会った頃からそうだった。 びぼう 沙樹が抱える、不安とプライド。作り物めいた美貌の下のせめぎあいは彼の歌にも歌詞 にじ にも滲んでいて、それがレプリカの最大の魅力になっているとも思う。 そうなのだ。これからは橋上のように、揺らぐ彼を包み込むほどの余裕と包容力を持た なければならない。 ーダーとしても、恋人としても。そうでなければ彼を安らがせ、支 えていくことなどできはしない。 今回の一件は、そのことに気づかせてくれるなによりの機会になった、と思う。 「全面降伏ーーさ」 こんなにも幸福な降伏は、おそらくほかにないだろう。 ( おわり )

6. 幸福な降伏

路上に置き去りにしてきてしまった彼は、あのあとちゃんと部屋に戻っただろうか ? もう建物のすぐ目の前だったので、ふつうならよほど酔っていても帰れないことはないは ずだが、それでも少し心配だった。 できれば電話の一本もかけて様子を探りたい気もしたが、この状況で、まさか「さっき はごめん」でもないだろう。 口にはできない本音では、橋上も無論、沙樹が嫌いなわけでも性別不明のフェロモンに 惹かれるものを感じていないわけでもない。それどころかほとんど九割がた彼にほださ れ、惑わされかけているのだ。 が、そのうえでギリギリ必死に選んだ拒絶を、沙樹自身はどう受け止めたものか ? かな なんにしても、彼の望みを叶えてやれず、傷つけてしまったことはまちがいない。 うれ ご主人さまに甘えられるのが嬉しかったのだろう。ダルの湿った舌先が伸びて、ペロペ ほおな ロと頬を嘗めてきた。その冷たい感触に橋上は微苦笑を誘われ、そうして言葉の通じぬ動 物相手にポツリと小さくつぶやいた。 降「ーーけど俺は、おまえらに責任がある立場だもんな」 福 幸

7. 幸福な降伏

「え、ナイフ ? 」 しり おうむ返しに言いながら、アキノは反射的に尻ポケットを探っていた。 差し出された沙樹の手に、小形のアーミ 1 ナイフが渡される。ギターの弦を張り替える ときに使うので、アキノがいつも身につけているものだ。 小形とはいえいきなり刃物が登場して、須磨子と岡元、それに橋上もギョッと顔色を変 えさせられる。が、立ち上げられたナイフの刃を、沙樹は他人に向けはしなかった。 つや 代わりに、艶やかに伸びた自分の髪をひと房掴み、首筋のあたりに刃を当てた。 「さ、沙樹ーー ブツリ と、縄の切れるような鈍い音が響いた。居合わせた全員が、息をんで目前 の光景に釘づけになる。 ′、り・いっ 沙樹のトレ 1 ドマークでもある、栗色の髪のひと掴み。それが小さなナイフで無理やり 切り取られ、そのちぎれた長い髪を、沙樹はテ 1 プルをはさんで座る岡元の顔面に投げつ あぜん そして唖然とする彼を黙殺し、改めて須磨子に射るようなまなざしを向ける。 「ケンショウは、レプリカのリーダ 1 だ。なにをしたにしたって、すげ替えがきくような パーツなんかじゃ絶対ない。それでも社長が奴を切ろうってつもりなら、俺もレプリカや めるから」

8. 幸福な降伏

しのはら 篠原から受け取った沙樹の荷物をかつぎ直して問いかける。沙樹は小さくうなずいただ けで、となりに並んで廊下を歩き始めた。 が、局の駐車場がある地下階にエレベ 1 ターが到着し、前後してケ 1 ジから降りたとき からだ かし ゝ ? 」 0 だ。いまの体調には昇降の揺れでもつらかったのか、沙樹の身体がぐらりと傾し 「ーー・大丈夫か ? 」 言うより早く手が伸びて、橋上は空を泳いだ細い右腕を捕らえていた。瞬間、沙樹の かんしよう ひらめ に癇性な光が閃く。 「ちょっとよろけただけだよ。病人扱いしないでいい」 「そ、それならいいけどさ」 思わず掴んでしまった右腕を、慌てて放す。そのまま照れ隠しにガサゴソと音をたてて ポケットを探り、車のキーを取り出した。 ーバーは、エレベータ 1 ホ 1 ルから遠くない場所に停めてあった。 橋上の愛車の紺のロ この車には沙樹も何度か同乗しているので、迷わず歩いて助手席側のドアにまわった。 降橋上も、ドアロックを解除して運転席に乗り込む。エンジンキーを差し込んで車が軽く 福揺れ始めると、止めがたい衝動がに突き上げてきて口をこじ開けた。 「ーーーだいたい、女の子じゃあるまいし貧血なんて起こすなよ。人前で倒れたりして恥ず かしいだろうが」

9. 幸福な降伏

のだ。どう見ても業界周辺とは無縁そうなこの紳士も、どうやらいまからワンダラーを訪 れるところらしい ひらめ ハタと閃いたそのとたん、問いかけが口をついてこばれ出た。 「あの、もしかしてケンショウくんのーーこ いきなりラフないでたちの青一一才に声をかけられて、壮年の紳士は一瞬、眼鏡の奥の眉 けげん ふっしよく をひそめかける。が、その怪訝な表情もすぐさま払拭された。 おかもと のりあき 「はい、私は憲章のーーケンショウの父の岡元ですが。そちらは事務所の関係の方で ? 「あ、はい しり 温和な口調で問い返されて、橋上は慌てて尻ポケットを探って名刺入れを取り出した。 と、つほ、つ 「こんな場所でいきなり失礼いたしました。東邦でレプリカを担当させていただい ております、ディレクターの橋上と申します」 「これはどうも。このたびは、愚息が大変なご迷惑をおかけいたしまして」 橋上から名刺を受け取ると、ケンショウの父君ーー岡一兀氏も自分の名刺を返してきた。 こうじまち 漉きの入った紙の表に刷り込まれていた肩書きは、もちろん弁護士。そして麹町にあ る法律事務所の住所と電話番号などが添えられている。 麹町からこのあたりまで、日中なら車でも一一十分はかかるはずだ。須磨子が彼に電 話を入れる、と言っていたのが小一時間前の話なので、連絡を受けてさっそく駆けつけて まゆ