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検索対象: ありさの「虐待日記」
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1. ありさの「虐待日記」

になる事例がほとんどだという。正常な親子関係に修復されたというケースは、未だ に一例もないだろう、と大田医師はいう。 「それだけ問題は深刻なんです。家に戻って親子で暮らすようになった例もあるには あるんですが、それはあまり重症ではない、重い虐待に至る前に発見できた場合です ね。このまま放っておけば虐待に至ってしまうだろうと危惧される場合でも、早めに 対応できれば何とかなるだろうと思いますー でも、と大田医師は残念がる 「個人的な意見ですが、救急に来るほど体の傷が重い症例は、心の傷も深い。親子関 係の修復はかなり困難だと思います。そういう場合には、子どもを守るためにも、親 から分離するしかないと思います。親と子どもを別々に治療することはできるでしょ 医うが、一緒に住めるようにするのがとてもむずかしいんです いままでにも何例か試みたことはあるそうだが、 双方にとってマイナスのほうが大 児 きかったよ、つだ。 章 大田医師には忘れられない症例がある。 第 あるお母さんが、女の子に虐待を加えていた。最初のうちは足の骨折や頭の怪我な どで来院していたのだが、大田医師たちに発見され、治療が施された。男の子はかわ

2. ありさの「虐待日記」

た。けれども、《私の人生を台無しにした雄介のことは絶対に許さない》と書いたりし て、もっとも冷静さから遠くにいるのが、亜里沙さん本人ではないか。 「でも、ほんとうは虐待は自分でコントロ 1 ルできるはずだ、と彼女はいいたいので はないかしらと思うんです。それから《罪悪感がない》とここまで何度も強調するの は、ほんとうは裏にものすごく強い罪悪感があって、それに直面してしまうと自分が 崩壊してしまうかもしれないという恐怖感があるのではないか、という気がするんで す。そう考えると気の毒ですよね」 佐藤心理士は亜里沙さんを思いやる。 「彼女が世の中に向けている怒りは、ものすごいと思うんです。子持ちの女性を理解 理してくれない企業とか、夫とか、自分の親とか、世間一般の『母親はこうあるべき』 という価値観を押しつけてくるさまざまなひとたちとか。そういう社会のシステムや 臨 ひとびとに対する怒りがとても大きいのに、どこにも向けられないから、もっとも弱 章 い雄介くんに向けているという構図ではないでしようか」 第 《大手保険会社にあこがれの総合職として入社》したにもかかわらす、《一〇年先の自

3. ありさの「虐待日記」

1 師 全然そんな気持ちはないのに、自分を苦しめるためにわざと悪いことをする、と信じ 込むようになる。そのうえ、事態がここまで行ってしまうと、虐待行為に反対で、と きには止めに入ってくれていたもう片方の親も、「これは子どもがいけないと思って、 一緒になって子どもを叱ったり、それでもいうことを聞かないと苛立って、虐待に加 担してしま、つよ、つになる。 「子どもは、逃げ場がなくなってしまうんです。唯一の逃げ場であったかもしれない 片方の親からも見放されてしまう。その親も虐待に加担してしまうと、子どもは見捨 てられてしまったと感じます。ですから、子どもはもっと救いのない立場に立たされ てしまうんですー 虐待される子どもの気持ちを思うと、佐藤心理士の説明に胸が苦しくなる そうなれば、子どもの行動はさらに悪化する。盗み食いは頻繁になり、おしつこは ところかまわず、嘘に嘘を重ねる。子どもにも止められないのだ。 虐待は、このようにエスカレートしてしまう性格を持っている。そして、子どもは 深く深く傷つけられていく。親も、傷ついていく。 だから第三者が介入しなければ、虐待は止まりようがないのだ。 「身体的な虐待っていっても、うちのは病院に行くほどじゃないからいいんじゃない

4. ありさの「虐待日記」

ネットには真面目に虐待から抜けようと、抜けるのを支援していこうと頑張ってい る人間がいるのに、、 しろんな人に誤解されつつも頑張っているのにそーいう人たち を更に誤解させるような事をしているようで怒りを覚えた。 何度も読み返すうち、「間違えてる ! 」って言って欲しいのかな ? とも感じ始めた。 彼女は私のに何度も来ていて、私の返事を求めるような書きこみを残していた。 だから余計にそう思った。 三ありささんは、どのような心理状態にいると思いますか ( 答 ) 書いてることは、八割がたが真実だと思う。 子供に対してイラつく気持ちは本物で、 例えばわざと転ばしたりするところは真実でも、 傷口に塩を塗る、というのは、 そうしてやったらイイサマだと思う、そうしてやりたいほどイラつく、 そういう気持ちだけで、実際の行動は行われてないと思う。 四ありささんは、〈虐待は悪いことではない〉と主張します。それについて、どの

5. ありさの「虐待日記」

に課せていたんだと思う 六ありささんに何かしてあげられることはありませんか ( 答 ) 彼女が話しを聞いて欲しいと私に望むなら、話を聞く。 けど、望んでもいないのに行動はできない。おせつかいになって彼女の新たなスト レスになると思 , つから だけど、「いつでも話しを聞くよ」って態度を見せて行きたいと思う。 七ありささんは、どうすれば楽になると思いますか ( 答 ) 今、彼女の真実が見えないから、どうとも言えない の通りなら、苦しんでるとは思えない 私の想像通りなら、 誰かに話しを聞いてもらって受け入れてもらう事をお勧めしたい。 私は彼女の「わが子が嫌い」って気持ちは受け入れられるけど、 「だから虐待するのが正しい」という部分は受け入れられない

6. ありさの「虐待日記」

ようにお考えですか ( 答 ) 日本にすんでいる以上、虐待は法律で悪い事だと決められてる。 だから、誰がなんと言おうと悪い事だと思う。 それでも、自分を正当化しないと自分が壊れてしまいそうな時はある。 あくまで一時的に自分を正当化する行為は、必要な時もある。 それが虐待でも。 人間は自分を守る本能があるんだから、しようがないと思う ただそれは「一時的」なもので、公衆道徳に反するものなら、 カ落ち着いてから考えなおす必要があると思う。 ワ それでもネットのような不特定多数の交差する場所で公開すべきじゃないと思う。 ャ シ 五日記に書かれている内容は、本当だと思いますか ソ ( 答 ) 上記したように、八割がたが真実だと思う 七傷口に塩を塗るような行為はしていないと思う 第 彼女は書き出す事で、その行動への欲求を収めていたんだと思う。 また、子供を悪く書くことで、「ここまで悪くはないかな ? 」って思う気持ちを自分

7. ありさの「虐待日記」

悩んでいる人々は、せつかくここへ辿りついたとしても、苦い思いを噛みしめながら 去っていくのではないかと思います。 所そして、この問題の底が知れないとりとめのなさと、絶望感を抱えながら、救いよう 榧がない現実へと戻っていくのではないかと感じます。 童 児 市 戸 ここの掲示板にいらっしやる方々の全てとは申しませんが、その方々は、例えば自分 神 のサイトがここのように、土足で踏み荒らされてしまったとしたら、決していい気持 五ちではないと思います。 ら 山田晁平様。 四 あくまで提案ですが、この掲示板のみをしばらく閉鎖するというのはいかがでしよう 月 カ ? ・ 〇 情報やコメントは、メールと言うことにして、参考になりそうなものをアップすると 章 一一 = ロうことの方が、まだよろしいと思うのですが 第 お忙しいとは、思いますが、このサイト存続のために是非、ご一考戴けないでしよう か ? 》

8. ありさの「虐待日記」

経さへの不央感も、理解できるように思う。 1 チャルの可能性がある日記に対して、非常にビビッドに反応したひとがいた 虐待の当事者である。虐待のことを教わったいかいかさんはメールにこう書いた。 《『ありさの虐待日記』は、私たちの傷に触れるんです》 何度も「日記」を読むうち、ひとごとではなくなった。 「リアライズー 神戸市児童相談所は、万が一この日記の内容が「真実」だった場合に備えて、緊急ハ に被虐待児を保護する必要があるか否か判断するために行動した。虐待問題を巡って ( てんまっ 「バーチャル」なものが「リアライズ、した顛末は第二章で紹介する。 初めから「事件はバーチャルの可能性があった。だが、虐待があった場合にどう 対応すべきかを、今回の経緯は明らかにしてくれるに違いない。また、多くの関係者 へ取材する過程で、虐待の実態も明らかになってくるだろう。『ありさの虐待日記』がタ 関係者の間に巻き起こしたさまざまな波紋は、第三章以降で述べていく。

9. ありさの「虐待日記」

だから、インターネットを使った告白になったのだろう。インタ 1 ネットなら間接 的なコミュニケーション手段だから、いつでも撤退できる。匿名性は保障されて、直 接非難されることもない。気に入らない意見は「消せ」ばいいし、世間から指弾され たらスッと自分ひとりの世界に「逃げて」いけばいい。 「虐待してしまう親って、何らかの意味でひととの間で深手を負って生きてきている わけです。だから、虐待について電話で相談するひとは、 cooco を発信しているんで す。救いを求めているんです。でも、いわゆる専門家から『子どものためにはこうあ らねば』とか、『お母さん、そんなんでどうするの』とかいわれてしまうこともある。 もともと、自然な感情を発散して受け入れられた経験がないから、だれかが援助の手 を差し伸べても、それが理解できなくて、脅威であると勘違いして、拒否することが 多いんです」 その拒否が、「しつけの一環としてやっているんだ」とか「親が自分の子どもを思い どおりに育てて何が悪いーとか「養育方針なんだ」といった自己正当化として表れる のだと臨床心理士は言う。 「でも、そういう一言動は、親が自分の周りに張りめぐらせている防御壁みたいなもの なんです。攻められることを恐れているようにしか思えない。亜里沙さんの日記は、

10. ありさの「虐待日記」

156 亜里沙さんが来院したら 亜里沙さんが相談に来たとしたら、どのような対応になるのだろうか。北里大学病 のり 院小児虐待防止委員会 (0<æco) に所属する法由美子さんに話を聞いた。彼女は総 合相談部の主任ソーシャルワーカーだ。 「まず、亜里沙さんがお出でになるとしたら、おそらく育児ノイローゼなどの理由で 精神科への受診相談を受け付けることになると思いますね。子どもの関係のことで相 談したい、子どもがかわいく思えない、子どもが育てにくい、などという訴えがあれ ば、精神科に外来でおいでいただく、ということになりますー 最初から治療・援助を望むのであれば、事前に子どもの虐待のことで話したいとい った相談をするのが一番の早道になる。亜里沙さんが電話でアプロ 1 チしてくれば、 その緊急性を判断し、彼女の希望を聞き、住んでいる場所や経済的な状況など通院で きる状態かどうかを確認したうえで、最善の方法を考えることになる。そして、亜里 沙さんがきちんと通院し続けることができそうなら、北里大学病院の精神神経科に受