255 巻末資料 《 1998 年虐待死事件ダイジェスト》 98 年に起きた事件を簡単に紹介する。固有名詞はすべて省いた。日付は、事件の第一 報が掲載された日。数年前の事件が発覚して立件されたケースも含まれるが、被害者 の年齢はいずれも事件当時。無理心中の疑いがある事件は、断定できない場合も多い が、その後の続報で疑いが否定されたもの ( 事故死などと分かったもの ) 以外はリス トアップした。 ◆ 1 月 8 日 10 日 12 日 12 日 13 日 13 日 16 日 19 日 19 日 21 日 28 日 28 日 29 日 29 日 31 日 ◆ 2 月 福岡 茨城 埼玉 滋賀 福岡市内の男児 ( 六 ) = 幼稚園児が庭で凍死。せつかんの疑い。 笠間市で長女 ( 六 ) をせつかん死させた母親を傷害致死容疑で逮捕。 六歳の長男をせつかん死させた母親 ( 三四 ) と内縁の夫 ( 三 0 ) を東入 間署が傷害致死の疑いで逮捕。 二歳の三男をせつかん死させた京都市の無職男性 ( 二三 ) と、大津市内 の前妻 ( 二七 ) を大津署が傷害致死の疑いで逮捕。 神奈川母親 ( 四一 ) が、長女 ( 一三 ) = 中一と、長男 ( 九 ) = 小三の首を絞め 埼玉 大阪 大阪 大阪 熊本 大阪 愛知 岩手 埼玉 千葉 て殺害。宮前署は殺人容疑で母親を逮捕。 昨年八月、五歳の長男をせつかん死させた父親 ( 三九 ) を、蕨署が傷害 致死の疑いで逮捕。 東大阪市の会社員 ( 四三 ) が居間で長女 ( 一二 ) = 小六と、長男 ( 一〇 ) = 小四の首を絞めて殺害、東大阪署は父親を殺人容疑で緊急逮捕。 大阪市の路地で、生まれたばかりの男の赤ちゃんが裸で置き去りにされ、 死亡。東成署は死体遺棄の疑いで捜査している。 羽曳野署は、小五の長男をせつかんして死なせたとして、藤井寺市のト ラック運転手 ( 三一 ) を傷害致死容疑で逮捕。 御船町の道路に止めた車の中で、城南町の主婦 ( 三四 ) と長男 ( 五 ) 、 二男 ( 三 ) の三人が死亡。ガス中毒による無理心中。 大阪地検は、生後三カ月の男児をせつかん死させたとして、大阪府高槻 市の父親 ( 一九 ) を傷害致死容疑で逮捕。所轄署が書類送検後、地検が 逮捕。 名古屋市港区の名古屋港で、しゅんせつ作業中の土砂運搬船がワゴン車 を引き揚げ、車内から男児一人、女児二人の遺体が発見された。さらに、 現場から約四・五キロ離れた別の土砂運搬船の土砂から、女性の遺体が 見つかった。死亡していたのは、愛知県蟹江町の主婦 ( 三一 ) 、小二の 長男 ( 八 ) 、小ーの長女 ( 七 ) 、園児の二女 ( 四 ) の母子四人。 宮古署は二八日、死体遺棄の疑いで宮古市の父親 ( 二七 ) と母親 ( 三〇 ) を逮捕。昨年六月ごろ自宅で死亡した長男 ( 生後二カ月 ) を布などにく るみ自宅内に隠して捨てた疑い。 上里町の関越自動車道で、道路左側のガードに衝突して止まっている軽 乗用車の中で母子三人がぐったりしているのを群馬県警高速交通隊のパ トカーが発見。三人は埼玉県秩父市の主婦 ( 三〇 ) と長男 ( 五 ) 、二男 ( 三カ月 ) で、二男は左胸付近に刺し傷があり、死亡。主婦が子供を包 丁で刺し、無理心中を図ったとみている。 学校に行かない長女 ( 七 ) に腹を立てて暴行し、死なせたとして、松戸 署は三〇日、松戸市の母親 ( 三〇 ) を傷害致死容疑で逮捕した。
3 日 13 日 18 日 19 日 20 日 25 日 27 日 ◆ 3 月 4 日 4 日 4 日 7 日 7 日 10 日 10 日 13 日 24 日 25 日 30 日 ◆ 4 月 愛知 愛媛 栃木 福岡 埼玉 岐阜 兵庫 愛知 茨城 沖縄 愛知 埼玉 新潟 252 豊川市の市営住宅で、会社員 ( 四四 ) と妻 ( 三六 ) 、小六の長男 ( 一 小四の二男 ( 一〇 ) 、母 ( 七三 ) が死亡。無理心中とみられる。 出産したばかりの女の子の遺体を捨てたとして母親 ( 四一 ) を死体遺棄 の疑いで逮捕。遺体は昨年一〇月見つかった。 内縁の妻の連れ子 ( 四 ) をせつかん死させた足利市内の男性 ( 二七 ) を 足利署が傷害致死容疑で逮捕。 福岡県警若松署は、北九州市の会社員 ( 二〇 ) を傷害致死の疑いで逮捕。 自宅居間で長女 ( 一〇カ月 ) が、泣きやまないことに腹を立て、室内の 柱に頭を打ちつけるなどして、二日後に死亡させた疑い。 四歳の四男にせつかんを加え、重体になるけがを負わせたとして、蕨署 は、蕨市の男性 ( 三六 ) を傷害の疑いで緊急逮捕。四男はその後、死亡。 羽島市民病院から「死亡した女児 ( 七カ月 ) の様子がおかしい」と通報 があり、羽島署で調べたところ、父親が腹を殴ったことを認めたため、 殺人の疑いで緊急逮捕。 一歳八カ月の長女を殺そうと思い食事を与えず、餓死させたとして、大 阪府警大正署は、神戸市のトラック運転手 ( 三〇 ) と妻 ( 二四 ) を殺人 の疑いで逮捕。三女 ( 当時一歳三カ月 ) を自宅の階段から投げ落として 殺害した疑いも。 豊田市の県営住宅で長女 ( 二 ) が死亡、二女 ( 一 ) もべッドで衰弱。豊 田署は父親 ( 二五 ) を保護責任者遺棄致死傷の疑いで緊急逮捕。 笠間市の駐車場で、エンジンをかけたまま停車している乗用車の中で三 人の親子連れが死亡。同市内の主婦 ( 二八 ) と長男 ( 五 ) 、二男 ( 二 ) 。 排ガスによる一酸化炭素中毒とみられる。主婦は消費者金融に借金があ った。 北中城村の主婦 ( 二六 ) が、四カ月の女児が泣き止まないのに腹を立て、 せつかん死させる。 岡崎市で二歳三カ月の幼女が母親 ( 三五 ) のせつかんによって死亡。 日高市の男性 ( 五八 ) が、包丁で長男 ( 九 ) の胸と腹部を刺して死亡さ せる。 三条市で祖母 ( 五四 ) が首をつって死亡し、孫の幼稚園児 ( 六 ) も、 階寝室の布団の中で首を絞められ死亡。病気を苦に、発作的に無理心中 を図ったらしい。 鹿児島加治木町の港から軽乗用車が海に転落、主婦 ( 三二 ) と小ーの長女 ( 七 ) が遺体で見つかった。三人家族で、夫が難病で入院中。 神奈川相模原市の女性 ( 二七 ) が長男 ( 七カ月 ) の首を絞め死亡させる。長 男がアトピー性皮膚炎を発症したことを悩んでいたという。 秋田六郷町で生後八カ月の長女をせつかん死させた父親 ( 三二 ) を傷害致死 容疑で逮捕。 神奈川秦野署は、生後三カ月の長男を窒息死させた秦野市の主婦 ( 二八 ) を 殺人の疑いで緊急逮捕。 兵庫篠山町の民家で、長女 ( 八 ) = 小二が頭の骨を折り死亡。長男 ( 一 重体。母親 ( 四六 ) も首をつって死亡。
10 日 12 日 14 日 21 日 27 日 28 日 28 日 29 日 ◆ 12 月 29 日 28 日 25 日 22 日 19 日 16 日 6 日 2 日 長野 兵庫 248 ( 八 ) 、二男 ( 四 ) 。 中野市の空き地に、バスタオルにくるまれた女児の遺体。裸でヘその緒 がついたまま。中野署は一六歳の少女を殺人と死体遺棄の罪で、長野家 裁に送致した。 西宮市で父親 ( 三一 ) が、夜泣きする二男 ( 生後二か月 ) を窒息死させ、 遺体を車に乗せて、鹿児島県の親類宅を訪れたところを逮捕。 北海道宗谷管内枝幸町で、布教師の父親 ( 四五 ) が、小二の二男 ( 七 ) の胸 静岡 東京 愛知 宮城 大阪 沖縄 愛知 埼玉 埼玉 秋田 大阪 を包丁で刺し殺す。枝幸署は父親を殺人容疑で逮捕。 島田市の緑地で乗用車が燃え、後部座席から男性と幼児の焼死体が見つ かる。同市内のタクシー運転手の男性 ( 五〇 ) と、一歳の長男。 一八年前に生後九カ月で死んだ長男の遺体を埋葬せす、一緒に転居を重 ねた母親 ( 四三 ) を町田署は死体遺棄容疑で逮捕。 ハワイで九六年一二月、名古屋市の四歳の女児がせつかんとみられるけ がで死亡。県警国際捜査課と千種署は二七日までに、現地に捜査員を派 遣し捜査している。 仙台市で、同居する男性 ( 二五 ) が、女性の子 ( 五 ) をせつかん死させ、 仙台北署は傷害致死の疑いで緊急逮捕。 大阪府警捜査一課と大正署は、一歳五カ月の長男を殺害した母親 ( 一八 ) を殺人容疑で逮捕。「子どもが浴槽に落ちた」と事故を装っていた。 高槻市の霊園駐車場で、駐車中の乗用車の中で会社員 ( 五〇 ) と二女 ( 一六 ) = 養護学校高等部一年が排ガスによる無理心中。 角館署は、出産した男児を窒息死させ、自宅敷地内に埋めた母親 ( 二一 ) を、殺人と死体遺棄の疑いで逮捕。 越谷市の民家の二階部分が燃え、母親 ( 三五 ) と長女 ( 八 ) = 小二、幼稚 園児の長男、二男 ( いすれも五歳 ) の四人の焼死体が見つかった。母親 が灯油をまき火をつけたらしい。夫は一階の部屋でテレピを見ていた ( 二男 ( 四 ) をせつかん死させた父親 ( 三三 ) を杉戸署が傷害致死の疑い で緊急逮捕。遊んでいて顔を洗わないことに腹を立てる。 一宮市末広の主婦 ( 二六 ) が、生後四カ月の長男の首を絞めて殺し、 宮署は殺人容疑で逮捕。「母乳が出なく、 ミルクを飲ませようとしたが子 どもが飲んでくれない」と育児に悩んでいた。 宜野座村で父親 ( 三四 ) が小六の長男 ( 一二 ) の首を絞めて殺し、自宅 に火をつけて無理心中を図った後、石川署に自首。 神奈川秦野市の民家が全焼し、母親 ( 三二 ) と長男 ( 四 ) が焼死。秦野署は、 母親が灯油をまいて、無理心中をした疑いもあるとみて捜査。 三重名張署は、一歳一一カ月の二女をせつかん死させた父親 ( 二五 ) 、母親 ( 二五 ) を傷害致死の疑いで逮捕。 この報告は一九九九年三月一四日に名古屋市の丸栄カーネーションホールで開催され た「見えなかった死・シンポジウム」からホームページ化したものです。 戻る
6 日 6 日 8 日 8 日 15 日 18 日 20 日 20 日 24 日 25 日 30 日 ◆ 8 月 3 日 5 日 7 日 7 日 11 日 15 日 18 日 19 日 21 日 25 日 山口 愛知 新潟 東京 250 宇部市の J R 線で母親 ( 二六 ) と長女 ( 六 ) 、二女 ( 一歳九カ月 ) が列車 に飛び込み死亡。 知多町の駐車場で車内にいた二男 ( 四か月 ) が死亡。熱中死の疑い。 小出署は、長男 ( 一 ) を窒息死させた母親 ( 二五 ) を殺人の疑いで緊急 逮捕。「育児に疲れた」と供述。 足立区の都営アパートで、父親 ( 六九 ) が、高一の長男 ( 一六 ) を包丁 で刺して死亡させ、西新井署は父親を殺人容疑で緊急逮捕。 神奈川県警捜査一課と泉署は、自宅をガス爆発させ長女 ( 五 ) と二女 ( 四 ) 大阪 岡山 大阪 愛媛 大阪 香川 茨城 沖縄 を殺害した父親 ( 五五 ) を殺人と放火の疑いで逮捕した。妻 ( 二九 ) が 家出し、多額の借金を抱えて、無理心中を図ったと見ている。 大阪府警阿倍野署は、大阪市阿倍野区の会社員 ( 二二 ) を殺人の疑いで 逮捕した。「タ飯を食べるのが遅い」と三歳の長女を殴り、死亡させた し、自分も首吊り自殺。 寝屋川市で父親 ( 四九 ) が長男 ( 一 び込み死亡。 山陽町のため池に、主婦 ( 三一 ) が長女 ( 四 ) 、二女 ( 一 ) を連れて飛 疑い。 二男 ( 八 ) = 小三を絞殺 二 ) 、女性の長男 ( 二 ) が飛び降り、男性と長男が死亡。女性も重傷。 恩納村の景勝地「万座毛」のがけから、北九州市の男性 ( 三六 ) と女性 を傷害致死の疑いで緊急逮捕。 「言うことを聞かないので、腹を立てて殴った」と供述。取手署は少女 取手市の民家で、三歳の幼女が死亡。母親の妹で一七歳の無職少女が 父親を傷害致死の疑いで逮捕。 詫間町で父親 ( 二三 ) が女児 ( 九カ月 ) の首を絞めて死なせ、高瀬署は 捕。 生後七カ月の乳児を衰弱死させた母親 ( 二五 ) を茨木署は殺人容疑で逮 内で死亡。 西条市の林道で、女性が首をつり死亡、長男 ( 八カ月 ) も近くの乗用車 神奈川横浜市のホテルで藤沢市内の主婦 ( 三二 ) が長男の幼稚園児 ( 五 ) 、長 東京 三重 長野 女 ( 一 ) を殺害し、無理心中を図る。 足立区で、父親が二男 ( 一 ) を殿って死なせた後、遺体を一カ月半にわ たって放置し、自らも首つり自殺。 松阪市で母親 ( 四四 ) が、長男 ( 一六 ) = 定時制高校二年を絞殺し、松阪 署は殺人の疑いで逮捕。長男は登校拒否がちで、「長男を殺して自分も死 ぬつもりだった」と供述。 東筑摩郡本城村の駐車場で、母親 ( 二七 ) が生後六カ月の男児を窒息死 させ、電話で自首。松本署は母親を殺人容疑で逮捕。 北海道美唄市のパチンコ店駐車場に止めてあった乗用車の中で、一歳の男児 群馬 沖縄 滋賀 が死亡。両親はパチンコ中。 伊勢崎市で母親と同居中の男性から暴力を受け、三歳の女児が死亡。 名護署は高一の長女 ( 一五 ) にナイフを投げつけ死亡させた父親 ( 四一 ) を傷害致死の疑いで逮捕。 県警捜査一課と愛知川署は、出産したばかりの女児を近くの田に捨て死 亡させた母親 ( 二七 ) を殺人容疑で逮捕。
251 3 日 5 日 11 日 21 日 28 日 29 日 ◆ 5 月 3 日 7 日 19 日 19 日 20 日 24 日 26 日 ◆ 6 月 1 日 8 日 10 日 21 日 ◆ 7 月 1 日 巻末資料 東京 茨城 東京 京都 宮城 愛知 静岡 佐賀 足立区内の民家で一階の畳と布団が燃え、主婦 ( 三〇 ) と生後三週間の 長男が全身やけどで死亡。灯油をかぶり、無理心中。 大洗町の漁港で、男女と女児が駐車中の乗用車内で死亡。群馬県の会社 員 ( 三五 ) と妻 ( 三三 ) 、長女 ( 一 ) 。 会社員 ( 三三 ) が同居女性の二女 ( 三 ) を浴槽に沈めて殺す。二女がだ だをこねたため、カッとなった。 亀岡市内の男性会社員 ( 三八 ) が「長男の首を絞めて殺した」と亀岡署 に自首。長男 ( 九 ) = 小四を絞殺。 亘理町で母親 ( 二三 ) が長男 ( 三 ) を窒息死させ無理心中を図り、亘理 署は殺人の疑いで母親を逮捕した。 名古屋市の県営住宅で会社員 ( 二八 ) が長女 ( 九カ月 ) を道連れに、六 階から飛び降り心中。 富士宮市根原の朝霧高原で、無理心中と思われる遺体を発見。東京都江 戸川区に住む無職男性 ( 三〇 ) とその長女 ( 四 ) とわかった。家人が行 方を追っていた。 浜玉町の林道で、軽ライトバンの中から筑紫野市内の男性 ( 五五 ) と、 元妻 ( 五五 ). 、男性の長男 ( 九 ) = 小学四年生と二男 ( 八 ) = 三年生が死 亡。排ガスによる一酸化炭素中毒で「金に困っている」との内容のメモ。 神奈川死亡した二歳の長男をセメントで固めて自宅の押し入れに隠していた 埼玉 兵庫 岐阜 静岡 栃木 岡山 愛媛 福島 として、神奈川県警捜査一課と浦賀署は、三浦市の無職男性 ( 三七 ) と 妻 ( 三六 ) を死体遺棄容疑で逮捕。 鳩ヶ谷市で無職女性 ( 二五 ) が、一人でトイレにいけない二男 ( 二 ) の 頭を殴り、せつかん死させる。 明石市内で、夫婦げんかの仲裁に入った長男 ( 一四 ) = 中三が、父親 ( 四 六 ) に刺され死亡。当初は、母親 ( 五六 ) が逮捕されたが、夫の犯行と わかり、殺人容疑で逮捕された。 土岐市の空き地に駐車していた乗用車内で、祖母 ( 五三 ) と孫の女児 ( 一 ) が倒れており、女児はすでに死亡、祖母も出血多量で重体。 浜松中央署は、養子の男児 ( 四 ) をせつかん死させた男性 ( 三五 ) を傷 害致死の疑いで逮捕。 葛生町の母親 ( 三五 ) が、長男 ( 一〇 ) = 小五と保育園児の二男 ( 五 ) 、 長女 ( 一 ) の三人の首を絞めて殺し、殺人容疑で緊急逮捕された。 岡山市の港で、同市内の男性 ( 五一 ) 運転の乗用車が岸壁から海に飛び 込み、男性は自力で脱出したが、同乗の妻 ( 六〇 ) と孫の女児 ( 三 ) の二 人が水死。自宅には「孫の世話に疲れた」との遺書。 伊予三島市で、母親 ( 三四 ) が幼稚園児の長男 ( 四 ) を包丁で刺して死 亡させ、三島署は母親を殺人の疑いで緊急逮捕。 猪苗代町で、男性 ( 四一 ) が自分の母親 ( 六三 ) と長男 ( 一二 ) = 中一を 車内で殺害し、自分も顔などにやけど。 北海道江別署は一日、生まれたばかりの長男を殺した母親 ( 二四 ) を殺人の 疑いで逮捕した。同容疑者は「子どもがミルクを飲まず、育児に疲れて いた」などと供述しているという。
たり、正史容疑者の自宅居間で、かわるがわる千鶴ちゃんの腹などをモップの柄やハ ンガー、手などで殴った。さらに、正史容疑者がリポンで千鶴ちゃんの両手首を台所 の棚に縛り付け、立たせたままの状態で七日午後三時ごろまで約一一時間にわたって 放置し、死なせた疑い 正史容疑者らは七日午前八時ごろ、千鶴ちゃん一人を家に残して出勤。幸子容疑者 が午後三時ごろ仕事から戻ると、千鶴ちゃんは立ったままぐったりしていた。病院に 運ばれ、ニ時間後に死亡が確認された。 調べに対し、三人は「言うことを聞かないのに腹を立てて殿った」などと供述して るとしい、司法解剖して死因を調べるとともに詳しい動機や虐待の状況を追及して 千鶴ちゃんは両親と三人暮らし。幸子容疑者は再婚で、千鶴ちゃんは連れ子だった。 石井容疑者はふだんから容疑者の家によく遊びに来ていたという 田彦小の島田れい子教頭によると、千鶴ちゃんはクラスでも活発に発言し、人気が あったという。ニ学期の始まった一日、「結膜炎なので今週は休む」と届けがあったが、 六日になっても登校しないため、担任が家庭訪問した。しかし、幸子容疑者が、「子供 はかぜで寝てい色 . と言ったため、会わずに帰った。また、一学期の欠席は八日あっ
249 28 日 31 日 ◆ 9 月 3 日 4 日 5 日 11 日 16 日 ◆ 10 月 7 日 ◆ 11 月 30 日 29 日 25 日 24 日 19 日 17 日 12 日 8 日 7 日 6 日 5 日 巻末資料 東京 静岡 福井 愛知 東京都の都営住宅で、母親 ( 三四 ) が長男 ( 九 ) = 小四と二男 ( 六 ) = 小 ーを刺し、長男は死亡、二男も重体。 島田市の駐車場に止めてあった乗用車内で、母親 ( 三五 ) と長男 ( 一 ) が排ガス心中。 死亡していた。父親 ( 三九 ) も手首を切っており病院で死亡。 西尾市の農道わきに脱輪した乗用車の中で、三歳の男児が首を絞められ 放火。 ( 七 ) = 小一、保育園児の二男 ( 五 ) が焼死。会社員が自宅に灯油をまき 鯖江市の会社員宅が全焼、会社員の妻 ( 三一 ) と長女 ( 九 ) = 小四、長男 神奈川秦野市で、女性 ( 三七 ) が、実家で姉の長女 ( 二 ) をガラスの置き物 熊本 静岡 大阪 奈良 長野 静岡 愛知 京都 愛知 で殴り、死亡させる。秦野署は殺人容疑で女性を緊急逮捕した。 熊本北署は、一歳六カ月の三男に十分な食事を与えず衰弱死させた父親 ( 四六 ) と母親 ( 三一 ) を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕。 小六の長男を乗用車内で絞殺した母親 ( 四三 ) が浜松中央署に自首。母 親も右手首を刃物で切って自殺を試みた。 十四山村の草むらで、肥料用の袋に乳児の遺体。女の子で、へその緒が ついたまま。蟹江署は死体遺棄容疑で調べている。 京都市の J R 山科駅で、会社員 ( 四〇 ) と長男の保育園児 ( 四 ) が電車 に飛び込み、無理心中。 女児を出産後、名古屋市港区の川に投げ捨てた西尾市の男性 ( 二三 ) と、 内縁の妻 ( 二一 ) を、死体遺棄の疑いで逮捕。 四年前に長男を殺害し遺体を山中に捨てた静岡市の歯科医と、別れた妻 を、静岡県警捜査一課と静岡南署が殺人容疑で逮捕。 塩尻市の民家が全焼し、母親 ( 三九 ) と長男 ( 七 ) = 小一、幼稚園児の長 女 ( 五 ) 、二女 ( 二 ) が死亡。母親が灯油をまき、火をつけたらしい。 奈良市内の実家で、長男 ( 九カ月 ) を窒息死させた母親 ( 三二 ) を奈良 署が殺人容疑で緊急逮捕。 岸和田市で、母親 ( 三六 ) が二女 ( 一一 ) = 小五の首をひもで絞めて殺し、 自分も包丁で自殺。長女 ( 一三 ) もけが。 北海道函館市の駐車場から車が約七〇メートルのがけ下に転落。函館市内の 愛知 大阪 長野 主婦 ( 三四 ) と長女 ( 七 ) = 小一、幼稚園児の長男 ( 四 ) の三人が全身を 強く打って即死。プレーキ痕はなく、自宅から親族にあてた遺書が見つ かっている。この主婦の夫は同市内で自家用車の車内に排ガスを引き込 んで自殺しており、後追いの母子心中とみて調べている。 豊田市で父親 ( 三三 ) からせつかんを受けて病院に運ばれていた長女 ( 二 ) が死亡。豊田署は、父親を傷害致死の疑いで逮捕。 高槻市の林道に駐車中の乗用車で、父親 ( 三五 ) と長男 ( 八 ) 、二男 ( 二 ) が死亡。排ガスによる無理心中。 臼田町で、母親 ( 二三 ) が生後四カ月の長女を押し入れの布団に押し込 み、窒息死。白田署は母親を殺人の疑いで逮捕した。 北海道網走管内端野町の林道で乗用車の中で女性一人と男児二人が死亡。排 ガスによる一酸化炭素中毒死で、同町内の女性 ( 三七 ) と、小二の長男
残念なことに、児童相談所が関与していたにもかかわらす、児童が死亡してしまっ た例が八件あった。群馬県の女児 ( 三歳 ) は、母親の内夫による虐待で硬膜下血腫と 脳挫傷で収容された病院で一週間後に死亡。このケースは、通報によって児童福祉司 が訪問した夜に起こった事件である。埼玉県の二歳の女児は、泣いて寝ないのに腹を 立てた両親が頭部を強く掴んで布団に押しつけた結果、硬膜下出血などで一三日後に 死亡した。児童相談所で入所施設を探している最中の事件だった。大阪府の三カ月の 男児は、一七歳の母親による虐待で双生児の弟が入院しているうちに、硬膜下血腫で 死亡した。香川県の九カ月の女児は、失職中の実父に首を絞められて死亡。七カ月健 診時から、保健婦の通報によって、関係者が協力援助していたにもかかわらず、起き てしまった事件である。同じく香川県の三歳一一カ月の女児は、母親による虐待で頭 を打って死亡。この子は母親が行方不明になったために養護施設に入所していたのだ が、その後、母親と祖父に引き取られていた。大阪市の一歳三カ月の女児は、軽度の 知的障害のある母親によって手荒な扱いを受け、死亡。児童相談所は、この子どもの 早期引き取りを拒否したり、保育所へ情報を提供したりなどの対応をしていたのだが、 事件を防ぐことはできなかった。大阪市の三歳の女児は、胃破裂による急性腹膜炎で 死亡している。二カ月前に保育所の他の保護者から通報があり、児童相談所の職員が つか
186 小児科科長を委員長に、救命救急センター小児科医、同脳外科医、同看護婦、小児 科医三名、精神科医、臨床心理士、小児科病棟看護婦四名、同外来看護婦一一名、総合 相談部保健婦、同ソーシャルワーカー、医事調査課課員の一八名のスタッフで構成さ れている。虐待の問題は、短期間の治療で済むものではない。長期的に関わっていか なければならないので、ソーシャルワーカーや臨床心理士などの役割は大きい、と大 田医師はいう。 子どもへの虐待に関わるようになったのは、ある子どもの死亡事件がキッカケだ。 「再発例でした。前から、虐待だろうと疑ってはいたんですが、親は虐待を否定しま した。その子を治療して、元気になって、退院して、来なくなった。そして次に外来 に来たときには死んでいたんです。電話で外来に来てくださいと連絡したときに、実 は : : : と親が虐待を仄めかすような話を始めていたので、なんとか援助できるのでは ないか、と思っていた矢先でした」 この子の他にも、病院に連れてこられたときには、蚤我の状態が悪くて死にそうな 子どもか続いた 「せつかく治療して元気になっても、子どもへの虐待の問題が解決しなければ、また、 いっ入院してくるか分からない。怪我の後遺症も残る。これは、親の問題にも早期か ほの
118 全を保障するはずの国家にとって、それは存亡の危機だ。だから国家は、母性神話を 死守しようとする 虐待は犯罪とは異なる、と木下弁護士はいう。だからこそ、虐待してしまう母親や 父親はケアされなければならないのだ。 「虐待は、 " 不正義〃の問題ではないんです。″治療モデル〃として捉えるべきなんで す。そのことは、心理療法や精神科の専門家からも学んだし、さまざまな事件からも 教わりました」 と木下弁護士はいう。 こうした虐待する親に対するケアの一方法として生まれ、日本でも少しずつ見られ るようになってきた自助グループの活動がある。 同し痛みを抱えたひとびと さとる 『魂の家族を求めて』 ( 斎藤学・著 / 小学館文庫 ) によれば、「母と子の関係を考える