ハンカチ - みる会図書館


検索対象: 恋人たちの過ごした時間
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1. 恋人たちの過ごした時間

45 第一章 / 春薔薇色の明日 わたしって、なんてバカだったんだろう。 素直になって、タケルに、一本、電話すればよかったんだよ。 そしたら、こんなに苦しまなくてすんだのに。 わたしって心底バカみたい : ばうぜん わたしとタケルは呆然と見つめあう。 「ごめん。タケル、ごめん。わたし」 「なんだよ。そうだったのかよ : : : 」 タケルが、。、 ホケットから取り出したハンカチで、くしやくしや、乱暴にわ たしの顔の涙を拭いた。 「あっ。これ : : : 」 くたくたに洗いこまれた白地に水色のギンガム・チェックのハンカチ。 なんだか見覚えがある。 ハンカチの端には、ヘタクソな刺しゅうで・の文字。 松本紡。わたしの名前だ。 「これ、わたしのじゃない ? なんで、タケルが持ってるの : 中学時代に使ってたハンカチ。

2. 恋人たちの過ごした時間

「紡。覚えてるか ? 」 タケルが、やっと優しい表清になった。 「一緒に『フォレスト・ガンプ』観に行ったろ ? オレ、感動して泣いちゃ って。そしたら、紡、そっと、これ渡してくれてさ」 「優しいとこあるよなーって、すげえ感動してさあ。返しそびれてるうちに いきなり引っ越しが決まって、そのままになって。それから、ずっと、これ はオレのお守り」 「お守り ? 」 「これ持ってたら、また紡に会えるような気がした」 わたしのハンカチ、ずっと大切に持っててくれたんだ。 そう思ったら、ぐっと胸が詰まって、また熱い涙が瞳から溢れだす。 「ばか。泣くなよ」 タケルがそう言うと、ふいに、わたしを抱き寄せた。 「ちょっ。みんなが見てるって」 「そんなのかまってられるかよ ! 」 「ばか・ : ・ : 」 あふ