人物 - みる会図書館


検索対象: 鬱金の暁闇 3
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1. 鬱金の暁闇 3

いから想像して欲しかった : : と思ったサティンは、しかし次の瞬間、そこに居並ぶ めんっ 自分以外の面子を見て、無駄を悟った。 ようき よ、つき そこには妖貴とか妖貴とか、妖貴と人間の間に生まれ、しかも体内に妖鬼とか妖鬼 とか妖鬼の命やらカやらをため込んで、おかげで数十年というもの外見的にまったく 変化を見せない人物だとか、元は人間だったものの、人形づくりが趣味で得意な妖主 に作り替えられて、並の妖貴以上の力を与えられた人形ーすでに、そう呼んでいし ものかどうかわからない存在に変質してしまっていると思うのだがーー , ・・ ) かいなかっ たからだ。 そういう異常な面々と、平気でつきあいを重ねている自分もすでに、傍目には立派 じんがいまきよう な人外魔境であることを、サティンは実に都合よく忘れている。 闇邪羅の思痴はまだまだつづいた。 の「でもさあ、さすがにそこで打ち止めだろうって、思ったんだよ。もちろん、姉ちゃ ひすい はな んから話は聞いてたからさ、翡翠の妖主の力に関しては、最初つからその六人目とか いうやつがさっさと吸収して活用したんだろうなとは思ってたんだけど : はため

2. 鬱金の暁闇 3

声か聞こえた。 誰かを呼ぶ声ーーそう、自分のよく知る人物を、その声は呼んでいた。 『ターラ』 トーンは困惑を覚える。 なぜならその声は、自分に向けてそう呼びかけているように感じられたからだ。 『ターラ』 『違う』 と、トーンはかぶりを振った。 『おれはターラしゃない。おれは : : : 』

3. 鬱金の暁闇 3

少々期待外れだったかしら、とつぶやく女性がいる。 つわもの 「本来あり得ぬ運命を生み出した強者だからと、楽しみにしていたのに : つまらなそうにそうつぶやいて、彼女は小さく息をついた。 はようけんし 「あんなものひとつのために、あんなに気配を弱くして : : : 最強の破妖剣士という話 きよう だったのに評判倒れだったようね。興ざめだこと」 、」ま そうして、彼女は駒とするつもりで目覚めさせた相手に目を向けた。 つややかな真っ直ぐな髪と、左右色違いの瞳を持っその人物は、しかし宿る魂ゆえ にふたつの気配を放っている。 たんねん 「急がせる必要はなかったようで、残念だわ。できれば、もっと丹念に、再生させて たましい

4. 鬱金の暁闇 3

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5. 鬱金の暁闇 3

すぐにも身の程を知らせてやりたいという衝動に襲われた『雛の君』は、だがそれ なだ までに集めた知識と積み上げた学習の成果に目を配ることによって、生じた怒りを宥 めすかした。 感情に走りすぎることが、失策を生み出す最大の原因となった事実をーーその事例 の多さを思い出したからだ。 雛の君は、考えを巡らせる。 短気は禁物だ。 確かにいくら情報を握っていようと、知識を持っていようと、それを活用するに足 る経験というものが、自分に不足しているのは真実なのだから。 だが、よくわからないのは、再生させた駒である人物たちのこの対応の意味だ。 自分の経験不足につけこみ、混乱させることで支配力を弱めようとでもしているの か、それとも : 教師にでもなった気分で、自分にそのあたりのことを自覚させ、よりこの力を高め させてくれるつもりなのか 」ま

6. 鬱金の暁闇 3

はどの力が費やされた。 まったくもって、信じられない。 が、それはまぎれもない事実なのだ。 スラヴィエーラたちは、しつこいまでに、リ 由を知りたがった。 まるで、その行為の裏に、なにかがあるかのように。 なにもないのだと、あれだけはっきりと言い切ったというのに : こお まったく と、思い、顔をあげた彼女は、しかし次の瞬間凍りついた。 信しられない、そこにいるはすのない人物を目にしたせいだった。 黄金の彫像が立っているのかと一瞬思った。 窓から差し込む光を受け、そのひとはそこにたたすんでいた。 「父さ : : : 父上 : ・ 目を瞠り、声を上げた彼女に反応するように、彼は穏やかな顔で振り返った。 乂さまだ : ああ、間違いない、ハ みは ーがアーゼンターラの部屋を訪ねた理

7. 鬱金の暁闇 3

だ。これまでだって、似たようなことはやってきたのだから、よほどの下手でも打た しつぼっか ない限り、尻尾を擱まれることはないだろう。 それに、とリーヴシェランは考えた。 てんいもん ウナスに向かう場合、転移門を使うことになる、と 浮城を除き、世界五ヶ所に設置された転移門は、しかし互いを直接つなぐ機能を持 たない。繋がっているのはあくまで浮城にあるそれであり、緊急時においてもそれは 変わらない。浮城の転移門を中継ぎにしなければ、はかのそれへ跳ぶことはできない のだ。 だが、浮城にある転移門はひとっきりだ。つまり何らかの作業を施すことで、五つ もの『道』あるいは『扉』を開いていることになる。 のあら、いやだわ、面白そうじゃない : 鬱 つい笑いたくなったリーヴシェランは、それをアーヴィヌスに知られないよう我慢 らくいん するのに苦労した。要注意人物との烙印を押された身としては、ここで彼の警戒心を ほレ」こ

8. 鬱金の暁闇 3

174 のラストに目指していた場面までということに。以降、登場人物は増え、世界は変わ あなどがた り、テーマも変わり : : : 全四巻の長編に変身した。雑誌連載侮り難し : : : しかし私は これでも懲りなかった。学習能力なさすぎ、というものだ。 1992 年月 しこんいと 『破妖の剣 4 紫紺の糸 ( 前 ) 』発売 ばくろ 赤男の正体暴露編。いやあ、反響が凄かった : : : 手紙読んでくすくす笑っていた私 けしん は、悪魔の化身かもしれない。 1995 年れ月 『カル・ランシイの女王外伝 1 煉獄』発売。 おきてやぶ ヒロインもヒロインの兄もヒーローも放っての敵役主役の掟破りの外伝に、やはし れんごく すご

9. 鬱金の暁闇 3

「本気で、真剣に修行してたつもりなんだけどなあ : : : まだ、気迫が足りなかったの かなあ」 しようじん 要『さらなる精進』と、心に刻んで、濫花はぐっとこぶしを握りしめた。 がんば 「頑張れ、おれ ! 」 自身を励ますように声を上げ、濫花は目をこらし、意識を澄ませた。 あいまい たなびく煙の軌跡のような、曖昧だがそうとわかる気配を感じる。 「んー、んん ? ちょっと、なんだか違うような気もするけど : : : でも、こっち、だ よな ? 」 首をかしげながら、彼はするすると人目につかぬ経路を選んで、目的地へと足を運 んだ。 それは果たして幸運だったのか、あるいは不運だったのか。 かどべや ・ : 目指す人物の私室・・ー角部屋である 濫花はー本人の心情的には幸いなことに : の前までたどりついた。 が、これは偶然ではない いかなる偶然か、その隣の部屋を与えられた女性の破妖剣士は、このときほかのふ

10. 鬱金の暁闇 3

144 かんき 喚起させるのは得策ではない。 では、あんまり喜々として応じるものまずいわね。 素早くそう計算し、彼女は意図的に、怒りを隠しきれない笑顔なるものを作り、城 長である男を見つめた。 「 : : : それで、一緒に組むのは誰と誰になるのでしよう ? 仕事である以上、我が儘 を言うつもりはありませんけど、せめてひとりぐらいは気心の知れた人物を入れてい ただきたいと思うのですけれど : はたしてアーヴィヌスのロにしたメンバーのなかには、サティンの名もセスランの それも入ってはいなかった。 それもそのはす、ふたりにはすでに別の仕事が与えられているというのだ。 ていねい もちろん、派遣される場所は別々、しかもご丁寧に、どちらも転移門を使わねばな らない遠方ときては、もう笑うしかなかった。 たくら ーヴシェランの小さな頭のなかで、どんな企みが踊っていたのか、知らすにすん だアーヴィヌスは幸いだったと言えるかもしれない。 はけん まま