告げ - みる会図書館


検索対象: 鬱金の暁闇 3
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1. 鬱金の暁闇 3

・ : あな恐ろしや、キャラの暴走。 よ、おし 一度暴走しはじめたキャラは、二度と暴走を止めてはくれない : け止めるべきなのだろうか 1994 年 8 月 記録的猛暑 : : : そう、あの夏を私は忘れない。 1994 年料月 ひかげ 『陽影の舞姫Ⅳ』発売。 完結編。プラス書き下ろし。 変えられない未来を踏まえての過去編というのは、けっこう大変なんだと思い知ら された。けど、書いてる本人としては楽しめた書き下ろしだった。この話でジャイト : これは教訓と受

2. 鬱金の暁闇 3

その声は、『彼女』の知るひとのものではなかった。 その姿は、『彼女』の知るひとのそれとも違った。 それでも間違いようがなかった。 こ たましいかな それは『彼女』が焦がれつづけたひとの魂が奏でた言葉だった。 あかっき 『紅蓮姫 : : : わたしの、暁の姫 : : : 』 せつな 告げられた刹那、 , 彼女ー紅蓮姫は夢中でその腕のなかに飛び込んでいた。 『ラキス ! 』 たけ 0 思いの丈をこめた呼びかけとともに はよ、つと、つ ふじようほばくし 以降、破妖刀『紅蓮姫』は、浮城の捕縛師リメラトーン改めアーゼンターラの腕の ぐれんき

3. 鬱金の暁闇 3

106 を、紅蓮姫はたたえている。 いや、可能性の話ではない。 いまこのときにでも、紅蓮姫は飛び出したがっているのだ。 にとい、つのにー 外にいるのはリー 「やめて : : : やめてちょうだい、紅蓮姫」 ささや 必死に刀身を抱きしめて、アーゼンターラは囁きかけた。 「あの子は違う : : : 違うのよ : : : 」 だから、やめて 必死に思いをこめて告げたのに、紅蓮姫の放っ振動は大きくなるばかりだった。 でも、なせ、どうして : どうして、紅蓮姫はこんなにいうことを聞いてくれない卩 ぶるぶると身を震わせる紅蓮姫 ちよくせつ 不意に、その直截的な望みが胸に伝わってきた。 一言でいうなら、それは食欲。

4. 鬱金の暁闇 3

その場合、彼らが得るものとは ? 巡らせねばならない考えは多い。 「では、この状況でどう動くのが最良だと ? まさか、自分たちを派遣しろなどとは 言わないでしようね ? このようなことになった以上、わたしはあなたたちを手放す 気にはなれなくてよ。わたしが勘違いしているというのなら、それを証明するつもり なら、はかの方法を考えることね」 どうだとばかりに告げた彼女の前で、唯一にして複数である存在は、忍び笑いを洩 らした。 「なにがおかしいの ? 」 だめ 駄目だわ、と雛の君は苦く思った。 これでは、子供つばい負け惜しみにしか聞こえない。 つわもの の この先、数えきれないほどの強者たちと渡り合っていかねばならないというのに、 鬱ここで、こんな相手に見透かされるようでは話にならない。 もっと、落ち着かなければー・そして、最良の手を探さなくては。 お はけん

5. 鬱金の暁闇 3

100 しがせん 彼を、救い出すー芝牙尖と、彼が呼んでいた妖貴から。 彼を : ・・ : 自由にする。 それは正しいことなのだー必死に自分にそう言い聞かせる。 リメラトーンの声を、言葉を思い出すたびに、胸がしめつけられるような痛みを感 しるのだけれど。 『あなたのせいだ、あなたが悪い』 非難する彼の声が、耳を離れない。 『ひどい状態だったんだよ ? 本当に、死ななかったのが不思議なぐらいに なじ つら 責め、詰られるのが辛かった。 けれど、それ以上に辛かったのは : 『でも、芝牙尖が治してくれた : こうやっていま、生きてるのは彼のおかげなんだ。 そう告げるトーンは、本当にそう思っているようにしか見えなくて : : : 真実、自分 を助けてくれた妖貴に心を預けているようにしか見えなくて、どきりとした。 ようき

6. 鬱金の暁闇 3

『ぬくぬくと生きてきて : : : しかも、あたしだけが助かったことが後ろめたくて : だから、助かったのは自分しゃないって、無事に逃げ出せたはすなのはトーンに違い ないって思いこんでつつ ! あたし : : : あたしったら : : : っ ! 』 ひきようもの と、そう叫びかけたとき、少年が : とんでもない卑怯者しゃない ラトーンが首をかしげながら告げてきた。 いってんば 『まったく、ターラは変わらないよね。思い出せって言えばイヤの一点張りだったく あまじゃく せに、思い出さなくていいって言った途端、これだもの。本当に、天の邪鬼なんだか ら』 いやみ 厭味たらたらな口調だったが、その表情には以前の記憶と重なる部分が多くあっ 先程見せた憐れみゆえの許しではない、身内ならではの「仕方ない」としか言いよ のうのない、なんとも微妙な空気があった。 なじ 鬱すっと忘れていた、けれど肌に馴染んだ気配だった。 もう、疑いようはない。

7. 鬱金の暁闇 3

きびす そう告げて、くるりと踵を返したときのことだった。 たましい 背後のー扉の向こうから、魂そのものを絞り上げるかのような、なんとも悲痛な 叫びが聞こえてきたのは。 「逃げろおおつつ ! 」 「え ? 」 田しわす、問い返そうとして : : : それが、濫花の反応を鈍くした。 どすり。 鈍く重い衝撃が、濫花の左胸と肩の中間を襲った。 ぶあっ 分厚いドアをたやすく貫き、そうして自分に突きたったモノ : : : その正体は。 なんだ、これ 痛みと、理由のわからない脱力感に見舞われながら、濫花は自身に突きたてられた のモノを見つめながら、田 5 った。 鬱 これ、なんなんだ : ぼうぜん 見たことも聞いたこともない、真紅に輝く『なにか』を、呆然と彼は見つめてい にぶ

8. 鬱金の暁闇 3

「なら、取り敢えすは大丈夫ね」 と、スラヴィエーラと呼ばれていた女性も、安心したように言っていた。 だったら、自分が出歩いたところで、危険はないはすではないのか。もちろん、三 日前のことがあるから、完全に安心しきるのはまずいかもしれないか、少なくとも赤 いっかく しいじめ大人が念入りに張ってやった、と偉そうに主張した一郭は、大丈夫なはすだ と濫花は考える。 ここで断っておくが、なにも彼は遊びたくて出かけたいわけではないのだ。 気になって仕方ないことがあって : : : 正確には、気になって仕方ないひとがいて、 そのひとに会いたくて、イライラしているのだ。 かば たいじ 自分を庇って、自分を逃がすために、恐ろしい魔性と対峙した少年ーーリメラトー の無事だとは聞いた。 あんど 金 鬱安堵すると同時に、すぐにも会ってお礼を言いたいと告げた濫花に、しかしラエス リールはうなすいてくれなかった。それどころか、度を越した外出禁止令を出されて

9. 鬱金の暁闇 3

さげす むさん ぞうお 怒りと憎悪と蔑みに満ちた空気が霧散し、代わりに優しいとさえ言える柔らかいそ れが空間を満たした。 仕方ないとでも言いたげに、苦笑ましりに少年が告げた。 『そんなにイヤなのなら、 しいよ、思い出さなくても。やり方が間違ってたとは言っ しいよ、そのま ても、あなたが本当のところで忘れたりしなかったって証拠だしね。 まで : : : ただ、 一緒に来てくれさえしたら』 かけられる、優しい声ーなのになぜだろう、つきんと胸の奧に鋭い痛みが走っ 少年の目を見て、それがなぜか、トーンは理解した。 まなざ 自分に向けられる眼差しに、憐憫の色があったのだ。 憐れまれている : : : ? なぜ ? 不思議なことだが、怒りは感じなかった。常であれば、断して許せないと思うに違 いか 6 いと ) い、つのに なせか、目の前の少年に限っては、それを許してしまってい あわ れんびん

10. 鬱金の暁闇 3

足を踏み入れたことのない区画だったが、迷う心配はなかった。これまで感したこ ともないぐらいに意識が澄んでいて、どちらの方角に、求める相手がいるのか、はっ きりと感し取れるからだ。 もしかしたら、危険にさらされたせいで、感覚が鋭くなっているのかもしれない、 と濫花は田 5 った。 修行に限らす、経験が能力を高めるのだと、邪羅から聞いたことがあったからだ。 三日前のあの事件ー自分は逃げることしかできなかったけれど、命の危険を覚え : 結局、ラエスリールたちに助けら たのは事実だ。そうして、無我夢中で頑張った : れただけに終わってはしまったものの。 だが、ほかに理由が考えっかない以上、あの恐ろしい経験が、この状態を招いたと しか思えない やつばり、ものを言うのは真剣味なのかな ? 確かにいくら真面目に修行してたっ て、命懸けの危機感にはかなわないだろうし : はげ . 一所懸命励んだ素振りより、一度死ぬ思いを味わったほうが能力上昇に効果があっ が じゃら まじめ