浮城の捕縛師破性にさ らわれた姉を取り戻また め、破妖剣士をめざした がかなわな可 ? 。た訂藝蓮 姫」奪還のため組織され 「紅蓮姫発奪遺チームの だチームの一員となる。 一員ま捕縛師。「刺青のマ イダード」の異名を持っ リメラトーン ている。 マイダド 紫紺の妖主と白燼 の妖主の間に生ま れ、並外れだ震カ を持つ青年。しば レ少年サハの 姿なをる。 じ響ら を邪羅 ー電第一 あんしゅ ◆闇主 ラスの護り手叱紅の髪 と瞳を持つ美貌の青年。 正体は柘榴の妖まチ禍。 容赦のない性格でラスを ふりまわす。ラスととも に逃亡生活を続けている。
112 「・ : ・ : あれは : : : あなただったの : ・ 呆然と、アーゼンターラはつぶやいた。 自分の声なのに、ずいぶん遠くに聞こえる、とばんやり思った : ぼうぜん ・まぼろし 空間に、幻が映し出される。 かって実際に起こったこと、起こるかもしれなかったこと、起こるはすだったこと ・ : さまざまな幻影が、揺らぐ空間を埋めつくしている。 そのなかのひとつを、熱心に見つめる少年の姿があった。 ごくじようむらさきすいしよう 髪はまばゆい銀、瞳は極上の紫水品ー繊細な顔だちは、少女と見紛うばかり。 リメラトーンだった。 こくえ そんな彼の背後に、黒衣の青年がたたずんでいた。 0 せんさい 0 みまご
狙われた前例をあげられれば、、 しくら平気だと主張したところで聞き入れられるは かじよう もっか ずもなく、また、保護者が過剰なまでの心配性であったため、目下彼の自由な行動範 囲は与えられた部屋とその周辺という、かなり狭い空間に限られていた。 好奇むいつばい、 冒険むもいつばいの少年に、到底我慢できる状態ではなかった。 それでも、三日間は我慢した。 きれい 心配性の綺麗な保護者が、外に出たいと口にするたびに、こちらの胸が痛くなるよ うな顔をする・のが心苦しかったのと、そのそばにくつついている、見た目は大変豪華 なものの、逆らったが最後、なにをされるかわからない、非常に物騒な気配を放っ男 の、無言の圧力をひしひしと感し取ったせいだ。 同し見た目が豪華な男なら、もうひとりの若いほうがいてくれたらよかったのだ か、どういうわけか、あの日以来 : : : というか、あの騒ぎの起こる少し前から、藤色 のの瞳の青年は姿を消しており、いまだに戻ってきた様子はない。 鬱ふたりで協力して、あの最低男からラスを守ろうって言ったくせに : ・ : 邪羅兄ちゃ うそ んの嘘つき : ぶっそう じゃら
ようしゅ ぜんましよう かの城を築き、自らの居城となしているのは全魔性が王と仰ぐ、五人の妖主のうち のひとりー紫紺の妖主なのだから。 そ、つれい その壮麗なる外観を鑑賞しつっため息をつく青年が、ひとり。 そ、つぼう じんがい 白い、ゆるやかな巻き毛と、藤色の双眸を持つ、人外にあってさえ、滅多にお目に びぼう かかれそうにないすさまじいまでの美貌の主である。 魔性の世界にあって、美とはすなわちその身に宿る力を示すもの。これほどの美貌 じんじよう を誇る青年が、尋常ならざる実力の持ち主であることは疑いようがない。 し′」く だが、それも至極当たり前のこと、と言える。 おくつき 彼はこの比類なく美しい城を奧津城と定めた、紫紺の妖主の一人息子なのだから。 はくえん さらに付け加えるならは、その母親は、やはり魔性の王がひとり、白焔の妖主。 かって存在したこともない、妖主同士の間に生まれた稀有なる青年は、しかしその の誕生の事情ゆえに風変わりに育っていた。 けしん 鬱璃岩城を眺めながら、本来なら奇跡の化身と呼ばれてもおかしくない青年ー・邪羅 のんき は、なんとも呑気な感想を口にした。 しこん ふじ あお めった じゃら
「熱心になにを見ているかと思えば : : : 」 青年の唇から、さも可笑しげな声がこばれた。 リメラトーンの視線の先では、彼の姉が映っていた。彼女の正面に、黒髪の女性と 十ほどの子供が、いまにも切り殺されそうな格好で倒れこんでいる。 はんがん その様子を見つめながら、リメラトーンはつい、と半眼を閉した。 「 : : : どうして : : : 」 かす つぶやく声は細く、掠れていた。 「二度と会わせたくなかったのに : そうしてリメラトーンは背後の青年ー芝牙尖を振り返った。 「忘れさせてくれると言ったじゃないか ! 」 なじ 闇 詰る響きもあらわな声に、しかし青年は動しることなく嘯いた。 の「その願いならかなえてやったろうに。ただし記憶の封印が解けるか否かは、流れ次 第だとも言っておいたはすだろう ? そなたの期待を裏切るはどに、そなたの姉が強 情だったということだ。ひとの世には、親の心子知らすという言葉があるらしいが、 うそぶ
120 「ああ、もう信じられねえつつ ! 」 両手で頭を抱えながら、盛大に泣き言を洩らすのは、純白の髪と藤色の瞳の青年で ある。 さいし ふじよう 場所は浮城ーサティン、セスラン、鎖縛、衣於留、彩糸といった面々を前に、彼 はがしがしと髪を掻きむしりながら悔しがっていた。 因みにリーヴシェランの姿はない。 これは青年ー邪羅にとっては幸いなことと言 えた。なにしろ彼にも張らねばならない意地というものがある。その最たる相手が金 みばくし 髪の魅縛師なのだが、この最悪とも呼べる状況において、どこまで可能かは、彼自身 にもわからなかったのだから。 じゃら
「意外な成り行きだな」 へだ 人間たちが存在し、住まう空間からは薄い膜一枚隔てられた特殊な空間で、腕組み こくはっこくど、つ をしてつぶやく黒髪黒瞳の青年の姿があった。 びぼう 人間にあらざる美貌と、その瞳に宿る光 ましよ、つ ようき 魔性のなかの魔性と呼ばれる存在ーー妖貴だった。 「そうか ? 」 のど のその隣で、くつくっと喉を鳴らしながら答える存在があった。 鬱 こちらも黒髪黒瞳の青年だった。 さがね 「てつきりお前の差し金かと思ったが ? 」 自分のなかの整理がつくなり、濫花は足どりも軽く扉に手をかけた。 その先に待っ運命を、当然のことながら、彼は知らない。 まく
解できないのだがー視線を向けてくるときだったからだ。 「あ、あのな、闇主」 「うん ? 」 「頼むから、そういう目で、わたしを見るのはやめてくれないか ? 」 まもて すでに激しくなりつつある動悸を覚えながら、ラエスリールは護り手である青年に 頼みこんだ。 らんか かわい が、濫花の評するところの『いしめ大人』が、そんな可愛い願いを聞いてくれるは すもなかった。 ー ? そういう目って、どんな目だ ? 」 しんく のど 深紅の青年は、実に楽しそうに喉を鳴らしながら、さらに顔を近づけ、ラエスリ のぞ 3 ルの目を覗きこんできた。 しかも、いつの間にかラエス の リールの前に回りこんで、背中に両腕を回したりも 鬱 : している。 「だから、その : : : その目つきだ。なんだか肉食獣みたいで : : : 餌に見なされたよう えさ
グチをこほす相手に選はれた人間は、迷惑以外の何物でもなかった。 「スラヴィ、そういう文句は、おれじゃなくて当人に言えって」 びう うんざり、と顔に書き、眉宇をひそめたのは彼女の昔なじみである浮城の捕縛師 しせい いみよう 刺青のマイダードの異名をとる青年だった。 コ = ロいたいわよっつー ロ ) こいけどっつつー・よりにもよって、だあれもここにい ないしゃないのよっつつー こんな、自分でもわけわかんないグチなんか、あんたぐ らいにしかぶつけようがないじゃないの ! ああ、もうまったく、こんなとこまで腹 立たしいったら ! 」 じゃあ、おれに振るなよ とは、青年捕縛師の内心の声だったわけだが、相手は退く気はなさそうだった。 : ったく、とマイダードは内心ため息をついた。 の スラヴィエーラとは、長いっきあいである。その分、わかることは多く、理解もで 鬱きるし、共感することも多い だからこそ、グチの相手に選ばれてしまうのだろうが : : : 今回に関しては、マイダ ほばくし
117 鬱金の暁闇 3 あるの、それともないの ? よ、つ * 、 間いただしたリメラトーンに、妖貴である青年はあっさりと応じた。 「ない」 一一一 = ロで、きつばりと。 絶望という名の暗黒が、リメラトーンの心にひたひたと寄せてきた。