北極星が天の北極からおよそ一度とすれることは決してない。いいかえれば、北半球から北極 星を観宗丁る人の目線は、決して真北から一度以上は離れないということだ。北極星を探すに は、ます天の北極に近い一一つの星座、北斗七星かカシオペア座を見つける。北斗七星の外側に 位置する一一つの星は、ほばまっすぐに北極星を指すので〃ポインターみと呼ばれている。この ポインターを形成する一一つの星の間隔を、カシオペア座の方へ向かって五倍に延長したところ に北極星が位置しているのである。もし、ポインターが雲に邪魔されても、カシオペア座との 位置関係から北極星を見わけることができる。図肪は、そうした北斗七星、北極星、カシオペ ア座の位置関係を示したものである。 観穴衾の子午線 ( 観測者の位置を通過する南北の線 ) からの北極星の角距離も、カシオペア 座と北斗七星の位置関係によって決めることができる。 図は、北極星の位置の最大誤差と最小誤差をしめしたもの。これら両極端の間の位置にお いては、北極からの北極星の角距離は暗算で割り出す ( 図鉈参照 ) 。 ( オリオン座による方位 ) オリオン座は、七つの星により構成される。三つ集まっているの はオリオンの三つ曇図の南北線上の星は、天の赤道上にある。地球上のどこから見ても、こ の星は東から昇って西へ沈む。 ( 南十による方位 ) 南半球では、北極星は見えない。かわって南十字星が、特有の星座
しくはできるだけ九〇度に近くする。 ③索は O 点の輪の中心に垂れるようにする。 ④点で観測できるように装置を設ける。点から no 索と北極星を観測する。この場合、射 撃同様に点を照門とし、 no 索を照星、北極星を標的とすればいい。 ( 註 ) 三角索を設けるにさいして、点を南、 0 点が北にといったぐあいに、索がはば 南北に走るようにするといい。精密観測のための調整が必要になるが、これは一一一角索の一端を とらえる点を結ぶ索により調整できる。調整後、 no 索が o 環内で片寄っていないように再 占する。観測に正確を期すまで調整を続ける。北極星と北斗七星の位置をノートする。必要 とあらば、図報の要領で修正する。 ⑤経度の読み方。 <o 索 ( を照門として ) の下に頭部を置いて仰向けになる。索 ( 照星 ) と <0 索が折り重なるまで、からだを動かす。星図から間もなく頭上を東西へ通過する星 ( 標的 ) を選ぶ。 ( もし、この位置で通過する星がなけれは、 <æ索と mo 索を透視できて、選んだ星が東か ら西へ通過するまたは o 寄りの位置に移動する ) ⑥星が索を通過したら時間を調べ、観測用紙にデータの記入をする ( 計算の前に、計測時間は に改めなければならない ) 204
■■ 北極星の最大 / 最小誤差の位置 図 36 北齷が子午線の西一度のとき 北齷が子午線の東一度のとき 図 37 オリオン座の七つの星 叫 ua 幡′ 天の赤首 オリオン帯 北齷が子午線上のとき 北齷カ号午線上 - のとき 北 50M
となる。この南十字星の長軸が、北極星を指す。この真十字星と、近くにあって一回り大きく、 % 間隔が広くて輝きの劣る偽十字星を混同してはならない。真十字星の一一つの星は、天体でもっ とも輝きの明るい星に数えられている。その一一つの星は、それぞれ南と東側の軸の上にある。 北と西側の軸の上にある星座は、他の一一つほど目立たないが明るい。 北極の上の北極星に匹敵するはど目立っ星は、南極の上にはない。もっとも、そのような星 があったとしても、該当する方位は星の見えない地域になる。同地点は空の他の部分に比べて あまりにも暗く、銀河の暗黒部と呼ばれているほどだ。 図は真十字星と、その西にある偽十字星を一小している。現実感を出すために同図を頭上に かかげて、真十字星の東にある一一つの非常に明るい星を見る。これらの星と真十字星が、南極 の真上にある暗黒部へ導いてくれる。 ます、真十字星の長軸に沿って南へ延びる線を想像する。次に、真十字星の東側にある一一つ の星を結ぶ。この線を直角線で一一分する。その線と十字星の延長線が交差する点が、南極の真 上ということになるのだ。 ( コンパス・チェック ) 太陽や星から読み取った方位は、直接またはコンパスに照合して利 用できる。コンパスに照合するときは、照合天体 ( 太陽または北極星 ) の磁気方位を読む。こ の磁気方位と天体の真方位の差が、観測位置における磁気変差である。この変差を、地図の変
⑦緯度の読み方。経度データ ( 目標の星と ) を記入し終わったところで、 < 点にもどっ て緯度の観測をする。 << 点から索を通して北極星に照準を定め、 no 索上のスライド式マー カーを移動し、同マーカーの真上に北極星を見るように据える。 ⑧点から CQO 索のマーカーの上に細い糸を渡す ( この作未は、マーカーが固定してすれなけ れば翌日にしてもいい ) 。この細い糸は、。 ひんと張っていなければならないが、索をたるま せてはならない。この段階で、邪魔になるマーカーは下げてもいし ⑨点で索沿いに印刷した分度器ん答わせる。分度器上の索により角度を読み、観測 用紙にデータを記入する。 ⑩観測データさえ記入すれは、計算はいつでもできる。ただし、繰り返し換算をすること。こ の方法で得た 定位置は、観測が慎重でが正確ならば、誤差は約一〇マイル ( 一 以内に収まるものである。 ( 註・この釣り糸六分儀の測定法は、キャンピングする機会があるときに、ぜひ実験してみる ことをすすめる。最初は非常に面倒だが、この即席 , ハ分儀を組み立てることによって、しらす しらずのうちに〃航法〃の原理を理解するようになる。と同時に、天文学についての興味もわ いて、向学心を刺激してくれる。そればかりか、こうした手探りの方法で自分の位置を確かめ たとき、不思議と自分の存在感も高まるといった貴重な体験も味わえるだろう。 205
沼地やぬかるみは避ける。もし、どうしても通過するときは木の根一兀や草の茂みを足場にす る。滑りそっなところは回避する。やわらかい泥沼は、腹這いになって渡る。この種の地形で は、露出防止服が役に立つ。救命筏があれば、曲りくねった水路をたどって突破できるかもし れない。 夜間にコンパスなしで移動すると、方角の維持に髑まされる。方位決定は星にたよるのが最 善の方法で、最適の星は北極星だ。北極に位置するこの星は、常に信頼できる方位標識となる。 その他の星を利用するときは、夜の星は東から西へ移動するので、その分だけ修正しなければ ならないことを覚えておこう。 踏破した距離を見積る必要に迫られることもあるが、訓練されていない者にとってその推計 はむすかしい。距離を見積るときは、控え目にすることが肝心。原則として平均的地形の場合、 前進速度は一時間当り一・五マイル ( 二・四見当だ。歩行ペースと地形によりこの原則は 変化するので、見積りに当たってそれ相応に調整すればいい。 ( 川下り ) できるところでは流れを筏で下るほうが体力を消耗せす、早くて、食糧を長持ちさ せる。筏の旅は通常ゆっくりとしているが、急いではいけない。 救〈匙伐は内陸の湖水を渡ったり、移動するのに利用できる。筏を使うべきかどうかは、携行 する装備の重量と水路までの近さによって決まる。帆をつけると、逆にコースを維持するのに苦 214
辺に沿って北極星に狙いをつけると、糸がプロッターの目盛りを指す。そこで読み取った角度 を九〇度から引くと、北極星の角高度となる。この読み取り値を、修正表にしたがって修正を する。 これらの作図には、垂直線とカシオペア及び北斗七星を結ぶ線を、それぞれ〇、四五、九〇 度で描いたものとなる。中間の位置は、角度を推測して既存の修正表により修正する。この修 正値が大きくなるにつれて、変化のペースが落ちるため、位置推定の誤差はこの段階では影響 が少ない。 ( 計算尺の分度器用法 ) 飛行で使用されている携帯計算尺は、航法用のウィームス・プ ロッターの代用となる。ただ、 狙いを定めるための直線的な縁のあるものが必要なほか、ほと んどの場合に読み取り角度を九〇度から差し引く必要がある。 ( 釣り糸利用六分儀による位置測定 ) 古くから位置測定に、遙かなる天体が頭上を通過する瞬 間を測る方法が使われてきた。次いで天体の子午線通過時測定へと方法は変った。 こうして、さまざまな天体が地球上の一点の上にある時間が確認され、何世紀もの間にわた って星の位置を記載した暦書が印刷されてきたのである。 サバイバル状況下でも、子午線通過を測定する簡単なシステムを設けることができる。この システムに必要な道具は左記の通り。 202
《′っ 0 4 ′、 ) 物 0 っしつ′」 亠亠′ 0 ′、 ) 4 00 っ ( ? 、つ 0 こ 0 8 0 ・ 0 へ、 ) っ 0 4 《、》っこ 0 れ、 ) 0 0 十一へ 0 4 1 ー 8 0 ・ 0 っ・」 4 1 ー 0 材 つ、つ ( つ」 正午に太陽は南から接し、影は北を指すことになる。南 緯一一三・四度の南では、正午に太陽は北から接して、影 は南を指すといったぐあいだ。熱帯では正午の太陽は、 日付と位置しだいで北あるいは南となる。 ( 正午の太陽の高度による緯度測定 ) どの一日をとっ ても、正午に太陽が真上または天項を通過する地球上の 緯度は一つしかない。この特定緯度の北側すべての緯度 で太陽は天項の南を通過し、南側では北を通過する。こ の場合、緯度が一度変わるごとに、天項の角距離も一度 変化する。 出調整は、年間を通して毎日の、正午に太陽が天項にあ 時る緯度を示した表による。 陽 ( 北極星による緯度測定 ) 北緯一〇度より北の北半球 均では、水平線上の北極星の角高度を測定することにより 緯度がわかる。細い糸をプロッター ( 分度器 ) の霙の 図穴へ結びつけ、糸の下に重りをつける。プロッターの底 201
共との足 日没から北を求める場合も同し要領だが、 この場合の太陽の位置は北からの真方位では なく、相対的方位になっている。太陽は西に 沈むので、北は太陽に向か「て右になるわけ 座で、右に一二〇度が北となるわけだ。 ペ図には毎日の方位や緯度のすべては記載 シされていない。もし方位一度以内の正確さを と期するなら、図表の数値を改ざんしなければ マならない。しかし、実用性からいえば、日付 と緯度の近似値から割り出した方位で十分コ オースを維持できる。たとえば四月一三日に北 す緯三一一度の地点における日の出の方位は七九 に度一一二分だが、図表の四月一一日北緯一一一〇度 醒を見ると日の出の方位は八一度で、野外活動 ゴには支障のない僅差である。 ( 北極星による方位 ) 北半球では一つの星、 193
リスやマ 1 モットは、巣穴との中間に立っていると、そばを駈け抜けるので棒でたたくか、石 を投げつける。ワナにかけたり、銃撃することもできる。 ( 海氷ゲーム ) アイス・ハンティングの秘訣は、十分な偵察と根気よいしのび寄りにつきる。 海獣類に接近するのは困難だ。海獣を撃つか刺殺するには、両腕と両足をからだに引きつけて ゆっくりと匍匐前進する。それも相手の頭部を見守って、眠っている様子の間に動く。白いカ モフラージュの衣裳があると助かる。風下に位置し、急な動きをしないよう気をつける。アザ ラシの場合、いまにも逃げ出そうとする瞬間をとらえて、立ちあがって叫ぶと、恐れをなして そのまましっとしている。そこを狙って撃つか、突くかして仕留める。ここで忘れてならない ハンターで ことは、アザラシのいるところには北極熊がいる可能性もあることだ。アザラシ・ さえ、しのび寄る北極熊に気づかす殺された例もある。 セイウチとアザラシは、大浮水の上にいる。アサラシは好奇心から、射程内に近づくのを許 すことがある。これに対しセイウチは怠惰だが、近づくと危険だ。ふつうはポートで接近する が、アサラシもセイウチにしても、水上で仕留めておかないと、あとの回収が困難になる。 北極熊は、滅多に陸地にはあがってこない。が、食糧庫や肉の匂いを嗅ぎつけると、上陸し てくる。熊は疲れをしらない、目がよくて抜群の嗅覚をもった賢明なハンターである。その能・ を相手にするときは、十分に注意しなけれはならない。