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検索対象: 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3
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1. 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3

びぼう あお なルミは、あえかな美貌もあいまって、見るからにか弱そうである。碧の三角にいる者 あらしほんろう つら は、皆、海をよく知っている。嵐に翻弄される船で、ルミがどれだけ辛い思いをして航海 くもん をし、碧の三角に到着したのかを想像し、ツェペシは苦悶の表情を浮かべる。 あいさつうかカ 「お呼びいただけましたなら、わたくしどものほうからご挨拶に伺いますものを : ・ まれ 高位の貴族は一般の者には姿を見せることなど稀で、自分からわざわざ、店に足を運ん でくるなどということは、ほとんどない。宝飾品を求められたのならば、店はその希望に そろ さん 見合う商品を揃えて、貴族のもとに馳せ参じるのが普通なのだ。貴族家の者が直接に関わ るときは、宝飾品を仕入れるときも同様で、指定された場所へ商人のほうから商品を受け 「ありがとう。しかしそれでは、わたしどもの宝石がどのようにして人の手に渡っていく : ああ、 ものなのか、見ることはできません。迷惑を承知で押しかけてしまいました。 裏から入るべきでしたね。すみません」 まっげ 客ではなく、関係者であったのだから。思慮が浅かったと、長い睫毛を動かしてそっと 視線を落とし、頭を下げるルミに、ツェペシはおろおろする。 めのう ばっ 「美を愛でる神、瑪瑙のターレスの罰を受けてしまいます : ・ どうぞお顔をお上げに なってくださいませ : 一生のうち、もう二度と足を運ぶことなどないかもしれない貴人に、裏から入れなどと 力。カ

2. 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3

104 第五章人気 朝のジェイは、目を開けてから三時間ぐらいは、ばーっとしている。普段に輪をかけて ぶあいそう 無愛想で、何もしない。しかも、頭のなかが半分寝ている状態のときに機嫌を損ねると、 はもの ところかまわず左手の刃物を振り回すので、とても危険だ。ジェイを起こすのには手順が あって、部屋に光を入れ、肉桂の香りのする目覚め用の煙草に火をつけ、匂いを嗅がせて ぶっそう から声をかける。不用意に揺り起こすと、、機嫌極まりないジェイに切り刻まれる。物騒 だが寝惚けているので、よほど運動神経が、くないと怪我をすることはないが、知らない きも で近づくと、朝つばらから肝を冷やすことになるだろう。 じじよ ジェイが朝食の段取りをつけてきてくれたので、朝はゆっくりできる。侍女がワゴンで 運んできてくれた朝食をリンゼが受け取り、中に運んで、気兼ねなしのいつもどおりの朝 こぼ 「ああ、あまりたくさん入れないように。零れるから」 ひか ルミに注意され、リンゼは杯に注いでいた水の量を控える。 につけい きげんそこ にお

3. 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3

こ・は ひりゅう すばらしく躾がいし 。クロスにアプリコットの汁一滴零さない小さな飛竜を見つめ、ロ ラントスは感心する。 飛竜を所有していることは、騎士としての格のひとっとして考えられている。ロラント スも飛竜を手に入れたくて、三年まえからこれまで何度か飛竜の里に足を運んでいるが、 自分としつくりくる飛竜になかなか出会えず、いまだに飛竜を手に入れてはいない。成獣 であっても、捕らえることが困難な飛竜だ。飛竜の里の者であっても、こんな赤ん坊の飛 竜を連れている者などいない。群れの仲間がいるはずなのに、どうしてここにいるもの か、まったく見当もっかない。 「馴れているのではありませんよ。この子はわたしの大切な友だちです。いつもはもっと ゃんちやで暴れん坊なのですけれどね、素敵なお茶にお招きいただいた今日は、わたしの 顔を立ててくれるようです」 いったいこの世の誰が、聖獣である飛竜を飼うことなどできるだろう。うっとりとする ような笑顔でやんわりとルミに言われ、ロラントスは赤くなる。 白「あ、はい、そうですね : 海浅はかな一一一一口葉を口にして、印象を悪くしただろうかと、ロラントスはルミの顔色を窺っ ほほえ こゞ、ルミは気分を害した様子もなく、につこりとロラントスに微笑みかける。 「ロラン殿は、どうしてバルクスへ ? しつけ うかが

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うに、うっとりするようないい匂いもしない。例えるならばそれは、駄菓子と高級果実の ) ヾ ? 」 0 違し 「畜生、飲むぞっー 「おうつー 「僕も飲みますっー 「よおし飲めつー 一番若いスワンは、あまり酒が好きではなくて、普段からほとんど酒を口にしないが、 なんだか今日は飲まずにいられない気分だ。まだ真っ昼間で、存分に日は高かったが、船 やけざけ ビールとうきはい あお を降りた船員たちは、自棄酒のように麦酒の陶器杯を呷った。 「ジェイ先生って、料理が巧いんだ ? 「巧いなんてもんじゃねえよ : ありや芸術だ ! 芸術 ! どんどん飲んでくれと陶器杯に注ぎ入れられたウイスキ 1 を、ア 1 ウインは一気に流し こむ。声をかけてきたのは、まったく知らない男だったが、この男もどこかの船の船員 だ。船に乗っている者同士、雰囲気でわかる。悪い奴じゃない。 ひま 「へ 1 え、で、ジェイ先生は暇なときには何やってるんだい ? 「ああ ? たいてい、新聞読んでるよなあ ? 煙草吸いながら : : : ! 」 にお

5. 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3

133 蒼海の白鷹 りと横になっていたリンゼは、熱を測るジェイに軽く耳の下から顎のあたりの頬に触れら あお れて、蒼い顔でうっすら目をあける。 「 : : : 気持ち悪いです : ・ 熱はない。燃やすものがないから、体温が下がっているぐらいだ。 「胃に何も入れない状態だと、吐き気もおさまらない , 食べたくないのはわかるが、そのままではよくない。 「リンゼ、スープだけでも、飲んでみよう。ね ? 美味しいから」 入ってきたルミは、子供をあやすように優しく声をかけながら、寝台で横になっている リンゼの頭を撫でる。ジェイの料理が美味しいのは、リンゼにもよくわかっている。わ おうとかん かっているけれど、目の前がぐるぐるで嘔吐感がやまないのでは、食欲も減退する。 「食べたいものはあるか ? かんまんまばた 少しでも元気を出させるには、それが一番だ。ジェイに尋ねられ、リンゼは緩慢な瞬き をしながら考える。 したく くだものかご 居間に支度しておいてくれる果物籠のなかに、ときどき四、五個入っている。言われて 思い出すと、キーウイフルーツは必ずリンゼが全部食べていた。 消え入りそうな声で言ったリンゼを、ジェイは仏厠配で見つめる。 ほお

6. 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3

と思っていたスクルードは、少しがっかりする。 「申し訳ありません : 「ああ、お前が悪いわけではないよ。責めるつもりはなかったのだ」 軽率なことを口にしてしまったスクル 1 ドは、気にしないようにと笑った。 「先にいらした方がいたのだからね」 爽やかに言ったスクルードの言葉に、後から来たロラントスに横槍を入れられて、 ししやくけ 部屋をとられた従者は、ずきりと胸が痛んだ。しかし子爵家の次期子爵と主人とのあいだ かしこ つぐ にいさかいの種を播くわプこま ) ゝ 。冫冫し力ないので、賢い従者はそのことに関して口を噤ん 「ほかにどなたがいらしているか ? 」 「ナコリー伯爵家のフェイズ様と、ベルタ 1 ク子爵家のアリオス様をお見かけいたしまし はたち 二人とも二十歳を少し過ぎた年齢の、沿岸地域に領地がある、スクル 1 ドと同年代の青 年貴族だ。三人でゲ 1 ムをすることもある。 「昼食の都合を尋ねておいてくれないか」 十一時のお茶の時間に誘うには急だが、昼食ならまだ余裕がある。顔見知りと話をしな 葺がらのほうが、食事は楽しい さわ よこやり

7. 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3

169 蒼海の白鷹 ほまえ いた青年が、それを買ってしまっただろう。紳士はどうしようかなと微笑みながら、ルミ に金細工のペンも買っていいかと尋ねた。ルミが欲しいと言ったので、それはその商品価 さつかく 値以上の、世界に二つとない、とても素敵なものに感じられたのだ。まったくの錯覚なの びれい だが、それを所有すると、ルミのように美麗になれるような気がする。売り物なので、も かいだく ちろんルミは微笑んで快諾する。予定よりも高い買い物になったが、本当にいゝ しものを手 に入れたという充実感で、紳士はとても満足した様子をみせた。 「ーー恐れ入りますが、わたしにも、指輪を見立てていただけますでしようか ? 近々、 だんしやくけ むか 男爵家の姫を婚約者として迎えるのです」 かつぶく すす 恰幅のいい紳士に首飾りを勧めていたルミの様子を、うっとりと見つめていた青年は、 近づいて軍人の礼をしてルミに言った。王立海軍の船も停泊していた。青年は王立海軍の 将校なのだろう。面識のない侯爵家の子息に対して、本来ならこのようなことを頼めるも のではないのだが、ここは宝飾品店で、ルミはそれを製造している家の者だ。フォルティ ネン家の子息に直接見立ててもらったものならば、箔がつく。 「石は何をお望みですか ? 冾幅のいい紳士に一礼し、ルミはにつこりと青年将校に微笑みかける。もちろん、お得 意様を逃がすはずはない。

8. 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3

「いや、朝、姿を見なかったから、どうしてるのかなあと思ってさ」 船酔いでもしたのだろうかと、心配してみせるようにアーウインは一一 = ロう。 昨夜美味しいシチューにありついた船員たちは、朝食もひょっとしてと、ジェイが調理 のぞ ちゅうぼう していることを大いに期待していたのだ。先を争うように覗きにいって、厨房にジェイ の姿がなく、がっかりである。あれだけ美味しいものを食べさせておいて、一度きりとい ごうもん うのも、拷問に等しい嫌がらせだ。ちょっと深読みをすると、ジェイはかなりの意地悪と いうことになるだろう。昨夜のシチューを嬉々としてお替わりをしにいった時点で、ア 1 ウインたちはジェイに完敗している。長い航海中、美味しいものが食べられるなら、何回 えら 降参してもかまわない。気取ってて偉そうで乱暴で、気に食わなくても、そんな些細なこ しと とは大目に見る。医師としてきちんと資格をとったミゼルの使徒だし、全員一致で、文句 なしに『先生』である。ジェイがどんな性格で、何を考えているのかは、美味しいものを さぐ 食べさせてもらいたい船員たちとしては、大いに気になる。探りを入れたくもなるだろ 鷹 白 「ジェイは、朝ってあんまり得意じゃないんですよ。ジェイの作ってくれるご飯は美味し の 蒼いから、三食食べられたらいいなっていつも思うんですけど」 「へーえ、そうなんだ : ・ そういう生活習慣なのかと、アーウインは納得する。朝が苦手では、仕方ない。

9. 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3

さっきの連中がどんな誤解をして、てて立ち去ったのかは、容易に想像がつく。溜め息 くぎさ をついたゼルアドスは、念のためジェイに釘を刺しておく。 さぐ うかっ 「俺に関して、誰に探りを入れられても、迂闊な返事はするな。つまらんことを喋ると、 お前を連れごと海に捨てる。わかったな」 「ああ」 かっこう 医者には守秘義務がある。当然のことだとジェイは頷き、いつまでもこんな格好をして ボタン いることもないなと、シャツを着る。シャツの釦を留め、織の留め具に手をかけたゼルア ドスは、静かに口を開く。 「俺は『入れ物』だ」 そで けげん シャツに袖を通したジェイは、怪訝な顔をしてゼルアドスを見る。 「『人魚の真珠』を知っているか ? 」 すいしようりゅう 問われてジェイは頷く。水晶竜と同じように、人魚についても聖書に話が載ってい 鷹 かしこ 白 る。人魚は海の精霊で、人魚の真珠は、銅の時代に海の神ゼルギアヌスが心優しく賢い漁 の 海師に贈った、海の聖なる宝である。清い心の持ち主がこれを所有すると、海は豊かな恵み を与えてくれるらしい つめまっ しん 「お前の町で水晶竜の爪を奉っていたように、俺の家では、海の守護神ゼルギアヌスを信 うなず よろ、 しゃべ の い

10. 蒼海の白鷹 プラパ・ゼータ ミゼルの使徒 3

335 蒼海の白鷹 快の オしし ) でのれ ト 、周た晴ゼたか 畜的はカ いき海 ル 棒 倒り コ生はゼリ っ 進に カ ) っ いあアやろ 年たん何 し 冫ま ルオ の ド ー殺ア う大 ま り ス 太しゝ 0 や てカ 、ス ト 上 行ら も リ に と し ド に 倒オも何海打しな の 船何くく騒豸 でス 横が賊てたた鉄 ス の船 あ にが鯨じ々 し とらし ト倒ど団れあ球 る船団 乗 て っ 海いい も の し っ と てるをく ? 豚 : も 、吹者鎖 て 、四にな 欲 取 敵隻苫なっ 数 つはで い をの てに飛唸要繋 て囲 り る 見を のの い 頼び 数船 が て咸 そ り いま し ) ノ【ン、 う 、をオ だ 眉じ は るむ るれ 減 。なのカ巻あ棒 のた を 勢かリ き げを らそ でゼ ん 顰毟診 いはオ添て振 な な め察 え襲る 船ア も る室 いかでわ ス ト を ド か へ し ) の 脱激ら海連かて 窓 ス を の 出しな賊れか 攻 の 目 を い団てる近 撃 船 す く 開 に る 揺がで船要鉄 つ、 す はで け 、は縁球く 、は よれ る た う動海 、を に者 砲弩 船 の いは七越打を を白 医 に は 、て 琉 んた薙 イ吏ー 丘 ま の いれ近てれき い海 な ち る た て と ヤ ら い 人に う ま く な く の にはて数落た っ 初 リ 乗 、の下あ剣 る て め イ ゼ船違するを り 不呈しゝ て は 移 いる者振 だ ル は 。は アノ 恐か 船 り つ の ろあ少振上 て ド の げ っ数り 真 く ス し - のリ た精回て く るの の船揺 。鋭さ襲 を