王都 - みる会図書館


検索対象: 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6
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1. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

コンスタンスは自分の意志で、レイ まったく影響を与えていないことに注意を促したい。 けつか ) どくきず ムたちを毒で傷つけないよう、結で身を包んでいるのだ。敵意をもっているのなら、コ ンスタンスはただ風上に立つだけでいい。 左腕だけ解放されたレイムは、目を閉じて浅い呼吸をする。 むざん よろ ) いばらとげ・ 織で守られなかった部分、茨の刺に切り裂かれ、爆ぜるように無惨に口を開けた傷口 まゆ に、さすがのコンスタンスも眉をひそめた。 「頼む・ : あいがん コンスタンスの剣のほうが、早く、確実にレイムを楽にできると判断し、キ 1 ツは哀願 する目でコンスタンスを見た。 くろまどうし サミルは黒魔道士ではない。 サミルは王都の魔道宮で、魔道師に仕えていた。闇と盟約を交わし、黒魔道に手を染め 獣た者は、神聖なる魔道結界に守られた王都に通常、入れない。王都のなかでも最も神聖な 夢場所である『王家の庭』に入ることができたときのバリル・キハノは、時の宝と呼応す る闇を所持していたという、例外中の例外だ「た。いかに強大な術者であ「ても、王都 の獄舎に幽閉されていたときの黒魔道師バリル・キハノは、魔道を蜥じる印を与えられた Ⅲうえに、腰から下を石化されていた。 たの つか うなが やみ

2. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

272 まどうけつか、 ラサ・シェーンは王都と同じように、神聖なる魔道結をもって、街が形成されてい る。そこならば王都にいるのと同様に、神鳥ナーキッサスを宿してはいるが、不思議のカ を使えないメイビクを、安全に暮らさせることができる。女王小領を譲り受けるにも、 とう・と こうしやくけ カルバイン公爵家の公子という、貴い身分のレイムなら、まったく問題ない。 保護が必要だろうメイビク姫のことを、どうしようかと考えていた女王は、キーツの言 葉はまことに適切であると判断した。 「よろしいでしよう」 こころよく、女王はレイムとメイビク姫に、小領国ラサ・シェーンを譲ることを約束し したくととの りきゅう 王都にあるミザーレイ将軍家の離宮に、メイビク姫は落ち着き、支度が調いしだい、聖 魔道士のレイムともども、ラサ・シェーンに移ることになった。 女王たちと退出したマリエは、捕まえて話をしようと出口で待ち構えていたのだが、 キーツは女王謁見室の窓から脱走を企て、まんまと徹方をくらませた。ラサ・シ = ーンに 行くまで、レイムの離宮にちょこちょこと出入りしていたようだが、結局キーツは捕まら なかった。 ごうに あまりにすばしこいキーツに業を煮やし、マリエはルドウィックに事情を話して、見つ

3. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

246 「心、ですか ? 」 「考えてた以上に、嫌な思いをさせたのだとしたら、ただ金色の公子が現れただけじゃ駄 かたく 目ってことだ。 : サミルが割りこんだせいで一回失敗してるから、頑なになってるかも しれないし。王都といっても、あのおさんには、馴染みのあまりない不安な土地だし な。わけもわかんないまま右から左に運ばれて、楽しいはずもない」 「はい・ うなず 確かに、そうかもしれないとレイムは頷いた。 氷に蜥じられたまま王都に運ばれたメイビク姫のことは、魔道士によってもう、父であ るミザ 1 レイ将軍に伝えられたはずだが、声が出なくなってからのメイビク姫の扱いを考 えると、家人の誰かがすぐに駆けつけてくれるようには思えなかった。 「今、どうなってる ? とびら おうきゅう 「 : : : 王宮のお部屋を一つ借りて、そこに。今晩は、ルドウィックさんが扉の前に立っ てくれてます」 「ふうん」 キーツはにつと笑って、足を振り、勢いをつけて椅子から立ちあがる。 「ちょうどいいや。行こう」 「メイビク姫のところにですか ? 今から許可をいただくのは : : : 」

4. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

第十四章心事 とど くろせいれい サミルが消え、黒精霊はそこに留まっている理由をなくして、帰っていった。 メイビク姫を蜥じた氷は、レイムがどんな魔道を用いても、妖精が考えつくかぎりの方 法を試みても、まったく変化を見せなかった。かなりの時間を費やして、レイムはここで あきら メイビク姫を氷から自由にすることを諦めた。このまま、王都まで連れて、魔道師の力に るしかない。 破壊してしまった山を魔道で修復し、レイムは氷に封じられたメイビク姫を連れて、 キーツたちとともに、王都の魔道宮に移動した。 ともな きかん 獣メイビク姫を伴っての聖魔道士の帰還の知らせは、すぐさま報告され、女王を含めての えつけん 魔道師との謁見が許可された。 年しばらくゆっくりと別室で、夕食をとりながら待たされてから、レイムとルドウィック おうきゅう は、王宮の女王謁見室に通された。 きゅうてい によかんちょう 謁見室では宮廷白魔道士であり、女官長のマリエが先に入室していて、レイムたちを こころ

5. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

けんじゃとう 茫然自失という状態で、ただ王都に戻らなければと思い、逃げるように賢者の塔を後に まどう した自分が、とほうもない魔道を使ったことを、いまさらながらに知り、レイムは赤面す 「おそらくお前は、まだまだ自覚のない、甚大なる力を、秘めているのだろう」 しの その気になれば、きっと現魔道師エル・コレンテイや、先達の魔道師をも凌ぐ、強大な 魔道師になれるはずだと、レイムの可能性を評する魔道教官に、キーツは小さく鼻を鳴ら 「魔道なんて、なくてもいい時代にこしたことはない。それが大きな力なら、なおさらの ことだ。違うかい ? ・」 奇蹣の力など、本当に平穏で豊かな世界には、不必要なものだと、キーツは辛辣に言っ てのけた。 げんしゆく 王都のなかでも、もっとも優秀な魔道士のみが出入りを許されている、厳粛で神聖な る魔道宮で、恐れを知らぬ発言をしたキーツに、ルドウィックは蒼くなる。 とびいろひとみ 薄い鳶色の瞳で、まっすぐに見つめるキーツに、魔道教官は振り返り、微かに笑った。 「 : : : まことに、そうであるな」 たんれん より大きな力を求めようとすることは、自己鍛練というよりも、浅ましい欲望に等し 。聖魔道士、レイムのもっすべての力が解放されなければならない、そんな必要性など ぼうぜん じんたい せんたっ あお かす

6. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

みめうるわ ルドウィックと肩を並べて歩きながら、レイムは一度も口をきかなかった。見目麗し もろ するど せんさいガラスざいく 凛とはしているが、鋭くてもどこか脆い、繊細な硝子細工のような危うさを感じ、ル きづか ドウィックは黙ってレイムを気遣うだけで、何をすることもできなかった。 まどうきゅう 王都の大門から王宮領に入ったレイムは、魔道宮に向かうため、礼を述べてルドウ ィックと別れた。 まっすぐ魔道宮に歩いていくレイムの背中を見送ってから、ルドウィックは護衛の任を このえ 終えたことを報告しに、女王近衛隊長であるバルドザックのところに向かった。 ( これで、本当によかったのだろうか : : : ) 四人もの高級魔道士を従えた公子に、琥瑯メイビクは連れられていった。なりゆきか しりぞ ら判断して、王都の魔道師が、聖魔道士であるレイムの行動を規制して、退けたのだろう なっとく が、そのやり方に、どうにも納得できないものが残る。 どうほうぎせい あの、穏やかで、礼儀正しいレイムに対して、魔道士が同胞に犠牲がでるような、あん な乱暴な方法をとる必要があったのだろうか。しかし、どんなに疑問をもとうと、釈然と しなくても、ルドウィックは魔道士にをおく者ではない。意見を述べる資格はない。 こうしやくけ びれい 聖魔道士であり、カルバイン公爵家の公子である、美麗なる青年と行動をともにする ことができたことじたい、得い経験であったのだと自らに言い聞かせ、ルドウィックは 王宮へと歩いた。 りん おだ

7. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

セレンジェビーノ公子とともに去っていった ひめばうぜん メイビク姫を茫然と見送ったレイムは、任務 むね 完了の旨を伝えるため、王都へと戻った。 まどうし ところが、報告を聞いた女王や魔道師らは、 まゆ 不可解な出まが起こったと眉をひそめる セレンジェビーノ家は、千年もの昔、戦乱に よって滅亡した一族てあったのだ。 きようがく 驚愕の事実を知らされたレイムは、仲間と けんじゃとう 再び賢者の塔を訪れるが : ロマンティック・ファンタジー最終幕 0

8. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

セレンジェビーノ公子とともに去っていった ひめばうぜん メイビク姫を茫然と見送ったレイムは、任務 むね 完了の旨を伝えるため、王都へと戻った。 まどうし ところが、報告を聞いた女王や魔道師らは、 まゆ 不可解な出まが起こったと眉をひそめる セレンジェビーノ家は、千年もの昔、戦乱に よって滅亡した一族てあったのだ。 きようがく 驚愕の事実を知らされたレイムは、仲間と けんじゃとう 再び賢者の塔を訪れるが : ロマンティック・ファンタジー最終幕 0

9. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

・キーツ ・コンスタンス きんじゅ 旅芸人を装う、フォーナ 禁呪に手を染めた最後の しそく こうしやく ム侯爵第一一子息。妖精のカ女魔道士。愛するキ八ノの で飛ぶ能力を与えられる。 ( ために琥珀姫を狙うが : ・ ・ライラ けいやく レイムと契約を交わし、 キーツらに力の加護を与え た、きまぐれな花の妖精。 ・クシュファ ・ルドウィック ・ナアス・トルティーン まどうおう レイムの旅に同行する実魔道王の名で知られる正世界の危機を憂える黒精 にく 直な宮廷兵士。妖精の加護体不明の少年。実は、千年も 霊。レイムを憎んでいたが、 で、感度のいい耳を授かる。昔に滅亡した一族の公子。 その優しさに触れ和解する。 ・ヤスミナ 千年もの昔から賢者の塔 に住んでいる老女。メイビ ク同様に誰かを待っている。 ・サミル 王都から派遣された少年 魔道士。敵の攻撃からレイ ムをかばって死んだが : ・ わら はけん

10. 千年の夢幻獣 プラパ・ゼータ外伝 金色の魔道公子6

けたら、首にをつけてでも引っ張「てくるよう、命じた。謁見室での女王の言葉を真に 受けていたルドウィックは、キースクリッドが家出して、ふらふら遊びまわっているとい げつこう う話を聞いて、激昂した。 一週間ほど王都にいて、雑務や挨拶をすませてから、レイムはメイビクと一。緒にラ サ・シェーンに移った。女王から贈られた別荘には、宮延白魔道士の資格をもっ官や 兵士がそのまま勤務し、レイムたちを鋤けてくれることになっている。 可憐な姫君を連れ、小領国を新しく任されることになった聖魔道士様の到着を、ラサ・ しゆくえんもよお シェーンの領民は、盛大な祝宴を催し、とても喜んだそうである。 またたま 聖魔道士様の都となったラサ・シェ 1 ンのことは、瞬く間に世界じゅうに知れ渡った。 けつか、 魔道結のある、特別な場所なので、誰もが行ける場所ではないということが、よけいに 皆の興味をかきたて、れをった。 夢風の噂で、レイムが元気でやっていると聞き、うまくいったようだとキーツは安心す ( 気が向いたら、行ってやるかな ) 今いる街から、ラサ・シ = ーンはそんなに遠くない。許可印は持っていないが、妖の うわさ