道宏 - みる会図書館


検索対象: シナリオ 2016年5月号
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1. シナリオ 2016年5月号

幸子の閉じた目から涙があふれ、頬を伝う。 道宏、じっと幸子の裸体を見ている 道宏「・ : 幸子「早くして」 四元のラプホテル・一室 道宏、コンドームがうまく装着できない 道宏「 ( 葵の裸をじっと見て ) ・ 道宏「 ( 焦り ) ・ ハスタオルを巻いた葵が浴室から出てく 幸子「なにやってんの」 コンドームを装着しようとペニスをいじ葵「オジサンも浴びて」 道宏の回想 双葉町の浜辺。 くる道宏、「あーと小さく呻くと、ゴザ道宏「 : : : 」 学生服姿の道宏 ( 片 ) とセーラー服姿の の上のセーラー服に精液が飛ぶ 道宏、服を脱ぐ 幸子 ( 片 ) が砂浜を歩いて来る。 幸子「あ ! もう、なにやってんのよお」 道宏、辺りを見回し、人気がないことを 脱いだズボンのポケットを探る道宏、 同・浴室 確認すると、ゴザを敷く。 ンカチを渡す。 道宏、シャワーを浴びている 幸子、手を差し出す。 幸子、セーラー服に付いた精液を拭いな 道宏、財布から千円を出し、渡す。 がら、 同・一室 幸子、財布にしまうと、セーラー服を脱幸子「一回出したら終わりだからね」 ハスタオルを腰に巻いた道宏、出てくる。一 ぎ、ゴザの上に横たわる 道宏「え」 葵の姿はない。 道宏、学生ズボンを脱ぎ、幸子に覆い被幸子「そういう決まりだから」 さる。 道宏、落ち込み、項垂れる。 道宏、トイレをノックし、覗くが葵はい 幸子「ゴムは ? 幸子「もう一回したいなら、あと千円」 道宏、財布から千円を出し、渡す。 道宏、べッドに腰掛け、呆然とする 幸子「ないの ? 」 幸子、寝転がる べッドの上に、道宏の財布が放り出され 道宏、頷く。 ている 道宏、自分でしごき勃起させるとコン 幸子、自分の財布からコンドームを取り ドームを装着する。 道宏、財布の中を覗くと、空になっている 出し、渡す。 道宏、挿入する。不思議とすんなりと入る。道宏「 : : : 」 幸子「五十円」 道宏、夢中で腰を振る 道宏、財布から五十円を取り出し、渡す。幸子「ああ ! 」 幸子、横たわり、プラジャーとパンツを 幸子、空を見ながら、イク。 葵、もう一枚、道宏の財布か取り 一一万円を自分の財布にしまう。 葵、服を脱いでいく。 道宏「」 上野駅・近くの横断歩道 雑踏の中、道宏が横断歩道を渡って行く。 142

2. シナリオ 2016年5月号

道宏「・ : 1 いわき駅・切符売場 切符販売機の前に、道宏と風子。 風子「上野まででいし 頷く道宏。 ヒ 刈風子「六千三百九十円」 ュ 風子、切符販売機の投入口を指差し、 の風子「ここに入れて」 道宏、札を入れる。 風子「ここ押して」 女、卒業アルバムの幸子と瓜二つ。 道宏、ボタンを押すと、切符が出てくる。 風子「あ : : : 」 道宏、吸い寄せられるように女に近づい 風子「変なの」 道宏、よくわからないまま、擦る ていく 道宏「 ? 風子「指、入れて」 道宏、女の前に立っ 風子「ほんとに乗ったことなかったんだね」 道宏、指を入れ、動かす。 女・片桐葵 ) 。 道宏「 : 風子「痛い 二人、改札へと歩き、改札前で立ち止まる。葵「ドンテンさん ? 道宏、始めはゆっくりと動かし、風子が 感じ始めると、徐々に早く動かしていく。風子「それじゃあ」 道宏、頷く。 葵「行こっか」 風子「ああ ! 」 葵、歩き出す。 風子「初恋の人に悪いことしちゃったかな」 風子、空を見ながら、イク。 訳もわからず、ついていく道宏。 道宏、首を振る 風子の閉じた目から涙があふれ、頬を伝 風子「会えるといいねー 路地 道宏、風子の手を取り、手のひらに人差 歩く葵。 し指で文字を書く。 道宏、愛液で濡れた指を鼻先に近づけ、 少し後ろを歩く道宏。 ニオイを嗅ぐ 風子「 ( 読む ) あ・り・が・と・う : : : 」 葵、ラプホテルに入って行く。 道宏、改札に入ろうとするが、切符の入 道宏、ふと父親の写真を見る。 道宏、立ち止まり、ラプホテルを見上げる。 れ方がわからない。 写真の中の父親、微笑んでいる。 風子が入れてやる 道宏、切符を取り、風子に頭を下げると ラプホテル・一室 葵、バッグをソフアに置くと、 ホームへと歩いて行く 葵「先にお金いいですか ? 」 風子、見送って 道宏「・ : 葵「お金」 上野駅・広小路ロ 道宏、財布から千円出すと、渡す。 雑踏の中、年賀状を手にした道宏が迷い 葵「 : : : ふざけてんの」 子のように辺りを見回している ふと、駅の壁を背に、携帯を見ている女道宏「 : : : 」 を見る。 葵「英世じゃねえよ、諭吉だろ」 道宏、財布から一万円札を取り出す。 道宏「卩 141

3. シナリオ 2016年5月号

後藤「俺は幼なじみの理恵ちゃん。石巻に嫁 道宏、手を止めて、パンツを見る。 風子、道宏の上になり、キスする。 に行って、津波で死んじゃったけどな」 風子「なにやってんの。早く」 道宏の唇は動かない 道宏、風子を荷台に上げる。 風子、道宏のズボンの中に手を入れ、ペ 風子「ああ、なにこれ」 ニスを握る 後藤、テープル席に戻って行く。 と自転車を蹴る 里島「飲み直しましよ」 道宏、荷台から自転車を下ろす。 風子、道宏のズボンのファスナーを開ける。 若井「フウちゃん、この人にもなんかげて」 風子、毛布を縛ったヒモを解く。 道宏、股間を手で隠す。 道宏、アルバムの幸子の写真をている。 それは仏壇だった。 風子、道宏の手をどけ、ロで愛撫する。 風子「 : : : もう電車もなくなったし、京は風子「実家から運んできたの」 道宏「」 明日にしませんか」 風子、仏壇の引き出しから、父親の写真 風子の頭が上下する。 道宏「・ : ・ ( 小さく頷く ) ー が入ったフォトフレームを取り出し、仏風子「 ? こんなとこに痣がある。なんかハー 風子「よし ! 今日は呑むぞ」 壇の上に置く。 トの形してる。かわいい [ 風子「お父ちゃん、先月、死んだの。いわき とまた咥える。 行誰もいない早朝の街を、酔い潰れこ風子 の狭いマンションだけど、仏壇くらいない 風子、しばらく続けるが、道宏のモノは をおぶった道宏が歩く と、かわいそうでしよ」 反応しない 遠くで、喧嘩をしているのか男の ) 鳴り道宏「 : 風子、諦め、道宏の隣りで横になると、 声が聞こえる 風子「この軽トラで、毎日、田んほに行ってた」 道宏の手を取り、眺める 道宏「・ : ごっごっとした男の手。 駐車場 風子「いい男でしよ」 風子、道宏の人差し指を舐め、パンツの 道宏、軽トラの前で、おんぶした子を 道宏、写真を見て、頷く。 中へと導き、擦りつける。 下ろす。 風子、寝転がり、空を見上げる 道宏、ビクッとして手を引く 風子、軽トラの荷台によじ登ろうする風子「見て。空が明るくなるのがわかるよ」 道宏の指、風子の愛液で濡れている が、ふらついて上れない。 道宏、風子の隣りで横になり、空を見上道宏「・ : げる。 風子「押して」 風子「 ( パンツを脱ぎ ) 触って」 道宏、風子の尻を手で支える カラスの泣き声が聞こえる 道宏、起き上がり、風子の股間を覗く。 ミニスカートから風子の白いパンが見 風子、道宏に体を寄せ、頬にキスする。道宏「 ( ナメクジみたいだ ) ・ える。 道宏、恐る恐る手を伸ばし、触れる。 道宏「」 140 ー

4. シナリオ 2016年5月号

耳もとに触れたささやきは今も忘れな幸子「 ( 読み ) 病院のラジオ : : : 」 幸子、スカイツリーを眺める道宏の横顔幸子「もうそういうことはなし」 を見る。 道宏、千円札を持った手を下ろす。 想い出はモノクローム色を点けてくれ幸子「 : : : 」 俯く道宏、寂しそう。 もう一度そばに来て 日面には、スカイツリーが逆さに映って幸子「 : : : 」 はなやいでうるわしの Co.orG/ユ いる 幸子、道宏の手から千円札を受け取り、 幸子「 : : : キレイと思っちゃいけないのかな」 傍に置くと、道宏を隣に座らせる。 間奏に入り、幸子もマイクを持ち、道宏道宏「 : 幸子、道宏のズボンのベルトを緩め、ファ のそばに来て、一緒に唄い出す。 スナーを下ろす。 押上駅へと向かう道 ) 開いた雑誌を顔に乗せ一人うとうと眠 道宏と幸子、歩いている 幸子、ゆっくりと手で擦り始める るのさ 幸子「 : ・・ : 明日、帰るの ? 」 幸子「私が初めてだったの ? 」 今夢まくらに君と会うトキメキを願 道宏、頷く。 道宏、頷く 幸子「泊まるとこは ? 」 幸子「それきり、誰とも ? 」 渚を滑るディンギーで手を振る君の小 道宏、立ち止まり、首を振る。 道宏、頷く 指から 幸子、道宏の手を握り、歩いて行く。 幸子「 ( 擦る自分の手を見て ) 皺くちゃな手 流れ出す虹の幻で空を染めてくれ になっちゃったけど、・ こめんね」 ラプホテル・一室 道宏、擦る幸子の手を見る。 想い出はモノクローム色を点けてくれ 幸子、べッドに倒れ、両手を広げる。 幸子、擦る、擦る もう一度そばに来て 幸子「広いなあ。部屋、葵と一緒だから、狭幸子「リラックスして」 はなやいでうるわしの ColorGirl くって」 道宏「 ( 目を閉じて ) ・ 幸子の前に立っている道宏、べッドに寝 道宏、感じ始め、眉間に皺を寄せる。 十間橋 転ぶ幸子を見ている。 幸子、大きくなったペニスを見て、手を 道宏と幸子、ライトアップされたスカイ道宏「 : : : 」 止める。 ツリーを見ている。 道宏、財布を取り出すと、千円札を一枚 道宏、「 ? 」と目を開ける。 幸子「あの歌、どこで覚えたの ? 」 差し出す 幸子「 ( じっとペニスを見て ) ・ 道宏、メモ帳に書く ・ : 双葉の海水浴場 ? 」 幸子「卩 : このハ ・一 146 - ー

5. シナリオ 2016年5月号

を持ち、 葵「 ( 読み ) 病院も、僕がいたほうがいいー 幸子「一緒に行きますか」 幸子「民間の病院も経営が苦しいから。満床葵「 ( 道宏に ) すぐ戻ってくるから、待っ 道宏、乗り込む。 てて」 にしておかないと、もたないのよ」 道宏、頷く。 葵「だからって、病気が治った人を退院さ 同・前 葵、出て行く。 せないなんて、ひどいよ」 幸子、道宏、葵がマンションから出てくる。 幸子、卒業アルバムの自分の写真を見て、 葵、先を歩く幸子を窺いながら、そっと幸子「うん : : : 」 葵「僕だったら、ほんとに気が変になって、幸子「もしかして、私とやってる ? 」 道宏に万札を握らせて、 道宏、頷く。 死んじゃうな」 葵「返すから、婆ちゃんには内緒にして」 幸子「だよね : : : 私のあだ名、憶えてるで と拝む。 道宏「 ? 」 道宏、頷く 幸子、卒業アルバムを開き、道宏の写真しょ 道宏、頷く をじっと見て、 幸子「なんであんなことしてたのかなあ。な 道宏と葵、幸子に追いつく。 幸子「 : : : ごめん。やつばり思い出せないー んか、やけつばちだったんだろうね」 葵「婆ちゃん、残酷。せつかく会いに来て くれたのに」 スナック『待つわ』・店内 開店前の店内。 幸子「・・・・ : ど、つして私に ? 幸子「ずっと地元が嫌いでさ。人も土地もせ一 ーんぶ。原発があるとか、ないとかじゃな 道宏と幸子がカウンタ 1 席に座り、葵が葵「好きだったからに決まってんじゃん。 いんだよね。きっと、私みたいなのは、ど カウンター内でグラスとグラスを拭くク ね、オジサン」 こで生まれたって一緒。変わんないんだよ」 ロスを手にしている 道宏、メモ帳に書く 幸子と葵、驚いた顔で道宏を見ている。葵「 ( 読み ) みんな、立・石・さんと・やっ道宏「 : : : 」 幸子「卒業したら、上京しようと思ってたの 幸子「それ、ほんとなの・ : に、お母さん、病気になっちゃって。弟も 道宏、頷く。 幸子、慌てて、メモを破る。 いたし、面倒見なくちゃいけなくなって」 葵「信じらんない。だって、まともだった葵「なにすんだよ」 道宏、頷く。 んでしよ。どうして医者は出してくれな幸子「葵、あれ、氷、買ってきて」 幸子「この歳で、上京するとは思わなかった」 かったの」 葵「あるよ、氷」 道宏、メモ帳に書く。 幸子「いいから」 と顎をしやくる。 幸子「原発が爆発しなかったら、ずーっと、 道宏、書く。 葵、ぶつぶっと文句を言いながら、財布あそこに住んでたんだろうな。死ぬまで」 幸子「 ( 振り返り、怪訝な表情で ) ? 」 葵「 ( 読み ) 親が引き取ってくれなかった」 144 ー

6. シナリオ 2016年5月号

食事に行ったり : : : 」 幸子「ん」 葵「一緒に帰んなくて」 幸子「永野君がプロポーズして、結婚。子供幸子「 : : : 」 が産まれて、永野君は一生懸命、私と子供葵「じゃ、行ってくんね」 の為に働くの」 葵、自転車を走らせる。 道宏「・ : 幸子、遠くなる葵の背中をじっと見送っ 幸子「子供たちも大きくなって、結婚して家 て、 を出て行く。家には、永野君と私だけ : 私たちは縁側でお茶を飲みながら、静かに 庭を眺める : イキそうになる道宏、眉間に皺を寄せる 幸子の擦る手が早くなる 道宏、子供が母親にすがるように、幸子 に抱きつくと、体を震わせ、射精する。 幸子の手がゆっくりととまる。 幸子「ありがとね。会いに来てくれて」 幸子のマンション・近くの道 ( 朝 ) 自転車に乗った葵、駅へと向かっている。 と、前から幸子が歩いてくる。 葵、幸子の前で、自転車を停め、 葵「朝帰り」 幸子「不良になっちゃった」 一一人、微笑む 葵「オジサンは ? 幸子「帰った」 葵「ふーん。、、 クガタンゴトン、ガタンゴトンクと電車 の音が聞こえてきて 走る電車の中 座席に座っている道宏、窓外の流れる景 色を見ている 道宏、激しく咳込む 道宏「 ( 次第に落ち着いてきて ) ・ 道宏、背もたれに深く寄り掛かり、目を 閉じる。 貶道宏の夢 地面に背の高い影と小さい影 影は道宏の父親と母親のようだ。 母親の手が大きなお腹を擦りながら、 母親の声「早く、出ておいで : とお腹の中の道宏に語りかける。 幸子「・ : 4 4 元の走る電車の中 かすかに微笑んでいる道宏、電車に揺ら れながら、眠っている、眠っている : 常磐線・竜田駅前 道宏が改札を出てくる 放射能モニタリング測定・表示装置が 「 0 ・ 17 6 > 』を表示している 道宏、代行バスに乗り込む。 バスの側面には「原ノ町駅行き』と表示 されている バスが動き出す。 歩いて来る道宏、一本の木の前で、立ち 止まる 道宏、木を見上げる。 それは松の木。下の枝に葉は芽吹いてお らす、かろうじて上の枝に葉が残ってい る。 いずれ朽ち果てるであろう松の木を、目 を細め、見上げている道宏、髪には白髪 が交じり、顔には年相応の皺が刻まれて いる 津波が全てを押し流し、荒地となったそ の場所に、松の木と道宏の姿、ただそれ しかなく 終わり

7. シナリオ 2016年5月号

てきた」 道宏、頷く 道宏、逃げるように来た道を戻る 道宏「 ( 年賀状を見て ) ・ 伸三「今度、呑み行くべ。あ、おめえ、呑め 送り主の欄に住所と「立石幸子」の名前。ねえか」 自転車を漕ぐ道宏、咳がとまらない。 伸三、アルバムの幸子を指差して、 道宏、首に巻いた布を気にする 道宏、自転車を停め、道路脇に蹲って、 伸三「立石幸子。ャリマンの便所女。お前も伸三「しかし、お前もついてねえよな。シャ 咳を鎮める。 やったんだっけ」 バに出たと思ったら、ガンで喋れなくなる と、衝突音。 道宏、頷く。 し」 顔を上げる道宏、軽トラと接触した自転 伸三「クラスの大半はこいつに金払って、童道宏「 : : : 」 車が倒れている。 貞捨てたんだよな。俺もそうだったし」 伸三、車のドアを開けた手をとめて、 軽トラから、安藤風子 ( ) が出てきて、 道宏「・ : 伸三「浦島太郎って、爺さんになった後、ど風子「 : : : すみません」 うしたんだっけ 伸三、アルバムを閉じ、自転車カゴに入 道宏、自転車を起こすが、前輪が折れ曲 れると、立ち上がり、 がり、走れない。 伸三「避難先の東京で、息子夫婦と暮らして伸二「まあ、 風子「 ( 携帯を手にして ) 警察・ : るって。いまさら会ってどうすんだ」 伸三、車に乗り込む。 道宏、携帯を持っ風子の腕を掴み、首を 振る。 と、伸三の携帯が鳴る 8 国道六号線 ( 浪江町 ) 風子「でも」 伸三「もしもし : ・・・・うん、もう帰る。何か食 自転車を走らせる道宏。 道宏、首を振る ああ、わかった」 朽ちたままのスー ーマーケットや酒屋、風子「 : : : どちらに行かれるんですか」 伸三、携帯を切り、 ハチンコ屋の脇を通って行く。 道宏、南の方角を指差す。 伸三「女房。すぐそこの旅館の娘と結婚した 道宏、苦しそうに体を揺らしながら漕い風子「 : : : よかったら、乗って行きません ? んだ。除染作業員が長期滞在してつから、 でいる 私、いわきなんですけど」 毎日、飯とか何やら忙しくてな」 伸三、停めた車の方に歩き、 道宏、自転車を停め、道路脇の立て看板 伸三「お前、今、どこにいんだ ? 」 を見ている 道宏と風子、軽トラの荷台に自転車を乗 道宏、自転車カゴからホワイトボードを 「ここから先、自動二輪車は通行できま せる。 取り、「グループホーム』と書く せん』とある 荷台には、毛布に包まれた四角い箱のよ 伸三「近いのか ? マスクをした警備員が近づいてくる。 うなものがある

8. シナリオ 2016年5月号

夢の女ュメノヒト 気管支からヒューヒューと音がする 道宏「 ( 会いに来ました ) 」 喉を摘み、気管を拡げる仕草。 道宏、賑わう雷門通りを、咳込みながら 声にならない声で言う ふらふらとエントランスに入って行く 歩いて行く 幸子「え」 道宏「 ( 会いに来ました ) ー 同・共用通路 道宏、吾妻橋を渡って行く 道宏がエレベーターを降り、歩いてくる。幸子「 ? 」 息が苦しそうな道宏、立ち止まり、欄干 と、目の前の部屋の扉が開き、立石幸子葵「婆ちゃんに会いに来たんじゃないの」 に両肘をついて、項垂れる 道宏、頷く。 ( ) と葵が出てくる 道宏「 ( 息を整えて ) ・ 葵、道宏と目が合、つと、また隠れる 再び、歩き出し、橋を渡って行く。 葵、道宏に気づくと、焦って幸子の背に幸子「どうして、私に ? 隠れる 道宏「・ : 東大島駅・近くの歩道 葵が早く行こうと、袖を引っ張る 道宏、年賀状を手に、通りすがりの女性幸子「あの : : : なにか」 道宏、卒業アルバムを開いて渡し、自分幸子「ごめんなさい。これから店に行かなく に道を尋ねている ちゃいけなくて」 の写真を指差す。 女性が指差す。 道宏「・ : 幸子「永野道宏 : : : さん ? 」 道宏、頷く 幸子と葵、エレベーターに乗り込む 幸子のマンション・前 道宏はエレベーター前に立っている。 幸子の背に隠れた葵がそっとアルバムを 道宏、マンションを見上げる。 ラピュタ阿佐ヶ谷 毎月抽選で 15 名様 招待券プレゼント “ 4 月上映スケジュール 「芸に生きる一映画を彩る芸 能・芸術」 旅情 / 世にも面白い男の一生桂 春団治 / はなれ瞽女おりん / 男 の花道 / 大阪の女 「 0 に IJ Ⅶ東映現代劇の潮流 白昼の無頼漢 / 黄色い風土 / 次 郎長社長よさこい道中 / 獣の通 る道 / 恋と太陽とギャング / 越後 つついし親不知 / 太平洋の G メ ン / 希望の乙女 / 暗黒街最後の 日 / サラリーマン目白三平 / ファ ンキーハットの快男児 / ファンキ ーハットの快男児ニ千万円の腕 / 無法松の一生 / 警視庁物語 遺留品なし / 怪談せむし男 ◆ モーニングショー 「昭和の銀幕に輝くヒロイン第 80 弾渡辺美佐子」 連日 10 : 30 より 野獣の青春 / 武器なき斗い / 解 散式 / 人間に賭けるな レイトショー 「大江戸工ロス絵巻」 連日 21 : 00 より 徳川女刑罰絵巻牛裂きの刑 / 大奥浮世風呂 「日活アルチザン山崎徳次郎の 仕事」連日 20 : 50 より 拳銃 0 号 JR 阿佐ヶ谷駅北ロ徒歩 2 分 L03-3336-5440 http://www」 aputa-jp.com 道宏「 ? 」 ◆ ご希印の方はハカキで、〒 107-0052 東京都港区赤坂 5 ー 4-16 シナリオ会館 4F 「シナリオ」編集部ラビュタ阿佐ケ 谷係宛にお申し込み下さい。締切は、 毎月月末必着。 143 - ー

9. シナリオ 2016年5月号

夢の女ュメノヒト 幸子「すっと私とやってたと思ってたの ? 」 道宏、頷く。 道宏、頷く。 道宏、五百円札を差し出し、 幸子「永野君 : : : ( 笑い ) 思い出した。あの 幸子「 : ・ : ・ごめん。思い出、壊しちゃったね」 道宏「これだけ : : : 」 時も手でしてあげたんだ」 幸子「それなら手だよ」 道宏、首を振る 幸子、ゆっくりと擦り始める 幸子「そうだよ。お漏らしして、私のセーラー道宏「 : : : 」 : でも、思い出って、 幸子「 ( 擦りながら ) ・ 幸子「やならいいけど」 月にかけたじゃない 変えられるのかも」 道宏「 ( 小さく頷く ) 道宏「・ 幸子、五百円札を受け取ると、ペニスを道宏「 ? 」 幸子「変えてみよっか」 擦り始める 双葉の浜辺 ( 1972 年 ) ともう一方の手で道宏の瞼を優しく閉じ 幸子、擦る、擦る 幸子 ( 片 ) 、セーラー服に付いた精液を る ートの形 幸子「 ( ペニスを見て ) この痣、 拭いながら、 幸子「 ( ゆっくりと擦りながら ) 永野君は高 してる。フフ、変なの」 幸子「一回出したら終わりだからね」 校を卒業して、役場に就職するの」 幸子の擦る手が早くなっていく。 道宏「え」 道宏、「 ! 」となり、射精する 幸子「そういう決まりだから」 幸子「ある日、住民票を取りに来た私と再会一 道宏、落ち込み、項垂れる する。「久し振り』、『元気だった』 : : : 永 元のラプホテル 幸子「もう一回したいなら、あと千円」 野君が私をデートに誘う。映画を観たり、 道宏、財布の中を覗くが、五百円札しか道宏「 : : : 」 ス判プ 消 簡イ 安 ! 場た だ末 のく を ッく粉 8 ) 品ま注し 専ロ 全きの入 だら記 、、 IJ か」ル れい 時すてネ備 消シ 文告せ 境ヒ 生と“、 注報さ 微人ー 臭いのお悩みを解決します ! 強力安心 消臭安全 納豆菌がヘットの臭い、 オシッコ臭を分解・消臭 ! 化学成分を使っていないので、 人とペットに安全な消臭剤です。 楽天 消臭剤関連部門 通算 148 週 ランキング バイオミックス Q 検索 シナリオ読者特典 ! ! ・お問い合わせ B0120 ー 4321 ー 80 ( 平日 8 : 00 ~ 16 : 00 ) 147 ー

10. シナリオ 2016年5月号

2 農道 ( 南相馬市 ) 道宏、自転車を漕いでいる。 すぐ脇をダンプカーが走り抜け、道宏は 軽い咳をする 道路脇の田んばだった広大な土地は、汚 染土の仮置場になっている。 3 南相馬市の海辺 ( 一日前 ) 道宏と片瀬伸三 ( ) が防波堤に座って ヒ ノ いる メ ュ 伸三、驚いた表情で、道宏を見つめている 女 の伸三「 : : : 十八から、震災があったのが 五十六だべ : : 三十八年 : : : 三十八年、 ずっと精神病院にいたのか」 道宏、海を眺めている 一本の木の周りを、自転車に乗った男が ふらふらと蛇行しなから、まわっている 4 自転車を漕ぐ道宏の顔 周りは津波が全てを押し流し、荒地と なっている 自転車、国道六号線に入って行く 自転車カゴには、高校の卒業アルバムと ホワイトボード 5 南相馬市の海辺 ( 一日前 ) 男、自転車を止め、木を見上げる。 津波で壊され、途中までしかない防波堤 を下りて、テトラボットの方へと歩く道 男・永野道宏 ( ) 、白髪交じりで、顔 宏と伸三。 には年相応の皺が刻まれ、首には布が巻 かれている テトラボットの上で海猫が鳴いている 見上げる道宏、眩しそうに目を細めて伸三「原発が爆発して、双葉の病院から避難 すっことになって、ほいで、おめえが正常 だってわかった。そういうことか ? 」 道宏、頷く。 伸三「二十代、三十代、四十代、すっと病院 にいたのか : : : 俺たち、もう還暦だべ」 道宏、立ち止まり、足元を見る 波に打ち上げられた子供の小さいサンダ ルが片方、落ちている 伸三「 : : : 浦島太郎だな」 6 国道六号線 ( 南相馬市小高区 ) 自転車を走らせる道宏。 道路脇に設置された放射能モニタリン グ測定・表示装置が「 0 ・ 269 』 を表示している 荒れた畑には、汚染土が入った黒色のフ レコンバッグが山積みされている 「除染作業中』ののばり旗が風になびい ている プルドーザーを操作する除染作業員の姿。 枯葉や枯れ木を掻き集め、砂袋に入れる 除染作業員の姿。 道宏、自転車を漕いでいく 7 南相馬市の海辺 ( 一日前 ) 津波で流され、土台だけが残った家々。 伸三、道路脇に停めた道宏の自転車の荷 台に腰掛け、高校の卒業アルバムを見て いる 道宏は傍に立っている 伸三、アルバムを指差しながら、 伸三「鈴木と遠藤、こいつらは津波で死んじ まったし。平井は避難先で自殺しちまった し」 道宏「・ : 伸三、ズボンの後ろポケットから年賀状 を取り出し、道宏に渡す。 伸三「智恵子、憶えてつか。あいっから借り 135 ーー