セトウッミ - みる会図書館


検索対象: シナリオ 2016年8月号
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1. シナリオ 2016年8月号

( 聞き手 ) 北里宇一郎 どこにも属せず、 大森立嗣自分をどう形容していいか わからぬ人間に興味が 映画「セトウッミ』脚本・監督インタビュー 原作漫画 ( 作・此元和津也 ) を読む。 ツンツン髪のツッパリじみた高 2 男子が いて、優等生的メガネ高 2 男子がいて、コ ンクリートで固めた川岸で漫然とおしゃべ りする。ツンツンの名前が瀬戸でメガネの 方が内海で、それでタイトルが「セトウッ ミ」。時は放課後。語っている内容は他愛 のないことばかり。飼っている猫の話とか 好きな彼女のこととかどっちが背が高いか とか。ほとんど動きがなく、セリフばかり のコマ割りを目で追っていく久しぶりに 漫画に接したせいか読みづらいあ、こん な感じの芝居あったなと思う。べケット の「ゴドーを待ちながら」かあれも二人 の男が、だらだら意味のない台詞を喋りま くっていたな 1 話、 2 話、 3 話と読み進む かったるいだけど時としてクスリと笑み がもれる。ちょっとハマる。 4 話、 5 話と 進んで、このなんともいえない倦怠感が心 地よくなってくる。読みはじめの頃は、な んだこれ、半径メートルの範囲で自意識 過剰の高校生がその時その場で思いついた ことをくっちゃべってるだけの、閉ざされ た世界を描いてるだけじゃんとため息を吐 いた。だけど読んでいくうちに、この狭さ、 自分自身すら持て余しているようなどうし

2. シナリオ 2016年8月号

セトウッミ 内海「お前はええなあ、大学行けへんねや 大阪・堺・河川敷 5 月中旬のある日。 瀬戸「行けへんゅうか : ・ きらめく水面。 内海「行かれへんのか」 流れる白い雲。 遠方に工場の煙突、白い煙が出ている。瀬戸「お前のそういうとこやで」 内海「何が」 コンクリートで整備された河川敷。 学ランの高校生が一一人、階段に座ってい瀬戸「うっすら人を見下してるとゆうか る 欄干にもたれ、おじさんがひとり川を見内海「・ : ている 瀬戸「全員アホに見えてんねやろ ? お前か メインタイトル「セトウッ、、、 らしたら」 内海「自覚症状はないけどな」 第 1 話セトとウッミ』出て消える 高校生、ツンツン頭でフライドボテトを瀬戸「いや、他覚症状が半端ゃないねん。こ ないだも鳴山に言われたやろ」 食べている瀬戸とメガネの内海、ジュー スを飲んでいる インサート 瀬戸「はー明日からのテスト嫌ゃなあ」 いかつい高校生、鳴山 内海「暑いなあ、 5 月やのに」 鳴山「お前の顔がムカつくねん」 瀬戸「 ( ポテトを見て ) 長っ ! このポテト 長ない ? 」 元の河川敷 内海「顔のこと言われても困るわ」 瀬戸「こんなジャガイモあるか ? 」 瀬戸「顔に出てもうてんねん。お前が人を小 内海「あるやろ別に」 馬鹿にしてるのが」 瀬戸はポテトを食べ、内海はジュースを 内海「そうなんかなあ」 飲む。 瀬戸「ちょっと笑てるやん」 瀬戸「それにしてもあつついなあ」 内海「俺、もうすぐ塾行かな」 内海「笑てへんて。元々こんな顔や」 瀬戸「ちょっと神妙な面持ちゃってみ」 瀬戸「大変ゃなあ、まだ高一一やのに」 内海、神妙な顔する。が、微妙な表情。 瀬戸「笑てるやん ! 」 内海「ほなお前やってみいや」 瀬戸、やってみる。が、微妙な表情。 内海「一緒ゃないか」 瀬戸「いきなし神妙な面持ちせえゅうても無 理やろ」 内海「お前が言い出したんやろ」 瀬戸「ほな俺がお前に深刻な話するわ。それ で神妙な面持ちしてくれや」 内海「ええよ」 瀬戸「家で飼ってる猫のミーニャンが急に具 合悪くなってな、医者に聞いたら余命もあ一 とわずかやから好きなもん食べさせてあげ て言われて」 インサート 高級キャットフード。 愛くるしい猫のミーニャン。 瀬戸の声「そっからオカンがはりきって海外 から高いキャットフード取り寄せたり俺よ りええもん食わしたりしてて親父も難色一小 してたけど、最後やからしゃあない言うて て、でも結局そっから一一年以上生きてな」 元の河川敷。 瀬戸「それがきっかけで : : : 今度うちの親、

3. シナリオ 2016年8月号

0 此元和津也 ( 別冊少年チャンピオン ) 2013 02 田 6 映画「セトウッミ」製作委員会 セトウッミ 構成・脚色 = 宮崎大大森立嗣 監督 : 大森立嗣原作此元和津也 ( 秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載 ) 製作・配給 : プロードメティア・スタジオ 企画・製作プロダクション : アグン・インク 製作協力 : ハーベストフィルム 7 月 2 日 ( 土 ) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー 鳴 樫 瀬 内 お キ 編 録 照 最 フ。 ェ 製 ノ、 日 ル 山 じ 村 ロ グ 尸 海ャ 集 音 影 明 作タ 先 さ ン 輩 ん期 西 山 高 平 近 早 條 恵 木 本 藤宮 泉 本 英 サ 野 博 正 貴 崎 太 風 亮 介 郎 太 宏 彦 次 郎 大 池松壮亮 菅田将暉 中条あやみ 鈴木卓爾 成田瑛基 岡山天音 宇野祥平

4. シナリオ 2016年8月号

すリオ 目次 2016 年 8 月号 ◆シナリオ 『セトウッミ』宮崎大大森立嗣 大森立嗣 ~ どこにも属せす、自分をどっ形容していいか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ わからぬ人間に興味が ~ ( 聞き手 ) 北里宇一郎 ◆特集シナリオ作家井手俊郎 ( ラピュタ阿佐ヶ谷にて特集上映中 ) ・ くシナリオ〉 『河口』 1961 年松竹作品・ 『河内カルメン』 1966 年日活作品 く作家の眼〉井手俊郎 ~ よくわからない ~ く座談会〉鎌田敏夫 + 桂千穂 + 岩田元喜 + 若月ユウ陽 師「井手俊郎」を語る ~ さりげないけど、上手い人 ~ ◆特別シナリオ講座 奥寺佐渡子 ~ 脚本家の仕事 ~ ( 後編 ) ( 聞き手 ) モルモット吉田 ◆連載 佐伯俊道終生娯楽派の戯言第 49 回 / この仕事やらないと殴るぞ ! モルモット吉田 シナリオ評「河内カルメン』・・ 井土紀州 + 佐伯俊道 ~ 日本映画は犯罪をどう扱ってきたか ~ ◆追悼・加藤伸代神山征ニ郎 追悼・大川久男久保田圭司 追悼・櫻井康裕矢田清巳 シナリオポックス ◆情報 豊島圭介長谷川隆葉山陽一郎 作家通信大川俊道 第 26 回新人シナリオコンクール特別賞大伴昌司賞作品募集 ◆インタヒュー 55 沼 R ◆日本名作シナリオ選 / トークセッションより ・ 1 10 114 ・ 1 16 ・ 1 18 ・ 1 19 ・・ 109 表紙テザイン / 塚本友書 表紙写真「セトウッミ」

5. シナリオ 2016年8月号

すリオー 通巻 817 号第 72 巻第 8 号毎月 1 回 1 日発行平成 28 年 8 月 1 日発行 映画芸術の原点 / S c セトウッミ シナリオ をンを 0 の月刊誌 e n a 「 i 宮崎大大森立嗣 60966230 二を : を : 髦第第臺丘 ラビュタ阿佐ヶ谷で「脚本家井手俊郎のめくはせ」特集上映いでとしろう 特集 0 シナリオ作家井手俊郎 河口 ( 1961 年松竹作品 ) ラ可内カノレメン ( 1966 年日活作品 ) = く座談会〉師「井手俊郎」を語るさりけないけど上手い人 鎌田敏夫桂千穂岩田元喜若月ユウ陽

6. シナリオ 2016年8月号

セトウッミ 瀬戸「ほんだらお爺ちゃん出ていってん」 内海「 : : : なんかごめん」 内海「この川で昔殺人事件あったん知って 内海「なんやねんその話」 沈黙。 る ? 」 瀬戸「 : : : そっから三日帰ってけーへんね瀬戸「それにしても樫村さんと一ヶ月以上も 夜の川面。 ん」 会ってないなんて淋しすぎるわ」 内海の声「女の人がな、好きな人に子どもが 内海「捜せや」 内海「俺こないだ会、ったで」 おったんがショックでその子をこの川に投 瀬戸「いやたまにあるからええねんそんなこ瀬戸「うそん ? 」 げ込んでん」 とは」 内海と瀬戸、目を合わす。 瀬戸「子どもがおってショックって気持ちわ 内海「クモは ? 内海「うちほら樫村さんとこの檀家やから、 かるわ」 瀬戸「 ( 頭を抱え ) まだおるよ、最悪やわ虫、 お盆に少しだけな」 内海「え ? 大っ嫌いやねん俺」 瀬戸「なんかさっきから先祖とか檀家とかお瀬戸「部屋にちっちゃいクモも出てきてん」 内海「クモがおるってことはその餌になるゴ盆とか日本の伝統的文化丸出しの」 内海「子どもの種類がちゃうやろ」 キプリもおるってことやで」 内海「先祖を敬ってんねやろ」 マッチを手にした瀬戸。 瀬戸「嘘ゃん ! 泣きっ面にハチやん ! 」 瀬戸「何にビビってるん ? オバケ ? オバ瀬戸「じゃあ最後線香花火でもしようか」 内海「三匹目の虫が出てきてややこしいわ」 ケが恐いの ? 」 内海「そうやな」 瀬戸「 : 内海「あ、お前オバケ怖ないん ? 」 瀬戸「先に火の玉落とした方が負けな ! 」 内海「そのクモあれちゃう ? ご先祖さまや瀬戸「クモのほうがよっほど怖いな」 内海「だからなんの勝ち負けやねん ? でお盆やし」 内海「あーあ出るわ今日、枕元にオバケ出る瀬戸「じゃあ勝ったら願いが叶うことな ? 瀬戸「え : : : 」 内海「叶うことなって言われても」 内海「お婆ちゃんやそれ、お婆ちゃんを木酢瀬戸「出ーへんよ」 瀬戸「ちなみに内海の願いは何 ? 」 液で追い出そうとしたからお爺ちゃん出て内海「甲冑着てすんごい長いサーベル持った内海「なんやろ : : : 」 いったんちゃう ? 」 オバケ出るわ」 瀬戸「・ : 瀬戸「お婆ちゃんがなんで俺の大嫌いな姿に 内海「夏休みが終れへんかったらいいのにな インサート なって帰ってくんねん、嫌がらせやん」 甲冑とサーベル 内海「いやそういうも」 瀬戸「それ無理やろ」 瀬戸「お婆ちゃん生きてんねん」 内海「瀬戸は ? 」 内海「・ : 瀬戸「なんで異国のオバケがうちにくんねん、瀬戸「クモが出ていくことやな」 瀬戸「すっと入院してるわ」 ヨーロッパ風の」 冖 /

7. シナリオ 2016年8月号

セトウッミ 内海の少し後ろを堤が付いてくる。 内海「え ? 」 樫村「内海くんも何か部活やったら ? 」 堤「瀬戸、サッカーやめたらしいで」 と、少し離れる 内海 ( ä) 「どいつもこいつも・ : 内海 (ä) 「ほらみろ : : : 結局その程度の志 走り去っていくサッカー部、流れる川の瀬戸「俺ほら、虫めっちゃ嫌いやん ? ゃんけ」 内海 (ä) 「知らんがな」 水面、青い空にゆっくり動く雲に、 内海 ( ) 「走り回って汗かかなあかんのか ? 瀬戸「部屋にコバエが大量発生して寝られへ堤「フリーキック蹴るのは二年の牧田さ んって決まってるらしいねんけど、練習試 なんかクリエイテイプなことせなあかんの んねん」 合で瀬戸が勝手に蹴ってんてク上手い方が か ? 仲間と悪いことしたりせなあかんの内海「バルサンとか殺虫剤使ったらええや 蹴ってなんの問題があるんですか ? ッって か ? この川で暇をつぶすだけの青春が ん」 言って」 瀬戸「うち猫おるからそういうケミカル的な あってもええんちゃうんか」 やつあかんねん」 堤「その牧田さんが鳴山さんと仲良くて瀬 内海「じゃあ食虫植物置いたら ? 瀬戸の声「誰ゃねんお前」 戸か大橋どっちか辞めろって」 瀬戸「天才かお前。さっそく今日買、つわ ! 」 内海、顔を上げると瀬戸がいる。 内海「わりとこっちのセリフでもあるぞそ内海 ( ä) 「なんやこいつ、サッカーやって 6 河川敷 たんちゃうんか」 れ」 青い空。 階段の上、内海、ひとりやって来る 内海 (ä) 「こいったしかサッカー部の」 階段の下、瀬戸がしやがんで何かやって 瀬戸「ちょっと聞いてくれや」 いる 5 通学路 と、内海の横に勝手に座る 8 つの ' 片想いクの物語。きっと、どこかにあなたがいる 想ッ中舎 1 LO ケ . ( 0 ( 0 600 円 ( 税抜き ) 画片卦開冬。駄 電子版も好評発売中 ! , 全片想い設楽朋 映、ロ公、幻 員国 谷 3 3 幼馴染に想いを寄せる男勝りの女子高生、厳しい女上司に心奪われる新入社員・ 〉〒渋 2 9 陰全 伝えられない想いを秘めて、ただいま全員、片想い中。実らない恋だって悪くない 君をずっと好きでいられるから。そんな切ない想いを綴った恋愛小説。映画のスチールもカラーで収録 幻冬舎文庫

8. シナリオ 2016年8月号

セトウッミ にしとかな自尊心保たれへんの ? 」 んの当て勘がすごいなと思った」 6 河川敷 雪がチラチラ舞っている 樫村「他の女の子といっしょにせんとって」 樫村の携帯に着信音。 瀬戸、猫を抱いて寝ている 内海「他の女も言ってたわ、そのセリフ」 樫村「瀬戸くんからや」 横には下手なルーベンス風の絵。 樫村、内海の前に回り込み、いきなりパア 樫村の携帯の LINE 画面。 ンと頬をはたく。 瀬戸「樫村さんもいつもの川においで 「フランダースの大』のラストシーンの よ、つ 内海、すぐそばで見ている 4 河川敷 樫村「わたし内海くんに嫌われてるから 瀬戸、薄目を開けて、チラッと内海を見る 瀬戸、一人で四コマ漫画「出てこい 瀬戸「悪気ないねんあいっネクラやから』内海「ル 1 べンスの絵の前で倒れてるとかわ 三毛貝ちゃん』を読んでいる。 かりにくいねん」 瀬戸「ネクラっていうかまあ : : : ネクラ 瀬戸「うわージョージくんと三毛貝ちゃんど うなんねやろ、もどかしいわー貝の部分が 瀬戸、起き上がる やから』 瀬戸「大の散歩してるおっさんに大丈夫かっ もどかしいわー」 瀬戸「俺もネクラかな ? 』 て二回言われたわ、お前が遅いから」 と、着信音がし、ポケットから携帯を出す。内海「俺んとこにもすっときてる」 と自分の携帯を見る 「樫村さんもいつもの川においでや " " 』 ポケットからおもむろにミルクティーの一 と瀬戸が送った LINE に返事がきた。 以下、すべて瀬戸から。 缶を取り出し、瀬戸に渡す。 「わたし内海くんに嫌われてるから : : : 』 「はよこい寒すぎる」 瀬戸「 : ・ 瀬戸、速攻返信する。 「ほんまに寒い死ぬ』 それを見つめる樫村。 「あったか 5 いミルクティーのみたい」 「俺は樫村さんの事好きやで : : : 』と打っ たところで止まる。 樫村 (>) 「彼らもまた一期一会を大切にし 「殺す気かリはよリ』 てるのでしよう。なんかムカつくけど」 送信できないーー瀬戸、顔を上げる。 雪の中、いつものように階段に腰掛けて 瀬戸「 : : : さむい : 「イママデアリガトウ』 いる二人。 風が吹き、体を震わせる 「ほっくり』 ミルクティーを飲んでいる瀬戸。 「むくり』 離れて見ている樫村。 5 通学路 「おい ! ゆっくりと・ O していく 向きあったままの内海と樫村。 一方的な瀬戸からのメール。 樫村「どう思ったかぐらい言ったら」 最後に「不在着信』とある 内海「メガネ飛べへんように配慮した樫村さ おしまい っ 0 っ 0

9. シナリオ 2016年8月号

セトウッミ はしてたんやけど」 まま耳だけこっち向けてそれを聞いてたわ」 内海、鼻を受け取る。 / と そのとき、頭のバルーンか ' ノー、ツ 瀬戸「はよ ! 」 割れる。 4 元の河川敷 バルーンさん「早くやったげてウッミ」 内海とバルーンさんが瀬戸を見ている バルーンさん「ワタシが悪いんちゃうでこれ、 内海はメガネと鼻を付け、 セトの頭トゲトゲやからやで」 瀬戸「両親も負担が大きかったから、これで瀬戸「言うて」 少しは肩の荷が下りるんかな」 内海「 ( バルーンさんに ) しつ : 内海「 ( 照れながら ) 命ってのは例外なく終 わりを告げるもんやし」 瀬戸「よりによって誕生日に猫死ぬって : 内海「 : : : 瀬戸・ : ・ : 俺ペット飼ったことない し、なんて言葉かけていいかわからんけど、瀬戸「もうええわ、バカにされてるとしか思 一個だけ後悔してることがあんねん。親が われへんわ」 ミーニャンのことで離婚問題に発展して俺命ってのは例外なく終わりを告げるもんや ヾルーンさん「すぐ外し、ウッミ」 も精神的にまいってて思わず」 しそれを受け入れる作業って時間がかかる かもしれへんけど : : : でもな瀬戸、間違い瀬戸「ガチャガチャ開けるわ」 ニャンはきっと岦十 なく一言、んることは、ミー 内海はメガネを外し、鼻を取りながら、 3 瀬戸家 ( 回想 ) 後ろ向きのミーニャン 内海「お、おう、シークレット出たらええ せやで」 な ! 」 瀬戸「お前のせいやぞ ! はよ死んだらええ瀬戸「 ( 派手なメガネを外し ) このメガネか 三毛貝が出てくる。 けてもう一回言、って」 ねん、お前なんかもう ! 」 瀬戸「ノーマル三毛貝や、 3 個目やこれ」 ミーニャン、後ろ向きのまま耳だけ瀬戸内海「えつ」 バルーンさん「ここにきてウッミのヒキの弱 の方へ。 瀬戸「あのバルーンさんの鼻のやつもー さなんなん」 バル 1 ンさん「 ( 鼻を外し ) はい」 瀬戸の声「そしたらミーニャンな後ろ向いた 映画・演劇・演芸・シナリオ・戯曲の専門古書店 矢ロ書店 Eßー寺 7 F マメ yaguchi@mbk.nifty.com URL http://homepage3.nifty.com/yaguchi/ り至駿河台下 国 靖地下鉄神保町駅 矢ロ書店 至九段下 地下鉄神保町駅ご利用の方は岩波ホール出口が便利です。 〒 101 ー 0051 東京都千代田区神田神保町一一ー五ー一 ・電話 0 介 0 ( 3 ワ 361 ) - J708 03 ( 3261 ) 6350 至水道橋駅 白山通り 主月 一三ロ 営業時間日・祭・平日問わず 10 時 ~ 18 時 30 分

10. シナリオ 2016年8月号

セトウッミ 内海「学生時代に天下を獲ったという強烈な内海「普通ああいう時ってなんかええ事言う内海「 : : : 」 瀬戸「ことごとく」 てんちゃうの ? 」 成功体験があるし」 瀬戸「いやもうやめて。なんか恥すかしいか内海「塾サポったろかな」 瀬戸「ほう ! 」 瀬戸「親うるさいんちゃうん ? 」 ら」 内海「あいつら特有のネットワークで人脈と 内海「そうやねん。遊ぶにしても塾の子と遊 と、顔をそらす。 いう点では色々有利やろうし」 べ言うねん」 瀬戸「あっ ! ( 内海に ) 樫村さんや」 瀬戸「ほうほう ! 」 瀬戸「 : : : 相乗効果ってことちゃう ? 同級生の樫村一期が通りかかる 内海「そんなもっと大きいのよこせみたいな 樫村さん、瀬戸と内海のことを少し気に内海「あーシナジー効果ってやっか」 相づちされても」 瀬戸、またかとガン見するが、内海知ら しながら去って行く 瀬戸「でもそれって俺みたいな中途半端な人 ん顔。 ジッと見ている瀬戸。 間は一生中途半端って言われてるみたいで 内海「腹減ったなあ」 切ないな」 瀬戸「可愛いー」 瀬戸「さっきハンバーガー買おう言うたら、 内海「俺もそんなんや。歓喜に至るほどの成内海「樫村さんてお寺の子なんやろ ? いらん言うたやん」 功体験なんかないよ」 瀬戸「袈裟姿見たいわー彼氏おるんかな」 内海「俺、白 ) 」飯のほうが好きゃねん」 内海「どうやろ」 瀬戸「・ : 瀬戸「あーライスってやつな」 瀬戸「訊いてきてくれへん ? 」 内海「 : ・ 無言の二人。 内海「嫌やそんなん」 瀬戸「 : 陽が傾いてきた。 瀬戸「頼むわバナナあげるから」 内海「シナジー効果でイラッときたん ? ほ 瀬戸「こないだ親知らず抜いてん」 内海「なんでバナナでいける思たん ? んで一矢報いたかったん ? 言うと同時に爆音でバイクが通過してい瀬戸「俺、樫村さんに好かれよう思て仏教の 瀬戸「 : 勉強してんねん」 内海「ライスて」 内海「どんなワード知ってるん ? 」 内海「 : ・ : ・ ( 聞こえなかった ) 」 瀬戸「お前やつばり俺の事、見下してるやろ ? 瀬戸「煩悩とか」 瀬戸「・ : ねはんじゃくじよう なあ、アホや思てんねやろ」 内海「 ( 間髪入れず ) 涅槃寂静とか ? 」 内海「 : ・ 瀬戸「 ( 二度言うのが恥ずかしそうに ) いや瀬戸「 : : : 輪廻とか」 っさいかいく 瀬戸「なんでまた神妙な面持ちゃねん」 内海「 ( もっと間髪入れず ) 一切皆苦とか ? ー ・ : こないだ親知らす抜いたって : : : 」 内海「一一度聞き史上一番しようもなかったわ」瀬戸「さっきから俺の知識量をはるかに上内海「もう一回できるかなと思って」 瀬戸「 ( 内海の後を見て ) 鳴山や ! 」 回っとんねん」 瀬戸「・ :