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検索対象: 不動産法律セミナー 2016年10月号
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1. 不動産法律セミナー 2016年10月号

とになりますから、「審査請求がその事務所 に到達してから当該審査請求に対する裁決を するまでに通常要すべき標準的な期間をい う。」となります。 この文章を、制限字数の範囲内に収まり、 かっ、より自然な文章表現となるように推敲 しましよう。 51 字ですので、最低 6 字削らなければなり ません。 まず、「をいう」を削りましよう。 次に、「その事務所」の「その」を削りま しよう。 さらに、「当該審査請求」を「その請求」 にしましよう。 以上の推敲作業により、次の解答例のとお りになります。 解答例 審査請求が事務所に到達してからその請求 に対する裁決をするまでに通常要すべき標 準的な期間。 ( 44 字 ) ※下線部分がキーワードです。 ( 4 ) 本問の配点基準 本問では、①「審査請求が事務所に到達し てから」、②「請求に対する裁決をするまで」、 ③「通常要すべき」、④「標準的な期間」の 四つがキーワードになります。このキーワー ドのうち、①及び②に各 4 点、③及び④に各 6 点で、合計 20 点というところでしようか これに関連して、もう一問、解いてみましょ 問題 A は、その製造した食品により多数 の食中毒被害を生じさせ、これにより、 B 県知事から食品衛生法に基づく営業停止処 分を受けた。しかし、 A は、当該処分を不 服として、 B 県知事に対して審査請求を行 った。この場合に、 B 県知事が標準審理期 ノの 20 ノ 6 間を定めたときは、どのような方法により 公にしておかなければならないか。 40 字程 度で記述しなさい。 ( 1 ) 形式の検討 どのような形式の解答が要求されているか を考えましよう。問題文は、「 B 県知事が標 準審理期間を定めたときは、どのような方法 により公にしておかなければならないか」と 問うています。したがって、解答は、「の の方法により公にしておかなければならな い。」としなければなりません。 ( 2 ) 内容の検討 平成 26 年の行政不服審査法の改正により、 迅速な審理を確保するため、標準審理期間に 関する規定が設けられました。すなわち、同 法 16 条は、「同法 4 条又は他の法律もしくは 条例の規定により審査庁となるべき行政庁 ( 以下「審査庁となるべき行政庁」という。 ) は、審査請求がその事務所に到達してから当 該審査請求に対する裁決をするまでに通常要 すべき標準的な期間を定めるよう努めるとと もに、これを定めたときは、当該審査庁とな るべき行政庁及び関係処分庁 ( 当該審査請求 の対象となるべき処分の権限を有する行政庁 であって当該審査庁となるべき行政庁以外の ものをいう。次条において同じ。 ) の事務所 における備付けその他の適当な方法により公 にしておかなければならない。」と規定して います。 以上の知識をもとに、適切な語句を書き出 しましよう。「当該審査庁となるべき行政庁 及び関係処分庁 ( 当該審査請求の対象となる べき処分の権限を有する行政庁であって当該 審査庁となるべき行政庁以外のものをいう。 ) の事務所における備付けその他の適当な方 法」がこれに当たりますね。 ( 3 ) 解答の作成 上記 ( 1 ) で検討した形式に、上記 ( 2 ) で書き出した語句を挿入しましよう。 不動産法律セミナー 政 士

2. 不動産法律セミナー 2016年10月号

問題 A が耕作している土地に隣接する形 で、 B の廃棄物処分場が設けられていた。 B は、廃棄物処理法等で決められた量を超 える廃棄物を持ち込み、その結果、廃棄物 の山が、 A の耕作地に崩れ落ちそうな状態 になっていた。そこで、 A は、 B に対して、 占有保全の訴えを提起することとした。 の場合に、 A は、いつまでに、どのような 内容の請求をすることができるか。 40 字程 度で記述しなさい。 ( 1 ) 形式の検討 どのような形式の解答が要求されているか を考えましよう。問題文は、「 A は、いつま でに、どのような内容の請求をすることがで きるか」と問うています。したがって、解答 どのような内容にするか。図を書きながら、 ( 2 ) 内容の検討 とができる。」としなければなりません。 は、「のまでに、のの内容の請求をするこ 検討してみましよう。 図 4 裁判所 占有保全の訴え 耕作地 廃棄物 処分場 占有者は、占有の訴えを提起することがで きます ( 民法 197 条 ) 。 この占有の訴えのうち、占有保全の訴えと は、占有者がその占有を妨害されるおそれが あるときにする占有の訴えであり ( 同法 199 条前段 ) 、占有保全の訴えにより、占有者は、 不動産法律セミナー 占有妨害をする恐れがある者に対して、その 妨害の予防又は損害賠償の担保を請求するこ とができます ( 同条後段 ) 。 そして、この占有の訴えは、妨害の危険の 存する間は、提起することができます ( 同法 201 条 2 項 ) 。 以上の知識をもとに、適切な語句を書き出 しましよう。「占有の妨害の予防又は損害賠 償の担保」、「妨害の危険の存する間」がこれ に当たりますね。 ( 3 ) 解答の作成 上記 ( 1 ) で検討した形式に、上記 ( 2 ) で書き出した語句を挿入しましよう。 のには「妨害の危険の存する間」を、 のには「占有の妨害の予防又は損害賠償の 担保」を挿入することになりますから、「妨 害の危険の存する間、占有の妨害の予防又は 損害賠償の担保を請求することができる。」 となります。 この文章は、制限字数の範囲内に収まり、 かっ、自然な文章表現となっています。 よって、次の解答例のとおりになります。 解答例 妨害の危険の存する間、占有の妨害の予防 又は損害賠償の担保を請求することができ る。 ( 40 字 ) ※下線部分がキーワードです。 ( 4 ) 本問の配点基準 本問では、①「妨害の危険の存する間」、 ②「占有の妨害の予防」、③「又は」、④「損 害賠償の担保」の四つがキーワードになりま す。このキーワードのうち、①に 8 点、② ~ ④に各 4 点で、合計 20 点というところでしよ ( 5 ) 参考 各種の占有の訴えについて、まとめておき ました。整理して、理解しておいてください。 ノ 0 / 20 ノ 6

3. 不動産法律セミナー 2016年10月号

名あて人の所在が判明しなくなったときその 他処分後において理由を示すことが困難な事 情があるときを除き、処分後相当の期間内に、 処分理由を示さなければなりません ( 同条 2 項 ) 。 このように、不利益処分の理由は、当該理 由を示さないで処分をすべき差し迫った必要 がある場合でも、事後に理由を示さなければ なりません。例外は、二つ。名あて人の所在 が判明しなくなったときと処分後において理 由を示すことが困難な事情があるときです。 以上の知識をもとに、適切な語句を書き出 しましよう。「名あて人の所在が判明しなく なったとき」及び「処分後において理由を示 すことが困難な事情があるとき」がこれに当 ( 3 ) 解答の作成 たりますね。 以上の推敲作業により、次の解答例のとお に直しましよう。 まず、事案に即して、「名あて人」を「 B 」 しましよう。 かっ、より自然な文章表現となるように推敲 この文章を、制限字数の範囲内に収まり、 となります。 理由を示すことが困難な事情がある場合。」 在が判明しなくなった場合と処分後において 入することになりますから、「名あて人の所 由を示すことが困難な事情があるとき」を挿 ったとき」を、には「処分後において理 のには「名あて人の所在が判明しなくな で書き出した語句を挿入しましよう。 上記 ( 1 ) で検討した形式に、上記 ( 2 ) 解答例 りになります。 において理由を示すことが困難な事情があ B の所在が判明しなくなった場合と処分後 る場合。 ( 42 字 ) ※下線部分がキーワードです。 不動産法律セミナー ( 4 ) 本問の配点基準 本問では、①「 B の所在が判明しなくなっ た」、②「処分後において理由を示すことが 困難な事情がある」の二つがキーワードにな ります。このキーワードに各 10 点で、合計 20 点というところでしようか 2 行政不服審査法 次に、行政不服審査法の問題を解いてみまし よっ。 問題行政不服審査法 16 条の規定する標準 審理期間は、どのような内容のものと定義 されているか。 40 字程度で記述しなさい。 ( 1 ) 形式の検討 どのような形式の解答が要求されているか を考えましよう。問題文は、「標準審理期間 は、どのような内容のものと定義されている か」と問うています。したがって、解答は、 「のをいう。」としなければなりません。 ( 2 ) 内容の検討 平成 26 年の行政不服審査法の改正により、 迅速な審理が確保するため、標準審理期間の 設定の規定が設けられました ( 同法 16 条 ) 。 この規定によれば、標準審理期間とは、審 査請求がその事務所に到達してから当該審査 請求に対する裁決をするまでに通常要すべき 標準的な期間であると定められています。 以上の知識をもとに、適切な語句を書き出 しましよう。「審査請求がその事務所に到達 してから当該審査請求に対する裁決をするま でに通常要すべき標準的な期間」がこれに当 たりますね。 ( 3 ) 解答の作成 上記 ( 1 ) で検討した形式に、上記 ( 2 ) で書き出した語句を挿入しましよう。 のには「審査請求がその事務所に到達し てから当該審査請求に対する裁決をするまで に通常要すべき標準的な期間」を挿入するこ ーノ石ー ノ 0 / 20 ノ 6

4. 不動産法律セミナー 2016年10月号

【各種の占有の訴え】 要件 請求内容 占有を妨占有の妨妨害の存 害された 害の停止する間又 とき 及び損害 はその消 の賠償 滅した後 1 年以内 占有を妨占有の妨妨害の危 害される 害の予防険の存す おそれが又は損害 る間 あるとき 賠償の担 保 占有を奪占有物の 占有を奪 われたと 返還及び われた時 き 損害の賠 から 1 年 償 以内 図 5 訴えの提 起期間 行政書士 ①賃貸借契約 占有保持 の訴え ②不法占有 甲家屋 占有保全 の訴え 本問のような不法占拠の事例においては、 一般に、賃借人は、不法占拠者に対し、①賃 借権に基づく妨害排除請求権、②占有の訴え ( 占有回収の訴えなど ) 、③建物所有者の有す る妨害排除請求権の代位行使のいずれかを行 使することが可能です。 本問については、 A は、いまだ賃借権の登 3 債権 己を備えていないため、①の手段は不可能で さらに、債権の問題を解いてみましよう。 あり、また、 A は、甲家屋の占有をはじめて いないため、②の手段も不可能です。 問題 A は、 B からその所有する甲家屋を そこで、 A は、③の手段によることになり 借り受けた。しかし、甲家屋には、何ら占 ます。この方法は、賃貸借契約上の債権 ( そ 有権限を有しない C が住みついていた。 の中でも、賃借人が賃貸人に対して有する目 の場合に、 A が C を甲家屋から追い出すた 的物の使用・収益権 ) を被保全債権として、 めに、どのような法的手段をとることがで 賃貸人の不法占拠者に対する所有権に基づく きるか。 40 字程度で記述しなさい。なお、 妨害排除請求権を代位行使するものです。 A は、いまだ賃借権の登記を備えておらず、 以上の知識をもとに、適切な語句を書き出 また、甲家屋の占有をはじめていない。 しましよう。「賃貸借契約上の債権を被保全 債権として、賃貸人の不法占拠者に対する所 ( 1 ) 形式の検討 有権に基づく妨害排除請求権を代位行使す どのような形式の解答が要求されているか る」がこれに当たりますね。 を考えましよう。問題文は、「 A が C を甲家 ( 3 ) 解答の作成 屋から追い出すために、どのような法的手段 上記 ( 1 ) で検討した形式に、上記 ( 2 ) をとることができるか」と問うています。し で書き出した語句を挿入しましよう。 たがって、解答は、「のの法的手段をとる [ ① ] には「賃貸借契約上の債権を被保全債 ことができる。」としなければなりません。 権として、賃貸人の不法占拠者に対する所有 ( 2 ) 内容の検討 権に基づく妨害排除請求権を代位行使する」 どのような内容にするか。図を書きながら、 を挿入することになりますから、「賃貸借契 検討してみましよう。 約上の債権を被保全債権として、賃貸人の不 ノの 2 硼 6 不動産法律セミナー 占有回収 の訴え 一三ロ

5. 不動産法律セミナー 2016年10月号

があるなどした場合には、審査庁は、相当 の期間を定め、その期間内に不備の補正を 求め、又はその審査請求を却下しなければ ならない。 5 審査請求人は、裁決があるまでは、いつ でも審査請求を取り下げることができる。 ければならない。 2 法人でない社団又は財団も、代表者又は 管理人の定めがある場合、その名で審査請 求をすることができる。 3 多数人が共同して審査請求をしようとす るときは、 3 人を超えない総代を互選する ことができる。 4 審査請求の代理人は、各自、審査請求人 のために、審査請求の取下げを除き、当該 審査請求に関する一切の行為をすることが できる。 5 利害関係人は、審理員の許可を得て、当 該審査請求に参加することができる。 ◆解答 1 妥当でない。処分についての審査請求は、 処分があったことを知った日の翌日から起算 して「 3 月」以内に、しなければなりません 2 妥当でない。審査請求は、原則として、審 査請求書を提出してしなければなりませんが、 ◆解答 他の法律 ( 条例に基づく処分については、条 1 妥当である。 9 条 1 項本文。 例を含みます。 ) に口頭ですることができる 2 妥当である。 10 条。 旨の定めがある場合は、口頭ですることがで 3 妥当である。 11 条 1 項。 きます ( 19 条 1 項 ) 。 4 妥当でない。審査請求の代理人は、各自、 3 妥当でない。審査請求をすべき行政庁が処 審査請求人のために、当該審査請求に関する 分庁と異なる場合における審査請求は、処分 一切の行為をすることができる。審査請求の 庁を経由してすることができます ( 21 条 1 項 取下げについても、特別の委任を受けた場合 前段 ) 。 には、することができる ( 12 条 2 項 ) 。 4 妥当でない。審査庁は、審査請求書の必要 5 妥当である。 13 条 1 項。 的記載事項に記載漏れがあるなどした場合に 以上により、正解は 4 です。 は、相当の期間を定め、その期間内に不備を 補正すべきことを命じなければなりません 審査請求の手続 ( 23 条 ) 。審査請求は、行政手続法における場 合と異なり、その数が少ないことから、審査 問題行政不服審査法に関する次の記述のう 請求書に不備がある場合に、いきなり却下す ち、妥当なものはどれか。 ることは許していません。 1 審査請求は、処分があったことを知った 5 妥当である。 27 条 1 項 日の翌日から起算して 60 日以内に、しなけ 以上により、正解は 5 です。 ればならない。 2 審査請求は、審査請求書を提出してしな ければならず、口頭ですることはできない。 3 審査請求をすべき行政庁が処分庁と異な る場合における審査請求は、当該審査請求 をすべき行政庁に対して行わなければなら ず、処分庁を経由してすることはできない。 4 審査請求書の必要的記載事項に記載漏れ ノの 20 ノ 6 特集 3 ( 18 条 1 項本文 ) 。 審理手続 問題行政不服審査法に関する次の記述のう ち、妥当でないものはどれか。 1 審理員は、審査庁から指名されたときは、 直ちに、審査請求書又は審査請求録取書の 不動産法律セミナー

6. 不動産法律セミナー 2016年10月号

す ( 3 条 ) 。 3 妥当でない。審査請求は、再調査の請求を することができないときにすることができる 旨の規定は存在しません。 4 妥当でない。行政庁の処分についての再調 査の請求は、「行政庁の処分につき処分庁以 外の行政庁に対して審査請求をすることがで きる場合において、法律に再調査の請求をす ることができる旨の定めがあるとき」に限り、 することができます ( 5 条 1 項本文 ) 。 5 妥当でない。行政庁の処分についての再審 査請求は、「行政庁の処分につき法律に再審 査請求をすることができる旨の定めがある場 合」に限り、当該処分についての審査請求の 裁決に不服がある者は、再審査請求をするこ とができます ( 6 条 1 項 ) 。 以上により、正解は 2 です。 問題行政不服審査法に関する次の記述のう ち、妥当なものはどれか。 1 行政不服審査法は、処分についての審査 請求において、列記主義を採用している。 2 国税犯則事件に関する法令に基づいて国 税庁長官がする処分は、行政不服審査法の 審査請求の対象となっていない。 3 外国人の出入国又は帰化に関する処分は、 行政不服審査法の審査請求の対象となって いる。 4 地方公共団体の機関が条例に基づいてす る処分は、行政不服審査法の審査請求の対 象となっていない。 5 行政不服審査法は、不服申立てをするこ とができない処分を列挙しているが、その 列挙事項につき、別に法令で当該処分につ いての不服申立ての制度を設けることはで きない。 ◆解答 1 妥当でない。処分についての審査請求にお ける列記主義とは、法律が特に列記した処分 不動産法律セミナー についてのみ不服申立てをすることができる とする建前をいいます。これに対し、一般概 括主義とは、法律に例外の定めがある場合を 除き、原則として、すべての処分について不 服申立てをすることができるとする建前をい います。行政不服審査法は、処分についての 審査請求において、一般概括主義を採ってい ます ( 2 条、 7 条 1 項 ) 。 2 妥当である。国税犯則事件に関する法令に 基づいて国税庁長官がする処分は、適用除外 とされ、行政不服審査法の審査請求の対象と なりません ( 7 条 1 項 7 号 ) 。 3 妥当でない。「外国人の出入国又は帰化に 関する処分」は、適用除外とされ、行政不服 審査法の審査請求の対象となりません ( 7 条 1 項 10 号 ) 。 4 妥当でない。行政不服審査法は、地方公共 団体の機関が条例に基づいてする処分を適用 除外としてはいません ( 7 条参照 ) 。したが って、地方公共団体の機関が条例に基づいて する処分は、行政不服審査法の審査請求の対 象となっています。 5 妥当でない。行政不服審査法は、審査請求 をすることができない処分について列挙して います ( 7 条 1 項 ) 。しかし、当該規定によ り審査請求をすることができない処分につき、 別に法令で当該処分の性質に応じた不服申立 ての制度を設けることは、許されています 以上により、正解は 2 です。 ( 8 条 ) 。 審査庁及び審理関係人 問題行政不服審査法に関する次の記述のう ち、妥当でないものはどれか。 1 審査請求がされた行政庁は、原則として、 審査庁に所属する職員又は当該行政庁が作 成した名簿に記載されている者のうちから 審理手続を行う者を指名するとともに、そ の旨を審査請求人及び処分庁等に通知しな ーノ 06 ー 7 の 20 ノ 6

7. 不動産法律セミナー 2016年10月号

容されることを他の請求の審判申立ての解除条件とする併合態様である。問題文事案は、法律上 両立しえない請求であるから選択的併合にはあたらない。問題文事案は、法律上両立し得ない複 数の請求に順序を付け先順位の請求が認容されることを解除条件として後順位の請求について審 判を求める併合態様である予備的併合にあたる。したがって、本問は誤っている。 →併合された請求は、同一の訴訟手続で審理・裁判されることから、争点整理、弁論及び 証拠調べは、全ての請求のための共通の判断資料となる。 正しい。 問題文記載の通りである ( 最判昭和 41 ・ 4 ・ 12 ) 。 単純併合・予備的併合・選択的併合とも弁論の分離や一部判決は許されない。 誤り。 単純併合の場合は、弁論の分離や一部判決は可能であるが、予備的併合・選択的併合の場合は、 手続きが分かれると訴訟追行上の不便や判断の不統一を招くことになるから、弁論の分離や一部 判決は許されない。したがって、本問は誤っている。 く訴えの変更 > 問題訴えの変更の追加的変更とは、旧請求を維持しつつ新請求を追加する場合をいい、交換 的変更とは、新請求を追加してその訴訟係属後に旧請求を取り下げるかまたは放棄する場合をい ー正しい。 問題文記載の通りである ( 最判昭和 32 ・ 2 ・ 28 ) 。 訴えの変更の要件は、①請求の基礎に変更がないこと、②事実審の口頭弁論終結前であ ることである。 誤り。 訴えの変更の要件は、問題文記載の①、②に加えて③著しく訴訟手続きを遅滞させないことで ある ( 民訴法 143 条 1 項 ) 。したがって、本問は誤っている。 →裁判所が、訴えの変更を許さない旨の決定をした場合、独立した不服申立ては許されな 正しい。 訴えの変更を許さない旨の決定は中間的裁判であり、本案との関連が密接で口頭弁論中にされ る裁判なので、独立した不服申立ては許されない。したがって、本問は正しい。 問題・訴えの交換的変更がなされた場合は、旧請求の従前の審理の結果は、新請求についての 裁判資料とすることができない。 誤り。 訴えの追加的変更・交換的変更とも、旧請求についての従前の審理の結果は、すべてそのまま 新請求についての裁判資料となる。したがって、本問は誤っている。 司 法 士 ノの 20 ノ 6 不動産法律セミナー

8. 不動産法律セミナー 2016年10月号

問題前訴で 100 万円の債権の支払請求をして請求棄却判決を受けた原告が、再び同一の 100 万 円の債権の支払請求をした場合、前訴の口頭弁論終結時後の新事由があれば、後訴は前訴の既判 力の効果で請求棄却されることはない。 正しい。 既判力は、前訴の口頭弁論終結時 ( 基準時 ) までの事由に及び、その後の事由には及ばない。 したがって、本問は正しい。 前訴で 100 万円の債権の支払請求をして請求認容判決を受けた原告が、再び同一の 100 万 円の債権の支払請求をした場合、後訴は原則として既判力により請求棄却される。 誤り。 問題文事案では、既判力の問題とはならず、請求認容判決を得ている者がする再訴として訴え の利益が問題となる。原則として、訴えの利益は認められず、再訴は却下される。もっとも、時 効中断のためや判決原本が滅失した場合などは、例外として訴えの利益が認められ、再訴は適法 となる。したがって、既判力により請求棄却されるとしている点で本問は誤っている。 →前訴の建物の所有権確認訴訟で勝訴した原告は、前訴被告から建物収去明渡しを請求さ れた場合、その建物の所有者ではないと主張できない。 正しい。 既判力の効果は、その効力の及ぶ当事者相互間に、有利にも不利にも働く双面性を有している。 したがって、本問は正しい。 前訴判決の口頭弁論終結時前に生じていた取消事由に基づき、後訴で取消権を行使した ときは、既判力によりその行使が遮断される。 正しい。 問題文記載の通りである ( 最判昭和 55 ・ 10 ・ 23 遮断効 ) 。 →前訴判決の口頭弁論終結時前に生じていた相殺権に基づいて、基準時後に相殺権を行使 したときは、既判力によりその行使が遮断される。 誤り。 相殺は、前訴の訴訟物とは直接に関係のない別個の債権を持ち出してこれを犠牲に供するもの であるから、これを行使するか否かは債権者の自由であり、既判力の遮断効は及ばない ( 最判昭 和 40 ・ 4 ・ 2 ) 。したがって、本問は誤っている。 [ÄD 建物収去土地明渡請求訴訟で、被告が借地借家法 13 条の建物買取請求権を行使せず請求 認容判決が確定した後であっても、被告は建物買取請求権を行使することができる。 ー正しい。 問題文記載の通りである ( 最判平成 7 ・ 12 ・ 15 ) 。なぜならば、建物買取請求権は建物収去土 地明渡請求権に付着した瑕疵ではなく別個の権利であり、借家人及び建物保護の観点から判決確 定後もその行使を認めるべきであるからである。したがって、本問は正しい。 不動産法律セミナー ーノ 50 ー ノ 0 / 20 ノ 6

9. 不動産法律セミナー 2016年10月号

分及び不作為のみをその対象としています。 そして、行政指導のような非権力的行為は 「処分」にあたらず、不服申立ての対象とな らないと解されています。 5 妥当である。行政不服審査法において「不 作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対 して何らの処分をもしないことをいいます ( 3 条括弧書 ) 。したがって、不作為に対する 審査請求が認められるのは、行政庁が法令に 基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの 処分をすべきにもかかわらず、これをしない ◆解答 場合になります。 1 妥当である。行政不服審査法は、行政事件 以上により、正解は 4 です。 訴訟法と異なり、「違法な」処分のみならず 「不当な」処分についても、不服申立ての対 問題行政不服審査法に関する次の記述のう 象とし、行政の適法性の確保のみならず、行 ち、妥当なものはどれか。 政裁量の合目的性を確保するために、行政庁 1 行政不服審査法が定める「不服申立て」 自ら処分を見直すという自己統制の機会を与 には、審査請求、再審査請求、調査の請求 えています ( 1 条参照 ) 。 及び再調査の請求の 4 つの種類がある。 2 妥当である。行政不服審査法 1 条 2 項は、 2 行政庁の不作為については、申請者は、 「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる 審査請求のみをすることができる。 行為 ( 以下単に「処分」という。 ) に関する 3 審査請求は、再調査の請求をすることが 不服申立てについては、他の法律に特別の定 できないときにすることができる。 めがある場合を除くほか、この法律の定める 4 行政庁の処分についての再調査の請求は、 ところによる。」と規定し、①行政不服審査 法律に再調査の請求をすることができる旨 法が行政上の不服申立ての一般法としての性 の定めがない場合であっても、することが 格を有していること、②他の法律に特別の定 できる。 めがある場合は、その法律の定めが行政不服 5 行政庁の処分についての再審査請求は、 審査法に優先することを定めています。した 法律に再審査請求をすることができる旨の がって、行政不服審査法は、別に個別の法令 定めがない場合であっても、することがで で特別な不服申立制度を規定することを禁止 きる。 していません。 3 妥当である。行政不服審査法にいう「処 ◆解答 1 妥当でない。行政不服審査法が定める「不 分」概念と行政事件訴訟法にいう「処分」概 念とは、同一であり、行政行為のほか、「公 服申立て」には、審査請求、再調査の請求及 権力の行使に当たる事実行為」 ( 権力的事実 び再審査請求の 3 種類があるのであって ( 2 行為 ) が含まれると解されています。 条、 3 条、 5 条 1 項本文、 6 条 1 項 ) 、「調査 4 妥当でない。行政不服審査法は、処分につ の請求」は存在しません。 いての審査請求 ( 2 条 ) と不作為についての 2 妥当である。行政庁の不作為については、 審査請求 ( 3 条 ) の規定を置き、行政庁の処 申請者は、審査請求のみをすることができま ノの 20 ノ 6 不動産法律セミナー ていない。 3 行政不服審査法にいう「処分」には、事 実行為が含まれる。 4 行政不服審査法に基づく不服申立ては、 行政庁の処分のほか、行政指導についても 行うことができる。 5 不作為に対する審査請求が認められるの は、行政庁が法令に基づく申請に対し、相 当の期間内に何らかの処分をすべきにもか かわらず、これをしない場合である。 特集 3 ーノ 05 ー

10. 不動産法律セミナー 2016年10月号

当事者の既判力は、受寄者には及ぶが賃借人には及ばない。 正しい。 当事者の既判力は請求の目的物の所持者にも及ぶ ( 民訴法 1151 ④ ) が、賃借人のように自己 の法律上の利益のために目的物の占有をする者には及ばない。したがって、本問は正しい。 ー第三者が当事者となったために訴訟から脱退した旧当事者には、既判力は及ばない。 誤り。 訴訟から脱退した旧当事者にも既判力は及ぶ ( 民訴法 48 ) 。したがって、本問は誤っている。 < 執行力と仮執行宣言 > ロ題執行力を有する文書一般を債務名義という。 ー正しい。 問題文記載の通りである ( 民執法 22 ) 。 →仮執行宣言は、当事者が申立てていなくても職権で付することができる。 正しい。 仮執行宣言は申立てまたは職権で付することができる。したがって、本問は正しい。 →仮執行宣言のみに対する不服申立の手段は存在しない。 ー正しい。 仮執行宣言は、訴訟費用の裁判と同様、本案判決に付随してなされる裁判であることから、独 立して控訴を申し立てることはできない。したがって、本問は正しい。 15 求 主月 < 訴えの客観的併合 > →建物明渡請求と明渡しまでの賃料相当額の損害賠償請求のように、請求内容が相互に関 連する場合は、訴えの客観的併合は認められるが、貸金請求と売買代金請求のように相互に無関 係な場合は、訴えの客観的併合は認められない。 ー誤り。 訴えの客観的併合は、相互に無関係な請求の併合でもできる ( 単純併合 ) 。なぜならば、被告 の立場からすれば、他の請求も同時に審理してもらう方が便宜だからである。したがって、本問 は誤っている。 売主が、売買契約の有効を前提として代金支払請求をし、売買契約が無効とされる場合 を考慮して目的物の返還をも請求するのは、選択的併合にあたる。 ー誤り。 選択的併合とは、同一の目的を有し法律上両立することができる数個の請求のうち、 1 つが認 ノの 2 硼 6 不動産法律セミナー