ご親戚の福島至先生にお尋ね致しまし した。七月一三日 ( 日曜日 ) 團藤先生 たところ、「軽井沢別荘と第一法規出ご夫妻のため聖イグナチオ教会大聖堂 版社書庫に預けられた図書類は、龍谷 に行きお祈りをしてまいりました。 ク團藤先生の歩み 大学に贈られました。ご自宅の図書・ ( 職歴等 ) 書簡類は膨大ですが、まだそのままで 昭和四九年五月東京大学名誉教授 す。これから整理や分類・分析をしな 昭和四九年一〇月 5 五八年一一月 ければなりませんが、約一〇年はかか 最高裁判所判事 るでしよう」とのお答えでした。戦後 法制の貴重な資料になると期待してい 昭和五五年四月 5 五八年一月 皇室会議議員 ます。整理され目録が出来れば、日本 昭和五六年一一一月 の宝になります。私は、何かお役に立 日本学士院会員 てることがあればと思っています。 昭和五八年一一月 5 六四年一月 ひとりの図書館員にすぎない私が、 團藤先生ご夫妻の知遇を得ましたこと 東宮職参与 昭和六〇年一一月 5 三月 は、思いがけぬ幸せでした。今はお目 にかかることが叶・いませんが、どうか 皇太子同妃両殿下の主 席随員としてヨーロッ 御夫妻で天国でのご旅行を楽しまれま 。ハ諸国へ出張 すようにと、お祈り申し上げておりま す。 正六位・勲一等旭日大 ( 追記 ) 團藤先生の功績に対して、 綬章 六月一一五日 ( 月曜日 ) 野田内閣の閣議 平成元年一月 5 一二年三月 で正三位が授与されることが決まりま 昭和六二年一一月 宮内庁参与 平成五年四月社団法人学士会理事長 ( 受賞等 ) 昭和四一一年『刑法紀行』〔第一六回 日本エッセイスト・ク ラブ賞受賞〕 昭和六一年一一月 文化功労者 平成三年一一月オーストリア科学芸術 一等名誉十字章 平成七年一一月文化勲章 平成八年四月米国インディアナ州 Sagamore Of the Wabash 章 ( 参考文献 ) 『刑法紀行』昭和四一一年一〇月 ( 創文社 ) 『この一筋につながる』昭和六一年四月 ( 岩波書店 ) 『わが心の旅路』昭和六一年一二月 ( 有 斐閣 ) ( たかやま・きようこ日 元国立国会図書館支部法務図書館法務専門官 ) 書斎の窓 2072. 70
たとえば、不正乗車を毎日往復一一回、 行された ( 明治一六年太政官布告一一三 青森駅間 ( 同じくのちの東北本線 ) が 三〇日間実行すれば、一二〇万円まで 号 ) 。官設の原則がとられてきた鉄道開業し、神戸以西については山陽鉄道 の罰金を科すことができる。一年間続であったが、その後再び鉄道国有法による建設が進められて、明治三四年 けると、上限は一五〇〇万円近くにな ( 明治三九年 ) により国有化が図られ五月一一七日に神戸駅ー馬関駅 ( 現在の る計算である。 るようになるまでの二〇年あまりの間 下関駅 ) 間 ( 現在の山陽本線 ) が全通書 は、政府の財政難から、いわゆる五大した。すでに赤羽駅ー品川駅間には日 金鉄道営業法の制定へ 私鉄会社 ( 日本鉄道、関西鉄道、九州本鉄道が路線を開通させていたから、 鉄道の敷設は、新橋駅ー横浜駅間の鉄道、山陽鉄道および北海道炭礦鉄道 ) このとき青森から下関に至る本州を縦 開業から約一〇年間は官設で進められを中心とする私設鉄道会社も全国規模貫する鉄路が完成したことになる。 た。しかし、明治一六年の時点では、 の鉄道敷設を担うことになる。私鉄会 今日もなお効力を有する鉄道営業法 新橋駅ー横浜駅間が複線化されたほか、 社のうちまず日本鉄道が明治一六年七が制定されたのはその頃 ( 明治一二三年 ) 関西地方の大津駅ー神戸駅間と北海道月二八日に上野駅ー熊谷駅間を開業さである。鉄道が急発達した時代に合わ の手宮駅ー幌内駅間が開業するにとどせるが、その際に、それまで官設鉄道せて鉄道略則と鉄道犯罪罰例を修正し まっている ( 明治一三年、釜石にエ部を前提としていた鉄道略則と鉄道犯罪承継するものとして定められたのであ 省専用鉄道が開業したが、鉱山と製鉄罰例とが私設鉄道にも適用されること った。鉄道略則や鉄道犯罪罰例の具体 所の閉鎖に伴い早くも同一五年に廃止が明確にされたのである。 的な適用状況等は知りうる範囲では資 されている。田中長兵衛経営鉱山鉄道 その後、明治一一二年に官設の新橋料がなく残念ながら分からないが、鉄 として機関車運転が復活するのは明治駅ー神戸駅間 ( 明治四一一年鉄道院告示道営業法の時代に入ると鉄道と刑法の 四四年である ) 。 五四号により東海道本線と名付けられネタも豊富になってくる。 ( わだ・としのり 明治一六年には、鉄道略則と鉄道犯て現在に至る ) が全通したのに続き、 Ⅱ慶應義塾大学大学院法務研究科准教授 ) 罪罰例を私設鉄道にも適用する法が施日本鉄道により明治一一四年に上野駅ー
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タコツボ的状況に陥らずに済んだ。し その結果、このコンファレンスを母が行われている。また、学会誌『消費 かしながら、当時、消費者行動に関心体に学会を設立しようとする意見も多者行動研究』も査読付きの編集体制を を持っ若手研究者の多くは、何を道標 くなり、一九九一一年一一月の第五回コ とり、継続的に発行されている。 に自分の研究を進めていくべきかにつ ンファレンスに合わせて設立総会が開 勿論、必ずしも量的拡大が質的向上 、て、少なからぬ不安を抱いてしオ 、こに催され、日本消費者行動研究学会 ( を保証するものではない。だが、間違 違いよ、。 <<0co) が発足したのである。また、 いなく、わが国の消費者行動研究が、 やがて、こうした状況を打破し、消翌一九九三年には学会誌『消費者行動研究者の面でも、研究内容の面でも、 費者行動研究に関連する学問分野間で研究』も創刊され、ここに日本の消費その厚みを増してきていることは事実 の連携を強化すべきだとする機運が高者行動研究も、学会と学術誌という制である。また、ある意味で、研究者数 まり、研究者間での交流と情報交換の度的な枠組みが整うこととなった ( そ の増加は、大学における消費者行動論 場として、冒頭で紹介した消費者行動の後の歩みについては、学会の の担当教員数の増加とも結びついてお 研究コンファレンスが開催されること サイト http://www.jacs.gr.jp/を参照り、今や、ほとんどの経営系や商学系 とよっこ。 されたい ) 。 一九九〇年六月に大阪で開 の学部・学科において、消費者行動論 催された第一回コンファレンスは、参 が開講されていると言ってもよい。ま テキストの必要性と本書の位置づけ 加者二一一名という小規模なものであっ た、相次ぐ社会人大学院の開設なども たが、回を重ねるごとに参加者数は増 一九九一一年の設立から一一〇年という あり、今日では、学部学生に限らず社 えていった。また、当初、参加者のほ歳月が流れ、今やも正会員数会人大学院生や多くの実務家も、消費 とんどはマーケティング分野の研究者五六七名 ( 二〇一二年六月現在 ) とい 者行動論に関心を寄せるようになっ似 であったが、次第に心理学や社会心理う規模の学会となった。年二回開催さ 窓 学の研究者にも関心を持ってもらえるれるコンファレンスも、この秋で四五 このように消費者行動論を開講する斎 書 ようになった。 回目を迎え、常時、三〇 5 五〇の報告大学・大学院が増え、また、実務家も
行動の分析と理解が不可欠であり、ま らのことだと言われている。 込 税 た、そのためには心理学、社会学、社 例えば、オハイオ州立大学の大学院 著 で消費者行動論のコースが開設された会心理学、文化人類学といった関連分 司喟 . 光 のが一九六五年のこと、また、そこで野の理論や方法論を積極的に援用して 士下 貴松』 , く必要があった。そして、それを後 講義を行う上での必要性から、エンゲ 倉い論頁 ルらが本格的な消費者行動論のテキス押しするかのように、一九六〇年代に 弘壮都 は「行動科学」 (behavioral science) トを出版したのが一九六八年のことで 幸木費判 木々肖六 ある ( その後、彼らのテキストは、版の名の下に、関連諸科学の知識が体系 青佐四 化されていったのである。 を重ねて二〇〇五年には第一〇版が出 その後、消費者行動研究は飛躍的な 実は、消費者行動についてのアカデ版されている ) 。 マーケティング理論の発展を学派発展を遂げ、極めて広範囲且っ膨大な ミックな研究の歴史は古く、伝統的な ミクロ経済学での消費者行動 ( 家計行別・領域別に整理・評価したシェスら量の研究成果が、年々生み出されるよ 動 ) の理論は別としても、その源流をの研究によれば、買手行動学派うになる。特に、一九七〇年代に消費 (buyer behavior school) の研究の者情報処理理論が登場すると、認知科 辿れば、一一〇世紀初頭に行われた広告 心理研究や購買動機研究などにまで辿特徴は、その名が示す通り、市場の顧学の成果を取り込みながら、主要な研 究。ハラダイムへと発展していくま り着く。だが、独自の研究領域として客 ( 買手・消費者 ) に焦点を当て、 「なぜ顧客は市場でそのように行動すた、この頃から、消費者行動論は一つ 「消費者行動」論の重要性が認識され、 様々な分野にまたがる多数の研究者をるのか」という「なぜ」の部分を強調の独立した研究分野として認識される硼 ようになり、一九六九年には米国消費窓 動員しつつ、組織的な研究が行われ始した点にあるという。 すなわち、顧客志向を前提としたマ者行動研究学会 (<0?-) が設立さ斎 めたのは、米国でも一九五〇年代の萌 ーケティング戦略の策定には、消費者れ、その五年後の一九七四年には専門 芽期を経て、一九六〇年代に入ってか 消費者行動論 マーケティングとフランド第へ 0 青木・新意農士々木社大第、総下光司 ] 市場、消費者の。 , 解的確な分 さらにそれをマッテレグに活第す 理論ど枠組み宿瀲底解説し
去る六月四・五日の両日、西宮市の年の記念行事として、秋のコンファレ用』を上梓することができた。 関西学院大学上ヶ原キャン。ハスにおい ンス ( 一〇月一一七・二八日に慶應義塾 本稿では、消費者行動研究の歴史や て、第四四回消費者行動研究コンフア大学三田キャン。ハスで開催予定 ) で 設立の経緯なども簡単に振り レンスが開催された。 は、米国消費者行動研究学会 (Asso- 返りつつ、今回上梓したテキストの位 このコンファレンスは、日本消費者 ciation for Consumer Research: 置づけや特長について紹介したい。 行動研究学会 (Japan Association ACR) の現会長ら三名の研究者を招 消費者行動研究の始まり for Consumer Studies: JACS) が、 聘し、記念講演が計画されている。 春と秋の年一一回開催しているもので、 このように、本年は、わが国の消費 われわれの日々の生活は、様々な製 今回は学会設立一一〇周年を記念して、 者行動研究において節目の年となる 品やサービスを購入し、消費 ( 使用 ) 三つの基調講演と二つの。ハネル・ディ が、その記念すべき年に、新倉貴士・ し、処分することで成り立っている。 スカッション、そして統一論題と自由佐々木壮太郎・松下光司の諸氏と共著このような生活を創造し維持するため 論題を合わせて、三五の研究発表が行 で、有斐閣アルマ『消費者行動論【マ に消費者が行う活動を総称して「消費 われた。また、引き続き、設立一一〇周 ーケティングとプランド構築への応者行動」と呼ぶ。 消費者行動研究と学会、そしてテキスト 有斐閣アルマ『消費者行動論』の刊行に寄せて 木 幸 書斎の窓 2 硼 2.
マルクス日く、人間がふれる自然と ポリネシアの人々がハワイ諸島を発見ア人の乗った帆付きのカヌーを再現し は実は「人間化された自然」であり、 してから数百年の間、 ハワイは不毛のた「ホクレア号」が建造され、ミクロ 「自然は人間の制作物」でさえある火山島のままであったが、西暦一〇〇ネシアの航法師の導きによって近代的 ( 『経済学・哲学草稿』 ) 。もっとも、マ〇年頃にポリネシアの島々で高まった な航法用具を使わずにハワイからタヒ ルクスがハワイ島を訪れていたら少し人口圧力に押し出されてタヒチからハ チに無事渡ることに成功した ( 池澤夏 考えが変わっていたかもしれない。 地ワイに大規模な移住が行われた。 樹『ハワイイ紀行』新潮社、一九九六 中から吹き出たマグマが固まったばか 最も近い島からでも一一〇〇〇キロは年 ) 。 りのようなハワイ島の荒々しい風景を離れているハワイに、動力も羅針盤も タヒチからの移住者たちはハワイに 見たら、自然を人間化する人間の力に持たないポリネシア人たちがどのよう定住するために必要なさまざまなもの も限界があることを悟らざるをえない。 に渡ったのか謎とされていたが、星のをカヌーに積み込んできた。すなわち、 ハワイ諸島に初めて人間が上陸したの位置を目印として、潮流、鳥や浮遊物タロイモ、椰子、バナナ、。ハンの実、 は紀元三 5 八世紀頃と推定されている なども観察しながらポリネシア人たち豚、鶏、犬などである。太平洋の真ん が、その人々が最初に見たのもこの は遠い海を渡ってきたのだろうと考え中に鋭く突き出たハワイ諸島は農業を 荒々しい不毛の光景だったに違いない。 られている。一九七六年にはポリネシ営むには絶好の環境であった。った 〔連載〕中国を歩く、世界をみる ハワイのなりたち 丸川知雄 第 8 回 書斎の窓 2 硼 2 ル
道と刑法」の歴史が始まる。近代刑法まり前 ( 旧暦一一月一一八日 ) に布告され、 鉄道の開業 仮開業日に施行されている。 典 ( いわゆる旧刑法 ) が成立するのは 周知のとおり、我が国で初めて営業明治一三年であるから、鉄道と刑法の 鉄道略則 用鉄道が開通したのは新橋駅 ( のちの歴史はそれよりも古いことになる。 全二五か条からなる鉄道略則は、鉄 鉄道犯罪罰例は、「鉄道略則」 ( 明治 汐留駅 ) ー横浜駅 ( 現在の桜木町駅 ) 間である。正式開業は明治五年一〇月五年太政官布告六一号。同一四六号で道の開業に際して国民に鉄道の利用法 改正 ) の違反行為に対する処罰を定めを教えるものであった。初めの数か条 一四日 ( 旧暦九月一二日 ) であるが、 た法である。すなわち、乗客等が守るを見てみよう ( 施行時の条文である。 それに先立ち、同年六月一一一日 ( 旧暦 五月七日 ) には品川駅ー横浜駅間が仮べき一次的ルールをまず鉄道略則が定旧字体は改め、句点を打った ) 。 開業している。そして、その仮開業のめ、それに違反する行為の処罰を鉄道 第一条賃金之事 三日前に布告されたのが「鉄道犯罪罰犯罪罰例が一一次的に定めていたのであ 何人ニ不限鉄道ノ列車ニテ旅行セ る。一次的ルールを定めた鉄道略則は、 例」 ( 明治五年太政官布告一四七号 ) ント欲スル者ハ先賃金ヲ払ヒ手形 である。ここに、我が国における「鉄品川駅ー横浜駅間の仮開業の二か月あ 〔連載〕鉄道と刑法 輝かしき鉄道刑法史の幕開け 和田俊憲 第 1 回 書斎の窓 2 似 2 70
して 6 年生となったことくらし 、。小学校の 6 編集後記 年間があんなに長かったのに、この 6 年間の 先頃、岩手県田老町の城壁のような防 短さといった , り : 潮堤の上に立ってきました。昭和四一年 に完成した、高さ一〇メートルの堤防で 六法編集室から : ・ す。 3 ・ 11 以前なら、遠くまで家並みが 雑誌編集室から : ・ あれだけ待ち遠しかった秋も、いざ来てし 続いていたのでしようが、今はただ家々 まうと何とも言えず寂しい気持ちに。それも の土台のコンクリートを残すばかりで、 2 度目の「節電の夏」。雑誌編集部では暑また「秋ーの特徴でしようか。 見渡す限りの広がりとなっていました。 さに負けず、秋の新学期シーズンに向けて新秋と一『〕えば実りの秋ですが、六法編集部で丁度、原爆投下後の広島の写真を見るよ 刊作業に励みました。 6 年ぶりの改訂となるも今年度版六法の刊行にむけ、編集作業が本 うでした。本誌六月号の巻頭言で、野家 「行政判例百選。は今回で第 6 版。旧版刊行格化しています。今回作業的に影響が大きい 啓一先生が報告されている「殺風景」そ 以降、行政法分野でも注目すべき重要判例がのが「税と社会保障の一体改革関連法ーで のものの世界と化していました。 続き、法改正も含めて最新の動向を網羅します。勿論こういう名前の法律があるわけでは この何もない世界を前にしては、心の した。行政法分野の理論研究と、判例学習のなく、幾つもの法律が成立し、それらによっ中に乾いた世界が広がるばかりで、何ら 一層の充実に向けて、お役に立てましたら幸て多くの他の法律が改正されていきます。特込み上げてくるものがありません。自分 いです。 に消費税が八 % 、一〇 % と一一段階に上がるとの感性のなさを恥じ入るばかりでした。 移動の車の中で、それでも何とか気持 さらにさかのばり 8 年ぶりの改訂となるの うことは、施行日が一一段階となるというこ ちの整理をしようと、「青葉見る山裾 が、ジュリスト増刊「ケーススタディ生命とで、作業が複雑となります。 までの廃墟かな」「地団駄を田老堰 倫理と法〔第 2 版〕」。「医」と「法」の対話この様な場合、従来の原則では、公布され にて踏みにけり」「 : ・ : 」と、言葉を によって双方の分野に望まれる「調和」とはた改正は全て本文に織り込み、施行日が来る 並べてみましたが、三陸の風景は俳句な 何なのか。様々なケースをもとに検討しままで有効な規定のほうを「注記」としており どへの昇華をうけつけるものではありま す。さらに、刻々と変化を続ける最新医療科ますが、今回そのやり方ですと誌面が複雑に せんでした。 学の分野もカバ 。いかに現場に携わる人たなりすぎ読者の方の利便性を損なうと考え、 その日の宿は、盛岡の西方にある鶯宿 ちがアプローチをすべきか、読者の方にも新本年の「判例六法プロフ = ッシ = ナル」と温泉の近代的ホテルでした。早朝の露天 たな視点を提供します。 2 冊とも今年の夏の「六法全書」は一部の法律で、施行が先の規 ぶろから眺める東北の山々は、青空の下、 「暑さ」と、ご執筆者・編集室の「熱さ」がっ程は本文に織り込まず、補遺としてウエプサ深い緑におおわれ、どこまでもやさしい まった「厚さ」に仕上がりました。携わられイトに掲げることを予定しております。ま広がりを見せてくれました。ここが同じ 窓 た多くの先生方にお礼申し上げます。 た、これらに先立ち、「ポケット六法」「判例岩手県であるのが不思議なくらいでした。 6 年ぶりに第 6 版。「 6 」っながりで思い 六法ーも最新の内容で一〇月中に刊行されまわずか半日ほどの距離のところに、天国斎 (0) 書 つく 6 を探してみましたが、今年で編集人とす。どうぞご期待下さい。 (e) と地獄の世界がありました。 * 編集室の窓 *
私は、他の三人の国際法同僚と共に では、同書にまつわる周辺事情をお伝 かいうることは、とりあえずは前提と えしたい。 『国際法』を二〇一一年暮れに上梓し して良いと思われる。私自身、二〇〇 た。私がこの仕事をお引き受けしたの 〇年に最初の講義を担当する少し前か 国際法の体系 は既に交流のあった優れた共著者と共 ら自分なりの体系観を構築しようと努 にイ事か出来るということが一番大き 「世界ーがどのように見えるか、どめてきたし、諸先生から本書への多く な理由であり、また、授業では比較的のように見るべきかは、国際法に限ら の反応は従来の教科書と異なる構成に 詳しいレジュメを配付していたので、 ず研究者にとってライフ・ワークとも 対してだった。 それを文章化すれば比較的容易に完成呼ぶべきものであり、時代がかった表 しかし、それらを裏切る形になって に辿り着けるという大変甘い見込みも現を用いれば ( それ故に適宜読み換え 恐縮なのだが、私達共著者間では「体 あった。もちろん、一研究者として、 てもらいっ 3 、「永遠に女性なるもの」系」を徹底して議論したわけではない。 行く行くは「国際法ーを一人で論述し (Das ewig Weibliche 、ファウスト ) というのは、この課題があまりにも学窓 てみたいという ( 今や無謀な ) 野心の である。その際、その認識枠組たる者としての個性、しいていえば存在意斎 書 一過程とも捉えていた。このエッセイ「体系」によって大いなる高みへと向義に関わるものであるために、もし四 リレー連載・国際法 時代的な、そして反時代的な ーーー共著『国際法』三〇一一年 ) 執筆に寄せて 寺谷広司 第回