↓ o という順番ではという結果が 非エルゴード性 ( 経路依存 ) 複数均衡 起こることを指している。事象の発生 エルゴード性というのは、本来、集する ( ゲーム論で用いられるフォーマ 複数均衡という概念は、。 ケーム論に 合平均と時間平均が一致する性質のこ ル・モデルでは表現できない ) 順番がおいて、場合によっては均衡点が複数 とをいう。たとえば、一〇〇〇個のサ重要ということである。フィギュアス ある状態を指している。 イコロを一気に転がした場合、出る目 ケートのような採点競技において、演 たとえば、交通方法では自動車が右 の平均は三・五となるであろう ( 集合技の順番が得点に影響を及ばすことは 側通行の国もあれば、左側通行の国も 平均が三・五 ) 。他方、一個のサイコ広く知られている。これなどは非エル ある。どちらの交通方法が合理的とい 口を一〇〇〇回転がした場合も、出る ゴード性のわかりやすい例である。 うものではない。どちらかに統一して 目の平均はやはり三・五となるであろ 公共政策の分野では、たとえば加藤おけばよいだけである。これは日本も う ( 時間平均が三・五 ) 。この場合、 淳子は消費税の導入のタイミングが、 批准している「道路交通に関する条約」 集合平均と時間平均が一致するのでエ導入や税率引き上げに対する抵抗の強が要求していることでもある。 ルゴード性があるという。したがって、 さを左右すると指摘している。また、 各国がどちらの方式を選ぶかは、お 、プリック・マ 非エルゴード性とは集合平均と時間平各国におけるニュー そらくは過去の経緯や共有された知識 均とが異なることを指す。したがって ネジメントに属する各種施策の成功の ( いわゆるシェリング・ポイント ) な また、試行の順番を変えた時間平均程度は、施策の導入の順番によって左どで決まる。そして一度決まった方法 と時間平均もまた異なることになる。右されるという研究もある。多様な政を変更するには多大な混乱と危険が伴 「時間」を重視する議論においては、策が織りなす現代行政を研究するため うために、通常は変更しないだけであ この考え方を拡張して、事象、、 には、今後ますます、非エルゴード性る。その方法自体に合理性があるから窓 o がある場合、↓ -O ↓ o という順番について具体的に研究する必要があ というわけではない。交通方法はそれ斎 書 る。 では >< という結果が得られるが、↓ ぞれの国においてロックインされてい
だ、学術的にもかなり深い検討を要す ternational 一 aw の訳語、つまり、日 酒井さん・寺谷さん・西村さんとい るこの疑問については別の機会に議論本語である。ここに、及めども尽きぬ う敬愛する僚友と『国際法』 ( 有斐閣、 一一〇一一年 ) を執筆する機会に恵まれするとして、ここでは、より技術的で悩みがある。 研究者が研究を進める動機には、 ありながら ( であるが故に ? ) 深刻な たことは、この上ない幸運であった。 という素朴な 回数の記録も記憶もないほどの会合に他の二つの疑問について記しておきた「良い」研究をしたい、 い。以下、上記『国際法』について述思いが根底にある。では、どのような おいて重ねに重ねた議論は、まさにか べることは、すべて私個人の見解であ研究業績が「良い」か。もちろん、そ けがえのない財産となっている。 り、執筆者の共通意見とは限らないこれは学問共同体における相互批判を通 そのように充実した作業の最中、私 じて判断することになるが、国際法の とをお断りしておく。 は大きな疑問を三つ抱き続けていた。 場合、忘れてはならない要素がある。 最大の疑問は、「国際」法という把握 —「国際法」 ? それは、それが「国際」法であること の方法がいつまで有意義であり続ける に起因する。つまり、あまりに当然な 「国際法は、言うまでもなく一 n ・ のだろうか、ということであった。た リレー連載・国際法 われわれは国際法の教科書を いつまで書き続けるのか 濵本正太郎 第回 書斎の窓 2 似 2
家主席だった江沢民が工場見学に訪れして発酵することでアルコールを生成ジョレーなどと細かく区分けされてい るのを迎えるために造ったのだという。する、と説明される。だが、実際のと る。同じブドウの品種でも場所によっ 五糧液の工場は国有企業だったが、儲ころ果汁に含まれる糖分だけでは目標てワインの値段が違うとなれば不正が かっているのでいくら金を無駄に使っ とするアルコール濃度に達しないこと起きないか心配になるところだが、フ ても政府に怒られない。 か多いので、糖を加えることが多いよ ランスでは地方自治体の役人が監督し書 ワインの工場の隠し事といえば、ワ うだ。山梨県のワイン工場を見学しこ オているのだという。また、ワイン自体 インを作る際に糖を加えていることでとき、説明を聞きながら歩いていたら、 の性質にも産地証明を可能にする要素 ある。ワイン工場を訪問すると、ワイ地面に六〇入りのブドウ糖の袋が置がある。木からつみ取られたブドウは ンは、酵母がブドウの果汁を栄養素と いてあったが、案内嬢は何も見なかっ籠のなかに積み重ねられていき、一部 たかのようにその横を通り過ぎていっ はつぶれて少し発酵も始まってしまう。 イ ワ だからワインの製造は畑からそれほど さて、ワインに関しては ) フランス遠い場所で行うことはできない ( 写真 3 ) 。これが白酒、ウイスキー、日本 の産地証明 (Appellation d'Origine ュ Contrölée) という素晴らしいシステ酒など穀物を原料とする酒の場合、穀 ュ ムがある。ポジョレー ・ヌヴォーで有物は遠距離運送できるので穀物の産地 ジ 名なジョルジュ・デュブッフの工場証明は成り立ちょうがない。中国四川 ジ ( 写真 2 ) の屋上に上って周りを見渡せ省の白酒も原料は遠く東北部から運ば ば、一面のブドウ畑であるが、緩やかれてくる。ではなぜ四川省が銘酒の産 ラ造 に起伏しながら広がる緑の大地が、て地なのかといえば、曇天が多い風土が よろしいのだという。同様の説明はス っぺんに教会のある丘の一面は特級畑 コットランドでも聞いた。 (Grand cru) 、その周りはその他ボ 」 0
度のことであれば、 ~ 当然ながら、私個科書を読みたいというのはよほど熱心 ビジネスチャンスだ、と思っている。 人でもかなりの部分実行可能である。 な人だろうから、 Goog 一 e 等で検索で発想や技術の独自性がこれまで以上に 実際、少しずつ試みつつあり、もしそきるようにしておけば十分である。 求められるからである。電子教科書の れなりに充実したものができれば公開 このような流れの中で出版社に存在編集コストは格段に高くなるはずで、 することも考えられる。国際法研究者意義が残るとすれば、出版社ならでは それはすなわち出版社の利益が増大す の場合、日本語の教科書刊行で儲けるの企画力と編集力ということになろう。 ることを意味する。他方、印刷・輸 ことはほばあり得ない ( と思う ) ので、 その中には、電子化とは無縁に意義を送・返本コストがゼロになるので、電 無料で公開して構わないし、利用者と持ち続けるものもある。たとえば、放子教科書の価格が紙媒体のそれを上回 しても無料でアクセスできるのであれ っておいたのでは教科書を書きそうに ることはないはずで、読者にも利益と ばそれに越したことはなかろう。執筆ない潜在的執筆者を発掘することや、 なる。逆に、もし対応しないままでい 者がパソコンで作成したものを本にし いつまでも原稿を出さない執筆者を叱れば、これまで電球を作ったことのな て販売するだけであれば、出版社はも咤激励すること、利用者の視点を執筆かった会社がの普及に伴って大 はやいらない。ウエプ上に公開すれば者に伝えることなどである。電子化さ量に電球市場に参入したように、出版 足りるからである。小説や実用書であれる場合には、研究者 ( 教員 ) も学生業界外部から優れた電子教科書が現れ ることになろ , つ。 も思いついていない教科書の新たなあ ればレイアウトに凝る必要もあろうが、 教科書の場合はとりあえず読めれば良り方を提案することや、執筆者には技 ( はまもと・しようたろう 京都大学大学院法学研究科教授 ) 。国際法の教科書の場合、出版社や術的に困難ないし面倒なデジタル処理 書店のマーケティングカも不要である。 ( リンク処理やリンク先データ作成な 対象の学生にはこちらからを示ど ) などがそれに加わるだろう。 せば足りるし、それ以外で国際法の教 私は、出版社にとってこれは巨大な 書斎の窓 2 似 2 〃
の企業に勤めている。推察するに、管き、子どもはすでに自分にまとわりつ 「きょ - ついく」と「きょ一つよ一つ」 いてくれる幼い子どもではなく、妻す 理職として多忙を極めており、退職し が必要 た「めしも炊けない」、そして炊く気らも自分のためにかしずいてくれる存 三菱総合研究所の一二年六月に実施 もない夫の世話をするなどということ在ではない。それどころか、妻は専業 主婦にサポートされている男性管理職した調査では、六〇歳代の人の今後の は考えられないのであろう。飯を炊く と対等に、サポートなしで仕事をこな暮らし方では、男女とも、一位は、 などというのは自分のポリシーではな い夫とは、波長が合わなくなってきてしてゆかねばならず、必死で自分自身「旅行を楽しむ」 ( 男性四四 % 、女性五 一 % ) であるが、二番目に多い回答 いるようである。 の職務をこなしているのである。 先の日本人男性は、子どもは男の子は、男性は「夫婦の時間を楽しむ」 五歳年下と結婚した場合は、停年が ( 三一 % ) であったが、女性は「一人 同じ年齢ならば、夫「自由人」・妻一人であり、息子はあと一年で成人で の時間を楽しむー ( 三四 % ) であった。 ある。心理的には、かわいくてしよう 「多忙な職業人ーの生活は五年続くこ 。しかし、息子の方は自分を避夫婦の波長が合っていない。それだけ とになる。近年、停年は延長される傾かない けて一一か月も口をきいてくれないとでなく、停年の時期の異なりについて 向にある。これは彼も知っており、 も意識が少ないように思われる。夫が 「あと五年、場合によっては、それ以嘆く。高校生の息子と父親は、子の自 上もこの生活が続くのか」とため息ま立の証としての取っ組み合いのケンカ妻より年齢が高い組み合わせが多いと いう統計的事実は、停年後の生活を構 をしてもおかしくないのに、子離れが ド ) り一に、ほゃいてい 4 / , 。彼も、「人生の できていない。アルバイトの学生相手築する上で、意に留めておかなければ月 目標ってなにと尋ねていた。 ならない事柄であろう。 かなり前の世論調査であるが、停年に、長々と説教をしたりしていたが、 後の楽しみは、ほとんどの人が「家族これじや受験を控えた息子が、「そば 先の日本人男性の場合も、サークル窓 に寄らないでくれ - ということになっ運営がうまくゆかなくなった結果、彼斎 団らん」としているのを見た記憶があ の生活は「ダンスとカラオケ」になっ る。しかし現実には、停年になったとても仕方ないであろう。
さらには、年上は能力が高いと思い 判断したら、それによって自分より下 自分が会長なのだから こんでいるらしい。一定の年齢までは とランク付けした者の話、特に助一言 年齢があがるにつれて能力は増すが、 サークルでは彼が会長を務めること は、聞くものではない、 と思っている 高齢期では、年齢が高くなるにつれて になった。「自分が会長なのだから」 ようであった。業を煮やしてだれかが 能力が落ちてくるという、若い時と逆と、全ての事を理解していないと納得 書いて渡しても、読んだ形跡がない。 の現象が起きていることは眼中にな しない。たとえば、議事録 ( 案 ) に対他者 ( 特に下の者 ) から上がって来た 、 0 する修正点を会議に参加していた者に提案は、内容が気に入らなかったから 資格に対しても評価が高く、求めた時、「自分の承認のないメ ール無視するのではなくして、見る必要が —0 の点は、彼自身、ほとんどの人が は流すな」などと、叱責する。 よい、と考えているようであった。 サークルが成立しそうになったと とることが不可能なくらい高得点をと 話も、相手のいうことを全く聞いて っていた。それは、彼自身の自信の源き、彼が最初にしようとしたことは、 一人でしゃべり詰めにしゃべ 泉でもあった。 役職の決定であった。たった一〇人ほ っている。相手が何か一生懸命話そう こうした基本的な事項が分かると、 どのグループなのに、会長はともかく としていても、途中で別のひとに話し 性別 ( これは聞かなくともわかる ) として、企画部長とか、総務部長と かけたりして、そっちと話を始める。 と、学歴と年齢、勤務先でもって、自 か、会計部長などと、メンバ ーにおど食事をしていても、打ち合わせの話を 分と相手との位置関係を見極め、自分ろおどろしい役職名を付けようとし していても、途中で他の人とのたわい のその人との関係を作って行くようでた。 のない挨拶や会話が入る。プライベー ある。ある人物が、英語の教師であっ 運営を決める会合は男性のみに声をトな話の場合でも、話は、自分の悩み たことが分かったとき、「自分は負け かけ、女性たちには声をかけようとし ばかりで、相手も悩みを持っているで窓 、よゝっこ 0 ナーカ十 / るなあ」と評していた。 あろうなどとは、思いもよらないよう斎 書 基本情報を基に自分との位置関係をである。
少性に比例する。ウイスキーならば、 と短い。穀物価格、労賃、地価のいず 中国の宴会では、相手に酒を勧めつ れをとってもスコットランドよりずつ 貯蔵期間が長ければ長いほど、またい つ、自分は相手と同等ないしそれ以上 と安い中国内陸の四川省で、短期間に ろいろな樽の酒を混ぜたものよりも一 の量を飮むのが礼儀ある態度とされて つの樽の酒だけを詰めたものの方が値大量生産される白酒が一〇年貯蔵のシ いるので、礼儀正しい人が集まった宴 段が高い。ワインならばブドウの産地ングル・モルト・ウイスキーの二倍以会では大量の酒が消費される。笑いが が限定されたものほど高くなる。とこ上の値段で売られている。その理由は止まらないのは、銘酒とされた酒を有 ろが、中国の白酒のなかでおそらく最生産コストでも希少性でも説明できなするメーカーである。家でも白酒を飲 も人気が高い「五糧液ーの工場に行っ 、。白酒の価格はもつばら需要側の事むような真の酒好きは値段が五糧液の てわかったことだが、大量生産の酒に情によって決まっているのである。 十分の一以下の酒でも実は味が大して も法外な値段をつけているのである。 五糧液のような銘酒がどういう場面変わらないことを知っているので安い 五糧液は一一〇一二年現在一本 ( 五〇〇で飲まれるかというと、それは宴会で酒を買うが、接待の場合には相手のメ ミリリットル ) 一万二〇〇〇円ぐらい ある。宴会はたいがい誰かが誰かを接ンツを立てるためにも銘酒でなければ 、よ , ら、よ、 0 で売られている。同社ではより安い普待するために行われるから、双方のメ 及版の白酒も出しているのだが、売れンツを立てるためにも、宴会に出すの 五糧液の工場を訪問したとき、広大 と るのはむしろ高い酒である。 は高価な銘酒でなければならない。 な工場の構内に入ったとたん我々の乗 白酒は穀物を発酵させたあと蒸留し はいえ接待費用は青天井ではないので、 った車のドライバーが叫んだ。「ここ て七〇。ハーセント以上のアルコールをむやみに高い酒というわけにもいかず、 の社長は頭がいかれているんじゃない 作って貯蔵するという作り方はウイス だいたいその土地の標準というものがの e: 」。たしかに構内には奇妙な建造 キーと同じだが、スコッチのシング定まっている。成都では「五糧液」、 物がいつばいあった。酒瓶の形をした窓 ル・モルト・ウイスキーは一〇年以上潮州では「へネシー >< 0 」がどの宴会巨大な給水塔。四〇人以上が座れる巨斎 書 貯蔵するのに対して白酒は半年 5 一一年でも判で押したように出てくる。 大な円卓が設えられた建物は、当時国
くさがあるのかも知れない。 であるという点を主張したいという意 図があるのかも知れない。 質的・量的 / 定性・定量の対立 もしそうだとしたら、それはあまり もっとも、より根本的な理由の一つ生産的な態度だとは一一一口えないだろう。 には、先に挙げたような質的調査およ というのも、どのようなタイプの調査 び量的調査を専門とする人々のあいだ 法にせよ、右にあげた、化宀 の党派的な対立があると思われるふし うところの「定性分析ーすなわち未知 がある。たとえば、質的調査法を中心成分の種類を知るための分析プロセス とする解説書の中には、調査法としてと同じような性格を持っ作業が必然的 の量的調査の意義についてかなり懐疑に含まれているからである。 的な論調で論じているものがある。ま たとえば、サーベイや既存統計資料意識しているにせよいないにせよ、先 、逆に統計調査やサーベイを中心との分析のような、数値データ中心の分にあげた定義で見たような質的調査を する人々のあいだには、事例研究で得析をおこなう場合であっても、当然、 おこなっていると考えることができる。 られた知見などについて根本的な疑問 どのような項目を中心的な分析の対象 つまり、どのような種類の手法やデ を呈するような論調が見られることも にするかという点を明らかにしていく ータを用いて調査をおこなう場合にせ ある。 作業が必要になる。そのような作業に よ、リサーチクエスチョンを定式化し、 Qualitative をニュートラルな意味あたっては、先行調査の知見だけでな また重要な変数を確定するプロセスの 合いの強い「定性」ではなく、「質的ー く、実は自分の人生経験や身の回りの中には、必然的に定性分析的なプロセ と訳す傾向が一部に見られるのは、も出来事あるいは自分が所属している組 スが含まれているのである。それにつ窓 しかしたら、質的調査法のほうが量的織で起きている現象を拠り所にしてい いては、質的調査と通常呼ばれている斎 書 調査法よりもクオリティの高い調査法ることが多い。そして、その際には、 手法でおこなわれてきた調査の成果か Lewis Carr011 T 側 g ん the ん 00 れ g Glass, OriginaI lllustrations by J0hn Tenniel 1871
行政法を , より深く やまもとりゅうじ 山本隆司著 東京大学教授 判例から探究する行政法 A5 判並製カ / ヾー付 650 頁 予価 4 , 725 円 978 ー 4 ー 641 ー 1 31 1 2 ー 5 ( 1 1 月上旬発売予定 ) 2002 年から 2010 年までに言い渡された最高裁判例を解説した法学教室連載に , 判例評釈を 加えた , 30 件の判例解説。改正行訴法が成立した後の最高裁判例を素材に , 判例の変化を 分析し , 行政法理論を読み解く 1 冊。 主 な 目 次 I 行政作用と法原則 [ 1 ] 法律による行政の原理と公課 / [ 2 ] 公共用物の管理と占有 / [ 3 ] 住民の公証 / [ 4 ] 「公法と私法」一一国・地方公共団体の金銭債権・金銭債務の消滅時効 / [ 5 ] 信義則 Ⅱ私人の法的地位および行政組織の多元性 [ 6 ] 公の施設の利用者に関する平等取扱い / [ 7 ] 外国籍公務員と民主 的正統化 / [ 8 ] 地方公共団体と関連団体との「距離」 Ⅲ行政の法形式と手続 [ 9 ] 金銭債権に係る行政行為と国家賠償 / [ 10 ] 違法性の承継と「公定力」一一判断枠組 / [ 11 ] 行政契約一一公害防止協定 行政裁量の裁判統制 [ 12 ] 判断過程統制の構造 / [ 13 ] 行政計画における諸利益のウェートづけ / [ 14 ] 行政過程 と行政訴訟手続との関係 / [ 1 引行政契約における経済性と政策的要素のウェートづけ / [ 16 ] 小括ーー判断過程統制 の諸相 V 行政訴訟 ( 1 ) ーー処分性 [ 17 ] 権力性 - ーー形式的根拠と実質的根拠 / [ 18 ] 規律性 ( 1 ) 「法的効果」の拡 張 ? / [ 19 ] 規律性 ( 2 ) ーー最終決定性による拡張 / [ 20 ] 小括ーー・処分性の判断枠組 / [ 21 ] 具体性 ( 1 ) ー - 行 政計画の場合 / [ 22 ] 具体性 ( 2 ) ー一条例の場合 Ⅵ行政訴訟 ( 2 ) ーー原告適格・訴えの利益 [ 23 ] 原告適格 ( 1 ) ーー判断枠組 / [ 24 ] 原告適格 ( 2 ) ー一個別利 益保護性 / [ ] 取消訴訟における訴えの利益 / [ 26 ] 当事者訴訟における訴えの利益 Ⅵ国家賠償 [ 幻 ] 国家賠償法上の違法性 ( 1 ) ーーー判断枠組 / [ ] 国家賠償法上の違法性 ( 2 ) ーー権限不行使 の違法 / [ 四 ] 私人の行為による国家賠償 ( 1 ) ーー責任の根拠 / [ ] 私人の行為による国家賠償 ( 2 ) ーー責任の 階梯 民訴法を立体的に読み解く たかはしひろし 高橋宏志著 中央大学教授 ( 1 1 月上旬発売予定 ) A5 判上製カ / ヾー付 重点講義民事訴訟法 ( 下 ) 第 2 版 1 862 頁 ・ 5 , 985 円 978 ー 4 ー 641 ー 13627 ー 4 高橋民訴理論の魅力的な世界を描いた決定版。内容の濃い詳細な理論の展開を , 講義を聴く ように理解できる。判例・文献 , 注の更なる充実は勿論 , 新たに「処分権主義」「上告」の 2 講を収録。全項目を見直し , 判例の動向や学説展開等を織り込んだ待望の大幅改訂。 主 な 次 第 1 講 第 2 講 第 3 講 第 4 講 第 5 講 第 6 講 第 7 講 訴訟要件 証拠調べ 処分権主義 * 共同訴訟 補助参加 選定当事者 ーー同時審判の申出がある共同訴訟 主観的予備的併合 第 8 講 第 9 講 第 10 講 第 11 講 第 12 講 付録 独立当事者参加 訴訟承継 控訴 上告 * 再審 陳述書について ーー研究者の視点から 〔 * 新収録項目〕 82
は、数値による記述や統計的な分析献を見ても、なかなかスッキリとした的調査ないし質的研究というのは、も 明快な定義が見あたらないので、当面ともとは英語の場合でいう qua 一一 tat 一 ve 2 というよりは日常言語に近い一一 = ロ葉に research を和訳したものである。そし 2 よる記述と分析を中心にする社会調はこれで済ませている。 日本の場合には、さらに「質的」とて、この用語に関しては、ひと昔前ま 査の方法 いう一一 = ロ葉にともなうイメージが少しばでは質的調査と同じくらいの頻度で書 「定性的調査 ( 研究 ) 」という言葉も使 かり問題を複雑にしている。つまり、 一方、量的調査については、次のよ 「質」というと、どうしてもハイ・クわれていた。それが、どういうわけか、 うな定義をあげて解説してきた。 この十数年のあいだに質的調査という オリティ、つまり質の高さというイメ ージがっきまとうのである。英語でも言葉が主流になってきている。 統計データの分析やサーベイ調査の 質的調査というのは、社会調査に不 結果をもとにした社会調査のように、 quality paper や quality magazine 案内な人々には分かりにくい言葉だろ には一流紙・誌という意味があるが、 数値データを中心にして分析を進め、 うが、定性的調査という言葉は、それ その結果については、主にグラフや日本で「質的ーというほどの誤解は引 き起こさないに違いない。実際、日本に輪をかけて分かりにくいところがあ 数値表あるいは数式などで表現する る。化学などではよく定性分析 ( 未知 語で質的データや質的調査というと、 ような社会調査の方法 物事の質の評価に関わるデータないし成分の種類を明らかにするための分析 ) 質的 " ハイ・クオリティ ? と定量分析 ( 成分物質の量を知るため 調査、あるいはそれ自体が優れたデー タや調査というような誤解を招いてしの分析 ) という区別をすることがある 右のような定義は、「質対量」に が、その区別ともかなり違うようであ 関する三つの次元の区別をいわばつぎまう恐れがある。 る。もしかしたら、質的調査という一言 はぎした折衷的なものである。したが 質的調査と定性的調査 葉が主流になってきた背景には、その って、まわりくどいものになっている 比較的よく知られているように、質ような「定性ーという一 = ロ葉の分かりに という難点がある。しかし、海外の文