小説募集 0 第 8 回 文学賞 H ー YO 0 A 3 U G A K U 5 H 0 0 0 ■■ ■置第 ーデ大賞 1 編 200 万円 ーぐ予定 【募集作品】日本語で書かれた未発表小説 テーマ・ジャンルは不問。千代田区縁の人物 や区内の名所・旧跡、歴史などを題材にした 作品を歓迎します。 ( ただし、このことの有無が 選考の基準とはなりません ) 【応募資格】年齢・住所・職業は問いません 【原稿枚数】 A4 サイズの用紙に 40 字 X40 行 ( 縦書き ) で 印字し、 30 枚以内 【選考委員】作家 : 逢坂剛氏・唯川恵氏・堀江敏幸氏 【お問合せ】〒 102-8688 千代田区九段南 1-2-1 千代田区文化スポーツ課「ちょだ文学賞」係 電話 03-5211-3628 ※詳細は区ホームページ・募集要項でご確認ください 主催 / 千代田区共催 / 読売新聞社後援 / 小学館 協力 / 三省堂書店・東京都書店商業組合千代田支部 神田古書店連盟。東京堂書店。 ( 社 ) 日本書籍出版協会 本の街神保町を元気にする会 応募締切 平成 25 年 4 月 30 日 千代田区 80
一橋大学日本企業研究センター研究叢書 4 きっかわたけおしまもとみのるすずきかっしつほやまゆうきひらのそう ( 1 2 月下旬発売予定 ) 橘川武郎・島本実・鈴木健嗣・坪山雄樹・平野創著 一橋大学教授・一橋大学准教授・神戸大学准教授・新潟大学講師・成城大学専任講師 A 5 判上製カバー付 出光興産の自己革新 300 頁 予価 3 , 360 円 第 978 ー 4 ー 641 ー 16401 ー 7 バブル崩壊後 , 2 兆円を超える有利子負債を抱えていた大企業 , 日産自動車・ダイエー・出 光興産のうち , 他企業・政府等から支援を受けずに自力回復を果たしたのは出光のみ。その 過程で , どのような施策が , いかにして進められ , 会社はどう変わっていったのか。 第 1 章 な第 2 章 目第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 第 7 章 第 8 章 第 9 章 第 10 章 A ■第 ^ 有利子負債 2 兆 5000 億円からの復活 改革の財務的成果 出光の経営理念 自己革新の組織プロセス 出光石油化学の統合と企業連携ー一石油化学事業の再建 本業のリストラクチャリングーー燃料油事業の環境適応 高機能材のイノベーション一一電子材料・機能材料・アグリバイオの研究開発 自己革新のダイナミズムー一本書の結論 守り続ける文化の灯火ーー出光の文化事業と経営改革 グローバル企業への道ーー潤滑油事業・資源事業とグループの国際化 0 有斐閣アルマ Specialized よしみしゅんや 吉見俊哉著 東京大学教授 メディア文化論改訂版 メディアを学ぶ人のための 15 話 四六判並製カ / ヾー付 300 頁 予価 1 , 890 円 978-4-641 ー 1 2487 ー 5 ( 1 2 月下旬発売予定 ) メディアという場において , 歴史 , 社会をよみかえる「メディアの文化論」。方法としての メディア , 歴史としてのメディア , 実践としてのメディアという 3 部構成をとり , メディア とは何か , その全体像に迫る。初版刊行後のメディア状況に対応し改訂。 主 な 目 次 第 1 話メディアとは何か 第 I 部方法としてのメディア 第 2 話メディアの時代・メディアの理 論 第 3 話新聞学というメディアの知 第 4 話マス・コミュニケーション理論 の展開とその限界 第 5 話メディア革命と知覚の近代 第 6 話カルチュラル・スタディーズの 第 8 話電話が誕生したのはいつだった 第 7 話新聞と近代ジャーナリズム 第Ⅱ部歴史としてのメディア のか 第 9 話誰が映画を誕生させたのか 第 10 話ラジオ・マニアたちの社交圏 第 11 話テレビが家にやって来た 第Ⅲ部実践としてのメディア 第 12 話 第 13 話 第 14 話 第 15 話 ケータイが変える都市の風景 パソコンとネットワーク化する 市民社会 グローバル・メディアとは何か メディアを変革するための知 72
東京大学ものづくり経営研究シリーズの第 7 弾 ふじもとたかひろ 藤本隆宏編 東京大学教授 1 「人工物」複雑化への挑戦 ( 2013 年 1 月中旬発売予定 ) A 5 判並製カバー付 430 頁 予価 3 , 990 円 設計立国日本の産業競争力 978-4 ー 641 ー 16399 一 7 序章なせ今「人工物複雑化」を論じるのか第 6 章人工物の複雑化と設計プロセス クとチャンスを冷静に見極めなければならない。日本の現場と産業が目指すべき道を示す。 うべきか。この厳しい時代の雇用を支えるのは既存産業の進化した現場であり , 企業はリス 環境問題 , 安全対策など地球規模でさまざまな制約に直面する今日 , 日本企業はどこに向か ( 藤本隆宏 ) 第 I 部基礎編複雑化の論理 ( 藤本隆宏・朴英元 ) 第Ⅱ部応用編複雑化対応の諸相 次第 1 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 複雑化分析のフレームワーク ( 藤本隆宏 ) 人と人工物の分業と協業 ( 奥野正寛・渡邉泰典 ) 複雑設計のシミュレーション分析 ( 大隈慎吾・藤本隆宏 ) アーキテクチャ研究再考 ( 立本博文 ) 「複雑化問題」への多元的対応 ( 藤本隆宏 ) 第 7 章 第 8 章 第 9 章 第 10 章 第 11 章 第 12 章 終章 家電と自動車 ( 上野泰生 ) 電子部品 ( 糸久正人 ) デジタル複合機 ( 福澤光啓 ) 複合加工機 ( 鈴木信貴 ) 電源管理 ( 安本雅典 ) 船舶開発と造船産業 ( 具承桓・加藤寛之 ) 「複雑化時代」の企業と産業 ( 藤本隆宏 ) 一橋大学日本企業研究センター研究叢書 3 うえはらわたるささきまさと やましたゆう ふくとみげんふくちひろゆき ( 1 2 月上旬発売予定 ) ・福地宏之・上原渉・佐々木将人著 山下裕子・福冨 一橋大学准教授・京都産業大学准教授・東洋学園大学専任講師・一橋大学准教授・一橋大学講師 A5 判上製カ / ヾー付 日本企業のマーケティングカ 280 頁 予価 3 , 675 円 978 ー 4-641-16398 一 0 日本企業のマーケティング戦略は業績に結びついているか。あるいは , そもそもマーケティ ング戦略はきちんと立案・実行されているか。また , 販売の最前線にいる営業との関係はど うなっているか。 250 近くの事業体の実態を明らかにし , 問題点克服への道を探る。 主 な 目 次 序章今 , なぜ「マーケティングカ」なのかーー戦略と組織 第 1 部問題意識と調査の概要 第 1 章マーケティング研究の射程ーー問題意識の変遷と日本企業 第 2 章調査の概要ーーー対象企業のプロフィール 第 2 部日本企業に「マーケティング戦略」はあるのか 第 3 章マーケティング戦略の策定ーー欧米流のマーケティングは日本企業でも成果をもたらすのか STP から導かれるマーケティング・ミックス 第 4 章 4P はどう決められているか 第 3 部マーケティング戦略を支える組織プロセス 第 5 章「強い営業」のジレンマーー営業活動はマーケティング戦略を支えるのか 第 6 章マーケティング戦略を補完する事後対応ーー営業の現場対応と戦略変更 第 7 章戦略策定のためのマーケティング・インテリジェンス - ーー広告代理店との連携と依存 第 4 部マーケティング戦略を左右する組織パワー 第 8 章マーケティング戦略は誰が決めているのかーーーマーケティング部門の影響力 第 9 章マーケティング戦略はどこで決めるべきかーー海外進出と現地法人の影響力 終章日本企業のマーケティングカーー - 危機からの再生のために 71
0 有斐閣アルマ Specialized あべけんぞうえんどうまさひろ 阿部顕三・遠藤正寛著 大阪大学理事・副学長・慶應義塾大学教授 四六判並製カ / ヾー付 国際経済学・ 376 頁 2 , 520 円 978 ー 4 ー 641 ー 1 2480 ー 6 理論とデータを用いて国際貿易の原理を学ぶ , 新しい標準テキスト。リカードやヘクシャー オリーンなどの伝統的理論から , 産業内貿易 , 関税の政治経済学 , 地域貿易協定などの新し いトピックスまでを丁寧に解説し , 理論が現実の貿易取引をうまく説明できるか検証する。 第 1 章 国際貿易の概観 . 自由化への歩みと現状 な第 2 章 国際貿易の経済分析 : 基本的枠組み 目第 3 章 生産技術と貿易パターン 第 4 章 生産要素の供給と貿易パターン 第 5 章 産業内貿易と新貿易理論 第 6 章 関税政策の基礎分析 第 7 章 関税政策の応用分析 第 8 章 数量制限と補助金政策 第 9 章 国際要素移動 第 10 章 国際貿易システム 有斐閣ブックス かとうけんたおおいしなおき 加藤健太・大石直樹著 高崎経済大学准教授・埼玉大学准教授 ケースに学ぶ日本の企業 A 5 判並製カバー付 400 頁 予価 2 , 940 円 ビジネス・ヒストリーへの招待ー 978 ー 4-641 ー 18408 ー 4 日本を代表する諸企業の行動を活写したケースにより , 近代以降の経営史を説くテキスト。 企業は , 各時代に , どのような市場へ , どうアプローチしたか。そして , そうした企業活動 は , 社会をいかに変えたか。日本の消費社会が現在の姿に至る過程を , 具体例で描く。 lntroduction 歴史とケース・スタディ 全日本空輸 Case 1 1 主 第 1 部 羽織から背広へ 「真似ぶ」時代を過ぎて 第 3 部 ・一一勃興する市場と模索する企業 ーー成熟する市場と創造する企業 目 大阪紡績 Case 1 セゾン Case 12 次 三菱合資 Case 2 吉野家 Case 13 阪急 Case 3 集英社 Case 14 資生堂 Case 4 三井物産 Case 5 オリエンタルランド Case 15 第 2 部 今日よりも豊かな明日 任天堂 Case 16 ーー成長する市場と挑戦する企業 ソフトバンク Case 17 松下電器産業 Case 6 ファーストリティリング Case 18 ダイエー Case 7 巻末付録 1 読書案内 トヨタ自動車 Case 8 巻末付録 2 レポートの書き方 本田技研工業 Case 9 巻末付録 3 企業博物館利用のススメ Case 10 ソニ ( 1 2 月上旬発売予定 ) ( 1 2 月下旬発売予定 ) 70
地方自治を「アイディア」の政治学で考える きでらはじめ 木寺元著 北海学園大学准教授 ( 1 2 月下旬発売予定 ) 地方分権改革の政治学 A5 判上製カノヾー付 230 頁 予価 3 , 990 円 制度・アディア・官僚制 978 ー 4 ー 641-14900 ー 7 制度が変化する過程や条件について , 「アイディア」に着目した政治アプローチを用いて理 論的に検討していく。日本の地方制度改革 , とりわけ市町村合併 , 機関委任事務制度 , 地方 財政制度改革 , 義務付け・枠付け , 出先機関改革などをとりあげる。 序章 主 な第 1 章 目 第 2 章 次 第 3 章 第 4 章 第 5 章 終章 問いの所在ーーー中央地方関係・アイディア・官僚制 分析枠組み 市町村合併の推進 機関委任事務制度の廃止 地方財政制度改革 第二次分権改革の隘路 地方制度改革と「アイディア」の政治 あとがき 参考文献索引 沖縄返還交渉の全体像に迫る なかしまたくま 中島琢磨著 龍谷大学准教授 ( 1 2 月中旬発売予定 ) A 5 判上製カハー付 沖縄返還と日米安保体 400 頁 予価 5 , 040 円 978 ー 4 ー 641 ー 04999 ー 4 佐藤榮作政権が沖縄の施政権返還を実現する過程の全体像を , 返還に向けて奔走した政治家 , 官僚 , 学者が果たした役割や論点の推移に着目し , 日米の公文書資料 , 日記・回想録 , そし て当事者・関係者へのインタビューなどの史資料を用いて , 明らかにする。 序論 主 な第一章 次第ニ章 第三章 第四章 第五章 第六章 結論 課題と視角 佐藤内閣の成立と沖縄返還問題の提起 沖縄返還問題の進展 施政権返還交渉の開始 施政権返還交渉の展開 沖縄返還合意の成立 沖縄返還の実現 戦後外交における沖縄返還 68
責重な戦後史の資料 ほづみしげとお おおむらあっし 穂積重遠著・大村敦志 東京大学教授 終戦戦後日ロ ( 1 2 月上旬発売予定 ) 大正一法学者の晩年 978 ー 4 ー 641 ー 12560 ー 5 予価 8 , 190 円 550 頁 A5 判上製カノヾー付 記ー 1945 ~ 50 校訂 ( 民法改正への関与と最高裁長官への推薦 ) を辞退した経緯 , 最高裁のアメリカ訪問団の旅程な 本日記は , 終戦前後の皇室の状況 , 皇太子に対する教育の体制や内容 , 重遠が重要なニつの職務 ど , 主 な 次 これまでほとんど知られていなかった事実を浮き彫りにした貴重な戦後史の資料である。 あとがき大正一法学者の「帝国日本」 ( 大村敦志 ) 資料スイス道中まごっき毛 付録 2 大正一法学者のベル・エボック ( 1914 年 ) その 2 鮮満・樺太編 その 1 字和島編 付録 1 大正一法学者の夏休み ( 1924 ~ 1930 年 ) 第ニ部最高法官日記 第一部東宮奉仕目録 国家の未来を決定する , その仕組みを解明 たかはしのぶゆき 高橋信行著 國學院大学准教授 A 5 判上製カノヾー付 ( 1 2 月下旬発売予定 ) 統合と国家 400 頁 予価 6 , 300 円 国家嚮導行為の諸相」 978 一 4-641 ー 13132 ー 3 政治的計画や予算等 , 国家の基本方針に関わり , 単なる法律の執行を超えた創造的・積極的 性質を有する国家の諸活動 ( 国家嚮導行為 ) の遂行に際して , 国会・内閣・行政各部の権限 配分はどのようにあるべきかを , スメントの「統合理論」を手がかりに解明する。 目 次 第 1 章国家嚮導行為 - ーー序論 第 1 節序 / 第 2 節国会・内閣・執政 / 第 3 節政治的計画・予算 / 第 4 節本章小括 第 2 章ヴァイマール共和制と予算法理論 第 1 節ヴァイマール共和制 / 第 2 節予算法理論 第 3 章国法学論争ーーー K sen , Schmitt, Smend 第 1 節 KeIsen—純粋法学 / 第 2 節 Schmitt—独裁理論 / 第 3 節 Smend—統合理論 / 第 4 節本章小括 第 4 章 B ⅲ ning 闘争内閣ーー独裁理論と統合理論 第 1 節 Brüning 内閣と Schmitt ・ Heckel 論争 / 第 2 節 Smend その後 / 第 3 節本章小括 第 5 章総括 第 1 節序 / 第 2 節統合理論の意義ーーー動態的国家理解 / 第 3 節統合的憲法解釈 / 第 4 節国家嚮導行為の権限配分 ( 1 ト一議会 / 第 5 節国家嚮導行為の権限配分 ( 2 ) ーーー政府 / 第 6 節国家嚮導行為の権限配 3 ) ーー行政各部 / 第 7 節国家機関間の相互尊重義務 / 第 8 節総括 66
的な信仰の教理に委ねられ、個人的な て深刻に悩んでいます。トシは天界に投影でしようか。「銀河鉄道の夜ーが、 行ったか ? あるいは地獄か ? ある カム。ハネルラの死それ自体にではなく、 文学的空想には、ある一線を踏み越え ひとりのよき転生を願うのは不公正むしろ遺されたジョバンニの再生に焦 ないという周到な限界が設けられてい ターソンがレ か ? このような思考自体が現実逃避点を当てているのは、。ハ ます。それがかえって、読む者に思わ , 刀ワ・ スリーにとっての死の問題に触れずジず襟を正させるような深みのある死の そして賢治は「あいつはどこへ堕ち ェシーが架けた「橋」を描いているこ表現をもたらしているのではないでし ようと / もう無上道に属している / 力ととバラレルだと言えそうです。 にみちてそこを進むものは / どの空間 文学作品には、一般の人々の個人的 にでも勇んでとびこんで行くのだ」と さて、「死の不連続を乗り越える物納得のプロセスとしての「物語化」と いう理解に到達します ( 「青森挽歌」 語の連続」が今回のテーマでした。結は異なる、公共的な側面や美学的構築 『宮沢賢治全集—』ちくま文庫 ) 。「無局、問題はこの連続の質に、その深さ物としての側面があります。死の作品 にあります。さまざまなファンタジー 上道」とは仏道のこと。自ら進んで 化が、作者にとって、物語の連続と断 ( 地獄を含めた ) いかなる空間にも飛作家が死についてのさまざまな神話的絶、伝統の神話と自由な解釈、私的フ び込んでいく主体的な菩薩の境地を言 形象を描いています。たとえば「長く アンタジーと公共的責任の最もシリア スな攻防の場となっていることは間違 ったものでしよう。トシの救済の問題っしたのピッピで有名な < ・リンド いありません。 は、賢治自身の迷いを超えた、トシの グレーンは、死後に反復される転生を ( なかむら・けいしⅡ編集、翻訳、著述業 ) 主体性の問題となったのです。 描いています ( 「はるかな国の兄弟」 ) 。 この意味で、ひとり先に死んだ妹は、死後をファンタジー化することが真摯 賢治にとっていわば絶対の領域に属すな試みであるかむしろ軽率なものであ るかは、独立の考察を要する問題でし る存在となったように思われます。ジ よ , つ。ル一一なくとも、バターソンやロ ョバンニがカム。ハネルラに対して「引 リングや賢治の作品の場合、死は伝統 け目を感じているのは、この心理の 書斎の窓 2 似 2 72
メッセージは この作品が死の世界ンタジー化するのをぎりぎり巧妙に避以降のすべての作品を通じて、賢治は にだって自在に行けそうに見える魔法けており、正統信仰の一線を踏み越え悼みの行為を続けていると考えるべき ファンタジーであるにもかかわらずーー ることがありません。 かもしれません。 「死のことは一切わからない」「死 愛する者の死が作品中に影を投げか 仏教学者の丹治昭義は、『宗教詩人 者は戻って来ない」です。ここには けているもう一つの例を挙げましよう。宮澤賢治』 ( 中公新書 ) の中で、賢治斎 「テラビシア」における死の描き方に当連載の始めのほうで取り上げた「銀が一連の詩作品において「トシはどこ 通ずるものがあります。 河鉄道の夜ーです。賢治が一一十六歳の へ行ったのか」を追究している様子を 丿ーの両親の墓碑銘は「最後の敵とき、妹のトシが二十五歳で病死しまつぶさに追っています。トシと賢治は として、死が滅ぼされる」 ( コリント した。今年の『書斎の窓』 7 ・ 8 月号日蓮主義の信仰仲間でした ( 一一人は家 の信徒への手紙 ( 一 ) ) です。最後の、 で野家啓一氏がトシとカム。ハネルラの の信仰である浄土真宗からの「改宗者」 というところがポイントです。死とは平行性ーーおよびこの作品における死です ) 。賢治は輪廻を倫理の基本と考 いわば「神の問題ーであって、人間的を乗り越える「物語のカー につい えていますが ( 「法華堂建立勧進文ー 思念によって対処できる問題ではない て書かれていますが、これは重要なご でこの趣旨を述べています ) 、トシの のです。 ハリボタは死それ自体をファ 指摘だと思います。実際、「永訣の朝ー死をめぐっては実存レベルの問題とし て対応書籍の一覧表を掲載しております。 マ「オンデマンド出版」のお知らせ ■ご注文について : ・ : オンデマンド対象書籍は、 ■「オンデマンド出版」とは : : : ・ : 書店や出版社が在一覧表に掲載分のみとなります。完全受注生産で 庫を持たず、お客様からのご注文のつどに一冊から制すので、発注後のキャンセルはできません。ご注 作をする出版の事です。これにより、今まで、ある程文いただいてからの制作になりますので、納品ま 度の需要がなければ重版・復刊できなかった品切本・ で約一ヶ月弱かかります。 絶版扱い本を、一冊単位でお求めいただけるようにな ◎お問い合わせは 電話〇三 ( 三二六五 ) 六八一一営業部まで。 りました。小社ホームページ及び「総合図書目録」に 有斐閣 http ://www.yu hikaku. co.jp/
ーが聖書を信じないと言っていたことす。死と地獄とを勝手に結びつけては 彡作品化と死の悼み ただそれだけです。 も気がかりでした ( レスリーの地獄行 きを心配したのです ) 。 作者バターソンは宣教師の娘です。 ところで、レスリーの死には実在の しかし、お父さんや学校の先生は、 「死後ーについての積極的な語りがな モデルがありました。作者の息子のガ ジェシーに対してふだんになく優しい いのは、作者自身の信仰に基づく厳格 ールフレンドが亡くなったのです。そ 気遣いを見せてくれました。ジェシー な姿勢の表われだと思われます。 れは作者にとってもショッキングな出 のお父さんはこの地獄行きをきつばり この物語は、死者をめぐる形象を描来事でした。こうした事態を息子とと 否定します。「神様は決して小さい女 く代わりに、ジェシーの振る舞いを描もに受け入れていく悼みと癒しのプロ の子を地獄にやったりなどしない」。 きます。遺された者にとっての問題をセスの一環として、この物語は書かれ 最後に、ジェシーは立ち直ります。 象徴的に表しているのが、思い出の国たのでした。 テラビシアです。ジェシーにとってテ そして、それまでいつも自分が邪魔に 文学者は人生のありとあらゆる問題 していた幼い妹を、レスリーとの思い ラビシアは、閉鎖的な日常性や排他性を小説にします。愛する者の死が多く 出の森に招き入れます。テラビシアにを乗り越える希望のカでした。このカの小説家にとって重大な思索の契機と 「橋」がかかったのです。希望の幕開を現実に生かし続ける限り、レスリー なっているのも当然です。たとえば ・ポッター けとともに、物語は終結します。 は最も現実的な意味で「存在ーし続け「ハ は娯楽性の高い ることになる。ですから、ジェシーが この物語は死の現場を一切描きませ ファンタジーですが、作者ローリング ん。レスリーの救いについての「美し テラビシアへの橋を妹に渡らせた行為 にとってこの本の著述は悼みの行為で 暗示もありません。この物語の死のうちに、レスリーの存在が端的に証した。ローリングは母親を多発性硬化 7 の描き方は厳格です。死は人間にはま しされていることになります ( これが、症という難病で亡くしました。 ったく理解できないシンプルな事実な十字架に死んだキリストが復活すると 、リーは死んだ両親に会いたいとい窓 いう宗教のロジックを踏まえた物語で う願いを常に抱いています。しかし、斎 のです。ただ、女の子の善い心と神の あることは言うまでもありません ) 。 全七巻を通して念入りに繰り返される 善き意図に対する信頼だけが存在しま
、バージニア州の農村です。首 くなります。一一人は相互に感化しあい 物語はいきなり終わります。祖母は男メリカ の子の療養中に亡くなっていたのです都ワシントンには近いのですが、貧し 一一人だけのファンタジーを築きあげて いきます。それが農場の奥の雑木林に幻 ( 「けいとうの花 , 『タ焼けの詩・三丁 い土地らしく、小 学校にはいろいろな 物が不足しています。風土的には保守ある ( と仮構された ) 王国テラビシア窓 目の夕日 5 』小学館 ) 。 ここには一一種の死の表現があります。的で、聖書を文字通りに信じるバイプです。「テラビシア」とはレスリーが書 「ナルニア」の向こうを張って命名し 祖母は「不在のもの」となります ( そ ルベルトに属しています。主人公はジ た国名です。王国の建設はジェシーに の驚きが漫画の唐突な終結に示されて ェシーという一〇歳の少年で、両親、 います ) 。他方、死んだヒョコは鶏頭 ふたりの姉、小さな妹、それに赤ん坊とって淀んだ学校や家庭の空気 として甦っています ( そして今やそのと暮しています。両親は金銭的に苦労じめに近いものもありますーーを超え た次元への目覚めのプロセスでもあり 鶏頭が咲き乱れています ) 。生の断絶しており、芸術家肌のジェシーは姉妹 ( Ⅱ物語の断絶 ) としての死と、異次たちとも話が合わず、鬱屈した気分でました。 そして : : : ある日突然、この魅力的 元への転換 ( Ⅱ物語の連続 ) としての 日々を送っています。 そんな中、隣の家に引っ越してきた な少女レスリーは事故で死んでしまい 死。漫画というシンプルなメディアな 」日を渡るのに使うロープが切 らではの凝縮された表現です。 のが、まるで男の子のような風貌の少ます。 女レスリーでした。活発で、想像力がれたのです。しかもそれは、ジェシー クナルニアからテラビシアへ が教師に誘われて首都の美術館を訪れ あり、因習へのとらわれがありません。 キャサリン・。ハターソンの「テラビ レスリーの両親は「価値体系」の見直ていたわくわくする一日に起きたので シアにかける橋」 ( 一九七七年 ) は、 しを図った脱都会のインテリです。家した。 家に帰ったジェシーは親友の死を知 断絶としての死の不条理と、死の彼方にはテレビもなく、金銭よりもクジラ らされます。彼はレスリーの死を「呑 にくる希望を心優しく描いている作品 の保護の話題などを重んじる、そんな み込めない」まま、呆けたような、混 です。 人たちなのです。 この物語の舞台は一九七〇年代のア 同学年のジェシーとレスリーは仲良乱したような状態に陥ります。レスリ