状況 - みる会図書館


検索対象: 法律のひろば 2016年10月号
36件見つかりました。

1. 法律のひろば 2016年10月号

3 人 ) 実施した。 からの相談を想定して昨年度から運営し借金の整理や不動産の名義変更の手続な 相談分野は、法律問題、こころの問題 ーセど法律的な面の支援をしている ているもので、実際に利用者の囲。、 を中心として対応しているが、寺院が多 ントが若者となっており、若者の自殺対 いとい、つ ~ 只都らしい取組として僧侶によ 策の重要なツールとなっている 2 相談・支援ネットワーク「京の る相談プースも設けている いのち支え隊」 いのちのサポートチーム 自殺予防教育 ( いのちとこころのコ 相談者の中には多重債務、労務に関す自殺の原因・背景には様々な社会的な ミュニケーション事業 ) るトラブルなど法的な問題を抱えている要因が複合的に関与していることから、 方もいる。こうした問題の解決に当たっ相談・支援機関が連携して支援していく府内の小学校、中学校及び高等学校に ては、「いのちのサポ 1 トチーム」と称必要があり、「オール京都」体制での寄おいて自殺予防教育として出前授業に取 して、京都弁護士会、京都司法書士会及り添い支援を図ることを目的に、府内のり組んでおり、平成年度から昨年度ま び京都府社会保険労務士会とあらかじめ約の相談・支援機関の参画の下に平成でに公立の小学校・中学校延べ校で実 施した。 年に結成したネットワ 1 クである 委託契約を締結して、相談者が弁護士、 ししめ、人権、精神保 自殺予防週間における街頭啓発活動の授業テ 1 マは、 : 司法書士、社会保険労務士に直接相談で ほか、総合相談会や自殺予防教育にも取健、法律問題などそれぞれの団体の特性 きる体制を整えている。 に応じたものとなっているか、いずれも り組んでおり、毎年開催する総会では、 各機関の相談・支援に関する情報交換・困難に直面した時に一人で抱え込むこと 自死遺族サポーター 自死遺族は、深い悲しみを抱えておら情報共有により「顔の見える関係」の構なく、信頼できる大人に相談する能力を 身につけることを目的としている。 れる一方で、自殺に対する社会的な偏見築に努めるとともに、自殺に関連した問 さらに、今年度は、法に新たに自殺予 などのため誰にも相談できずに社会から題に対応する能力を向上するためのスキ 防教育の実施が学校の努力義務として盛 ルアップ研修にも取り組んでいる 孤立してしまうことも多いといわれてい り込まれたことなどを踏まえて、京都府 る。そうした自死遺族の厳しい状況に配 くらしとこころの総合相談会 私立中学高等学校長会の場で事業の活用 慮しつつ、生活の立て直しなどに向けて 支援できるよう、昨年度から、京都弁護法律問題、こころの問題などの様々なを学校長に直接訴えかけるなど、自殺予 問題をワンストップで解決することを目防教育の普及拡大を図っているところで 士会及び京都司法書士会の協力を得て、 「自死遺族サポーター」を養成して、自的に、平成年度から実施しており、昨ある 殺発生直後の支援として、故人が残した年度までに合計回 ( 相談者数延べ 21 法律のひろば 2016.10 ・ 20

2. 法律のひろば 2016年10月号

特集自殺予防対策ー自殺者減少社会の実現へ 自殺対策基本法施行 1 0 年の成果と課題 自殺予防活動、遺族支援に取り組んでい 自殺対策基本法 る民間団体から、「個人だけでなく社会 施行川年の成果と課題 、 0 を対象とした自殺対策を実施すきであ る」といった声が強く出されるようにな り、また、国会では、超党派の「印殺防 止対策を考える議員有志の会」が結成さ ( 注 1 ) 前厚生労働省自殺対策推進室室長補佐新垣一和紀 れた。平成年 6 月、議員立法により自 殺対策基本法が成立し、川月幻日に施行 一はじめに 一一自殺対策基本法制定 された。 平成年 6 月に自殺対策基本法が成立我が国における年間自殺者数は、警察自殺対策基本法 ( 注 2 ) においては、「自 し、我が国において国を挙げた自殺対策庁自殺統計によると、平成川年に 9 年の殺対策に関し、基本理念を定め、及び国、 を進める法的な枠組みが初めて整備され 2 万 4 3 91 人から 8 4 7 2 人 ( 3 地方公共団体等の責務を明らかにすると てから川年が経過した。この川年の節目 % ) 増加して 3 万 2863 人となり、そともに、自殺対策の基本となる事項を定 に合わせ、平成年 4 月 1 日には、これの後、年には統計を取り始めた昭和めること等により、自殺対策を総合的に まで内閣府の所掌であった自殺対策の総年以降で最多の 3 万 4427 人となっ推進して、自殺の防止を図り、あわせて 合的な推進業務が厚生労働省に移管された。新年以降も 3 万人台で推移し続け自殺者の親族等に対する支援の充実を図 るとともに、議員立法による改正自殺対た り、もって国民が健康で生きがいを持っ 策基本法が施行されるなど、我が国にお 一方、我が国においては、平成川年にて暮らすことのできる社会の実現に寄与 ける自殺対策は新たなステージに入って自殺者数が急増するまでは、自殺問題がすること」が目的として掲げられた。ま いる。本稿では、自殺対策基本法施行か行政上の課題とされることは少なく、そた、自殺について、「個人的な問題とし ら川年間の取組を振り返るとともに、自の後も、自殺対策について国全体としててのみとらえられるべきものではなく、 殺対策業務移管及び改正自殺対策基本法の基本方針は策定されてこなかった。国その背景に様々な社会的な要因があ の趣旨について考察することを通じて、 における取組は、厚生労働省における、つる」、「多様かっ複合的な原因及び背景を 自殺対策基本法の成果と課題について論つ病対策や、職場のメンタルヘルス対策有するものである」との認識を示し、こ じるものである。なお、本稿における論を中心に、結果的に自殺予防に寄与してれ踏まえ、自殺対策の基本理念を「社会 ば 考や条文の解釈については、すべて私見いると認められる取組を含め、各府省が的な取組として実施すべきもの」、「単にろ であることに予め御留意いただきたい。 それぞれに実施しているのが実態であっ精神保健的観点からのみならず、自殺の 法 実態に即して実施すべきもの」、「事前予 このような状況の下、自殺者の遺族や防、危機介入、事後対応の各段階に応じ

3. 法律のひろば 2016年10月号

特集自殺予防対策ー自殺者減少社会の実現へ 自殺の実態と対策の現状 特性パッケージ 若年独居者の 社会参加促進 特性パッケージ 住民参画 特性パッケージ 高リスク地対策 一ア推奨される地域の特性パッケージも示さ策努力が評価されることになるものと思 ジ れるような結果表を提示する予定にしてわれる 部ケ町わ態 いる。図 5 に示したように、推奨される 自殺対策の政策の有効性評価は十分な 村。 ~ O 合 自基本バッケージとして中小都市部型、若科学的評価に基づいてなされるのが望ま 基 しいが、現状では政策介入の効果につい 体年層に対しては独居者の社会参加促進、 ン治 一自青壮年に対しては総合相談の開設、全般ての科学的検証は必ずしも十分であると には対策への住民参画の促進、というよはいえない。日本の地域自殺対策の政策 うな特性パッケージが示され、これをも的介入の効果評価については、東北地域 域ケ 地ッるとに自治体担当者は地域自殺対策策定計の地域介入研究や国の戦略研究により、 市 都とパれ ジ性さ画に盛り込むべき施策群を考慮すること我が国では一定水準の科学的根拠の蓄積 一特奨 ケ域推ができる がなされてきた。農村部においては総合 いと択 的な自殺対策の介入は短期間で地域の自 一ら 殺率の減少に結びつくことが示されてい 舛四自殺対策の 0-00< サイク ジ る。しかしながら、大都市部においては、 の結 部ケ市体特析 残念ながら、地域介入による自殺率減少 市治本分 自基の改正自殺対策基本法では、地域自殺対の明確な科学的根拠に乏しいのが実情で 大本 ある。 5 ジイ策を推進するための体制が整備された。 地域自殺対策計画の策定が各自治体に努以上のような実情を踏まえて、今後の 部においては、若年独居者の社会参加がカ義務として課されることになったこと自殺対策の推進においては、地域自殺対 不足していることによる要因が重要と考で、自殺対策のサイクルの重要策のサイクルの確実な履行と えられる場合には、若年独居者の社会参性が注目されることになった。計画を策 QO< サイクルを効果的に回していくた 加を促進するような施策を強化すること定するということは、将来のビジョンをめの学術面での支援を連動させていくこ。 が望まれる。また、自殺の名所と言われ示し、具体的な施策の工程表を明確にとになっている。自殺総合対策推進セン る場所を抱える地域においては自殺の高し、その進捗状況をチェックして改善にターが中心になって行う国の自殺対策のば リスク地対策として特化した施策群が求つなげることが必要になるということで研究においては、自殺対策のサひ 律 められる。地域自殺実態プロファイルにある。将来的には、サイクルに イクルを回すための科学的根拠を提示す 法 おいては、自殺実態の分析結果とともに基づく評価と連動した形で、自治体の政るために必要な研究を行う予定にしてい 9

4. 法律のひろば 2016年10月号

性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する法制審議会の答申 う。 ) を新設した上、諮問第 101 号にの事項を関連のある内容ごとに整理して告罪とされる趣旨は公訴の提起に当たっ 関する調査審議を部会に付託して進める概説する。なお、以下において単に「要て被害者の意思を尊重するためであると こととされた。その後、部会においては、 綱 ( 骨子 ) ーと記載する場合には、答申解されているが、性犯罪の罰則に関する 同年Ⅱ月 2 日に開催された第 1 回会議に に付された ( すなわち、部会における修検討会におけるヒアリング結果等を踏ま おいて山口厚委員が部会長に互選・指名正後の ) 要綱 ( 骨子 ) をいうものである。 えて検討すると、肉体的・精神的に多大 され、同日から本年 6 月新日までに 7 回 な被害を負った被害者にとっては、告訴 の会議を開いて調査審議が行われたとこ するか否かの選択を迫られているように 性犯罪の非親告罪化 ( 要綱 ( 骨 ろ ( 注 3 ) 、諮問に係る要綱 ( 骨子 ) を一 感じられたり、告訴したことにより被告 子 ) 第四 ) 部修正し、その修正後の要綱 ( 骨子 ) , 人から報復を受けるのではないかとの不 示された法整備を行うことが相当である 要綱 ( 骨子 ) 第四の一は、刑法 18 安を持っ場合があるなど、性犯罪が親告 とされ ( 注 4 ) 、前記法制審議会第 177 0 条を削除して、同法 176 条から 17 罪とされていることにより、かえって被 回会議において、その旨が部会長から報 8 条までの罪 ( 強制わいせつ罪、強姦罪、害者に精神的な負担を生じさせているこ 告された。 準強制わいせつ罪及び準強姦罪並びにことが少なくない状況に至っているものと そして、法制審議会 ( 総会 ) においてれらの未遂罪 ) を非親告罪化しようとす認められたことから、性犯罪を非親告罪 も更に審議が行われたところ、全会一致るものである。また、要綱 ( 骨子 ) 第四化して、親告罪であることにより生じて をもって部会の報告のとおり法整備を行の二は、同法 229 条において親告罪と いる被害者の精神的負担を解消すること うことが適切であるとされ、法務大臣に されている罪のうちわいせつ目的・結婚が相当である。」との説明がなされ、部 答申されたものである。 目的の略取誘拐及びこれらの罪を幇助す会の議論においても、このような理由に る目的で犯した被拐取者引渡し等並びに よる非親告罪化を支持する意見が多数を これらの未遂罪を非親告罪化するととも占めた。 ニ答申の概要 に、これに伴って、略取・誘拐等の犯人 なお、法制審議会 ( 総会 ) 及び部会に と被害者とが結婚した場合における特例おいて、性犯罪を非親告罪化した場合に 答申に付された要綱 ( 骨子 ) は、参考を定める同法 229 条ただし書を削除し被害者の心情、プライバシ 1 等の保護が に掲げたとおり第一から第七までの項目ようとするものである ( 注 4 ) 。 不十分になるのではないかとの観点から引 このように性犯罪を非親告罪化する趣の問題提起もなされたが、この点に関すの ' ′を含んでおり、これらは、おおむね刑法 物における条文の順序を念頭に置いて配列旨については、部会において、事務当局る部会での意見交換では、複数の委員か されているが、以下においては、それらから、要旨「現行法において性犯罪が親ら、適切な実務的対応によって対処し得

5. 法律のひろば 2016年10月号

している子どもの気持ちに寄り忝、 は、複数回の授業による教育が行われて、次の 4 つの群を設定した。①普及啓 児童・生徒自身に「自分を大切にすていたが、カリキュラムに余裕のない発のみ ( 対照群 ) 、②普及啓発 + ハイリ る」ことを呼びかけ、自尊心を高める学校の事情を鑑みると、 1 回だけの実スク生徒の把握とサポートができるよう ように働きかけている。その上で、施で効果的な教育を行えることは、取になることを目指す教職員対象のゲ 1 トば Oco の出し方教育を行っている。これ組を普及する上でメリットが大きい。 キ 1 パー研修、③普及啓発 + 全生徒を対 は、自分を大切にする気持ちがない⑥区内の小学校、中学校、高校全校に象として自尊心の向上と援助希求行動の法 と、的確な援助希求行動ができないと対する悉皆的事業として取組まれてい促進を目指すワークショップの実施、④ ること の認識に基づいている 普及啓発 + ハイリスク生徒をアンケート ②区の教育委員会と保健部門が、協働 調査によりスクリーニングし、専門家に して企画・運営に当たっていること よるアセスメント、治療につなげるプロ 3 ØOØの出し方教育の科学的根 ③教材を開発し、講師を区の地区担当 グラム。②、③、④のグループを、①の 保健師が担当していること】これによ 対照群と比較した。その結果、③のグル り、特別な専門家を講師として探さな ここで、足立区の取組と類似したアプ ープのみが、対照群と比較して、プログ くても、地域に根ざした実務家としてローチである自尊心を高める働きかけと ラム実施後、 3 か月並びにか月の時点 の保健師が対応できる。様々な課題に組み合わせた coon の出し方教育に関すで、統計的に有意に深刻な自殺年慮や自 追われて余裕のない教員の負担を軽減る最新の学術的研究 ( 2015 年 ) であ殺企図が減少したことが確認された。こ することにも結果的につながる る *-a (the Saving and Empower- の研究は、 cluster randomized con 尊 0 一 ミ a 一という、信頼性の高い手法を用いて ④子どもの成長に合わせ、小学校、中 ing Young Lives in Europe) 研究 ( 注 8 ) 学校、高等学校で、部分的に内容を変を紹介する。この研究は、スウェ 1 デン実施され、著名な国際医学誌 lmce ( に えていること【小学校では、食生活と国立自殺予防センターが中心となり欧州も掲載され、その科学的根拠の質が高く 健康のこと、中学校ではいじめ対策の 川カ国、参加学校数 168 校、 1 万人以評価されている。②のグループで効果が こと、高等学校ではデートの予防上の歳生徒を対象として、 4 つの異な限定的であった理由として、子どもは危 等、各年代の発達レベルにあった内容るプログラムの効果の検証を行った研究機状況に追い込まれても、大人に自殺企 となっている である。プログラム介入終了麦、 2 、 彳 1 カ月図のサインを発しないことがしばしばで ⑤「道徳」におけるいじめの授業等のまでを追跡調査し、深刻な自殺念慮並びあり、サインを頼りにハイリスク生徒を 既存授業の枠を 1 回だけ使った取組でに自殺企図を行った児童・生徒の割合を見つけ出すことに限界があることが、考 あること】従来の研究べースの取組で評価指標とした。具体的な研究方法とし察されている。④のグル 1 プについて 拠

6. 法律のひろば 2016年10月号

ける自殺予防教育の導入に当たっては、 ルの施策における実務的・実践的支援の炻 7 基本的施策の充実信条 5 ①実施前の関係者間の合意形成、②適切強化を目的として、平成年 4 月 1 日に 条 ) な教育内容の準備、③ハイリスクな子供組織の改組・機能拡充を行ったものであ 調査研究等の推進・体制の整備、人材に対するフォローアップ、の 3 点が選定る ( 注 7 ) 。 ろ の確保等、心の健康の保持に係る教育・条件となると指摘している。今後、各学 ひ の 啓発の推進等、医療提供体制の整備の各校においてこれらの前提条件をいかに整 律 法 七成果と課題 施策に係る条文の修正・追加がなされえていくかという点が課題となると思わ れる。 自殺対策基本法の制定は、国や地方公 特に、条 3 項においては、新たに、 共団体において自殺対策を実施する上で 学校に対し、いわゆる自殺予防教育に取 の法的な枠組みを設定したのみならず、 8 必要な組織の整備条 ) り組むよう努める旨の規定が盛り込まれ 我が国における自殺と自殺対策に対する ている。我が国の自殺者数はここ数年減政府は、自殺対策を推進するにつき、意識の転換に大きな影響を与えたと考え 少傾向にあるものの、特に歳未満の若必要な組織の整備を図るものとされた。 られる。「個人の問題」であり、一部で 年層においてはほば横ばいの傾向にある本条文に関しては、参議院厚生労働委は「公的な場で語るべき性格のものでは など、若年層の自殺を巡る状況は依然と員会において、「必要な組織」には、現ないーとまでいわれていた自殺が、「そ して厳しい。また、川歳代という時期に在、国立研究開発法人国立精神・神経医の多くが社会的な取組によって防ぐこと おいて、生活上のストレスや困難に直面療研究センターに設置されている「自殺ができる、社会的な問題であると捉え した際に適切に対処する方法を身につけ総合対策推進センター」も含まれているられ、民間団体を含め取組のすそ野が広 ることは、その時点での自殺の予防になとの政府答弁がなされている。自殺総合がってきたのは、もちろん自殺対策や自 るのみならず、その後社会に出て様々な対策推進センターは、平成年に「自殺殺対策に係る国民意識の啓発を懸命に行 ってきた関係者の御努力の賜物であるこ 困難を乗り越えていく上での基盤、すな予防総合対策センター」として発足し、 わち将来にわたっての自殺の予防となる自殺予防に関する調査研究や人材養成のとは一言うまでもないが、国権の最高機関 と考えられることから、学校においてそための研修等を実施していたが、前述のたる国会としての意思表示としての法律 のような方法を身につけるための教育の「自殺総合対策の更なる推進を求める決にそのように位置づけたということ自体 実施を求めたものと考えられる。 議」を踏まえ、精神保健的な視点に加え、 のインパクトが、これらの取組を少なか なお、文部科学省においては、平成社会学、経済学、応用統計学等の学際的らず後押しをしたことは間違いないと思 年に「子供に伝えたい自殺予防ー学校にな視点を含めた調査研究・情報発信を行われる。 うとともに、国レベルの施策におけるエ おける自殺予防教育導入の手引 ( 注 6 こ このように、自殺対策基本法の制定そ を公表しているところであり、学校におピデンスに基づく政策支援及び地域レベれ自体が、この間年間の自殺対策の取組

7. 法律のひろば 2016年10月号

よは ろ ひ の 律 法 府は、 2 014 年、観光立国実現のため、 2 0 2 0 度及び航空機で入国し「短期滞在」の在留資格を許可され 年に向けて訪日外国人旅行者数 2000 万人の高みた外国人が、クルーズ船で出国し、一定期間内に当該クル を目指し、また、同年に「クル 1 ズ 10 0 万人時代」を実 1 ズ船で再入国する場合には、原則として再入国許可を受 現することを目指すとの目標を決定し、大胆な「改革」に けることを要しないものとする「短期滞在に係るみなし再 「取り組み続けてきたところ、 2015 年の訪日外国人旅行入国許可」制度を創設し、平成年 1 月 1 日から運用を開 者数は約 19 7 4 万人、訪日クル 1 ズ旅客数は約 111 万始している。船舶観光上陸許可制度は、一般の上陸審査と 6 0 0 0 人となった。 比べ、個人識別情報の取得に係る手続等や外国人入国記録 このような状況を踏まえ、政府は、「明日の日本を支え ( いわゆるカード ) の記載内容を簡素化したりするな る観光ビジョン」 ( 平成年 3 月日決定 ) において、訪ど、簡易な手続で上陸を認めるものであり、これによっ 「日外国人旅行者数の目標を見直し、 2020 年に 4000 て、上陸審査に要する時間の短縮を図っている。さらに、 上万人、 2030 年には 6000 万人、また、訪日クルーズクルーズ船の入出港に合わせて、機動的に審査要員を派遣 カ旅客数を 2 0 2 0 年に 5 0 0 万人とする新たな目標を掲しているほか、本年 6 月に公海上のクルーズ船内で上陸審 げ、「観光立国」から「観光先進国」への新たな高みを国査手続の一部を行う海外臨船審査を試行した。 円を挙げて実現していくこととしている 他方、船舶観光上陸許可制度においては、クル 1 ズ船の る こうした中、寄港地を中心に地域の活性化等に寄与する船長に、入国審査官の求めに応じて船舶観光上陸許可を受 す クルーズ船による訪日外国人の受入れについて、「『日本けた乗客の帰船確認の報告を義務付けるほか、船舶観光上 2 014 」 ( 平成年 6 月日閣議決定 ) 陸許可を受けた者が逃亡した場合の罰則を設けるなどし 対再興戦略』改訂 一」等において、入国管理局に対しては、クルーズ船乗客の寄て、制度の適正な運用に努めている このように、問題のない外国人に対しては可能な限り迅 各港地での観光等の時間確保のため、出入国審査手続の迅速 速かっ円滑な上陸審査を行う一方、厳格な上陸審査の実施 乗化・円滑化が求められている。 の入国管理局では、これらの決定等を踏まえ、クルーズ船によ 0 て治安の維持に努めることも極めて重要であること ハロの外国人乗客に係る上陸審査手続の迅速化のため、応援派から、入国管理局としては、安全を最優先にしつつ、更な 論ス遣要員の増員及び全国的な応援態勢の構築等を実施してきる上陸審査手続の迅速化・円滑化に努め、観光先進国の実 た。また、平成年に出入国管理及び難民認定法を改正現に貢献していくこととしている ばレし、法務大臣が指定するクルーズ船の外国人乗客を対象と ( 入管 ) ひクして、簡易な手続で上陸を認める「船舶観光上陸許可」制

8. 法律のひろば 2016年10月号

特集自殺予防対策ー自殺者減少社会の実現へ 自死遺族に対する法的支援の留意点 っ症状が見られたとの報告や、心的外傷もいる。多くの自死遺族が法律手続に実他人に知られることを極端に恐れる場合 性ストレス障害症状の遷延際に踏み出す際に激しい葛藤を抱えてい が多い。中には「地元の法律事務所に相 化が自死遺族の % に認められたとの報るのだと思われる 談するとどこで情報が漏れるか分からな 告など ( 注 2 ) 、多数の報告がなされてい 法律手続に踏み出しても、その後の法 い。」と考え、わざわざ遠方の、筆者の る。特に第 1 発見者であった自死遺族的手続に耐えることができるかは別問題大阪の法律事務所まで法律相談に来る自 は、筆者の経験上、ダメ 1 ジが非常に大である。法的手続は、ある意味自死者の死遺族も存在する。 きく、ゃうつ病に悩まされるこ人生を振り返る過程でもあるし、自死の また、自死に対する偏見は自死遺族の とが多い。このように、自死遺族は、家方法や直前の状態を詳細に確認する必要内部でも暗い影を落とす。例えば、自死 族の自死によって深刻な精神的ダメ 1 ジが生じる場合も多く、聴き取りや打ち合の事実を外部の人に知られたくないとい を受けた結果、うつ病やといつわせの度に涙を流す自死遺族も少なくなう心理が働き、法的手続をとろうとする た精神疾患に罹患し、希死念慮を抱くケ 自死遺族に対して、「そんなことをした ースも少なくない。 さらに訴訟となれば相手方から自死者ら自死のことが近所にばれてしまう。」 そして、自死遺族の体調や心理面の問 の行動や人格等を非難するような準備書などと述べ、法的手続を行うことに対し 題は、直接的に法律実務に影響を与え面が提出されたり、尋問では厳しい反対て強固に反対する場合がある る。そもそも法律実務家は「敷居が高尋問が行われたりすることもある。筆者 一方、自死の原因を自死遺族の中で押 い。」とされているが、ますうつ病等のの経験上、法的手続に踏み出す際と尋問しつけ合うような状態になることもあ 体調不良がある場合は法律相談をするとの前後で、体調を崩したり後追いの未遂る。例えば、夫が自死した場合に夫の両 いう意欲が湧かないので、法律問題自体をしたりする自死遺族が多い。心理的負親が妻に対して「なぜ貴方が居て息子は が埋もれてしまう。 荷が特に加わる時期であると思われるこ自死したのか。」「あなたとは結婚させた また、「家族を助けられなかった。」ととから、特にこの時期は自死遺族の体調 くなかった。」などと辛い言葉を投げか いう強い自責の念によって、「家族を助に配慮する必要がある。 けたり、親が自死した場合に子供達がそ けることができなかった私が法律相談を の責任を非難し合ったりするような場合 することによって楽になることは許され である。このような状態になると、不動 5 自死に対する偏見等の問題 産や預金などしかない単純な相続事件で ない。」などと述べる自死遺族もいる。 一方、「法律手続でこれ以上家族の事を 現在においても、残念ながら「自死はあっても、双方の感情のもつれから長期ろ の することも少なくない 思い出すことが辛い。」と述べ、法律問 弱い人がするもの。」「自死する人は卑怯化 律 法 題の解決が容易な場合であっても、法律だ。」といった偏見が残っているといえ 問題の解決を敢えて選択しない自死遺族る。そのため、自死遺族は自死の事実を

9. 法律のひろば 2016年10月号

商事法判例研究 任が広く肯定されており、注目される。 前の段階で、 >< に直接生じた損害と認定形成される有価証券の価格について同条 取締役の第三者責任規定における「第して賠償請求を肯定する。本判決の考え項の趣旨は参照できるとして、同条項の 三者」とは、会社債権者が典型例になる。方は大分地判平成年 3 月 3 日金判 12 算定方法に準じて損害額を算定してい しかし、株主については、株価下落損失 90 号頁 ( アソシェント・テクノロジる。前掲・大分地判は取得価額から売却 のような間接損害は除き、直接損害に同 1 事件 ) とほば同様であり、同判決は取額を控除した全額を広く損害として肯定 条の責任の範囲を限定するのが現在の多締役らの責任を認め、旧商法 266 条ノしたが、それに対しては、粉飾決算と 数説である。その理由は、取締役の二重 3 第 1 項等に基づいて原告の請求を全部関係の株価下落相当額を一切考慮してお 責任発生や株主間の不平等性のおそれ、 認容している。こうした法的構成は無難らず、金商法上の損害推定規定を用いて なものであるが、第三者たる投資者に対も良かったのではないかという指摘があ 責任免除規定・会社債権者との関係など り、それと本判決は一致する ( 注 6 ) 。旧 から、株価下落損失といった株主の間接する責任とした方が理論的にはより明確 損害の賠償請求は代表訴訟によるべきとであろう。また、業績悪化による株価下証取法幻条の 2 は市場監視機能強化の趣 いう点にある ( 注 3 ) 。判例も東京高判平落損害 ( 間接損害 ) とは異なり、本件の旨で平成間年の改正により新設されたも 成年 1 月日金判 1209 号川頁〔雪ように不法行為性の強い虚偽開示によるのであり、不実開示に関し株式発行会社 印食品損害賠償請求事件〕が同様の判示株価下落損害に関しては直接損害と考え ( 有価証券報告書等の提出者 ) の投資者 を行って取締役の責任を否定し、東京地ると取締役の第三者責任がより肯定しやに対する損害賠償責任を法定している 同条はまず、虚偽開示において投資者 すいことになる ( 注 5 ) 。 判平成 % 年 7 月Ⅱ日判タ 1412 号 19 に対する提出者の無過失責任を規定し、 3 頁も資本維持の原則の保障と清算時の 投資者の立証責任を緩和する趣旨から損 債権者優先の趣旨等の理由から、取締役 3 損害額の算定方法について 害額の推定規定を置き、虚偽記載等の公 の行為による株価下落の損害については 株主は会社法 429 条 1 項の請求を行う 損害額の算定方法と金商法幻条表日前 1 年以内に有価証券を取得し、 き続き所有する者は公表日前後 1 か月間 の 2 ことはできないと判一小している における当該有価証券の市場価格の平均 ただ、学説においては代表訴訟の要件本判決は取締役の第三者責任に基づく の充足の困難性や実効性、閉鎖会社への損害について、民事訴訟法 248 条を介額の差額をもって、虚偽記載等により生 配慮等の点から、反対説もかなり有力なして旧証取法 ( 現在の金商法 ) 幻条の 2 じた損害の額とすることも可能とする一 状況にある ( 注 4 ) 。本件で側は多数説・第 2 項の損害額の推定規定を用いる。旧方で、減額することも認めている。本判ろ 判例の立場に依拠し、本規定の適用の否証取法幻条の 2 第 2 項は旧商法 266 ノ決も損害額の推定規定を用いて、推定損の 3 に準用されていないため、本件には適害額を算定した上で裁量により減額して法 定を主張したのに対し、本判決は損害発 生時は株式の取得時として株主になる以用されないが、多様な情報を織り込んでいる。なお、金商法幻条の 2 についてはい

10. 法律のひろば 2016年10月号

月刊法律のひろば 法律のひろば 日刑事訴訟関連法の改正 用事司第のま望 / 井上正仁 用事司法は変わるかー用・新当等改正の・・と - / 大洋裕 「用事駅ま等の一を改正する法得」の概要について / 吉之 載料所の立場なら関洋人 ■の立・から . / 山口責発 井・士の立・から / 宮村啓太 新たな用事司法厩度に対する・としての対応について / 河原介 バックナンバーのご案内 平成 28 年 9 月号 ◆特集◆刑事訴訟関連法の改正 ■刑事司法改革の展望 ・・・井上正仁 ■刑事司法は変わるかー刑事訴訟法等改正の意義と課題 ・・・大澤裕 第「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」の概要について 吉田雅之 ■刑事訴訟法等改正と実務への影響 裁判所の立場から ・・関洋太 検察官の立場から ・・山口貴亮 弁護士の立場から ・・・宮村啓太 ■新たな刑事司法制度に対する警察としての対応について 河原雄介 平成 28 年 8 月号・会社法制をめぐる新たな潮流 人男女の 4 人に 1 人が本気で自殺を 成 平成 28 年 7 月号・セクシュアル・マイノリテイへの現状と課題解決に向けて 考えたことがあるとの意識調査の結 平成 28 年 6 月号・出入国管理・外国人との共生 果が公表された◆自殺対策基本法の成立 により国を挙げての対策が進み日本の自 平成 28 年 5 月号・個人情報の利活用と保護 殺者数は減少に転じたが、若年層の割合 は未だ高いままだ◆今後も各分野で自殺 平成 28 年 4 月号・発達障害支援の取組 対策の取組強化が期待されるが、個人に 平成 28 年 3 月号・震災から 5 年一現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 おいても、周囲の小さな SOS を見逃さ ない心構えが必要と感じた。 ( ま ) 平成 28 年 2 月号・派遣法改正一労働者・企業への影響と今後の展望 「天災は忘れたころにや。てくる」と は寺田寅彦博士の有名な言葉だ 平成 28 年 1 月号・性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む が、今年は忘れる間もなく台風が 6 回も 平成 27 年 12 月号・日本の知財戦略ー新しい活用に向けた法整備 上陸する異常な年だった◆天からの災い の猛威は、映像から被災地の状況を見る 平成 27 年 1 1 月号・刑事司法と国際協力ー第 13 回コングレス・第 24 回コミッションの成果と課題 につけ想像を絶するものだ◆被害に遭わ 平成 27 年 10 月号・スポーツ振興の未来ー法的立場からみた課題と紛争解決 れた皆さまに心からのお見舞いを申し上 げ、 1 日でも早く元の生活に戻れるよう 平成 27 年 9 月号・児童虐待の現状と回復への取組ー防止法施行 15 年を迎えて 祈るばかりである。 は ) 法律のひろば 10 月号 ( 第 69 巻第 10 号 ) 平成 28 年 9 月 25 日印刷 平成 28 年 10 月 1 日発行 髜株式会社きようせい 〒 136-8575 東京都江東区新木場 1 ー 18 ー 11 電話販売 03 ー 6892 ー 6666 広告 03 ー 6892 ー 6589 編集 03 ー 6892 ー 6520 フリーコール 0120 ー 953 ー 431 印刷所ぎようせいデジタル株 ◎ 2016 printed in Japan } ーい NO 物確こ鵐 A ー′体加 vo 0 ぎ、 0 全 民法の一第を改正する法物の概要まをデ きようせい バックナンバー・購読のお申込み 本誌のバックナンバーや定期購読のお申込み は、以下で承っております。 フリーコール 0120 ー 953 ー 431 Web サイト http : //gyosei. jp 毎月 1 日発売 / 定価 ( 本体 800 円 + 税 ) / 送料 78 円 年間購読料 10 , 368 円 ( 8 % 税込、送料込 ) ・当編集部では、誌面に関する皆様からのご意見、ご感想をお待ち しております。下記編集部のアドレスまでお願いいたします。 zasshi@gyosei. CO. jp 振替開 19g0 -161 旧 SN0916 ー 9806 法律のひろば 2016.10 ・ 80