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1. 世界 2016年9月号

府の政治的意図に基づくものでした。また、これには異論も 治的に受け入れられませんでした。しかしバブル経済の崩壊 あるでしようが、私は連合と日本社会党が行った保守との連 とそれが生み出した危機によって、橋本内閣は改革を実行す 立政権は、間違った政治選択であったと思っています。さら る機会を得たのです。橋本は、まさにその時代にふさわしい にいえば、そもそも連合は、一九八九年に総評の倍の傘下組首相でした。彼は、伝統的保守とは異なり、市場メカニズム 合員を結集して生まれたにもかかわらず、政治的影響力は強 をすべての経済社会関係の中心に置こうとしたのです。橋本 化するどころか、著しく減退しました。総評には社会党とい にはその考えをすべて実行する時間は与えられませんでした う「政治支部」がありましたが、連合は寄せ集めという弱点 が、その後の改革の多くは橋本改革の継続です。ですから橋 を克服できず、しかも小選挙区制への加担によって「政治支本行革は、大きな転換点であったといえます。 部」を失ったのです。つまり自民党政府は労働組合を分断し、 新川橋本首相は、政治家としてのキャリアをみると厚生 弱体化しようとしたわけですが、これに対して労働組合は、 族であり、福祉政策への造詣が深く、純粋な新自由主義者で 皮肉なことに、その効果を高める政治選択を行ったのです。 あったとは思いませんが、少なくとも彼が新自由主義の方向 へと政策を転換するリーダーシップを発揮したとはいえます 歴史を見渡して振り返る九 0 年代の改革 ね。ところで彼のリーダーシップは、彼個人の政治家として 新川それでは次に、一九九〇年代の改革について、とり の能力に帰せられるものでしようか、あるいは当時の財政逼 わけ橋本行革を中心に議論しましよう。この時代の改革がは 迫等の状況のなかでは、誰であれ、ある程度はそうしなけれ たしてどのように現在の安倍政権に影響を与えているのかと ばならなかったのでしようか。私の関心は、果たしてどのよ いう問題もありますが、まずはこの時代の改革の特徴につい うな代替案が可能だったのかということなのですが て、どのようにお考えでしようか。 ルシュヴァリエ財政再建のためには、様々な方法があり ルシュヴァリエ多くの人がすべては小泉内閣で始まり、 ます。たとえば達成目標を決めて、どのような副作用があろ それ以前し。 こま何もなかったと考えています。しかし本当は、 うとも一気にそれを実現しようという新自由主義的な規律強 イがあります。ヨーロッパ、 スペインやポルトガルの財政再 小泉は橋本やそのほかの改革を打ち出してきた人たちの「息 の子」 ( 後継者 ) なのです。ですから歴史的な観点が必要です。 建とはそのようなものですが、現在のアベノミクスではそう 経橋本の役割は、日本国外では過小評価されています。財政規 ではなく、ゆっくりしたテンボで、副作用を穏やかにしなが 律や構造改革は一九八〇年代から論じられてきましたが、政ら進められているように思います。

2. 世界 2016年9月号

いけれども、そうすると土俵に乗ってしまうような感じもあ をかけていいのかということになりかねない。まして日本の って、いずれにせよ複数のトラックで走るよりほかないのか 場合、最低投票率の規定もない中で、五〇・一 % でも過半数 な、と。そもそも憲法は変わらないのがデフォルトであると に届けばい、わけです。だからこそ、安倍政権がそういう状 いう議論をしていくこと、焦点を逸らす議論に対して適切に 況で国民投票に負けるというような事態は想像できない。だ 世打ち返すこと、さらに国民投票も視野に入れて国民投票法の から発議そのものをさせないことが大事ではないか。 問題性の議論を深めていくこと。立憲主義などの基本的概念 青井日本国憲法の出自を考えると、憲法改正に国民投票、 について相当関心が高まったところで、さらにこれをわがも つまり国民が介在することなく正統性は担保できないと思い のとしていく努力をしていくほかないと思います。 ます。熟議させまいとするでしようが、出自という原点があ 中野無理やり改憲できるところを見つけて発議するとな る以上、国民投票をする者としては、憲法を自らの血肉とす った時に、国民投票で国家権力が負けるような話し。 こま絶対な るよう、あらゆる方法を考えないと、いつまで経っても政治 らないと思うのです。イギリスの場合、キャメロンが保守党 はほかの人のものだし、市民には権利も人権もないというこ 内の離脱論を黙らせるために国民投票にかけて、計算間違い とになる。これを奇貨としなくてはならないところがやはり ラ ) 、つ をしてしまったわけですが、いまの政権は決して否決されな あって、熟議にならない事態を生じさせてはいけない、 いようにあらゆる手を使うだろうと想起せざるを得ない。す 強く思うんです。国民投票が挟まれているという憲法の制度 でにふれたように、言論がここまで抑圧されている中で自由 設計自体の重みを、市民が自覚的に受け止めなくてはいけな 闊達な議論がなされるとは到底考えにくい。 いのではないでしようか。 もう一つは、イギリスの例からわかるように、国民投票の 中野そういう意味でも、青井さんがおっしやったように、 議論はそもそも熟議になりにくい。論争が残っているような 幾つもの議論を同時並行的にやっていかなければいけない。 ものを国民投票にかけると、議論が一一極化するのが当たり前 国民投票の発議のあるなしにかかわらず、憲法を知るところ で、真ん中を求める議論にはならない。イギリスで離脱から熟議は始まるべきで、今回こういう状況になったことを 派は移民がイギリスを沈没させると言い、残留派は逆に経済踏まえると、さらに必要性が増したということだと思います。 のカタストロフィーが訪れると言い、想起できる状況を超え ー・ー立憲デモクラシーの会や、 ReDEMOS 、「あすわか」の憲法カフェ たようなものも含めて、お互い極論に走るわけです。結局、 の活動などがより重要になってきますね。ありがとうございました。 サッカーの合戦のように、本当にこんなものに国の命運 ( 司会 / 編集部・清宮美稚子 ) 特集 1

3. 世界 2016年9月号

が不可避となり、その中で非正規雇用が拡大し続け、さらに つづめていえば、戦後民主主義が可能にしてきた中間層の 家族形態も多様化している現在にあって、この「家庭内トリ 生存は、これからの民主主義にあっては自らの手でこれを可 クルダウン」は実現しようがない。日本に特徴的な、こうし能にせしめなければならない。 ) そのためには戦後民主主義が た雇用と社会保障のカップリングを変えようとしない政治は、 もたらし、完成させてきた制度と思考を、いまいちどその根 世困窮の拡大と中間層の崩壊、すなわち民主主義をも破綻に追本精神から問い直し、これに制度的改革と政治不信の除去が い込むだろう。 伴わなければならない。それは、「失われた二〇年」を取り もうひとつは、心理的特徴として、それゆえに日本が痛税戻すふりをする「時間かせぎの政治ーによる時間軸ではなく、 感の高い社会になってしまっていることだ。これまでの雇用 平等と豊かさという、戦後の時間軸を取り戻すことを意味す 形態と社会保障との組み合わせを前提とすれば、増税は個人 る。それを可能にする時間感覚がない限り、時間かせぎの政 の所得減としてしか認識されず、さらに現にある極めて高い 治による破局は、乗り越えられないだろう。 政治不信がそこに加われば、増税は政治的な致命傷となる。 「破局」を固定化する 従って、有権者が脱編成された九〇年代以降、減税による消 費・投資誘因が主たる税制改革となる一方、今回のように増 ジャン = ピエール・デュピュイは、不確実性の時代におけ 税は先延ばしされ続けた。再分配が機能していない責任の半 る時間の捉え方についての考察を進めてきた哲学者だ。彼の 分は、増税の入り口に行財政改革を置き、政府不信から増税 テーゼである「破局論」は大概、以下のような考え方だ。 に反対をしてきた、いわゆるリべラル勢力の側にもある。 通常、我々は来ることが予想される「破局」に対して、理 さて、これらの条件を置いた時、アベノミクスの「新三本知的に予測し、行動すれば、それを回避できると考える。も の矢」によって仮に六〇〇兆円が達成されたとしよう。 っとも、こうした観点からの専門家による処方箋は、大震災、 経済セクターの多様化というグローバル化と、脱労組に象徴 原発事故、多発テロ、環境汚染など、現実によってことごと される個人化が進み、所得政策がもはや機能しない状況で、 く裏切られてきたのも事実である。これが、過去の知識を前 この六〇〇兆円の上積み分は、どこにも分配されないままに 提に、複数の選択肢から最善のものを個人が選び取れば、破 終わるだろう。アベノミクスが失敗を運命付けられる、もう 局は避けられるはずだという、単線的な時間軸の限界である。 ひとつの根拠である。 これに対して彼が提示するのは、来る未来の破局が宿命であ 特集ー

4. 世界 2016年9月号

断の検証が必要となるが、利害が直接的に対立する隣国との 下し続けている。 緊張緩和と信用供与の努力をせず、結果として国民間の敵意 九〇年代から直近までに至る日本経済の平均一 % にも満た と緊張を煽ったことで安全保障強化策を正当化するのであれ ない成長率は、もちろん安倍政権だけの責任ではない。しか ば、これも「アベノマジック」の類である。 し、アベノミクスによって潜在成長率の回復を可能とするこ 世 とを許さない政治的な理由があるのであれば、その政治は変 「戦後」民主主義が持つ意味 えられなければならない。 政治経済学者シュトレークは、一九七〇年代の資本主義の それは、すでに述べたような時間かせぎをする政治に対し 構造的なショックをインフレで克服したことが新自由主義を て、それとは異なる時間軸を作り出していくことで可能にな 生み、これが金融市場の自由化を進めたことで一九九〇年代 るのではないか。 の不況を招き、今度はそれを民間部門への債務付け替えで乗 実際に、時間軸をより長くとれば、民主主義と経済が危う り切ろうとしたためにリーマンショックが起きた連鎖を検証 い関係に成り立っていることが理解できるだろう。かっての し、これらは後期資本主義が破局に向かっている間の「時間 「歴史の終焉」論を封印したフランシス・フクヤマは、その かせぎ」に過ぎないと喝破した (* ・シュトレーク『時間かせぎ 論文「歴史の未来」で、先のシュトレークと同様に、二〇世 の資本主義』二〇一六年 ) 。その顰みに倣っていうならば、アベ 紀後半に民主主義が支持され、定着したのは、平等で豊かな ノミクスが実現しないことが政権の選挙での強さと権力を担 中間層を民主主義が作ることができてきたことの結果である、 保している限り、それは少しずつ破局に向かう政治の「時間 と現代の政治の劣化に警鐘を鳴らしている。 かせぎ」にしかならない。 このことは裏を返せば、 ( 成長を通じた ) 分配がなければ、 日本では年収二〇〇万円以下が全給与所得者の四分の一 民主主義は人々にとって意味のないものになっていくことを 三四 % ) と過去四年連続で増加している ( 民間給与実態統計調査意味する。民主主義が自分たちのために存在する政治だと感 二〇一四年 ) 。預貯金ゼロ世帯 ( 単身除く ) は三割以上と、この じられないのであれば、それが支持される理由もなくなると 一〇年弱で一〇ポイントも増えている ( 金融広報中央会調査 いうことは、直近のアメ力やイギリスの政治をみても明ら かだろう。 二〇一五年 ) 。一九九〇年代から際限なく延長される「失われ た二〇年」で世帯の所得は一一割以上減り、中間層の所得は低 忘れられかけているトマ・ピケティ『幻世紀の資本』は、 ロ ひそ

5. 世界 2016年9月号

ことと照らし合わせると、少なくとも、解している。 祭祀などの純然たる「私的行為」を交え 八二歳という年齢で現在行っている公務「天皇に私なし」とされていた大日本ており紛らわしいが、国民体育大会・植 が負担になっていることが主な理由であ帝国憲法下とは異なり、国家機関として樹祭などへの出席、園遊会、バラオやフ ることは否定できないように思われる。の ( 一種の公務員である ) 天皇と天皇位構ィリピン等への外国訪問、外国元首との 成者としての個人 ( 通常その人を指しても親書・親電交換、被災者のお見舞いなど ロロなにが天皇の「公務」か 「天皇」と呼ぶので混同が起こるが ) は峻別さ多くの事例が公的な行為 ( 公務 ) として 近年、天皇の公務負担軽減が図られてれるので、国事行為以外に天皇が私的個提示されている。これらの行為は「国事 きた事実が示すように、現在天皇が行っ人として行う「私的行為」があることを行為」として正当化することはできない カ現在の政府見解ではこれらを「象徴 ている「公務」なるものは過剰なほど多否定する説はない。議論が分かれるのは、、 岐にわたっているが、そのかなりの部分それ以外に「第三の行為」を認めるかどとしての地位に基づいて、「公的な立場で は現天皇になって増加したものであるうかである。憲法の規定に忠実であるな行われるもの」であり、「象徴たる地位 ( その詳細は宮内庁ホームページで参照できる ) 。ら、事実行為を含む象徴としての天皇のにある天皇の行為として当然認められる しかし、それらの「公務」は天皇がなさ公的な形式的・儀礼的行為を憲法の定めところ」の「公的行為」であるとして ねばならぬ公務、いや、行っていい公務る一二 ( ないし一三 ) の行為に限っている「公務」と位置づけている。憲法学説に 退 前なのであろうか ので、「第三の行為」などあり得ず、天おいてもこれらを、「象徴としての行 生 日本国憲法は、天皇は「国政に関する皇の「公務」は「国事行為」だけである。為」であるとか、「公人としての行為」 て であるとかとして「第三の行為」として 権能を有しない」とした上で、天皇の権 そ ロロ「公務」を過重にしている「公的行為」 合憲化する傾向にある。なお、宮中祭祀 能を「この憲法の定める国事に関する行 公 為のみ」を行うことに限定している ( 四 しかし、現実の天皇は「国事行為 ( ながいかに多くても、あくまでもそれは私 の 皇条 ) 。そのことから、「国事行為」は、 いし準国事行為 ) 」では説明のできない行事である。 「儀式を行ふこと」のような事実行為を為を数多く行っている。ちなみに宮内庁そうしたとき、これら「公的行為」は み か含む、「内閣の助言と承認」で行う形式のホームページでは、天皇の「ご公務な政治的意味や政治的影響を持つものであ 憲的・儀礼的行為であると憲法学の通説はど」の中の「宮中のご公務など」で宮中ってはいけないとの限定は説かれるもの

6. 世界 2016年9月号

新刊案内に表示した発売日は小社出庫日です 8-2016 日本的精神主義を重んじる矢代と西洋的自然主 横光利一 円 義に偏する久慈は、パ リの空の下、議論の火花 0 売 大上を散らす。検閲により書き換えをよぎ 17 日 一の真意に迫る。 ( 解説 " 十重田裕一 ) ( 全ニ冊 ) 本緑・ イギリス・ロマン派を代表する夭折の詩人ジョ 円 ン・キーツ ( 一七九五ー一八一三の主要二詩集に、生前に 0 売 は詩集に収録されなかった拾遺詩篇を精選して 4 14 発 収録。長篇物語詩、ソネット、オードなど、〈美 r—b 日 キーツ詩集 体 の詩人〉の詩の多様な魅力にふれる貴重な一冊。本赤叨・ 九鬼周造 ( 一八八个一九四一 ) は、時間論、偶然性の問 8 題、「いきーの考察など、様々な分野で独創的 0 売 な哲学を樹立した。本書は、多岐にわたる九鬼 7 0 5 発 の思索を凝縮した、九鬼哲学への最良の入門書 1 、冫人間と実存 である。 ( 注解・解説 " 藤田正勝 ) 本剞・ ルソーが言語の起源と本質を論じた著作。言語 ルソー / 増田真訳 8 の本質は情念の表現にあり、音楽と言語の起源円引売 は同一であったという。言語の起源と変遷、諸 0 8 7 発 一『ロ語起原論 、冫一一一浦言語の地理的差異、音楽の起源、旋律、和声の 5 甚日 原理と歴史などが分析される。 ー旋律と音楽的模倣についてー 本青引・ 庫開売春琴抄・盲目物山岳紀行文集日本アルプスフ , , ラ , ド叙事詩カレワラ田 文再醗 リョンロット編 / 小泉保訳本体各 1140 円 波版 7 谷崎潤一郎 本体 60 。円小島烏水 / 近藤信行編本体 95 。円 上〈赤七四五ー一〉 4 占 932745 一・ 2 C0 一 98 〈緑五五ー一一〉 4 占 93 一 0552 ・ 4 CO 一 93 岩重・ 〈緑一三五ー一〉 4 占 93 一一 35 一・ 9C0 一 95 下〈赤七四五ーニ〉 4 , 8 ・ 327452 占 CO 一 98 ■■ 1 九鬼周造 中村健ニ訳 2

7. 世界 2016年9月号

= Leave を LeaVe き Leave をし第第 ~ 。 6 月 23 日、 EU 離脱を間うイギリスの国民投票が行われ、 大方の予想を裏切り、僅差ながらも離脱派の勝利に終わった。 投票結果の分析から見えたのは、イギリス社会にいくつもの 深刻な亀裂が走っている現実だった。それが国民投票をきっ かけに、国の政党システムをもいっそう流動化させようとし ている。 一方、 EU にとっても打撃は大きい。史上初めて加盟国が 脱退する事態になるが、その先に「 EU 解体」を見る識者も いる。これは EU ではなくューロの危機だという見方もある。 冷戦終結後、国家を超えたグローバル資本主義のもとで、 一国の国家主権も民主主義も緊張関係に囚われている。その なかでイギリス国民が求めたものが何だったのかを考えると き、今回の事態が浮き彫りにした課題は、イギリスに限った ことではないことに気付かされる。この国民投票がもつ意味 は、今日、我々が思っているよりはるかに大きいのかもしれ ない。 ョーロッパと日本の論者がユーロと EU の行方を読み解く。

8. 世界 2016年9月号

7 Q 等なく・ 経吉せら 会究 2 0 0 中 町庇 義秀さひ " 日本文化事典 社等を研 源臣連を ~ 異題 6 1 0 ・豊関 る日本の様々な文化について、正確に相手に伝えるために 神 2 郷別工 尸・と分 」下文詩一ム円 田 知必要かっ十分なレベルの知識を、図版を交えて解説する 市円 ( 史 3 0 半散代 0 将長き新】 0 争序 を中項目事典。自国の文化を理解し、他国の文化を尊重す神 区 c 0 平信動に " 紛秩 区房較円代上 るための手引書。ワンテーマが見開き 2 ページで完結。 と 9 済法 と比各 8 上の ・田の究 ~ 京 真織会研 . る・ 0. の下 判の市判都 1 刊す 1 心以判道・社説【 <LO 判・ 814 頁 20000 円 ( 税別 ) 千加 5 京 2 原成、伝】 良都 都 東る 復文を一 菅正を 京田 3 8 / / 日英ことばの文化事典 東 →雄著一 ~ ~ 法著。代著 麻・の 日英語双方にまたがる文化の違いを知ることにより、英 の佳京古彦 9 日之下武 村頼化き . 語に対する知識が増え、本物の英語学習ができる。 記篇 田時説解 ~ 世蜘期安本明 亀田尚己・青柳由紀江・ (•) クリスチャンセン著 出鵐「 ~ 集 英霊 ~ 中部《日森 四六判・ 334 頁 3800 円 ( 税別 ) 徳永恂著 な円 異郷こそ故郷ー徳永怐文芸選集 現代ドイツ思想研究の碩学の、「私の人生の最後の。 う本 見晴らし台からの風景を打ち明けた」文芸選集。 2 ' 水 説「継ぎだらけの履歴書」をはじめ、「ハイデガーとへ 00 区 粉政 2 = = ロ ルダーリン」「旅の曾良・筑紫の白魚」「井伏鱒一一論」 などを収める \ 3600 十税石 統効 e 文 の番 区ゅ カ高山真 京 京缸 り〈被爆者〉になる 都 せ変容する〈わたし〉のライフストーリ ! インタピー 書 0 / 長崎の被爆による極限的な体験をした人々の記憶を いかに伝えるかに苦闘する三人の被爆者でもある語 まか 日政 り部に十年にわたってインタビューし、〈語りえない〉心開 の痛みを抱えて生きる被爆者たちの存在に限りなく \ 3200 十税〒 迫るカ作。

9. 世界 2016年9月号

解説離説論の背景 東京大学大学院人文社会系研究科研究員。 片岡大右 社会思想史・フランス文学。 日本で話題に上る離脱論は、ほとんどの場合、右派ないし 極右の排外主義的な主張に結びつけられている。しかし、ここに 訳出した政治哲学者シャンタル・ムフのインタヴュー ( 『メディア バルト』二〇一六年六月二五日 ) にあって、前景化されるのは左か らの離脱論である。 読まれる通り、「左の欧州主義者」を自称する彼女は、左派の 離脱論と距離をとり、にとどまりつつも既存の諸制度をラデ イカルに改革していくべきことを訴えて、その観点からスペイン の政党ボデモスの政策路線を擁護している。ここで付け加えてお くべきは、『メディアバルト』紙はイギリスの離脱を特集す へく、ムフのインタヴューと並べてスタティス・クヴェラキスの インタヴューを掲載していることだ ( 六月二八日 ) 。 ロンドンのキングス・カレッ、ジで教えるこの世界的に著名なマ ルクス主義の理論家は、そこで祖国ギリシアにおいて政権の座に 景 背 ついた急進左派連合の経験ーーーの枠内での緊縮財政の拒絶の 論模索と、最終的な屈服ーーーから教訓を引き出しつつ、「は改 離革不能である」ことを説く。そして「新自由主義的で権威主義的 なヨーロッパ、すなわち現にあるがままのと戦う進歩的諸勢 1 特集 2 リーヴ 力にとっての好機」たりうるとして、「離脱」派の勝利を喜んで 見せる。 しかし、「の枠組み内部での戦い」に可能性を見いだすム フにしたところで、「残留」を支持しつつも、今回の結果が「有 益なショック」となることに期待をかけているのである。この二 つのインタヴューによってプレグジット評価を代表させる『メデ ィアバルト』紙の視点が、ほとんどの日本のメディアの視点とは かなり異なったものであるのは明らかだ。 二〇〇八年に創刊され、現在では約一二万人の購読者を誇るフ ランス第三の全国紙となったこのウエプ上のクオリティ・ペーバ ーにとって、問題は、人権や法の支配の尊重される空間としての の秩序が、排外主義的な「ポピュリズム」の脅威に晒されて という非民 いるというかたちで理解されているのではない。 主主義的構築物を、現に存在するその諸制度の内部にとどまりな がら改革していくことができるのか、それともそのような望みを 幻想として退けて離脱への道を模索しなければならないのか、こ れこそが問題だというのだ。 イギリスの社会的議論にあって、左からの離脱論はーー今回も 「 LexitJ ( " LeftExit) のキャンペーンが存在はしたもののーーーかな り周縁的なものにとどまる。ジェレミー ・コービンは欧州懐疑論 を自説としているが、一九七〇年代以降の歴史的経験に由来する その立場は、彼を労働党党首に押し上げた若い世代には必ずしも 共有されていない。それゆえコービンは、彼自身の本来の主張に よってプレグジット賛成の世論を主導しうる状況にはないことを リメイン

10. 世界 2016年9月号

がある。とくに日本やドイツなど賃金抑制を受け入れてきた 制力の抑制、法人税減税、公的セクターの縮小など、新自由 国では、労働分配率が低下した結果、企業の内部留保が高ま 主義的政策による構造改革が欠かせない。グローバル化によ ると同時に、中間層の購買力が低下してきた。しかも高齢化 る国際分業には物価の安定や消費者の選択肢の拡大などのメ リットもある。それゆえ自由貿易を促進する枠組みと協定作や出生率低下が進行する中では、企業の内部留保は国内の投 りを急ぐ必要がある。また不況時の対策としては、国家債務資や消費に向かわず、金融資産や海外投資へと流れ、そこか ら生じる過剰流動性が世界各地でバブルを生じさせる。かり を増大させる財政政策よりも金融政策のほうが有効だ。一般 に賃金抑制によって輸出競争力を上げても、通貨高によって 的に言えば、国家による過度の規制を緩和し、市場における 自由競争に問題解決を委ねる方が経済合理性の高い解決に近国際収支の均衡が調整され、結局は生産拠点の海外移転が促 づくだろう。 される結果になる。これまでは経常赤字を続けながら過剰消 費を続けてきた米国の消費になんとか助けられてきたが、こ これに対し うした不均衡はいずれ修正されざるをえない。供給サイドが て ( ) の立 場をとる経済十分な競争力をそなえている日本やドイツこそ、むしろ生産 的反 学者は次のよ 性向上に見合った賃上げによって内需を刺激すべきだ。それ 表合 代厩 うに反論する。 は勤勉な国民に対する当然の報酬であり、世界経済に対する と 図 先進国の経済責任でもある。それによって技術革新のインセンティヴも高 的停滞は、供まるはずだ。格差解消と中間層の拡大のためには、適正規模 対 の公的セクターを維持する必要があり、不況時には、ケイン 給サイドの競 べの派 の者 ズ主義的な経済政策が今なお一定の有効性をもつ。一般的に 争力低下より 済合 も、むしろ生 言えば、複雑化した現代の経済では、自由市場におけるミク 裂経統 きの刈 ロレ・ヘルでの合理的選択が、合成の誤謬を通じて、マクロレ 産性が向上す 弓ン ベルにおける不均衡を作り出す。それゆえ市場の健全な発展 る中での賃金 イ のためには、国家がつねに市場を適切に管理する必要がある。 抑制による需 およそこれが、の側の反論となる。 要不足に原因 ガ ン イ フ ( ) 新自由主義派一」」一 ( ) 社会民主主義 シュトラウブハール ン ジ 特集 2 シュトレーク