す。都の歳人は七兆円ほどで、そのうち都税が約五兆円 を占めます。それほど大規模な政策を都が独立して実行 できるかどうカ 波頭たとえば東京都が支出する小中学校の給食費を 財務省が納得するか すべて無料にするとか、完璧なではなくても、 茂木工コノミストのあいだでは、の合意形成は的な再分配政策はできると思いますよ。 山崎各種の社会保障給付を徐々に置き換えていくの どの程度進んでいるのでしようか。 が理想ですが、国家単位でみても最終的には増税が必要 山崎相当程度に信認されていると思います。税金の になるかもしれません。 最もフェアな徴収手段は人頭税ですが、はいわば 波頭わが国の租税負担率と社会保障負担率を合計し ″マイナス〃の人頭税。フェアな方法で現金を給付する た国民負担率は、四〇 % ほどです。これを五五—六〇 % ので、議論になれば反論は難しいでしよう。 の負担率に引き上げれば、月約八万円の支給が可能にな 、冫頭今年六月五日にスイスで導人の是非を問う ります。国民負担率六〇 % というのはフランス並みで、 国民投票が行なわれ、反対派が上回りましたね。反対派 北欧と比べればそれほど高くはありません。 は「百万人単位の移民が人ってきた場合、支払いを拒め 島田お金を平等に分配するという意味で、日本式 るのか」と指摘しました。月二五〇〇スイスフラン ( 約 —は「マネー社会主義」にも言い換えられますか。 二七万円 ) という支給額は、あまりに高額だったのかも 山崎そうですね。ただ、「社会主義」というと印象 しれません。一方で、日本なら、原則移民の禁止が続く が悪いので : かぎり、しかも五万円程度の額なら、十分実現可能では 想 構 島田批判する人はいるでしようね。 ないでしようか。 本 西川—のコンセンサス ( 同意 ) が取れてきたと 上杉人口約一三六〇万人の東京都の場合、月五万円 き、財務省は、抵抗勢力になりますか。それとも彼らも を支給するとなると、年間八兆円を超える歳出となりま 」アイスカッション D 一の cil 10h
行使の両輪といわれるとは、アメリカの連 世界では第一一次大戦やその後に起きた国際化の流れの 邦政府が敵との戦争に備えてつくり上げた組織である。 なかで、国家の体制や機能が大きく変化しつつある。と はアメリカ国内において、反政府活動や利敵行 くに国際化という大きな動きによって、国家や社会の基 為、つまり敵を利する行動を摘発し、は海外の敵準が変わってきている。 の情報を収集、分析するとともにスパイ工作を行なっ ところがアメリカにおいては、そういった世界の動き た。この二つの強力な組織はアメリカの州政府や警察に と関わり、世界の変化に対応しているのは連邦政府で、 対抗する、連邦政府の強力な政治組織でもある。 州政府や警察は、世界とは関係をもたずに古い体質を維 そうしたや 0—< の行動がケネディ暗殺や、ニ持したまま行動している。そうした古い体質を象徴して クソン追い落としのウォーターゲート事件などと絡めて いるのが、行政警察としての機能をもっ地方警察の、過 問題にされるのは、この二つの組織が連邦政府の強力な度な力の行使である。 政治手段として、国内の政治にも深く関わり合っている アメリカは依然として、警察が反政府的、反社会的であ からである。 ると見なす人びとを簡単に射殺し、ほとんどの場合、法的 アメリカの地方自治を担当し、地域の安定に努力する な咎めを受けないという旧体制を維持し続けている。この 市長たちが恐れているのは、アメリカを脅かす世界的な事実は、アメリカと世界の接点、つまり世界との関わり方 戦争がなくなり、やの力が弱くなる一方が、ほかの国々とは比較にならないほど大きく歪んでいる で、州政府や地方警察の力が強くなっているからであ ことを示唆している。この歪みの実態を知る必要がある。 る。市長たちがとくに警察を怖がっているのは、体質が 昔のままで、きわめて非人道的、非民主的な勢力である 十八世紀終わりに戻そうとしている からだ。こういった州政府や地方警察のカの拡大は、ア メリカの政治体制が基本的に内向きになっていることを わが国においては、アメリカで起きている政治的な変 明確に示している。 化を一時的な現象だと見ている人が多い。アメリカが戦 とが 142
であり、殺害されたとしても当然であるというわけであ る。こうした考え方は、戦場における軍の戦闘行動につ 州政府は旧体制そのもの いての考え方に似ている。 戦場における戦闘は、個々の犯罪の防止を目的とした 警察官による過度な暴行事件というのは、日本をはじ ものではない。敵である相手を制圧するものである。こ め世界の国々ではあまり起きていないうえ、事件を起こ のため軍事行動が始まれば、相手はつねに殺されること した警察官は法によって処罰される。ではアメリカにお いてはなぜ、警察官の過度のカの行使が、法律的な処罰を覚悟しなくてはならない。同じ理屈がアメリカの警 察、とくに地方警察に当てはめられているのである。 の対象にならないのか。 アメリカの警察は、かってのイギリスの政治警察と同 その理由はアメリカにおける警察活動、とくに地方警 察の行動が、たんなる犯罪の取り締まりではなく、社会じ考え方を基礎にしている。つまり政治権力の行使の過 の治安を維持するための行政権行使の行動と見なされて程のなかで、警察は無制限な力を振るって反社会的、反 いるからだ。つまり社会全体を安全にするため、地方政政府的な行動をすべて取り締まり、その過程のなかでは 射殺もかまわないという考え方である。アメリカの地方 府が力を行使する、その一環として警察が権力を振るう わけであるから、過度な力の行使というものは存在しな警察は、いわば専制君主体制の考え方を基礎にして行動 しているのである。 い、という建前なのだ。 ファーガソンやニューヨーク ) ポルティモアなどで起 アメリカにおける州政府は、いまだに旧体制、アンシ ャンレジームそのものである。アメリカの州政府は、ア きた事件は、地域の治安を乱す反社会的な行動を行なっ メリカを植民地として支配したイギリスのジョージ三世 ている者に対する力の行使であり、その結果、対象であ る人物が死亡したとしても行政権の行使であるから不法時代の古い体質をそのまま受け継いでいる。 アメリカの連邦政府は国民の人権を守るための権利章 な行動とは見なされない、という考え方である。警察官 のカの行使の対象になった相手はすでに反社会的な存在典や憲法を作成して、こうした州政府の古い体質を是正 140
らの後継者として選んだことである。オバマ大統領はヒ はないかと疑われた。ミドルネームはフセインでイスラ % ラリー・クリントンの選挙キャン。ヘーンに同行し、彼女ム教徒ではないか、という疑いも強く残っている。その の肩を抱きながら、国民に投票を依頼し続けている。ア うえケニア人の夫に一爨され、インドネシア人と再婚し メリカ国民がこのオバマ大統領の求めに応じてヒラリ た母親に育てられた。オバマ大統領はどう見ても普通の 1 ・クリントンを大統領に選べば、第三期オバマ政権が アメリカ人として育っていない。 誕生し、オバマ大統領が進めてきたアメリカ政治が続く そのオバマ大統領が、自分の考えているアメリカこそ ことになるのは自明の理である。 本当のアメリカで、トランプが考えているのは、アメリ 二〇一六年七月一一十七日、フィラデルフィアで開催さ 力ではないと言い切ったのである。この発一一一一口はオバマ大 れた民主党全国大会でオバマ大統領は、ドナルド・ト一フ統領がアメリカを動かしてきた八年のあいだに増長し、 ンプが共和党全国大会で行なった大統領候補受諾演説をおそろしく自己中心的になっていることをよく示してい 「アメリカ的ではない」と厳しく非難した。 トランプは受諾演説で、現在のアメリカは間違った方 向に進んでおり、将来を楽観できないと述べたが、オバ アングロサクソンの哲学を捨てたアメリカに マ大統領はそういった悲観的な考え方はアメリカのもの ふさわ ではなく、トランプは大統領に相応しくない、と攻撃し アメリカという国は十七世紀から十八世紀にかけ、ア た。「アメリカを再び偉大な国にしよう」と呼び掛けた ングロサクソンを中心とするイギリスに対する造反者た トランプに対してオバマ大統領は、「アメリカはすでに ち、革命家たちによってつくられた。アメリカは、世界 偉大だ」と反論し、彼のつくり上げたアメリカこそアメ のことはバランスをもって考えるという、アングロサク リカだと主張した。 ソンの哲学を継承し、その考え方を基礎にした政治を進 父親が生粋のケニア人であったことからオバマ大統領めてきた。 はかって、アメリカではなく、アフリカで生まれたので イギリスは十七世紀に始まった産業革命のあと、優れ
特集これでいいのか、アベノミクス 「後期現役世代」の活用が超高齢社会の対応策となる 一九六四年、千葉県生まれ。九五年に慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学 後、国立社会保障・人口問題研究所研究員、東洋大学教授等を経て現職。ニ 00 九 ( 慶應義塾大学経済学部教授 ) 5 一一一年に厚生労働省顧問、一ニ 5 一三年に社会保障制度改革国民会議委員を 駒村康平 務める。著書に「中間層消滅」 ( 角川新書 ) 、「日本の年金」 ( 岩波新書 ) などがある。 人口減少の最大の原因は、少子化である。一一〇〇五年 合計特殊出生率が上昇しても子どもは増えない 以降、毎年、生まれる子どもの数は一〇〇万人台であ 二〇一五年の国勢調査が発表され、一九二〇年からの る。参考までに現在四十五歳、一九七一年生まれは約一一 国勢調査開始以来で、初めて人口減少が確認されてい〇〇万人である。三十数年で毎年生まれる子どもの数が る。五年に一度行なわれる国勢調査に合わせて、人口推半分まで減少したことになる。そして、二〇一〇年の国 計が見直され、一一〇一七年の早い時期に政府から新人口立社会保障・人口問題研究所の推計によると、出生数は 推計が発表される。人口推計は五十年先の推計と百年先二〇四〇年過ぎには五〇万人台まで減少すると予測され 6 の参考推計からなり、日本の将来を示すものとして、年ている。 0 金、医療、介護などの政策、財政見通し、地域計画、企 政府は国民総活躍社会を掲げ、一一〇一一五年までに女性 業の将来見通しなどに利用される重要なデータである。 が「生涯生む子どもの数を示す」とされる合計特殊出生 亠ハ十代後半の「出番」だ こまむら こうへい
年の五穀豊穣を神に感謝して来る年の豊作を願った。と ( 平成一一年 ) くに新嘗祭は、稲作を民の生活の基盤とし、そこからす べての文化も宗教も生まれてきた日本人にとっても、同 昭和天皇の御心をそのままにご尊重されながら、皇位 時にそれが天皇家の成立となった天皇にとっても至上の おおなめのまつり 祭で、新帝即位の年にはとくに大嘗祭として一代一度をご継承なされたお思いが濃く表わされよう。 一般に知られることが希薄であるが、じつは天皇の最 の儀式が行なわれた。この祭がいまも一般に伝わる勤労 もの使命は〈祭祀〉であって、そこでは自らは決して神 感謝の日の源なのである。 くにたみ もちろん、これらすべての祭は、いまも何らかの形ではない天皇が、〈無私に国民の平安を祈る〉ことが くにたみ 日々、つねに掌られている。 で、しかし〈国民の平安を祈る〉本来の意味は一一千年の 次に、陛下がお考え続けられたこととしては、時間を 時間が今に生きながら今上陛下が掌っている。 さいたんさい 追って進歩する日本と世界のなかで皇室が伝統を生かし 今上陛下が正月元日の歳旦祭に詠まれた御製。 ながらいかに「いきいきとして社会に内在」しうるか、 との問題と受けとめた。 歳旦祭 これは、一一千年の歴史を今に生きている皇室が、今度 明け初むる賢所の庭の面は は将来の国際社会において永一日遍なるものを生かしな 雪積む中にかがり火赤し がら、必然性をもって存在し、さらに伝統を次代に生か 議 しうることといえないだろうか の およそ日本の皇室ほど世界から崇敬も思慕の念も受け ている存在はないとも伝わっていて、それは、日本の天 皇が、自国の民のみならず常に、「世界平和」を無私の 皇 魂で祈り続けておいでだからと、そうしてその理想の実 現に果たされる皇室外交によるからと考えられる。 ( 平成十七年 ) また今上陛下がご即位なされて一代一度の大嘗祭に詠 まれた御製も。 大嘗祭 父君のにひなめまつりしのびつつ かしこどころ たみ 我がおほにへのまつり行なふ
ある。 行なわれている。ハイテク産業とは程遠いようなイメー 「日本には優れた技術はあるが、なかなか事業として成 ジがある農業でも、—。が活用されていることから、 これからの石垣島と台湾との交流、とくに経済交流にっ立させられない」 これは、あるアメリカ人の技術者が漏らした一言であ いて参考となるものが少なくないと考えている。 現在、日本一の米生産地とされる新潟県ですら、農業る。台湾と日本がいかにして経済交流を深化させていく 就業者が減ってきているという問題があるという。今後かを考えたとき、じつに示唆に富んだ言葉である。 —。 e の分野において、日本の技術はたしかに世界の も収益性を維持、あるいは高めるためには農地の集約化 なかでも先行している。ところが、その技術の多くが自 を進めていくしかない。 社内に閉じこもったサービスのため、事業化や世界展開 稲作において、もっとも手間がかかる作業といえば、 水位の管理である。田植えの直後など、農民は広大な水に困難があるのだ。 その点、台湾はグローバル市場のニーズに応じて、半 田をかなりの時間をかけて朝夕、見て回っている。水田 管理労務費は、経営コストの約三割を占めるともいわれ導体などの部品を大量に生産する技術に優れている。私 る。そこで新潟市は通信業者と協力し、将来の農業を改が総統だったとき、巨額の出資によって半導体の生産体 革するプロジェクトに取り組んでいるという。田んぼの制を構築した。現在、台湾ではこれを基礎にした半導体 水位をミリ単位で計測するセンサーを設置し、取得され製造会社が一〇社ほどあり、—。用半導体の開発を行 なっている。 たデータは農家の携帯電話や。ハソコンに伝えられる。 このように、日本企業の研究開発力と台湾の生産技術 農民は、わざわざ水田まで出向かなくても、家にいな が力を合わせれば、世界市場を制覇することも夢ではな がら水位を把握できるわけで、大きな省力化に繋がるだ ろう。 い。日本経済は再び成長路線に乗ることができるだろ う。台湾が— oe の一大生産拠点になれば、雇用も増え 研究は日本、製造は台湾 る。の伸び率も三、四 % は維持できるだろう。 こうした日台間の協力関係は、石垣島における戦前や ただ、この夢のような技術である—。 e にも問題点が
一方で、今日のお話で一つだけ私と意見が異なると感につなげるときは、公の制度づくりも威力を発揮するの ではないでしようか。市場原理ばかりではないかもしれ じた点は、「政策でイノベーションは生まれない」とい ない。 うこと。単純な経済構造の江尸時代において、工業化に しい 波頭良いバラマキではなく、審査や恣意的判断が介 よる生産拡大の過程で行なわれた初期の公的なインフラ 支援は、イノベーションに多大な影響を与えてきまし在するかたちでの再分配をお上に任せると、妙なところ た。これからの経済で求められるのは、いうまでもなく にお金が流れてしまいかねない。これではイノベーショ ンを引き起こす活力にはなりえません。それだったら具 高水準の労働生産性です。家庭の教育に限界があるなか で、若者を生産性の高い状態に育てるためには、公的な体的な分配は、起業家やマーケットに任せたほうがいい と思います。事業家や資本家が自由にイノベーションを 教育投資は必要ではないでしようか。 めざす企業やテクノロジーベンチャーに寄附をしてもら 山崎インターネットが広まった起源を振り返って も、政府が関わることでイノベーションが生み出された い、寄附者には減税というかたちの制度をつくって、そ 例はいくつかあります。 の財源を国が担保すればいい。 中島二〇一〇年に民主党の鳩山由紀夫首相によって 西川科学や医学の分野では、未来型の教育投資は正 直できているとはいえません。これまで政府は、京都大「新しい公共」という概念が示されました。行政だけが 学の山中伸弥教授が実用化に向けて取り組む人工多能性公共の役割を担うのではなく、国民や企業が公共の担い 幹細胞細胞 ) の研究のような既存の開発分野に手の当事者としての自覚と責任をもって自発的に活動す ることで、支え合いと活気がある社会をつくるという考 ばかりに積極投資をしてきたから、次代のイノベーショ え方です。認定 z 0 や公益法人等に対する寄附も推進 ンが生まれなかったのです。 想 構 はっきりいって、役所はイノベーションに対する将来しましたが、結局賛同を得られませんでした。 本 的な見通しをもっていない。 「税を優遇して、儲かりますよ」といくら促しても、寄 磯田将来が見えたイノベーションを産業やビジネス附はそれほど増えることはない。寄附の動機付けは、宗
そして最後に「憲法の下、天皇は国政に関する権能を伝統を踏まえる責任感を滲ませたコメントだと思いまし 有しません」と再び確認されるかのようにご自身のお立 場について触れられ、「象徴天皇の務めが常に途切れる 陛下ご自身がおっしやったように、天皇は国政に関す ことなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、こ る権能を有しません。その一方で、私たちは日本国民と こに私の気持ちをお話しいたしました。国民の理解を得して天皇陛下のお一一一口葉を無下にすることはせず、陛下の られることを、切に願っています」とお言葉を締めくくお気持ちを深く受け止めたいものです。 られました。 陛下は先の「お言葉」で、ご高齢やご公務のご負担と いう問題を現行の皇室典範のもとで解決するため、以前 大河の流れに鑑み慎重な議論を から民間有識者たちが提案してきた摂政宮の設置や祭祀 の削減に疑問を示されました。陛下ご自身のご発言が公 私たち国民は、このたびの天皇陛下のお言葉をどのよ にされたいま、よほど説得力のある理由がないかぎり、 うに受け止めるべきでしようか。陛下のビデオメッセー 政府側から摂政宮を置く提案は難しいことでしよう。国 ジが放送された直後、安倍晋三首相は「天皇陛下が国民民の理解も得られないことでしよう。 に向けてご発言されたことを重く受け止めております。 産経新聞社と Z Z ( フジニュースネットワーク ) が行 天皇陛下のご公務のあり方などについては、天皇陛下のなった合同世論調査 ( 八月六、七日実施 ) では、天皇が ご年齢やご公務の負担の現状に鑑みるとき、天皇陛下の皇太子に皇位をお譲りになる「生前退位」について七割 ご心労に思いを致し、どのようなことができるのかしつ の国民が理解を示し、制度 ( 皇室典範 ) の改正に賛成しい かり考えていかなければならないと思います」と、述べ ています。朝日新聞社の世論調査 ( 同六、七日実施 ) で ました。一分弱の簡潔なコメントは、安倍首相が陛下のも、制度の改正に八四 % が賛成し、天皇陛下の代わりに甦 本 お一一一一口葉をいかに重要なものと受け止めているかを十分に国事行為を行なう「摂政」を置くことについて、七三 % 示していました。そのうえで日本国憲法および、日本の が容認する回答を寄せました。 ( 0 にじ
下がご自身の象徴としてのお務めを果たすことが難しくて、あたかも陛下ご自身のなかではすでにお務めが完了 しているのではないか、との印象を抱いた人は多かった なってきたことを述べられたのは、裏を返せばこれまで のではないかと思います。 陛下がいかに全身全霊をもってお務めを果たされてきた 続いて、陛下はきわめて重要なご発言をなされます。 かの証明でもあります。 同胞を守るために散華した多くの日本人が眠る地に足「天皇が未成年であったり、重病などによりその機能を を運ばれる陛下のお姿は、テレビを通じて国民の目に焼果たし得なくなった場合には、天皇の行為を代行する摂 き付いています。実践によって裏付けられたお心ゆえ政を置くことも考えられます。しかし、この場合も、天 に、「天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、 対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わり はありません」。万が一、天皇陛下のお務めに支障が生 に育てる必要を感じて来ました。こうした意味におい じたとき、国事行為を代わりに行なう摂政を置くことは て、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私 は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来まし望まれない、というご意向であることが窺われる、驚く た」というお言葉には強い説得力があり、ひとえに陛下ほど率直なご発言です。 もがり しゅうえん 加えて「天皇の終焉に当たっては、重い殯の行事が の誠実さを物語っているといえるでしよう。 次に、陛下は「私が皇后と共に行って来たほぼ全国に連日ほぼ一一カ月にわたって続き、その後喪儀に関連する 行事が、一年間続きます。その様々な行事と、新時代に 及ぶ旅は、国内のどこにおいても、その地域を愛し、そ の共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる 識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に 民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深置かれざるを得ません」とおっしゃいました。このお言 い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでし葉の背後には、昭和天皇の崩御を経験されたご体験も多 た」と過去形でおっしゃいました。このくだりを拝聴し分におありなのではないでしようか。