今上陛下のビデオメッセージの 度の被及御発語の故障も近頃其度める」 ( 同実録第 lll) と決められて 「お気持ち」で述べられた「天皇と を増させられ又動もすれば御倦怠起いました。 して大切な、国民を思い、国民のた り易く御注意カ御記憶力も減退し要 めに祈るという務め」の核心は、現 するに一般の御容体は時に消長を免 「私的行為」とされた宮中祭祀 憲法によって「私的行為」とされた れざるも概して快方に向はせられざ 宮中祭祀であることを、国民も暗黙 戦後、天皇陛下の「宮中祭祀」 る様拝察し奉る》と発表されていま した。 は、が起草した憲法の「政教のうちに認識しています。 戦後に天白疉下が「象徴天皇」と その後、皇族会議のさまざまな準の原則」によって天皇家の「私 位置付けられた、との誤解がありま 備が行なわれ、大正十年十一月二十的行為」とされてしまいました。 わた 五日、「天皇陛下御病患久キニ亙リ しかし実質的には、日本国局位すが、本来、天白一一陛下は、近現代以 大政ヲ親ラシタマフコト能ハサルヲ の神官である天皇としての核心的前から国家国民の「象徴」だったの かんむ 以テ皇室典範第十九条第一一項ノ規定行為は、歴代天皇だけに許され、飛であり、親政を志したのは、桓武天 ごだいご ニ依リ摂政ヲ置カルへキモノト議決鳥時代から執り行なわれている、元皇と南北朝時代の後醍醐天皇などご く少数でした。 ス」 ( 同実録第三 ) として皇太子裕日の午前五時二十分から天皇が黄櫨 そして天皇が「象徴」だったこと 仁親王が摂政に任じられ、即日宣布染御袍と呼ばれる束帯を着用し、 されました。 皇居の宮中三殿の西側にある神嘉殿は、京都御所の塀の低さを諸外国の 実 また、大正十年十一一月十一一日には の南側の庭に設けられた建物の中に皇帝や国王が住む城壁の高さと比較の 「摂政は天皇に代わり祭祀を行うも人り豊作を願い、伊宮の皇大神すると、一目瞭然になるでしよう。皇 とようけだいじんぐう また、今上陛下が被災地に赴か天 のとし、摂政御拝礼 ( 実際は行啓中宮・豊受大神宮の両宮に向かって につき御代拝 ) ・皇后御拝礼の順と拝礼し、続いて四方の諸神を拝するれ、被災者に寄り添われる姿勢が、の すること、摂政御拝礼なきときは、 「四方拝」に始まる宮中祭祀なので戦後の天皇を「象徴」するお姿であ戦 る、との誤解がありますが、それは その御代拝が行われることなどを定す。 ぜんのごほう こうろ
儀礼が行なわれてきたといいます。まず、山人が神を降っ聖域で行なわれたことが重要です。後にも、多くの市 臨させる依代としての杖を地に突き立てます。次に山人は寺院や神社の敷地内で行なわれました。新年にあたっ て神を迎え祭ることと市とは、深く関わっていたので が削り花 ( 山産ともいう ) を平地の村人に与え、村人が 何かの物品を山人の手に委ねます。山人の削り花が新しす。 新旧魂の交換が霜月祭の日に行なわれたのは、その日 い清浄な魂を意味し、平地人の物品が一年間の罪穢れを 帯びた古い魂を意味しています。こうして新旧の魂が取 ( 冬至 ) から新しい年が始まるとする冬至信仰によって り替えられ ( 交換され ) 、古くなってカの衰えた魂が更います。この日にそれまでの古い太陽は最後の衰えを迎 えて死に、次の日に新しい太陽が誕生して日に日に勢い 新されるのです。 樹木を地に突き立てて神を地に降ろし、次に新旧の魂を増していきます。 霜月祭は秋の収穫祭として行なわれます。実際の収穫 を交換する。こうした儀礼を行なってから、山人たちが 作った生活用具や山の産物と平地の村人たちが作った穀期より一カ月ほど遅いのは、その間に物忌に服したため もくト 4 く です。物忌は、神の訪れに際して、酒肉を断ち沐浴をす 物や野菜などを交換しました。 るなどして身を慎み、心身の穢れを除き去るために行な このように、秋の最後の日、「明日から春になるとい います。 う日ーに新旧の魂が交換される ( あらゆる物が一新され このように見てきますと、古くは秋の収穫後、豊かな る ) という信仰が、市の精神を形づくっていたのです。 生産物を手に人れてから交換が行なわれた、商いが行な なお、市Ⅱイチの語源はイッキ ( 斎 ) で、神が居着く ( 降臨する ) 場所という意味になります。また、市を開われたということがよくわかると思います。 の い くことを、「市を立てる」とか「市が立っーとかいうの の 人 富は「あの世」からやって来る は、樹木 ( 杖はその象徴 ) などを立てて神が降臨する目 本 印としたことによっています。 新たな魂が山からもたらされるとしたのは、生活圏を 市での物品交換が、年の初めにやって来る神の降り立 よりしろ やまづと けが ものいみ
素電源である再エネと原子力の活用が鍵になる。まず世の発電設備のシェアが四〇 % に達したが、発電量は十数 とど 。ハーセントに留まっている。それでも、夫婦と子供一人 界の主要国が取り組んだのは太陽光、風力、地熱などの 再エネによる発電の普及だった。導入促進のために主要の標準家庭でのの負担額が年間三万円に達し、国 国は、再エネにより発電された電力を高く買い取る固定民の不満の声が高まったため、一一〇一四年に小型設備を 価格買い取り ( フィード・イン・タリフーー送電線網に販除きを廃止することになった。 売されるときの価格ーーと呼ばれる ) 制度だった。 ス。ヘインでは、買い取り価格を、遡及して当初約束し た金額から減額した。発電設備に投資を行なっていた事 日本でも東日本大震災後、菅直人政権の辞任と引き換え 業者が予想もしていないことであり、訴訟が相次いだ に、一一〇一一一年七月に導人された。 が、スペイン最高裁は、遡及して金額変更を行なう権利 先行した欧州の主要国でによる再エネの導人が 進むにつれて、問題点が浮き彫りになってきた。太陽任を政府はもっとし、この制度変更を有効とした。イタリ アでは太陽光発電の利益率に上限値を設定し、さらに太 せ、風任せで、いつも発電できない再エネを導人して も、発電できないときに備えるため火力発電設備を削減陽光発電に課税することで、実質的な金額の引き下げを することができない。による負担金に加え送電を行なった。英国、フランスなどもの買い取り金額 安定的に行なう費用も必要であり、電気料金が大きく上の大幅引き下げを続けた。いずれも、負担額との比較で 昇したのだ。仮に、太陽光発電。ハネル、風力設備の費用効果は限定的と判断してのことだ。再エネ導人の目的の 一つであった自国の産業振興も中国企業の勃興を助けた が下がり、発電コストに競争力が出ても、需要家に届け だけだった。 るための費用を考えると、現状では電気料金は高くなる のだ。 電力コストと温暖化の問題から、英国、スウェーデン のように原子力の活用を行なう国も出てきた。一一〇四〇 再エネの発電設備の導人量が増えるにしたがって、 —e の負担金も大きくなり、家庭と産業にとっては無視年までに原発を廃止し、再エネによる発電を一〇〇 % に できない金額になってきた。ドイツでは、風力、太陽光するとしていたスウェーデンは、今年七月に政策転換を 148
った和歌は多いようです。「 て、書かれている金・銀・土・木の文字に従って、それ 秋の収穫を終えて、収穫物が「満ち足りるーほど豊か ぞれの木彫りの鷽と交換してもらう、という具合です。 な時期に産物の交換が行なわれたということだったのか その意義は「昨年の嘘を神前に詫びて真に替えるーこと にあるとされます。 もしれません。あるいは、物資の交換によって互いの心 が「満ち足りる」ことをいったのかもしれません。 折ロ信夫は、各地に見られる古くからの民間信仰の研 日本には古くから、新しい年の始まりに神がやって来究を通して、「鷽替神事ーの元の姿は古い魂と新しい魂 て、土地の人々の古い魂と新しい魂を交換してくれる、 の交換 ( 取り替え ) にあったとして、要約すると次のよ という信仰がありました。その名残の典型例を、全国のうに述べています。 天満宮系の神社で初天神 ( 一月二十五日 ) 前後に行なわ うそかえ 明日から春になるという日 ( 旧暦十一月の霜月祭の れる「鷽替神事」に見ることができます ( 鷽は笛のよう ウグイス な美しい声で鳴き、鶯とは別の鳥です ) 。 日 ) に、神の使いとして山人が里に現れて舞い、土地 この神事は東京の湯島天神社や亀尸天神社では、木彫 の霊を鎮めて明日から春になることを告げ、古い魂と りの鷽を神社で買い求め、去年買った鷽を神社に返すと 新しい魂を交換させるワザを行ない、その場所を市と いう形で行なわれます。その意義は「この一年間の悪い いった。その新旧魂の交換は、山人は山の木の杖を携 ことを嘘にして真に替える」ものとされます。 えて来るのだが、その杖を別のものとすり替えたり奪 また大阪天満宮では、まず参加者に紙袋が手渡されま ったりすることでなしとげられる。この杖の交換が売 す。そして太鼓が打ち鳴らされ、その間人びとは「嘘を 買交換という形をとるようになって市の形ができた ( 「鷽替神事と山姥」『折ロ信夫全集・第十七巻』中 真に替えましよう、替えましよう、替えましようと声 央公論社より筆者要約 ) 。 を上げながら、紙袋を次から次へと交換していきます。 そうして交換が終わると、手元に残った紙袋を開けま す。すると紙でデザインされた鷽のお守りが人ってい 折口によれば、市の開催にあたっては、以下のような まこと 188
日台連携で世界市場へ ~ 時 演 日総 台 7 の 台湾と石垣島のつながり 今年の七月三十一日、石垣島 ( 沖縄県石垣市 ) で「石人が私を訪ねてくれ、「未来の日本を背負う、若い人た 垣島の歴史発展から提一言する日台交流のモデル」と題すちに向け、ぜひ石垣島で講演をしてほしい」という熱心 る講演を行なった。本稿はその講演原稿を基に、加筆ゃなご招待を受けた。全国青年市長会とは、当選時に四十 修正を行なったものである。 九歳以下の市長で構成される組織である。新しい時代を まず、石垣島で講演を行なった経緯から述べたい。五切り拓くため、会員同士の若い情熱とエネルギーをぶつ しんげ 月一一日、全国青年市長会の会長を務める吉田信解氏 ( 埼 け合い、地方自治の発展に寄与しようという熱い志をも 玉県本庄市長 ) と副会長の中山義隆氏 ( 石垣市長 ) の二 った全国の若い市長の集まりだという。 「第四次産業革命」を起こすのは われら日台運命共同体 ! 一九ニ三年、台湾・淡水郡生まれ。台北市長、台湾省政府主席、 台湾副総統などを経て、八八年、総統に就任。九〇年の総統選 挙、九六年の台湾初の総統直接選挙で選出され、総統を十ニ年 李登輝 務める。著書に、「新・台湾の主き ( 新書 ) ほか多数。 ( 元台湾総統 ) 石垣島来島記念論考 り とうき Voice October , 2016 22
杉鷹山』だったんです。鷹山は疲弊しきった米沢の地域「研修機関」「 p-æ機関」であり、たんなる精神論を教え に農業開発を行ない、養蚕や製紙などの殖産興業を実施ていたわけではありません。 して甦らせた。さらに藩校の興譲館をつくり、藩士の 村井おっしやるとおりで、質素な格好をしていたか 教育まで行なった。おそらく周りからみたら「こんなこ ら鷹山は立派なわけではない。まず、無駄な出費を抑え とはできない」と思われるような改革でも、志のカでやるという止血をしながら、入り ( 収人 ) を増やしていく なら り遂げてしまった。私も鷹山の故事に倣い、「全体の利 ための政策を考案し、実行したことに意味があります。 益になることは、どんなに反対に遭ってでもやる」と覚まさに、現代のわれわれの自治体がやるべきことです。 悟を定めることができました。 江戸時代にできた改革がいまの時代にできないわけがな 童門村井知事のお話を聞いていて「わが意を得た い。もしできないとしたら、それは周囲の批判を恐れて りーの感を強くしました。なぜなら、上杉鷹山という いるからです。反対派の批判を鎮めようとしてバラマキ と、倹約だけの人物だと誤解されている向きがあるから 行政ばかりをやっていては、改革は進みません。その です。でも、けっしてそうではない。必要な投資は惜し点、私は厳しくやっておりまして、だからこそお叱りば かり受けています。 みなく行なっています。鷹山の政治手法の新しさは、そ れまで米作一辺倒であった経済を改め、米沢の自然条件 に合った植物を植えて、それを原料にした製品を売るこ 個々人の努力が復興の城となる とで、藩財政を立て直そうとした点です。たとえば、漆 こうぞ からは塗料や蠑をとり、楮から紙を漉き出し、桑からは 村井東北の復興において、宮城県が果たすべき役割 生糸を織り出して、絹織物を生産した。新産業の創出で はきわめて大きいと考えています。原発事故のあった福 経済が成長すれば、その恩恵は領民にも行き渡って消費島県は、想像もできない大変さがあろうかと思います 力が高まり、さらに内需が拡大します。 が、宮城県では、震災で亡くなった方のうち、五割強を 藩校の興譲館はこうした鷹山の考えを広めるための占めるなど、大きな津波被害を受けました。これらを乗 ようさん こうじようかん うるし 130
離れた外部の自然界に、あらゆる生命の原郷を思う古い そのように日本では、人間の生活世界の外側に広がる 信仰に基づいています。 自然界に、しかもかなり身近なところにあの世があると 人間の生活をより豊かなものにする穀物、果実、魚イメージされました。あの世はこの世からかけ離れた地 介、動物の肉、木材、健康などあらゆる富は、「あの世ではなく、生活圏に隣接する野や山や海の領域にあっ からの贈り物 ( 贈与される物 ) 」と考えた時代がありまし て、いつでも往還が可能な世界と思われていたのです。 た。あの世は、神々・祖先・死者が安らぎ住まう豊かな あの世にもこの世と同じような生活があると考えられ みの 稔りに満ちた世界であり、すべての生命の源泉の地と思 ました。ただ、あの世はこの世とは大きく異なり、つね われていました。 に豊かな恵みに満ちあふれた幸福な世界として思い描か あの世はこの世とは異なる他界であり、異界・異境でれました。大漁も豊作も、商業的な繁栄も、あの世から す。日本であの世は何処にあると考えられていたのでし もたらされる恵みと信じられました。 ようか。キリスト教やイスラム教でいう天国や仏教でい 日本各地にいまなお行なわれているさまざまなお祭り う浄土のように、この世から隔絶した別次元の世界とはや祖霊迎え・祖霊送りの行事は、いずれもあの世から祖 考えられていませんでした。『万葉集』の死者を贐んで 霊・神を迎えては送り返す儀礼として、古くから行なわ 歌われた挽歌によれば、海の彼方とか山の彼方、あるい れ続けてきたものでした。 は雲や霞の彼方とされていたようです。 日本の祭りはあの世ーー海や山の彼方にあると想像さ それらの彼方とは、日本各地に残る民間信仰によれれた国から、季節ごとに豊かな稔りを携えて村々を訪れ ば、海の向こうに霞んで見える島とか、海の底とか、あ る神を大事な賓客として迎え、神と人が飲食を共にする るいは村落の裏山とか、村境の向こうに広がる野とか、 宴会を開き、宴会を終えると神を再び元の国へ送り返す 総じて生活圏からそれほど遠く離れてはいない異界・異祭事として行なわれてきました。 境でした。そこに、先祖の霊が生活するあの世を思った この村々を訪れる客人神はマレビト ( 来訪神・異人神 のです。 などの意味をもっ ) とも呼ばれました。マレビトとは どこ
に危険を冒さずーー経済学的には危の大きな理由が、現在の収莪況が 継続性への信任を得られるか 険中立的な姿勢で投資活動を行なう いつまで続くものなのかわからない 不況下で経営状態が厳しい企業が のは、財務に余裕があるときであ という不安だ。 ふところ 行なう投資は、比較的不確実性が低る。懐に余裕があるからこそ、ある たしかに、海外経済の動向を日本 いコストカット型投資に傾きがち程度のリスクを負うことができる。 の経済政策が変えることはできな だ。そして原や労働力を節約す懐に余裕があるからこそ、一発逆転い。しかし、せめて国内の経済政策 る投資は他社の売り上げを減少させ の発想に陥ることなく自社の将来を が緊縮に転換することはないという るため、マクロの経済環境は改善さ見据えた行動ができるようになる。 点だけは民間に明確に示す必要があ れない。 このように考えると、短期の経済る。つまりは、現在の政策が安倍首 相の義任期である一一〇一八年をも さらに経営状態が悪い企業ーーーな対策による企業収益の改善こそが かでも過剰債務を抱える企業は、逆「未来への投資を実現する」ための って転換することはないとの点を与 に、危険愛好的になる。つまりは、 近道であることがわかる。アベノミ 党内で明らかにし、国民に、市場に ばち 一か八かの危険な投資を好むように クスは企業収益を改善しただけだと伝えていく必要があるだろう。継続 なる。なかには、このような「賭いう指摘があるが、短期的改善こそ性への信任こそが政策効果の源泉で け」に成功する企業もあるだろう。 が長期的な経済成長のための第一歩あるということは金融政策に限った 大しかし、危険愛好的な投資行動は平なのだということを忘れてはいけな話ではない。 い。 均的には収益性が低いことが知られ 中長期的な日本経済の構造を変え ている。日本国内で多くの企業が一 一方で、企業収益の改善は目標達ていくためには、絶え間ない短期の か八かの品開発に走ると・ = 日成の第一歩であ 0 てゴールではない経済政策が必要だ。そして、絶え間な 本全体の平均生産性はむしろ低下すこともまた確かである。収益の改善 い短期経済政策が継続的に行なわれわ にもかかわらず、企業の投資意欲、 ることへの信任を得ることこそが、 企業が過度に墮にならず、過度研発支出は伸び悩んでいる。そ いま必要な経済政策なのである。 る。
行ない原発一〇基の建て替えを決めた。八八五万の原けて減らす」、三五 % が「すぐに廃止」と答えている。 発の置き換えには、風力が一三三〇万と天然ガス火力再稼働に反対なのに、時間をかけて減らすというのは不 が八六〇万必要となり、発電コストが三倍近くに上昇思議だ。の世論調査結果と比較すると既存設備を する。温暖化問題に対処するには電気料金の上昇があま 利用するが新設はしないと考えている人たちと同じとも りに大きくなる。 思える。いまは反対だが、将来は稼働してもよいという 東日本大震災後の一一〇一一年十一月に主要国にて行な意味だろう。 われた英国による世論調査によると、英国では原 世論調査は質問の仕方で結果が異なるということだ 子力発電所を新設すべきが一一一七 % 、すぐに閉鎖すべきが が、日本の世論調査の大多数で利用されている方 一五 % 、米国では新設三九 % 、閉鎖一四 % と原子力発電式と呼ばれる電話による調査には他の問題もある。私の への支持は原発事故によっても揺るぐことはなかった。 研究室では、昨年末に静岡県の浜岡原発が立地する御前 これは、英米の多くの人は事故のリスクよりも原発がも崎市と周辺の掛川、菊川、牧之原市において世論調査を たらす温暖化対策、自給率向上などのメリットが大きい実施し、七六〇〇の回答を得た。その結果から現在の世 の と判断しているためだ。 論の姿を探り、世論調査の問題点を指摘したい。 で の世論調査は日本でも実施されているが、新設 原子力再稼働反対は多数派なのか は 六 % 、閉鎖一一七 % 、既存設備を利用するが新設はしない 査 が五七 % だった。時期は異なるが、原発の再稼働を問う 四市で実施した世論調査の目的は、エネルギー安全保 今年三月に行なわれた『毎日新聞』の世論調査では、再障、電気料金、温暖化問題への関心、政府、電力会社、 関 稼働「賛成」三〇 % 、「反対。五三 % 、「無回答」一七 % マスコミへの信頼度などと原発の再稼働に関する意見の だった。同じ世論調査で「すぐに原発を廃止」「時間を相関関係を調査することだった。英国では主として温暖髜 原 かけて減らす」「減らす必要なし」との質問も行なわれ化問題への懸念、米国では安全保障の観点から原発を肯 ているが、反対と回答した人のうち六四 % は「時間をか定する意見が多いが、日本でも同じ傾向があるのではな
小出しの財政政策が政府債務を未曾いる。リーマン・ショック後の世界の完全脱却や名目六〇〇兆円 有の水準にまで拡大させた。そして経済の回復を支えた新興国の経済成蔑という目標と . ロ的なかたちで 総需要の停滞が非正規雇用の拡大や長は陰りが見られ、世界中で生産性の金融緩和策の爆が必要である。 そして日銀が行なう金融緩和策を の低迷が生じている。需要低迷・低金 労働参加率の低下といった労働の サポートする上でも、さらに財政政 「質」の低下や、維持更新主体の設利・生産性向上の核となるイノベー ションのは世暠な現象である。 策を通じて安定的な経済成長を蔑 備投資の常態化といった投資の 「質」の低下につながることで生産 こうした現象を踏まえた上で、経する上でも政府の役割は欠かせな 済政策はどうあるべきだろうか。ま い。政府は規模一一八・一兆円の 性の低迷をもたらしている。つまり 総需要の亜花が総供給の亜花をもたず金融政策は「量」「質」「金利」の「未来への投資を実現する経欝策」 三つの緩和手段を通じて予想インフ を閣議決定したが、日本経済に影響 らすという「履歴効果ーを伴いなが を及ぼす真水額は一五年度と一六年 ら長期が持続したのが、一九九レ率の上昇に働きかけ、そのことを 通じて物価安定目標の早期蔑・維度の一一年間の△昇で七・五兆円に留 〇年代以降の日本経済の姿である。 日本は「課題先進国」といわれて持を図るという本来の目的に立ち返まり、実質成長の押し上げ効果は一一 るべきだ。筆者の見るところ、新た年間の累計で一・三 % 程度と見込ま 久しい。金融危機に見舞われたあと の世界経済の動きを見ていくと、米に導人されたマイナス金利政策はれる。力不足の経欝策としか言い 「量」「質」両面の緩和策の限界を露ようがない。 国は大胆な金融緩和策からの転換を 妻費は巨額であるのに真水額が 呈させ、予想インフレ率の低下を食 図ることが可能な程度には回復した 過小という経済対策が疋されてし ものの、金融危機前の成長経路への い止めることができていない。また 復帰を果たしてはいない。欧州経済七月に行なわれた買い取り増まうのは、政府が財政支出拡大に伴 は「質」に働きかける金融政策だが、 う短期的な財政亜花を懸念するあま も英国の離脱や鬮が棚上げさ りに大胆な政策を行なえない「臆病 れたままのギリシャ債務鬮をはじ「量」「質」両面の緩和策の限界を払 めとしてさまざまなリスクを抱えて拭するに至っていない。デフレから者の罠」 ( クルーグマン ) に陥って 120