製造業 - みる会図書館


検索対象: Voice 2016年10月号
229件見つかりました。

1. Voice 2016年10月号

日本の製造業の一人当たりの付加価値額 ( 簡単にいえ エネルギー消費量、エネルギー効率は、一九九七年度か ば儲けだ。付加価値額の合計がになる ) は平均より ら良くなったり、悪くなったり波を描いているが、大き も高い。給与は付加価値額から支払われるので、製造業な改善は見られない。要は、製造業が元気を失くしたた の給与も平均より高い。一一〇一四年度の実績では平均をめ産業部門のエネルギー消費も減少した。 七〇万円以上上回る四八八万円だった。一一十年間近く私 一方、電力消費量は、一次エネルギーに占める電力の たちの平均給与が波を描きながら下落している背景に 割合を示す電力化率の上昇があり、一九九七年から一一〇 は、製造業が付加価値額と雇用を失っていることがあ 一四年にかけ四 % の増加を示しているが、家庭と業務部 る。海外移転、空洞化により国内の製造業が弱体化した 門での電力消費量が一一六 % 増加しているのに対し、産業 わけではない。失われた一一十年のあいだ、ドイツ、米国部門の消費量は二三 % 減少している。一九九五年に民生 の製造業は大きく成長している。日本の製造業はデフレ部門の電力消費量が産業部門を上回ったが、一一〇一四年 経済下、設備投資と研究開発費用を絞り、結果として競には民生部門の需要量が三分の一一を占めるまでになっ ( 0 争力を失い海外市場でシェアを落としている。 製造業が元気をなくすなかで、日本のエネルギー・電 日本経済が失われた一一十年間を脱し平均給与が上昇す カ消費も低成長になった。一九九七年度から二〇一四年るためには、給与が相対的に高い製造業の復活が条件 度にかけて日本のエネルギー消費は一一 % 減少してい だ。そのためには潤沢なエネルギー・電力供給が必要だ る。わずかに伸びたのは、大型商業施設、病院などの業が、量に加え競争力のあるエネルギー・電力価格も条件 務部門での消費だけであり、車の燃費向上が寄与した運になる。シェール革命により天然ガス価格が下落した米 輸部門は一七 % 、製造業が中心の産業部門は一五 % エネ国の電気料金は安定的に推移し、東日本大震災以降の原 ルギー消費が減少している。製造業で省エネが進み効率発停止により最大時三八 % も値上がりした日本の産業用 が向上したためエネルギ 1 消費が減少したのであれば良電気料金の約半分の水準にある。 日本の製造業の支払っている電気料金は年間四兆円 いのだが、そうではない。製造業の付加価値額当たりの

2. Voice 2016年10月号

温暖化がもたらす影響はわからないが、非常に大きな だ。数 % の料金の違いでも数千億円の利益額の差にな る。東日本大震災後の電気料金上昇により、製造業の支ものになる可能性もある。したがって、万が一に備えて 保険を掛け、何らかの対策を取らざるをえないと考えら 払う電気料金は一兆円増加した。製造業の人件費は年間 れる。火災保険と同じだ。家が火事になる可能性はわず 一一一十数兆円なので、中小企業を含む製造業全体で一一一 % の かだが、多くの人は火災保険を付保している。被害額の 賃上げ可能な額に相当する。燃料代は海外のサプライヤ ーに支払われるだけだが、人件費であれば、大半が消費大きさを考えると保険を掛けるメリットがあるからだ。 温暖化問題で保険を掛ける発想も、それと同じだ。保険 に回ることが期待できる。 安定的に競争力のある価格でエネルギー・電力を供給として化石燃料の消費を抑制し、低炭素電源と呼ばれる することはエネルギー政策の基本だが、それは製造業の再生可能エネルギーと原子力の利用を進める必要がある のだ。 業績に大きな影響を与え、結果、私たちの平均給与にも ここで問題は、保険料としてどれほどの額を負担でき 影響を与えるということだ。 るかだ。火災保険の保険料は負担可能なレベルに抑制さ 気候変動問題とエネルギー政策 の れているから、負担可能だ。保険により支払われる額の 石炭、石油などの化石燃料の消費増が一一酸化炭素の排何分の一かの多額の保険料が必要であれば、保険を掛け¥ 信 出量の増加を招くことから、エネルギー政策は、地球温る人はいなくなる。温暖化の問題も同じように考えられ 査 る。将来予想される被害額に対して、いま行なう対策の 暖化防止の観点からも重要だ。温暖化を招いているのは 温室効果ガスと呼ばれる一一酸化炭素などであると多くの費用が巨額であれば保険料が高すぎることになる。経済 科学者は考えている。しかし、温暖化は太陽の黒点など的なメリットは失われる。 の動きにより発生するとの説もあり、地球規模の問題で 温暖化対策としては、省エネによるエネルギー消費削類 原 あるがゆえに温暖化の原因を証明し、その結果を正確に減、新世代自動車による排出削減などがあるが、世界の 一一酸化炭素排出量の約四割を排出する発電部門では低炭 予測することは困難だ。

3. Voice 2016年10月号

昇に結び付く経済成長が不要という主張はどこから出てり、大きなイン。ハクトを自給率、電気料金と温暖化問題 に与えることになる。世論調査からは、国民の過半数は くるのだろうか。富める少数派の意見のように思える。 エネルギー政策の重要度が増しているもう一つの理由原子力再稼働に反対とされている。その世論調査の結果 は、日本の国民だけの問題ではなく、途上国、なかんずに関しては疑問があるのだが、まずエネルギー政策が重 く最貧国の人たちの被害の問題に直結するからだ。地球要な理由を詳しく説明したい。 温暖化、気候変動が地球規模の大きな問題となっている エネルギー政策と私たちの給与の関係 が、大多数の科学者は一一酸化炭素が増えていることが温 暖化の原因と考えている。一一酸化炭素は石油、石炭など 失われた一一十年と呼ばれるバブル崩壊後から続く経済 の化石燃料の燃焼から発生するので、化石燃料の消費を低迷の時代には一人当たりの国内総生産も成 抑制することが温暖化防止に結び付くと考えられる。 長せず、私たちの平均給与も一九九七年度の四六七万円 温暖化が進展した場合に最も影響を受けるのは、皮肉をピークに下落を続け、一一〇一四年度には四一五万円に なことにエネルギ 1 消費が少なく、一一酸化炭素をほとんなった。この間エネルギー消費も低成長だったが、給与 の の下落とエネルギー消費とのあいだには関係がある。 ど排出していない農業中心で自給自足経済の最貧国だ。 気候が大きく変動すると農業は大きな影響を受けると考 ( 国際通貨基金 ) の資料によると、平均給与が脈 えられるが、働く人の七割から八割が農業に従事してい過去最大だった一九九七年の日本の名目は五二三は る最貧国は経済と雇用面で大きな影響を受けることにな 兆円。うち、製造業の占める額は一一四兆円だった。二 る。この影響の軽減に貢献するのは、先進国の化石燃料〇一四年の日本の名目は四八八兆円、製造業の額 関 の消費量を左右するエネルギー政策になる。 は九〇兆円になった。デフレだったために、実質では銚 日本のエネルギー政策は、日本のみならず、世界にと は増加しているが、製造業の名目に占める比再 原 っても重要な課題だが、経済と温暖化の問題を考える率は、一九九七年の二一・八 % から二〇一四年は一八・ と、原子力と再生可能エネルギーの導入政策が重要であ四 % に低下している。

4. Voice 2016年10月号

権による早急な改革が待たれる。 述のテーマにしたのである。 この二十年の台湾における歩みを振り返ると、私が総 これまでの石垣島と台湾の歴史的な交流や経済分野に 統在任中の十二年間 ( 一九八八、二〇〇〇年 ) を通じて おける協力関係は、将来の日台間における地方自治体同 進めた台湾の民主化は、一定の成果を挙げたといえるか士の交流にまさしく応用可能である。とりわけ日台の経 もしれない。しかし、台湾は過去、「反共大陸」を党是済交流については、古くは農業や食品加工の分野だった とした国民党独裁時代の名残が色濃く残っており、権力ものが、将来は「モノのインターネット」である— oe を や財源、福利などが過度に中央集権化されてしまってい主体にした協力体制に変わっていくものと考えている。 る。その結果、地方自治制度の発展が不健全なまま取り 台湾から持ち込まれたパイナップル栽培 残されているという問題がある。 私は数年前に「生命の旅」と称し、台湾の北から南ま そもそも、石垣島と台湾の密接な関係は、台湾が日本 で、果ては太平洋沖に浮かぶ緑島へと、この足で歩いて の統治下に組み込まれてから、間もなく始まった。台湾 回った。こうした数度にわたる視察を通し、やはり台湾と日本の内地を結ぶ航路が開設されたことで、石垣島は の地方が疲弊していると感じた。 日台間の貿易や人の往来におけるハプ機能を担うことに 台湾の民主化から一一十年近くが経過した現在でも、過なった。 度の中央集権と地方の疲弊という状況は依然として改善 一九一一一〇年代には台湾中部から大量の移民が石垣島へ されていない。地方経済の衰退や地方自治体における指やって来た。彼らが主に持ち込んだのは、。ハイナップル 導者の不在は深刻な状況である。これらの問題を解決し の栽培と缶詰製造の技術、そして農作業を手伝ってくれ ないかぎり、台湾の民主化を深化させることはできな る水牛たちである。 当時の台湾では、すでに。ハイナップルの栽培が一大産 さらに日台交流、とくに経済交流の分野において、今業となっており、缶詰の製造輸出で財を成した人も多く 後は互いの中央政府からだけでなく、地方自治体から発いた。ところが、多くの。ハイナップルの栽培や加工に携 信していくべきであるという観点から、講演の内容を前わる会社が林立したことで、台湾総督府は統合政策を進

5. Voice 2016年10月号

ある。 行なわれている。ハイテク産業とは程遠いようなイメー 「日本には優れた技術はあるが、なかなか事業として成 ジがある農業でも、—。が活用されていることから、 これからの石垣島と台湾との交流、とくに経済交流にっ立させられない」 これは、あるアメリカ人の技術者が漏らした一言であ いて参考となるものが少なくないと考えている。 現在、日本一の米生産地とされる新潟県ですら、農業る。台湾と日本がいかにして経済交流を深化させていく 就業者が減ってきているという問題があるという。今後かを考えたとき、じつに示唆に富んだ言葉である。 —。 e の分野において、日本の技術はたしかに世界の も収益性を維持、あるいは高めるためには農地の集約化 なかでも先行している。ところが、その技術の多くが自 を進めていくしかない。 社内に閉じこもったサービスのため、事業化や世界展開 稲作において、もっとも手間がかかる作業といえば、 水位の管理である。田植えの直後など、農民は広大な水に困難があるのだ。 その点、台湾はグローバル市場のニーズに応じて、半 田をかなりの時間をかけて朝夕、見て回っている。水田 管理労務費は、経営コストの約三割を占めるともいわれ導体などの部品を大量に生産する技術に優れている。私 る。そこで新潟市は通信業者と協力し、将来の農業を改が総統だったとき、巨額の出資によって半導体の生産体 革するプロジェクトに取り組んでいるという。田んぼの制を構築した。現在、台湾ではこれを基礎にした半導体 水位をミリ単位で計測するセンサーを設置し、取得され製造会社が一〇社ほどあり、—。用半導体の開発を行 なっている。 たデータは農家の携帯電話や。ハソコンに伝えられる。 このように、日本企業の研究開発力と台湾の生産技術 農民は、わざわざ水田まで出向かなくても、家にいな が力を合わせれば、世界市場を制覇することも夢ではな がら水位を把握できるわけで、大きな省力化に繋がるだ ろう。 い。日本経済は再び成長路線に乗ることができるだろ う。台湾が— oe の一大生産拠点になれば、雇用も増え 研究は日本、製造は台湾 る。の伸び率も三、四 % は維持できるだろう。 こうした日台間の協力関係は、石垣島における戦前や ただ、この夢のような技術である—。 e にも問題点が

6. Voice 2016年10月号

大前いまさらいうまでもないだろう。第一の矢であ製造業が戻ってくるというが、そのはずがない。先進国 で大学を出た人間が工場で働きたいとはまず思わない る「大胆な金融政策」は、日銀のマイナス金利導入とい し、ましてや日本の大卒はほぼ完全雇用だ。四十年前な う禁じ手まで導人して、市場のマネタリーベースをじゃ ら中卒者を確保できたが、いまは皆高校、大学まで行く ぶじゃぶにしたにもかかわらず、いまだに物価上昇率一一 % は達成されていない。第二の矢の「機動的な財政政ので難しい。そうなるとあとは移民に頼るしかないが、 安倍首相一派は移民反対ときている。これでいったいど 策」も、国債発行残高を増やして国の財政を悪化させた うえ、人手不足と資材高騰を引き起こしただけだ。「民うやって数百人、数千人単位の工場労働者を集めるとい 間投資を喚起する成長戦略」という第三の矢も、掛け声うのだ。 円安が輸出企業にとってメリットがあるというのも だけでまったく効果が出ていない。地方創生や女性活用 嘘。日本はこれまでアメリカによる貿易戦争と、円高誘 で成功した政策が一つでもあるか。 それなのに安倍首相は、先の参院選で「この道を。カ導で何度も苦汁を嘗めさせられてきた。その経験を踏ま え現在では、為替がどう動いてもその影響を中和できる 強く、前へ。」と威勢のいいスローガンを掲げて大勝し よう、ほとんどの輸出企業が生産や営業の拠点を円、ド たものだからすっかり気をよくし、さらに新しい三つの ル、 ( 東南アジア諸国連合 ) などその他の通 矢を出してきて、このままアベノミクスを推し進め、一 億総活躍社会を実現すると息巻いている。いくら前に進貨の国に分散して、為替変動に対して中立な状態に維持 1 ・ニュートラル〃な政策を採ってきせ する〃カレンシ めたところで、政策そのものが間違っているのだから、 飛 た。だから、一ドル七〇円だろうが一一一〇円だろうが生 結果など出るはずがない。そういう指摘をきちんとしな 吹 き残ってきている。「円安じゃないとやっていけない」 いマスコミにも責任がある。 などといっている企業はとっくに潰れているのだ。「経 なぜアベノミクスではうまくいかないのでしょ 団連は円安を歓迎しているじゃないか」というかもしれ老 ないが、あれは円高で苦しんだ経験がメモリーに残って 大前たとえば、安倍首相は円安で海外に出ていった

7. Voice 2016年10月号

ところで、こうした台湾からの移民による々ョな。ハイナップル産業を復興に導いたのは、石垣島に残留するこ % ナップル産業の成長に、石垣島の人びとが脅威を感じた とを決めた台湾の人びとだったのである。 ことも否定できない。開拓は厳しかったものの、水牛を 。ハイナップル産業を復興させようとする台湾の人びと 用いた台湾の人びとの農法は、その勤勉さや人数の急速を中心として、沖縄本島などから大量に流人した開拓移 な増加とも相まって、石垣島の人びとに「土地を奪われ民の協力も重なり、一九五〇年代に。ハイナップル産業は るのではないか」という脅威として捉えられた。台湾か 完全に復活し、大きなプームを呼び起こした。 らやって来た移民との軋轢が生じたことも事実である。 産業の成長にともない、。ハイナップルの生産量も右肩 こうしたなかで、台湾の実業家が中心となって「台友上がりに増加していった。ただ、当時は。ハイナップルの 会」と呼ばれる組織が結成された。台友会は、石垣島の加工技術が未熟だったことに加え、労働力不足も関係し 人びととの対立をできるかぎり回避する相互理解の窓口 て、缶詰の製造量が。ハイナップルの生産量に見合ってい となると同時に、台湾からやって来た人びとの結束と心 るとは言い難い状況であった。こうした状況を解決した の拠り所として大きな意義を果たした。これによって現 のも、台湾の人びとであった。 地の人びとと台湾からの移民の軋轢は減少し、次第に融 当時、すでにパイナップルの缶詰の加工技術が確立し 和が進んだのである。 ていた台湾から、栽培や缶詰加工の指導者を呼び寄せる ことで、技術の向上と作業の効率化が図られた。缶詰加 戦後の復興と融和 工の分野において、台湾から多くの熟練者が石垣島へ渡 大東亜戦争の激化によって、。ハイナップル産業に従事ったのである。こうした「技術導入」によって、石垣島 する人口は減少し、一時的な衰退に見舞われた。さらに の労働者の。ハイナップル栽培や缶詰加工技術が飛躍的に 日本の敗戦によって、石垣島と台湾とのあいだに国境線向上した。台湾から指導に渡った人びとの勤勉さや誠実 カ引かれることになった。 さ、技術力は高く評価されたと聞いている。 しかし、石垣島と台湾の深い結び付きが途絶えること こうした状況は、戦前には時として脅威と捉えられた はなかった。大東亜戦争によって衰退した石垣島の。ハイ こともある台湾からの移民の人びとと、石垣島の人びと あつれき

8. Voice 2016年10月号

ほうふつ 一九六〇年代の。ハイナップル産業の導人のかたちを台間には正式な国交がないながら、経済面や文化面にお いて非常に密接な関係を維持し続けてきた。 させる。あの当時、。ハイナップルの栽培や加工に一日の 九九年、台湾で九・一一一大地震が発生した際、真っ先 長があったのは台湾であった。そこで「技術導人ーとい に台湾に駆けつけ、救助を行なってくれたのは日本の救 うかたちで、台湾人は石垣島の。ハイナップル産業を助け 助隊である。現地人りした小池百合子都知事 ( 当時、衆 たのである。 今後、日本が—。を軸とした経済政策を打ち出すの議院議員 ) の活動は、台湾ではよく知られている。 さらに、二〇一一年の東日本大震災の際、世界で最も であれば、優れた生産技術をもっ台湾との協力は不可欠 多くの義援金を届けたのは台湾であった。この義援金 となろう。また台湾から見ても、—。 e 政策を進めるの は、政府が主導した結果ではない。台湾の人びとの日本 であれば、日本の先行研究を抜きにしては語れない。 ここに、研究は日本、製造は台湾というーーまさに石に対する思いが自然と表れたものなのである。 これからも台湾と日本は運命共同体として、密接な協 垣島における農業の発展に台湾からの移民の人びとが大 力関係をいっそう深化させていかなければならない。い きく寄与したのと同様にーー日本と台湾が手と手を取り 合うようにして連携し、経済協力の深化を進めていく形まや、このことに異を唱える者はいないと思う。 最後に、私の石垣島初来島を受けて、台湾南投県から が生まれるのである。 五歳のころに石垣島に移住した湯川永一氏 ( 琉球華僑総 これからも運命共同体として 会八重山分会会長 ) は、「李登輝元総統の来島はオバマ米 台湾も日本も、共にアジアで最も民主化の進んだ国家大統領の広島訪問と同じくらいの出来事」と評している 場 市 である。人権や平和を重んじるなど、共通の価値観を有と聞いた。まことに光栄に感じる次第である。同島の名 しているうえ、両国とも四方を海に囲まれた島国である蔵ダムに立っ台湾農業者入植顕頌碑は、台湾と石垣の融 3 和の象徴として、また台湾と日本の絆と友好の証しとし など、利害が一致するところが多くある。 台 私がこれまで何度も繰り返し強調してきたのは、台湾て、両国の針路を永遠に照らし出してくれるものと信じ日 る。 と日本はお互いに運命共同体である、ということだ。日 へ

9. Voice 2016年10月号

ックまでに、外国人観光客数を東北で五〇万人から一五 震災からの復興にあたり、ただ元に戻すだけの「復 旧、では、時代の変化に取り残されてしまいます。そこ〇万人、宮城県単独では一五万人から五〇万人に増やす という数字があります。宮城県でプラス三五万人を増や で、私が掲げたのが「創造的な復興」です。一例を挙げ ますと、宮城県の沿岸部では亡くなったり、行方不明にす計算になりますが、これは先の経済効果をめぐる試算 なったりした方々とその他の地域に移転された方々で四の三三万人とほぼ等しい。こうした具体的な数字を達成 万人もの人口が減少しました。この状態を元に戻すことする意気込みで観光誘致をすれば、東北沿岸部は絶対に 元気になる、と考えています。 は残念ながら、困難といわざるをえません。そこで代わ また、「創造的な復興」の一環として水産業復興特区 りに交流人口、すなわち海外や県外から宮城県を訪れて いただく観光客を増やそうと考えました。およそ三三万を設けて区画漁業権を一部、漁業者を主体とした企業に 人の外国人観光客の経済効果は、住民四万人分の効果と免許を付与しました。というのも、現在、宮城県の漁業 ほぼ等しい、という試算もあります。さらに国に強くお就労者の平均年齢は六十五歳なんです。 童門かなり高齢化しているんですね。 願いした結果、今年七月に実現したのが仙台空港の民営 村井はい。日本全体でみても、高齢化によって毎年 化です。 童門全国初の地方空港の民営化の試みとして、話題漁師が一万人ずつ減っている状況です。このままでは日 本の漁業は衰退する一方です。これまで区画漁業権は法 になっていますね。 村井ええ。仙台空港の民営化によ 0 て、たとえばそ律で漁協がもっことに決ま 0 ていました。水産業復興特 れまで全国一律で決められていた着陸料が自由に設定で区の導人でこうした「既得権益」を一部見直したとこ きるようになりました。おかげで ( 格安航空会社 ) ろ、大きな反対に遭いました。私は宮城県知事選に出る馞 の参人が増えてきまして、外国からのお客さんも比例し際に漁協の推薦を得ていましたから、「裏切り者」「おま鷹 上 えだけは許さん」といったお叱りも多くいただきました。 て伸びています。 そんなとき、私に勇気を与えてくれたのが『小説上 そもそも国の目標として、二〇二〇年の東京オリンピ

10. Voice 2016年10月号

特集これでいいのか、アベノミクス 雅 ロ 転山 構 手 高齢者のマインドを変えれば、日本経済は飛躍的に伸びる おおまえけんいち ( 経営コンサルタント / ビジネス・ブレークスルー代表取締役 ) 大前研一 大前大臣の顔ぶれをみると、安倍首相の悲願である アベノミクスはなせうまくいかないのか 憲法九条を変えるのに都合のいい「お友だち」だけを集 めた感は否めない。この内閣でデフレ脱却 ? それなら 八月三日、第三次安倍再改造内閣が発足しまし アベノミクス失敗の反省から始めるべきなのに、誰もそ た。安倍首相は新内閣を自ら「未来チャレンジ内閣」とれを言い出せないようでは、まず無理だ。まあ、首相を 命名、「最優先課題は経済」「デフレからの脱出速度を最筆頭に、閣僚内に現在の日本経済のことをわかっている 大限まで引き上げる」と意気込みを語っています。国民人間が一人もいないのだから仕方がない。 アベノミクスは失敗ですか。 は期待していいのでしようか。 老後不安不況を 吹き飛ばせ