シ 裁判例の表示 ユ リ 本文 ( 地の文 ) ・・・ ス ト 本文の括弧内・脚注・・・ 究 シ リ 判例集・判例評釈書誌の略語 ス 民 ( 刑 ) 録 ・・・・大審院民 ( 刑 ) 事判決録 判自 行録 ・・・・行政裁判所判決録 労民集 民 ( 刑 ) 集 ・・・・大審院 , 最高裁判所民 ( 刑 ) 事判例集 交民集 集民 ( 刑 ) ・・・・最高裁判所民 ( 刑 ) 事裁判集 審決集 お 高民 ( 刑 ) 集 ・・・・高等裁判所民 ( 刑 ) 事判例集 取消集 第 け 下民 ( 刑 ) 集 ・・・・下級裁判所民 ( 刑 ) 事裁判例集 無体裁集 る 行集 ・・・・行政事件裁判例集 知的裁集 東高民 ( 刑 ) 時報 ・・・東京高等裁判所民 ( 刑 ) 事判決時報 家月 訟月 ・・・・訟務月報 裁時 刑月 ・・・刑事裁判月報 新聞 法 法律雑誌・判例評釈書誌等の略語 名 最判解民 ( 刑 ) 事篇 ・・・最高裁判所判例解説民 ( 刑 ) 事篇 金判 ・・・・金融・商事判例 平成 ( 昭和 ) 〇年度 平成 ( 昭和 ) 〇年度 ・・・金融法務事情 の 判時 ・・・・判例時報 ・・銀行法務 21 略 判評 ( 判時ロ号 ) ・ ・・・判例評論 ( 判例時報ロ号添付 ) リマークス ・私法判例リマークス 判タ ・・・判例タイムズ 労判 ・・・労働判例 ジュリ ・・・ ( 月刊 ) ジュリスト 労経速 ・・・・労働経済判例速報 論ジュリ ・・・論究ジュリスト 中労時報 ・・・中央労働時報 法教 ・・・・法学教室 労旬 ・・・・労働法律旬報 曹時 ・・・・法曹時報 季労 ・・・季刊労働法 法協 ・・・・法学協会雑誌 ひろば ・・・法律のひろば 論叢 法学論叢 L&T ・・・ Law & TechnoIogy 法時 ・・・・法律時報 〇〇百選 ・・・・〇〇判例百選 民商 ・・・・民商法雑誌 セレクト〇〇・・・・ ・・判例セレクト〇〇 法セ ・・・・法学セミナー ( 法教ロ号別冊付録 ) ( 法学教室ロ号別冊付録 ) 速判解 ( 法セ増刊 ) ・ ・・・速報判例解説 ( 法学セミナー増刊 ) 平成 ( 昭和 ) 〇年度 ・・・・平成 ( 昭和 ) 〇年度 税資 ・・・税務訴訟資料 重判解 ( ジュリロ号 ) 重要判例解説 ( ジュリストロ号 ) 判決文・条文の引用 判決文・条文を「」で引用してある場合は , 原則とし ・漢数字は , 成句や固有名詞などに使われているものを て原典どおりの表記とするが , 右の点を変更している。 除き算用数字に改める。 また , 解説文中では「」を用いて判決文・条文の趣旨 ・漢字の旧字体は新字体に改める。 を書いているものもある。なお「」内の〔〕表記は執 ・促音や拗音を表すひらがなは原文にかかわらず / 」きとする。 筆者による注であることを表す。 ・カタカナ表記で濁点・句読点の用いられていない判決 文・条文について , 執筆者によってひらがな表記に改め られたものや濁点・句読点が補われているものがある。 ・・・例 / 最高裁昭和 58 年 1 0 月 7 日大法廷判決 ( 民集 37 巻 8 号 1282 頁 ) 法廷名は最高裁大法廷についてのみ表示します。 ・・・・例 / 最大判昭和 58 ・ 10 ・ 7 民集 37 巻 8 号 1282 頁 最高裁の法廷名は , 大法廷判決 ( 決定 ) についてのみ「最大判 ( 決 ) 」として 表示し , 小法廷判決 ( 決定 ) については単に「最判 ( 決 ) 」とします。 引用頁の表示は , その判例集の通し頁とします。 ・・・判例地方自治 ・・・・労働関係民事裁判例集 ・・・・交通事故民事裁判例集 ・・・・公正取引委員会審決集 ・・・・審決取消訴訟判決集 ・・・・無体財産権関係民事・行政裁判例集 ・・・知的財産権関係民事・行政裁判例集 ・・・・家庭裁判月報 ・・・裁判所時報 ・・・・法律新聞 五ロ - 言反 略 の 名 令 法 法令名の略語は , 原則として小社刊「六法全書」巻末掲載の「法令名略語」による。 [ Jurist ] September 2016 / Number 1497
決定を受ける法人とが異なる場合も予定してい るということができること , ②同条の文言上 , 否認の対象とすることができる「その法人」と は , その前の「次に掲げる法人」を受けている と解釈することができること , ③平成 19 年法 律第 6 号による改正前の法人税法 132 条の 2 は , 「これらの法人」と規定していたところ , 上記の改正が , 同条の規定により否認すること ができる行為又は計算の主体である法人と法人 税につき更正又は決定を受ける法人との関係を 変更することを意図してされたことはうかがわ れないこと , ④組織再編成においては , 複数の 法人が関与することがその性質上当然に予定さ れており , 組織再編成に関する複数の当事者の 中のいずれかの法人が不当な行為・計算を行う ことによって , 当該法人についてのみならず , 組織再編成の当事者である他の法人について も , 法人税の負担の減少が生じ得ることが当然 に予定されていること , 以上の点に加え , ⑤組 織再編成の形態や方法の多様化に対応するため に設けられたという同条の趣旨に鑑みれば , 法 132 条の 2 の「その法人の行為又は計算」の 「その法人」は , その前の「次に掲げる法人」 を受けており , 「その法人の行為又は計算」は 「次に掲げる法人の行為又は計算」と読むべき であって , 同条の規定により否認することがで きる行為又は計算の主体である法人と法人税に つき更正又は決定を受ける法人とは異なり得る ものと解すべきであると判断した。 2 本判決の判旨Ⅲは , 内容的に原審の判断 と異なるものではないが , 第 1 審判決及び原判 決に対する評釈等の中には , ヤフーの主張と同 様に , 「その法人の行為又は計算」にいう「そ の法人」とは , その文理上 , 更正又は決定を受 ける法人を意味するという見解を支持するもの も少なくなく , また , 原審がヤフーの主張に基 づく仮定的判断を示していたことも考慮し , 最 高裁がこの点につき明示的な判断を示しておく ことに一定の意義があるものとして , 併せて判 断が示されたものであろう。法 132 条の 2 の規 定の文言だけをみればヤフーの主張するような 90 [ Jurist ] September 2016 / Number 1497 解釈もあり得ないではないが , 本判決が説示す るとおり , 同条の立法趣旨やその改正経緯等を 考慮すると , ヤフーが主張するような限定的な 解釈は採用し難いといえよう。 Ⅳ . 本判決の意義等 本判決は , 租税法学者や法律実務家のみなら ず経済界も大きな関心を有していた事件に関 し , 最高裁が法 132 条の 2 の不当性要件の意義 及び判断枠組み等について明示的な判断を示す と共に , 具体的な事案につき同条の適用を認め たものであり , 理論的にも実務的にも重要な意 義を有すると考えられる。 なお , 本件の関連事件である IDCF が国を相 手に法人税の更正処分等の取消しを求めた訴訟 につき , 最高裁第二小法廷は , 本判決と同日 ( 平成 28 年 2 月 29 日 ) 付けで , IDCF の上告 を棄却する判決 (IDCF 事件最判 ) を言い渡し た。 IDCF 事件最判の内容及びこれと本判決と の関係等については , IDCF 事件最判の解説を 参照されたい。
刑事 1. 受訴裁判所によってされた刑訴法 90 条によ る保釈の判断に対する抗告審の審査の方法 2. 詐欺被告事件において保釈を許可した原々 決定を取り消して保釈請求を却下した原決 定に刑訴法 90 条 , 426 条の解釈適用を誤っ た違法があるとされた事例 最高裁平成 26 年 11 月 18 日第一小法廷決定 平成 26 年 ( し ) 第 560 号 , 保釈許可決定に対する抗告の決定 に対する特別抗告事件 / 刑集 68 巻 9 号 1020 頁 / 原々審・東 京地決平成 26 年 10 月 27 日 / 原審・東京高決平成 26 年 10 月 29 日 は 0 Masato Hosoya Yasunobu 最高裁判所調査官 前最高裁裁判所調査官 事実 伊藤雅人 細谷泰暢 本件は , 第 1 審で審理中の LED 照明 の架空取引に関する詐欺被告事件につい て , 保釈請求を認めた原々決定を取り消し , 保 釈請求を却下した原決定に対し , 特別抗告が申 し立てられた事案である。 被告人は , 実際に商品が納品される通 Ⅱ 常取引と認識し , 被告人自身が述べたと される欺罔文言を述べてもいないとして , 共犯 者らとの共謀 , 欺罔行為を否認していたが , 第 1 審は , 最重要証人である被害会社の担当者の 主尋問が終了した第 10 回公判期日終了後に , 保証金額を 300 万円とし , 共犯者その他の関係 者との接触禁止等の条件を付した上で被告人の 保釈を認めた。これに対し検察官から抗告が申 し立てられたところ , 第 1 審は , 原審に対し , 比較的詳細な意見書を送付した ( 刑訴 423 条 2 項後段。意見書の原文は , 刑集 68 巻 9 号 1047 頁 ) 。これによると , 要旨 , 第 1 審は , 共犯者 らの主張の相違等に照らせば実効性ある罪証隠 滅行為に及ぶ現実的可能性は高くなく , 一連の 架空取引において被告人と同様の立場にあった 共犯者は既に執行猶予付き判決が確定している 中 , 被告人の勾留が相当期間に及んでいること 最高裁時の判例 を踏まえて , 保釈を許可したものと理解され る。 これに対し , 原決定 ( 原文は , 刑集 68 巻 9 号 1048 頁 ) は , 被告人が共謀も欺罔行為も 争っていて , 罪証隠滅のおそれが相当に強度で あるから , 未だ被害者 1 名の尋問さえも終了し ていない現段階で , 被告人を保釈することは第 1 審の裁量の範囲を超えたものであるとして , 原々決定を取り消し , 保釈請求を却下した。 判旨 受訴裁判所によってされた刑訴法 90 条による保釈の判断に対して , 抗告審と しては , 受訴裁判所の判断が委ねられた裁量の 範囲を逸脱していないかどうか , すなわち , 不 合理でないかどうかを審査すべきであり , 受訴 裁判所の判断を覆す場合には , その判断が不合 理であることを具体的に示す必要がある。 公判審理の経過及び罪証隠滅のおそれ Ⅱ の程度を勘案して被告人の保釈を許可し た原々審の判断が不合理であることを具体的に 示さないまま , 不合理とはいえない原々決定を 裁量の範囲を超えたものとして取り消して保釈 請求を却下した原決定は , 刑訴法 90 条 , 426 条の解釈適用を誤った違法があり , 取消しを免 れない。 解説 刑訴法 90 条は , 「裁判所は , 適当と認 めるときは , 職権で保釈を許すことがで きる」と規定しており , 基本的に保釈の判断は 現に審理を担当している受訴裁判所の自由な裁 量に委ねられているといえよう。ただし , この 「適当と認めるとき」とは , 完全な自由裁量を 認める趣旨ではなく , 合理性のあるものでなけ ればならないと解されている ( 松尾浩也監修・ 条解刑事訴訟法〔第 4 版〕 189 頁 ) 。 このような受訴裁判所による裁量保釈の判断 について , 抗告審の審査の在り方が問題とな る。なお , 抗告審の法的性質の理解について は , 原裁判後の事情等をどこまで考慮できるか [ Jurist ] September 2016 / Number 1497 99
民事 行為又は計算」の意義 前のもの ) 132 条の 2 にいう「その法人の 3. 法人税法 ( 平成 22 年法律第 6 号による改正 に当たるとされた事例 減少させる結果となると認められるもの」 132 条の 2 にいう「法人税の負担を不当に ( 平成 22 年法律第 6 号による改正前のもの ) を前提としてされた当該分割が , 法人税法 発行済株式全部を分割法人が譲渡する計画 2. 新設分割により設立された分割承継法人の れるもの」の意義及びその該当性の判断方 担を不当に減少させる結果となると認めら 前のもの ) 132 条の 2 にいう「法人税の負 1. 法人税法 ( 平成 22 年法律第 6 号による改正 成 26 年 3 月 18 日 / 第 2 審・東京高判平成 27 年 1 月 15 日 / 判タ 1424 号 83 頁 ( 民集登載予定 ) / 第 1 審・東京地判平 平成 27 年 ( 行ヒ ) 第 177 号 , 法人税更正処分等取消請求事件 最高裁平成 28 年 2 月 29 日第二小法廷判決 Tokuchi Atsushi Hayashi Fumitaka 前最高裁判所調査官徳地淳 最高裁判所調査官林史高 事実 ①上告人である株式会社 IDC フロン ティア ( 原告・控訴人。以下「 IDCF 」 という ) は , 平成 21 年 2 月 2 日 , ソフトバン ク株式会社 ( 以下「ソフトバンク」という ) の 完全子会社であったソフトバンク IDC ソ リューションズ株式会社 ( 以下「 IDCS 」とい う。当時 , 多額の未処理欠損金額を保有してい た ) から , 新設分割 ( 以下「本件分割」とい う ) により設立された。② IDCS は , 同月 20 日 , ヤフー株式会社 ( 以下「ヤフー」という ) に対し , IDCF の発行済株式全部を譲渡した ( 以下「本件譲渡 1 」という ) 。③ソフトバンク は , 同月 24 日 , ヤフーに対し , IDCS の発行 済株式全部を譲渡した ( 以下「本件譲渡 2 」と いう ) 。④ヤフーは , 同年 3 月 30 日 , ヤフーを 合併法人 , IDCS を被合併法人とする吸収合併 最高裁時の判例 ( 以下「本件合併」という ) を行った。 以上の経緯の下で , IDCF は , 本件各事業年 度 ( 平成 21 年 2 月から同 24 年 3 月 31 日まで の間の 4 事業年度 ) に係る各法人税の確定申告 に当たり , 本件分割は法人税法施行令 ( 平成 22 年政令第 51 号による改正前のもの。以下 「施行令」という ) 4 条の 2 第 6 項 1 号に規定 されている完全支配継続見込み要件 ( 要旨 , 分 割後に分割法人と分割承継法人との間に当事者 間の完全支配関係が継続することが見込まれて いるという要件 ) を満たしていないため , 法人 税法 ( 平成 22 年法律第 6 号による改正前のも の。以下「法」という ) 2 条 12 号の 11 の適格 分割に該当しない分割 ( 以下「非適格分割」と いう ) であり , 法 62 条の 8 第 1 項の資産調整 勘定の金額が生じたとして , 同条 4 項及び 5 項 に基づき , 上記の資産調整勘定の金額からそれ ぞれ所定の金額を減額し損金の額に算入した。 これに対し , 四谷税務署長 ( 処分行政庁 ) は , 組織再編成に係る行為又は計算の否認規定であ る法 132 条の 2 を適用し , 上記の資産調整勘定 の金額は生じなかったものとして所得金額を計 算した上で , IDCF に対し , 本件各事業年度の 法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦 課決定処分 ( 以下「本件各更正処分等」とい う ) をした。 本件は , IDCF が , 被上告人である国 ( 被 告・被控訴人 ) を相手に , 本件に法 132 条の 2 は適用されないなどと主張して , 本件各更正処 分等の取消しを求める事案である。 なお , 関係法令の定めや事実関係等の概要 は , 本判決の判文を参照されたい。 Ⅱ . 原審の判断の概要 1. 法 132 条の 2 にいう「法人税の負担を 不当に減少させる結果となると認められる もの」 ( 不当性要件 ) の意義 法 132 条の 2 が設けられた趣旨 , 組織再編成 の特性 , 個別規定の性格などに照らせば , 同条 が定める「法人税の負担を不当に減少させる結 果となると認められるもの」とは , ( i ) 法 132 [ Jurist ] September 2016 / Number 1497
〔第 4 版〕 我妻・有泉コンメンタール民法 ー総物権・債権 , ー 我妻榮・有泉亨・清水誠・田山輝明〔編〕日・予価 7600 円 + 税 憲法学のゆくえ ( 仮題 ) 諸の対話で切り拓く 宍戸常寿・曽我部真裕・山本龍彦〔編〕日・予価 48 。。円 + 税 行政法学からの検証 辺野古訴訟と法治主義 ・本体 4000 円十税 紙野健一一・本多滝夫〔編〕 ・龍谷大学国際文化社会研究所叢書 消費者法の現代化と集団権利保護 ・本体 7500 円十税 中田邦博・鹿野菜穂子〔編〕 ■神戸学院大学法学研究叢書 市場支配カ濫用規制法理の展開 ・本体 5200 円十税 田中裕明〔著〕 公立図書館の無料原則と公貸権制度 ・本体 5700 円十税 稲垣行子〔著〕日 中国人民陪審員制度研究 孔暁食〔著〕その歴史、現状と課題 オーストラリア移民法解説 浅川晃広〔著〕 ■別冊法学セミナー 司法試験の問題と解説 ・本体 2600 円十税 法学セミナー編集部〔編〕 ・別冊法学セミナー 新基本法コンメンタール会社法引セ〕 3 ・各本体 4800 円十税 奥島孝康・落合誠一・浜田道代〔編〕 ・本体 6200 円十税 ・本体 5700 円十税 日本評論社 〒 170-8474 東京都豊島区南大塚 3-12-4 TEL . 03-3987-8621 /FAX . 03-3987-8590 https://www・ nippyo ・ co. jp/ こ注文は日本評論社サービスセンターへ TEL . 049-274-1780/FAX 049-274-1788 ◆最新刊 ( 0 。最高裁の少数意見 <LO 上製 / 382 頁 / 6000 円 す 3 大林啓吾・見平典編 き主に憲法判例における日本及び諸外国の最高裁判所の少数意見 抜を横断的に分析し、法廷意見 ( 多数意見 ) との対比も試みながら、 LL 少数意見の実態、その意義や課題を考察する画期的研究書。 イエ 1 リングの「転向」 4 大塚滋編新基礎法学叢書 9 <LO 上製 / 246 頁 / 4500 円 町 3 法実証主義・概念法学が社会を見下した制定法絶対主義と誤解 鶴されたことを契機に、ドイツにおける四世紀概念法学、とりわけ 田 - 三ロ イエーリングの法学方法論を研究主題とする著者の思考の歩み。 共犯者の自白と証人対面権 新 都 早月義則編証拠法研究第三巻 <LO 上製 / 424 頁 / 8 。 0 。円 最新の合衆国最高裁判例を踏まえて、わが国における共犯者の 自白の伝聞例外としての証拠能力の問題点について、憲法上の 証人対面権の観点から問題点を検討し、私見を提一小する研究書。 ( 0 。フランス労働契約理論の研究 <LO 上製 / 274 頁 / 5000 円 三井正信著 身分規程の発展に伴う「契約から身分へ」という現象、組織的集 団的性格を有する企業の法的把握の問題を巡って理論が大きく 史的襄開を追究する。 揺れ動いてきたフランス労働契・ 1 好誣圭曰 堂◆ 危機と 中村祐司著 東日本大震災後 5 年がい 行政による震災対応の市 認識、復旧・復興の担、
Jurist MonthIy 実用法律雑誌 9 # 1497 2016 September 特集 SpeciaI Feature 震災と企業法務 [ 鼎談 ] 徳市立図 160971294 松井秀樹 中野明安 津久井進 松井秀樹 荒井太一 荒井正児 小田大輔・吉田和央 連載国際ビジネス紛争処理の法実務 会社法判例速報 / 労働判例速報 / 独禁法事例速報 知財判例速報 最高裁時の判例 有斐閣 アユリ入ト
時 判例 最高裁 Comments on Supreme Court Decisions る委員会の調査報告書 , ヒアリング記録及び委 員会の議事録等の各文書 ( 以下「本件各文書」 という ) につき , 民訴法 220 条 4 号の除外事由 のいずれにも当たらない同号の文書に該当する ことなどを主張して文書提出命令の申立てをし た。これに対し , Y は , 本件各文書が同号ニ の「専ら文書の所持者の利用に供するための文 書」 ( 自己利用文書 ) 又は同号ロの「公務員の 職務上の秘密に関する文書でその提出により公 民事 共の利益を害し , 又は公務の遂行に著しい支障 を生ずるおそれがあるもの」 ( 公務秘密文書 ) 1. 国立大学法人が所持しその役員又は職員が 組織的に用いる文書についての文書提出命 に該当するなどとして , それらについて文書提 令の申立てと民訴法 220 条 4 号ニ括弧書部 出義務を負わないと主張した。 分の類推適用 原決定は , ①国立大学法人が民訴法 Ⅱ 2. 民訴法 220 条 4 号口にいう「公務員」には 220 条 4 号ニ括弧書部分の「国又は地方 国立大学法人の役員及び職員も含まれるか 公共団体」に当たるか , 又は , これが類推適用 最高裁平成 25 年 12 月 19 日第一小法廷決定 されると解すべきであるから , 本件各文書につ いて同号ニには該当しないと判断した上 , ②本 平成 25 年 ( 許 ) 第 6 号 , 文書提出命令申立て却下決定に対す 件各文書の一部につき同号ロの公務秘密文書該 る抗告審の一部変更決定に対する許可抗告事件 / 民集 67 巻 9 当性を肯定し , その余の文書はこれに当たらな 号 1938 頁 / 原々審・水戸地決平成 24 年 1 月 10 日 / 原審・ 東京高決平成 24 年 11 月 16 日 いとして , Y にその提出を命じた。これに対 して Y が許可抗告を申し立て , 許可されたの Kamoto Makiko 前最高裁判所調査官加本牧子 が本件である。本決定は , 民訴法 220 条 4 号ニ の該当性に関し , 判旨 I のとおり判示して , 事実 れと同旨の原審の判断を正当として是認するこ とができるとし , 同号ロの該当性については , 本件は , 国立大学法人において作成さ 判旨Ⅱのとおり , 国立大学法人の役員及び職員 れ , 同法人が所持する文書について , 文 が同号口にいう「公務員」に含まれると判示し 書提出義務の除外事由を規定した民訴法 220 条 た上で , 公務秘密文書性に関する原審の判断に 4 号ニの自己利用文書該当性及び同号ロの公務 ついても正当として是認することができるとし 秘密文書該当性が争われた事案である。 て , 本件抗告を棄却する決定をした。 本件の本案事件は , 国立大学法人 Y 大学の 人文学部教授である X らが , 同学部の学部長 判旨 等からハラスメントを受けたとして Y に苦情 国立大学法人が所持し , その役員又は を申し立てたところ , Y の設置するハラスメ 職員が組織的に用いる文書についての文 ントの防止 , 対策 , 調査のための各委員会の運 書提出命令の申立てには , 民訴法 220 条 4 号ニ 営及び調査の方法が不当であったために不利益 括弧書部分が類推適用される。 を被ったなどと主張して , Y に対し , 再調査 民訴法 220 条 4 号口にいう「公務員」 の実施 , 損害賠償の支払等を求めたというもの Ⅱ には , 国立大学法人の役員及び職員も含 である。 X らは , 本案事件において , 委員会の まれる。 運営及び調査の方法が不当であったことを立証 するために必要であるとして , Y の所持に係 76 [ Jurist ] September 2016 / Number 1497
最高裁時の判例 IDCS の発行済株式全部の譲渡 ) ③平成 21 年 2 月 24 日本件譲渡 2 ( ソフトバンク→ヤフー 42 % ソフトバンク ヤフー U) —OO* 学 O 、 O 本件譲渡 2 1 OO% —OOS IDCF 資産調整勘定約 1 OO 億円 しこ一 ④平成 21 年 3 月 30 日本件合併 ( ヤフーによる IDCS の吸収合併 ) 42 % ソフトパンク ヤフー ( 十 IDCS) 本件合併 1 OO% IDCF IDCS 資産調整勘定約 1 OO 億円 93 [ Jurist ] September 2016 / Number 1497
刑事 刑事施設にいる被告人から交付された上訴取下 書を刑事施設職員が受領した場合と刑訴法 367 条の準用する同法 366 条 1 項にいう「刑事施設 の長又はその代理者に差し出したとき」 最高裁平成 26 年 11 月 28 日第二小法廷決定 平成 26 年 ( し ) 第 538 号 , 勾留取消し請求却下の裁判に対す る準抗告棄却決定に対する特別抗告事件 / 刑集 68 巻 9 号 1 9 頁 / 原々審・神戸地命令平成 26 年 10 月 9 日 / 原審・神 戸地決平成 26 年 10 月 14 日 Moutai Katsuko 最高裁判所調査官馬渡香津子 事実 本件は , 第 1 回公判期日前に勾留取消 し請求をした被告人本人が , 勾留取消し 請求却下の裁判を受けて準抗告を申し立て , 準 抗告棄却決定を受けたことから , 特別抗告を申 し立てた事案である。 被告人は , 平成 26 年 10 月 10 日 , 本件準抗 告を申し立てた後 , 同月 14 日午前 8 時 55 分 頃 , その準抗告取下書を拘置所職員の看守部長 に提出していたが , 拘置所内のミスにより所定 の手続がされないまま , 同月 16 日午後 2 時 30 分頃まで本件取下書が放置されたため , これが 裁判所に届く前の同月 14 日に準抗告棄却決定 がされ , 同決定謄本が同月 16 日午前 10 時に被 告人に送達され , その後に , 拘置所内部での所 定の手続を経て , 本件取下書が裁判所に送付さ れた。 本件準抗告棄却決定に先立ち , 被告人本人に よる取下げの効力が発生していたとすれば , 本 件勾留取消し請求却下の裁判は , その取下げに より確定していたことになり , 本件特別抗告 は , 申立ての利益を欠いた不適法なものとなる ため , 本件取下げの効力発生時期が問題となっ 本決定は , 「刑訴法 367 条が準用する Ⅱ 同法 366 条 1 項は , 刑事施設にいる被告 人が上訴取下書等の書面を裁判所に提出する場 最高裁時の判例 合には , 刑事施設の内部手続に時間を要し , 被 告人が意図した効果の発生時期が予想外のもの になって法的安定性が害されることを防ぐた め , 書面による訴訟行為の効力発生時期につい て到達主義の例外を定めたものと解される。そ の趣旨に照らすと , 刑事施設にいる被告人が , 被収容者からの書面の受領を担当する刑事施設 職員に対し , 上訴取下書を交付し , 同職員がこ れを受領したときは , 同項にいう「刑事施設の 長又はその代理者に差し出したとき』に当たる と解するのが相当である。」「被告人は , 平成 26 年 10 月 14 日午前 8 時 55 分 , 被収容者から の書面の受領を担当する刑事施設職員である看 守部長に本件取下書を交付し , 同看守部長がこ れを受領しているから , この時点で本件取下書 を刑事施設の長又はその代理者に差し出したも のと認められ , 原決定謄本が被告人に送達され るに先立ち , 本件準抗告取下げの効力が生じた といえる」と判示し , 本件準抗告申立ての手続 は取下げによって終了し , 本件勾留取消し請求 却下の裁判が確定したから , 申立てに実益がな く不適法であるとして , 裁判官全員一致の意見 で , 本件特別抗告を棄却した。 判旨 刑事施設にいる被告人が , 被収容者からの書 面の受領を担当する刑事施設職員に対し , 上訴 取下書を交付し , 同職員がこれを受領したとき は , 刑訴法 367 条の準用する同法 366 条 1 項に いう「刑事施設の長又はその代理者に差し出し たとき」に当たる。 ( 補足意見がある。 ) I . 問題の所在 上訴の取下げは , 裁判所に取下書が到達した ときにその効力が発生するのが原則であるが ( 到達主義 ) , 刑事施設にいる被告人による上訴 取下げについては , 刑訴法 367 条が準用する 366 条 1 項により , 被収容者が上訴取下書を 解説 [ Jurist ] September 2016 / Number 1497 103
最高裁時の判例 図ヤフー事件の概略図 ①平成 20 年 1 2 月 26 日本件副社長就任 井上社長 42 % ソフトバンク 0 驫 ヤフー 本件副社長就任 未処理欠損金 543 億円 ②平成 21 年 2 月 24 日本件買収 ( ソフトバンク→ヤフー IDCS の発行済株式全部の売却 ) 井上社長 42 % ソフトパンク 0 IDCS ・驫 ヤフー 本件買収 1 OO% IDCS 未処理欠損金 543 億円 ③平成 21 年 3 月 30 日本件合併 ( ヤフーによる IDCS の吸収合併 ) ソフトパンク 井上社長 ヤフー ( 十 IDCS) 未処理欠損金 543 億円 ( ※ ) ( ※ ) ヤフーは , 本件合併 ( 適格合併 ) に つき特定役員引継要件があるとして , IDCS の未処理欠損金 543 億円をヤ フーの損金とみなして損金算入 未処理欠損金 543 億円 42 % 本件合併 ( ※ ) 1 OO% 4 IDCS ! 真藤社長井上副社長 ! [ Jurist ] September 2016 / Number 1497