シンガポール - みる会図書館


検索対象: 保育ナビ 2016年9月号
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1. 保育ナビ 2016年9月号

人材育成 遊び中心の保育へ 保育実践者の研究支援とともに ( シンガポール ) 海外の保育事情を知り、日本の保育の 発展を共に考えていくコーナーです。 国内外の研究者の友人にもご協力いた だきながら、各国の保育を紹介してい きます。 今月のテーマノ 保育者の人材確保が喫緊の課題とな ンガポールで急激に浸透していった りました。 そうです。当時のカリキュラムでは、 環太平洋乳幼児教育学会のシンガ いわゆる好きな遊び ( 自由保育 ) の ポール支部の会長クリスティン・ 時間はほとんどなく、例えば、 チェン (Christine Chen) 先生は、 巧分の枠のコマで、週に 2 コマ。一 1981 年に年ぶりにアメリカか方で設定保育が週に英語 4 コマ、算 ら帰国され、その後保育制度改革に 数 3 コマ、お話の時間 3 コマ、音楽・ 寄与されました。幼保一体的な保育表現 2 コマ、アート・クラフト ( 造 者の組織を創設され、保育者の実践形製作 ) 2 コマ、カラーリング ( 絵 研究を支援する助成金等の制度を創画製作 ) 1 コマでした。 られました。その功績が称えられ、 なお、現在では、子どもの主体的 総理大臣賞も受賞されています。保な学びが尊重され、探究的な活動、 育者が保育実践研究を進め保育の質経験的学び、省察の時間が大切にさ を向上させ、また制度改革にも寄与れています。例えば、毎日好きな遊 できるシステムを構築されました。 びの時間が 2 時間、話し合いの時間 量の拡大と チェン先生は急激な量的拡大に伴が分、各コーナーでの遊びが分 保育の質への危惧 し、保育の質が不安になったそうで ( 構成遊びコーナー ( 積み木等 ) 、表現 シンガポールの保育は、近年、劇す。養成教育を受けていない人が保コ】ナー、科学遊びコーナー等 ) 、お 的な発展をとげました。その歴史は育に携わることとなってしまい、だれ片付けが分、振り返り ( 話し合 にでもできるマニュアル型、指示命令 浅く、 1980 年には幻園のみだっ い ) の時間が分といった様子です。 た保育園がその後年で約川倍、現型の保育が広がってしまいました。 かっては、授業時間と位置づけら 設定保育が毎日 4 つも 5 つも展開 れ、指示・命令中心の手順を踏むよ 在では約倍となりました。当時、 急激に保育の量の拡大が進むなか、 され、一方向的な教授的教育が、シ うなクラス全員での活動のみであっ 執筆北野幸子 ( 神戸大学大学院准教授 ) ( 0 4

2. 保育ナビ 2016年9月号

た保育が、主体的に選択できる活動での養成で、実践を省察し子どもの な組織ができました。同組織では、 が用意され、放任ではない小グルー 興味・関心を基軸とした構成的保育保育者が個人で申請できる保育実践 プの学びの活動を中心とした保育へ の実践力向上を図る内容のプログラ研究の助成金制度をつくり、その研 学る 育す 教究 と転換されました。これが浸透して ムです。実践研究を課題とし、実習究成果は論文として機関誌に掲載さ 児研 いった背景には、保育者による実践生が実習担当教員と共同で研究課題れ、発信されています。 研究の蓄積があるそうです。 に取り組むような内容が含まれてい シンガポールでは、年以 ました。 降、遊び中心のカリキュラムへと改研 保育者の チェン先生がつくった養成モデル訂され、年には保育者養成教 る 実践研究支援へ は、子どもの観察から得られた興が学士 ( 日本でいう四年制 ) レベル 達教 となりました。 当時チェン先生は、保育者こそが味・関心や課題を基軸とし、実践に 人幼 科乳 保育の質の鍵を握ると考えておられおける省察を大切にするモデルです。 現政府は高齢化にあたり教育こそ 究 研や 学容 ました。幼児の発達に応じた遊びや保育者は受け身な存在ではなく、教が国の最重要課題との認識を高め、 境内 生活を中心とした環境を通じた教育育という社会的な活動の中で主体性特に幼児期には、自尊感情、モラル 人活む を実施することができる有能な人材 を発揮する創造者であると位置づけ、 意識、課題解決能力の重要性が提示 院生組 大び を保育界に確保するため、保育者の保育者の実践研究の支援をずっと続されています。 大の けてこられました。 学びの支援を行いたいとの志をもた ) く上 れたそうです。そして、わずか 5 人 1999 年には、保育所と幼稚園 ち 8 の の有志と、保育者組織を 1990 年といった垣根を越えてすべての保育 の 9 の き児保 に創始されました。 者組織を統合し、 Association for 子乳 1993 年には、シンガポール・ EarIy ChiIdhood Educators 野特と 、間 ・も仲 マネジメント・インステイチュート (<æc-)æco) となり、子どものため ルど育 一子保 イ。の (co—ä) と連携し、最初のデイプロ に保育実践の質の維持向上にかかわ フ学外 ロ育内 プ保国 マコースを設置。これは小グループる政策提言が可能な包括的で一体的 2016 年度年間テーマ ( 予定 ) 4 月号 : 保育領域のグローバル・ガノけンス ( 1 ) 5 月号ー保育領域のグローバル・ガバナンス ( 2 ) 6 月号 ! 保育領域のグローバル・ガバナンス ( 3 ) 7 月号 ! 韓国国立保育研究所のチャレンジ 8 月号 ! アメリカの保育専門組織の歴史と現在 9 月号 : 遊び中心の保育へ ( シンガポール ) 10 月号ー子どもの権利に敏感な国ノルウェー : ニュージーランドの保育と 11 月号ー ーラーニング・ストーリー 12 月号ースウェーデンの保育ドキュメンテーション 1 月号ープレア政権以降のイギリスで ーベルギー ~ 多元文化主義と 2 月号 ー利用者主体の保育の模索 3 月号ー科学的根拠に基づく保育の ーエビデンス研究 47 保育ナビ

3. 保育ナビ 2016年9月号

人材育成 2016 年度「保育ナビ」人材育成のコーナーは、 リーダー自身の自分育ちゃ園の保育の質向上のために より役立つラインナップでお届けします。 リーダーの専門性 園長の役割 テ 園長、リーダーシップとビジョンを語る 社会とつながる幼稚園になるための園長の役割 執筆学校法人初音丘学園理事長渡邉眞ー 今月のリーダ 安達譲先生 ~ ( 大阪府・認定こども園せんりひじり幼稚園 ひじりにじいろ保育園 ) 高層マンションの 1 階に幼稚園 ? 執筆東京大学大学院教授秋田喜代美 保育の質向上 保育マネージャー養成講座 ーー管理職のスキルアップと園の保育の質向上のために 執筆洗足こども短期大学専任講師井上眞理子 帝京大学助教坂田哲人 日本保育協会研修部次長今井豊彦 保護者・地域 保育者のキャリアと人材育成 ( 実践編 ) 保護者・地域と一緒に魅力ある園づくり 自然とふれ合い、 親子で育ち合う場所 監修玉川大学大学院教授大豆生田啓友 本質を考える 職場づくり 今日からできる ! より良い職場づくりの工夫 執筆白梅学園大学教授師岡章 本物志向 ~ 今の時代を生きる ! ! ~ 「いまどきの子育て事情」を テ 考える ( 1 ) 得意分野の形成 執筆社会福祉法人清香会 りとるばんぶきんずグループ統括園長 大江恵子 、 52 、 海外の保育 海外保育事情 遊び中心の保育へ 保育実践者の研究支援とともに ( シンガポール ) 執筆神戸大学大学院准教授北野幸子 37 保育ナビ