心 - みる会図書館


検索対象: 保育ナビ 2016年9月号
77件見つかりました。

1. 保育ナビ 2016年9月号

解説 子どもが見ている世界。この小さな 手から差し出された石ころやお花に は、この子のどんな思いがあるので しようか。この子の心が動いている 寺的世界が垣間見えて応じる時、子 どもの心も私の心も力強く動き出す のです。 倉橋惣三 ( 1882 ~ 1955 年 ) 「日本のフレーベル」あるいは「日本の 幼児教育の父」と呼ばれる幼児教育学者。 倉橋が展開した子どもの心に徹底的に寄 り添い、子どもの遊びや自発性を重視し た幼児教育論は、まさしく現代にも通じ るもの。誘導保育論が特に有名である。 ※タイトルの「小さな太陽」とは「天の太陽は 雲に包まれる日があっても、ここの小さな太陽 たちは、いつだって好天気だ」 ( 倉橋惣三「育て の心」く六月 > ) より引用しています。

2. 保育ナビ 2016年9月号

が急増しました。園の規模は本来 「人とのかかわり」を 3 30 人くらいなのに、 5 2 0 人に 大切に、けんかもさせる まで膨れ、さすがに無理があるので 幼児期に必要な育ちは「友だちと 現在は 4 5 0 人まで戻しましたが 遊ぶのって楽しいな」と思う心、つ まり社会性の基礎です。それと「不 地域のつながりがない状態で、 思議だな、もっと知りたいな」と思 きなり園に放り込まれて、「今日か う心、つまり探究心・創造性ですね。 らお友だちですよ、一緒にお歌うた では、子どもたちはどこでそれ いましようね」と始めても、「うわ らを学んでいくのか。学校では大 5 あ、おまえだれやねん」「おかあ さん、どこ 5 2: 」と、半分以上の子きく分けて 2 種類のことで学んで どもがなってしまいました。 いると考えます。 1 つがテストの こうなっては園が変わるしかあり 点数で数値化できるもの。もう 1 主導ばかりでは子どもの心がしぼんません。今は 9 年前と比べて別の園つが数値化しにくい社会性など心 の育ちに関するものです。 でいきます。幼児期は保育者のほう と言われます。例えば保育室には 4 55 人しか入れないようなコーナー 年齢が上がるにつれて前者が重 から、子どもに合わせていく必要が 視されます。だから大人はお金を を複数設けて、まずは小さな集団で あると考えます。 実は当園もかっては保育者主導の仲良くなります。仲の良い友だちが幸せの物差しにしますし、読み・ 一斉活動がメインの幼稚園でした。 一緒だから先生の仕掛けるクラス活書き・算を早くできたほうが安心 と思ってしまうのですが、私たちは しかし、 9 年前、町の様相が変わっ動にも入れるというふうに、クラス 活動と自由活動を行ったり来たりし幼児期に何が必要か考えなくてはな てそれが通用しなくなりました。 りません。 ながら、バランスをとって高め合っ 「ニュータウン現象」と言いますか、 幼児期に早期の読み・書き・算を ていけるように意識しています。 大規模のマンション群が現れて人口 4 園庭の一角には「どろんこバーク」。子どもたちは、自らの発 想で友だちとかかわりながら遊ぶ「環境」だ。落葉樹と広葉 樹が交互に植えてあり、夏になると頭上ではぶどう棚が茂っ て木陰に。冬は落葉樹が葉を落として日差しが差し込み、落 ち葉でいっぱいになるという。自然のサイクルも体感しなが ら遊んでいる 4

3. 保育ナビ 2016年9月号

園のわも 園経営 : れわらの 園長の思いが結実する場所 幼児期に大切にしたい「心の育ち」 学校法人鈴蘭台学園 認定こども園いぶき幼稚園 [ 兵庫県神戸市 ] お話をうかがった人・園長阿部能光先生 所在地 : 兵庫県神戸市西区井吹台東町 4 丁目 19 HP: http://ibuki.genki-123.ed.jp/ 園児数 : 448 人 ( 5 歳児 158 人、 4 歳児 149 人、 3 歳児 125 人、 2 歳児 13 人、 1 歳児 3 人 ) 第回 よしてる 悟 直接体験を大事にしたい。体験で せん定するのですが、切った枝は捨 辺 心を育てていきたいのです。ドキド てずにバケツに入れておいたり、撒渡 文 キワクワク、うれしい、悲し ) いておいたりすると、子どもが自ら 真 写 、いはいろいろな方向に動かないと育の発想で遊びます。 たないと思っています。この時大事 また、興味をもってほしい時は仕 にしたいのは、幼稚園教育要領にも、 掛けてもいきます。花の色水遊びが 保育所保育指針にも書かれている そうです。私たちから「きれいな色 「環境を通した教育」です。子ども水のできる方法を教えようかあ ? 」 が思わずそうしたくなるような環境 「最初は水を少な目にしないと、ほ をつくり出して、思う存分遊んで、 ら、花が踊ってつぶしにくいやろ」 心をたくさん動かす。子どもの主体 などと道を示して、自分たちで始め たら後は手を出しません。 的な学びを引き出す豊かな「環境」 の構成です。 保育者主導では 園庭もその環境の 1 つで、ここは 心がしほんでいく 私が毎朝 1 時間かけて手入れしま す。各教室は職員たちがそれぞれの 「あなたの園の特長は何か」とよ クラスの子どもに合わせて設定しま く聞かれます。そんな時は「突出し すが、園庭については、学童保育も た特長はないけれど、バランス重視 実施していますので、 1 歳から 9 歳型」と答えています。子どもの主体 までを見通して私が設定していま性と保育者のねらいをバランスよ す。 く。子どもの自由を奪わないように 例えば、木の枝が低い位置、子ど とク野放しクにしては深みのない保 もの目の高さくらいに伸ひてきたら育になりますし、かといって保育者 33 保育ナビ

4. 保育ナビ 2016年9月号

保育内容 みなさんもご存知、アンデルセン つも前向きで立派になろうとする向 子 丿ンま 会 の有名な童話です。 上心をもって生きたことでした。 ヒち員 の 委 香の立 童話作家アンデルセンは、貧しい 「みにくいあひるの子」は、人を見 る の " 役 家庭に育ちました。そのこともあっ かけの違いなどで判断していじめ ひ 大 心と て、周囲の人々の誤解や悪意による ( 疎外 ) をしてはいけないことや、夢 あ 三一氤あの教 いじめを受け、満たされない幼少期や希望をもっていれば、必ずすばら に話 を過ごしました。 しい人生が訪れるということを表し 奥れ際松短 ています。 最近ではわが国でも、学校で仲間 話援 はずれにされるなどのいじめを受け、 家 それを苦にした子どもが自殺したと いうニュースをテレビなどで見かけ ます。 あるあひるにつぎつぎとひなが生まれまし そこには、「みんなと比べて少し変 た。その中の一羽に、体も頭も大きく見た目一わっている」とか「仲間として合わ が異なる子がいました。きようだいは「変な ない」などの理由から、周囲の人々 子」と言って一緒に遊ぼうともしません。 に疎外され、いじめを受けるように ある日、その子は、空に美しい白鳥が飛ん なるといった構図があります。 でいるのを見ました。「あんなにきれいだった しかし、人にはそれぞれ個性があ らいじめられないのに : : : 」。 ります。一人ひとりの違いを認め、 時が経ち、春になりました。川 面に映る自 なっているのです。 なりません。 その後は、白鳥の仲間と、いつまでも楽し アンデルセンのすばらしいところ く暮らしました。 は、どんなにいじめを受けても、 一 0006 第 6 回′ 0 イラスト / 森田雪香 プロフィール・松田順子 ( まつだじゅんこ ) / 東九州短期大学教授。大分県教育委員会委員。長年「子どもの心と体の育ち↓ をテーマに、幼少期の環境と実体験が生涯の「生きる力」になることを研究している。 * 講習会のご希望がございましたら , 編集部までお申し付け下夸い 0

5. 保育ナビ 2016年9月号

保育内容 物第・、をを豐をを・第を = き 0 ・い 2 歳 心の育ちと保育者の専門性 0 ・ 1 ・ 2 歳児の日常から見える心の発達に焦点を当て、保育者の専門性に ついて考えていくコーナーです。毎月 1 つのテーマについて、保育実践者 的見地から井桁容子先生 ( 東京家政大学ナースリールーム ) に、研究者 的見地から遠藤利彦先生 ( 東京大学大学院 ) にご執筆いただきます。 今月のテーマ : 1 歳児・心の育ち② 子どもの内発的な「知りたい」 「挑戦したい」気持ちは、 想像以上のパワーにつながる 端まで行くと振り返り、保育者に ・エピソードより 片手をつないでもらったまま今度は、 5 遊び博士のちゃん 板の上で膝を屈伸させて板を揺らす 1 歳 6 か月のちゃんが砂場に渡ようにして楽しみ、次には両足で ジャンプをし始めました。時々踏み した板 ( 幅囲センチ ) を歩いてみた いらしく、保育者に「あーっ、 外して、囲センチ程下の砂場に落ち るのですが、すぐに板に乗り直して あーっ」と呼びかけながら手を差し 出していました。保育者はすぐに察何度もチャレンジします。端まで行っ してちゃんのそばに行き、片手を たところで、保育者は用事があって つなぎました。ちゃんはこれでよ ちゃんから離れていくと、今度はひ とりで歩こうとチャレンジし始めたの しとばかりに、板の上を歩き始めま した。この年齢だと、片足を一歩出 で、そのことに保育者が気づいて、 したらそこへ添わせるように後ろの素早く片手を添えに行きました。 しばらくすると、砂場から少し離 足を運ぶことが多いのですが、 れたところにあった 152 歳児用に特 ちゃんは交互に足を運び、狭い板の 上を大胆に普通に歩き始めたのです。 注で作った低めの木製シーソーに近づ し保育現場から 1 「 執筆井桁容子 ( 東京家政大学 ナースリールーム主任 )

6. 保育ナビ 2016年9月号

・本物志向・ めと たんす くさま うか ? それに、抱っこは親と子が子紐も、障害があるなど様々な理由に を ての思 同じ目の高さで世の中を見、感じ、 よる場合を除き、安易に使用すること 情 5 によって子ども自身の危険察知力が育 共鳴できる絶好の機会なのです。例 事 、き生敬い えば親が何かに興味をひかれ、視線 たないのではという点が問題です。 一代をえ を向けた時、赤ちゃんもその目の動 育児は心身ともに重労働で、私も の物を , 子る 会す 代ら本法 きに追従し、同じ方向を見ます。そ子育て真っ最中の頃には、体の疲弊 のえ か「方子香ん 土寸れこる恵清き き考こに花が咲いていれば「綺麗だね」 から情緒が不安定になった経験があ ど 生无琺ル長 ムワで と言葉をかけてあげる。親と子は表りますから、親の負担を和らげる便 ま ム「一向筆会と括 一キ志執社り統 情や目の動き、そして言葉で心を育利グッズが様々に流行するのもよく ナる物 一な本 わかります。しかし、だからこそ みます。心が通じ合い共に響き合う、 コ次に 本の共 共感こそがコミュニケーションの始ま 「子どもの発達にとって」という視占 から、専門家としてそれらのメリッ りであり、心の発達なのです。 保育の専門家としての おんぶでも同様に親の動きに合わ ト・デメリットを保護者や地域・社 視点から発信する せ、肩越しに同じものを見ることが 会に発信することも、私たちの務め 最近よく見かける、赤ちゃんを前 できますが、赤ちゃんの背後に親が ではないかと思います。またそのた 向きに抱っこするスリング。その抱 位置する前向きの抱っこでは、ら模 めにも「いまどきの子育て事情」を き方に、私はどうしても違和感をお様を共有するのは難しいでしよう。 常にキャッチし、分析・検証する習 ばえるのです。もし親が転べば、赤内臓を守ろうとする生き物の本能か慣をもちたいものです。 ら考えても、お腹を密着させている ちゃんは顔から地面にぶつかること 園長・主任向けポイント になります。向き合う形での抱っこ ほうが安心でき、心地よさを感じる 最新の子育て事情について常に情報 も転べば危険という点では同じですのではないでしようか。 収集し、「これって OY ? 」 が、咄嗟に手でかばう時、後頭部と ということを「子どもの発達」の観 点で考え、保護者に伝えよう。 また少し大きくなると使用する迷 顔ではどちらが保護しやすいでしょ 人材育成 ◆ 十 - 今月のテーマ プロフィール・大江恵子 ( おおえけいこレ社会福祉法人清香会りとるばんぶきんずグループ統括園長。 NPO 福祉総合評価機構第三者評価者として評価施設多数。 共著に「自己評価ガイドブック ~ もっとすてきな保育のために ~ 」 ( フレーベル館 ) がある。 ワ」

7. 保育ナビ 2016年9月号

子どもの〃おもしろさ〃を もっとろ , フー 対談 「子どもを物語る」とは、どのよ 現場に人ったばかりの頃、先輩のロ うなことでしようか。これまでも保ぶりをよく真似ていたんです。子ど 育の現場では、同僚・保護者・地域もが帰った後に職員室で、先輩たち 等へ子どもの様子を伝えることが大が本当に楽しそうに子どものことを 事だとされ、日々行われてきました。 話していて、おなかを抱えて笑って 一方で、「物語る」という行為は、 しまうくらいおもしろい話だったん 事実を事務的に伝える必要性だけか です。その姿を見て、僕もあんなふ らではなく、子どもに心動かされ、 うに子どものことを、明日ここで話 それをだれかに伝えたいと感じた時したいなあと思いました。 に、おのずと生まれてくるもののよ ロぶりを真似ているうちにだんだ うです。「物語る」ことのもっ力と ん子どもが見えるようになっていき 心動かされ 可能性について、大豆生田啓友先生ました。「語る」の前にある「見る」 と青山誠先生に語り合っていただき の視点が、真似することで自然と自 生まれた物語 ました。 分の中に入ってきた感じです。そん なふうにして、子どもは本当に興味ィ一三 よ呆護者にも 「真似てみる」ことから始める が尽きない魅力的な存在だというこ 青山先生 ( 以下、青山 ) 】僕が保育とを最初にまず学んだ気がします。 感染してい 大豆生田啓友、 大豆生田啓友 ( おおまめうた・ひろとも ) 玉川大学大学院教育学研究科・教授。 保育分野に留まらす、子育て支援や子ども とその周辺領域への提言など、精力的に 活動。倉橋惣三の研究家としても知られる。

8. 保育ナビ 2016年9月号

小さな 太陽 ことば倉橋惣三 選大豆生田啓友 ( 玉川大学大学院 ) 写真小西貴士 ( 森の案内人・写真家 ) その後 学間も必要たが、それだけでは 子供の侶にはなれない。 ことによると子供から段々離れこそすれ、 子供と同じ調子に和合することは出来ない。 すべての子供は生まれながらの詩人である 我々も心にこの詩人的要素がなくては、 子供と真に溶和することは 靍ー′ . 出来ないというのです。 幼稚園雑草』より

9. 保育ナビ 2016年9月号

次 保育ナビ 2016 保育ナビが伝えたいこと 子どもの傍らに居たくて、保育という仕事を選んた どんな仕事でもそうですが、義務感だけでそこに情熱を注ぎ続けることはできません。保育者が子ともの輝きに魅了され心動かされ、 自すと子どもを物語ってしまう時、間違いなく保育者自身が輝いています。子どもと共に居る喜びが原点にあるから、保育は単なる 仕事ではなく、生きることそのものになっていくのでしよう。同僚と、保護者と、子どもを物語ってみませんか。・ーー保育ナビ編集部 小さな太陽その後 『保育ナビ』スペシャル対談 自分で考え、挑戦して広げる 子どもや、チ 1 ムの可能性 宮下純一 x 矢藤誠慈郎 管理職のアンテナ・ 時代を読む園の理念から再点検する認定こども園のいま 園の社会的責任を 福岡県・認定こども園 ど , フ考えるか 大牟田たちばな幼稚園の場合 ( その 2 ) これからの園のかたち 2016 兵庫県神戸市認定こども園いぶき幼稚園 子どもを物語る 5 同僚・保護者・地域と子どもの魅力を分かち合おう ! 5 巻頭 園経営 3 ・ 3 ・・ 4 ・・ 8 認定こども園における法律問題 aoö< 利用料の徴収 check 1 check 2 子どもの魅力に心 を動かされ、「子ど ~ もを物語る」ことは、 保育者に喜びややりがいをもたら します。その語りを同僚や保護者、 地域と共有することで、どんな価 値が生まれるでしようか。 3 つの 事例と対談を通して「子どもを物 語る」ことを考えます。 異分野、異業種のリーダー をお迎えし、経営やマネ ジメント、保育の世界との 共通点や保育でも活用できる思考法を教 えていただくコーナーです。今月は、現 在テレビ等で活躍中、北京オリンピック 競泳銅メダリストの宮下純一さんに、子 どもやチームの可能性を広げるために大 切に思うことをお聞きしました。

10. 保育ナビ 2016年9月号

, 、第を 1 ド第 , 町、心 をこ、 総み・そ今、驫 ". ァ三、 ・ヤ考ミこ 、をい、ン当 イ阜れ当な 阜第第冫イ第 第、当第叮茅をを第「 = レ震 ノ : 第」第舅第多 を蹶の。を彡の帚気 どんぐりの木アラカシは、下枝も生えていて登りやすかったが、たくさんの園児が遊んでいると枝が折れて木も弱った。 そこでツリーデッキを付けて、木を守りながら木とかかわれるように。「木登りは危なくないんです。自然は優しくないので、 自分の能力以上の高さには登れませんから」 ( 園長 ) 35 保育ナビ