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検索対象: 子どものしあわせ 2016年10月号
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1. 子どものしあわせ 2016年10月号

飛び交い生徒が先生を殴ったリするような中学校て講演したこともあリま す。勉強が嫌いな子も多く、感想文はひらがなだらけだったリするんてす けれど、ちゃんと響いているなと感じました。 東大阪市にある小学校の、六年生のクラスで話をしたときのことです。 子どもたちが「イラクの子たちと友達になって、いらない文房具をあげた い」と言うので、私は「何言うてんの。友達にいらないものあげんの ? とメッチャ怒ったんです。そ、つした、ら、子どもたちは次に会ったとき自己 紹介カードを作っていました。顔写真を貼って、名前、生年月日、趣味、 好きな食べ物がローマ字で書いてあるカードてす。「 l— < 〇 < ーっ て書いたけど、イラクにないかも」と、たこ焼きの絵が添えられたりして 微笑ましかったです。 号 そのカードをイラクの六年生に渡したのかきっかけになって、携帯電話川 年 を使った交流会が実現しました。私たち大人には、イラクは戦争があって 大変、それに比べて日本は平和て幸せ、というイメージがあリますよね。せ わ あ ても、子どもたちの感覚は違います。イラクの子どもたちは「日本こよ、 の じめや、自殺する子もいます」と聞いて、そんなに苦しいことがあるんだ 子 日本も大変なんだ、とショックを受けたんてす。最後は、僕らもしんどい

2. 子どものしあわせ 2016年10月号

鉛筆とさえ語り合える心をもっている。この子 くの要因の中から学び取り、育っていく。子ど どもたちには、心の安らぎと充足、豊かな感性、 もたちが自分の考えを確立するまでには、実に 学ぶことの楽しさ、知ることへの逞しさや人間 多くの要因が影響しあっている。それだけに、 平和を求める運動が大きくなれば、必然的に子 としての優しさなどを育んでやることが、平和 どもたちはそれらの運動から、多くのことを学 を大切にする心情を育てることにつながって いると私は考えている。素直な感性を持った子 ぶに違いない。幼い子どもたちには、人間とし どもこそ、やがて彼等が成人した日に、平和を ての優しい感性、学ぶことへの逞しい意欲、人 守る大きな力を発揮してくれるに違いないと、 間への信頼の感情を育てるように、私は力を尽 私は信じている。 くしたい。それが、やがて平和を求める強い意 思を持っ青年へと育ってくれると、私は考えて いる。だからといって、幼い子どもには戦争に 在職中、私が毎年平和行進で校区内を歩いてい ることを知っている子どもが何人もいて、沿道で ついて何も教えなくてもよいと言っているの 行進者に接待をしてくださる人たちに混じって ではない。子どもの年齢 ( 成長 ) に応じて、科 号 手を振って迎えてくれました。私はこれがもの言 学のひかりを当てた「戦争ーを正しく学ばせ、 月 わぬ平和教育だと思うのです。 ( 以下次号へ続く ) 平和の大切さを学ばせたいと思っている。つま 年 り、ベトナム戦争と、今世界の各地で起きてい る紛争と、第二次世界大戦と、それらは全て戦【引用文献】雑誌「人権と部落問題」一一〇〇四年七月号 / わ 随想 / 「無言館」のゆくえ , ー戦没画学生の絵が告発あ 争に違いないが、戦争の性格が異なり、戦争を の するものーー 防止するカ ( 方法 ) も違っていると思うからだ。 ど 【初出文献】「私の平和行進」ーー東京 5 広島九〇日ーー 中略 子 田中敏夫著 幼い子どもたちは、身の周りの虫や花、机や

3. 子どものしあわせ 2016年10月号

平和のための私の一歩 こえてくるので、大砲の音が聞こえてこない方向なかをはしった日』 ( チョン・シューフェン作、 にどんどん逃げるのです。戦乱のなかでの非常に 中由美子訳、童心社、一一〇一六年 ) です。子ども 象徴的な光景が見事に描かれています の感覚と大人の感覚とではすいぶん違うというこ 兄弟は、助けてくれる大人たち、あるいは冷た とを示した優れた作品です。 く扱う大人たちと出会います。そして、森の中に 台北に向かう高速道路は、渋滞するので有名で 住んでいて、二人の息子を戦死させている老夫婦す。車の中には、お父さんとお母さんと小さな女 に助けられます。旅の最後には、負傷したお母さ の子が乗っています。なかなか車が進まないので んと伯母さんの家で再会するという非常に児童文お父さんとお母さんはちょっとイライラしていま 学らしいラストシ 1 ンになっています。 す。でも後の席に坐っている女の子はファンタ 世界にも戦争を描いたすばらしい作品がたくさ ジックな幻想を抱きます。 んあります 女の子にとっては、車が海の中にいるような感 覚なのです。車の外を見るたびに、海の中を走っ 子どもと大人の感覚は違う ているような感じになって、やがて本当の海の中 戦争文学とは離れますが、最近、台湾の絵本出 になり、大きな魚がやってきます。いろいろな海号 版がとても盛んです。ご紹介したいのは、『海の の生き物との出合いが起こります。 年 作 グ年 ン 8 たエ年 せ わ っフ訳 1 亡サ訳 1 あ 3 ' 「。し一子 0 し ュ美 逃仔衾 なヾ貝 の をシ由 さ 7 田版 ン吉出 のヨ 子 「の グ 小さな逃亡者 0 ををえ第のわグ 毎、

4. 子どものしあわせ 2016年10月号

もをテーマにした話の中にも大人が登場します。 点もあります。自由な想像力、自由なイマジネー ションで書けるからです。 しかしその描き方は本当にさまざまです。 連載で取り上げさせていただいた、エーリヒ・ さらに戦後七十年がたった段階で、いろいろな 新しい事実が私達の前に現れています。戦争を実ケストナ 1 の『飛ぶ教室』という作品があります。 際に経験された方からは、「実際にはこんなもの ケストナーはそのよく知られた序文で「子どもの ではなかった」というご指摘もあるかもしれませ 涙が大人の涙より小さいなんてことは絶対にな んが、戦後世代には、今までとは違うパースペク むしろ子どもの涙の方がずっと重たいことが テイプで書くことができるという利点もあります。 ある」と述べています。 たとえば、児童文学ではありませんが、浅田次 『飛ぶ教室』は、子どもと大人との関係を理解 する上でも大変面白い作品です。子どもと大人と 郎さんの『終わらざる夏』という作品があります。 浅田次郎さんは戦後世代ですので、戦争を知らな の関係では、肉体的にも金銭的にも大人の方が優 いわけです。それでも疎開体験をよく調べて、す位です。子どもたちにとって大人が圧倒的な存在 であり、強者であることに変わりありません。子 ぐれた小説を書きました。また、中脇初枝さんに は『世界の果ての子どもたち』という作品があり どもは社会的には弱者です。それゆえに、戦争や号 ます。中脇さんも戦後世代です。しかし満州開拓虐待で、子どもの心は大人よりはるかに深い傷を 年 受けやすいのです。戦争はもちろん大人にとって 民のことを本当によく調べて書かれています。 歩 も大変なことですが、子どもにとってはより大変せ 子どもの涙の方がすっと重たい わ の あ であるということです。 私 し の の 子どもと大人の問題ということに話を転じま め 大人よりも賢い子ども ど のす。児童文学のなかでも、子どもが主人公ですが、 子 今まで私は、戦争を描いた児童文学にたくさん 平一大人が登場しない児童文学はないわけです。子ど

5. 子どものしあわせ 2016年10月号

平和のための私の一歩 核も戦争もない平和な地球を 8 月 9 日、長崎市主催の平和式典で、被爆者代表の 80 歳の井原 東洋一さんは、人類普遍の崇高なメッセージを私たちに送って くださいました。 原子爆弾投下から 71 年経った今も続く苦しみの中、「武力で平 和は守れない」、アメリカの「核の傘」に頼らず、全世界の核被 害者や、広島、福島、沖縄の方々と連帯し、若い人々と共に、「核 も戦争もない平和な地球を子どもたちへ」と「平和への誓い」 を話され、歴史的な使命の達成に向かって、決してあきらめず 前進すると述べられました。 この井原さんの決意は、「日本子どもを守る会」の創立者で初 代会長の長田新の業績と通じるものがあります。長田新は、自 身も被爆した身を奮い立たせて、子どものしあわせを願い、「平 和を守ることが人間としての最高の道徳である」という信念の もとに、被爆した子どもたちの手記 105 編を収録した『原爆の子』 ( 岩波書店 ) を、 1 951 年に G H Q の監視をかいくぐって出版した のでした。 今、井原東洋一さん、長田新の決意をしつかり受け止め、連 帯と協同の輪を一段と広げようではありませんか。 イ左イ白菊支 ( 日本子ともを守る会副会長 )

6. 子どものしあわせ 2016年10月号

けど、君らもしんどい。お互いがんばろうとエールを交わして終わりました。 先生がおっしやるには、授業のあと、平和問題や外国のことに加えて、在日コリアンの児童 も多かったので自分のルーツについて考えた子もいたようです。同世代だからこそ、自分に置 きかえて相手を思、つことができる。今を生きる子どもたちに、多くを教え、られました。 自分の体験に引きつけて 私は被爆ニ世で、父親が広島の被爆者てす。父は五歳のとき爆心地から一・三キロ地点で被 爆して、その体験談が『原爆の子』という被爆した子どもたちの文集に載っています。でも、 私が一番影響を受けたのは父の姉の叔母で、彼女が「育ててくれた人」そのニです。もともと 父の実家は材木の輸入業を営み、裕福な家だったんですけれど、原爆で何もかも失って、遠い 親戚を頼って広島の山間部、戸河内に家族で身を寄せました。叔母はそこの家の人と結婚し、 竄れない畑仕事を、原爆病ということで差別されないように人一倍がんばったそうです。 少し突っ張ったところがあった叔母なのですが、私とは気が合い 私の活動を理解してくれ ていたので、イラクで取材してきた映像をよく見せていました。あるとき、取材していた一八 歳のクルドゲリラの女の子が戦闘で死んでしまい 叔母にその話をしました。すると叔母は、 窓の外の山並みを見ながら「なんでそんなことになるんや」とつぶやいたんてす。そのとき私 は、あ、おばちゃんは分かっていると感じました。叔母は、外国に行ったこともない 、普通の

7. 子どものしあわせ 2016年10月号

◎◎ っくり算数教室 ふみちゃんの 両側に正六角形かできあがります。 どんな図形が見えるかな ? 切り込みが 3 つから 6 つに増えただけですが、 巻いた毛糸を一度ほどいて、 2 時・ 6 時・川時今度は正六角形だけではなく、いろいろな図形を のところにも切り込みを入れてみましよう。まず、 描くことができます。巻き方をいろいろ工夫して 時から 2 時まで文字盤側、 2 時から 4 時までは みてください。全部の点と点を毛糸で結んでみて 裏側という順に毛糸を 1 周かけていきます。肥時 ください。どんな図形が見えましたか ? 正六角形 まで毛糸をかけたら、今後は逆向きに時から川 と対角線、 2 つの正三角形に星形も見えます。三 時まで文字盤側に糸をかけ、川時から 8 時まで裏角形の面積を学んだ 5 年生は、「正三角形の高さ 側にかけるとい、つよ、つにも、つ 1 周巻 / と、ム 1 度は も見えるよーと教えてくれました。正三角形の真 るん中を通る糸は、面積を計算す え 見るときに頂 ~ から底辺に垂直に 引く線 ( 高さ ) になっていまし のた。 ( 上の写真 ) 号 角 月 三幾何学模様は美しい 年 では、もう一度毛糸をほどい 字て、 1 時から肥時まで 1 時間 ) 」せ っとにの切り込みを入れてくだあ し の さい。切り込みがになると、 子 女さらにいろいろな模様が描けま 子 の 2 2 0 3 9 4 8 5 7 文字盤の型紙 ( 拡大コピーしてください ) 6

8. 子どものしあわせ 2016年10月号

速載⑩子どもの荒れど向き合う 国連子どもの権利条約と 少年法「改正」問題 「このままでは生き地獄になってしまう」と 社会病理としての「荒れ」と子どもの権利条約 言い残していじめ被害生徒が自殺した事件 ) も受 け、受験を突破する学力向上ばかりに目が向いて 非行やいじめ、不登校などが社会問題化したの は一九八〇年代でした。当初は不登校を「登校拒 いる学校教育のあり方が見直されました。 否」と表現したように、学校に行かないのは子ど そこで、非行やいじめなどの「荒れ」を学校病 ものわがままだと考えられがちでした。 理、教育病理などと見立て、子ども個人の問題と また、仮に不登校の背景に学級での「いじめ してではなく、「社会病理」問題として語り直す があっても、いじめられるのはその子が弱いから 動きも見られました ( 徳岡秀雄「青少年問題と教 で、逃げ出さず学校に行くことが求められました。 育病理」『教育社会学研究』五〇集、一九九一一など ) 。 いずれも問題の原因を子ども個人に見出す「自 この時期は、国際的には国連児童の権利宣言 ( 一 己責任」の問題として語られました。しかし、一 九五九 ) を空文化させないため、一九七九年の国 九八六年に中野富士見中学校で起きたいじめ自殺際児童年を通じて、社会的困難状況にある子ども を保護することに加え、子どもが自ら育っていく 事件 ( Ⅱ教師も加担して葬式ごっこをクラスで行 竹原幸太 ( 東北公益文科大学 )

9. 子どものしあわせ 2016年10月号

保健室を 全国養護教論サークル協議会く編〉 地域に根さして子とものからたと心を育む 特集自閉症スペクトラム ー発達の未来を拓く ・発達障がいの子どもへの理解と援助 自閉症スペクトラム症 (ASD) の問題を中心に ・特別支援学校の保健室 ・発達障害のある子どもと「通級による指導」 ・自閉症児への就労支援 愛媛大学で働く自閉症者への支援から ・大きくなあれ 娘に届いていたおじいちゃんのことば ・その人らしく豊かに生きること ・養護教諭とスクールソーシャルワーカーの協働 ーー発達に課題を抱えた子どもへの支援を通して 楠凡之 木村純一 小池雄逸 阿部修一 徳永邦子 細野郁子 大田なぎさ 好 中 0 香山リカ ( 精神科医 ) 今の時代を生きる子どもと養護教諭 0 成田弘子 ( 元白梅学園大学教授 ) ネット社会と子どもの成長 0 野里征彦 ( のざと・いくひこ小説家 ) 母と子のメルヘン 6BN978 ー 4-7807 ー 1372-5 C9337 A5 判 80 ページ並製 年 6 回発行・ 1 冊 700 円 ( 十税 ) ・年間購読料 4536 円 ( 税・送料込み ) WWW. honnoizumi. CO.jp 本の泉社 TEL. 03-5800-8494 FAX. 03-5800-5353 〒 1 13-0033 東京都文京区本郷 2-25-6

10. 子どものしあわせ 2016年10月号

杏が体験した、生きていけないと思うほどのい は暗黙のうちに全員一致で決まり、「下」の生徒 じめ。それと地続きのところに、「自分を学校に は「立場をわきまえて」過ごしています。 行ってはいけない生徒だと感じ」る米利や、「い 色とりどりのミサンガ、語尾を伸ばすダルそう じめ」という言葉では言い表せない学校の「空気」 な言葉遣い、会話の中身。高校生風俗の描写が伝 のなかを、必死に生き延びている子どもたちがい える、目立っグループにいる男女の圧倒的な華や ます。 かさ。しかし、彼らもどこか血 ~ 理していること、 『桐島、部活やめるってよ』 ( 集英社、〇九年 ) は、 淋しさや虚しさを抱えていることが見えてきます。 直木賞作家の朝井リョウさんが大学在学中に発表 別世界に生きてきた高校生ふたりが、ほんの一 したデビュ 1 作です。ある高校で、男子バレ 1 部 瞬、言葉を交わすラストシーン。同情ではない小 のキャプテン桐島が、とっぜん退部。それによっ さな親切が勇気を振り絞って行動に移された瞬間 て立場が変わったり、ふと何かを思う五人の生徒を、当時二十歳の作者は、「ひかり , という言葉 の視点から、それぞれの学校生活が語られていき を三度も用いて表現しました。『ワンダー』でも 号 ます。浮かび上がってくるのは、クラス内には階 キーワードとして登場する「親切。「行動」「勇気」 層があるという彼らの共通認識です。それは「大は、「空気 , を動かす万国共通の指針のようです。 きく分けると目立つ人と目立たない人」。「上下ー せ わ あ し ナ′ィー らい・版 の 知い子出 まが成研 う瀬文 子 ほ岩 き 4 きみは知らなしう旗。 こミド、第イを てよ 第を第第 「桐島、部活 やめるってよ』 朝井リョウ・作