特 人を育てる職場づくり 用者のなかに職務に求められる適切な 衛生法によっても規定され、特に 20 セルフケアの責任 14 年の改正において、ストレス 感情状態をつくり出す感情労働などは、 チェックが事業者に義務づけられたこ 福祉に関わる人の多くは、立場の違とうていできなくなってしま、つ とからも関心が高まっている。この法 当然感じるはずの感情を感じられる いによるやり場のない怒りを抱えてい ると感じることかある制度やサービ では、メンタルヘルスの推進を掲げ、 ようにする身体のメンテナンスは、業 労働者自身がストレスを予防する取りスに対する当事者がもっ怒りや、低賃務による疲労を回復させ健康であり、 組みを行う「セルフケア」と、管理・金や人手不足による多にさに対する福現場で利用者に罵倒され怒りや恐怖を 監督者による「ラインによるケア」が 祉労働者の怒り、報酬改定などにより感じながらも、その場で最善を考え対 ある。つまり、個人と組織を縦と横の経営の困難さを抱える制度に対する雇応した自分自身の心のメンテナンスを 関係に見立て、両者がともに取り組ま用者の怒りなどである することである。福祉労働者か心身の 感情にはよいも悪いもなく、その感メンテナンスかできる知識や技術を習 なければならないことを強調している 得し、とりわけ感情労働の根幹となる これらは、感情労働の特徴としてあ情をどう意味づけるかによって、感情 声の接触によって利用者に適切な感情 げられる雇用者のなすべきことの研修のもつ効果が違ってくる。怒りの感情 か自分を高めるエネルギ 1 としてポジ状態を起こさせるコミュニケ 1 ション や、管理体制を通じて労働者の感情活 動をある程度支配することに匹敵してテイプなものになることもあれば、他スキルを習得することは、福祉労働者 自らが取り組まなければならない いる。感情労働をなし得るためには、者への攻撃へと変化することもある 福祉労働者自身のセルフケアと、雇用 福祉労働は相手の感情を感じること ラインケアの責任 者の実施するラインケアの両者の環境を大切にする労働であるにもかかわら 利用者や家族の支援に疲弊した職員 を整えることによって、職務内容の一ず、福祉労働者の感情は取るに足らな に対し、職場の上司が最もなすべきこ 部として求められている適切な感情状いものとして大切に扱われないことは、 とはねぎらいである。しかしながら、 態や感情表現をつくり出すためになさ福祉労働者の感情まひを招きかねない。 れる感情管理が必要なのである 自らの感情がまひしてしまうため、利上司にコミュニケーションスキルがな 41 月刊福祉 September 2016
特 人を育てる職場づくり 返りを求めない態度であることか福祉利用者からの罵声や否定される言葉をう一一一口葉が用いられるようになった。感 である、などのような根深い社会的評一一一口われるケ 1 スが最も多かった。その状情労働とは、 < ・・ホックシールド 価か関係しているのではないだろうか 況に対して、介護労働者は言い返さずが『管理される心ー感情か商品にな 本稿では、福祉労働における感情労に我漫し、自分がまず冷静になるよ、つるとき』 ( 1983 年 ) において、フ 働を整理しながら、今後の福祉労働の にし、利用者を否定することなく対処ライトアテンダントの業務を分析し紹 あり方について考えていきたい。 する行動をとっていた 介したものである。肉体労働や頭脳労 保育所では、園児から「おだんごが働と区別される感情労働は、労働者自 理解されないシャドーワーク おいしくできました。先生、さあど、つ身が自分の感情管理を必要とし、他者 福祉労働者のストレス対処法やメンぞ」と泥だんごを差し出されると、「まの感情に働きかける仕事である。人を タルヘルスの重要性がいわれて久し いあ、なんておいしいおだんご ! 上手に支援する福祉労働者はストレスが多い が、筆者のところには離職への取り組できたわね」と、繰り返し食べられない ため感情労働だというのは、本来の意 みやストレス対処法について相談が続ものをおいしく食べるまねをし、園児が図するところではない。感情労働には いている。そのたびに、いまだにこの喜び満足する感情を起こさせなければ次の 3 つの特徴がある 問題は解決されていないことを実感すならない。一方で、保育者は教育とい、つ 〇 1 対面あるいは声による顧客との接 るのである。そもそもこの問題は解決業務も担わなければならない。保育者触が不可欠である できないことなのであろうか は、危険から身を守ることを園児に教 ②他者のなかに何らかの感情変化 ( 感 介護労働者の 6 割以上は、程度の差えなければならない時には「危ない ! 」 謝の念や恐怖心など ) を起こさなけ ればならない はあれ利用者の言葉に傷ついた経験をと声を大きくし、恐怖の感情を起こさ もち、ケアマネシャーでは、約 5 割か利せることをしている ③雇用者は、研修や管理体制を通じ 用者の言葉に傷つき、約 6 割は利用者 て労働者の感情活動をある程度支配 感情労働とは何か の家族の言葉に傷ついた経験があった。 する この介護労働者たちか傷つく背景には、 近年さまざまな業界で感情労働とい 感情労働では、他者のなかに何らか 39 月刊福祉 September 2016
特 人を育てる職場づくり 部下は利用者や家族から感謝される落ち込んだり怒りを感じたりする。し 祉労働に求められる感情労働を遂行で と期待していたにもかかわらず、そのかし、業務に従事している状況下で きるラインケアの確立が必要である は、自分が不快になった時に瞬時に自 自分たちは丁寧に教えてもらったこと期待は裏切られ、傷ついて現場から らの感情を切り替え、何事もなかった はないから、背中を見て学べという方戻ってくるのだ。本来得られるべきと ころで満たされるべき感情か満たされかのように振る舞い、利用者や家族に 法や、社会人なのだから常識で考え、 報告・相談・連絡しなさいという旧来ない部下に対し、ラインケアとして上不快感を与えることなく業務遂行する ながらの育成方法は、現代にはなじま司から部下の感情が満たされる言葉をことが求められる ないのである。そもそも部下は上司のかけ、職務にとって必要とされる感情福祉労働者は、どのような状況下で 顔色をうかかって仕事をしている状態を部下か利用者へ提供できるようにし自らの快や不快の感情が起きるのかを なければならない。部下は、上司によ理解し、その状況がいつどのように起 にあり、上司の機嫌に応じて報告・相 る自らの関わりの体験を利用者との支きても、その場に必要とされる感情状 談・連絡するものである。組織におい 態になるトレ 1 ニングか必要である ては上司が自己の感情の安定を図り、 援関係に応用できるよ、つになっていき、 それは自らの心の安定がもとになるも 利用者やその家族に何らかの感情変化 上司から報告・相談・連絡をしていか なければ職場環境はよくならない。まを起こさせるコミュニケ 1 ションによのであり、心の安定のためにはセルフ ケアとラインによるケアによって下支 た、そのほうが上司のイライラも少なる支援ができるようになるのである えされなければならない くなるのである。終身雇用制度が崩壊 おわりに し、転職が当たり前の時代になり、売 《参考文献 どんなにコミュニケ 1 ションスキル 小田豊ニ『「聞き書き」をはじめよう』木星舎、 20 り手市場の福祉職場である。上司とい 12 年 トレ 1 ニングを行っても、予測を超え う名前にあぐらをかいている時代は終 * 2 岡田耕一郎・岡田浩子『だから職員が辞めていくー施 設介護マネジメントの失敗に学ぶ』環境新聞社、 わったのである。となれば問われるこた利用者や家族の反応によって、福祉 年 * 3 吉田輝美『感情労働としての介護労働ー介護サービ とは、上司のコミュニケ 1 ション能力労働者はショックを受け傷つくことが ス従事者の感情コントロール技術と精神的支援の方 法』旬報社、 2014 年 である ある。福祉労働者も人間であるから、 0 0 43 月刊福祉 September 2016
論文Ⅳ う思いをもち福祉業界へ入ってきたに の感情変化を起こさせることが特徴の え、トップを独占している。「人や社 ひとつであり、そうしてみると葬儀社会の役に立ちたい」も 3 位や 4 位に位もかかわらず、感情か限界に達した や借金取りも感情労働者である。葬儀置し、毎年 3 割を超えている 寺、福祉労働者は職場を辞めよ、つと決 社は、参列者に対して悲しみの感情が 2008 ( 平成 ) 年度の調査から断するのだ。その苦しみの背後には、 沸き起こるように立ち振る舞い、セレは、「直前の介護の仕事を辞めた理由」福祉労働における職場の人間関係があ か設定された。正規職員に限定するとる。福祉労働においては、労働者の精 モニー中には自分の声を駆使してい る。借金取りは、声をす ) 」ませ客に恐辞めた理由のトップは、 2008 年度神的犠牲に成り立っ現場からの脱却を 怖の感情を起こさせる。マニュアルやから 2013 ( 平成 ) 年度まで「法図らなければならない 訓練によって、その職務に求められる人や施設・事業所の理念や運営のあり 労働環境を整える 感情状態を雇用者に管理されているも方に不満があったため」であった。 2 のが感情労働なのだ。 014 ( 平成 ) 年度は「職場の人間 福祉労働の対象者は、病気や障害の 関係に問題があったため」がトップとある人、子ども、高齢者であるがゆえ 福祉労働者が対人援助の業務におい てストレスとなることは、自己の感情コ に、コミュニケーションの難しさも相 なった。正規と非正規職員の合計で ントロ 1 ルを行い、なおかっ利用者か感は、 2012 ( 平成幻 ) 年度以降「職まって、そもそもストレスを受けやす 、状况にある。さらに厄介なことは、 情変化を起こすようなシャドーワーク場の人間関係に問題があったため」か を際限なく求められるからであろ、つ トップで、それ以前は「法人や施設・ 利用者や家族との関わりにおいて傷つ いた職員が、職場上司の無理解によっ 事業所の理念や運営のあり方に不満が 福祉労働者の苦しみ あったため」がトップになっていた て職場環境において手当てされるどこ 介護労働安定センタ 1 では、毎年いずれにしても、賃金の低さや利用者ろか、労働者自身の個人の能力の問題 にされてしまい、二重のストレスにさ との関係というよりは、職場内の人と 「介護労働実態調査」を実施している 人との関わりによって生じる問題であらされるのである 現在の仕事を選んだ理由を「働きがい 労働環境を整えることは、労働安全 のある仕事」とする者が毎年 5 割を超る。やりかいや社会に貢献したいとい 月刊福祉 40 September 2016
論文Ⅳ 感情労働の視点から 福祉で働くことを考える ー感情コントロールの重要性 吉田輝美 昭和女子大学人間社会学部 准教授 祉 と診断され離職してしまったという 福 福祉業界には「利用者との関わりを月 通じて起こる感情は、職員個人のもの であり取るに足りないもの」や「感情 は女々しいもので男なら弱音を吐く な」など、時代錯誤の精神論が存在し ているようである。介護現場で「心」 が持ち出された時はくれぐれも気をつ * ワ 1 けなけれはならないのである 無償の愛や精神主義はシャドーワー と一一一口うのです」と声があがった。そこ クであり、愛の労働は金銭と交換する はじめに には上司の無理解に苦しむ保育士の姿労働の対価として測定されにくく、福 かあった。 般の人がもっ福祉に対するイメー 祉労働者が賃金交渉を行うことは、恥 おだとよじ ジとして小田豊一一氏の著書に「福祉活 また、障害者施設の職員は、介助すずかしいことのように思われている 動というと、ややもすれば、自分を犠るたびに「あなた、私と同じ身体になっ筆者が「福祉は感情労働である」と 牲にして相手に尽くす、いわば、昔のてみなさいよ ! 」と利用者から怒りを いうと、いまだに批判される。そもそ けんえん 滅私奉公のようなイメージかっきまとぶつけられ続けた。どう返答すればよも福祉を労働と表現することか倦厭さ いかち」との表現がなされている いのかわからず、こみ上げる自分の怒れるようで、まだ福祉業界のコンセン これは福祉に対する社会的評価のひと りの感情を押し殺し、「ごめんなさい サスは得られていないと感じているそ っといえる ・ : 」と謝るしかなかった。そして、 こには、自己犠牲による愛の労働が福 保育士の講演会で「園長は、私たち自分は利用者のことが理解できない無祉であることや、奉仕の精神という一一一口 のやっていることをただの子守だろ、つ能者であると自分を責め続け、、つつ病葉に象徴されて、無償性や無報酬の見
論文Ⅲ ハイシ 1 ひとりの個人ス 1 ワーク ( ケアワ 1 クを含む ) の専門知 1 ビジョ身体的な暴力があるかもしれない職曜 月 ハイサーひとり・スー 員も感情をもっている。職員は、やり 識や経験、そして組織人としての経験ン、ス 1 パ 1 ハイジ 1 複数のグループスー 場のない憤りを感じる。発散すること かあることか望ましい。 ーハイの方法を間違えてしまうと、大変なこ ビジョン、同僚同士かスー ハイシーとは、スー 反対にス 1 ハイジーであるとになるだろう。その点で職員へのケ ービジョンを受けて専門職として養ザ 1 であり、スー ピア・スー 1 ビジョンなどの種類がアか、ますます不可欠となっていると 成される側のワ 1 カ 1 のことである いえる。多くの職員はまじめであり 特に、新人のワ 1 カーをさすが、すべある こナ・い亠め当、、」 「 : : : しなくてはならない」とい、つ呪 てのワ 1 カ 1 かス 1 1 バイジーであ武井麻子は、看護と感情労働につい るともい、んる て論究している ( 『感情と看護ー人と縛があるのではないかと感じてしま う。この「 : : 」には「共感をもって そして、管理職クラスの人も管理運のかかわりを職業とすることの意味』 営上のアドバイスを必要とすることも医学書院、 2001 年など ) 。職業上、支援」「誠実に支援」「真摯に ( 向き合 う ) 」などの言葉が入る。しかし、 生じるであろう。経験豊富な管理職感情のコントロ 1 ルが不可欠な職業を もっと肩の荷を下ろして、業務をこな ハイサ 1 ) からのアドバイ「感情労働」とされるが、介護・福祉 ス ( 管理的機能 ) をもらうことで成長の世界も感情労働のひとつである。職していってもよいのではないかこの していくことかできる。この占 ~ から、 員が相対する人たちは、主に子ども、柔軟な思考や支援姿勢への転換 ( 気づ ービジョンは欠 き ) のためにもスー ーバイシーでもあると障害のある人、高齢者などである。も 管理職はス 1 かせないと考えている いえる ちろん、地域住民も含まれる彼らは また、専門職をめざす実習生 ( 学生 ) 一人ひとり、感情をもっている。職員 現場で活かすために もスー パ 1 ハイジ 1 である。実習生に側からの言葉がけで「やさしさ「思 いやり」のある一一一口葉が返ってくること業務上、職員は利用者や家族との円 とっては、実習先の実習指導者と実習 ばかりではない。知的障害や認知症の滑なコミュニケーションか図れなかっ ハ 1 ハイサーとなる 担当の教員がス 1 人への支援では、職員に対して暴言やたり、対応上困難な場面に直面したり 1 ハイサ 1 ひとり・スー September 2016
論文Ⅳ 4 祉 ければ、傷ついた部下をケアするどこ 福祉労働のやりかいを魅力とし、人取り扱、つ事例検討に終始することも少 福 ろか上司の一一一〔葉が一一重の傷つきにさらの役に立ちたいと思って入職した職員なくないこのようななかで福祉労働 してしまうのである の背景には、ひとりの人間として大切者は、感情を感じてはならないことを にされ、貢献したいという欲求があ学習し、自己の感情にふたをし、感情 感情労働には、雇用者が労働者の感 情活動を支配するために研修や管理体る。利用者から「ありがとう」と言わの対処法を身につけることなく再び現 場に出ていくのである。福祉労働者は、 制を施す責任がある。このことは、現れることかやりがいだと感じるのは、 1 ビジョン 福祉労働者が自分の存在を認められた奥底に追いやられた感情によって感情 行の福祉労働にあるス 1 システムによって補完することが理想 と実感するからであり、自分の存在価まひに陥り、ある瞬間に限界になった 的だと考える。職員のケアとは心の傷値を確認できる場面だからであるまストレスが最終擎星口を鳴らすのである つきのみをいうのではなく、業務遂行 た、利用者から感謝の念を言葉にして志のあった者が福祉労働に見切りをつ もら、つことによって、他者に貢献でき けて辞めていく人を大切にするはず スキルについても対象であり、管理・ 監督者によるラインケアとしてシステた自分を確認するのである の福祉が、福祉労働者が大切にされな い現場となってはならないのだ。 ム化しなければならないところか、 しかし、福祉労働の現実はそのよ、つ このことは、方的にスー 1 ビジョンか組織システムとしな理想的な場面の連続ではない。利用 て機能している職場は多いとはいえ者や家族から怒りを向けられ、現場でサーの能力を責めるわけにもいかず、 主任ケアマネシャーの人数を増やすだ す、上司はスー 1 ビジョンをやっての傷つきや職場での人間関係によって、 いるつもりでも、部下は上司に怒られ入職時の動機が崩されていく現場でけの介護報酬加算の問題や、人手不足 の福祉現場にあっては、何らリーダ 1 たり説教されたりしているように感じ傷ついた職員の精神的支援がスー てしま、つスー ービジョンに対して嫌ビジョンのなかで展開されれば申し分教育訓練もなされぬまま、経験年数の ないのだが、 みで望まぬリーダーになっている現実 それだけの能力をスー 悪感をもっことも珍しくないスー ハイサーか身につけていなければ、感も問わなければならない ーハイサーの力量か問われるのがラ リーターかトレーニングを受け、一量 インケアなのだ。 情は個人的なものとされ、事実のみを September 2016
ほんだな 民意を大切にすることを過去から ( 福島淑彦 ) 、安全保障政策 ( 吉武祉 現在に至るまでの努力の蓄積とし信彦 ) 、スウェーデン・モデルに関 月 書を手にした時の感情・ 本書は、岡澤憲芙、斉藤弥生て、生活に関わるすべての領域でしては、岡澤、斉藤が全体の特徴 おもしろそう、わかりやすという著名なスウェーデン研究者こだわるその精神が、 oaoo 年もを、それぞれの時代背景を踏まえ そう。そして読み終えた時の感動の編集による、各シャンルの第一の間戦争を行わず国際国家としてて、清水由賀、秋朝礼恵がわかり : 正直な論調し こ、安心して納得人者である 囲 5 間歳代の研究者の位置を築きあげたといえよう。 やすくその本質を論じている。評 し理解できた気分。そして日本のチームによる研究成果であり、統 女性環境 ( 木下淑恵 ) 、高齢者者としては、「仕事も宀豕庭・子育て 現状について考え問いかけ、将来一感のある生き生きとした出来栄環境 ( 斉藤 ) 、在住外国人環境 ( 清も」楽しみ、責任をもっ社会構築 を思一つエネルギーを得た感じ。 えである。それぞれの筆者は、現水由賀 ) 、子ども・子育て環境 ( 吉や政治への女性の参加、税制に興 本書は、単にスウェーデンの政地大学への留学経験や、毎年現地岡洋子・佐藤桃子 ) 、障害者環境味をもった。市民として、社会福 治、経済、社会政策や女性・高齢に赴き収集した最新情報をもと ( 是永かな子 ) 、経済・福祉思想祉関係者として、研究者としてす 者、障害者などの諸課題解決のあに、スウェーデン・モデルの今と ( 藤田菜々子 ) 、税制と企業活動べての人の必読書である りようについて、説明し論じたもして描いている 評者上野谷加代子 ( 同志社大学社会学部教授 ) のではない。人々が生活していく この種の書物によくありかち 戦 うえで必要不可欠な「国際競争力な、「スウェーデンはすばらしい を維持しながら、成長経済と普遍よい国だ」という前提で書かれた 主義福祉を同時に追求するスものではなく、包括的なエビデン レ デ ウェーデン型デモクラシー」「したスに基づき、批判的かっ正直に描一ア ン モ たかな外交」「しろうと主義」、そかれているところが、結果としてモ ョ ル ン 編 して「参加」「公開」「影響力」「自スウェーデン・モデルの素敵さを デ 円 立と自律の市民意識」 ( 岡澤 ) に見明確に伝えている。かの国は好奇アリ 3 0 藤 ー斉十一る 2 ' られるキー概念が「スウェーデ心の強い社会実験を好む、合意形 ウ 、流体 ン・モデル」として、特徴的なさ成での問題解決型の国家だと評価ウ、憲「 できよう。ポピュリスムではない まざまな領域で展開されている ス一谷定 0 グロっヾリゼーション・揺らぎ・挑戦 岡澤憲芙 斉藤弥生 : 、 0 0 いみ、青慫を曩「み料 0 0 彩流社
000 000 00 My 0 に % My し務 e 中学生の頃です。お母さんが面会に のままで生きていこ、つと思いました。 お母さんとは時々会っていたの ? やってきて。 小学生の頃は、 1 年に 1 、 2 回会っ 小学生の頃だったら、まだ、純粋だっ お父さんは僕が生まれる前にどこていました。運動会とか行事の時です。たので、お母さんともっと仲よくなっ かに行ってしまったそうです。お母さあと、休みの日に来て面会室で話したていたかもしれませんし、仲よくなり んも持病があったりして、生活が不安 りもしました。中学生になってからは たいと思っていたかもしれません。で 定で、親戚のすすめで学園に来たよ、つ面会が 1 回と、僕にはお姉さんかいる も、中学生になって自我が芽生え、感 です。お母さんは自分のことだけで精など、家族のことをいろいろ教えに来覚が変わったのだと思います。 お父さんのことは、よくわかりま 杯だったらしく、僕の面倒まで見るてくれたのが 1 回です。でも、「お姉 ことができなかったと考えています。 さんがいるのか」、そ、つ思った程度で、 せん。ただ、小学生の頃に名前は聞い 僕はそのように解釈し、納得していま家族に対してそれ以上の期待感や興味 たような気かします。でもまったく覚 す。 はなかったですね。お母さんのことも えていないので、名前くらいはいっか 含め 調べてみてもいいかなと思っています 中学生の時の面会では他人行儀な たとえわかったとしても、それ以上の 感じで、話していて「距離ができてし興味はもたないと思います まっている」と思いました。学園の友 達のなかには、家族との交流があったお母さんは今どうしているの ? り、時々家に帰ったりする子もいまし 昨年亡くなったそうです。小学生 、そんな子を見ていても、うらやの頃は一緒に遊んだ記憶が少しあるの ましいという感情はもちませんでした。 ですが、一緒に過ごした時間がほとん 特にあこがれもなければ、否定的な思 どなかったので、よい思い出もなけれ いもない。「来たから会う」それだけ ば、嫌な思い出もありません です。拒否もしませんし、期待もしま 亡くなったと聞いた時も、特に感 せん 情は動かなかったですね。その日もい つも通り、時間は過ぎていきました。 ここまで来たし、自分の人生、こ 関口則好 乳児の頃から現在まで、大規模な施設 ( 学園 ) で生活し、学園から高等専門学 校に通っている。ひとり親家庭で、母の 養育困難を理由に施設を利用することに なる。姉もいるが、別の施設で生活して いた。 1 年前に母も亡くなり、卒園後は、 ひとりで生きていく覚悟を決めている。 83 = 月刊福祉 September 201 い , =
MonthIy Welfare 2016 CONTENTS IO 人を育てる職場づくり 10 特集の視点 社会福祉法人松渓会理事長、「月刊福祉』編集委員武居敏 12 座談会 福祉で働く人を増やす 東京国際大学人間社会学部准教授村井美紀 社会福祉法人クムレ児童発達支援センター倉敷学園児童発達支援管理責任者篠原みゆき 同朋学園キャリア支援センターセンター長横井晃弘 社会福祉法人松渓会理事長武居敏 [ 進行兼 ] 福祉サービスを担う人材に必要な基本理念と倫理 20 論文 I 和洋女子大学学長岸田宏司 チームリーダーに求められるリーダーシップとは一福祉のプロとしての意識と使命 26 論文Ⅱ 日本女子大学人間社会学部教授 久田則夫 32 論文Ⅲ スーパービジョンを現場で活かす一職員育成につなげるために 神戸学院大学総合リハヒリテーション学部教授 相澤譲治 感情労働の視点から福祉で働くことを考える一感情コントロールの重要性 38 論文Ⅳ 昭和女子大学人間社会学部准教授 吉田輝美 SEPTEMBER カバーイラストレーション / 国分チェミ⑥ ーグラビア 1 グラフ 21 社会福祉法人聖明福祉協会聖明園曙荘 8 社協キャラクター図鑑尼崎市社会福祉協議会 連載 44 ウォッチング 2016 宗次德二さん ( カレーハウス Coco 壱番屋創業者、特定非営利活動法人イエロー・エンジェル理事長 ) 山縣文治 82 MY VOice, MY Life 社会的養護当事者の語り 鎌田苑子 88 各国からの風 論点・社会福祉 菊地吉信 50 わが国における異世代ホームシェア事業展開の可能性 相馬直子 52 ダブルケア ( ケアの複合化 ) を考える 実践 ! ! マネジメント講座 平松和子 55 労務管理を朗務管理に ! 平田直之 58 キャッチアップ社会福祉法人経営 山梨県◎社会福祉法人ひとふさの葡萄 61 挑戦 ! 商品開発 人と人をつなく実践 福岡県◎社会福祉法人周防学園 66 実践 1 それぞれが活躍できる場をつくる 福島県◎ KAKE COMI 70 実践 2 子どもたちに、食べて学べる心地よい居場所を 74 実践 3 学校に行けない子どもたちが多様に学び、多様に育つ場所 神奈川県◎特定非営利活動法人フリースペースたまりば 山梨県◎北杜市社会福祉協議会 78 実践 4 つながりを地域に広ける介護予防とデイケア 武田康男 64 ひと時間皆既日食の旅 龍谷大学短期大学部社会福祉学科阪ロ春彦ゼミ 86 研究室探訪 団士郎 90 木陰の物語 松下東子 94 今月のキーワード 54 情報 SQUARE 96 TOP ℃ S ほんだな「スウェーデン・モデル」 100 Voice 1 01 102 インフォメーション 次号予告 104 写真撮影 / 藤田政明 ( 1 ~ 7 、 12 ~ 19 、 44 ~ 49 )