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検索対象: 本の雑誌 2016年12月号
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1. 本の雑誌 2016年12月号

・今目本の雑に遊びに来た人 ! ① 読者の石川洋恵さん。なん と助つ人アルバイトの鈴木読者の中武照美さん。青土社の榎本さん。 さんと大学の同級生でした。娘のところに遊びにお久しぶりです ! 来ました。 奇遇 ! 中興の祖高野さん。「謎の独 立国家ソマリランド』 1 0 刷 達成、ヤッター ! 東洋経済新報永濱詩 朗さん。古書山たか し「怪書探訪』すご いですよ。 竹本さん、そしてダイ八ン書房 の山ノ上さん。長崎尚志「パイ ルドライバー」よろしく ! 小山カ也さん。「古本 屋ツアー・イン・京阪 神」好評発売中 ! 丸善津田沼店の沢田 史郎さん。これから 文藝賞に。 ランデー人り。ちなみにこれが最初のお沢や福岡でのイベントにはたくさんの方 正月準備でもあります。イタリアは虫のが来てくださいました。本当にどうもあ 大量発生で全滅だそうですが日本とフラりがとうございます ・円堂都司昭龜 ) ンスは粒も大きくて当たり年。愉しみた いと思います。 今号で私の新刊ガイドは最終回。一一年 間、ありがとうございました。 ・山岸真 ) 合作別名義を別にすると一一十一一年ぶり ・大森望 ( 鮖 ) Ⅱ月にはハヤカワ文庫から、・ハリ のマイクル・ビショップの新作長篇 ( ャ ングアダルト ) を原書で読んだら、未訳ントン・—・・ヘイリーの日本オリジナル 作品を読みかえしたい衝動に駆られてし短編集「ゴッド・ガン」が出ます ( 中村 まった ( で、とりあえず長篇を一冊電子融と共訳 ) 。 ・西村賢太行 ) 書籍で読んだ ) 。 長篇の連載を、「文學界」の十一一月号 ・酒井順子 ( ) Ⅱ月に発売の日本文学全集 7 ( 河出書から始めます。 ・宇田川拓也 ( ) 房新社 ) で、高橋源一郎訳「方丈記」、 内田樹訳「徒然草」とともに収録される原作・平山夢明、監督・亀井亨、映画 『無垢の祈り』を観る。いじめと虐待で 「枕草子」の現代語訳を担当しました。 絶望的な日々を送る少女・フミが連続殺 ・沢田史郎 ( ) 今年も読みたい本の半分も読めなかつ人鬼に救いを求め、最後に叫ぶ悲痛な たけど、これを見落とさなくてョカッタ″祈り〃。こういう邦画をもっと観たいん という本にも幾つも出逢えたから、 だ、俺はー 亠まあ - 艮しとしょ - つ。 ・服部文祥 ( ) 狩猟解禁 ! だからってわけではない ・穂村弘 ( ) 「穂村弘の、こんなところで。」のですが、月刊「新潮」に狩猟系の創作を <*<<) という対談集が出ました。書きました。立ち読みしてみてください 「はじめての短歌』という本が河出文庫に・栁下恭平 ( ) ドラマの監修をやっています。テレピ なりました。よろしくお願いいたします というのは派手ですね。ドラマというだ ・都甲幸冶石 ) 「世界の 8 大文学賞』 ( 立東舎 ) おかげけあって、リアルな世界より誇張されて さまで好評をいただいております。各種いる部分や、あえてわかっていて目をつ メディアに書評も載せていただき、下北ぶる部分もあります。そんなときに、思

2. 本の雑誌 2016年12月号

キムインスク あちゃんみたいに、日本語じよ金仁淑『アンニョン、エレナ』母親が再婚後に生んだ娘が書いいなり』など、現代日本で見え うずじゃない。。 こめんね。縁 ( 和田景子訳 / 書肆侃侃房一六た、母親の死を告げる手紙だつないことになっているものに着 〇〇円 ) に収録された短編を読た。ところどころに挟み込まれ目する作品を発表し続ける内澤 珠、ごめんね」。 日本統治時代に日本語で教育むと、現代韓国文学の想像力のる詩的な表現が、直接読者の心旬子の最新刊が『漂うままに島 に着き』 ( 朝日新聞出版一五〇 を受け、いつになっても中国語中には、常にこことは違う場所に刺さってくる が上手にならない祖母。日本でがあるとわかる。表題作「アン崩壊した家庭で惨めに暮らす〇円 ) だ。乳ガン治療で狭い場 苦しむ母と娘。誰もが日本と中ニョン、エレナ」で主人公の女人々と、海外に渡り、望郷の念所、薄暗い場所がだめになった 国、あるいは台湾の境界線上で性は、船乗りだった父親が世界に苦しみながら働く人々。こう彼女がものを捨てまくる経緯は 苦しんでいる。だからこそ麦生中の港で作ったかもしれない娘した離散の歴史は、強大な帝国、『捨てる女』にも出てきた。も の存在は貴重だ。日本人の彼は「エレナ」たちを思いながら暮元に朝鮮の貴族の女性が連れ去のを捨て、ついでに夫も捨てた 自分なりに中国語を覚え、縁珠らす。「息ーー悪夢、で主人公られていた昔から変わらない。彼女が次に捨てたのは東京であ と付き合い、彼女の母親の作っの双子の兄たちは、移住先のア「国外の者たちに踏みにじられ、る。「いつのまにか地方よりも 娘たちは外部から来た者たちに都会が、東京が、ディストピア たギョーザを美味そうに頬張メリカで韓国語を忘れていく。 る。「日本人のくせに、どうし「チョ・ドンオク、。ハピアンヌ」髪の毛をつかまれ、引きずられになってしまったのだと思う」 て中国語をしやべるの ? 」と縁の主人公の母親は離婚し、娘をるようにして連れていかれる」。という彼女は、希望の持てない 珠に問いかけられても、彼女と韓国に残してプラジルに渡る。そしてもちろんここには、一一〇都会を捨て、単身小豆島に移住 一ヶ月連絡が取れなくなってある日、主人公のもとに、ポル世紀前半の日本との不幸な関係する。そして地一兀の人々やャギ も、決して関係を絶とうとはしトガル語の手紙が届く。それはも含まれるだろう。「その日」に支えられた快適ライフを手に の主人公である総理は、人々を人れるのだ。島では季節と天気 ない。家族も含めた縁珠のすべ 思うあまり、自分の国を日本にと干潮時刻が何より大事、とい てを受けいれようとする麦生の 明け渡してしまう。こうした作うのがすごい今やインターネ 前に、縁珠も確実に変わってい 品が日本語で読めることの意義ットと»-200 があれば、日本中 麦生の不器用な優しさや、 どこにいても仕事ができること は大きい 縁珠の母親の明るさに、僕は微 『世界屠畜紀行』や『身体のいがよく分かる名著だ かだが確実な希望を感じた。 めったくたガイド 新 装、を 宮 紀

3. 本の雑誌 2016年12月号

日本とその外の境界はどこに いるお家に行かせてください」 いる中国語と台湾語と日本語がも奇妙なほど丁寧に明瞭に話 あるのか。日本とはそもそも自と訴える。しかも台湾人である混ざった言語は何語でもないのす。そして標準語である北京方 明な存在なのか。温又柔『来福主人公、縁珠の前で高らかに宣か、と。だが縁珠の心の動きに言のみを正しいと決め付け、中 の家』 ( 白水″ブックス一四〇言するのゼ。「最初のスティ先吉川は気づかない。 , 彼女の無神国語の他のあり方を許容せず、 〇円 ) を読むと、日本語話者での中国人たちの訛りときたら、経さは、日本人やアメリカ人が縁珠の反り舌音は弱すぎる、と ある我々はこの問いを喉元に突本当にひどかった : : : あんなそれぞれの言語を所有している指摘するのだ。日本人がネイテ きつけられる。二〇一一年に刊の、英語じゃない」。 のは当たり前、という信念からイヴの発音をためらいもなく正 行され、しばらくは人手困難に もちろん吉川の考え方は、日来るものだ。しかしながら移民す滑稽さよ。ここには相手から なっていた名作が、星野智幸の本では至って普通のものだ。おの国アメリカでは、むしろ様々学ぼうという謙虚さはない。ま 解説が付いた形で復刊されたのそらく彼女には、自分が人種差に訛った英語のほうが当たり前してや大林は、複数の言語の混 はめでたい。なにしろ本書の扱別をしている、なんて意識はなだし、普通のアメリカ人なんて在など受け人れるはずもない っている主題は現代日本を深くいだろう。けれどもその一一一一口葉をどこにもいない。 幼稚園時代に台湾から日本に えぐっているのだから。 聞いた縁珠は追い詰められてしそうした考え方を持つもう一移住し、初めて覚えた文字も日 収録された中編「好去好来歌」まう。自分は普通の存在ではな人が、大学の中国語の教師、大本語である縁珠は、知らず知ら で対立しているのは、日本や中いのか、そして家で親が話して林である。彼は日本語も中国語ずのうちにこうした日本人の思 国といった均一な存在を自明視 志考法を内面化してしまう。そし 来福の - 第 する思考法と、それらは様々に めったくた 第真て親を否定し、自分を切り刻む ガイド 人り交じるものだという思考法 片のだ。友達の前で親が話すのを 家 である。均一的な思考法を持っ 、光恥じ、ついには母親に「わたし 福 た人物とは、たとえばサンフラ と大事な話がしたいのなら、ち 来 中 都甲幸治 ンシスコにホームスティに行っ 田ゃんと日本語で話してよ ! 」と た吉川舞だ。彼女は最初、中国 まで叫んでしまう。だからこそ 鋭い問いを突きつける 人家庭にスティすることになる 母親の言葉は悲しい。「ママふ 品又柔『来福の家 のだが「ふつうのアメリカ人の、冫 つうじゃない、ごめんね。おば 新

4. 本の雑誌 2016年12月号

相克は、読む者の心を掻き揺る がさずには措かない。 また壬生義士に関しては、浅 田次郎の新撰組一一一部作『壬生義 士伝』『輪違屋糸里』『一刀斎夢 録』 ( いずれも文春文庫 ) をは じめ数多の作品ひしめくが、ひ 司馬遼太郎は『この国のかたち』 ( 文春文庫 ) の中で、日本とっと言われれば迷うことなく、司馬遼太郎『燃えよ剣』 ( 新 人を日本人たらしめる特性のキーワードとして、鎌倉武士が誇潮文庫 ) を採る。箱館五稜郭に籠る土方歳三ほど、落日のタ陽 った「名こそ惜しけれ」の精神を挙げている。日本武士道の原が似合う男は日本史史上におるまい、と勝手に思っている。「名 点とも言える「名こそ惜しけれ」は、さまざまな時代の転換点こそ惜しけれの精神を、これほど体現した剣士も珍しい。ま で、多くの義人、義士を生んできた。 さに、燃えよ、燃え尽きょーー名刀・和泉守兼定 ! 義士とは、節義に厚い者を言う。人として正しい道を行うか さて、赤穂義士、壬生義士とくれば、当然、次は薩摩義士だ らこそ、また義を重んじるからこそ、往々にして敗者の側で、 これを世に、日本三大義士と言う ( 異論は認めない ) 。忠臣蔵 ひとえ 負けるとわかった戦に命を賭けるのである。日本人なら誰でもや新撰組に比べ知名度が低いのは、偏に、映像化が絡んでいな 知っている赤穂義士、壬生義士は、その最たるものと言ってい いせいだと、勝手に思っている。この史実を採り上げた作品自 体も極端に少なく、小説でいま読めるのは杉本苑子『孤愁の岸』 大佛次郎『赤穂浪士』 ( 新潮文庫 ) 、森村誠一『忠臣蔵』 ( 角 ( 講談社文庫 ) くらいだ。くどいが、忠臣蔵や新撰組と並ぶ三 川文庫他 ) 、池宮彰一郎『四十七人の刺客』 ( 角川文庫他 ) は赤大義士である。「敗者の美学」という観点からも、上記史実に 穂義士を描いた代表格だが、「敗者の美学」の切なさ、という いささかの劣るところもない、天晴れな偉業である。ゆえに、 一点のみから見れば、五味康祐『薄桜記』 ( 新潮文庫 ) に止め今回はこの薩摩義士に焦点を当て稿を進めることとする。 を刺す。旗本随一の遣い手と言われ、片腕を失ったのち吉良家きっかけは、宝暦三年 ( 一七五三年 ) 十二月一一十五日、幕府 の警護役に就いた丹下典膳と、同門のライバルでのち四十七士から薩摩藩に下された、四十字にも満たない台命であった。 に加わった堀部安兵衛ーー敵味方に分かれたこの二人の友情と ーー濃州、勢州、尾州川々御普請御手伝い仰せつけられ候間、 ・敗者の美学 薩摩義士の偉大な " 負け戦。を見よ , 茶木則雄 孤の尸 。〒 : ( 上第

5. 本の雑誌 2016年12月号

竜江に住む人は、商人だろうがホテルのにピンインを正確に覚えないと、発音はアがあり、頭の良い子は飛び級もある。課程 従業員だろうが、すべて「農村戸籍」であイマイになり、辞書も引くことができなの内容をきちんと習得させないまま進級さ る。もちろん彼女の父のように製鉄所が職 ピンインと九九ができない者はドシドせることこそ当人のためにならないという 場でも同じことだ。 シ落第させられる。落第も二年続くと、さのが、本筋かもしれない。ちなみに私は高 現在では都市への移動は比較的自由になすがに嫌気がさして小学校を中退してしま校の時に、学力不足と出席日数不足のため り、多くの農村労働者が都市で働くようにう。現在の都市部では落第は少なくなったに落第となった。 なった。だが、中国の戸籍制度は日本で暮らしいが、かって農村部で小中学生の中退「なんで都市戸籍が取れたの」ポプラの木 らす人には想像もっかないほど厳格で、都者が異常に多かったのは、子供が勉強でき陰でペンチに座って尋ねると、彼女はふつ 市での労働許可証を取得するためには、たる時間が少なかったからだろう。そのうえと笑って、黒竜江省の大まかな地図を尖っ くさんのことをクリアーしなければならな転校は認められていないので、何としてもた枝で地面に描いた フーチョン 進級するか、落第するしかない 「この呼中という町の高校に人学したの さらに都市で仕事を見つけ、家族と一緒日本では義務教育段 に移住しても、農村戸籍の子供は都市の小階で落第措置がおこな 中学校には人学が許可されない。子供だけわれることはほとんど 田舎の親戚に泣きついて預けるか、特別なない。「横並び意識」 入学金を払って地方出身者を受け人れる学の強い日本から中国の 校を探す 教育を見ると、唖然と 中国の初等教育はかなり厳しいものがあすることが多い。だ り、小中学校で落第になる者もいると いが、海外の学校教育を う。まず小学校三年生までに、ピンインと見ると、「落第」が当 呼ばれる中国式ローマ字表記と音の高低をたり前のことになる。 中国、フランス、ドイ 表す声調記号を習得しなくてはならない。 これは中国語を学ぶうえでもっとも基本とツ、ハンガリーなどは、 されるもので、くりかえし丸暗記するよう月 、学校一年生から留年 ぎーン ) を冫 126

6. 本の雑誌 2016年12月号

正木香子 ー安田ママ 月の下のカウンター 文字の食卓 人目の出産 居酒屋オーソリティが綴る、町、酒、故郷の古「ママ、赤ちゃんってかわいいね ! 」幸せと勇気消えゆく〈写植書体〉に万感の想いをこめた文字 き記憶 定価 ( 本体円 + 税 ) の出産 & 子育て記定価 ( 本体 1400 円 + 税 ) と言葉を味わう一冊定価 ( 本体 1800 円 + 税 ) 大竹聡 江弘毅 黒田信一 今夜もイエーイ カフェ・ビエンチャン大作戦ミーツへの道「街的雑誌」の時代 「酒とつまみ」の酔いどれ編集長が語り尽くす 「 Meets Regional 」を作った名物編集人が語る 未知の世界・ラオスでカフェを開業 ! 夢とロ 爆笑ェッセイ集定価 ( 本体 1600 円 + 税 ) マンの大勝負 定価 ( 本体 1600 円 + 税 ) 「街の」本づくり定価 ( 本体円 + 税 ) 下町酒場ぶらりぶらり 津野海太郎 入江敦彦 / ー桁を乗り越え、爆笑ときどきしん みりの酒場 : セイ定価 ( 本体 168 円 + 税 ) ベストセラーなんかこわくないおかしな時代黒赤ント、の日々 ″売れた本 ~ は面白いペストセラー嫌いのため日本のサプカルチャーを誕生させた辣腕編集者 のブックガイド 定価 ( 本体 1800 円 + 税 ) が綴る時代の記憶定価 ( 本体 eanoo 円 + 税 ) ギャンプル酒放浪記 負けて飲む酒はうまい関東近郊公営ギャン プル & 酒場めぐり定価 ( 本体 r-ooo 円 + 税 ) 主月木るえか 児玉憲宗 ー青木るえかの女性自身尾道坂道書店事件簿 " 史上最弱。主婦ェッセイストが暴筆する愛と妄瀬戸内・坂の町に書店あり、書店員あり。車い シャーロック・ホームズ互平鏡 想の下半身ェッセイ定価 ( 本体 1500 円 + 税 ) すで奮闘する日々定価 ( 本体 1600 円 + 税 ) 珍品奇品のホームズで遊びたおす書き下ろし痛 快古本エッセイ ! 定価 ( 本体—noo 円 + 税 ) 田口久美子 近代ナリコ 書店風雲録 古本買いまくり漫遊記女子と作文 世界の果てでも本を買う古本・ハ力の旅歩き。イ「書く」女性たちの切実な声を共感をもって甦池袋に個性派書店「リプロ」あり。つわもの書 本 ラスト・喜国雅彦定価 ( 本体 1800 円十税 ) らせる読書ェッセイ定価 ( 本体 1500 円十税 ) 店員たちの物語定価 ( 本体 1600 円 + 税 ) の 広瀬洋一 佐々木喜洋 誌新保博久 西荻窪の古本屋さん ミステリ編集道 の 草創期から現代まで、人の証言でたどる戦後デジタル / ポータブルオーディオ入門の決定版本好きたちから熱い支持を集める古書「音羽館」 定価 ( 本体 1500 円 + 税 ) 本 ミステリ出版史定価 ( 本体 euooo 円 + 税 ) レピュー日記 定価 ( 本体 2500 円 + 税 ) の日々と仕事 ☆書店で見かけない場合は直接当社に現金書留または郵便振替 ( 00150 ・ 3 ・ 50378 ) にてお申込み下さい。 ( 送料当社負担 )

7. 本の雑誌 2016年12月号

歴史小説に学べ ! ・座談会 歴史小説年表を作ろう ! ◎青木逸美・内田剛・浜本茂 浜歴史小説で年表を作ろうとせんか。『坂の上の雲』とか浜わかりました。では、幕末内縄文時代ですよね。 いう企画ですが、青木さんが叩青日露戦争までいくと現在とまでということで。古代からい青紀元前七世紀。ピナイ村に きムロとい一つカ : ほぼ完璧な年表地続きになっちゃう感じがあるきましよう。 住む一家の物語なんですよね。 を作ってくれまして。 でしよう。私は歴史小説はちょ内いきなり荻原浩『二千七百一応文化とか出てくるけど、も 内もう出来上がっちゃいましんまげ切ったらお終いって認識の夏と冬』ですよ ちろん全部想像の世界。 があるから。 青今のところ最古の時代を描内今、大森兄弟がその遥か前 たね ( 笑 ) 。 浜強いていえば近代はいりま内賛成です。侍がいるまで いた歴史小説と言われてます。三〇〇〇年という超古代を 〈特集〉 ☆藤原道長の摂政就任から一千年、徳川家康が没して四百年、幕府が 滅んでも日本は続く。歴史があって今があるのだ ! というわけで、歴 史小説で日本史年表を作る座談会から、関ヶ原に忠臣蔵、信長に龍馬 に新選組とが気になる歴史本ガイド、敗者の美学に司馬遼太郎 『峠』再読の衝撃、そしておじさん三人組の赤穂浪士凱旋コース案内 まで、歴史小説の醍醐味が満載。受験生にも超お役立ちの特集だあー 、、屶一フス

8. 本の雑誌 2016年12月号

男土方歳三がロにするからこそ、言葉が立のうしろ姿が、ページの奥から浮き上がっえる騒々しい青春が魅力爆発の長編だ。幕 ち上がり、物語として成り立つのだ。 てくる。日本を洗濯すると吹いた大法螺府を蹴飛ばし世界と渡りあう長州を画策し を、まっすぐになって実現しようとした爽たおのれの革命行動を、人生のどんちゃん 司馬遼太郎はさらに土方に語らせる 「ここへ来てから、一日すぎると、その一快さに元気をもらえる。熱くなる。たとえ騒ぎとうそぶき笑った若者。その革命が大 日を忘れるようにしている。過去はもう私老いても、青春を生き続ける男でありたい権力によってつぶされ、仲間たちが蒼白に にとって何の意味もない」 と思わせてくれる大傑作。これぞ青春小なり腰をぬかし逃げ出すなかにあっても、 みごとなまでにハ ードボイルドではある説。全八巻の大長編ではあるが、一気読みいっさい絶望はしない、それが信条といし 続け走り続けた若者である。片手には恋。 が、他者からみると独善である。滑稽ですは必至だ。 らある。しかしその独善と滑稽さを生き抜吉田松陰とその弟子高杉晋作を描いた片手には三味線。まるで革命というミュー ジカルを演じる舞台俳優か。司馬遼太郎 くカこそが青春ではあるまいかそんな青 は、その疾走の青春を魅力たつぶりに物語 春を抱え込んだまま箱館戦争の彼方に消え ってゆく。 た歳三の思いの力を、司馬遼太郎は千両役 者にあこがれる町娘のようなまなざしをも 高杉晋作が肺結核を病み命の灯を消した って描き出す。泣く。泣ける。 のは二十七歳の時だったという。辞世の句 が残された。 土方歳三の新選組に敵対していた若者た ちもまた、青春の独善と滑稽を抱え込んで『世に棲む日日』 ( 文春文庫 ) も外せない。 時代を生きた男たちだった。司馬遼太郎は司馬遼幕末三大青春小説とわたしが勝手におもしろきこともなき世を おもしろく かれら幕末の青春者たちを、土方を描いた命名したうちの一冊である。幕末の攘夷を ように、泥臭いまでの青春物語に仕立て上叫ぶ志士たちに大きな影響を与えた若き思 げてゆく。『竜馬がゆく』 ( 文春文庫 ) 。永想家吉田松陰と、女と戯れ三味線を手に唄幕末江戸に三大道場と称された剣道場が 遠の若者であり底抜けに前向きな坂本龍馬い踊りながら幕府転覆を企てた革命家高杉あったという。千葉、桃井、斎藤の三道場 晋作の物語。人を疑うことを知らない無垢なかでも千葉道場は、坂本龍馬、高杉晋作 像を日本人に決定づけた名作である。 いなど、有名無名の各藩志士たちが集い学ん 「いそがにやア、ならんぜよ、いそがにや」の思想家吉田松陰の潔白な青春も美し と唄うようにいいながら走りぬける龍馬が、なんといっても高杉晋作の狂躁とも思だ剣道場としてっとに有名だ。『北斗の人』 一司馬遼太郎 燃えよ剣ー デザイン・ 新潮社装幀室 129

9. 本の雑誌 2016年12月号

河西晃祐『大東亜共栄圏帝い対談となる。「住職にならなからだ。ラサを訪れる外人行者ルセロナ下部組織でメッ 国日本の南方体験』 ( 講談社選くても僧侶として活躍できる場に「チベット仏教の世界、密教シと共に汗を流していた元天才 書メチェ一八五〇円 ) 。研究者を用意する意思が教団にない の修行の階梯に触れていること少年たちのその後を描いたノン が一次資料から描きだすのは、 と南は断じる。来住はこう語が、『我執の増幅装置』のようフィクション。警察特殊部隊に 「大東亜共栄圏」の実相だ独る。「キリスト教では罪に対すに働いてしまっている」者がい在籍するというマルク ( 仮名 ) 立国であるタイは日本としたたる議論ほど突っこんだ議論が、 ると村上は感じる。この指摘はが夏の深夜、パルセロナの街路 かにつきあい、フィリピンは共悪についてはなされていないとオウム真理教へまっすぐ繋がで巨大なメルセデスから顔を出 和国としての矜持を崩さない。 感じます」。ルター派神学者デる。鳥葬は人間中心主義へのラしたメッシと久方ぶりの旧交を インド人義勇兵は日本軍の下部ィートリヒ・ポンヘッファーがディカルなアンチテーゼである暖めたというエピソードが、映 組織とされたことに憤り、共栄ヒトラー暗殺計画に関わったこという主張にも蒙を拓かれる想像として脳裏に鮮やかに再現さ いがした 圏から除外された満州国朝鮮移とに評価を与える来住と「殺し れた。著者は語る。「パルサは 民たちは、まず我々を独立させていい人とそうでない人を誰が『カンプノウの灯火メッシに人々の心に喜びをもたらしもす るべきだと憤慨する。「大東亜どうやって決めるのか」と反論なれなかった少年たち』 ( 豊福れば、奪いもする」。七月に刊 共栄圏構想そのものに当初からする南。幾つもの論争は、本質晋 / 洋泉社一五〇〇円 ) 。スペ行されていたのですが気付くの 異文化を理解しようとする意識的なものだからこそ、面白い イン在住サッカーライターが、 が遅れました。すみません。 が欠如していた」ことを出発点『チベット聖地の路地裏 神レみ、福立日 として、私たちはアジア戦後史八年のラサ滞在記ー』 ( 村上大 めったくた ガイド を語り始めなくてはならない。輔 / 法藏館二四〇〇円 ) 。こち 禅と福音仏教とキリスト教 らは生活の根本に仏教を据える 禅し , ) 福音 の対話』 ( 春秋社一九〇〇円 ) 。チベットの文化論。ただし南直 教と 青木大輔 曹洞宗の論客・南直哉と、多くの哉の考える仏教とはかなり異な 著書を持っ司祭・来住英俊。互る。呪術的要素が土着宗教から 禅僧と司祭の濃厚対談 いが奉じる宗教に興味を持つ者流人しているし、チベット人は 禅と福音』が面白いー 同士だから、必然的に内容の濃六道輪廻をリアルに感じている 新 南直 お併英修、 装丁・芦澤泰偉

10. 本の雑誌 2016年12月号

が敷かれた並行世界の現代日本稿。黙忌一郎は ( プルカニロ博 ン・サンズ』連作の 3 編は浅倉装丁・岩郷重力 + ・ ( たぶん 2010 年代前半 ) 。賢士のように ) 消え失せ、まった 久志訳を収録する。執筆順に読 み直してみると、時間ループも 治の研究者だった亡き母の遺言く別の作品に生まれ変わった。 小松左京ライプラリ監修の に従い、遺灰を携えて花巻に向 のやデスノートものの先駆的な ネコトピア かった歳の " ぼく。は、いっ『小松左京の猫理想郷』 ( 竹書房 短編もあり、パラードが奇想系 のまにか 1933 年 9 月四日二五〇〇円 ) は、小松左京の猫 の作家としても最初から達 ( 賢治の死の 2 日前 ) に転移しに関するエッセイ、小説、座談、 人だったことがよくわかる。な 漫画、イラスト、愛猫写真など ていることに気づく : お、全巻購人者にはオリジナル トート・ハッグの全プレあり 断のとき」「アンドーヴァーと『銀河鉄道の夜』第 4 次稿 ( 現を一冊に集めた猫オンリー本。 一方、ケイト・ウイルヘルムアンドロイド」 ( 以上、安田均行版 ) で消されたプルカニロ博次男の小松実盛が小松家歴代の 翼のジェニー』 ( 発行アトリエ訳 ) の 4 編で、残る短編 3 編 ( 増士をビッグプラザーに見立て、愛猫について小松とからめ サード / 発売書苑新社一一四〇〇田まもる、伊東麻紀訳 ) と、 1 テキスト改変の歴史と賢治をめながら綴る「一家のネコニ 円 ) ☆☆☆は、根強いファンの 00 頁近い巻末中編「エイプリぐる歴史の改変劇をアクロバテクル、がすばらしい。『復活の 多い著者の初の邦訳短編集 。ル・フールよ、いつまでも」 ( 尾ィックに重ね合わせる。自己犠日』の吉住の意外なモデル ( ? ) 年 5 間年発表の / ファンタ之上浩司訳 ) が本邦初訳。著者牲の精神を体制に都合よく利用が明らかに。 ジー全 8 編を収める ( 尾之上浩のマイナーポエットぶりがよくしようとする ( 物語の政治利用最後に、日本オリジナル 司編 ) 。年配読者にはたいへん出た 1 冊だが、若い読者には美を企む ) 勢力との戦いを描く、アンソロジー『ヴィジョンズ』 著者らしい野心作。年に《検 ( 大森望編 / 講談社一六〇〇円 ) 懐かしい表題作 ( 佐藤正明訳 ) 点が伝わりにくいかも は、ウイルヘルム作品としては山田正紀『カムバネルラ』 ( 創閲図書館黙忌一郎》シリーズは、飛浩隆の星雲賞受賞作「海 例外的に大甘の恋愛ファンタジ元日本叢書一八〇〇円 ) ☆の新作として〈ミステリーズの指」とそれに触発された木城 著者らしいのは、原書第一☆☆☆は、宮沢賢治と『銀河鉄道 ! 〉に 4 回掲載された「スワンゆきとの読切漫画「霧界」に、 短編集の表題作「一マイルもあの夜』の世界に正面から挑む本プック」が原型だが、ごく一部宮部みゆき、宮内悠介、円城塔、 る宇宙船」の皮肉な結末のほう格長編。小説の背景は、メ ( 首なし死体をめぐる本格ミス神林長平、長谷敏司の書き下ろ か。既訳はこの 2 編プラス「決ディア管理庁の厳しい思想統制テリ要素など ) を残して全面改しを加えた全 7 編を収録する。 めったくたガイド 新