物質量 - みる会図書館


検索対象: 化学熱力学中心の基礎物理化学
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1. 化学熱力学中心の基礎物理化学

″レ = nBRT ( 3.25 ) ここで〃は溶媒と溶液を接触させたときの浸透圧 , レは溶液の体積 , nB はその体積中に ファントホッフ 溶けている溶質の物質量 ( モル数 ) , は気体定数である . これを van't Ho の浸透圧の 法則という . また , この式は理想気体の状態式に酷似している . 溶質の容量モル濃度を CB とすると CB = nB/ レであるから , 式 ( 3.25 ) は 〃 = CBRT と書ける . この式に従って , 濃度の異なる溶液 1 と 2 の間に働く浸透圧川 2 は ( 3.26 ) 川 2 = (C2—Cl)RT こで CI , C2 は溶液 1 と溶液 2 の溶質の濃度である . 溶液 1dm3 ( 1 / ) 中に質量肥 B の溶質が溶けている場合の浸透圧は , 溶質のモル質量を MB とすると , = WB/MB だから , 式 ( 3.26 ) は次のようになる . ( 3.27 ) ⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ 例題 3.8 1 dm 3 中に溶質 7.2 g を含む溶液がある . この溶液が 25 ℃で示す浸透圧は , めるのに浸透圧はよく使われる . 子に対して完全な半透膜 ( 溶質を絶対通さない膜 ) として働くので , 高分子の分子量を求 この式から溶質の分子量を求めることができる . 高分子は分子が大きく , 多くの膜が高分 3.57X102Pa であった . この物質の分子量はいくらか . 解単位をそろえて , 式 ( 3.27 ) にデータを代入して , モル質量は ( 8.31 J K-I m01 ー 1X298 K)(7.2 kgm-3) = 50 kg mol- 3 . 57 x 102 Pa したがって , 分子量は 5.0 x 104 である . = 5.0 x 104 g mo に 注意この問題では「分子量はいくらか」と問うている . 分子量とは , 1 mol あたりの質量をグラ ム単位で求めた値に , gm 。 1 ー 1 の単位をつけない無次元量 ( 相対値 ) としたものであるので , 分 子量は 5.0 x 104 であると答えている . ただし , この「分子量」ということばは使わないように なりつつある . かわりにグラム単位で表した「モル質量 ( gmo に 1 ) 」が化学で使われはじめた . . 8 束ー性 決める関数が , 成分の種類に依存する部分と組成 ( 分子の数 ) に依存する部分に分けて考 という . 物質系の性質に束一性があることは , 物質系およびそれを構成する成分の性質を 溶質の種類に無関係で溶液の組成のみに依存する性質を束ー的性質 (colligative pr 叩 erty) 溶質の種類に関係なく成立する . 浸透圧の場合 , 溶媒の性質にも依存しない . このように ( 3.22 ) , ( 3.19 ) , を定義する式 ( 3.15 ) , ( 3.26 ) は , 溶質の種類に関する係数がなくて , 変数により決まる . 希薄溶液の性質の中で , 蒸気圧降下 , 沸点上昇 , 凝固点降下 , 浸透圧 溶液の性質は , その溶液を構成している成分の種類と , 温度や組成など状態を指定する 48 第 3 章混 ム 物

2. 化学熱力学中心の基礎物理化学

序章 い物質と物性 基礎事項 物質 (substance) は多くの分子 (molecule) から構成されている . その分子を構成する 基本単位を原子 (atom) といい , 原子の種類を元素 (element) と呼ぶ . 元素はおよそ 107 種類ほどある . ただ 1 種類の元素からできている物質を単体 (simplesubstance) といい , 同じ元素からできているがその構造が異なる単体を互いに同素体 ( a11 。 tr 叩 e ) と呼ぶ . ま た 2 種類以上の元素からなる物質を化合物 (compound) という . 化学は物質の構造 , 性質およびその変化について考察する . 考察の対象とする巨視的な 物質の塊は系 (system) と呼ばれ , 対象外の世界 ( 外界 ) と境界によって区別される . 系の どの部分をとっても性質 ( 温度 , 圧力 , 密度 , 濃度など ) が一様なときこれを均一系 ( h 。 m 。 - geneous system) と呼び , そうでないものを不均一系 (heterogeneous system) と呼ぶ . 不 均一系はいくっかの均一な部分の集合体である . 系の中で明確な境界により区別される均 ーな部分を相 (phase) と呼ぶので , 不均一系は 2 つ以上の相から成り立っている . 相には その態様により , 気相 , 液相 , 固相の 3 態の相がある . また , 相が 1 種類の物質からなる か , 2 種類以上の物質からなるかで , 純相 , 溶相と呼ばれる . 溶相 (solution) が液体のと きを溶液といい , 固体のときを固溶体 (solid solution) という . 系の状態はそれを構成する物質の種類や物理量により決まる . その物理量の中で , モル 数や体積のように物質の分量で決まるものを示量性量といい , 温度 , 圧力 , 濃度のように 物質の分量によらないものを示強性量という . 原子量 , 分子量 ◆ 原子の相対的質量 ( 質量比 ) は原子量 (atomic weight) と定義されている . 現在 , 炭素の 同位体 12C の原子の質量を基準にとり , その値を 12 として得られる質量比を , 各元素の原 子量という . 同じ基準で , 分子量 (molecular weight) は分子 1 個の質量比になり , 分子を 構成する原子の原子量の和で表される . 固体の食塩のような物質は分子と呼べるような明 確な境界をもたない . その場合 , 物質構成の最小単位 ( 食塩では NaCI) の質量比を分子量 のかわりに用いるが , この場合は式量 (formulaweight) という . 分子量に等しいだけのグ ラム単位の質量をその物質の 1 グラム分子または 1 モル ( m 。 le ) という . 1 モルの物質量の 2 原子量 , 分子量 1

3. 化学熱力学中心の基礎物理化学

性質のタイプ 質量関連のもの P- レー T 関連 その他 熱エネルギー関連 表 6 ー 1 工ンタルピー 内部エネルギー 熱容量 (J K-I) など ) 体積 ( cm3, dm3, m 物質量 (mol) 質量 (kg, g) 示量性 (kJ, kcal など ) 自由エネルギー (J K-I, cal K-I) 工ントロピー CkJ, kcal など ) 系の性質のいろいろ 示強性 密度 (g cm-3, kg dm-3) 溶質の濃度 (mol dm-3, m01 kg-l など ) 比体積 (cm3 g-l, dm3 kg-l) 部分モル体積 (cm3 m 。 1 ー 1 ) 圧力 (atm, Pa, mmHg ( To な ) など ) 温度 (), ℃ ) 比熱 (J K-I g-l, cal K-I g-l など ) 部分モル内部エネルギー (J m 。 1 ー 1 部分モルエンタルピー 部分モルエントロピー ( JK 化学ポテンシャル ( kJmol ー 誘電率 , 屈折率 , 粘度 m01 ー cal m01 ー 1 ) cal K-I m01 ー 1 ) kcal m01 ー 1 ) cm3 ずつ入っている水を一緒にすると 300 cm3 となるが , そのとき体積という状態変数は 加成性 (additive) であるという . 加成性のある変数は示量性 (extensive) の変数である . 質量 (mass) や物質量 ( この名称はモル数 , mole number, と呼ばれていた ) なども示量 こで注意しなければならないのは , 1 cm3 あたりの質量 変数の代表格である . ただし ( 密度 , density) や 1 m01 あたりの体積 ( モル体積 , molar volume) のような量は示強性で あることである . 例題 6.1 次の変数 ( 性質 ) は示強性であるか , 示量性であるか . ( a) ある塩化ナトリウム水溶液中に含まれる溶質の物質量 ( b ) 上の塩化ナトリウム水溶液の濃度 解 ( a ) 示量性 , ( b ) 示強性 ある系の変数すなわち性質が特定の値をとっているとき , その系は「定まった状態 (definedstate) にある」といわれる . なま温かいジュースに入れたばかりの氷のかたまり を系として見るとき , 氷は融解しつつある最中であるので , 定まった状態とは考えない . 1 気圧 , 37 ℃にある生理食塩水 ( 0.15m01dm ー 3 ) は定まった状態にある . もし系の諸性質 が時間的に変化せず , 新たに物質やエネルギーの増減がなければ , その系の状態は「熱カ 学的平衡 (thermodynamic equilibrium) にある」という . 系に物質またはエネルギーの流入・流出が継続しているが , 諸性質に時間的な変化がな く一定の場合は , 系は「定常状態 (steady state) にある」という . 気温が 20 OC の部屋で 恒温槽中の水温が正確に 25 OC に保たれている場合 , 水面から水が蒸発しており , 熱が水 78 ー第 6 章ネルギーと熱力学第一法則 ⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅢⅢⅢⅢⅢ

4. 化学熱力学中心の基礎物理化学

3 3.1 濃度 合物 ある物質の集まりを外界と区別して考察するとき , その考察の対象の物質の集まりを系 と呼ぶ . 各種の物質を混ぜ合わせると混合物 (mixture) になるが , この混合物を非常に 小さな部分に分けて , そのどの部分をとっても性質が一様であるときこれを均一系と呼 ぶ . そうでないときを不均一系と呼ぶ . 系の他の部分と明確な境界 ( 界面 ) により区別され るような部分を相という . 2 種類以上の物質からできている相を溶相という . 溶相が液体 のときは溶液 , 固体のときは固溶体と呼ぶ . 1 つの液体にある物質が溶解して溶液をつく るとき , その液体を溶媒 ( s 。ⅳ ent ) と呼び , 溶解した物質を溶質 ( s 。 lute ) と呼ぶ . 液体と 液体からなる溶液の場合 , 溶媒 , 溶質の区別は明らかでないが , 一般には多量にあるほう を溶媒と呼ぶことが多い . ここでは溶媒を A , 溶質を B で表す . 一般に , 気体は分子間力が弱くよく混合し均一になるが , 液体や固体を含む系は , 分子 間力の強弱などにより均一な溶相にならず , いくっかの相を含む不均一系となることがあ ラウール る . このとき各相は互いに独立でなく , それらの間には , 後述する Raoult の法則のような 物理化学的関係が存在する . そして , その関係は溶質濃度に依存する . 溶質の濃度の表し方は以下に示すようにいろいろあるが , 必要に応じて選択される . 以 下に示す濃度で , 理論的な考察で最も重要なものはモル分率であり , 実際の実験でよく使 用されるのは重量モル濃度 ( 質量モル濃度 ) や容量モル濃度である . ( 1 ) 重量百分率 ( または質量百分率 ) (weight percent) 溶液 100g 中の溶質のグラム数で表す . 溶媒の質量を WA, 溶質の質量をとすれば , 当 3.1 X100 % x 100 % 一般に混合後の体積は , 混合前の体積の和に等しくない . 琢十煽 , とすれば , 溶質の体積百分率は 液体どうしの混合に用いられるが , 混合前の体積で割合で表す . 混合前の液体の体積を ( 2 ) 体積百分率 (volume percent) WA 十 WB 溶質の重量百分率は ( 3.1 ) 濃 度 ( 3.2 ) 35

5. 化学熱力学中心の基礎物理化学

も く じ 序章基礎事項 い物質と物性 原子量 , 分子量・・・ 単位と記号 い常用対数と自然対数・・ 新有効数字・・ 1 一 1 ワ一 4 第 1 章気 体 い . 1 気体・・・ い . 2 理想気体・・ い . 3 気体分子運動論 い . 4 分子の速度 , Graham の法則 い . 5 分子速度の分布・・ い . 6 実在気体 , van der Waals の状態式・ い . 7 分子間のカ (van der WaaIs カ ) ・ い . 8 気体の液化 , 臨界現象・ い . 9 相応状態・・・ 第 1 章演習問題・ -8 1 ワ 3 っ 0 -8 -0- 1 11 1 1 1 1 ワ〕ワ」 第 2 章液体と固体 2 . 1 液体の蒸気圧・・ 2 . 2 Clapeyron-Clausius の式・・ 2 . 3 固体・・ 固体の昇華と融解 2 . 4 2 . 5 純物質の状態図・・ 液体のいろいろな性質・ 2 . 6 第 2 章演習問題・ ワ 3 っ 4 ー -8 0- 4 ワ 3 ワ 3 ワワ 3 ワ〕っっ 0 混 3 第 物 . 1 濃度・ 3.2 混合気体 , Dalton の分圧の法則・・ ・・・ 35 ・・・ 37 く も

6. 化学熱力学中心の基礎物理化学

非常に希薄な溶液の場合 , ( 1 ) や ( 2 ) のような百分率 ( % ) つまり 100 分の 1 のかわり に , ppm (part per million) や ppb (part per billion) という単位が使われることがある . ppm は 100 万分の 1 を , ppb は 10 億分の 1 を意味する . ( 3 ) モル分率 (mole fraction) ある成分のモル数を溶液の全成分の総モル数で割ったものがモル分率である . すなわち , 溶媒 , 溶質のモル数をそれぞれ , とすると , 溶質のモル分率は ( 3.3 ) 十 I'ZB この濃度は実用的な濃度というより , 物理化学上の理論式を展開するときによく使われる 濃度である . ( 4 ) 重量モル濃度 ( または質量モル濃度 ) (molality) 単位質量 ( lk のの溶媒に溶けている溶質の物質量 ( モル数 ) で表される . m01 kg-l である . この単位は m と略記されることがある . ( 5 ) 容量モル濃度 (molarity) その単位は この濃度は単にモル濃度という場合もある . 単位体積 ( 1 dm3 ) の溶液中に溶けている 溶質の物質量 ( モル数 ) で表される . その単位は m 。 ldm ー 3 である . この単位は M と略記 されることがある . なお SI 単位では溶液の体積を 1m3 にとるので , molm ー 3 ( = 10 ー 3m01 dm3 ) であるが , 現在あまり使われていない . 1dm3 は従来使われてきた 1 / に代わるも る . がモル数でなく当量数 ( ある基準物質に対する相対モル数 ) であることのみが異なってい 重量モル濃度または容量モル濃度と基本的には同じ定義であるが , 溶けている溶質の量 ( 6 ) 規定濃度 (normality) わかった . しかし , 近似的に 1 dm3 = 1 / と考えてよい . のである . 1 dm3 と 1 / は昔は同じものと考えられていたが , 厳密には等しくないことが 察することは重要である . 希薄溶液では溶媒と溶質の物質量 ( モル数 ) の関係は》 ら , 容量モル濃度 , 重量モル濃度がよく使われる . したがって , これらの濃度の関係を考 分率では数値が小さくなりすぎること , および任意の溶液を調製することのむずかしさか さて , 理論上重要な濃度はモル分率であるが , 一般に使われる溶液の濃度は低く , モル である . そこで , モル分率は次のように近似できる . 十 7'2B 十 7'IB 1000 x XB 1000 ( 3.4 ) ( 3.5 ) ここで mB, CB は溶質の重量モル濃度 , 容量モル濃度 , MA は溶媒のモル質量 (gmol-l), PA は溶媒の密度 (gcm-3) である . 溶媒の質量を WA, 溶質の質量を WB, 溶質のモル質量を , 溶液の密度を p とすると , 重量モル濃度は 36 第 3 章混 ノ又 物

7. 化学熱力学中心の基礎物理化学

6.1.1 熱力学の描く世界 熱力学の理論によって描き出す世界像はきわめて簡潔なものである . いま , 観察または 考察している対象について , 細かい性質がどうのこうのというのはぬきにして , たとえば 温度 , 圧力 , エネルギーというようなほんの 2 , 3 の性質 ( properties ) で特定できるものと ' で , 観察または考察の対象物のことを系 (system) と呼ぶ . 系とは人それぞれ 考える . こ の関心に応じて , 反応容器 , 自動車のエンジン , 人体 , あるいは地球全体であったりする . 系を取り囲む環境を外界 (surroundings) と呼び , 系と外界を隔てる面を境界 (bounda- (y) と呼ぶ . 境界は実在していても想像上のものであってもよい . 系と外界との間でのやりとりは , 必ず境界を通して行われる . このやりとりには熱 (heat) と仕事 ( work ) というかたちでのやりとりや , 場合によっては物質 ( matter ) の 出入りを伴うことがある . ここで熱と仕事の互換性については詳しく述べないが , この 2 つの関係が熱力学での最大の関心事であるので , あとでじっくり取り組むことにしよう . 熱力学でいう系は , 物質 , 熱および仕事が境界を通してどのような出入りの仕方をする かによって , 次の 4 つに分類される . その 1 っ , 開いた系 ( 開放系ともいう , open sys- tem(s)) は , 熱 , 仕事そして物質ともども自由に境界を出入りできる系である . これに対 して , 閉じた系 ( 閉鎖系ともいう , closed system(s)) の境界は物質の出入りを許さない が , 熱と仕事が出入りするのは許すような系である . 3 つ目の系は断熱系 (adiabaticsys- tem(s)) と呼ばれるもので , その名のとおり , その境界は断熱壁でできており , 熱の出入 りを許さず , また物質の出入りもない . ただし , 仕事のやりとりは起こる . 理想的に断熱 的な系は実在しないが , 発泡スチロールのような熱伝導性の著しく低い物質を分厚くはめ 込んだ丈夫な壁材で囲んでやれば , 近似的な断熱系を組み立てることができる . 最後に 熱も仕事もそして物質も何もかも出入りを許さない境界でできている , 孤立系 (isolated system(s) ) がある . 6.1.2 系を特定する変数・性質 熱力学の世界では , おのおのの系をわずかな数の状態変数 (variables of state) で記述 する . いま , ある系が特定の条件に置かれたとき , それに至るまでどんな変化をたどって きたかということには全く無関係に , ある決まった値をもつ状態にあるのであれば , その とき示す性質がその系の特性 (characteristic) であるという . ここでいう性質または状態 変数とは , 過去の履歴に関係のないもので , 測定の時点における条件 ( c 。 nditi 。 n ) にのみ 依存するものである . 状態変数とは , たとえば系の体積 ( v 。 lume ) と温度 (tempera- ture) T である . その他の状態変数を表 6 ー 1 に掲げておく . 状態変数は 2 種類に分類される ことにとくに注意を払わねばならない . ある系がいくつかに分割された場合を考えよう . もしその性質・状態変数がどの分割部分でも同じ値をもつものであれば , その変数は示強 性 (intensive) であるという . 温度や圧力がその例である . 一方 , 部分部分における値を 寄せ集めて合計すると全体の値となるような変数 , たとえば 3 つのコップにそれぞれ 100 6.1 巨視的な系と熱力学一 77

8. 化学熱力学中心の基礎物理化学

がある . なぜなら , 分子の大きさや形は互いに異なるのがふつうであり , したがって相互 作用の仕方も種々さまざまである . この実在の溶液は理想溶液ではないので , 非理想溶液 と一括して呼ばう . その非理想溶液の中でも , 限定した希薄な濃度範囲では理想溶液的に 取り扱うことができ , この溶液を理想希薄溶液またはヘンリー則溶液 (Henry's law solu- tion) と呼んでいる . これについて学ばう . 図 8 ー 10 では , 溶媒 A と溶質 B の大きさが異なる ように描いてある ( 図 8-9 と比較せよ ). さらに , B と B が隣接し合うことなく , すべての B 分子は溶媒分子 に取り囲まれているが , これは溶質ー溶質分子間相互 作用が無視できることを意味している . B 分子が液相 から飛び出す傾向 ( 逃散能 , 飛散能とも呼ばれる , es- caping tendency) は液相中のモル分率ェ B に比例す る . 一方 , 気相から再び液相に捕獲される ( 飛び込んで くる ) 速度は , 分圧に比例するであろうから , 逃散 と捕獲の速度とが平衡状態では等しいとすると , PB XB の比例関係がある . 理想溶液とは異なって , この比例 定数は , Ra 。 ult の法則のように純 B ( ェ B = 1 ) の蒸気 圧 PB* とはならない . そこで , この比例定数を kH とお 〇 〇彡 〇ク / 〇、 、〇 〇 〇 PB = kHXB ( 8.38 ) (Henry の法則 ) 〇〇〇〇〇〇品 〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇〇〇〇 88 を 〇〇 〇〇 〇 A 分子 B 分子 図 8 ー 10 Henry の法則に従う理想希薄 溶液 . B の逃散能はに比例し て Henry の法則 PB = たに従 う . しかし XB が大きくなれば B の周囲の状況が変わるので Henry の法則も成り立たなくな り , ましてやは * に等しく ない こで kH は溶媒ー溶質間の分子間相互作用の強さに依存するもので , その値は実験的に決 めなければならない . この式は , 元来 , 液体に対する気体の溶解度に関して見い出された Henry の法則にほかならない . この法則は , 溶質が気体でなくて固体や他の液体の溶解の 場合にも適用できることがわかっている . 聯 = * であれば , 前述のように RaouIt の法 則であるが , この法則はん H キ PB * の場合に相当する . 一方 , 溶媒については Henry 則溶 液中で = * ェ A の Raoult の法則が成り立っているとみなされる . この様子を図 8 ー 11 に示す . 理想溶液の化学ポテンシャルが Tln 新に比例して変化するのと同様に , 理想希薄溶 液でもまた , は RT ln ( または RT ln (B) とともに変化する . しかし , 両者には重大 な差がある . 理想溶液では各成分の純物質の状態を標準状態に選ぶことができるが , Henry の法則は希薄溶液についてのみ成り立つので , 溶質については希薄溶液の性質に基づいて 標準状態を選ばざるをえない . ただし , この理想希薄溶液の溶媒については , 純物質を標 準状態にとる . 式 ( 8.30 ) を成分 B の平衡について書き直すと , 176 第 8 章熱力学の化学への応用

9. 化学熱力学中心の基礎物理化学

53 mmHg = 0 . 075 707 mmHg したがって , 水 100g とともに留出するアニリンのモル数は , 次に示すように 0.42m01 である . 0.075 X 100 g = 0 .42 m01 18 gmol 1 . 6 凝固点降下 物質の相互溶解は , 分子間力に依存する . 気体は分子間の相互作用がきわめて弱いので 均一に混合する . しかし分子間力が強くなってくると , 純物質と混合物の分子間力の違い により均一に混合しなくなることもある . そこで , 溶液状態では溶け合っていたものが , 固体状態では溶け合わない ( 固溶体をつくらない ) という現象が出てくる . このような系で は , 希薄溶液を冷却すると , まず純溶媒の固体 1 atm を析出することが多い . この固体を析出する温 度を溶液の凝固点または氷点と呼ぶ . この溶液 の凝固点は純溶媒の凝固点より低い . この現象 を凝固点降下 (depression of freezing point) という . この凝固点降下は図 3 ー 4 により理解さ れる . いま , 純溶媒の凝固点を Tf, 濃度が重量 モル濃度である希薄溶液の凝固点を ー△とすると △ Tf △ = ん襯 Tf—△ Tf Tf 温度 ここでんは溶媒に固有の定数で , モル凝固点 凝固点降下説明図 図 3 ー 4 降下定数と呼ばれる . すなわち , 凝固点降下 △は溶液の重量モル濃度に比例し , その比例定数は溶媒の性質のみに依存し , 溶質の性 質に依存しない . 式 ( 3.22 ) より , 希薄溶液の凝固点降下を測定して , 溶液の濃度 , さらに 表 3 ー 3 モル凝固点降下定数 Kf/K mo に 1 kg Tf/ ℃ 1 . 858 0 10 . 36 6 .12 3 . 9 16 . 635 4 .63 11.78 79 .25 6 .89 5 .668 70 . 5 5 .065 5 . 455 37.7 24 . 5 40 179 . 5 溶媒 溶液 ( 3.22 ) 溶 媒 水 硫酸 酢酸 1 , 4 ージオキサン ナフタレン トロべンゼン ビフェニル / ンゼ、ン シクロへキサノ ーノレ ショウノウ 45 凝固点降下 3.6

10. 化学熱力学中心の基礎物理化学

熱力学の化学への応用 先に第 6 章で熱力学第一法則とエネルギーの姿や性質の関係を学び , 第 7 章ではエント ロピーと自由エネルギーの概念を学んできた . また , 部分モル量としての自由エネルギー すなわち化学ポテンシャルについてそのあらましを見てきた . こでは , 自由エネルギー ( とくに Gibbs エネルギー ) や化学ポテンシャルが化学にどのように応用されているのか , その応用の仕方を , 化学平衡 ( 概要は第 5 章で学んだ ) や相平衡 ( 第 4 章で学んだ ) を熱カ 学的に解釈し , 記述することを通して学んでいくことにしよう . ここで , 念のため注意し ておくと , Gibbs エネルギーは示量性の変数であり , 部分モル Gibbs エネルギーとも呼ば れる化学ポテンシャルは示強性の変数である . たとえば , 図 8 ー 1 ( a ) に示すように , 同じ 濃度のショ糖水溶液が左室 (A) に比べて右室 ( B ) が 2 倍量存在するときは , 右の Gibbs エネルギーは左の 2 倍であるが , 化学ポテンシャルは等しい . したがって左右を隔てる壁 を取り払っても , 特別な変化は生じない . 一方 , 図 8 ー 1 ( b ) では , 左室 ( A ) のほうは , シ ョ糖濃度が 4 倍高いので , 明らかにショ糖の化学ポテンシャルは高く , もし隔壁を取り外 すと , ( A ) のほうから ( B ) へ向けてショ糖の移動 ( 拡散 ) が起こり , 左右の区別ができな い同じ濃度になるまで ( 図の場合 2 M になるまで ) 変化が継続して平衡に達する . このと き工ントロピーが極大値をとり , ( A ) と ( B ) を合わせた総 Gibbs エネルギーは極小にな る . 物質の変化も相の変化もともに「状態」の変化であり , 化学ポテンシャルの高い状態か ら低い状態へ向けて物質が位置や性質の変化を起こす . こでは最初に化学平衡 , 次いで ( b) (a) IM ショ糖水溶液 糖水済 2 dm3 (B) 1 M IM ショ糖水溶液 ぎョ糖水ド液 2 dm3 1 dm (A) (A) 化学ポテンシャル (A) (A) ショ糖 (A) 水 おのおのの Gibbs エネルギー G(A) く G(B) 図 8 ー 1 Gibbs エネルギー ( 示量性 ) と化学ポテンヤル ( 示強性 ) の違いを考える . 化学ポテンシ ャルに差があるとき , その物質は高いほうから低いほうへ移動する可能性を有する . 154 ー第 8 章熱力学の化学の応用 ( A) (B)