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検索対象: 化学熱力学中心の基礎物理化学
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1. 化学熱力学中心の基礎物理化学

もまた , 温度が決まれば , 決まった値となる . このを圧平衡定数と呼ぶ . これに対し て , 濃度で表した平衡定数を濃度平衡定数と呼び , Kc で表す ( ただし , 濃度平衡定数を 表すのに , 添字なしの K を用いる場合も多い ). と Kc の関係は , 式 ( 5.6 ) から明らか なように , 次式で与えられる . = Kc(RT)AY ( 5.8 ) = 0 ならば , すなわち , 反応物から生成物に変化する際 , 気体の分子数に増減がなけれ ば , と Kc は等しくなる . 平衡定数の有用性は , 平衡状態に達したときの反応混合物の組成を知ることができる点 にある . アンモニアは次の反応式に従って窒素と水素から合成される . N2(g) + 3 H2(g) 2 NH3(g) 平衡定数を用いれば , 反応混合物の平衡組成を予測することができ , したがって , 目的と するアンモニアをどれくらい手に入れることができるかがわかる . 以下の例題で , 平衡定 数の使い方を示そう . 例題 5.1 酢酸とエタノールから酢酸工チルと水ができる反応の平衡定数は , 100 ℃において Kc= 4.0 である . ( i ) 酢酸 1 モルとエタノール 1 モルを混せて 100 ℃に保ったとき , 酢酸工チ ルは何モル生成しているか . ( ⅱ ) 1dm3 の水に酢酸とエタノールをそれぞれ 1 モルすっ溶かし て 100 OC に保った場合 , 生成する酢酸工チ丿レは何モルか . 解 ( i ) この反応の反応式および各物質の物質量 ( モル数 ) の関係は次のように表せる . ただ し , 平衡時における酢酸ェチルの物質量を〃モルとした . CH3COOH 十 C2H50H 00 , 0000 , 。、、一 0 はじめ 1 0 平衡時 溶液の体積をレとすれば , [CH3COOC2H5] CH20] レ レ [CH3COOH] [C2H50H] 1 ー〃 ( 1 ーの 2 1 ー〃 レ レ この 2 次方程式を解いて適する解を選べば , 〃 = 2 / 3 が得られる . すなわち , 平衡時に酢酸ェチル は 2 / 3 モル生成している . なお , この例のように , 化学量論係数の和が反応式の両辺で等しい場合 平衡定数を表す濃度比はモル比と同じになる . ( ⅱ ) 水 1 dm3 戔 1 kg 戔 55.6 m01 であるから , CH3COOH 十 C2H50H CH3COOC2H5 十 H20 0 55.6 55.6 十〃 1 ー〃 ( 5.7 ) ⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢ 1 1 ー〃 1 ー〃 はじめ 平衡時 1 1 1 ー〃 したがって , 〃 ( 55.6 十〃 ) ( 1 ーの 2 これを解けば = 0.063 が得られ , この場合 , 平衡時に生成している酢酸工チルは 0.063 モルと 64 ー第 5 章 化学平衡 = 4 . 0

2. 化学熱力学中心の基礎物理化学

( 7.96 ) とから , レ馮 ( 生成物 ) ーレ , 〃 , e ( 反応物 ) + RT ln ( 生成物 ) - T 場 ln ( 反応物 ) = 0 標準的条件下にある生成物と反応物の Gibbs エネルギー差を△ Ge で表す . △ G 〇 = 2 レ馮 e ( 生成物 ) ーレ , 〃鼠反応物 ) ( 8.3 ) こで△ G 〇をその反応の標準自由 (Gibbs) エネルギー変化と呼ぶ . 〃尸は標準状態にある 物質 / の 1m01 あたりの Gibbs エネルギーである . レ e は反応物の , 馬 e は生成物 のそれぞれが単位圧力または単位濃度の標準状態にあるとしたときの Gibbs エネルギー △ G 〇 + T ln Ⅱの ( 生成物 ) ー T ln Ⅱ Pz レ ' ( 反応物 ) さらにⅡを使えば △ GO 十 RT ln PJ の ( 生成物 ) ー T 2 ln Pz " ( 反応物 ) = △ G = 0 の総和である . 式 ( 8.3 ) は次のように書き換えられる . Ⅱの ( 生成物 ) = △ G€十 RTln Ⅱ Pz レて反応物 ) = △ G = 0 この式を見ると , 決められた温度や圧力のもとでは , △ G 〇の値が一定であるので [ も一定であることがわかる . そこで , これを K とおく . Ⅱ PJ レて生成物 ) Ⅱ Pz レて反応物 ) 式 ( 8.4 ) と式 ( 8.5 ) から重要な式が導かれる ( 忘れてはならない式 ! ). △ G€ = ー RT ln K K は平衡定数 (equilibrium constant) と呼ばれる . たとえば NO(g) + ー 02(g) = N02(g) の反応の場合には , K は次式で与えられる . PN0 x , 1 / 2 N02 ] の中 ( 8.4 ) ( 8.5 ) ( 8.6 ) ( 8.7 ) このように気体や溶液のすべての化学反応は平衡定数で表現できる . 式 ( 8.7 ) のように 分圧または濃度の比が定数値に等しいとおけば , 独立変数の数が減る . たとえば上式にお いて N02 と NO の分圧を定めてやれば , 平衡混合物中の 02 の分圧は自動的に決まってし まう . つまり , 上式では分圧の変数が 3 つあるが , 平衡関係式が 1 つあるため , 独立変数 が 1 つ減って 2 つになっている . もし上の化学反応で平衡にあるときの分圧が測定できれば , K は計算で求められるし , また , 式 ( 8.6 ) から標準状態の Gibbs エネルギー変化△ G€も計算できる . 156 第 8 章熱力学の化学への応用

3. 化学熱力学中心の基礎物理化学

相平衡を熱力学的に論じてみよう . い . 1 化学平衡 化と , 生成物が少量増えたことによる Gibbs エネルギーの変化とはちょうどうまくつり合 値をとっている ()G = の . このとき反応物が少量減ったことによる Gibbs エネルギー変 温度と圧力が一定のもとで , ある化学反応が平衡にあるとき , Gibbs エネルギーは極小 っている . いま化学反応式を一般化して表現しよう . レ . Re. = P ら ( 8.1 ) ここで Rez は反応物 (reactant(s)), Pr, は生成物 (product(s)) であり , 場とは化学量 論係数 (stoichiometric coefficient(s)) である . ある温度 T とある圧力 P のもとで , 反応 物が少量消費されたとき , Gibbs エネルギー変化 (dG) は式 ( 7.84 ) から次のように表され る . dG ( 反応物 ) = ー ( 反応物 ) ( レ . dnD こで dnt は , 量論係数レ , = 1 の物質が反応によって減少した物質量 ( したがってレ . 2 の物質の減少量は 2d 〃 D である . このとき , 生成物は増加するので , 上と同様なかたち だが反対の符号をもつ次式が与えられる . dG ( 生成物 ) = 馬 ( 生成物 )( dnj) 物質 lmol あたりの Gibbs エネルギー変化を寄せ集めると , öG ( 生成物 ) öG ( 反応物 ) T,P, れん ( た j ) = レ馮 ( 生成物 ) ーレ襾 ( 反応物 ) T , P , 〃ん ( んキわ ( 8.2 ) 平衡に達したとき△ G = 0 である . 式 ( 8.2 ) は単一相 ( たとえば液相 ) 中で平衡に達する すべての反応にあてはまり , 微小量の物質が変化して Gibbs エネルギー変化△ G がゼロと なれば , 全体として平衡に達することを意味している . 8.1.1 △ Géと平衡定数 K との関係 これまで学んできた熱力学が化学平衡や相平衡の「平衡定数」に直結していることをこ れから具体的に示そう . 熱力学の大きな成果の 1 つは「ある反応の平衡定数は , 反応して いる化学種それぞれの標準自由エネルギー ( 標準 Gibbs エネルギー ) に関係づけられる」 ことである . ( ここでは最初 , 簡単のため理想気体間の反応のみを扱い , 溶液や非理想的な 系の平衡については後まわしにしよう . ) 標準自由エネルギーと平衡定数は直接関係し合 っているため , 標準自由エネルギーが反応物 , 生成物それぞれの化学種について求められ ていれば ( 表 6 ー 6 のように ) , それを利用して , 実験で決めなくても平衡定数を計算で求め たり , 平衡の位置を予測したりすることができる . 反応物と生成物がともに理想気体であるとすると , 式 ( 8.2 ) と化学ポテンシャルの式 い . 1 化学平衡ー 155

4. 化学熱力学中心の基礎物理化学

化△〃〇の場合と同じ考え方である . したがって , 反応物と生成物の標準生成 Gibbs エネ ルギーの値△ Gf 〇のデータから , 反応の標準 Gibbs エネルギー変化△ G 〇が計算できる . △ Gf6 は , その成分元素からその化合物を形成するときの△ G 〇である . △ Gf€ 化合物 ( 298 K, 1 atm) 成分元素 ( 298 K, 1 atm) 一一→ ただし , 成分元素は 298K , latm で最も安定な状態にあるもので , たとえば炭素の同素体 ではダイヤモンドでなく , グラファイト ( 石墨 , 黒鉛 ) である . 表 6 ー 6 ( p. 106 ) に代表的化 合物の△ Gf 〇をまとめて載せている . △ Gféデータから反応の△ G6 を計算するには , 反応物がいったん成分元素に分解されて , それらから生成物が再構成されると想定すればよい . △ ( 生成物 ) ー AG 反応物 ) △ G 生成物 G は状態量であり , △ G は変化の筋道に関係ないから , 次式が成り立つ . △ G€ = △ G に ( 生成物 ) ー△ Gf9 ( 反応物 ) ( 8.10 ) 例題 8.5 NO(g), CO(g) および C02 ( g ) の△ GF はそれぞれ 86.7 , ー 137.3 , ー 394.4 kJ mol 1 ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢー である . NO(g) + CO(g) C02(g) 十一 N2(g) の反応の△ G9 と平衡定数 K を求めよ . 解 注意 △ Gf6 ( 生成物 ) = ー 399.4 + 0 , △ GF ( 反応物 ) = 86.7 ー 137.3 = ー 50.6 △ G€= ー 399.4 ー ( ー 50.6 ) = ー 343.8kJmoI 1 343.8X103 138.8 K = exp 8 .314X298 = 1.91 x 1060 この反応で K が非常に大きな値であることは , 平衡が著しく右に傾いていて反応が起これ ば , 反応物は生成物にほば 100 % 変わることを意味している . ⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢ 例題 8.6 AgCl(s) æ=2 Ag + (aq) + Cl-(aq) の平衡定数を計算せよ . ただし , AgCl(s), Ag + (aq), Cl-(aq) の標準生成 Gibbs エネルギーは , それぞれ一 109.7 , 71.1 , ー 131.2 kJ mol- 想溶液とみなして取り扱ってよい . 1 であり , また塩化銀の溶解度は非常に小さいから , 理 解 注意 △ = 77.1 十 ( ー 131.2 ) ー ( ー 109.7 ) = 55.6kJmol ー 1 55600 (J mo に 1 ) 8.314 (Jmol-l K ー 1 ) X298 (K) = 1.87 >< 10 10 ー 22.4 e ln K = ー△ G9/RT = ー 22 . 4 この値は AgCl の溶解度積 Ksp = [Ag+]CCl-] = 1.87X10 ー 10 ( m 。 ldm ー 3 ) 2 に一致してい る . K は上に見るように無次元であるが , 溶解度積というときには , その数値が , 濃度としてど のような単位を用いたときの値であるかをはっきりさせるために , 単位をつけて表す . い . 2 K と標準変化量△ G€, △〃 e , △などとの関係 この場 159

5. 化学熱力学中心の基礎物理化学

準生成熱と関係づけて広く考察できるので便利である . そこで表 6 ー 8 に 25 。 C , latm に おける結合解離エネルギー (bond dissociation energy) を代表的な結合について掲げる . この名称は正しくは結合の解離ェンタルピーと呼ぶべきであるが , 長い間の慣習に従って 解離エネルギーと呼ばれている . いうまでもなく解離エネルギー (D で表す ) は , 結合ェ ネルギーと同じ意味である . 例題 6.16 表 6 ー 8 のデータを用いて気体状のシクロへキサンの標準生成熱を計算で求め , 表 6 ー ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ この反応は , 結合を切断する反応と新たに結合を生成する反応からなるとみなせるから , 次のよう 6 C(graphite) 十 6 H2(g) ーー C6H12(g) 解シクロへキサンの生成反応は 6 に示された実測値の△ e と比較してみよ . に段階的に考える . ( 1 ) 6 C(g) 6 C( graphite ) ーー→ △私 = 6D(graphite) = 6 x 716.7 = 4300 kJ これはグラファイトの結晶格子から炭素原子を 6mol 取り出すに必要なエンタルピーである . ( 2 ) ( 3 ) 6 H2(g) ー→ 12 H(g) △私 = 6D(H2) = 6X436.0 = 2616kJ 6 C(g) + 12 H(g) ー→ C6(C-C) + 12 ( C ー H ) ] = C6H12(g) ー 6X344 ー 12X415 = ー 7044kJ △私 = —6xD(C-C)—12D(C-H) = 結合の生成エネルギーは , 結合の解離エネルギーの値にマイナス符号をつけたものである . 標準 生成エネルギーを上の結果から計算すると △ e ( C6H12 ) = △私十△私十△私 = ー 128kJm01 ー この一 128kJm01 ー 1 という値は , 表 6 ー 6 に与えられた実測値ー 123.15kJm01 ー 1 とよく一致してい る . これは , シクロへキサンが正常な化学結合のみからできた分子で , 6 員環の分子中に結合角の ゆがみがないからである . 114 第 6 章 エネルギーと熱力学第一法則

6. 化学熱力学中心の基礎物理化学

となる . こで , 標準状態における単体のモルエンタルピーをゼロとする約束であるから , 上式は次式となる . △ e = H0(H20) 一般に次のようにまとめて表すことができる . △ e = 。 ( 生成物 ) -2 レ . 仏。 ( 反応物 ) = レ , △〃 f(j ) e ーレ . △ e ただし , 標準状態の元素については△ e = 0 とする . f( わ ( 6.41 ) 任意の化学反応の標準ェンタルピー変化 ( 25 ℃ , 1 atm の反応系から同温同圧下の生成 系への変化に伴う△〃 ) は表 6 ー 6 から計算できる . 1 g のグリシルグリシン (glycylglycine)(s) が 25 OC, 1 atm のもとで 02(g) と反 例題 6.15 応して , 尿素 (urea)(s), C02(g) および H20 ( / ) を生じる反応のエンタルピー変化を求めよ . 解化学反応式は次式で示される . C4H8N203(s) 十 3 02(g) ー→ CH4N20(s) 十 3 C02(g) 十 2 H20( / ) ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢ グリシルグリシン 尿素 △。 = △ e ( 尿素 , s) + 3 △〇 ( C02 , g) + 2 △〇 ( H20 , / ) ー { △ e ( グリシルグリシン , s ) 十 3 △ e ( 02 , g ) } ー 333.17 十 3 ( ー 393.51 ) 十 2 ( ー 285.83 ) ー ( ー 745.25 ) ー 3 ( 0 ) ー 1340.11 kJmol-1 この反応熱はグリシルグリシン 1m01 の値であるから , モル質量 131.12gm01 ー 1 で割ってやると , lg の反応熱が求まる . △″ = ー 10.14kJg ー 1 ていれば , 計算で△〃に対する温度の影響を知ることができる . 式 ( 6.21 ' ) より 反応熱を知りたい場合がしばしばある . もし , 反応物と生成物の定圧モル熱容量がわかっ 際には 298 K で関心ある反応が観測できなかったり , または , 298 K 以外の温度における 以上は 298K における標準生成熱とそのデータの応用について述べたものであるが , 実 (dH)p = Cp dT であるから , △〃に対しても同様に書ける ((dHl)p—(dH2)p = d ( △〃 ) となる ). d( △ (l)p = △ CpdT = △ Cp = 2 0 。 ) ( 生成物 ) ーレ , Cp (. ) ( 反応物 ) ここで△ Cp は生成物と反応物の定圧熱容量の差である . これは次式 ( 6.42 ) ( 6.43 ) のように一般的に表現できる . この式は反応熱の温度変化を表す式で , Kirchhoff の式と 呼ばれている . 上式から任意の温度 T における△を△〃 ; 。とすると , 次式が成り立つ . 110 ー第 6 章ネルギーと熱力学第一法則

7. 化学熱力学中心の基礎物理化学

6.6.2 標準生成熱とそのテータの応用 内部エネルギーやエンタルピーの絶対値を知ることができるだろうか . 確かに , 理想気 体の内部エネルギーは温度の関数として U= ( 3 / 2 翔 RT であるので絶対値を知ることが できるが , これは例外である . それぞれの物質のエンタルピーの絶対値がわかっていたら , 反応熱を計算するのにいちいち熱化学方程式を立てて加減算を行わなくても , 反応系と生 成系のエンタルピーの差として簡単に求められるであろう . しかし , 熱力学は積分定数を 決めることができないという特質があり , 物質のエンタルピーや , 次章で登場する自由工 ネルギーなどは絶対値を知りえない . これは , ポテンシャルエネルギーと同様である . し かしながら , 必要なのは絶対値ではなく , 変化の前後の差△〃 , △ U などである . 図 6 ー 13 に示すように , 〃や U, その他のエネルギー ( ポテンシャルエネルギー , 自由エネルギー など ) を含めて一般にエネルギーを E で表すと , E の基準をどこに置いても , その差△ E は同じであることがわかる . それではどのような基準を設けたら便利であろうか . 反応系のエネルギー ( 始めの状態 ) △ E = Ep—ER = E6—Ek 生成系のエネルギー ( 終わりの状態 ) エネルギー ー基準 2 基準 1 図 6 ー 13 異なる基準で定められたエネルギーとその変化量△ E の関係 そのためには , すべての元素の単体のうち latm , 25 ℃で最も安定な状態にある単体 ( 炭素ではグラファイト , 硫黄では斜方硫黄 ) のエンタルピーをゼロとおいて , これをま ず標準にする . 次に , ある物質の 1 atm, 25 ℃でとっている形態 ( 水では H20(g) または H20(/)) が , その成分元素の単体 ( latm , 25 。 C ) からっくられるとしたときの , 1m01 あ たりのエンタルピー変化を標準生成工ンタルピーとする . これを△ e で表し生成熱 ( heat offormation) と呼ぶ . この標準生成工ンタルピーは種々の物質について調べられていて , 表 6 ー 6 に代表的な物質について載せている . なお , この表の中には , 次章で学ぶ工ントロ ピーや Gibbs の自由エネルギー変化も記載されている . たとえば , 25 。 C , 1 気圧における H20 ( g ) の生成反応は , 表 6 ー 6 より H2(g) + —02(g) = H20(g) △ e = ー 241.826 kJ m01 1 である . いま , 標準状態における各物質のモルエンタルピーを , 〃 0(H2), 〃 0(02), H0(H20) とすると , 105 熱力学第一法則の応用 い . 6 熱化学

8. 化学熱力学中心の基礎物理化学

となり , C の生成速度は B ー→ C の変化速度と等しくなる . なお , 上の関係で 2 番目の等 式は式 ( 9.31 ) にん 1 》た 2 の条件を用いて得られる . ( ⅱ ) た 1 《た 2 の場合 このとき式 ( 9.33 ) は次式で近似される . dCc = k1CA0exp(—k1t) = k1CA ( 9 . 35 ) したがって , この場合 , C の生成速度は A ー→ B の変化速度と等しくなる . 速に増してくる . こうなったとき , 速度式の厳密解を得ることは手に負えないことになる . これまで見てきた例から明らかなように , 反応機構が複雑になると数学的な複雑さが急 ing step) と呼ぶ . る . このように , 反応全体の速度を支配する最も遅い反応段階を律速段階 (rate-determin- でいくら速く反応が進行しても , 反応全体としてはこの遅い段階の進行速度に支配され てくることを示している . すなわち , 1 か所でも遅い段階があれば , それ以外の反応段階 上の例は , 多段階反応では , 最終生成物の生成速度が最も遅い反応段階の速度で決まっ しかし , ある近似的な取り扱い方でこの困難さを回避することができる . 次に えている型の逐次反応を例にとって , この近似的な方法を見つけよう . こで考 いま , ん 2 がた 1 に比べて非常に大きいとしよう . これは , 中間体 B の反応性が高い場合に あてはまる状況である . この場合 , CB と / の関係を表す式 ( 9.31 ) で , 右辺の第 2 項は第 1 項に比べて無視できるから , B の濃度は A の濃度のた 1 な 2 倍という小さい値になる . もし , A がゆっくりしか反応しないなら , B の濃度は長い時間にわたってこの小さい値に保たれ ることになる . この状況は図 9 ー 3 ( b ) に示されており , そこでは時間に対する CB の変化量 はわずかである . したがって , 反応の開始時や終了時を除けば , 近似的に dCB ( 9.36 ) が成り立っとみなすことができよう . 時間が経過しても中間体の濃度が一定に保たれると いうことは , 言い換えれば中間体の生成速度と消失速度が等しいということであり , この ような状態を定常状態 (steady state) と呼ぶ . このように , 反応の進行中 , 中間体が定常 状態にあるとする仮定を定常状態近似 (steady-state approximation) という . 定常状態近似を用いることにより速度過程の取り扱いが非常に簡単になる . 式 ( 9.36 ) が成り立っていれば , B に対する速度式 ( 式 ( 9.28 ) ) は次式のように簡単化される . = k1CA—k2CB 戔 0 dCB これより , が得られ , 204 た 1 これを生成物 C に対する速度式 ( 式 ( 9.29 ) ) に代入すれば 第 9 章化学反応の速度と反応機構

9. 化学熱力学中心の基礎物理化学

dCc = k2CB 戔 k1CA ( 9.37 ) となる . これは , 式 ( 9.27 ) ~ ( 9.29 ) の速度式の厳密な解 ( 式 ( 9.33 ) ) でた 2 》た 1 の場合に 対して得られる式 ( 9.35 ) と同じ結果である . ( 6 ) A 十 B D 々 1 ん 2 C A と B から , 可逆的に生じる中間体 C を経て最終生成物 D ができる反応である . それ ぞれの反応種に対する速度式は次のように書ける . dCA dCB dCc dCD = k2Cc dt = ん ICACB ーは一 1 + ん 2 ) Cc —k1CACB 十 k-1Cc ( 9.38 ) ( 9.39 ) ( 9.40 ) これらの速度式を厳密に解くかわりに , 中間体に定常状態近似が適用できる場合につい て , 最終生成物の生成速度を与える表式を求めてみよう . C が定常状態にあるならば次の したがって , 式 ( 9.39 ) より dCc 関係が成り立つ . が得られ , た 1 CACB に 1 十ん 2 これを式 ( 9.40 ) に代入すれば D の生成速度として次式が得られる . た 1 ん 2 dCD CACB に 1 + た 2 ( 9.41 ) それゆえ , この反応は 2 次反応となる . 無視することができ , また々 1 / に 1 は A 十 B C の平衡定数 K に相当するから , 式 ( 9. の間に平衡が成り立っているとみなすことができる . このとき , 式 ( 9.41) の分母でん 2 は く大きい場合 , すなわちん一 1 》ん 2 の場合がしばしば見られる . この場合 , 反応物と中間体 この型の反応では , 中間体が生成物に変わる速度よりも反応物に戻る速度のほうが著し 41 ) は次式のように書ける . dCD = k2KCACB ( 9.42 ) したがって , この場合 , 実験的に得られる 2 次速度定数の中身は , 反応の第 1 段階の平衡 定数と第 2 段階の速度定数が組み合わさったものになる . 多段階反応で , 最初の段階にお ける中間体と反応物の間のこのような平衡を前駆平衡という . 前駆平衡を伴う逐次反応の 実例を以下に示そう . . 5 反応機構と速度式 205

10. 化学熱力学中心の基礎物理化学

△ S(TD A( の ) 冷却または加温 △ se ( 25 OC) 加温または冷却 A ( 25 OC) B ( 25 OC) d T T2 d T 298 △ S 。 ( の ) = △ se ( 25 (C) + Cp(A) Cp( B) この式をもっと簡単に , しかも一般的に表すと △ S 。 ( の ) = △ S 。 ( TI ) + ここで△ Cp は △ Cp d T △ Cp = Cpj( 生成物 ) -2 み Cpi( 反応物 ) ( 7.56 ) ( 6.43 ) であり , すでに前章で学んだものである . 標準生成工ントロピーや定圧モル熱容量のデー タを用いる例題に取り組んでみよう . 例題 7.10 H2(g) と 02(g) の混合物に電気火花で着火すると , 爆発的に反応して H20(g) が生 成する . H2(g) および 02 ( g ) の分圧がともに 1 atm で , 温度が 100 OC の状態から 100 OC, 1 atm の H20(g) が 2 mol 生成するときのエントロピー変化を計算せよ . 解 2m 。 1 の H20(g) が生成する反応は 2 H2(g) + 02(g) ー→ 2 H20(g) 1 気圧 , 25 ℃におけるエントロピー変化は , 表 6 ー 6 のデータを用いて , △ S 。 ( 25 ℃ ) = 2S e—(S e 十 2SH2(g)6) H20(g) 02 ( g ) = 2 x 188.83 ー 205.14 ー 2 >< 130 . 68 = ー 88.84 J K △ S 。 ( 100 ℃ ) を求めるためには , 式 ( 7.56 ) を用いる . これには各物質の熱容量のデータが必 要であるが , 表 6 ー 4 から読み取ることができる . こで , 25 。 C から 100 。 C の範囲では , 熱容量は 温度に関係なく一定であるとする . = 2X33.6 ー 29.4 ー 2X28.8 = ー 19.8JK 1 d T △ S 。 ( 100 (C) = △ S 。 ( 25 (C) 十△ Cp 298 ー 88.84 ー ( 19.8X0.224 ) = ー 93.28JK 373 式 ( 7.56 ) から 373 = △ S 。 ( 25 (C) 十△ Cp ln 298 ー 93.3JK ー 1 注意△ Cp が負の値であるため , S 。 ( 100 ℃ ) のほうのエントロピー減少の度合は大きい . △ Cp が負になるのは , 3m 。 1 の気体 ( 2H2 十 02 ) から 2mol の気体 ( H20 ) となって物質量が減少し なっている . これはなぜであろうか . その 1 つの原因に , 反応物の物質量 ( H22m01 と 02 水の生成反応では , 25 ℃でも 100 ℃でもエントロピー減少 ( かなり大きな負の値 ) と たことに起因している . . 2 工ントロピ ーの分子論的解釈と変化量の計算 139