速度定数 - みる会図書館


検索対象: 化学熱力学中心の基礎物理化学
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1. 化学熱力学中心の基礎物理化学

急速に冷却したり , あるいは希釈したりして ) , その後化学分析を行う . もっとよい方法 は , 反応混合物から試料を取り出すことなしに , ある種の物理的測定を利用して反応種の 濃度変化を追跡していくことである . この場合 , 目的物質の濃度変化を正しく反映するも のであればどんな物理的性質を用いてもよい . たとえば , 体積一定の条件での気相反応の 場合 , 圧力の時間変化により反応過程を追跡できる . また , 溶液反応では , 分光学的な性 質 , すなわちある特定の波長の光に対する吸光度で濃度の時間変化を追跡する方法がよく A ー→ P 化学反応を考えてみよう . 化学反応の速度は一般に温度と反応物質の濃度に依存する . 次のような最も簡単な型の 9.3 速度式と反応の次数 用いられる . ◆ ( 9.5 ) ( 9.6 ) の濃度に比例することが直観的に考えてうなずけるだろう . したがって , 反応速度と A の の数は , そこに含まれる A の個数に比例するだろう . すなわち , この場合 , 反応速度は A もしこの反応が 1 段階で進行するならば , 反応により単位時間あたりに消失する A 分子 濃度の間には次のような関係があることが予想される . = 々 CA] dCA] A 十 B ーー→ P であり , 一般に , 反応温度が高くなるほどその値は大きくなる . こで , 比例定数のんを反応の速度定数 (rate constant) と呼ぶ . 速度定数は温度の関数 ( 9.7 ) と B の濃度の積に比例する . したがって , この反応の速度は , 次のような濃度依存性をも 反応が起こるためには A と B が出会うことが必要である . この出会いの頻度は A の濃度 こでも , この反応は 1 段階で進むものとする . で表される反応について考えてみよう . つものと予測されるだろう . dCA] = ん CA] CB] dt ( 9.8 ) 式 ( 9.6 ) や式 ( 9.8 ) のように , 反応速度を速度定数と反応物質の濃度の関数として表し たものを速度式 (rate equation) と呼ぶ . 速度式の中に現れる濃度の指数の和を反応の次 数 (reaction order) という . たとえば , 式 ( 9.6 ) は 1 次であり , 式 ( 9.8 ) は 2 次である ( 後者の場合 , A について 1 次 , B について 1 次 , 全体として 2 次である ). また , 〃次の 速度式に従う反応を〃次反応と呼ぶ . こで , 速度定数の単位に注意しよう . 反応速度を濃度の変化率で表せば , その単位は 194 ー第 9 章化学反応の速度と反応機構

2. 化学熱力学中心の基礎物理化学

逆反応の速度は , 同様にして , H2 濃度と 12 濃度の積に比例すると考えられるので , の比例定数を kb とすれば = kbCH2] [12] そ で与えられる . とが等しくなった状態が平衡状態であるから , このとき次の関係が成 り立っている . kf[HIl{ = kbCH] CI] 2 e 2 e これより , 次式の関係が得られる . [H ] CI ] 2 e 2 e CHI]i kf kb ( 5.5 ) ここで , 速度定数 kf および kb は温度が決まれば決まった値をもつ . したがって , 式 ( 5.5 ) の左辺は温度によって決まる一定値を示すことになり , これはすなわち質量作用の法則で こうして , 式 ( 5.1) の反応については , 反応速度を考えることから質量作用の法則 ある . が導き出される . しかし , 後に第 9 章で示されるように , 反応速度は反応式の形とは必ず しも結びつけられない . 質量作用の法則は , より厳密には熱力学に基づいて導出される 新 . 3 圧平衡定数と濃度平衡定数 ( 第 8 章参照 ). ときに A がモルだけ存在しているとしよう . このとき , 気体を理想混合気体とみなせ 的な気相反応を考えよう . いま , 体積 Vdm3 の容器中で反応が起こり , 平衡状態に達した に , 濃度のかわりに分圧を用いて平衡定数を表すこともできる . 式 ( 5.3 ) で表される一般 平衡定数は式 ( 5.4 ) のような濃度比で与えられる . 気相反応の場合 , 以下に示すよう 気体中の A の濃度は分圧と次式で関係づけられる . で与えられる . こで , 〃 A / レは m 。 ldm ー 3 の単位で表した濃度であるから , これより混合 RT ば , A の分圧力 A は , RT 他の気体成分についても同様な関係があるので , 係が得られる . これらを式 ( 5.4 ) に代入すれば , 次の関 ( T ) ー△レ ( 5.6 ) であり , これは生成物と反応物の化学量論係数の差に相当する . ( 沢 T ) →は , 与えられた 反応に対しては , 温度によって決まるある一定値になる . したがって , . 3 圧平衡定数と濃度平衡定数 63

3. 化学熱力学中心の基礎物理化学

したがって , れる . さて , 気体中では多数の分子がさまざまな速度で運動している . うな分布の仕方をするかは Maxwell の速度分布則で与えられる . り気体分子の平均速度は次のように表される . この これを用いることによ それらの速度がどのよ mVI 8 T 単位体積中における単位時間あたりの A と B の衝突回数として次式が得ら 7tRT ZAB = 4 び 2 NANB こうして反応物分子間の衝突回数を表す関係が手に入った . 次に必要なのは , ( 9.50 ) これらの 衝突のうちで , 生成物分子を生じるための電子や原子の再配列 ( すなわち結合の組み換 え ) を起こすのに十分なエネルギーをもった衝突の割合である . この再配列に要する最低 限のエネルギーを Ea とし , このエネルギーがすべて並進エネルギーから供給されるもの としよう . 相対的に動く 1 対の分子のうち , Ea より大きい並進エネルギーをもつ割合は —Ea/RT で与えられ , これが反応を起こすための有効衝突の割合となる . したがって , 衝突 理論による反応速度は次のようになる . dNA dNB 7tRT = 4 び 2 e-Ea/RT = ZAB e —Ea/RT ( 9.51 ) 次に , 反応物の濃度を 1cm3 中の個数 NA , からモル濃度 CA , CB に変換しよう . アポガ ドロ数をんとすれば , 103 C および dNt = dC 103 であるから , モル濃度の変化率で表した反応速度は次のようになる . dCA dCB 4 び 2 103 7tRT —Ea/RT e CACB ( 9.52 ) したがって , 速度定数を次の式 ( 9.53 ) のように解釈すれば , この結果は A と B の間で起 こる 1 段階の反応に対する速度式に対応している . 4 び 2 103 —Ea/RT ( 9.53 ) 衝突理論から導かれた速度定数 ( 式 ( 9.53 ) ) を Arrhenius の経験式 ( 式 ( 9.47 ) ) と比較 すれば , 実験的パラメターの頻度因子はその中身が次式で与えられるようなものであるこ とがわかる . 4 び 2 103 7tRT ( 9.54 ) そこで , となる . 212 いまび = 3.5 A, 財 = 50 として , 式 ( 9.54 ) からスの値を計算してみると , ス = 6.7 x 109 T mol-l dm3 s 1 いくつかの気相 2 次反応に対する速度定数の実測値を表 9 ー 4 に示してある . 第 9 章化学反応の速度と反応機構

4. 化学熱力学中心の基礎物理化学

を代入して Ea を求めると , = 57.8 ()J mol-l) Ea ー 8.31X10 ー 3 ()J K-I mo に 1 ) xln 15 (min-1)/32 (min-l) また , た 1 を 10 ℃のときの速度定数とすれば , 式 (E 1) より 1 / 298 (K-I) ー 1 / 308 (K-I) 1 ん 1 = た 2 exp 57.8 ( kJmoI = 32 (min-l) exp 8.31X10 ー 3 ()J K-I mol- = 4 . 4 (min-l) ー 1 ) 293 (K) 1 308 (K) 式 ( 9.47 ) または式 ( 9.48 ) には 2 つの未知数スと Ea が含まれるので , 原理的には , 上 の例題で示したように , 2 つの温度で速度定数を知れば活性化エネルギーと頻度因子を求 めることができる . しかし , より正確な値を得るためには , 多数の温度でたを測定し , 図 9 ー 4 に示したような Arrhenius プロットをするのがよい . また , この例題からわかるよう に , 大ざっぱにいって活性化エネルギーが 60kJmo に 1 あるいは 15kCa1m01 ー 1 程度の反応 . 7 反応速度の理論ー衝突理論と遷移状態理論 は , 温度が 10 。 C 上がると反応速度は約 2 倍になる . 210 ー第 9 章化学反応の速度と反応機構 まず , 単位時間あたりの A 分子と B 分子の衝突回数を計算することが必要である . 子バラメターを用いてどのように表されるかを以下に見ていこう . それゆえ , 衝突理論は気相反応の解釈に限られる . この理論により , 気相反応の速度が分 りの 2 つの分子の衝突数は , 気体に関しては気体分子運動論によりきちんと評価できる . 因子を掛けたものとして与えられるだろう . 以上が衝突理論の考えである . 単位時間あた 度は , 単位時間あたりの A 分子と B 分子の衝突回数に有効衝突となるためのエネルギー ーをもった分子どうしの衝突が反応に対して有効な衝突となりうる . したがって , 反応速 り , そのためにはあるエネルギーが必要である . つまり , ある大きさ以上の並進エネルギ 限らない . すでに述べたように , 化学反応が起こるためには結合の組み換えが必要であ の 2 つの分子が衝突しなければならないだろう . ただし , 衝突すればすべて反応するとは 2 種の物質 A と B が反応して別の物質に変わるためには , まず必要条件として A と B 9.7.1 衝突理論 のかもしれない . 細かいところはさておいて , 考えの大筋を理解していただきたい . 考え方がある . なお , この節の内容は本書が対象とする読者にとっては多少程度が高いも 理論 (collision theory) および遷移状態理論 (transition state theory) と呼ばれる 2 つの できるだろうかというのがこの節の主題である . この解釈には , 以下に示すように , 衝突 で示した . これらのパラメターは実験的に求められるものであるが , その中身はどう解釈 速度定数の温度依存性が 2 つのパラメタースと Ea でうまく記述できることを前の節

5. 化学熱力学中心の基礎物理化学

121 91 熱的平衡 117 , 122 , 291 Nernst の式 ネピア数 熱力学的平衡 熱力学的系 熱力学的温度 熱力学第二法則 116 , 125 熱力学第三法則 137 , 152 熱力学第一法則 熱力学関数 熱力学温度 熱容量 熱膨張係数 熱伝導性 78 , 83 , 93 267 , 298 77 非自発的変化 非対称効果 比体積 118 222 30 , 78 ギー 分子分配関数 分子量 ピタゴラスの定理 10 Bunsen の吸収係数 88 267 2 266 78 4 253 137 85 , 102 , 154 , 274 Nernst の熱定理 Nernst の分配の法則 非電解質 Hittorf 法 比熱 比熱容量 ppb 微分 微分形 217 232 78 , 93 33 , 93 , 152 106 , 138 110 , 162 83 , 272 267 36 36 分配 分配係数 分配平衡 分布関数 分別蒸留 分留 平均イオン活量係数 242 平均運動エネルギー 285 平均結合エネルギー 113 88 , 290 295 1 39 188 73 , 188 73 , 187 282 53 53 10 172 12 149 粘性 粘性係数 粘性抵抗力 濃度 粘度 粘性率 188 30 , 31 32 , 228 234 32 30 , 33 , 78 , 80 濃度関係式 濃度平衡定数 標準ェンタルピー変化 標準ェントロピー 標準生成 Gibbs エネル 105 , 106 標準生成ェンタルピー 254 標準水素電極 103 , 153 , 157 , 176 標準状態 ルギー変化 156 , 260 標準自由 (Gibbs) エネ 標準自由エネルギー 155 106 , 155 標準 Gibbs エネルギー 標準起電力 253 , 265 標準還元電位 254 , 255 150 , 151 , 174 , 177 標準化学ポテンシャル 平均 2 乗速度 平均蒸発熱 平均速度 平均値 平均モル体積 並進運動 並進 閉鎖系 平衡の条件 平衡濃度 平衡定数 平衡状態 平衡混合物 平衡関係式 平衡温度 平衡移動 67 136 166 67 158 142 147 22 , 50 , 258 濃度変化 場合の数 配位結合 排除体積 配置の仕方の数 ノヾスカル 発熱 発熱反応 速さ 281 , 283 , 288 , 271 パラメター 半減期 ( ん 2 ) 半電池 237 , 249 , 251 は行 熱機関の効率 熱測定 285 , 286 103 , 116 35 166 66 129 16 15 129 3 112 279 196 265 47 102 112 192 192 110 194 155 24 176 128 61 , 62 , 192 64 , 162 , 189 標準生成熱 143 , 159 105 , 110 標準電極電位 241 , 254 , 256 標準反応熱 67 標準沸点 23 , 24 , 42 , 52 V-P 相図 不可逆過程 不可逆カルノーサイクル 不可逆変化 不完全微分 84 , 91 , 272 97 , 125 125 81 , 97 , 98 168 不変系 不定積分 沸騰 沸点図 沸点上昇 沸点 23 , 138 , 170 , 171 物質量 物質 不均一系 不揮発性溶質 不揮発性物質 不完全微分量 50 277 23 52 42 , 185 2 , 78 77 , 80 1 , 35 183 49 124 部分モル Gibbs エネル 78 部分モルエントロピー 78 部分モルエンタルピー 154 部分モル内部エネルギー 部分モル体積決定法 149 78 , 148 , 165 , 174 部分モル体積 147 部分モル自由エネルギー 214 25 182 78 PIanck の式 Bragg の反射条件 フュガシティ係数 182 , 244 , 265 フュガシティ 部分モル量 148 , 154 の分布則 分子運動 分散カ 分光学的方法 分圧の法則 分圧 プロトンの電荷 プロトン受容体 プロトン供与体 Brønsted 18 , 214 , 293 PIanck の定数 128 79 17 113 151 37 228 68 68 68 の平均の速さ 289 分子速度の速度分布曲 分子間カ 7 , 16 , 30 , 45 分子間の相互作用 30 分子間相互作用 88 , 174 62 , 156 , 160 , 164 , 201 7 , 10 , 293 , 294 並進運動エネルギー 9 , 11 , 22 , 88 , 286 Beckmann 温度計 43 Hess の法則 102 , 138 190 ヘクトパスカル 47 へキサシアノ鉄 ( II ) 銅膜 標準変化量 氷点 表面拡張仕事 表面張カ 開いた系 非理想溶液 頻度因子 ファラッド Faraday 定数 158 45 83 30 , 33 77 180 208 , 212 3 Pfeffer pH pH 測定 ヘリウム原子 へノレッ 47 69 264 21 3 半電池反応 半透膜 反応系 反応経路 反応機構 反応速度 反応速度論 反応熱 反応の次数 反応物 非結晶体 飛散能 微視的状態 229 , 230 , 239 van der Waals 定数 14 van der WaaIs の状態式 14 , 79 van der WaaIs カ 16 van't Ho 仕 ーーーイ系数 の式 47 , 225 225 161 の浸透圧の法則 48 plOt 162 , 190 線図 12 HeImhoItz エネルギー 147 Helmholtz の自由エネ 38 , 51 , 73 , 175 Henry の法則 H enry 定数 Henry 則溶液 176 , イ扁モノレ 偏微分係数 偏微分 べンゼン 34 , 49 , 187 , 191 変数の数 ルギー 188 177 148 269 147 165 140 分子の平均運動エネル さ く 311

6. 化学熱力学中心の基礎物理化学

速度定数の温度依存性を式 ( 9.47 ) のかたちで整理することにより 2 つのパラメタース と Ea が導入された . 次に , これらの量の分子論的な意味を考えよう . これに関して簡単 で定性的な理論は Arrhenius によって展開された . 化学反応が起こるためには , 反応物分子間で , ある結合が切れて別の結合ができるとい う結合の組み換えが起こらなければならない . そのためには , 反応の途中に , 古い結合が 切れかけ , かつ新しい結合ができかけた状態を経ることが必要である . この状態は反応物 や生成物よりも高いエネルギーをもち , 活性複 ロ体 (activated complex) または遷移状態 (transition state) と呼ばれる . すなわち , どの ような素反応でも , 高エネルギーの活性複合体 を経て反応が進行する . 言い換えれば , 化学反 応が起こるために越えなければならないエネル ギーの山が反応経路中に存在する . この状況は , 反応座標 図 9 ー 5 に模式的に示した反応のエネルギー図に 図 9 ー 5 反応のエネルギー図 より理解できるだろう . いま , 活性複合体が反応物より Ea だけ高いエネルギーをもつものとしよう . 多数の分 子が 2 つの異なるエネルギー状態をとりうるとき , それぞれのエネルギーをもった分子が どのような割合で存在するかは , 統計力学に基づいた Boltzmann 分布則で与えられる . それによれば , 活性複合体の数と反応物分子の数の比は次式で表される . 活性複合体の数 —Ea/RT 反応物分子の数 反応速度は , 活性複合体の濃度に比例すると考えられるから , その比例定数をスとすれ ば , は次式により反応物の濃度と関係づけられるだろう . = ス x ( 活性複合体の濃度 ) 4 e¯Ea/RT x ( 反応物の濃度 ) こうして , 速度定数が式 ( 9.47 ) のかたちで与えられることが導かれる . また , この Ar- rhenius の理論によれば , 活性化エネルギーの実体は活性複合体と反応物の間のエネルギ ーの差であると解釈される . 例題 9.3 ある反応の速度定数は 25 OC で 15 min-l, 35 OC で 32 min-l である . この反応の活性 化エネルギーと 10 OC における速度定数を求めよ . 解温度が TI およびののときの速度定数をそれぞれん 1 およびん 2 とすれば , 式 ( 9.48 ) より次 の関係が得られる . 々 1 15 min TI = 298 K, 々 2 = 32 min- = 308 K, 209 . 6 反応速度の温度依存性 Arrhenius の式 活性複合体 エネルギー ↓ - 反応物 生成物 ⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ川ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日Ⅲ ん 1 ん 2 (E 1 ) ln この式に ,

7. 化学熱力学中心の基礎物理化学

E 十 S ES E 十 P こで , ES は酵素に基質が結合した複合体で , これは速度定数た 2 で生成物を生じるか , または速度定数に 1 で分解してもとに戻る . この機構から以下のようにして P の生成速度 を表す関係が得られる . P の生成速度は次式で与えられる . d[P] = k2CES] 複合体 ES に対する速度式は dCES] = た 1 CE] CS]—に 1 [ES] ー k2[ES] と表されるから , ES に定常状態近似 ( d [ ES ] / d / 戔のを用いれば , た 1 [E] CS] CES] に 1 + た 2 ( 9.44 ) ( 9.45 ) が得られる . こで , CE] と CS] は遊離酵素 ( 基質と結合していない酵素 ) および遊離基質 ( 酵素と結合していない基質 ) の濃度である . 酵素の全量を [E]O とすれば , [E] 十 [ES] = [E]O の関係が成り立っ . また , 基質が酵素に比べて大過剰に存在すれば ( ふつうはこの条 件下で実験が行われる ) , 遊離の基質濃度は基質の全濃度と近似的に等しい . したがって , 式 ( 9.45 ) は これを式 ( 9.44 ) に代入すれば , P の生成速度として次式が得られる . ーに 1 + 々 2 + た 1 [ S ] CES] — klCE]0[S] これを CES] について解けば , CES] ん一 1 + た 2 た 1 ( [ E ] 0 - CES])[S] が得られる . となり , dCP] = k2CES] た 1 胤 E ] 0 [ S ] た 2 [ E ] 0 [ S ] ーに 1 + た 2 + た 1 [ S ] + [ S ] ( 9.46 ) なおここで , Km= ( ん一 1 十た 2 ) / ん 1 とおいた . 式 ( 9.46 ) は Michaelis-Menten の式と呼ば れ , また Km を Michaelis 定数という . 式 ( 9.46 ) によれば , 酵素反応の速度は , 加えた酵 素の量に比例する . それはまた基質の濃度にも依存し , 基質濃度が高くなれば , CS] 》 となったときに速度は最大値に達することが予測されるが , 致する . 9.6 反応速度の温度依存性一 Arrhenius の式 これらのことは実験とよく一 前節では , 速度式の中の濃度項が反応機構を推定するうえで重要な役割を果たすことを ここでは , 速度式に 示した . しかし , これまでは速度定数には注意を払ってこなかった . 現れるもう 1 つの因子の速度定数に目を向けよう . とくに , 温度が変わったとき速度定数 . 6 反応速度の温度依存性一一 Arrhenius の式ー 207

8. 化学熱力学中心の基礎物理化学

く 209 , 213 Einstein の光量子説 294 180 , 184 246 , 249 217 , 224 224 , 226 61 , 155 84 , 271 工ントロピー項 142 , 186 282 , 291 208 , 215 運動の自由度 運動量 永久双極子 液間電位 液相 さ 1 , 29 , 51 247 17 9 97 引 温度一組成図 温度 Ohm の法則 218 , 229 77 55 活性複合体 活動度 活量 Eyring 213 アセトンジカルポン酸 温度一組成 ( T-x) 相図 57 温度変化 67 , 93 , 122 , 160 活量係数 過程 下部臨界温度 180 81 56 180 , 241 , 265 圧縮率 216 298 圧平衡定数 64 , 161 , 189 52 , 57 190 247 247 3 2 3 41 , 64 25 172 194 ガラス体 仮数 Carnot 圧力係数 Avogadro 数 298 外界 外挿値 回転 回転運動 解離 解離度 開放系 の循環過程 119 カルノーサイクル 25 4 84 , 119 119 2 , 129 , 229 , 239 圧力一組成図 52 , 190 圧力一組成 (P-x) 相図 圧力変化 アニリン アモルファス Arrheni us の式 プロット の電離説 安息香酸 Andrews アンペア アンモニア 硫黄 イオン 57 66 , 160 44 25 207 208 74 18 2 液相線 液相領域 液体連絡 液絡 SI 基本単位 SI 単位系 SI 誘導単位 エタノール 原理 〃次反応 工ーテノレ X 線回折 エネルギー均分則 11 , 283 エネルギーの極小化の 117 エネルギーの項 142 エネルギー保存の法則 界面電位差 解離エネルギー 解離平衡 ガウス分布 化学種の総数 化学的仕事 化学統計力学 化学平衡 化学ポテンシャル 167 , 175 , 238 78 , 147 , 150 , 154 可逆断熱曲線 可逆循環過程 可逆仕事 可逆過程 67 , 102 , 155 , 249 , 261 化学量論係数 81 , 97 1 , 77 293 83 166 288 158 114 238 147 65 65 , 166 11 137 88 , 96 , 112 34 , 66 44 , 49 217 , 228 イオン間相互作用 223 85 191 2 159 223 223 68 71 251 126 128 , 131 , 154 , 172 78 , 84 , 116 , 118 工ントロピー 78 , 91 , 92 , 93 , 116 工ンタルピー 塩橋 塩基解離定数 塩基 塩化ナトリウム 塩化水素 塩化銀 MKS 単位系 襯ーキシレン 工ントロピーユニット 工ントロピ 工ントロピ 工ントロピ 工ントロピー生成 124 131 一変化の計算 138 , 171 一変化 127 ー増大の法則 Euler の完全微分の条件 カロメル電極 関係式の数 還元 甘こう電極 換算圧力 換算温度 換算状態式 干渉 緩衝作用 緩衝溶液 関数形 換算変数 換算モル体積 緩和効果 カンデラ 完全微分量 完全微分可能 完全微分 246 166 236 21 21 21 25 73 72 , 73 21 21 272 222 2 124 132 イオン強度 イオン種 243 158 気圧の式と Boltzmann イオン当量伝導率 231 イオンの活量 242 , 258 イオンの平均活量係数 イオン半径 イオン雰囲気 263 234 222 イオン一不溶性塩ー金 属電極 1 ーオクタノール 1 階線形微分方程式 202 1 次反応 1 次偏微分係数 移動度 218 , 227 , 228 , 234 1 変系 ヴィリアル係数 79 , 184 ヴィリアル式 ウラニウムの同位体 245 49 195 270 50 187 86 21 76 , 88 可逆電池 可逆熱機関 加成性 加水分解 化合物 確率密度 確率 核種 拡散速度 拡散 可逆膨張 可逆変化 可逆反応 47 , 117 , 118 , 131 , 154 98 , 281 122 123 145 123 214 78 215 1 282 86 247 82 122 61 , 145 分布 擬 1 次反応 気ー液平衡 機械的仕事 機械的平衡 基質 希釈 基準点 気相 気相の組成 気相線 気相ー液相平衡 291 199 57 83 117 206 178 90 1 , 29 , 51 51 52 41 気体定数 7 , 165 , 281 気体のヴィリアル方程式 0 ーキシレン Ostwald の希釈律 の粘度計 オーム 274 191 226 227 32 3 活性化エネルギー ウラン 運動エネルギー さ 活性化ェンタルピー 214 活性化ェントロピー 214 活性化自由エネルギー 気体の混合 気体の細孔流出 気体の分子運動論 ーー関連 気体の密度 気体の溶解 気体の溶解度 79 135 11 94 285 38 38 く

9. 化学熱力学中心の基礎物理化学

このように , 可逆反応では , 反応開始後 , 充分長い時間が経過すると反応物および生成物 の濃度がそれ以上変わらない状態に達する . この状態を化学平衡 (chemical equilibrium) と呼ぶ . 反応が化学平衡の状態に達した後では , 各物質の濃度は変化しない . かといって , 化学 反応そのものが起こらないわけではない . 反応は起こっているが , 正反応と逆反応の速度 が等しく , 見かけ上反応が止まっているように見える状態が化学平衡の状態である . 新 . 2 質量作用の法則 ◆ 前節で述べたように , 化学反応が平衡状態に達していれば , その反応に関与する物質 ( 反応種という ) の濃度は一定に保たれる . このとき , これらの反応物と生成物の平衡濃度 の間に , 次のような関係が成り立つ . すなわち , 式 ( 5.1 ) の反応を例にとれば , [HI]i に対 する [ H2 ] e [ 12 ] e の比が一定の値になる . そこで , この比を K で表し , これを平衡定数 (equilibrium constant) と呼ぶ . 式で表せば , [H ] CI ] CHI]ä 2 e 2 e ( 5.2 ) 一般的な反応 〃 A 十わ B 十・・・ = 襯 M 十 N 十・・ に対する平衡定数は次式で与えられる . ( 5.3 ) CM]emCN] ・ ( 5.4 ) 平衡濃度の間に式 ( 5.4 ) のような関係が成り立っことを質量作用の法則 ( mass action law) という . 平衡定数は温度の関数であり , 温度が変われば K は異なった値をとる . 温 度が与えられれば平衡定数は決まった値となり , したがって , 式 ( 5.4 ) のような平衡濃度 の比は , 反応種の初濃度によらず一定になる . なお , 式 ( 5.2 ) あるいは ( 5.4 ) に現れる濃 度は , 平衡状態に達した時点での濃度であることをはっきりさせるため添字 e をつけた . 今後は , 煩雑さを避けるため添字を省略する場合もあるが , 平衡定数の表式に現れる濃度 は常に平衡濃度であることに注意してほしい . 質量作用の法則は , ある場合には , 反応速度の考えに基づいて理解できる . 再び式 ( 5.1 ) の反応を例にとって考えよう . この反応式に従って正方向に反応が起こるためには , 2 つ の HI 分子が衝突しなければならない . したがって , その反応の速さは単位時間あたりの HI 分子どうしの衝突数に比例することは容易にうなずけるだろう . さらにまた , この衝突 数は HI の濃度の 2 乗に比例するので , 結局 , 反応速度は HI 濃度の 2 乗に比例することに なる . このときの比例定数 ( これを速度定数という ) を kf とすれば , 式 ( 5.1 ) の正反応の 速度は次式で表される . = kf[HI]2 62 第 5 章化学平衡

10. 化学熱力学中心の基礎物理化学

式 ( 9.11 ) から , 1 次反応では反応物の濃度は時間とともに指数関数的に減少し , その減少 1 次反応であるかどうかのもう 1 つの判定法は半減期 ( な / 2 ) を利用することである . 半 の仕方 ( 減少速度 ) がたによって決まることが示される . で表される . ln CA = ーた / 十ス lnCA= ーた / 十 lnCA0 13 . 5 18 . 3 26.0 30 . 8 37.3 43 . 8 3 .15 4 .10 6 .20 8 .20 10 . 0 り積分定数が決まり , その結果次式が得られる . こでは積分定数である . A の初濃度朝 = 0 のときの濃度 ) を CAO とすれば , 変数を分離して積分すれば これよ ( 9.1 の したがって , をいろいろ変えて CA を測定し , ln CA を一に対してプロットしたとき , そ れが直線になればその反応は 1 次反応であるということができる . さらにまた , その直線 の勾配から速度定数の値が求められる . 式 ( 9.10 ) はまた次のようにも書ける . CA= CA0exp(—kt) ( 9.11 ) 減期とは , 反応物の濃度が最初の値の半分に減るまでの時間のことである . ん 2 と CA = CA0/2 を式 ( 9.1 のに代入すれば , ln 2 ん 0 .693 ん そこで , / = ( 9.12 ) が得られる . 式 ( 9.12 ) は , 1 次反応の半減期は反応物の初濃度には無関係に速度定数のみ で決まることを示している . 一方 , 高次反応の場合 , 半減期は速度定数だけでなく初濃度 にも依存する . したがって , いろいろな初濃度に対応した半減期を測定したとき , それが ある一定の値を示せばその反応は 1 次反応であるということができる . 10 % の水を含むアセトン中で , 臭化切ィーブチルは切プーブチルアルコー丿レに変化す 例題 9.1 る . この反応は次の反応式で表される . (CH3)3COH 十 HBr (CH3)3CBr 十 H20 25 OC で , 臭化 - トプチルの濃度を時間の関数として測定したところ表 9 ー 1 に示すような結果 ⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅡⅢⅢⅢ 196 t/h 0 第 9 章 表 9 ー 1 C(CH3)3CBr]/mol dm-3 0 .0639 0 .0701 0 .0776 0 . 0859 0 . 0896 0 .1039 化学反応の速度と反応機構 [(CH3)3CBr]/mol dm-3 0 . 0101 0 . 0142 0 .0207 0 .0270 0 .0353 0 .0529