子育て支援 - みる会図書館


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1. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

私たち住友生命は、一一〇〇七年に創業一〇〇周年を迎えたことを機に、日本が直面する 少子化社会への貢献をめざして、「未来を築く子育てプロジェクト」をスタートさせまし た。「エッセイ・コンクール」「子育て支援活動の表彰」「女性研究者への支援」という三 つの公募事業を柱として、すこやかな子育てと夢のある未来づくりを応援するものです。 このプロジェクトを通じて、いまさらながら、子育てに関する見方、切り口にはいろい はあく ろなものがあるということを強く感じました。子育てを多面的、多角的に把握する能力を 養わなければならないと、あらためて考えさせられた次第です。 柱の一つである「エッセイ・コンクール」では、子どもとともに感じた喜び、地域や社 会への願い、未来への希望など、 " 子育て・子育ち , にまつわるエッセイを幅広く募集して きましたが、 地域社会や家族ぐるみで助け合うなど、子どもが社会性を習得し自立するた めの創意工夫のある子育て事例の数々が寄せられました。 本書は、この「エッセイ・コンクール」に寄せられた作品のうち、第五回までの受賞作 はじめに 0

2. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

をまとめたものです。どの作品からも、子育ての過程で、周囲が得る気づきや喜びなどの 「子育てのすばらしさ」が伝わってきます。 少子化によって子ども同士が接する機会が少なくなるなか、参加した誰もが互いに成長 し、よりよい人間関係を養っていけるような活動も増えてきています。そういった環境は、 これからの日本社会にとって、ますます必要になることでしよう。そのご支援ができれば、 大変うれしいことです。 また、命の尊さと、ともに支え合い、助け合うことの大切さを誰もが深く考えさせられ た今こそ、子どもたちの笑顔とその未来を守るお手伝いを積極的にしていかなければと考 えています。 住友生命では今後も、「夢のある未来づくり」へ向けて、子育てに関わる皆さまを応援し てまいります。 二〇一二年三月

3. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

特定非営利活動法人ふれあいネットひらかた ( 代表Ⅱ野村由賀里 / 大 阪府枚方市 ) そのほかの事業 〈第 2 回受賞者〉 ◎内閣府特命担当大臣 ( 少子化対策 ) 賞・未来大賞 法人ママ・ぶらす ( 代表Ⅱ川原史子 / 愛知県海部郡甚目寺町 ) 《子育て支援活動の表彰》 ◎厚生労働大臣賞・未来大賞 子どもは家族だけのものではなく、社会の " タカラ〃です。住友生和歌山おはなしの会語りの森 ( 代表Ⅱ東洋美 / 和歌山県和歌山市 ) 命では、地域において、より良い子育て環境づくりに取り組む個人や団◎未来賞 体をサポートしてまいります。活動の規模は問いません。各地域の参考ボランティアグループあしかが子育て応援ネット ( 代表ⅱ大島裕子 / になる特徴的な子育て支援活動を社会に広く紹介し、他地域への普及 栃木県足利市 ) を促すことで、子育て環境を整備し、子育て不安の払拭をめざします。 法人三波川ふるさと児童館「あそびの学校」 ( 代表理事ⅱ山崎茂 ◎規定 / 群馬県藤岡市 ) ①子育て支援に資する諸活動を継続的に行っていること。 子育てボランティア「ハートフル」 ( 代表ⅱ鶴原伸子 / 福岡県遠賀郡芦 ②活動内容が社会に認められ、ロールモデルとなりうるものであるこ 屋町 ) 法人発達障害を考える会・アングル ( 理事長Ⅱ宇和川美保 ③活動の公表を了承していただける個人・団体であること。 / 兵庫県伊丹市 ) ④日本国内で活動している個人・団体に限ります。 〈第 3 回受賞者〉 〈第—回受賞者〉 ◎内閣府特命担当大臣 ( 少子化対策 ) 賞・未来大賞 ◎厚生労働大臣賞・未来大賞 法人子ども達の環境を考えるひこうせん ( 代表Ⅱ赤迫康代 / 岡 法人ワニワニクラブの仲間達の会 ( 代表日吉田淑惠 / 北海道室 山県備前市 ) 蘭市 ) ◎厚生労働大臣賞・未来大賞 ◎未来賞 むくどりホーム・ふれあいの会 ( 代表日柴川明子 / 北海道札幌市 ) ZO*O 法人子育て支援センターちびつこはうす ( 代表ⅱ宮沢由佳 / 山◎未来賞 梨県甲府市 ) Z O 法人サポートセンター ( 代表Ⅱ谷地ミョ子 / 福島県南相馬 こどもコミュニテイケア ( 代表ⅱ末永美紀子 / 兵庫県神戸市 ) 市 ) 京都文教大学「助け合いの子育てネット」 ( 代表三林真弓 / 京都府宇特定非営利活動法人うていーらみや ( 代表Ⅱ仲本千佳子 / 沖縄県那覇 治市 ) 市 ) 特定非営利活動法人とんだばやし国際交流協会 ( 代表日真嶋克成 / 大「知ろう ! 小児医療守ろう ! 子ども達」の会 ( 代表Ⅱ阿真京子 / 東京都 阪府富田林市 ) 杉並区 ) 「未来を築く子育てプロジェクト」の 252

4. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

まだ若い一生懸命ママさんたちにも、そんな出会いが数多くありますように。 やればできる男の子育て上野貴也 いっからか人生の目標が「家庭を作って立派な た。そこでは、乳幼児とその保護者向けに「子育 お父さんになること」になっていた 。子育ては両て支援センター」なるものが毎週開催されており、 親でするものという考えが強かった私は、気が付子どもや保護者同士の交流や情報交換の場を提供 けば育児休業という道を選んでいた。周囲の応援しているとのことだった。 ちゅうちょ これ」ー と思ったが、少し躊躇もしていた。 を頂戴しつつ、家事・子育ての責任者としての生 とまど 活を始めたものの、最初の頃はやはり戸惑うことお母さん達の中に突然、私が紛れ込んで大丈夫だ きおく も多かった。たまに義理の母親が手伝いに来て くろうかと気後れしていたのだ。とはいえ子育ての れるのが本当にありがたかった。 責任者がそんなことではいけないと思い直し、覚 娘の首と腰が据わってきた頃、そろそろ自宅以悟を決めて行ってみることにした。 外の場所で遊ばせることはできないだろうかと考会場には四〇組からの母子が集まっており、大 えていたところ、近所に児童館があることを知っきな部屋だったがすでに人でいつばいだった。お まぎ

5. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

ックアップしてくれる。子ども達は、「ちゃあち敏感な気持ちを家族のように受け入れてくれる ゃんより怖いときある」と言いながらも暖かい愛さんご夫婦に心から感謝している。子ども達に状 情を感じるさんを『ファミばあちゃん』の愛称況を正しく理解してもらえるように、私自身が周 で慕っている。 囲の人に素直に力を貸してもらいながら、寂しさ 「ファミばあちゃんとどんぐり拾いに行った」なをカバーできるような子育てを築いていければと どとファミばあちゃんと過ごす時間を満喫してい 思っている。 る様子の子ども達。しかし、時には、「今日はお 今では何を隠そう、地域の子育て支援を存分に 母さんが恋しくてちょっと元気なかったから、じ受けているこの私こそ、地域に育てられている張 いじと一緒にお風呂に入ってリラックスしました本人であると実感している。 の 法 あ。帰ったら、しつかり抱きしめてあげてよ」 私も非力ではあるが、これまでの支援に感謝し、 斗 6 とファミじいちゃんを巻き込んで、子ども達の地域の子育てに貢献していければと思っている。 う と あ 細越美由紀 「僕はね、大きくなったら宇宙飛行士になるからね。それでね : ・ ありがとう 157

6. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

きずな 子育てが難しい時代です。人と人との絆が見直されつつあるとはいえ、地域社会とのか かわりが薄れ、親も子どもも " 独りぼっち…になりがちだからです。そういう社会に挑戦 し、のびのびと子育てができる環境をつくり出そうという住友生命さんの「未来を築く子 育てプロジェクト」に、私も実行委員長としてスタートからかかわってまいりました。 とくに「エッセイ・コンクール」に寄せられた数多くの作品からは、仕掛けても生まれ ないようなふれあい、助け合いが自然発生的に行われている状況を感じました。選考を通 じて、家族や地域のあたたかさに勇気づけられ、人間社会の素晴らしさを教えられました。 子育てが周囲の人を巻き込み、町おこしにまでつながる可能性さえ感じたほどです。 子育ては常に不安と背中合わせです。子育ての現場の声を広く社会に伝え、子どもを持 っことで生きる喜びが倍になっていくようなあたたかい地域社会をつくり出すことが必要 です。受賞作品をまとめた本書が、多くの人の共感を呼び、子育て支援が多様なところで 広がり、社会に根づくことを願ってやみません。 おわりに 250

7. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

吉田久美 保育園に六年勤めた後、私は子育て支援の広場もに振り回されて疲れたとこぼした若いパノに 「まあ、あとは帰ってお昼寝ですから」 で働いた。それまでの経験が役に立つ事も多かっ と言ってしまったこともある。違うでしょー たが、広場での保育士としての役割は、保育園と は全く違うものだった。子どもに、 パパ偉いねお疲れ様でしょ ! 何度自分に突っこ んだかわからない。子育て支援て何だ自分の 「せんせい、かくれんぼしよ」 と手を引かれても、ここは " 親御さんの責任の中に答えが見つからないまま、結婚を機に辞めて しまった。 もとで〃利用する所。遊びたい気持ちを抑えて、 「先生お仕事あるんだ、ごめんね」 三一歳の夏、私もようやく親になることができ た。可愛い娘と二人、幸せいつばいの毎日。これ と離れる。また別の親子が訪れると、母親は 「うちの子、一歳半なのに歩かないんです」と相談といった悩みもないまま、いつも近くの公園で遊 を持ちかける。クラス担任で毎日見ている子と違んでいた。しかし、さすがに人と話したくなった い、安易に大丈夫とも言えず、歯切れの悪い返答私は、ある日、久しぶりに地域の支援センターに をする。はあ : ・私は何をしに来ているのか。子ど出向いた。 出会った数だけ

8. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

また、今の子どもたちは、家庭では親、学校では教師というように、大人と子どもの縦 の関係が主となり、異年齢の子ども同士をつなぐ横の関係が薄くなっています。もちろん、 人生の先輩である大人から学ぶことはたくさんあるでしよう。しかし、これからの社会に 希望をもたらす「共助」の力を育てるためには、やはり、異年齢の子どもたちが一緒に遊 び、お互いに助け合い、時には競い合っていくことが欠かせません。大人がそれを見守る ことで、子どもたちは安心して「共助」の力を育み、同時に「自助」の力もつけていくの だと思います こうした環境を復活させるのに大きな力を持つのが、地域社会で子育てを支援する団体 だと思いますし、そのためにもっともっと支援の輪が広がらなければならないとあらため て感じています。 さらに、子育てをしながら学術研究を続ける困難さを抱えている多くの女性の現状を見 ると、私たちの社会がまだまだ変わっていかなければならないことも痛感させられます。 これからも、さまざまな活動を通じて、子どもはみんなで育てる〃社会の宝〃であるこ とを広く発信していきたいと思っています。 堀田カ ( 公益財団法人さわやか福祉財団理事長・弁護士 ) 0 251

9. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

ファミばあちゃんに感謝柿本清美 二人の息子をともに一歳前後で保育園に預け、んを忘れてはならない。さんには、園が休みに なる土曜日の午後、園までの迎えとタ方までの保 仕事に復帰した。 観光バスの運転手をしている夫の勤務は不規則育を依頼している。 で、家に帰れない日も多い。そんな中で子ども達子ども達の祖母ぐらいにあたるさんは、子育て はいつも私のペースに巻き込まれ、「早く ! 早のべテランで腕白小僧をも黙らせる迫力を持ち合わ いたずら せているので、ちょっと悪戯が過ぎた時は、ガッ ! 」とせかされ、熱を出した時まで、「またあ。 ンと注意をしてくれる。さんは最近少なくなった 仕事休まなあかんやん」と愚痴られる始末。 こんな私の身勝手な子育てをフォローしてくれて他人の子を叱れるタイプの人だ。本来は、母親で いるのが、子ども達を多岐にわたって指導してくれある私の仕事なだけに、子ども達のしつけが行き届 る保育園の先生であり、旅先から電話をかけてきていていないことに恥ずかしくなるが、「気づいた大 人が声をかけたらええんや。ええとこは褒めて、悪 は家族の復旧作業に一役買ってくれる夫である。 いことをしたらこれからもどんどん注意します」 しかし、我が家の子育てに欠かせない人として、 と意に介すことなく、私の子育てを全面的にバ ファミリーサポート ( ファミサポ ) 支援員のさ 156

10. 子育てがもたらしてくれるもの エッセイ・コンクール受賞作品集

それが一〇カ月程前、妻から予期せぬ「第二子と思い、取得可能な制度を探しながら、一つ一つ 妊娠」の吉報。大きな喜びと共に頭に浮かんだの実生活に生かしていった。また、初めての家事と は、同年代の妻の出産リスクと育児負担だった。 仕事との両立への戸惑いは予想を遙かに超えてい 第一子も帝王切開、育児も人一倍手のかかる長女 とまど を、子育ての悩みや戸惑いを自己解決し育ててく 三四時間、こんなに大変な生活を専業主婦はや れたおかげで、仕事にも専念できた。その負担も っていたのか ! 」衝撃だった。今まで抱き得なか あり、長女が三歳の時に妻に手術・入院生活を送った「妻への思い」が日々、積み重なっていった。 らせた苦い記憶も蘇った。更に祖父母も遠距離毎日送迎が必要な小学校二年の長女と時に協働 かつ高齢となった今。数カ月考えた末の決断は、 しながら、四月から二カ月間、出産を待った時間 「自分の生活を子育て中心へ ( 「子育て支援諸制度は、 かけがえのない財産となった。娘とじっくり の活用」 ) 」だった。家庭での実体験と仕事からの向き合い、自転車の練習や鉄棒等を教えながら、 経験や気づきも重なり、八年前には思いも至らな 「娘との距離」が近づいていった。手術を終えた母 かった決断ができた。本県が「子育て満足度、日子を、長女と共に迎えた時の彼女の笑顔は忘れら 本一」を掲げていることも迷う中年オヤジの背中れないものとなった。 を押してくれた。 育児休業も取得し、育児に専念する今、やっと 周囲に前例のない諸制度利用のハードルは、や寝返りがうてるようになり、表情豊かになった次 はり高かった。ただ、これが「父親の出産準備」女を「抱っこする腕」も随分、馴染んできたよう よみがえ 198