これが商品先物取引・ノ章 もあるが、欧米でのヘッジファンドは、機関投資家や富裕層のみを対象 とし、運用成果に基づいた成功報酬となっている。ヘッジファンドの市 場は、現在では 1 兆米ドル ( 約 110 兆円 ) に拡大したといわれている。 「ヘッジファンド」と「投資信託」の違いは、 ①「ヘッジファンド」は大口顧客のみを対象としたプライベートファ ンドである。 ②「ヘッジファンド」には「ミューチュアルファンド ( 投資信託 ) 」 に適用される規制がない。 ③「投資信託」はチームによる運用であることが多いので、合議制が とられることが多いのに対し、「ヘッジファンド」では運用担当者 に大きな権限が与えられ、責任を負わされている。 ④「ヘッジファンド」は成功報酬を主な収益とする。損失を出すと、 それを解消するまで収入がない場合が多い。 ⑤「ヘッジファンド」には運用者自身の資産が入っており、また、報 酬の大部分が運用資産に再投資される場合が多いため、「投資信託」 や「年金資金運用」等のように、人の金だから失敗しても平気で いられる運用と真剣味が異なる。 ⑥「ヘッジファンド」は、先物取引等を利用したり、借り入れを行い、 集めた資金の何倍ものレバレッジ ( てこの原理 ) をきかせる。 このヘッジファンドをさらに発展させたものに、「商品ファンド」が ある。投資信託やヘッジファンドとの違いは、何でもありというところ であろう。つまり、投資対象を限定列挙した運用と違い、為替、金融商 品、商品先物、あるいは絵画や競馬馬、商品そのものなど、利益が出る と思うものに対してはフレキシプルに投資していく。「投資信託」とい うと、もつばら株式の現物投資が多く、「ヘッジファンド」といえば、 企業買収も含む株式投資や債券投資が多いのに比べて、「コモディティ ーファンド」、あるいは「マネージドフューチャーズ」と呼ばれる「商 品ファンド」は、あらゆる市場を対象とする。 37
ヘッジファンドの考え方 「ヘッジファンド」とは、 1949 年、米国の社会学者で「フォーチュン誌」 の編集者でもあったアルフレッド・ウインスロー・ジョーンズが「経済 予測の手法」という本で提唱し、投資のためのパートナーシップを設立 したのが最初といわれている。その概念は、株式を購入する場合、通常 は値上がりしそうな割安な銘柄を買うが、ヘッジファンドでは同時に値 下がりしそうな割高な銘柄を売る。 同時に売りと買いの 2 つのポジションを持つ。すると、何か政治的・ 経済的要因で株価全体が下がってしまった場合は、割高な銘柄 ( 空売り している銘柄 ) の下げ幅のほうが、割安な銘柄 ( 買っている銘柄 ) の下 げ幅より大きいはずだという理論である。 く割高銘柄の売り〉 株価全体が 下がった場合 く割安銘柄の買い〉 損益 = ( 割高銘柄の利益額① ) ー ( 割安銘柄の損失額 ) > 0 一般的には、ヘッジファンドでは何かを買う場合でも、違うものを売 ってリスクを分散させる手法を取る。また、投資した資産を担保に入れ てさらに借り入れを行ったり、証拠金取引の先物取引等で、レバレッジ ( てこの原理 ) をきかせてより大きな取引を行う。 日本の商品ファンドのように、最少単位が 10 万円と小さくなったもの 36
・付録 「ポリンジャーバンド入門」ジョン・ A ・ポリンジャー / 長尾慎太郎・飯田恒夫 監訳パンローリング 「マネーゲームの予言者たち」トマス・バス / 栗原桃代訳徳間書店 「複雑さの帰結」塩沢由典 NTT 出版 「リスク」ピーター・バーンスタイン / 青山護訳日本経済新聞社 「 10 冊 % の男」フェアリー / 炭谷道孝パンローリング 「トレードとセックスと死」ジョ工ル・ E ・アンダーソン / 増田丞美監訳パン ローリング 「ヘッジファンドのすべて」ジョセフ・ G ・ニコラス / 今井澂・藤井真人監訳 東洋経済新報社 「入門先物市場」宇佐見洋東洋経済新報社 「商品取引所法」河内隆史・尾崎安央商事法務研究会 「日本の商品先物市場」小山良・済藤友明・江尻行男東洋経済新報社 「相場師異聞」鍋島高明河出書房新社 「相場師奇聞」鍋島高明河出書房新社 「金融工学の悪魔」吉本佳生日本評論社 「ヘッジファンドの虚実」足立真一日本経済新聞社 235
いかなかった。ごく一部の超有名なファンドマネージャーでも、何年も 勝ち続けるのは難しい。ヘッジファンドの年間パーフォーマンスは、 1 桁台なのである。 Managed Account 日 epo 社ホームページ ( 英文 ) http://www.marhedge.com/ 彼らは、世界のあらゆる先物市場を映し出すモニター画面から片とき 52 同じ場面で同じような間違いをしなくなるという教育的効果がある。 べきであり、また、 トレードごとに感想をコメントしておくと、将来、 もある。しかし本来は、取引の記録はトレーダー本人がこまめにつける 最近のネットトレードでは、トラックレコードを表にしてくれるもの め目標価格や目標利益額、損切り価格などを設定して、書き出しておき レードはできない。少し手間をかけて、トレードを始める前にあらかじ 損切りや目標利益を頭の中だけで考えて取引を行うと、規律のあるト 3 記録をつける ないと、ご納得いただけたであろうか。 ている。素人のあなたの運用成績が、たとえマイナスであっても致し方 も離れることなく、寝食を忘れて相場に勝っことに時間と労力を費やし
3 項 4 項 2 章 1 項 2 項 3 項 4 項 ■ 8 ヘッジ取引が多い商品市場は、ヘッジャーが 損得に関係ない取引を行う分だけ、 一般投資家に勝つチャンスがある・・・ 34 ヘッジファンドの考え方 商品先物取引のリスク ■ 1 投資資金がなくなるリスク・・・ 38 ■ 2 預けた資金の保全リスク・・・ 39 ■ 3 価格変動リスク・・・ 42 ■ 4 情報収集リスク・・・ 43 商品先物取引の勝ち方 損切り ( ストップロス ) マネーマネージメント ■ 1 分散投資・・・ 53 取引手法 ■ 3 記録をつける ■ 2 目標管理・・・ 50 ■ 1 資金配分・・・ 49 ■ 2 アービトラージ ( 裁定取引・サヤ取り ) ・ 題 3 サヤ取り取引の例・・・” ・・ 54 64 36 38 46 49 53 ■ 4 正しい方法だと、間違って覚えられている取引手法の禁止 商品先物についての情報源 ■ 3 ■ 1 ■ 4 相場分析・・・ 65 テ、 - ータ・・・ 65 ■ 2 価格やチャート・・・ 65 ニュース・・・ 64