増え続ける添加物 日本における添加物の現状はまったく変わっていないどころか、深刻化していると「は じめに」で述べました。それを端的に表しているのが、使用が許可されている添加物の数 です。その数は年々増え続けています。 添加物は、厚労省が認可 ( 指定 ) したものだけが使用されます。合成品は「指定添加物 天然系は「既存添加物ーと呼ばれ、そのほか「天然香料ー、食品を添加物として使う「一 般飲食物添加物ーの 4 つのグル 1 プに分かれます。 2001 年における化学的合成添加物 ( 指定添加物 ) は 338 品目、前著『食品の裏側』 を書いた 2005 年時点では 357 品目でした。 ところが、本稿を書いている 2013 年 8 月時点で、化学的合成添加物は 436 品目。 この肥年間に約 100 種類近く増えているのです。 化学的合成添加物 ( 指定添加物 ) が 430 あまりというと、「ずいぶん多いのね」と思わ れるかもしれません。しかし、本当は「 436 」ではなく、「 4500 」だといったら驚 かれるでしよ、フか
第 1 章 : はじめに 添加物が本当に怖い理由とは何か ・ % 添加物は自分で食い止められる 激安ハンバーグ弁当の裏側 使われている添加物と表示される添加物の「違い」 お母さんのハンバーグ弁当 っ (. 0 ・アベ食品のハンバーグ弁当 ? 4 1 ー 食材に使われている添加物 見えない添加物・隠れた添加物がこんなにある ー 4 0 、「だしがら」でつくるおにぎりの具 ・ 44 ー ・【・誰もが大好きな「から揚け」の秘密 思いのほか添加物の多いお惣菜 8 っこっム 2 1-
第 章・・ 禁止になるまでの間、発がん性の疑いのあった添加物を食べていた私たちは一体どうな るのでしよう 「添加物の安全性は国が保証しているんじゃないの ? 「メーカーは危険性を知りながら売っていたのではないのかー こうした疑問や怒りの声が出るのも当然のことだと思います。添加物を取り扱っていた 私自身ですら、そう思ったのですから。 添加物が削除される理由 なぜ一度認可された添加物が禁止 ( 削除 ) になるかというと、その理由は次の 3 つです。 ①動物実験で発がん性が確認されたもの、あるいはその疑いがあるもの。化学的合成品 のみならず、天然系添加物も削除されました。 ②一度指定されたものの、現実的に使用の実態がないもの。天然系添加物 ( 既存添加物 ) に多く見られる ・添加物の認可をめぐるおかしな現状
第 3 図表 0 ] 年々増え続ける化学的合成添加物 章 : 添加物の認可をめぐるおかしな現状 既存添加物 365 ( 天然由来品 ) 419 489 指定添加物 ( 化学的合成品 ) 436 388 338 天然香料 ( 天然由来 ) ( 基原物質 ) 612 612 612 72 一般飲食物添加物 72 72 2001 年 2008 年 2013 年 8 月 1 2 年間の添加物
第 章・ では添加物の原料、および製造方法は問わないのです。出来上がったものだけが安全性の 対象となるからです。 しかし、こういう情報を知って、それでも買いたいと思いますかつまり、それこそが 消費者にとって大事な情報のはずです。 添加物より恐ろしい不純物 添加物を合成する時に「不純物」が生じることがあります。不純物はごく微量なのです 発がん性などを持っこともあります。 前述したコ 1 ラのカラメル色素に含まれる、発がん物質と報告のある 4 ーもその 1 つです。 発売禁止になったエコナは、汕を分解し、新しく合成する過程で発がん性物質が生成さ れていました。 こうした不純物については基準をつくろうという動きがあります。 近年タール系色素の黄色 5 号については完璧に規格ができました。しかし、ほかのター ・限りなくプラックに近い添加物
第 章・ : 抗生物質は日本では、食品衛生法で禁じられていましたが、の要請により乳製品に 抗生物質・ナタマイシンの使用を認め、さらにはやはり抗生物質で保存料として微量で効 果のあるナイシンが 2009 年に認められました。 これらは各国の添加物の認可の違いが貿易の障害にならないように、添加物を広く認め て国際的に共通化しようという動きなのです。ここでリストアップされた添加物を「国際 汎用添加物ーと呼びます。 一般的に、添加物は認可されるまでに何年もかかりますが、国際汎用添加物の場合は、 国内での試験は行わず、海外のデータが使われるため、認可が下りるのがスビーディーな のです。 国際汎用添加物として現在菊品目がリストアップされており、これまでに引品目が認可、 残りⅡ品目も近く指定の見込みです。ほかにも現在審議中のものがたくさんあることを考 えると、化学的合成添加物はまだまだ増え、現在の 436 を大きく上回り、 500 にすぐ くのではないかと思われます。 ましてや、に参加したらどうなるのかの目的の一つは、貿易をスム 1 ズ にすることですから、参加国で認められている添加物は、日本でも認めざるを得なくなる ・添加物の認可をめぐるおかしな現状
はこれらを「日持向上剤」 ( 下表 ) と呼んでいま すが、本文 ( 芻ページ ) のポテトサラダの原材料 を見て下さい 調整剤と併用の例です。 * 5 加工デンプン 添加物と食品扱いの 2 種類あり、まぎらわしい 「加工デンプン」とはデンプンを化学処理す ることで、ねばりを出したり、あるいはサラサ ラにするなど、特定の性質を持たせたものです。 具体的には酵素や酸を反応させたりします。 驚くほど多くの種類がありますが、日本では 従来、「添加物 , ではなく「食品」扱いとされ ていました。 それが 2008 年にⅡ種類について添加物と して新しく追加指定されたのです。海外ではこ ・特別付録 [ 図表朝 ] 保存目的の日持ち向上剤 指定添加物 ( 化学的合成品 ) グリシン 酢酸 Na ビタミン BI (VBI) プロピレングリコール 乳化剤の一部 など 既存添加物 ( 天然系添加物 ) 白子たんぱく ポリリジン ペクチン分解物 ※保存料 ( 品名 ) の表記 キトサン リゾチーム ( 酵素 ) 香辛料抽出物 など 235
添加物には誰も「監督」がいない 添加物は毎日、そして長年にわたって摂り続けるものです。 しかも、幼児から成長期の小中学生、体調の悪い人、病気の人、高齢者、ストレスのあ る社会人など、ほとんどの人が摂取するものです。 したがって、添加物の認可は相当に厳しく審査され、決められるべきだと思います。 本当に必要不可欠な添加物なのか、安全性のみならず、添加物を使うことによるメリッ トがデメリットを上回る本当のメリットなのかどうかを考える必要があります 医薬品との比較をしてみると、医薬品の場合はたとえ副作用があっても、病気を治すと いう効果が大きければ使用されます。しかし、それは専門知識を持った医者の管理下で行 われます。つまり医師が投与の量、回数を決め、経過を観察します。リスク管理ができて いるのです。 ところが食品添加物や農薬は、誰が、どんな摂り方をするかのアド。ハイサーがいません 「この添加物を摂ると、こういうメリットがある ( 簡単・便利 ) 。一方で、こういうデメ リットがある ( 安全性が疑問 ) 。この状況においてはメリットを優先して、この添加物を摂 108
章・・ 添加物テストで使われる添加物の量は、日常の食生活で摂取する量をはるかに超えた非 現実的なもの ( だから大丈夫 ) と添加物業界は反発しますが、国からの指示ではどうしよう もありません。 この場合の食品工場の反応は、 2 つです。 1 つは冷静に受け止めるところ。製造工程を 急遽変更し、問題の添加物をまったく使わない製造方法にするか、同様の働きのある添加 物を代用するという対応をします。場合によっては、その商品の生産を断念することもあ ります。 もう 1 つは、「よくもそんな発がん物質を売りつけてくれたな」と、感情的になって私 たちを叱りつけるところです。 ごというのを しかし、私たち添加物販売業者にしても、国や添加物メーカーが「安全ナ」 信じて売っていたわけで、突然「使用禁止」といわれても、簡単に納得できるものではあ りません。加工現場と直接かかわる私は、そのたびにやり場のない腹立たしさを覚えたも のでした。 「過酸化水素」が発がん性の疑いで禁止になった時に混乱したのは、数の子業者でした。 数の子は、もともとは黒ずんでいるので、過酸化水素水できれいな黄金色に漂白するので ・添加物の認可をめぐるおかしな現状
でしょ - フ 私たち消費者が気になる、化学的合成品 ( 指定添加物 ) の推移を示したのが右の〔図表 3 3 〕です。 天然系添加物の迷走 一方、天然系添加物 ( 既存添加物 ) はどうなっているか、見てみましよう。 天然系添加物は、かっては表示の必要もなく、どの食品でも制限なく自由に使用してい いものでした。ところが 1995 年の食品衛生法改正の時に指定制になり、この時、特例 として業者 ( 添加物製造メ 1 カー ) の申請したものはすべて使用可能とされました。 「この際とりあえずなんでも申請してしまおう」と、片っ端から駆け込み申請されたと いう事情があり、当時、申請された 489 品目がすべて使用可能とされました。安全性テ ストも十分に行われず、使用実態も調べられることはなかったのです。 しかし、当時全国の食品加工業者に添加物リストと使用実態の調査表が配布され、この 中にはやはり実際に使用されていないものも多くあったということで、 2004 年に品 ・添加物の認可をめぐるおかしな現状