昭和 43 年、花田勝治氏 ( 初代若乃花 ) がテレビの相撲 解説で語った言葉。相田みつをはこの言葉に感動して 書に表わし、額装して一面識もない花田氏に贈った。 みずからの仕事を「誰のものでもない自分の言葉を、 書という形式をかりて表現する」と意味づけていた 相田作品としては例外的なもの。 76
あいさつ つまづいたりころんだり いつになっても思うにまかせぬ歩みではございますが また個展を開かせていただくことになりました ほんとうにおかげさまでございます 暮のあわただしい時期ではございますが 見にきていただければ幸いです 昭和 44 年 12 月 1 日 相田みつを 自分の歌自分の言葉を書いた書作品 第 9 回相田みつを個展 とき 1969 年 12 月 9 日 ( 火 ) ~ 12 日 ( 金 ) 4 日間 桐生市本町 4 丁目シマ画廊 ところ 第 9 回個展案内状 ( 1969 年 ) 作者の言葉 或時は気負って大いにカんでみたり、 或時は混迷してひどくしおげたり しながら、私は私なりに人生の真実 を求めて一生けんめいに歩いてきた つもりです : : : が 筆は冷酷なまでに厳しく、 貧困で醜い私の姿以外の何物をも表現 してくれませんでした。 これが今日までの私のすべてである かと思うと、恥しさで一杯です 「芸術は所詮人間の表現である」という 昔からの言葉が今更のように身に沁み わたります いまは、自分の裏側にある醜さ、他人 に見せたくない己れの汚なさ、未熟さ の一切をさらけ出して皆様の御批判 を仰ぎ、謙虚に明日への出直しをする つもりです 尚日頃暖い御後援と御声援を賜れた 方々に対して心から御礼申上ます 一九五九年十一月末日 制作を終えて相田みつを ( 第 2 回個展案内状より )