携帯電話 - みる会図書館


検索対象: 痕跡 (下)
72件見つかりました。

1. 痕跡 (下)

「あたしがドラッグストアへいってるあいだ。そのとき何かがおこったのよ」また目 をぬぐう。「帰ってきたときは窓があいていた。出かけたときはしまってたのに。あ の子があけたのかどうかわからない。フランクがやったといってるわけじゃないの よ。でもフランクに何か関係あるんじゃないかと思って。彼が近づくと何でもだめに なってしまうから。医者であるフランクのことをそんなふうに感じるなんて、おかし いわね。でもあなたにはわかるでしよう」 「そろそろ失礼するわ、ミセス・ポールソン。楽しい会話じゃなかったことはわかっ てるわ。何もかもね。わたしの携帯電話の番号は知ってるでしよう。何か大事なこと を思いだしたら、電話してちょうだい」 彼女は壁を見つめ、泣きながらうなずいた 「この家にきたことがある人で、わたしたちが知っておくべき人とか。フランク以外 でね。フランクがつれてきた人とか、彼の知りあいとかいっしょにゲームをした人 ミセス・ポールソンは、スカーベッタが戸口へむかっても椅子から立ちあがらなか った。 「だれでも頭にうかんだら教えてね。ギリーはインフルエンザで死んだのではない」

2. 痕跡 (下)

なぜ家の電話にはでないの ? AJA っ 気が散るのがいやなんだ、とべントンは答えた。だから固定電話にはでない しても連絡したいときは、携帯電話にかけてくれ。気を悪くしないでくれ、ケイ。そ ういう状況なんだ。わかるだろう ? べントンの携帯電話が二回鳴ったところで、彼がでた。 「いま何してるの ? 」べッドのむかいにある、何もうつっていないテレビの画面を見 つめてきいた。 「やあ」べントンの声はおだやかだが、他人行儀だ。「オフィスにいるんだ」 スカーベッタはアスペンのタウンハウスの三階にある寝室を思いうかべた。べント ンはその部屋をオフィスとして使っている。彼はきっとコンピュータースクリーンの うえに文書ファイルをあけて、デスクの前にすわっているのだろう。担当している事 べントンが家で仕事をしているの 件の捜査にかかわる作業をしているにちがいない を知って、すこし気が楽になった。 「たいへんな一日だったのよ。そっちは ? 」 「何があったのか話してくれ」 スカーベッタはドクター・マーカスのことを話しはじめたが、あまりくわしいこと

3. 痕跡 (下)

の警察官を何人か面接して、そのなかに彼女がいたんだろう ? あいつが身辺警護に 関してはまったく未経験なのを知りながら、雇ったんだ」 「携帯電話ではこの話をしたくないわ。自分たちの携帯電話でも」 「ぼくもしたくないよ。精神科医に話すといい」精神科医とは、ルーディが使うべン トン・ウェズリーのコード名だ。「電話したらどうだ ? いや、まじめな話。彼なら 何か考えつくかもしれない。 この記事をメールで送るといっといてくれ。指紋がと れたよ。例のかわいらしい絵を描いたやつが、きみの家の郵便受けにプレゼントをい れてくれたんだ」 「そうだと思った。前にもいったけど、変なやつがふたりいるわけじゃなくて、よか った。精神科医と話したわよ。あたしがここでやることを、彼がモニターしてくれる ことになったわ」 「それはい ) し考えだ。ああ、そうだ、忘れるところだった。ダクトテープに毛がつい 下 ていたんだ。化学爆弾に使われていたダクトテープに」 跡 「どんな毛 ? 」 痕 「十五センチくらいの長さの黒っぽい毛で、カールしている。毛髪だな、あきらか に。くわしくはあとで。固定電話でかけてくれ。やらなきゃならない仕事がいつばい

4. 痕跡 (下)

279 痕跡 ( 下 ) に刷りこまれてゆがんでしまったものは、もう元にはもどらない。めったにないこと だが、泣くときはひとりで泣く。痛みを感じたときは、それを隠そうとする。 着替えをおわりかけたとき、静寂がつづいていることに気づいた。急にあわてふた めき、小声で悪態をつきながら、スキージャケットのポケットをさぐって、携帯電話 をとりだした。電池が切れている。昨夜は疲れはて、みじめな気分だったので電話の ことを思いっかず、そのまま忘れてポケットにいれつばなしにしてしまったのだ。ル ーシーらしくないことだった。いつもの彼女からは考えられなし ) 。ルーディは彼女か どこに泊まっているか知らないのだ。おばも知らない。どちらもルーシーが使ってい る偽名を知らないので、たとえセントレジスに電話してきても、彼女にはつながらな いだろう。ルーシーがどんな名前でどこに泊まっているか知っているのは、べントン たけだ。こんなふうにルーディと連絡がとれないような状態にしてしまうのは、ふつ うならありえないことだ。プロらしくないふるまいで、彼は激怒するにちがいない とりわけいまは、ルーディとの距離をこれ以上広げたくない。彼がいっしょに仕事を するのをやめると ) しいだしたら、どうしよう ? ルーディほど信頼できるパートナー 、刀 . し子′ . し よ : ルーシーは充電器をさがしだし、携帯電話をさしこんで電源をい れた。メッセージが十一件はいっている。大半が東部時間の午前六時以降に残された

5. 痕跡 (下)

ませんか ? 彼女はインフルエンザにかかっていたわけだから。うっされることを心 配しなかったのかな ? 」と、プラウニングがきいた。 「おかしくはないわ」スカーベッタはポルトカッターをもった警官を見ながらいっ た。突然、戸が大きくひらき、光の束が納屋の暗闇につきささった。 「どうしてですか ? 」彼がきいたとき、スカーベッタの携帯電話が振動しはじめた。 「麻薬中毒者は、禁断症状に苦しんでいるときに、肝炎やエイズのことは考えない わ。連続レイプ犯や殺人犯は、レイプや殺人をおかしたい気分になったとき、性病の ことは考えない」ポケットから携帯電話をとりだす。「それと同じことよ。エドガ ・アランが女の子を殺したいという衝動にかられたとしたら、そのときにインフル エンザのことを考えるとは思えないわ。ちょっと失礼」そういって、電話にでた。 「ぼくです」と、ルーディがいった。「あることがわかってね。そちらに知らせる必 。リッチモンドであなたが調べている事件ね。そこであがった潜在指 要のあることが 下 紋が、ぼくたちがフロリダで扱っている事件の潜在指紋と一致したんだ。 跡 で照合したところ。指紋の主はわからない」 痕 「ぼくたちって ? 」 レーシーとぼくが捜査にあたっている。 ä「こっちで扱ってる事件のひとつなんだが。ノ

6. 痕跡 (下)

35 痕跡 ( 下 ) 暗号のような自己流の速記を使うのだ。 スカーベッタはクリップポードをもった男に名前をきき、彼はバド・ライトだと答 えた。ヾ い「・ ) フイト ヒールみたいでマリーノにはおぼえやすい名前だ。といっても、 であれ、ミラー・ライトであれ、ミケロプ・ライトであれ、ライトとっくものは彼の 好みではないが。スカーベッタは、土のサンプルをとりたいので、テッドが倒れてい た正確な位置を知りたい、 とバドにいっている。バドはすこしもふしぎそうな顔をし なかった。建設作業員がトラクターに轢かれると、必ず美人の女性検屍官と の野球帽をかぶった大男の警官がきて、土のサンプルをとっていくものだと思ってい るのだろうか。彼らはまた深い泥のなかを歩いて、ビルへ近づいた。マリーノはその あいだずっとスーズのことを考えていた。 昨夜、マリーノはのバーで、ウイスキーをもう一杯飲もうとしているところ だった。昔から彼がのろまのアイズと呼んでいるジュニアス・アイズとざっくばらん な会話を楽しんでいるところだった。プラウニングはもう帰ってしまっており、マリ ーノはひとりでしゃべりまくっていた。そのとき携帯電話が鳴った。この時点ですで にかなりいい気分になっていたので、電話にでるべきではなかったのかもしれない 電源を切っておけばよかったのだが、そうしていなかった。すこし前に、ベルを鳴ら

7. 痕跡 (下)

130 にかかっていることを示す処方薬は、見当たらなかったわ。だからといって、彼女が ェイズ感染者ではないとはいえないけど。感染していても、気づかないこともあるか ら。それはあなたがこれまでに関係をもったすべての人についていえるわ。だから、 くよくよしたいなら、ど , っそ」 ゴムのやつはめたって、かみつかれちやど 「くよくよしたくなんかねえよ。だけど、、 うしようもねえだろ。いくら身を守ろうったって、むりじゃねえか。安全なセックス もへったくれもねえよ、相手がかみつくんじゃ」 「そりやまあ、そうね」車が四番ストリートへはいったとき、彼女の携帯電話が鳴っ こ。ルーディの番号を見ると、ぎくっとした。彼がかけてくることはめったにない かけてくるのは、誕生日おめでとうというためか、悪いニュースを伝えるためのどち らかだ。 「こんにちは、ルーディ」検屍局の裏の駐車場をゆっくりまわりながらいった。「ど うしたの ? 」 「ルーシーがっかまらないんだ」ルーディの緊張した声がきこえてきた。「携帯電話 の電波の届かないところにいるか、電源を切ってるかだな。今朝、ヘリコプターでチ ャールストンへむかったんだ」

8. 痕跡 (下)

117 痕跡 ( 下 ) 彼女はべッドでワインを飲んだ。あまりいいワインではない。カベルネだが、あと 味がびりつとする。だが一滴も残さずグラスを飲みほした。ホテルの部屋にひとりで いる。アスペンではこちらより二時間早い。べントンは夕食にでかけたか、話しあい でもしているのかもしれない。目下かかえている事件、彼女には話してくれない秘密 の事件のことで、忙しくしているのだろう。 スカーベッタはべッドのうえに身をおこしている。背中にあてた枕をならべなお し、空になったワイングラスを、ナイトテープルの電話の脇においた。電話に目をや り、それからテレビを見て、つけようかどうしようかと考えた。つけないことにき め、また電話を見て、受話器をとりあげた。べントンの携帯電話の番号をダイアルす る。タウンハウスには電話しないようにいわれているからだ。そういったとき、べン トンは本気だった。家には電話しないでくれ。固定電話にはでないから。きつばりと そういったのだ わけがわからないわね、と彼女はいった。もう何カ月も前のことのように思える。

9. 痕跡 (下)

もので、そのほとんどはルーデイからだった。 「どっかに消えちまったのかと思ったよ」ルーディは電話にでるなりいった。「この いっか 三時間、ずっと連絡をとろうとしてたんだぜ。いったい何やってるんだよ ? ら電話にでるのをやめたんだ ? つながらなかったなんていうなよ。そんなこと信じ ないからな。その電話はどこでもつながるはずだし、無線でも連絡をとろうとしたん だ。電源を切ってたんだろう ? 」 「落ちついてよ、ルーディ。電池が切れちゃったのよ。電池が切れると電話も無線も つながらないの。ごめんなさい」 「充電器をもっていかなかったのか ? 」 「だから、ごめんなさいっていったでしよ、ルーディ」 「ちょっとした情報がはいったんだ。できるだけ早くこっちへもどってくれるとあり カたいんたか」 「何があったの ? 」ルーシーは携帯電話をさしてあるソケットのそばにすわった。 「あいにくだが、やっからささやかなプレゼントをもらったのは、きみだけじゃなか った。気の毒な年配の女性がポーグに化学爆弾をしかけられてね。彼女はきみほどっ いてなかった」

10. 痕跡 (下)

してもフィールディングがでてこないといってスカーベッタが電話をかけてきたと き、何かあったらまた電話してくれといったからだ。携帯電話が鳴ったときすぐでた のも、そのためだ。もっとも、彼はそんなふうにいい気持ちで飲んでいるときには、 ドアベルや電話に気安く応じたり、知らない人に話しかけたりする傾向があることも 事実だ。 「マリーノだ」彼はのバーの喧騒のなかで声をはりあげた。 「スザンナ・ポールソンです。お邪魔してごめんなさい」彼女はそういうと泣きだし そのあと彼女が何といったのかは問題ではないし、よくおぼえてもいない ノはそうしたことを考えながら、ねっとりした赤い泥のなかをゆっくりすすんでいっ た。スカーベッタは肩にかけたケースのなかをさぐって、殺菌ずみの木の舌圧子と、 フリーザー用のビニール袋をとりだした。昨夜のできごとのなかのいちばん大事な部 分を、マリーノは思いだせない。おそらく永久に記憶はよみがえらないだろう。スー ズの家にはウイスキーが、サワーマッシュのバーポンがたつぶりあったからだ。彼女 はマリーノを居間に導きいれ、窓のカーテンをひいてから、カウチにならんですわっ た。そしてろくでもない元亭主と国土安全保障省と女性パイロットのことや、彼がよ ぜっあっし