ニック - みる会図書館


検索対象: AVP 2エイリアンズvs.プレデター
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1. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

りと片膝をついた。右脚の怪我がひどい。それでも闘志を溢れさせ立ち上がったクリーナーは、 のたうち悲鳴を上げるエイリアンに突き刺さったスビアを握り、地面から鏃を引き剥すと、そ の黒い巨体をプールの中に蹴り落とした。水しぶきを上げてエイリアンが絶命の声を洩らし、 流れ出る強酸がプールの水に薄められる。クリーナーがス。ヒアの中央グリップを指で操作する ・ハトンに変形した。 と、槍の両端がグリップ部分に収納され、インチほどの スビアを腰のベルトに戻し、ニックの身体もプールに投げ捨てたクリーナーは、肩の弾薬帯 から溶解液のカプセルを引き抜いた。コックを捻ってプールのエイリアンに投げ付ける。みる みると水が沸き立ち、猛烈に蒸気を噴き上げた。視界が酸の味を蓄えた水蒸気に覆われ、やが てプールの水が干上がった。底には小さな酸の水たまりと、目に留まるか留まらないかの薄く 白い灰とが残った。 あのウオリアーだったのか別の個体だったのか、正確に確認しないまま、発電所での借りを 返したクリーナーは、小さな満足に続いてあらたな闘志を奮い立たせる。蒸気が室内から消え あと 2 体、そして追跡モードに反応しないもう 1 体 去る前に、彼はプールに背を向けた。 変が、狩りの獲物に残されていた。 第

2. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

をつかみ、そのまま起こして走り出した。まだ怪物は彼らに食い付いていない。天井に近い壁 にしがみ付ぎ、尾の切っ先を向け、狙いを定めていた。 「逃げろ、走るんだよ ! 」 怪物の攻撃に両手を掲げるニックへ、もう走り始めたディルが叫んだ。ああクソ、ちくしょ う、と振り返ったニックも逃げ出す。 4 人は通路を走ってロッカールームに駆け込んだ。怪物 が、壁と床を蹴りながら彼らを追った。 ロッカーの隙間を縫って、窓へ走った。ディルが内側の鍵を解いて、窓を跳ね上げた。胸よ り高い窓の外は、コンクリート の段で地面が高くなっている。跳ね上げ窓は完全に開放できな いが、隙間から身体を出しさえすれば、楽々と外へ這いずり出られるだろう。ディルが真っ先 に上半身を突っ込んだ。ジェシーの身体を持ち上げ、リッキーが尻を押した。リッキーも続い たあとはニックだ。外に出たリッキーが見下ろすかたちに転じた窓へ手を伸ばし、ニックの脱 出を手伝う。わあ、とニックが目を見開いた。 グ 「助けて ! 頼む、助けてくれ ! 」 テ リッキーが腕をつかむが、ニックの身体は窓枠からずるずると下がっていく。怪物に引かれ 章ているのだ。ジ = シーも = ックに駆け寄る。彼女がその腕を捉える寸前、 = ックの腕はずるつ 第とリッキーの手からすべり抜けた。ばたんと半開きの窓が閉まった。尻もちをついたリッキー と、近寄ったジ = シーの目の前で、閉まった窓ガラスがびしやっと血で染まった。後ろのディ

3. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

異なる波紋で音を立てた。その″影〃を見分けたジェシーが、背のプールサイドから誰にとも なく呼び掛けた。 : 出るのよ ! 」 「プールを出た方がいいわ、ねえ。 ジェシーの声が叫びに変わった。黒く大きな影が水中を近寄ってくる。流線型に四肢を集め、 イルカのように身体をうねらせる何かが 4 人に向かって泳いできた。リッキーの側に戻り、 4 人がジェシーの待っプールサイドへ急いだ。水が抵抗となって脚も身体も思うように動かせな それでもリッキーは 3 人に負けず、プールのヘリにたどり着いた。 ディルが上に這い上がり、続いてリッキーも身体を上に持ち上げた。ニックとマークが並ん でプールサイドに取り付いた時、マークが情けない悲鳴を残して水の中に引き摺り込まれた。 足掻き、転げるように地上に上がるニックをよそに水中を覗くと、一度没したマークがもがい て水上に上半身を出し、助けて、と叫び終わる瞬間に身の一部を裂かれた。水しぶきが跳ね、 、つこ。ンェシーが悲鳴を上げた。 血がジェシ 1 や 3 人の少年たちに降りかカオ、 グ リッキーは 一瞬、罠だと疑った件を思い出した。手でロを押さえるジェシーと視線が合い、 テ ン戸惑った。だがすぐにジェシーの手をつかんで走り出した。 「こっちだ。来い ! 」 章 第腰を抜かしそうなディルとニックにも叫び、リッキーはジェシーを手近な出入り口に引っ張 った。こちらの出口では裏口まで遠回りになるが、怪物のいるプールサイドを回る気になれな

4. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

144 ェイリアンは室内プールに戻った。もともと 捕獲した獲物を通路に引き摺り、ウオリアー・ はエイリアン・クイーンに仕える彼らの本能のひとつに、適当な生物を可能な限り捕獲して ″巣″を作り、産み落とされたエッグで眠るフェイス ( ガーに寄生ホストを用意する、という 作業があった。今はエッグもフ = イスハガーも存在しない地球で、ウオリアーはもう一つの本 能を働かせたのだろう、先程マーク少年を引き裂いた″狩場に新しい獲物を持ち帰り、殺戮 むさぼ の快楽を貪ろうというのだ。 水に薄まった血しぶきの残るプールサイドに、ウオリアーがニックの身体を投げ置いた。そ の血まみれの身体にのしかかり、牙を剥き出して唸った。顎を開き、第二の顎を少し覗かせ、 それをまさにニックの額に突き刺す瞬間だった。 やじり 大きな鏃を両端に持っ槍が、ウオリアーの頭頂部を斜めに突いた。高速で投げられたそれは、 の床に突き刺さった。プレデターが携帯する伸縮自在の槍ー 細長い頭蓋を貫いてコンクリート ・クリーナーがプールサイドに飛び降り、がつく ース。ヒアだ。暗い壁に張り付いたプレデター

5. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

ドアが蹴られ、ディルが現われた。マークとニックも後ろに続く。駐車場のランドクルーザ ーが脳裏をよぎった。あれは、ジェシーに。ヒザを配達した時、家の前に停めてあった車だ。プ リッキーは疑惑の視線 ールの窓を照らす光も、そのヘッドライトだろう。待ち伏せか ? をジェシーに向けた。 ディルとグルになって俺を罠にかけたのか、視線の意味をそう悟ったらしいジェシーが首を 振る。 「リッキー、私、知らないわ : : : 」 「覚えとけよ、リッキー。お前らがお友達でいる間にジ = シーが学んだことは、ぜんぶ、俺が 教えてやったことばかりなんだよ」 狡猾にディルが疑惑を増幅させる。プールへの忍び方も、夜のプールが解放区になることも、 どうすれば効率的に男を惑わすかも、ディルが教えたのだと。その通りであっても、今夜のす べてがディルの言うがままではあるまい。 グ マークとニックが襲い掛かり、あっさりとリッキーは組み敷かれた。離せ、どけよ、と抵抗 テ ) するが身動き出来ない。 「ディル、やめてー リッキー、私、本当に知らなかったのよ」 章 第下着姿のジェシーがおろおろと抗弁し、ディルたちを止めようとする。リッキーは今日の彼 フールの鍵 女の行動だけは本心だと信じた。ディルたちが学校に居たのは偶然か、あるいは、。

6. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

134 水の中でディル・コリンズがあたりを探る。急に不安に襲われたのだと、気の遠くなりかけ たリッキーにもよく分かった。つかんでいたリッキーのシャツを離し、取り繕ってマークと ニックに一一 = ロう。 「これぐらいでいいだろう。行こうぜ」 3 人はリッキーを水の中に突き放し、プールの上がり口に向かった。水の浮力だけで全身を 支えるリッキーは、顔が浸からないよう努めるので手一杯だ。奴らが去ったあとでゆっくり上 がればいし 3 人の背を追ってぼんやりと首を外に向けた。 ヘッドライトに照らされた窓を背景に、大きなシルエットが視界をよぎった。何かが室内に いる ? 上着を取りに動いたジェシーは、反対岸のプールサイドのはずだ。 3 人の行く手に、 一口力が来た ? 影は闇に消え、そして人が静かに水へ入る音が聞こえた。 「今の、聞こえたか ? 」 脚と腕ののろまなばたっきを止め、ディルが小さく言う。 3 人の動揺を察し、リッキーも首 を音の方に回した。夢幻的な青白い光を失い、不吉な闇に染まったプールの水が、自然な波と

7. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

132 ワード 保安官カノ : 。、トロールカーに使うステーション・ワゴンの助手席に収まり、ダラス は窓の外を眺めていた。流れる視界の隅にわずかな変化を感じた。ーーー何か光ったかな ? 右 肩を下げて視線を右に移す。夜の空が薄明かりを増した一方で、その下の闇が拡がったように も見えた。何かがいつもと違うと思ったが、それが何なのか思い当たらない。 を解いた彼女の行動を予想したのだと。ジェシーを払い除けたディルがのしかかり、リッキー は大人しく殴られた。マークとニックも代わる代わる殴った。それでゴタゴタと永遠におさら ば出来るなら大したことじゃない。 弱ったリッキーを引っ張って、ディルたちは水の中に放り投げた。自分たちも続いてプール に飛び込み、カなく水面に上げたリッキーの顔を水に押し込む。 「ディル、やめて、やめてよ ! 溺れちゃうわ ! 」 ジェシーの声が室内に反響した。水を飲み、がぼが・ほと耳を襲う音に悲鳴が掻き消される。 本当にゴタゴタもおしまいだ、と気が遠くなりかけた。 タン、と音を立てて室内プールの灯りが落ちた。外のヘッドライトだけが、室内プールの天 井を照らした。

8. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

一団となって駆け付けた弟が、情けなく安堵の表情を示しダラスに近付く。相当に走り続けた らしく、荒い息遣いが彼らの肩を激しく上下させた。 とうしたんだ ? 」とディルが訊ねる。 「何だ、。 「死んじゃった」と喘ぎながらとぎれとぎれに弟が答える。「マークが : : : あいっ : 「あの顔 : : : すごく大きな声で叫んで : : : 」一緒になって訴えかけるのはジェシーだ。 「助けられなかった、だから走ったんだ、あれが : 「素早いの、そいっ ! 」 「多分・・・・ : ニックも死んだよ、きっと ! 」 ハニック状態だ。ダラスは両手を ほとんど同時に、リッキーとジェシーが畳み掛けて喋る。 広げて、落ち着くようにと弟たちの顔を交互に見据えた。兄に代わってモラレス保安官が冷静 に少年を問い質す。 「正確に、何を見たのか話すんだ」 ほうこう 大きく息を吸ったリッキーがあらためて口を開いた時、怪物の咆哮が夜のしじまに響き渡っ 変 た。途切れない炎上の雑音を抑えて、それは保安官たち全員の耳に届いた。ああ、と少年たち 異 章が一層に怯え、保安官の周りに集まった。それそれの表情を見た保安官は、今夜だけの相棒に 第振り向いて言った。 「ダラス、一緒に来い」そして少年たちに命令する。「お前たちは後部座席に乗るんだ」

9. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

は、地下の下水道だ。簡単な排水路ではなく、町の地下を縦横無尽に走る大きな通路。その蓋 は簡単には開けられないし、開いたとしてもジェシーの目の前で無様に拾いに向かうわけにも 。ヒザ屋のサービス文句を引用してディルが言った。マークとニックに「中に戻るそ」と促す と、ジェシーの背に手を伸ばす。その手を避けてリッキーに歩み出す彼女を、またディルがっ をししカら、君 かみ直した。抵抗を示すジェシーに、リッキーは目で合図した。ーーー俺のことよ、 は中に入って。 納得したのかしないのか、渋々とジェシーは玄関に戻った。連れの仲間たちはもう奥に引っ 込んでいる、それでいいんだ、とリッキーは思った。 14 2 7 番地の前から人影が消えると、 リッキーは舗道に唾を吐いた。地面が小さく、赤く染まった。 歩いて家まで戻った。高級地の一郭から労働者階級の一郭へ。ハワード家はその中でも一段 とみす・ほらしい。もともとは貧しい構えではなかったが、兄がいなくなってから貧相の度合い を増した、残念ながらリッキーはそう感じている。 ここがニューヨ ようやくのことで家に辿り着くと、リッキーは町の狭さに感謝した。 クの高級住宅地から下町までなら、日の落ちる前に帰り着けたかどうか。もっとも、大都会の 正確な広さをリッキーはまだ知らないのだが。 「″分以内〃に見付かるといいな」

10. AVP 2エイリアンズvs.プレデター

ポケットに手を突っ込んでキー・ホルダーを探る間に、リッキーはいきなり後ろからどっか れた。痛みはそれほどでもなかったが、不意を突かれバランスを崩して倒れ込む。地面から見 上げると、そこにディルが仁王立ちしていた。 「ウケたからって、いい気になってんじゃねえぞ」 マークとニックも奴に従っている。無言でリッキーが立ち上がり、制服をはたいていると残 るジェシーの客たちも玄関に顔を揃えた。 「返事はどうした、リッキー ? 」 「ディル、放しなさいよ ! 」 リッキーにつかみかかったディルを、ジェシーが注意した。構わず、ディルはリッキーを殴 った。目の奥に火花が散り、やがてロの中に鉄の味が拡がった。意識しないまま倒れていたリ そう思った。 ッキーは、反射的にロ許を拭った。喧嘩する気がなければ、自分はけっこう脆い、 とにかくまた問題を起こすのはまずい、特にジ = シーを巻き込んでは。身体を起こしながら車 たのキーを探すと、キー・ホルダーが手から滑り落ちた。すかさずディルがそれを拾い上げた。 シポレーだけではない、他の鍵も結わえたキー・ホルダーだ。 「返せ、キーを返せよ」 章 怒気を抑えて言うが、ディルはロ許を歪めて短く笑うと、キーを投げた。奴の狙い通り、キ 第 ーは道路端の下水溝の蓋に届いた。格子状の隙間を潜り抜け、キーが中に落ちる。この蓋の奥