昭和年 9 月日の判決言渡し後定された裁判所構成法の制定過程 に本件確定判決の認定の基礎とな況があったとしても、同判断につ ほどなくして、連合国軍の進駐時 において、草案にあった裁判所か った証拠資料を備えた訴訟記録か き、当該裁判官らが違法又は不当 頃に廃棄されたものと推認するこ国家責任に関する訴訟を受理する存在せず、原判決が認定の基礎とな目的をもって裁判をしたなど、 とかできる 明文の規定が、国家無答責の法理 した証拠の内容を概略的にも把握裁判官がその付与された権限の趣 ろ ひ これら国の公務員の各行為につを理由として削除されたことが認することができないこと、神奈川 旨に明らかに背いてこれを行使し の いては、国家賠償法が施行されためられ、以上によれば、国家賠償県警特高警察官 3 名に対する特別 たものと認め得るような特別の事法 昭和年月羽日より前の行為で法施行前においては、公権力の行 公務員暴行陵虐罪の有罪確定判決情が認められず、また、即時抗告 あることから、同法附則 6 項の規 使に当たる国の公務員の違法行為は、 <—、 <CN らの事件に関する審である東京高等裁判所の裁判官 定により、その損害賠償責任につ については、国が賠償責任を負うものではなく、また、判事又は検ら、特別抗告審である最高裁判所 いては、同法施行前の法規範が適べき法令上の根拠はなかったとい 事ではない警察官の有罪の確定判の裁判官らにおいてもそのような 用されることになるところ、同法うべきである 决をもって再審事由があるともい 特別の事情があったとは認められ 施行前においては、公権力の行使 したがって、原告ら主張に係る えないことなどを理由として、 < ない に当たる公務員の違法行為につい 当時の警察官、検察官、裁判官及 1 及び <CN の第一次再審請求を棄 したがって、原告ら主張に係る ては、国の賠償責任を認める一般び裁判所職員の違法行為につい 却するとの決定をしたものであ第一次再審請求の審理に関わった 的な規定は存在せず、むしろ、①て、被告は、民法上も含めて、損 東京高等裁判所は即時抗告を裁判官らに違法な行為があったも 当時施行されていた行政裁判所法害賠償責任を負わないと解される棄却し、最高裁判所は特別抗告をのとして国の賠償責任を求める原 祐条は「行政裁判所ハ損害要償ノ ( 最高裁昭和年 4 月ⅱ日第三小 棄却したものである 告らの請求は理由がない 訴訟ヲ受理セス」と定めていたと法廷判決・集民 3 号 225 頁参 以上の事実によると、第一次再 再審裁判における免訴判決に ころ、同条の規定は、「君主ハ不照 ) 。 審請求における再審請求棄却決定 善ヲ為スコト能ワズ。故ニ政府の 第一次再審請求棄却決定につをした裁判官らは、再審請求に適 平成年 8 月日、 <—の相続 主権ニ依レル処置ハ要償ノ責ニ任 用される旧刑事訴訟法 ( 以下「旧人である原告 ><—、 <CN の相続人 ゼントハ一般ニ憲法学ノ是認スル 昭和年 3 月日、横浜地方裁刑訴法」という。 ) の規定等に照である原告 ><N らは、横浜地方裁 所ナレバ」との考えに基づき、国判所は、 <—、 <cv らの第一次再らし、 <—、 <cv らからの再審請 判所に対して第三次再審請求を行 は権力作用について損害賠償の責審請求について、その請求をいず求につき、その開始決定を行う事ったところ、平成年 4 月日、 任を負わないという当時の諸外国れも棄却したことが認められる 由が存在しないと判断したもので同裁判所は、免訴を言い渡すべき でも一般に承認されていた国家無 横浜地方裁判所は、本件確定判あって、たとえ訴訟記録か存在し 明確なる証拠を新たに発見した場 答責の法理に基づいて定められた決の原本及び訴訟記録は裁判所及ないことにつき、裁判所の職員の合 ( 旧刑訴法 485 条 6 号 ) に当 ものであること、②明治年に制び検察庁に保存されておらず、他関与による可能性が推認される状たるとして再審開始決定をした。
の幹部を裁くクメール・ルージュ特別法廷での裁判官・ 風格ばっち 検察官としての職務などの重責を背負わされていた、最りで、地裁 高裁判事や司法省次官を中心とする数人の法曹がいた が抱えてい そして、自然の流れとして、「養成校の教官」についてる行政的な も、彼らが兼任する形で養成校の講義を担当することに課題などに なった。人材が不足しているカンボジアでは、彼らに頼っいても熱 るしかなかったのだ。しかし、すでに彼らは多にを極めく語ってく ていた上、当時、クメール・ル 1 ジュ特別法廷の活動がれた。社交 ようやくではあるが本格化し、彼らに頼っていては養成的で話し上 校のカリキュラムを維持できないことが誰の目にも容易手で、川年ど に想像できる事態となっていた。私は、、 しろいろと悩ん前と比べる と同じ人間 だ末、結局、人材不足という問題を抱えるカンポジアに おいては、若い人材から将来司法をリードしかっ養成校かと首をか しげるくら の教官となる人材を育成することに活動をシフトするし かないという結論にたどり着いた。そして、「教官候補 いの変わりようだった。タン・スンライ自身、「昔は、 生」の育成を始めたのである。当時は苦肉の策であった 自信がなくてあまり話すことができなかったんだよ。」 のだが、川年ぶりにカンポジアを訪れ、それが身を結んと言っていた。 でいることを目の当たりにした。 さらに驚いたことは、現在、プノンペン地方裁判所の 王立裁判官検察官養成校 1 期生であり、「教官候補生裁判官全員が王立裁判官検察官養成校卒業生、つまり、 ワ 1 キンググループ」 1 期生でもあるタン・スンライ 私がかって支援していたときの生徒たちだということ は、 2014 年にプノンペン地方裁判所長に昇格してい だ。確かに、プノンペン地裁を訪れたとき、法服をまと た。プノンペン地裁は、日本でいうところの東京地方裁った裁判官たちを見かけ、みなどこかで見かけた顔だと 判所に相当するようなカンポジアで一番大きな地方裁判 思っていたし、 ' 私のことを覚えていて話しかけてくれて 所だ。間年前のタン・スンライは、決して目立っ存在できた裁判官もいた。川年の月日を経て、大きく世代交代 はなく、恥ずかしがりやでロ数も少なかった。しかし今 が起きたのだ。川年前は、養成校を卒業していないシニ では、カンポジアで一番大きな地方裁判所所長としての アの裁判官・検事の数が多かったが、今では裁判官・検 教官候補 1 期生 ( 左から、タンスンライ、ソムナン、 私の横がチャンシナ、サコラ、センニャン ) 法律のひろば 2016.9 ・ 68
官及び裁判官において、その職務 数の拷問を受け、意に反する手記 を行うに当たって不十分で違法な の作成を強要されたことが認めら れる 対応があったといわざるを得な そして、拷問については、明冶 訟務情報 憲法下であった当時においても明 さらに、昭和年 7 月 3 日、 < <(N らが、第一次再審請求を 、確に違法な行為とされており、特 行った際、 <—及び <N に対する 別公務員暴行陵虐罪として犯罪に 当たるものであったことから、当本件確定判決に係る訴訟記録は、 < 1 に対する予審終結決定謄本の ◎国家賠償祖求事件 ( 横って損害を受けたと主張して、被時の神奈川県警特高警察官らの < 告国に対し、国家賠償法又は不法 1 及び <cv に対する取調べが違法写しを除き、裁判所及び検察庁に 浜事件 ) なものであったことは明らかであ保存されていなかったことが認め 行為に基づき各 6900 万円 ( 合 ( 東京地方裁判所 る。 られる。昭和年当時、訴訟記録 計 1 億 3800 万円 ) の損害賠償 平成年 6 月日判決 ) は、裁判所又は裁判所検事局にお 控訴を求めた事案である また、当時の検察官や裁判官 いて、懲役刑の判決原本は永久、 本判決は、要旨以下のとおり判は、 <—及び <N に対する拷問の 刑事「記録は = = ロし、冫 、度された刑の種類 本件は、原告 ><—の亡夫で同原示して、原告らの請求をいずれも事実を認識しながら、このような 拷問で得られた自白調書、手記等に従って原則として 1 年から年 告の被相続人である <—及び原告棄却した。 ><cv の亡父で同原告の被相続人で の信用性を十分に検討せず、公訴の間保存することとなっていたに ある <cv が、昭和衵年に当時の神 警察及び司法関係者の行為の提起、予審終結決定を行うなどしもかかわらず、前記のとおり、本 た上、同人らに対する治安維持法件確定判決に係る訴訟記録のほと 奈川県警察部の警察官に検挙さ違法性の有無等について れ、その後拷問を伴う違法な取調 検挙、、取調べ、起訴、予審決違反の罪による懲役 2 年、執行猶んどが既に存在しなかったこと、 べを受けた上、検察官による治安定、有罪判決、訴訟記録等の廃棄予 3 年の有罪判決 ( 以下「本件確昭和年 8 月物日の終戦直後、連 定判決」という。 ) を言い渡した合国軍による占領に備え、上部機 維持法違反による起訴、予審判事について ものと認めることができ、たとえ関からの指示によるほか、管理者 < 1 及び < 2 が、昭和衵年 5 による公判に付す旨の決定、裁判 月、当時の神奈川県警特高警察官 <r- 、 <CN らが予審判事の示峻にの自主的な判断によって、公文書 所による有罪判決、刑事確定訴訟 記録の廃棄、同記録の不備を理由らによって検挙され、その後、警応じ、寛大な処分を得ることを期の焼却等が広く行われたことに照ろ の らすと、本件確定判决に係る訴訟 とした再審請求棄却、再審公判に 察署に留置された間、「お前のご待して予審判事等に対して罪とな 律 法 るべき事実を認めるなどしていた 記録も、これを管理していた裁判 おける免訴判決など、警察及び司とき国賊は殺しても構わぬのだ」 7 / 法関係者の一連の違法な行為によなどと告げられるなどし、相当回としても、当時においても、検察所職員による何らかの関与の下、
特集刑事訴訟関連法の改正 刑事司法は変わるかー刑事訴訟法等改正の意義と課題 て、次のような指摘をした。「四世紀のた表現でもある。平野博士が「絶望的 , 現したのが平野博士の指摘であるとすれ 前半、チャ 1 ルズ・ダーウインは、南米という診断を導いたのも、同じ所見に基ば、同じことを、調書に頼りつつ、なお 大陸から 10 0 0 キロ離れたガラパゴスづく。 捜査とは独自のスタンスを保って事案の 諸島を訪ね、どことも異なる独自の生態 「精密司法ーの特異性として問題とな真相解明に努めようとする公判の在り方 系が繁栄しているのを見出して強烈な印る 1 つは、前記③のような公判審理の在の難しさとして婉曲的に表現したのが、 象を受け、それが後の進化論の構想につり方に見出される。それは、松尾教授の松尾教授の「名人芸」という言葉といえ ながったといわれる。 ・ : 現在の日本刑次のような指摘に示されている。「調書る。 事訴訟の『成功』は、その特異性の点で裁判と評される現状は、公判に多量の調 問題のいま 1 つは、前記①のような捜 一種のガラパゴス的状況を混在させてい書が提出され、裁判官は、何百頁、場合査の在り方の中に見出される。平野博士 るのではないかという懸念が払拭しきれによっては、何千頁という調書をひたすは、訴訟の実質が捜査手続に移ると、「捜 ない ( 注 7 ) 。 ら読み抜き、そこに矛盾はないかを問い 査機関にかなり強力な強制権限を与えざ 従来の「日本刑事訴訟の『成功』」を詰めて判決するというものです。このよるをえなくなる」と指摘し、捜査手続が 象徴的に示すのは、前記④の特色であろうな一種の名人芸に支えられた刑事手続「検察官・警察官による糺問手続」とし う。① 5 ③の手続を通じ、④の結果を導というものは、あまりに独自であり、敢て運用されている実態を問題視した ( 注 き出す「精密司法」のシステムは、必要えて言えば、不健全ではないかと思われ四。「捜査手続においては、捜査機関が な者だけを確実に有罪に導く点で、無駄ます」 ( 注 8 ) 。 被疑者の身柄を手元に拘東して、連日長 がなく効率的であり、また、事案の真相これは、平野博士が欧米の刑事裁判と時間にわたって自白を追及するという 解明を求める国民の期待にもよく応えて比較した日本の刑事裁判の特異性として『糺問的捜査』が行なわれ、それが、被 きたといえる。「ガラパゴス的」という述べた次のような指摘と表裏の関係に立疑者の人権を不当に侵害する結果ともな 表現には、ガラパゴス島の生態系が島のつ。「欧米の裁判所は『有罪か無罪かをつている」というのである ( 注リ。 環境に適合した生物の合理的進化・発展判断するところ』であるのに対して、日 の結果として形成され、栄えているよう本の裁判所は、『有罪であることを確認 一一一近時の刑事司法改革 我が国刑事司法も、それを取り巻くするところ』である」 ( 注 9 ) 。 環境に適合しつつ一定の合理性をもって 捜査段階で作成された調書に多くを頼 1 司法制度改革と裁判員制度の導 形成され、それ故、国民に受け入れられる裁判は、裁判所が直接証人や証拠を取 ろ 入 ひ 定着しているという見方が込められてい り調べ、心証を形成する場であるはずの の る。しかし、同時に、その特異性が限界公判の意義を減じ、刑事手続における捜前述のような「精密司法」に内在する法 に近づいていないかという反省が含まれ査の比重を高める。この問題を端的に表特異性は、その負の側面として、平野博 9
、 . ノンコクからの法整備支援ー違いを超えて . 第 3 回再会と別れ 点となった。しかし、プロジェクト活動が遅れているの官候補生 , とは、将来王立裁判官検察官養成校教官とし で早々に活動を開始したいこと、手続きには相当て教鞭をとる者のことである。王立裁判官検察官養成校 の時間を要するのでを回避したいことなどを訴え は 2002 年に設立されたが、さまざまな問題を抱えて ると、次官は、最終的に、このプロジェクトはこれまでおり、その一つが教官人材不足であった。それまで裁判 の活動の継続だという解釈をすればなしに活動で官検察官を養成するための特別な教育機関がなかったカ きる上、その旨大臣やほかの省庁にも説明できる、とカンポジアにおいて、養成校が設立されたこと自体が画期 強く約東してくれた。次官は終始エネルギッシュで、次々的であったのだが、当然のことながら、学校が設立され と建設的なアイデアを提案し、協議は休憩をとることも ただけで問題が解決するわけではなかった。なぜならそ なく 3 時間も続いた。密度の濃い協議 ( こ体力的にも精神こに教官がいないのだ。ポルポト政権下で法律家が多数 的にも疲れたものの、その成果は大きく、次官がカンポ死亡し、その後、学校教師らから裁判官・検察官が任命 ジアのフォーカルポイントであることを心強く感じた。 されるなどして司法制度を維持してきたが、裁判官・検 もし、私とソテアビ次官が面識なく今回が初対面であっ察官を養成するための制度は存在しなかった。したがっ たなら、こうはならなかっただろう。川年前からカンポ て、新しく設 ジア法整備支援に携わ 0 てきたという歴史、構築されて立された養成 きた人間関係のありがたみをあらためて感じた。 校で教官とな る人材をどう やって確保す るのかか深刻 3 再会ーあれから川年、 な問題であっ プロジェクト・チャイルドフッドの関係者との協議のた。当時、カ ンボジアに 傍ら、かって私が長期専門家として支援に当た っていた王立裁判官検察官養成校の生徒で、かっ、私が は、整備が急 / , 結成した「教官候補生ワーキンググル 1 プ」のメンバ 1 がれていた各 ( リ . たちとも再会した。振り返れば、私が「教官候補生ワ 1 種法律の起草 キンググループ」を結成したのは 2 0 0 6 年 3 月のこと 作業や、ポル であり、まさに今からちょうど川年前のことだった。「教ポト政権時代 王立裁判官検察官養成校卒業生たちの飲み会 67 ・法律のひろば 2016.9
り一 み 読 した日から 100 日を経過した時点までにのみ再婚禁止期間が設けられた立法目以内部分の適用除外の事由があるとして には、婚姻及び家族に関する事項につい 的が上記のとおり父性の推定の重複を回も不相当とはいえないであろう。」と述 て国会に認められる合理的な立法裁量の避することにあることからすれば、民法べている 範囲を超えるものとして、その立法目的 733 条 2 項は、上記の場合以外であっ との関連において合理性を欠くものになても、およそ父性の推定の重複を回避す 本判決を受けた検討 っていたと解される。」として、憲法Ⅱる必要がない場合には同条 1 項の規定の 条 1 項及び条 2 項に違反すると判示し適用除外を認めることを許容しているも 最高裁判所による法令違憲の判断に のと解するのが相当であろう。」と指摘対する対応 イ補足意見について した上で、「具体的には、女性に子が生 一般に、最高裁判所による法令違憲の 本判決においては、 6 名の裁判官 ( 注まれないことが生物学上確実であるなど 判断の効力は、当該事件の範囲内にとど 2 ) による共同補足意見の中で、民法 7 父性の推定の重複が生じ得ない場合、離まり、違憲と判断された法令が直ちに失 33 条 2 項の解釈について、同項が定め婚した前配偶者と再婚するなど父性の推効するわけではないが ( いわゆる個別的 る場合以外にも再婚禁止期間の規定の適定が重複しても差し支えない場合及び一効力説 ) 、国会及び内閣は、最高裁判所 用除外を認めるべき場合があるとの指摘定の事由により父性の推定が及ばないとの法令違憲の判断の趣旨に従って法改正 がされており、更に 2 名の裁判官 ( 注 3 ) 解される場合・ : には、民法 733 条 1 項等のしかるべき措置をとることが期待さ がこの意見に賛同している。 の規定の適用がないというべきであ」れているものと解される。 すなわち、前記共同補足意見は、「 1 り、「以上の理解に立っと、女性がいわ本判決において違憲であると指摘され 00 日以内部分の適用を除外する場合にゆる不妊手術を受けている場合についてた民法 733 条は、婚姻の要件に関する 関する民法 733 条 2 項は、除外する事も、これをもって当該女性に子が生まれ規定であり、国民の生活に直接影響する 由として、女性が前婚の解消等の後にそないことが生物学上確実であるときは、 ものであることから、最高裁判所の法令 の前から懐胎していた子を出産した場合上記の各場合と同等に取り扱って差し支違憲の判断の効力についての一般的な理 を挙げているところ、これは、その出産えないものと解されるであろう。また、解や従前の違憲判決への対応も考慮すれ 後に懐胎した子については、当然に前夫前婚の解消等の時点で懐胎していない女ば、本判決に対しても政府として速やか との婚姻中に懐胎したものではないか性については、民法 733 条 2 項に規定に違憲状態を解消するための法改正等の ら、同法 772 条の規定による父性の推する前婚の解消等の後にその前から懐胎措置を行う必要があったと考えられる。 定を及ばす必要がないとの理由によるもしていた子を出産した場合と客観的な状 のであると思われる。そうすると、女性況は異ならないのであるから、 100 日 法律のひろば 2016.9 ・ 58
算機を用いる傍受を行おうとする場合、 ことが可能であり、その場合には、通信信を確認することとなる ( 図表中⑥ ) 。第 令状請求の際、当該方式による傍受の許事業者から暗号送信された通信を同機器また、特定電子計算機は、一時的保存 可の請求をする必要がある。また、裁判 に一時的に保存し、それを事後に復号した通信について、復号した時点で自動 官は、当該請求を許可するときは、傍受し、再生・聴取を行うこととなる。その的に消去する機能も有しており、例え引 令状にその旨の記載をすることとなる。際、事後的再生型傍受を行う期間を事前ば、捜査機関が、正規の通信傍受の終了の 傍受令状発付の際、裁判所職員は、通に定めておく必要はなく、傍受の実施を後、許される範囲を超えた内容を秘密裏 信の暗号化に必要な鍵 ( ⑦ ) 、暗号化し開始した後、通話内容や多寡、日々進展に再生・聴取するといったことは不可能 となっている た通信の復号及び再度の暗号化に必要なする捜査状況等を勘案し、捜査機関の判 鍵 ( ④ ) 、再度の復号に必要な鍵 ( ◎ ) 断によりリアルタイム型と事後的再生型 の 3 つを作成し、⑦を通信事業者に、④を随時切り替えることが可能である。 四おわりに を捜査機関に提供し、◎は裁判所におい 特定電子計算機を用いる傍受において て保管する ( 図表中⑦ 5 ◎ ) 。なお、④も、傍受あるいは再生・聴取に際し、ス 今回の刑事訴訟法等の改正は、捜査の の鍵には、指定された特定電子計算機以ポット傍受により該当性判断を行うこと具体的な在り方にも踏み込んだ戦後最大 外の機器では用いることができない措置となる。 規模のものといっても過言ではない。そ が講じられる。 特定電子計算機は、傍受した通信や傍の一方、法制審議会特別部会や国会の委 傍受の実施に当たり、捜査員が通信事受の経過を、すべて自動的に暗号化して員会での審議等、本法律の制定過程で 記録媒体に記録する機能を有しており、 業者に傍受令状を提示し ( 図表中② ) 、 は、従来の刑事司法制度の在り方、引い 通信事業者は傍受の対象となる通信を⑦その暗号化は④の鍵を用いて行うこととては警察捜査の在り方に対しても厳しい の鍵を用いて暗号化した上で、送信装置なる ( 図表中⑤ ) 。当該記録媒体に記録意見が少なからず投げかけられてきた。 から、捜査機関施設に設置された特定電されたものを、④の鍵を用いて復号する警察としては、今回導入される各種制度 子計算機に送信する ( 図表中③、④ ) 。 ことはできず、捜査機関による内容の改の導入に向け万全の準備を行うととも 捜査員は、捜査機関施設において、特変は不可能である。 に、新しい制度の下でも適正かっ有効な 定電子計算機に暗号送信されてきた通信当該記録媒体は原記録として裁判官に捜査を行って治安の向上を図り、警察捜 を、④の鍵を用いて復号して傍受する。提出され、裁判所において保管される。査に対する国民の信頼の獲得に向け不断 特定電子計算機を用いる傍受において裁判所においては、必要に応じて◎の鍵の努力を行っていくことが何よりも重要 も、通信内容の事後的再生・聴取を行、つを用いて復号して捜査機関が傍受した通であるといえよう。
特集刑事訴訟関連法の改正 「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」の概要について 型証拠開示の対象として、①共犯者の取被告人又は弁護人の意見を聴き、同一構 証人等の氏名及び住居の開示に係る 調べ状況記録書面 ( 316 条の第 1 項内以外の場所に証人を出頭させて、同所措置の導入 8 号 ) 及び②証拠物の押収手続記録書面と裁判官等の在席する場所との間をビデ現行刑事訴訟法上、証人、鑑定人、通 ( 同項 9 号、同条 2 項 ) を追加することオリンクでつなぐ方式により証人尋問を訳人又は翻訳人の尋問を請求するについ とされた。 行、つことかできるとい、つものである ( 1 てはその氏名及び住居を知る機会を、証 57 条の 6 第 2 項 ) 。 拠書類又は証拠物 ( 以下「証拠書類等 - ①証人が同一構内に出頭するときは精という。 ) の取調べを請求するについて 7 犯罪被害者等及び証人を保護す 神の平穏を著しく害されるおそれがあはこれを閲覧する機会をそれぞれ相手方 るための措置の導入 ると認めるとき ( 同項 1 号 ) に与えなければならず ( 同法 299 条 1 ヒデオリンク方式による証人尋問の ②同一構内への出頭に伴う移動に際項 ) 、検察官としては、それらの機会を 拡充 し、証人の身体・財産に害を加え又は与えることにより証人その他の者に対し 現行の刑事手続におけるビデオリンク証人を畏怖・困惑させる行為がなされて加害行為等がなされるおそれがある場 方式については、その対象者が性犯罪の るおそれがあると認めるとき ( 同項 2 合であっても、弁護人に対し、それらの 被害者等に限定されているほか、証人か 号 ) 機会を与えた上で、一定の事項が被告人 裁判官等の在席する場所と同一の構内③同一構内への出頭後の移動に際し尾等に知られないように配慮や秘匿を求め ( 以下「同一構内」という。 ) に出頭した 行等の方法で証人の住居、勤務先等がることができる ( 同法 299 条の 2 、 2 上で、裁判官等の在席する場所と証人の特定されることにより、証人若しくは 9 9 条の 3 ) にとどまっている 在席する別室との間をビデオリンクでつ その親族の身体・財産に害を加え又は そこで、より実効性のある方策とし なぐ方式しか認められていないところ、 これらの者を畏怖・困惑させる行為がて、検察官は、一定の場合には、証人、 同一構内に出頭すること自体により証人なされるおそれがあると認めるとき鑑定人、通訳人若しくは翻訳人又は検察 に著しい負担が及ぶこととなる場合につ ( 同項 3 号 ) 官請求証人等 ( 証拠書類等に氏名若しく は住居が記載され若しくは記録されてい いても、その負担を適切に軽減しつつ証④証人が遠隔地に居住し、同一構内に 人尋問を行い得るようにするため、ビデ出頭することが著しく困難であると認る者であって検察官が証人、鑑定人、通 オリンク方式による証人尋問を拡充する めるとき ( 同項 4 号 ) 訳人若しくは翻訳人として尋問を請求す引 の こととされた。 この方式をとる場合の証人の在席場所るもの又は供述録取書等の供述者をい 律 その概要は、裁判所は、次の場合におは、具体的には最高裁判所規則で定めらう。以下同じ。 ) について、次表の措置法 いて、相当と認めるときは、検察官及びれることとなる。 をとることができることとされた ( 29 つん
特集刑事訴訟関連法の改正 新たな刑事司法制度に対する警察としての対応について 図表特定電子計算機を用いる傍受実施手続のイメージ 特定電子計算機 / 暗号化して送信 .. 暗号化復号 再生装置 0 . 暗号化 = ロ 0 ⑦④◎ 再生・聴取が許されの関与なしに一時的保存された通信の内 る通信は、現行の傍受容を知ることはできない仕組みとなって いる と同様、犯罪関連通 信、スポット傍受通 信、外国語等通信及び 特定電子計算機を用いる傍受の実施 他犯罪通信の 4 種類に 方法 限られ、スポット傍受 捜査機関の施設において傍受を行いた による該当性判断を行 いという場合には、特定電子計算機を用 い、犯罪関連通信等に いた傍受を行うこととなる。現行法にお 該当すると判断したも いては、立会人が、捜査機関による通信 のにつき再生・聴取を傍受の実施状況を外形的にチェックする 継続するという方法こと、原記録の改変防止のための封印を は、変わるところはな 行、つことといった役割を果たしている が、特定電子計算機を用いる傍受におい 一時的保存の際の通ては、同機器が、傍受した通信やその経 信の暗号化及びその復過をすべて自動的に記録すると同時に、 号に必要な鍵は、裁判同記録を暗号化することで改ざん防止措 所職員が作成し、通信置を講じること等により、立会人の役割 事業者に提供され、以は完全に代替され、手続の適正は担保さ 降、同者が管理するこれることとなる。 ととなっていること、 特定電子計算機を用いる傍受実施手続 一時的保存をしているは、おおむね図表中の番号順に進んでい 、ま くこととなる ろ 〇間の当該場所、の捜査 令 機関の立入りは禁じら現行と同様、傍受令状は、地方裁判所の れていることから、捜裁判官による司法審査を経て発付される法 査機関が、通信事業者 ( 図表中① ) こととなるが、特定電子計邱 令状請求 令状発付 指揮本部
特集刑事訴訟関連法の改正 刑事訴訟法等改正と実務への影響一裁判所の立場から いて取り調べる義務までがあるものでは ないから、証拠調べ請求義務がかかって 刑事訴訟法等改正と実務〈の影 いる部分を取り調べるのか、それともそ ー裁判所の立場から れ以外の部分を取り調べるのかは、最終 的には、事案ごとに、争点整理、証拠整 最高裁判所事務総局刑事局局付関羊太 理をした上で決まっていくものと解され 留中に作成された被告人の供述調書の任この制度が導入されたことの裁判実務 一はじめに 意性が争われたときは、検察官は、例外への影響に関してみると、裁判員制度対 刑事訴訟法等の一部を改正する法律事由に該当するために録音・録画をしな象事件については、立法過程の議論にお ( 平成年法律第号 ) は、平成年 6 かった場合等を除き、当該供述調書が作 いて、裁判所関係委員から、現在、既に 月 3 日に公布された。同法による改正事成された取調べの状況を録音・録画した裁判員裁判における供述の任意性立証に 項は多岐にわたるが、本稿ではこれらの記録媒体の証拠調べを請求しなければな は、原則として取調べの録音・録画の記 うち、取調べの録音・録画制度、捜査・らないこととされた ( 刑事訴訟法 301 録媒体が用いられており、任意性立証の 公判協力型協議・合意制度、通信傍受、条の 2 第 1 項 ) 。また、検察官又は検察ために最も適した証拠が取調べの録音・ 裁量保釈の判断に当たっての考慮事項の事務官は、裁判員制度対象事件と検察官録画の記録媒体であるということについ 明記及び公判前整理手続等の請求権の付独自捜査事件につき、逮捕・勾留されてては、おおむね共通認識が得られてきて 与について、従前の実務への影響の有無 いる被疑者の取調べ等を行う際には、例いる旨の発言 ( 注 1 ) がなされているとこ を中心にみていくこととしたい。 外事由がない限りその状況を録音・録画ろである。 なお、本稿中意見にわたる部分はもとしなければならないとされている ( 同条他方、裁判員制度非対象事件について より筆者の私見である。 4 項 ) 。このように、証拠請求義務がか は、検察官独自捜査事件以外は前記義務 かっている記録媒体の範囲と、録音・録が法律上課されているものではないが、 画義務のある範囲が異なり、前者の方が立法過程の議論において、裁判所関係委引 一一取調べの録音・録画制度 狭い関係にあるが、公判における証拠採員からは、もとより個々の裁判ごとの、 本改正により、裁判員制度対象事件と否に関しては、証拠調べ請求義務のある事案ごとの判断となるが、録音・録画媒法 検察官独自捜査事件について、逮捕・勾録音・録画媒体についても、裁判所にお体がない場合には、その取調べで得られ