あんのじよう、十五日の日ハム戦に 3 敗目をきっすると、二十三日のオリックス戦こ きんてつ そ勝ち星に関係なしだったものの、三十日の近鉄戦では、 6 回 5 失点で 4 敗目をきっす るのである。 こうしえん かんと第、 どういうわけか、近鉄戦になると勝てない。監督は「大輔は西 ( 甲子園 ) で運を使い はたしてしまったために、勝てないのかな ? ーと不思議がるしかなかった。 が、大輔はそんなャワではない。七月六日のオリックス戦で復活すると、十三日の近 かんぶう 鉄戦で、これまで三試合の借りをみごとに返すのだ。 1 安打の完封勝ちである。高卒新 ちゅうにちこんどう 人による完封は、一九八七年 ( 昭和六十二年 ) に中日の近藤投手がノーヒットノーラン を達成して以来、六人目のことだった。 前半戦最後となる七月二十日の日ハム戦では、 9 回を 6 安打 2 失点におさえ、 9 勝目 をあげている。この大輔に対して、多くのファンがオールスターへの出場を望んだ。得 票数万 754 票。もちろん、オールスタ 1 史上投手部門では最高の得票数である : ・ だいすけ 141
と思ったものの、かんじんのダイエ 1 がなかなか負けない。それどころか、「マジック」 の数がどんどんへっていくのだ。九月十七日のロッテ戦から 5 連勝。そして、二十三日 のオリックス戦に勝って、なんとマジック 2 がでてしまった。 せいぶやぶ 九月二十五日、西武が敗れ、ダイエ 1 が勝っと優勝が決まってしまう。 「ここでキレてはいけない。ばくらがもりあげないと : : : 。」 そういう大輔の願いもむなしく、西武はオリックスに敗れ、ダイエーが日ハムに勝ち、 めがみ ついに勝利の女神は逃げていった。 くやしかった。大輔はそのくやしさをいつまでもかみしめた。 だが、彼にはまだ最多勝のタイトルが残されていた。優勝できなかったくやしさを、 しいと思った。もし、自分が取れ そのタイトルを取ることで少しでもやわらげられれば、 たくわもとじ ば、高卒ル 1 キーとしては宅和本司投手 ( 元・南海 ) 以来、菊年ぶりのこと。また、 きよじん ほりうちつねお 勝をあげれば堀内恒夫投手 ( 元・巨人 ) 以来、芻年ぶりのことになる。 大輔の最後の登板は、九月二十九日のロッテ戦だった。いったんは同点に追いっかれ たが、「なんとしても、大輔に勝たせてやろう」というナインの気迫はすさまじかった。 かれ と、つばん なんかい 153
朝平成 6 名、イ手 01 手亡 6 対 五月十六日、西武ドーム球場のマウンドには、一週間のリフレッシュ調整を終えた大 すけすがた 輔の姿があった。はじめて対戦するオリックス戦であった。 大輔が西武に決めた理由の一つは、日本最高の打者の一人、五年連続首位打者にかが やくイチロー選手と対戦できるという楽しみがあったからだ。だれでも最高のものを求 よ′、ば、つ ちょうせん めたい、最高のものに挑戦したいという欲望がある。大輔には、それが人一倍強かった。 と、っそ、つしん あこがれの打者と対戦できることになり、闘争心に火がついた。 いよいよ、そのイチロ 1 選手と対戦するときがきた。試合が始まる直前、東尾監督は なかじま 中嶋捕手を呼んで、 「いい打者かいい投手と対戦するときというのは、プライドがあるからカ勝負をしてく れるだろうとかってに判断するものだ。それをぎやくに利用したらどうだ ? と、アドハイスをしていた。 ひがしおかんとく 132
した。」 ☆一九九九・六 ・二三対オリックス回戦 ( 西武ド 1 ム ) に先発。 9 回を 3 失点におさ こうばん えるも同点で延長に入り降板。被安打 5 ・奪三振 9 。勝ち負けつかず。チームは延長Ⅱ回 3 対 4 で負け。 ふくおか ☆一九九九・五・三〇対ダイエ 1 Ⅱ回戦 ( 福岡ド 1 ム ) に先発。 2 失点で完投、 5 勝 目。被安打 8 ・奪三振 2 「あんまり自分の調子がよくないのがわかってたんで。点を取られながらも最後まで、ま あ、根気よく投けられたと思います。前半はフォームがあんまりよくなかったんですけ ど、後半うまく調整できたんで、それが勝てた原因でもあると思います。この前のような こうばん こと ( 9 回とちゅうでの降板 ) があったから、本当に今日は完投したかったです。」 ☆一九九九・六・一五対日本ハムⅡ回戦 ( 西武ドーム ) に先発。 6 回、 6 失点で 3 敗 目。被安打 8 ・奪三振 3 「 1 敗して、いつはい経験して、いっぱい勉強しました。以上です。どうもすいませんで 159
「 ( 9 回も ) いくつもりだったんですけど。内容がよくても結果なんです。勝たなきや。 今日の結果がいちばんくやしいです。」 ☆一九九九・七・六対オリックス回戦 ( グリーンスタジアム神戸 ) に先発。 8 回 0 3 、 3 失点で 7 勝目。 8 回まで 0 点におさえるも、 9 回にイチロー ニールに本塁打を こうばん あび降板。被安打 5 ・奪三振 5 。 きゅうい 「とにかく勝ててよかった。 ( 9 回のイチローの本塁打は ) 最後は勝負できる球威があり ませんでした。イチローさん、 100 号おめでとうこさいます。記念になります。」 きんてつ かんぶう ☆一九九九・七・一九対近鉄回戦 ( 西武ドーム ) に先発。被安打 1 、奪三振 7 で完封 勝利 ( 川・ 0 ) 。 8 勝目。またこの日発表されたオールスターのファン投票結果で、 丿ーグ投手部門第 1 位に選出 しようじき 「ピッチャーのばくにこれだけ票を入れてもらって、正直うれしいです。 ( 完封で ) ファ ンのみなさんにいい意味でお返しができたと思います。ただ、いつもでだしは悪いけど、 今日は本当に悪かった。プルペンからストライクが入る感じがしませんでしたから。」 だっ せいぶ こうべ
☆一九九九・四・一四対近鉄 2 回戦 ( 西武ド 1 ム ) に先発。 9 回完投・ 2 失点で初黒 星 ( 0 対 2 ) 。ただし被安打 3 ・自責点 0 「スライダーでストライクが取れなかったし、調子はよくありませんでした。でも悪い なりになんとか 3 安打ですから。次につながるピッチングができたかなと。」 はつかんぶう ☆一九九九・四・二七対ロッテ 4 回戦 ( 西武ドーム ) に先発し、初完封 ( 1 対 0 ) で 2 勝目。被安打 3 ・奪三振川。 「今日は投けててひじように苦しいピッチングだったんですけど。打線が点を取ってく れるといってくれてたので、点を取ってくれるまで、自分は 0 点におさえようと思って 投けました。まあ自分の投ける試合は、いつもこういう展開なんで、もうなれました。同 じ相手に連敗するのはいやだったんで、今日はどうしても勝ちたかったです。」 ☆一九九九・五・一六対オリックス 9 回戦 ( 西武ドーム ) に先発。 8 回を 0 点におさ え、 3 勝目。被安打 3 ・奪三振 「 ( イチローは ) ぼくが入ったときからすっとやりたかったバッターなので : : : 。ぼく も対戦すれは、できるかきり三振をねらっていきたいと思います。いままでイマイチ自 信が持てなかったのが、今日で自信から確信に変わったと思います。」 だっ きんてつ せいぶ 158