反応 - みる会図書館


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1. 「心理テスト」はウソでした。

第 3 章インクのシミで心を占う ェクスナは反射反応の方がペア反応よりも 3 倍ほど重要だと考えたのだろう。反射反応の数を 3 倍し、ペア反応の数を加え、全反応数に対する比率を求めた。これが自己中心性指標である。 では、この指標が高いと本当に自己中心的なのか。ェクスナの 1986 年の専門書を見るかぎ り、根拠は薄弱である。ェクスナは文章完成テストの自己中心性得点と高い相関があったと漠然 と報告しているだけである。ところが、文章完成テストは主観的なテストで、アメリカでは妥当 性が乏しいと評価されている。ェクスナはそのテストと相関が高いと主張しているのだから、自 己中心性指標の妥当性が高いはずはない。 事実、ネズワースキーとウッドは 1993 年からの研究をレビューし、反射反応やペア反応に 基づく自己中心性指標が自己中心性や自尊心と何の関係も無かったと結論を下した。 先のカンプルのホ 1 ムページ「法廷心理学の問題ーでも、 最近、報告されたデータは、エクスナ法を支持しない。理論的な仮定にもかかわらず、 それとは反対に、例えば、エクスナの″自己中心性指標〃は自己への関心、自尊心、ナル シシズムなどの性格特徴と無関係なのは明らかである。 * 片】水谷智洋「ナルシス」世界大百科事典、平凡社、 1998 ー 2000 年。 * 【 Teresa Nezworski . 年 Wood. J. M. Narcissism in the comprehensive system for the Rorschach. CIinicaI 0 一 00 ・ Science d Practice. 1995. 2. 179 ・ 199. 133

2. 「心理テスト」はウソでした。

ながら、関連研究をレビュ 1 すると、は支持されない。は の抑うつ尺度やべック抑うつ尺度などの抑うつの客観的な指標とはほとんど相関がない。 と述べている。論争は続いているが、の妥当性の根拠はほとんどないことは確かであ 鏡を見る人はみんな自己中心的なのか 抑うつ指標に組み込まれている自己中心性指標はもっと不確かである。計算の元とな るのは反射反応とペア反応という記号カテゴリーで、もともとは精神分析でいう自己愛 ( ナルシ シズム ) の指標として考案された。 この言葉はギリシャ神話の美少年ナルキッソスという名前に由来する。彼は多くのニンフから 求愛されたが、すべてを退けたために、これを恨んだ一人が復讐の女神に訴えた。ナルキッソス は泉に映った自分の姿に恋し、想いが満たされぬまま、やつれはてて水仙の花に化したという。 精神分析家に言わせると、水面に映る自分の姿を見る人は自己愛的、自己中心的である。だか ら、ロールシャッハでも、インクプロットの対称性に基づく反射反応は自己中心性を表す重要な 指標だとみなされる。また、二つの物を見るべア反応もありふれているが、インクプロットの対 称性に基づいているので、やはり自己中心性を示すものにちがいないとみなされる。 る。 132

3. 「心理テスト」はウソでした。

トカゲの反応ですが、 ・ : この場合の表現の仕方が反復しながら初めての反応では尾を指 摘してトカゲの特徴とし、次の反応では尾を切り放して頭部だけであると強調し、 こに固着しているわけですから、尾つほへの関心、 anal ( 肛門の ) な問題へのとらわれが 解釈しうるのではないかと思います。 : ここで anal ( 肛門の ) なテーマにこだわった挙げ句にⅨでは火の反応になります。 は圧倒的な力と性的な興奮という風に解釈できるかと思います。 最後のカード * ですが、 4 番目の反応におしべという反応があり、おしべめしべとして の性的なテ 1 マを述べています。 この方は、 : 強迫行為よりは、強迫思考に悩みつつも、一方ではファンタジーによっ て自我を支えている強迫神経症者だと考えることができます。 この人の問題は何かというと、 sexual ( 性的 ) な問題を抱えている人であって、それは 占 を 発達初期の母子分離に起因するように思います。 ・ : その攻撃性の抑圧が引きこもりと感 で 情の抑うつをもたらしている人ではないかと思います。 シ の ク ン秋谷の頭に去来するのは男根シンポルや性的なイメージばかりである。彼女の結論は、引きこ もりや抑うつのある強迫神経症の患者らしい。しかし、これも大外れである 章 第 107

4. 「心理テスト」はウソでした。

記号化と解釈の手順 ロ 1 ルシャッハ ・テストというと、インクのシミ図版を見せて、何を見たのかを解釈するテス トだと思っている人が多い。それは間違いである。インクのシミのどこを見たか、反応が決定さ れた要因は何か、反応の内容は何か、客観的に判断するために、反応を記号に置き換えて、出現 ・ソフトが必要になる 頻度や比率計算をして解釈を行う。整理はかなり面倒で、コンピューター 反応領域インクのシミの全体に注目した反応は全体反応、まとまりのある部分に注目した 反応は普通部分反応、まれな部分に注目した反応は特殊部分反応、空白部分に注目 した反応は空白反応 ()n である。 反応決定因形態、運動、色彩、陰影の要因を区分する。形のみに注目した反応が形態反応 である。動きを知覚した反応が運動反応で、人間運動反応、動物運動反応、無生物 運動反応 E がある。色彩反応には、赤、青、黄などに注目した有彩色反応、、 0) と、黒、白、灰色などに注目した無彩色反応 (C•G(--) 、、 (0) がある。インクの 濃淡から材質感を知覚した反応が材質反応、 、 o) 、奥行き感を知覚した反応 が拡散反応、、である。 3 次元的印象を平面に投影した反応が射影反応 である。

5. 「心理テスト」はウソでした。

いうことなんです。その phallic ( 男根の ) 表象の頻出、反復、 phallic ( 男根の ) イメ 1 ジ 強迫ということがどうしても目立つわけで、これだけでテスト全体を被いつくすくらいで す。 図でまず平凡反応を押し退けて、いきなり出てくるこけしに始まりまして、それと類 似のⅥ図だったとおもいますけれど、ビンといったレベルのものから、花粉、袋を被った おしべでしたかしら、鶴の首の上とか、そういったかなり直接的で象徴化の度合が低いも : それは小さい のまで、・ : ・ : 大小さまざまな同じ内容のイメージが次々に出てきます。 領域でより直接的なイメ 1 ジ、つまり、象徴化のレベルの低いイメ 1 ジが出てきているの も一つの特徴だと思うわけです。 それと肛門期的な関心ということで見ていけば * 図の尾てい骨とか : : : 女性器官的な属 性をちくはぐに備えざるを得ない pha 一一 us ( 男根 ) というのを ana 一 ( 肛門の ) な表象の系 : Ⅶ図の、中が空洞化した菊の葉っぱとい 列として見ていくこともできるようですが、 : 空洞というのが、 anal ( 肛門の ) なニ うのも、意味深長な反応だと思うんですけど、 ュアンスとか、 female organ ( 女性器 ) のレベルのイメ 1 ジとか、 : : : 相当深刻なイメ 1 ジのような気がするわけです。 どちらにしましても男性としての gender identity ( 性的同一視 ) がかなり深刻な危うさ を抱えている。そういうことから、実際にはかなり倒錯的な心的特徴が存在するのではな 102

6. 「心理テスト」はウソでした。

衝動性を自分の価値観に基づいて受容し、統制を加えている。衝動性の認識と自分の価値 観との関係が適当であり、過度の内的葛藤を持たないので、自己の満足を延期する能力があ り、一般的には成熟していると考えられる。自分の環境の陰鬱な面をうまく処理できず、抑 欝感情に耐えられないか、あるいは、情緒的混乱からの回復がやや遅い傾向がある。 現実に適応する能力はあり、情緒的刺激や葛藤を処理する自我の強さがある。一応、自分 の感情表現を統制しようとしている。ただし、神経症的収縮が見られ、情緒的な自発性が侵 されている。 くく環境への情緒的反応性〉〉 外的環境が変化すると、気分が動揺し、知的機能が容易に混乱しやすい。外的環境の情緒 的刺激に対する反応性は強すぎるが、その精神生活に占める比率は普通である。 新しい事態に直面した場合、情動的な混乱に見舞われる可能性があるが、その混乱から立 ち直れる能力がある。状況の変化に対処する時間は標準的であり、現実吟味力や判断力は適 切である。外界からの困難な情緒的刺激を適切に処理する能力に問題があるが、顕著なもの ではない。 くく対人関係の特徴〉 > 対人関係についての関心はほど良い状態である。また、対人関係で適応していく潜在的能 力はある。ただし、他人の愛情に依存したり、注目されることへの関心が強い、ということ がある。 愛情欲求についての意識が強すぎるため人格の安定性が脅かされ、他人からの反応に依存 しがちで、行動は他人の強い影響を受ける。心理的な外傷体験のために、他から傷つけられ ることを恐れて引っ込み思案の状態であり、小心で、情緒的場面への自然な反応を禁止した り、抑制しすぎる傾向がある。愛情欲求の不満から生じる不安に対しては理解し、耐えてい こうとする内省的努力がある。 厳しい男性や父親と適切な関係を持っ能力がある。優しい女性や母親と適切な関係が持て ない傾向があるが、極端ではない。顕著な性ショックは認められないので、性的適応は良好 と考えられる。 くく人格の統合水準〉 > 人格の統合水準は適応良好水準で、環境への適応能力も優れているので、健全な社会生活 を営むことができる。全体として人格はよく統合されている。 [ Used RuIe NO. 」 14 22 27 34 40 42 45 48 51 53 57 60 70 76 77 82 86 89 92 106 1 15 121 122 123 127 132 137 149 158 161 162 163 169 174 178 179 180 186 187 188 194 195 196 202 238 254 出力ファイル名 : C:YMy_DocumentsY 日経 BP \ シンホ。 84. AI くく End of Report > > * 記号イヒリスト、基礎整理表、要約表は省略してある ( 図 3 ロールシャッハ自動診断システムの実行結果 ( 続き ) 116

7. 「心理テスト」はウソでした。

関係することがわかった。また、ロールシャッハ・デ 1 タは他の質問紙の結果とは何の相 ・テストの変数の平均は、エクスナの基 関も無かった。さらに、大学生のロ 1 ルシャッハ 準とは大きく異なっていて、大部分の学生は精神病と診断されそうであった。 1995 年と 1996 年にエクスナ法に対する重大な批判論文が提出され、何年間も論争が続 いた。その内容を以下に紹介しておこう。 検査者でコロコロ変わる ・テストはインクのシミ図版を見せて、被験者に何が見えたかを聞くが、テス ロ 1 ルシャッハ トの後、ペ 1 ジに簡単に説明したように、反応領域、反応決定因、反応内容などを記号に置き 換えて整理する。例えば、最初の図版で「コウモリ」と反応したとする。インクプロット全体に 対する反応で、特に色彩や動きを報告しなければ、 という記号に置き換える。すなわち、反応領域は全体反応、反応決定因は形態反応、反応 内容は動物反応 < を表す。形態水準は + 一で、ありふれた反応なので平凡反応を追加している。 これは単純な例だが、現実には記号化の手続きは複雑で、多くの記号がある。そうすると、同 じテスト結果でも、臨床家によって、異なった記号を付ける場合がある。テストをする度に結果 120

8. 「心理テスト」はウソでした。

反応内容主として人間、動物 < 、解剖に関する反応がある。体の一部のみの反応は やと表記する。漫画の主人公や宇宙人など、現実の存在ではない場合は記号を ( ) で囲む。 形態水準被験者の反応がインクのシミとどの程度対応するかを、正確さ、明細化、構成度の 観点から 4 段階で評価したもの。優秀水準 + 、良好水準 + 一、不良水準一 + 、病的水準一が ある。 以上の記号などは読み飛ばして構わない。ただ、ロールシャッハの解釈は、この四つの領域ご とに反応を記号に置き換えて、数値化して行う点は忘れないでほしい。原則として、反応領域は その人の注意やアプローチの癖を表すと考える。同様に、反応決定因は、動きを見るか、色彩を 見るか、陰影を見るか、それとも単なる形しか見ないのかなど、その人の認知の枠組みを表す。 占 を また、反応内容は、その人が普段見聞きしている内容を表す。形態水準は、反応のもっともらし で さの指標で、精神障害の程度に関係すると考えられている。 シ の整理法も解釈法も非常に複雑である。興味のある方は村上宣寛・村上千恵子「ロ 1 ルシャッ ン ハ・テストー自動診断システムへの招待 ( 日本文化科学社、 1991 年 ) を参照していただき イ 章オし 第

9. 「心理テスト」はウソでした。

ェクスナの基準と大きく異なった国際調査データ ロ 1 ルシャッハを解釈するには、平均的な正常者が各図版にどのような反応をしたのか、反応 領域、反応決定因、反応内容ごとに記号化したデ 1 タベースが必要である。例えば、反応領域な ら、全体反応、普通部分反応、特殊部分反応、空白反応などがある。ある被験者の が個だったとしても、正常者の平均個数がわからなければ、多いのか少ないのか、判断できな い。そのため、正常者数百人規模で、やなどの平均値を調査しておく必要がある。これが基 準データである。 19 9 9 年、アムステルダムで行われた国際ロールシャッハ学会のシンポジウムで、シェイフ アーとアードバーグは正常者の基準デ 1 タを発表した。メキシコ、ポルトガル、フランス、イタ リア、フィンランド各国の研究者による共同研究であった。結果は衝撃的であった。ヨーロッパ、 占 中央アメリカ、アメリカのデータはほとんど同一であったが、エクスナの基準データとは大きく で 食い違っていた。 シ の ウッドたちの追試も、シェイファ 1 らと非常に似た結果となり、エクスナの基準デ 1 タとは大 ク ン 章 第 * 昭【 Wood. J. M.. Nezworski. M. T.. LiIienfeld. S. O.. 雀 Garb. H. N. W ミミき the え 0 ) 3 New York:John WiIey Sons. 283. 127

10. 「心理テスト」はウソでした。

第 3 章インクのシミで心を占う ・ 19 8 0 年、セント・ジョウンズ大学のルイス・アロンは、過去 1 年にひどいストレスを 受けた大学生と、ほとんどストレスを受けなかった大学生の 2 グル 1 プに、ロールシャッ ・テストを実施した。ェクスナ法では刺激体験と差得点 ( 現実体験ー刺激体験 (Ø) の両方で違いが出るという予想だったが、両グループの得点差はまったくなかった。 ・ 1985 年、テキサス大学のウィリアム・ホワイトヘッドは、ミネソタ多面性格検査 とロールシャッハを背中の痛みを訴える患者、統合失調症患者、躁うつ病患者に実施 し、その記録を臨床経験の豊富な心理学者と、よく訓練された大学院生に送って診断させ た。かロールシャッハのどちらかを基に診断すると、診断の的中率は偶然レベル ロールシャッハの結果は劣っていた。両方のテストを利用して診断 よりも大きかったが、 すると、単独の時よりも的中率が下がった。 ・ 19 8 9 年、ローヤラ大学のジョージ・マイヤ 1 は、大学生 2 6 5 名のロールシャッハ・ ・デ 1 タの変動に大きく テストのデータを分析した。その結果、反応数がロールシャッハ * 川【動物運動反応、無生物運動反応、純粋無彩色反応、純粋材質反応、純粋拡散反応、純粋展望反応の 合計数。 * Ⅱ【現実体験 Q< ( 人間運動反応と色彩反応の重み付け合計 ) 。 * 肥【 Meyer. G. J. Response frequency problems in the Rorschach: Clinical and research implications with suggestions for the futu 、 0 ミ、 Pe ) 0 ミゝ e ミ e ミ . 1992.58.231 ・ 244. Meyer. G. J. The Rorschach's factor structure: A contemporary investigation and historical review. 70 こミ、 Pe ) ミミゝ e き 4 1992.59. 117 ・ 136. 119