辻岡 - みる会図書館


検索対象: 「心理テスト」はウソでした。
14件見つかりました。

1. 「心理テスト」はウソでした。

加えて論理のすり替えも 辻岡がの妥当性の根拠として挙げた例を示しておこう。九州大学で、学生の悩みを調査す 1325 名に >-qc-5 を同時に実施した。「 る際、大学生 噛みの多い群、中くらいの群、少ない群に分 割し、尺度の平均値の差を検定したところ、、 < を除く尺度の得点に有意差があった。悩みの 多い群の平均プロファイルはやや左下がり型の傾向を示し、悩みの少ない群はやや右下がり型の 傾向を示した。 辻岡がプロファイルの差を (Q 十 O 十 * 十 Z 十 O 十 0 0 十 b0—ー十十十 (n) とい、つ ・ 0 8 とな ・ 16 、少ないグループの得点は幻 式で算出すると、悩みの多いグループの得点は 夫った。 丈 大 辻岡は「極めて統計的に有意義な差であり、悩みの大小を弁別する力は極めて大きい」とし、 「検査は学生の悩みの訴えと如実に相関している」と主張し、これで尺度の妥当性や類型の ス 格妥当性が証明されたという。しかし、性質の異なったグループに質問紙を実施すれば、たいてい るの場合、何らかの有意差は出る。足し算すれば、数値は大きくなるのが当たり前である。こんな あ 評統計的検定法はない。 辻岡の論理はこうだ。 章 第 163

2. 「心理テスト」はウソでした。

にこのタイプが多一いとい、つ 型ェクセントリック・タイプ ( 左下がり型 ) 。情緒不安定、社会的不適応、非活動的、消 極的、内向的なタイプである。ノイロ 1 ゼや問題行動を起こすという。 類型解釈は本当に正しいのか。先の辻岡の専門書から妥当性の根拠を探してみた。辻岡が根拠 として挙げるのは、学童用を、東京学芸大学の附属小学校で 456 年生計 263 名を対象に 実施し、児童会での発言回数や内容との関係を調べたものである。 の結果は、 < 型 103 名、型 5 名、 0 型名、型名、型名であった。プラック リストの型は少数だが、風変わりな問題児のß.@型は芻名もいるという異常事態である。 知発言との関係を調べると、 丈 大 ・建設的発言では、型 % 、 0 型 % 。 ス テ ・攻撃非難的発言では、 < 型、型 %%。 格 性 る ・破壊的発言行動では、 < 型 % 。 あ 定 章 第 * 3 【辻岡美延「矢田部・ 。性格検査」心理学評論、 11 - -0 / 11 1 亠 -0 : 0- 153

3. 「心理テスト」はウソでした。

と最近の手引では、この三つの信頼性係数を項目数の ( ) の注釈なし、被験者数の明示な しで記載している。つまり、読者は現の信頼性係数として読んでしまう。肥項目版と川項目 版は値が違うはずである。データのすり替えである。 辻岡はこれらの値について「いかに本検査の信頼性が高いかうかがえる」と書いている。また 「一番低い信頼性係数 0 ・ 56 を浦項目の尺度を用いたとして修正すれば信頼性係数は 0 ・ 86 となる、また最高の 0 ・ 92 は 0 ・ 98 となる」とメチャクチャな議論をする。これならどんな に低い信頼性係数が得られても「 100 項目にすれば : ・ : と高い値になるので、信頼性は高い と言えるではないか。 肥項目版の旧で信頼性係数が 0 ・ 80 を超えるのは、攻撃性ただ一つである。現 2 の長さのテストの信頼性係数に変換すると、現 知の再検査信頼性は誰も算出していない。川 1 大の再検査信頼性係数が得られる。計算してみると、納得の結果である ス テ ・抑、つつ 0 ・ 7 4 格 性 る ・循環性 0 0 ・ 6 8 あ 評 定 章 第 * 6 】辻岡美延「新性格検査法ー性格検査実施・応用・研究手引ー」竹井機器工業、 11 戸 0 ー 1 工 * 7 】辻岡美延「矢田部・ 。性格検査」心理学評論、 1 よ 0 -0 年。 169

4. 「心理テスト」はウソでした。

一質問項目の人れ替え、論理の」まかし 心理尺度シンポジウム 2004 年 9 月幻日、私は珍しく早稲田大学で行われた日本バーソナリティ心理学会のシンポ 知ジウムに話題提供者として参加した。私は人と仲良くなるのが嫌いで、ものぐさで自発性に欠け 大る人間である。自分でシンポジウムを企画したことがないし、学会には必要最小限しか参加しな い。今回は、知り合いの文京学院大学の松田浩平氏の企画で、出てこいと言われたので、やむを ス テ 格得ず出かけた次第である。 るプログラムを見ると、絶望的だった。社会心理学で有名なシカゴ大学のバーナード・ワイナー 評の特別講演が同時刻に開催される。つまり、我々のシンポジウムに参加する人はほとんどいない 章 第 * 4 【多くの変数をまとめる数学的技法の一つ。知能の研究が元になって開発された。 ( 情緒安定性 ) だろう。辻岡の分類を確認した人はいない。の類型は、辻岡という人が主観 的に分類した結果である。 157

5. 「心理テスト」はウソでした。

が得られた。それをまとめると、 ・主導性 : : : 支配性 < 、社交性 ・情緒安定性 : : : 循環性 0 、神経質 z 、客観性 0 、抑うつ、劣等感— ・活動性 : : : 活動性、客観性 0 など となったという。しかし、 8 因子なら 8 グル 1 プになるはすだが、あまりにも数が多過ぎるの で、辻岡が無理にまとめたようだ。分類には一貫性がないし、なぜこんなグル 1 プにしたのか、 理解できない。しかも 156 項目の旧を使った分析である。 大昔のこと、コンピューター雑誌に統計プログラムを書いていた頃、私もの尺度を分類し たことがある。グループセントロイド法という昔の因子分析法のプログラムである。大学生 10 2 名に実施したの尺度を分類してみた。その結果は、 ・抑うつ、劣等感—、神経質 Z 、思考性、支配性 < 、社交性 ・循環性 0 、気楽さ、攻撃性 <<b0 つまり、大きく分けると 2 グル 1 プになったわけである。広い意味での外向性と気分の変化 156

6. 「心理テスト」はウソでした。

は特性論に基づく性格検査としては、日本で最も古い。前述したように就職試験や教員採 用の時の適性検査としても利用されているので、受検者はかなりの数に上る。 色々な人と知り合いになるのが楽しみである。 などの質問に対して「はい」「 ? 「いいえ」で回答させる。この質問に対して「はい」と答え るとすぐに外向的と判断されると思うかもしれない。しかし、心理学では性格とはさまざまな行 動特徴を集めたものであると考える。だから、このような外向性に関係する類似の質問をたくさ 知ん用意して、被験者がどれだけ回答したかを集計しなければならない。 丈 大 え」で の場合は各性格特性ごとに川の質問項目がある。「はいで 2 点となる場合、「いい 2 点となる場合がある。これは質問項目ごとに決まっている。合計得点が尺度得点である。この ス 翫尺度得点を日本人の基準と比較して偏差値に換算し、高得点か低得点かを判断する。 性 る あ 評 定 章 第 * 2 【辻岡美延「矢田部・ 。性格検査」心理学評論、 イ 1 LO ー 11 11 -0 -0 149

7. 「心理テスト」はウソでした。

か小さいこと、劣等感が小さいこと、客観的であること、協調的であること、攻撃的でないこと、 活動的であること、のんきさ、思考的外向もかなり目立つ。 とで評価が大きく食い違うのは、神経質で、では神経質傾向は普通であるが、 ではそのような傾向はまったくないという結果である。その他、評価が一段階食い違うのは、 抑うつ性、気分の変化、協調性、攻撃性、活動性、のんきさ、思考的外向、支配性、社会的外向 と九つもある。評価が一致した尺度は劣等感と主観性の二つだけである。 ふみほ、くみこ、まっさーの本当の性格はどう判断したらいいのだろうか。との結果 が一致するのは三分の一程度にすぎないから、両方正しいという可能性はほとんどない。残る可 能性は三つである。が正しい、が正しい、そして、との両方が間違っている、 である。 そもそもとは 京都大学の矢田部は 1940 年代のギルフアドとマ 1 チンの三つの性格検査から 240 項目を 選んで翻訳し、 1954 年に 156 項目の旧を作成した。それを関西大学の辻岡が 1957 年に 120 項目に簡略化したのがである。 148

8. 「心理テスト」はウソでした。

性格心理学の授業で >-O 、 >O ともにギルフアド検査の抜粋 「さて、今回は定評のある心理検査がどんなものか、しつかり体験してもらいます。今日は とです。はよく教科書で紹介されています。やったことがある人がいるかもしれません が、もう一度、受けてもらいます。同時にも受けてもらいます。ここがミソですね 学生達はおしゃべりをやめて、ようやく頭を切り換えようとする。しかし、まだ頭は働いてい ない。数人はおしゃべりを続けている。こちらがもう少し説明を続けると授業用の頭に転換する。 「の正式名称は矢田部ギルフォード性格検査です。矢田部もギルフォードも人の名前ですね。 ただ、本来ギルフォードとは発音しません。発音通り教科書ではギルフアドと書いています。半 世紀前に京都大学の矢田部達郎という人がギルフアドの性格検査から質問項目を抜粋して、それ を関西大学の辻岡美延という人が整理して 120 項目にまとめたものです。は何年か前まで、 富山県の教員採用試験の適性検査として使われていましたし、就職の適性検査にもまだ使われて います。だから知っておいたほうがいいですよ」 教員採用試験という言葉を聞くと途端に真面目な表情に変わる。おしゃべりを続ける学生はい 140

9. 「心理テスト」はウソでした。

何と信頼性係数のごまかし * 6 さらに、辻岡のの専門書と論文を比較しながら読むと、論理のすり替えや詐欺のオンパレ 1 ドに気づく。 心理テストには妥当性 ( 結果が正しいか ) と信頼性 ( 測定値の安定性 ) という大きな問題があ り、開発者はこの証拠を公表する義務がある。の妥当性の根拠は怪しげで、はっきりとした 証拠はない。信頼性係数の報告にはごまかしもある。 1957 年の論文 (æ・ ) には、三つの信頼性係数が掲載されている。 ・内的整合的信頼性 ( 川項目式 ) : : : 現の信頼性係数。関大生 300 名の回答の一貫性 から計算したもの。 : 15 6 項目の旧と 2 4 0 項目の旧旧 (-.5 ・平行系列信頼性 ( 肥項目式 x 項目式 ) ・ を京大生 200 名に実施して相関を求めたもの。 : : : 156 項目の旧を京大生 150 名に 2 回実施して、そ ・再検査信頼性 ( 肥項目式 ) の相関を求めたもの。 現の信頼性係数は、内的整合的信頼性だけである。ところが、 1972 年の専門書・ 168

10. 「心理テスト」はウソでした。

第 4 章定評ある性格テストは大丈夫か し、ノヾ ていない。の尺度はギルフアドらの性格検査から適当に項目を寄せ集めてできたと考 える方がよい ・のタイプは特に当てにならない。分類の根拠はどこにもないし、解釈も正しいとは思 えない。優秀な学生でもプラックリスト・タイプの型が多いし、就職の適性検査に使わ れるとディレクター ・タイプの Q 型だらけになる。 ・半世紀の間にの質問項目は 7 項目も入れ替わっている。こういう場合はデータを取り 直し再標準化する義務がある。しかし、はそんな手間はかけていない ・の信頼性係数には旧のものが交ざっている。これはデータのすり替え、ねつ造に 該当する。全体としての信頼性はかなり低く、実施する度に違った結果になる。また、 は簡単にウソがつけるし、それを見破る尺度もない ・の実際的妥当性の根拠に挙げる研究は、を 2 グループに実施し、有意差を見いだ し、の妥当性が高いと主張するパタンである。「関係性がゼロでない↓妥当性が高いー という論理のすり替えを行っている これまで述べてきたように、の解説書は、データのねつ造、論理のすり替え、ウソのオン レ 1 ドだ。辻岡という人に非常な不信感を持ってしまった。とてもまともな研究者とは思えな どうしてこんなことが許されるのだろうか。一種の犯罪ではないか。無批判にを使えば 177