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検索対象: 「心理テスト」はウソでした。
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1. 「心理テスト」はウソでした。

入れ替わっています。『埠スパイのよう 「まだ、あります。いつの間にか、検査項目が 3 問、 な人がたくさんいる』という項目は『人から触れられたくない秘密がある』という項目の替わり に入ってきました。『引・親友でもほんとうに信用することはできない』という項目は『もっと 違う境遇に生まれたかったと思う』の替わりです。『 103 ・自分はいつも運がわるい』は『わ ざとのけものにされたことがたびたびある』の替わりに入ってきました。すべて 0 。 ( 協調性 ) の項目です。項目を入れ替えたのなら、標準化もやり直すべきなんです。こんなことが許されて いいんでしようか。まだまだ、あります。の形式の中に次のような項目があります。 『銃に実弾が入っていると弾を抜くまで気が気でない』です。冗談じゃありません。暴力団 組員の専用の性格検査なんでしようか。ナンセンスのきわみです。こんなことが許されるんでし よ、つか。日本版では : ・・ : 」 大村先生の独演会はまだまだ続いた すり替えられた質問項目 の問題点については、村上宣寛「最新コンピュータ診断性格テストー ( 日刊工業新聞社、 1993 年 ) で指摘済みだった。今まで信頼できると信じていたテストが、実は虚妄であると論 証した本なので、一部、専門家の間では評判になったが、 同時に衝撃も走った。しかし、採点カ ーポンの印刷ミスや質問項目の入れ替えまでは知らなかった。 160

2. 「心理テスト」はウソでした。

などがある。性格特性がいくつか集まったものが性格である。こういう考え方が特性論である。 性格検査はすべて特性論に基づいて作られている。そうすると、そういう共通の特性をいくっ仮 定すれば、 しいかが大問題である。 100 年以上前から、多くの心理学者が研究を続けている。 ギルフアドは開発されたばかりの因子分析法 ( 前述の変数のまとめ方の手法 ) を使って、さま ざまな質問項目を少数のグループにまとめようとした。 1940 年代にはコンピューターがなか ったので、セントロイド法という近似計算であったが、それでも、 1 回計算するためには数週間 が必要だった。因子分析の結果、順次、因子性格検査、因子性格検査、 因子性格検査が編成された。名称のアルファベットは因子の頭文字である。ギルフアドらによる との性格因子になったが、すべての質問項目の相関関係を分析したものではない。 はそのうち男性性因子を省略し、肥の因子から項目を抜粋して翻訳したものである。暫 夫 大定版の 240 項目の質問紙を大学生 200 名に実施し、各因子ごとに高得点者名、低得点者 名を選んだ。そして、二つの群の質問項目に対する回答を比較し、統計的に有意差のある項目を ス テ 格選んだのが 156 項目の旧である。この旧を 120 項目に縮小したのが現である 性 る この手続きは、暫定版質問紙の合計得点と整合性のある質問項目を残す手法で、項目分析とい あ 1 ワ」 0 X 評う。項目分析からは、 120 項目のが因子で構成されるという証明はできない。 120 の相関行列を作り、因子分析して、実際にのグル 1 プに分かれることを実証しないとい 章 第 けない。 >-q(.-D は本当に肥因子なのだろうか 171

3. 「心理テスト」はウソでした。

何と信頼性係数のごまかし * 6 さらに、辻岡のの専門書と論文を比較しながら読むと、論理のすり替えや詐欺のオンパレ 1 ドに気づく。 心理テストには妥当性 ( 結果が正しいか ) と信頼性 ( 測定値の安定性 ) という大きな問題があ り、開発者はこの証拠を公表する義務がある。の妥当性の根拠は怪しげで、はっきりとした 証拠はない。信頼性係数の報告にはごまかしもある。 1957 年の論文 (æ・ ) には、三つの信頼性係数が掲載されている。 ・内的整合的信頼性 ( 川項目式 ) : : : 現の信頼性係数。関大生 300 名の回答の一貫性 から計算したもの。 : 15 6 項目の旧と 2 4 0 項目の旧旧 (-.5 ・平行系列信頼性 ( 肥項目式 x 項目式 ) ・ を京大生 200 名に実施して相関を求めたもの。 : : : 156 項目の旧を京大生 150 名に 2 回実施して、そ ・再検査信頼性 ( 肥項目式 ) の相関を求めたもの。 現の信頼性係数は、内的整合的信頼性だけである。ところが、 1972 年の専門書・ 168

4. 「心理テスト」はウソでした。

作成方法を見てみよう。まず、ギルフアドらの四つの性格検査の各因子からⅡ個ずつ質問項目 を抜粋し、翻訳して 168 項目の予備検査を作った。それを中学生 123 名に実施し、尺度ごと に高得点者と低得点者の弁別力が劣る質問項目を一一つ削除すると検査のできあがりである。 でも 240 項目から出発しているし、項目分析の人数も 200 名である。 1970 年代の は 1950 年代のの猿まね以下である 1 ー 0 年代ならコンピューター環境も整備されていたので、と同じ方法で作成する理由 はまったくない。續たちの研究で見たように、全質問項目を因子分析することも可能だった。た だ、もし、そのような分析をすると、 3 因子しか出なかっただろうし、行き詰まることは目に見 えていた。だからものまねに終始したという訳だ。それにしても、翻訳した項目数や項目分析の 知被験者数を見ると、いかに手抜きをしたかがわかる。 大その代わり、標準化の人数は頑張って 2682 名である。中学生、高校生が対象である。しか し、多ければ、 しいという訳でもない。の流行を横目で眺め、タ 1 ゲットを学校教育に絞り、 ス テ 格素早く、安直に作成したのがである。肝心の作成方法は非常に貧弱である。 るの解説書・ 105 ) には面白いデ 1 タがある。正常者群と非行群を比較したデータだ。 定 年。 * 9 【村上宣寛・村上千恵子「性格は五次元だった」培風館、 章 * 川】本明寛・久米稔・織田正美「本明・ギルフォ 1 ド性格検査手引き」日本図書文化協会、 1976 第 年。 スロ 175

5. 「心理テスト」はウソでした。

と最近の手引では、この三つの信頼性係数を項目数の ( ) の注釈なし、被験者数の明示な しで記載している。つまり、読者は現の信頼性係数として読んでしまう。肥項目版と川項目 版は値が違うはずである。データのすり替えである。 辻岡はこれらの値について「いかに本検査の信頼性が高いかうかがえる」と書いている。また 「一番低い信頼性係数 0 ・ 56 を浦項目の尺度を用いたとして修正すれば信頼性係数は 0 ・ 86 となる、また最高の 0 ・ 92 は 0 ・ 98 となる」とメチャクチャな議論をする。これならどんな に低い信頼性係数が得られても「 100 項目にすれば : ・ : と高い値になるので、信頼性は高い と言えるではないか。 肥項目版の旧で信頼性係数が 0 ・ 80 を超えるのは、攻撃性ただ一つである。現 2 の長さのテストの信頼性係数に変換すると、現 知の再検査信頼性は誰も算出していない。川 1 大の再検査信頼性係数が得られる。計算してみると、納得の結果である ス テ ・抑、つつ 0 ・ 7 4 格 性 る ・循環性 0 0 ・ 6 8 あ 評 定 章 第 * 6 】辻岡美延「新性格検査法ー性格検査実施・応用・研究手引ー」竹井機器工業、 11 戸 0 ー 1 工 * 7 】辻岡美延「矢田部・ 。性格検査」心理学評論、 1 よ 0 -0 年。 169

6. 「心理テスト」はウソでした。

データが分析されている。これだけの人数をきちんとサンプリ ングした訳だから、日本人全体の代表とみなせる。 血液型と性格に関する調査項目を表 1 ・ 3 に示す。 4 回の調 査結果をカイ自乗検定で分析すると、それぞれの分析で、 35 4 項目が 5 % 以下の危険率で有意であった。 5 % 水準の検定を Ⅱ 12 0 % となる。前に述べたよう 幻回やった訳だから 5 x 幻 に 1 項目くらい有意になっても不思議ではない。 表には有意を示すアステリスク ( * ) がたくさん付いている カイ自乗検定は分析対象者が 1000 名を超えると、有意にな りやすい。この場合、各年度が約 310 0 名だからこれくらい 有意の項目は出る。ただし、 4 回の分析で一貫して有意だった のは「物事にこだわらないーだけだった。その項目の「はい と回答した % を表 1 ・ 4 に示す。血液型人間学によると、物事 にこだわらないのは型の特徴のはずである。型は 19 8 0 年と 19 8 8 年に % が高かった。したがって、この点では仮説 は支持された。しかし、 1982 年は O 型、 1986 年は型 が高かった。この点では仮説は支持されなかった。つまり、一貫 表 1 「物事にこだわらない」に「はい」と回答した % 血液型人間学の仮説は 1980 年と 1988 年では支持されたが、 1982 年と 1986 年では否定された。 B 型 AB 型 0 型 34.3 31 .8 37.8 36.1 39.1 35.6 39.9 39.5 38.8 37.1 42.9 45.1 1980 年 1982 年 1986 年 1988 年 30.6 33.0 32.4 35.9

7. 「心理テスト」はウソでした。

か小さいこと、劣等感が小さいこと、客観的であること、協調的であること、攻撃的でないこと、 活動的であること、のんきさ、思考的外向もかなり目立つ。 とで評価が大きく食い違うのは、神経質で、では神経質傾向は普通であるが、 ではそのような傾向はまったくないという結果である。その他、評価が一段階食い違うのは、 抑うつ性、気分の変化、協調性、攻撃性、活動性、のんきさ、思考的外向、支配性、社会的外向 と九つもある。評価が一致した尺度は劣等感と主観性の二つだけである。 ふみほ、くみこ、まっさーの本当の性格はどう判断したらいいのだろうか。との結果 が一致するのは三分の一程度にすぎないから、両方正しいという可能性はほとんどない。残る可 能性は三つである。が正しい、が正しい、そして、との両方が間違っている、 である。 そもそもとは 京都大学の矢田部は 1940 年代のギルフアドとマ 1 チンの三つの性格検査から 240 項目を 選んで翻訳し、 1954 年に 156 項目の旧を作成した。それを関西大学の辻岡が 1957 年に 120 項目に簡略化したのがである。 148

8. 「心理テスト」はウソでした。

第 4 章定評ある性格テストは大丈夫か し、ノヾ ていない。の尺度はギルフアドらの性格検査から適当に項目を寄せ集めてできたと考 える方がよい ・のタイプは特に当てにならない。分類の根拠はどこにもないし、解釈も正しいとは思 えない。優秀な学生でもプラックリスト・タイプの型が多いし、就職の適性検査に使わ れるとディレクター ・タイプの Q 型だらけになる。 ・半世紀の間にの質問項目は 7 項目も入れ替わっている。こういう場合はデータを取り 直し再標準化する義務がある。しかし、はそんな手間はかけていない ・の信頼性係数には旧のものが交ざっている。これはデータのすり替え、ねつ造に 該当する。全体としての信頼性はかなり低く、実施する度に違った結果になる。また、 は簡単にウソがつけるし、それを見破る尺度もない ・の実際的妥当性の根拠に挙げる研究は、を 2 グループに実施し、有意差を見いだ し、の妥当性が高いと主張するパタンである。「関係性がゼロでない↓妥当性が高いー という論理のすり替えを行っている これまで述べてきたように、の解説書は、データのねつ造、論理のすり替え、ウソのオン レ 1 ドだ。辻岡という人に非常な不信感を持ってしまった。とてもまともな研究者とは思えな どうしてこんなことが許されるのだろうか。一種の犯罪ではないか。無批判にを使えば 177

9. 「心理テスト」はウソでした。

* 8 この基本的な問題に焦点を当てたのが、續・織田・鈴木の研究である。を高校生と大学生 合計 600 名に実施し、 120 項目の相関行列を作成し、因子分析を行った。因子は最大七つ求 められたが、 第三因子までで・ 2 % が説明できた。つまり、の質問項目を分類すると 3 グ ループとなった。質問項目の内容を検討すると、「対人関係」「劣等感」「活動性」に関する尺度 になる A 」い、つ 結局、のの性格特性は幻想にすぎなかった。研究論文が掲載されたのは、教育心理学研 究という有名な学術誌である。専門家なら誰でも読めるはずだ。この程度のことも知らない研究 者や人事担当者が多過ぎる。人の採用にを使うのは無知の証明にほかならない 性格特性論の世界のすう勢 特性論の歴史を簡単にまとめておこう。 ・オ 1 ルポ 1 トとオドバ ートは 1936 年にウエプスターの新国際辞典から性格特性用語を 4504 語抽出した。同時に、特性論を提案し、大きな影響を与えた。 ・ギルフアドは 1930 年頃から因子分析法で性格因子を探求し、因子性格検査 ( 1940 年 ) 、因子性格検査、—因子性格検査 ( 19 4 3 年 ) 、ギルフアド・ ツイママーン気質調査 ( 年 ) などを作成した。↓日本では前三者から抜粋して 172

10. 「心理テスト」はウソでした。

ロールシャツ、 ノ・テストの妥当性がすべて低い訳ではない。ウッドたちも知的水準の推定と統 合失調症の診断にはある程度の妥当性があると認めている しかし、何故、ロールシャッハ ・テストで知能を推定しないといけないのか。ロールシャッ ハ・テストの実施と整理には 4 時間もかかる。妥当性係数は最大でも 0 ・ 3 程度である。知能の 推定なら知能検査でいいはずだ。ウェクスラ式知能検査の簡易実施法なら川分もあれば、かなり の正しさで知能の推定ができる。 統合失調症の診断にはロ 1 ルシャツ、 ノ・テストよりの方が良いという多くの研究があ る。は 5 6 6 項目と多過ぎるので、 2 5 0 項目の z —や 12 4 項目の— z —— 1 24 を使えばよい。せいぜい分前後しかかからない。診断は正確だ。 ロ 1 ルシャッハ ・テストは抑うつが診断できないが、やー 124 の診断力は う申し分がない。抑うつ症状の把握ならべック抑、つつ質問票がある。ロールシャッハを使う必然性 をはどこにもない で シ の ク ン イ 章 第 * 四【 Odom. C. L. A study of the time required ( 0 do a Rorschach examination. 70 ミミ、 p 、ミ Te q ミし 950. 14.464 ・ 468 * 【村上宣寛・村上千恵子「臨床心理アセスメントハンドブック」北大路書房、 2004 年。 135