山田さん - みる会図書館


検索対象: 人生が変わる! : 無意識の整え方
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1. 人生が変わる! : 無意識の整え方

山田博さんとの対談を終えて ーナいただいた 4 名の方々のうち、もっとも古くから交流があったのが山田さん 本書こ登昜 です。これまで何度も会話をしているはずなのですが、改めて対談という場で交わす言葉 はやはり新鮮でした。対談でも触れていますが、山田さんの話し方はとてもゆっくりで、 心地良く、安心できるテンボです。しかも今回は森の中での対話でしたから、刺激的なだ けでなく、非常にリラックスした、幸せな時間でした。 合氣道は「身体と無意識」、仏教は「心と無意識」の関係だったとすれば、ここでは森 という「世界と無意識」の関係についての話をうかがったのだと思います。山田さんは日々 の生活で生じた「そこはかとない不安」が、森に入ることで「根拠のない大丈夫感」に変 わるとおっしゃいました。前者はマイナス、後者はプラスの感情ですが、ポイントはどち らも一言葉に直すことの難しい、とらえがたいボンヤリしたものだというところだと思いま 解決できず、苦し す。だからこそ「そこはかとない不安」は意識によって自覚しにくく、 いのです。そして「根拠のない大丈夫感」は、通常の理屈を超えた無意識から来る安心感 なのではないでしようか。 1 6 3 無意識対談③ x 山田博

2. 人生が変わる! : 無意識の整え方

てくれるからだと。 山田とても共感しますね。自然の力には、脱帽するしかありません。ぼくにとっての自 然は「森」でした。森の力にまかせると、これまでどう扱えばいいかわからなかったこと がひも解かれるんだとわかったんです。 前野なるほど。 山田いや、「わかった」というより「感じた」といったほうがふさわしいですね。どう してそうなるかは説明できないので。 前野ふうむ。とにかく感じちゃった、と。 山田はい。それで別のクライアントさんも誘ってみたら、やつばり同じように元気になっ てもらえた。それで「やつばり森には何かある。と確信しました。 前野「そこはかとない不安」はどうなりましたか ? 根拠のない 大丈夫感 山田はい。森で過ごしたクライアントさんは、表情がはっきり変わっ たと同時に、それまで発していた「そこはかとない不安」もかなり小さ くなりました。 前野ゼロにはならない ? 12 4

3. 人生が変わる! : 無意識の整え方

リラックスするんだろうなんて。でも、そんなものじゃなかった。手つかずの森って、も のすごく豊かなんですね。 山田ええ、本当にそうですね。 前野倒木があって、苔が生え、その上を蜘蛛が歩く。土の匂いは酸つばくて、地面にも いろんな植物や虫がいて、多様なものが共生している。そういう空間で何も持たずに一人 で過ごしていたら、自分でも思いもよらないことを次々に連想しました。あれは 1 時間 らいだったでしようか ? 山田だいたい 2 時間です。長いと 3 時間くらい過ごしていただくこともあります。 前野 2 時間もいたんですか。時間の感覚がわかんなくなるんですよね。 山田あのときの前野さんの表情、思い出しました。すごく驚かれていましたね。 前野強烈でしたから。森っていうのは、気づきに満ちているなあと初めて知りました。 自分は 前野森もですが、山田博さんという人にもインパクトを感じました。 赤ん坊に 話すのも歩くのも、すべてがゆっくりしたリズムで、常人ではない気配。 優って 山田そうですか ? ゆっくりなだけですよ ( 笑 ) 。ただ、元からこうだっ いるのか たわけではありません。代の頃は倍くらいの速度で話していました。 1 18

4. 人生が変わる! : 無意識の整え方

んですね。 森との 前野たしかに森で過ごしているときは、自分が何を受け取っているの 対話、 かわからない。ただ感覚が開いている感じだけがある。でも、あとで博 無意識との さんや他の参加者の方たちと言葉を交わしていると、フッとわかる。「感 対話 じたこと」って言葉にしづらいんですが、右脳と左脳を行き来させてる うちに、いろんなことに気づくし、不思議なくらい伝わるんだなと感じました。 山田 ぼくはこのプログラムを、自分との対話、人との対話、森との対話だと考えていま す。ずっと一人で過ごしているとまた違うんですよね。 前野なるほど。それはまったく違いそうですね。 山田前野さんがアクセスしようとしている膨大な知恵の領域が、無意識にはある。でも、 膨大すぎて、すべてにはアクセスできない。ぼくにもそういうものがある。前野さんと重 なっている部分もあるかもしれないけど、とりあえず別々です。でもぼくも自分の無意識 にアクセスしきれない。 前野ええ。無意識にはあらゆる情報が集まっているから、意識的には処理しきれません。 山田そこから手がかりになりそうなものを意識の働きで言語化して、外に投げる。これ 無意識対談③ x 山田博 15 5

5. 人生が変わる! : 無意識の整え方

も何か見えない壁というか、蜘蛛の巣に絡め取られているような感じで、どことなく不安 そうに見えるんです。見えない影が後ろに忍び寄っているというか。 前野何でしよう、それは。 山田ぼくにもわかりませんでした。でも、たしかに感じる。何かしら不安のようなもの を持っている。それで忘れないように「そこはかとない不安」と名づけていました。 前野「そこはかとない不安」ですか。 山田はい。しかも、それは一人のクライアントさんだけじゃない。多くの方が同じ状態 になっていることに気づきました。気持ち悪いですよね、正体がわからないだけに。どう しようかと考えていたときに直感的に思い浮かんだのが、ぼくが子どもの頃に遊んだ那須 の雑木林だったんです。 前野なぜ ? 山田なぜか浮かんだんです。直感的な話で申し訳ないんですが、理由もなく「森に行っ てみたらどうだろう」と思いついたんです。クライアントさんの何人かに「ちょっと場所 を変えてみませんか」と森に誘いました。それがきっかけなんです。 前野そうしたら、何かが起こったんですね。 山田はい。 12 2

6. 人生が変わる! : 無意識の整え方

いうプログラムは素晴らしいから、もっと大きな会社にして日本全国に広げたらいいの に、ってぼくが思うのも同じですね。 山田ははは ( 笑 ) 。つい、ぼくもそう思っちゃいますね。スタッフとよく話すんです。 自分たち人間がやれるのはせいぜい 5 % で、残りの % % は森がやってくれるからって。だ から森を信じて、委ねることが大切。そうすると良いことが起こるんです。 前野委ねるというのも、現代人が苦手な部分ですね。オレがやるんだと、意志のカで主 体的に取り組もうとしちゃいます。 山田そうですね。委ねること、手放すことは本当に難しい。そういえば委ねる、手放す、 まかせるは似た言葉ですね。共通点は自分だけでやろうとしないことでしようか。 前野うん、そうですね。 山田たぶん自分だけでやろうとすると分断を生み出すんですよ。力を誇示したり、取り 分を主張したりすると、壁、境界線ができる。自分だけで立ち続けなくてはいけなくなる。 共生から離れてしまう。 人間は森の 前野全部わかってはいけない。だから博さんは「森はすごい」とい ケアティカー ながら「森はわからない」ともおっしやるんですね。 14 4

7. 人生が変わる! : 無意識の整え方

( この対談は、栃木県那須塩原市の森の中でおこなわれました ) 森の中での 語らい 前野森での対談は気持ちいいですね。ただ、話し方がゆっくりしてし まいます。 山田それがいいんですよ。 流れに身をまかせて話しましよう。ぼくは森に入るのは三 前野そうですね。ゆっくり、 度目で、今回は昨日、今日とここで一泊二日を過ごさせていただきました。森は人間の推 意識の広さ、深さを実感できる場所じゃないかと改めて感じたんです。そのあたりのこと を「株式会社森へ、という不思議な名前の会社を経営されている山田社長にお聞きしたい と思っています。 山田山田社長はちょっと ( 笑 ) 。 前野じゃあ博さんでいいですか ? みなさんそう呼んでいますね。 山田ええ、たいてい下の名前で呼ばれていますから、それでお願いします。 前野わかりました。森はとても特別な空間だと思います。初めて体験したときは衝撃で した。 山田去年 ( 2014 年 ) の川月でしたね。 前野はい。森に入る前からある程度は想像していたんです。きっと気持ちいいだろうし、 1 17 無意識対談③ x 山田博

8. 人生が変わる! : 無意識の整え方

山田さんは以前から、森がこうした効能を持っ理由を「わからない」とおっしやってい ましたが、 今回はさらに踏み込んで、「わからないほうがいい」「わかってはいけない気が する」とおっしやっていた点が、興味深く刺激的でした。おそらく、現在の科学の言葉を 使っても「大丈夫感」に、ある程度の根拠を与えることは可能でしよう。しかし、そうし てしまうと、わたしたちが無意識のうちに感じ取っている本質的な安心感を失うことにな るのではないか。わたしには、山田さんがそう感じているように見えました。 わたしは研究者なので、科学の根本である「わかりたい 」という欲求があります。その ため、「わからないほうがいい」のハードルは高いですが、それでも「感じること」「証明 する前にひとまず受け入れてみること」の大切さを自分の研究にも生かしていきたいと思 いました。 コーチングのプロフェッショナルでもある山田さんは、こうしたとらえがたい物事にア プローチするための方法として、心に浮かんだ意味不明なサインを「名づける」というこ とをなさっていました。これは、無意識からのメッセージを、ひとまず意識しておくため のテクニックなのだと思います。ここで重要なのも、すぐに否定したり、その場で意味づ けをしないこと。そうすることで、無意識に感じたことを的確に受け取ることができるの 16 4

9. 人生が変わる! : 無意識の整え方

きることだけをやる。そ一つすると、一つまくいく。 前野すごいなあ。 山田ですから、この会社も森のように運営したいんです。 前野森のように営み、育てるわけですか。 山田はい。そのために、森だったらどういうふうに発想するのか。どのくらいのスピー ドになるのかをいつも話し合っています。 前野ぼくは博さんの言葉にだいぶ慣れてきていますけど、でも「森ならどうするか」と いう思考法は衝撃的ですよね。 山田そういう会話を普通にしてるんです。とはいえ、やはりぼくたちは森ではないので、 全部はわかりません。 前野そうですよね。人間は森じゃない ( 笑 ) 。 山田ですから繰り返し森に入り、できるだけ近づいて、そこで気づいた森の発想を生活 やビジネスに取り入れようとしている。「森へ」という会社がなぜあるのか。森を感じて、 そこから学び取る力を利用して運営し、その力を人間が思い出すために貢献したい。 前野なるほど。実際に森に入ってみたから、その意義は実感できます。この対談を本に して文字で伝えても、なかなか伝わらないかもしれないなあ。 1 6 0

10. 人生が変わる! : 無意識の整え方

都市に 前野都市で生活しながら無意識を開く方法はありますか ? 森の知恵を 山田 ぼくの言葉でいうと「感覚を開く」ということになりますね。 持ち込むコツ、 いいですね。 前野ええ、同じだと思います。感覚を開くコツ、 「ゆっくり」 山田感覚を開くコツは「ゆっくり、です。これなら森に行かなくても できますし、特別に用意するモノは何もありません。スピードを落とすこと。普段やって ることのスピードを半分にしてみるんです。 前野ゆっくり歩く ? 山田歩く、話す、呼吸、食事、なんでも構いません。いろんなことをやろうとするより、 ひとつのことをずっと続けて欲しいなと思います。例えば、歩くスピードを半分にする。 一日中は難しいでしようから、毎朝バス停まで歩いているなら、それを半分の速度にする だけで構いません。ただし、一カ月間は続けてみてください。そうすれば、かなり開きま す。直感も鋭くなるはずです。自分でもやってみましたが、驚くくらい違います。 前野そんなに違いますか。 山田ま、。 ーしコ 1 チングでクライアントさんにお勧めすることもあります。実践してもら うと、たいていの場合、大きな変化がありますね。感じ方、モノの考え方が変わったとおっ しゃいます。 15 7 無意識対談③ x 山田博