ジャガイモ畑 - みる会図書館


検索対象: 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜
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1. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

第 6 夜にぎやかなウサギ時計 そして時計の針が 4 のところに来ると、どうなったか 年寄りの親がつぎの 1 組を産み、年上の子どももおなじよ うに 1 組を産み、若い子どもも、せっせとはげんだ して 5 組のウサギが、ジャガイモ畑をびよんびよん跳びは ねることになった。親が 1 組、子どもが 5 組、孫が 1 組。 5 組が茶色で、 2 組が白だった。 「わたしだったら」と、数の悪魔が言った。「きちんと区 別してかぞえるの、やめちゃうな。もう、ウンザリだろう 109 目のベルが鳴ると、もう 15 組。信じられないよ。うじよ えることができた。ウサギはもう 8 組になっている。 6 回 時計の針が 5 をさすまでは、ロバートもいっしょにかぞ

2. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

うじよいるぞ。いったいどうやったら終わるんだろう ? 7 回目のベルが鵈っても、ロバートはなんとかかぞえら れた。ちょうど 21 組だ 「ロノヾ ート、なにか気がついたかね」 「もちろん。これ全部、フィポナッチ数でしよ」 イ戸 ん 3. 5 , 8 ′ヨ 3 第 2 イ . トがそう言っているあいだに、また、白いウサギ ロノヾー の一団が生まれた。そしてたくさんの茶ウサギと白ウサギ が踊っているジャガイモ畑で、いっしょになってはしゃぎ まわった。ロバートはもう、全部のウサギをきちんと区別 なさ してかぞえられなくなった。ウサギ時計は情け容赦なく進 んでいった。とっくに針は 2 周目に入っていた 「助けて ! 」 ートは悲鳴をあげた。「終わらないよ。 ロノヾ 何千匹もいる。恐ろしい ! 」 「ほら、 ー ' に、ウサギのリストを用意しておいた。リ おど 110

3. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

第 6 夜にぎやかなウサギ時計 当 + 25 ニ 3 「またフィポナッチだ」 「しかもだ、 4 プラス 5 は 9 だから、 9 番目の数だぞ」 「わかった。なかなかきれいで、いいね。でも、これっ て、なんの役に立つの ? 」 「ああ」。数の悪魔が言った。「いいかな。数学は数学者 のためだけにあるんじゃないんだ。自然だって、数がない とやっていけない。木や貝だって、計算することができる んだぞ」 「ウソでしよ。ばくをだまして、クマのところに連れて く気だな」 「おお、クマだって、そうだ。動物はみんな、計算でき あんき る。すくなくとも動物は、フイボナッチ数を暗記してるみ たいに、行動する。どうだ、わかったかね。フイボナッチ 数がどんなものか」 「ううん、わかんない」 なんと、 2 匹の小さな白いウサギがびよんびよん跳ねて あそこに 2 匹」 このジャガイモ畑にもウサギはいるはずだ」 ウサギを考えよう。ウサギがいいな。貝より元 「ほら、 「どこに ? 」 気だから。 「じゃ、 105 ふうふ はじまる」 組の夫婦ってわけだな。どうじゃ、どんなものも、 1 から 「どうやら」と、老人が言った。「オスとメスらしい。 1 きて、ロバートの足もとにすわった。

4. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

第 6 夜にぎやかなウサギ時計 「気が遠くなるまで、ずうっと」 「ああ、もちろん」 あんしよう そう言って、数の悪魔は、フィポナッチ数を暗唱しはじ めた。折りたたみ椅子にすわったまま、一本調子の歌のよ うだった。これぞフィポナッチ・オペラである。 1 、 2 、 5 、 5 、 8 、 1 5 、 2 1 、 5 4 、 5 5 、 89 、 144 、 255 、 577 、 ートは耳をふさいだ。 ロノヾ 「わかった。やめてやろう。書いてやるほうが、 もしれんな。おばえられるから」 「でも、どこに ? 」 ( 、いか ィ 「どこでも好きなとこに。ロールペーパーにでも書くか」 悪魔はステッキの先のネジをはずして、薄いロールペー パーをとりだした。それを地面に投げつけて、ポンとひと 突きした。こんなにたくさんの紙がステッキに詰まってい たのか。ロールペーパーは、信じられないほど長いリポン みぞ となって、どんどん伸びつづけ、ジャガイモ畑の溝にそっ て、はるかかなたの地平線の先で見えなくなった。もちろ ーには、フィポナッチ数が番号をふって書 んロー丿レベーノヾ かれていた ちへいせん 10 ろ で、読めなかった。 これより先の数字は、はるか遠くで小さくなっていたの イ 2 3 5 8 づ 3 24 3 午 55 イ 233

5. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

第 6 夜にぎやかなウサキ時計 「わたしひとりだけ、と思ってるみたいだが」。数の悪魔 が、ふたたび姿をあらわした。こんどは、はてしなくひろ いジャガイモ畑のまんなかで、折りたたみ椅子にすわって いた 「ひとりだけって、どういうこと ? 」。ロバートはたずね 「数の悪魔はひとりだけしかいない、と思ってるんだろ うが、ちがう。おおぜいいるんだ。わたしの暮らしてる数 らくえん の楽園には、仲間がうじゃうじゃおる。残念ながら、わた しはポスじゃないがね。ほんとうのポスたちは、部屋にす わって、問題に頭をひねっているんだ。ひとりのポスが笑 って、そうだな、こんなことを言う。『 Rn イコールん。わ る n の階乗かける / ( " ) かっこ開き 0 フラス″んかっこ閉じ』。 すると別のポスが、よくわかったぞって顔をしてうなずき、 いっしょに笑うことがある。どういう話なのか、わたしに は見当がつかないこともあるんだが」 「みじめだね。でも、かなり自分のこと、わかってるじ ートは憎まれ口をきいた。「同情してもらい ゃない」。ロノヾ たい ? 」 はけん 「あのな、どうしてこんな夜に、わたしがここに派遣さ れてると思ってるのかね。楽園のお偉方にや、はなたれ小 僧の相手なんかする暇ないんだよ」 ひら かいじよう えらがた 101

6. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

が重くなってきた。 しかしそれからロバートが見たのは、なんとも奇妙な夢 だった。インフルエンザにかかって、べッドに寝ている夢 を見たのである。そしてべッドのそばには数の悪魔がすわ っていた。 あれつ、ナイトテープルの上のコップ、水が人ってるぞ。 ねつ ートは思った。暑いな。熱があるんだ。ぜんぜん眠れ ロノヾ なかったらしいや。 「そうかい」と老人が言った。「では、このわたしはどう なるんだ。わたしはおまえの夢ではないのか。それともわ たしは実際におるのか ? 」 「ぼくにもわかんない」 「ま、どちらでもよい。いずれにしても、見舞いに来た かったのでな。病気になったら、家でじっとしてるんだ 砂漠に出かけたり、ジャガイモ畑でウサギの数をかぞえた りしちゃいかん。で、わたしは考えた。どうだ、大げさな トリックはなしにして、静かな夜をすごそうではないか。 退屈しないように、数も呼んでおいた。数なしじゃ、生き てはおれん。だが心配するな、おまえのこと食べたりしな いから」 「いつもそう言ってるけどさ」 「どうぞ」と数の悪魔がさ ドアをノックする音がした。 けぶと、たちまち数が行進しながら入ってきた。一度にた くさんの数だったので、あっというまにロバートの寝室が いつばいになった。ドアとべッドのあいだに、信じられな けいりんせんしゅ いくらいたくさんいるじゃないか。数は、競輪選手かマラ ソン選手みたいだった。みんな、白いジャージにナンバー 166

7. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

「この悪魔ったらさ、ばくを言いくるめようとしてるん だぜ。きみたちが計算できるって」。ロバートはウサギに 言った。「そんなわけないよね。悪魔の言うことなんか、 信じるもんか」 「ねえ、ロバート、ウサギのこと、わかった顔してるみ たいだけど、わかっちゃいない」。 2 匹のウサギが口をそ ろえて言った。「たぶん、あたしたちのこと、雪ウサギだっ て思ってんじゃない」 「雪ウサギだろ」とロバートは、わかっているところを 見せたくて、きつばり言った。「雪ウサギってのは、冬に しかいない」 「もちろん。あたしたちが白いのは、若いあいだだけ。大 人になるまでには、 1 か月かかる。すると毛が茶色になっ て、子どもがほしくなる。ふたりの子どもが、つまり男の 子と女の子が生まれるまでに、あと 1 か月かかる。 ちゃんとおばえといて」 「子ども、ふたりだけでいいのかな。ウサギって、 すごい数の子どもをつくるんだと思ってたけど」 「もちろん、ものすごい数の子どもをつくるのよ」。 これ、 もの ウサ ギが言った。「でも、一度でじゃない。毎月、ふたり。そ 目をさましちゃってるよ。あしたは朝 こにいるかなあ。ものすごい数になる れで十分。で、あたしたちの子どもも、おなじように子ど から学校なんだ」 までいたら、ばく、 「そんなに長く もをつくる。いまにわかるわ」 106 ジャガイモ畑は、時間の進み方がじつに速い。 1 か月はた 「だいじようぶじゃ」。数の悪魔が口をはさんだ。「この

8. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

ストを見れば、 0 時から 7 時のあいだにどういうことが起 きたか、よくわかるはずだ」 「 7 時なんて、とっくの昔にすぎてるよ。いまはもう、ど う見たって IOOO こえてるよ」 「正確には 4181 だ。それに、もうすぐ、つまり 5 分後に は、 6765 になるだろう」 「地球がウサギだらけになるまで、やらせるつもりなの ? 」 「いや、そんなにはならんだろう」。数の悪魔は、顔色ひ とつ変えなかった。「時計の針をあと 2 、 5 周させて、終わ りにしよう」 「もうやめてよ。まるで悪夢みたいだ。ばくさ、ウサギ はきらいじゃない。それどころか、好きだよ。でも、どう 考えても多すぎるよ。とめてよ、早く」 「ようし、ロバート。だが、ひとつ条件がある。ウサギ もフィポナッチ数を暗記しているみたいに行動すると、認 めるかね」 「うん、神様に誓って認める。でも早くして。頭のとこ ろにまで、ウサギがよじのばってくるよ」 数の悪魔はウサギ時計の頭のネジを 2 回押した。すると 時計はたちまち逆にまわりはじめた。ベルが鳴るごとに ウサギの数が少なくなり、あと何周か逆まわりして、針が 0 をさした。だれもいないジャガイモ畑に、ウサギが 2 匹 だけ残っていた 「どうするかね、この 2 匹」。老人がたずねた。「飼いたい か ? 」 「いいよ。そんなことすると、また最初からはじめちゃ うよ」 ちか 112

9. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

「おなじじゃないか」とロバートが言った。 「いまにわかる。こんどは 8 が来る。ホップするのを忘 れるな」 そういうことだったのか。突然わかったので、こう書い 8 x イ 0 = ぎ 0 「わかったよ。どうやるのか」。ロバートは、悪魔に口を はさまれるまえにさけんだ。「 9 のときは、 10 で 2 回ホッ 40 こうでしよ」 にれをたすと、 こんどは 5 回ホップした。 イ x 4000 ニイ 000 それから 9 x づ 00 ニ 90 0 プするんだ」。そして、こう書いた

10. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

第 2 夜 0 はえらい 「さあ、やるんだ」。悪魔はうなり声をあげた。「さ、は やく」 ありや、またはじまっちゃった。怒ると、この悪魔、手 がつけられないよ。ポッケル先生よりたちが悪いんだから。 恐る恐るロバートは大きく 1 と空に書いた。 「ちがう」。数の悪魔がさけんだ。「まったく、話になら ん。なんでまた、こんな間抜けの相手をすることになった んだ。おい、あほう、数をつくるんだぞ。気楽に書くんじ ゃない」 できることならロバートは、すぐに夢からさめたかった。 なんでこんな目にあわなくちゃならないんだよ。そう思い ながら、数の悪魔の頭がどんどん赤く大きくなっていくの を、見つめていた 「後ろからだ」と老人がさけんだ。 ートはばかんと口をあけたまま、老人をじっと見た。 ロノヾ 「後ろからはじめるんだ。前からじゃない」 「そう言うんだったら・・ ートは老人に逆らうつもりはなかった。 1 を消して、 ロノヾ 6 を書いた 「よし。ようやくわかったか。これで先に進めるぞ」 「いいけど」。ロバートはムッとした。「あのさ、いちい ちこまかいことでそんなに怒らないでほしいんだけど」 しようぶん 「悪かったな」と老人が言った。「これが性分でな。数の 悪魔はサンタクロースじゃないんだ」 「 6 って書いたけど、これでいいの ? 」 老人は首をふって、その下にこう書いた。 きらく 39