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検索対象: 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜
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1. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

肩にウサギをのせたフィポナッチの姿もある。だがほとん どが、はじめて見る悪魔の顔だった。おごそかな調子で歩 いてくるエジフト人、ひたいに赤い点をつけたインド人、 しゅうどうそう 頭巾と短いマントをつけたアラブ人、僧服を着た修道僧、 二日月のようなサーベルをもったト 黒人、インディアン、 ルコ人、ジーンズをはいたアメリカ人。 そうふく すきん みかづき ートはおどろいた。数の悪魔はたくさんいるのに ロノヾ 女の人がなんて少ないんだろう。せいぜい 6 人か 7 人の女 性がいるだけで、しかもあまりえらい席についていない。 「女の人、どこにいるの ? ここに来ちゃいけないの ? 」 「以前はな、女の人を無視してた。数学は女のするもん じゃない、と宮殿では言われておった。だがな、だんだん 変わってくるだろう」 何千人ものお客がそれぞれ席につき、ばそばそとあいさ つをかわした。それから入り口でのつばの男がもう一度銅 鑼を鳴らすと、ホールが静かになった。大きな階段に、絹 の服を着た中国人があらわれて、金色の玉座に腰をおろし 「だれなの ? 」とロバートがたずねた 「 0 の発明者だよ」とテプロタクスルがささやいた 「じゃ、一番えらい人 ? 」 きぬ 258

2. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

だな、 11 人いるんだから、 11 のびつくり回でしよ」 「ちがう」。老人が言った。 「 2 人のときなら」と、ロバートは考えた。「握手は 1 回 だけか。 5 人だと・・ 「書いてみたらどうかね」 ートは黒板に書いた ロノヾ 生徒 手 握 「つまり、 2 人のときは 1 回、 5 人になると 5 回、 4 人だ と 6 回になる」 どういうことになってるか、わかるだ ートは思い出せなかった。数の悪魔は黒板にいくつ を ろ 0 0 朝 「ヤシの実だ」とロバートがさけんだ。「 < 三角形の数 > 「あとは、どんな数になるかね ? 」 152

3. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

「ああ、よし」 「これから、 こうやってすうっと計算しなくちゃならな いの ? 11 番目のところに来るまで ? 冗談でしよ ? 」 「心配いらん。なしでもだいじようぶ。計算も、実験も、 ABCDEFGHIJK もなしで、やれる」 「どうやって ? 」 「あのなっかしいパスカルの三角形によって」と老人が 「あれをこの黒板に描こうっていうの ? 」 「いいや。そんな気はない。あまりにも面倒だ。だがな、 ここにステッキがある」 悪魔がステッキの先で黒板をトントンとたたくと、もう あらわれた。とてもりつばなパスカルの三角形で、おまけ に 4 色だった。 「こんなに楽なものはない」。老人の悪魔が言った。「握 手の問題では、緑のサイコロを上から下にかぞえるだけ。 2 人のときは 1 回、 5 人になると 5 回、 11 人だと 55 回。 5 人で掃除するときは、赤のサイコロを見る。これも上 から下へかぞえればいい。これは 5 人ではじまってる。グ ループは 1 通りだ。つぎの 4 人の場合は、 4 通りの組合せ ができる。 5 人になると 10 通り。さて、 11 人が全部そろ ってる場合は、何通りかね」 「ええっと、 165 通り」。ロバートが答えた。「ほんとに 簡単だ。パスカルの三角形ってコンヒ。ューターみたいだね。 ところで黄色のサイコロ、どんな役に立つの ? 」 「ああ」と老人が言った。「わかってると思うが、わたし はそう簡単には満足しない。数の悪魔というのは、 なんで 158 っ

4. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

てっていてき も徹底的にやるんじゃ。もしも 5 人で掃除がやりきれない なら、どうするね ? 4 人にやらせることになる。で、そ のとき黄色の階段が役に立つ。たとえば 8 人いる場合、 4 人組のグループはいくつできる ? 」 「 70 通り」。ロバートはちゃんとわかっていた。パスカ ルの三角形から答を見つけるのは、簡単だった。 「その通り」。数の悪魔が言った。「青のサイコロのこと は、もういいだろう」 「 8 人組の場合でしよ。 8 人しかいないときは、考える必 要はない。 1 通りしかないからね。 10 人の候補者がいる ときは、 45 通りものグループができる。ね、こういう調 子でしよ」 こうほしや 「ばっちり」 「いまさ、どうしても知りたいのは、校庭のようすなん だけど」 窓から見ると、なんと、校庭はチリひとつ落ちていない ほどきれいに掃除されていた。これまでにはなかったこと 、 - 0 「いま、ほうきもって、掃除してるのだれなんだろう」 「おまえじゃないことは、たしかだな、ロバー 「校庭の掃除、ぼくにやれるわけないでしよ。夜はずっ かくとう と、数やサイコロと格闘させられてるんだからさ」 「でも格闘、おもしろかっただろ」 「うん。これからどうするの ? また来てくれる ? 」 「とりあえず休暇だ。そのあいだポッケル先生とたのし くやることだな」 きゅうか ロノヾ ートにそんな気はなかった。けれど、ほかにどうし 160

5. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

第 8 夜いったい何通りあるの ? 連中は数がきらいなんだ。ちなみに 窓から校庭を見てご ここの校庭はまるで豚小屋じゃないか」 らん。 ートも認めるしかなかった。校庭のあらゆるところ ロノヾ かん に、からつばのコーラの缶や、ばろばろになったコミック や、パンの包み紙がちらかっていたのだ。 「おまえたちのうちの 5 人が、ほうきで掃除すれば、半時 間で校庭は見ちがえるほどきれいになるぞ」 「 5 人ってだれのこと ? 」 「たとえばアルバートと、べッティーナと、チャーリー だ。ドリスと、エンツイオと、フェリシタスでもいい。ほ かにも、そうだ、ゲルハルトや、ハイデイや、ジャンニ ニや、キャロルがいたな」 「でも、いま、 5 人って言ったでしよ」 「ああ」。数の悪魔が言い返した。「 5 人といっても、 い ろいろだ」 くみあわ 「好きなように組合せられるんだね」とロバー 「もちろん。だがみんながいなかったとしたら ? ア . ル ノヾート Albert と、べッティーナ Bettina と、チャーリ Charlie の 5 人しかいなかったとしたら ? 」 「そのときはその 5 人でやるしかないよ」 「よし、 じゃ、書くんだ ! 」 ートは黒板に書いた。 がみ っ ロノヾ A 6 C 「さて、 そこへドリス Doris がやってきたら、どうする 155

6. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

も入ることができた。 中に入ってみると、聞いたことも見たこともないほど長 い廊下がつづいていて、いくつもいくつもドアがあった。 はんびら たいていのドアは半開きか、大きく開いたままだった。 ートは最初の部屋を興味深そうにながめた。テプロ ロノヾ タクスルは人さし指を口にあてて、「しいっ」と言った。 そこにすわっていたのは、まっ白な第と長い鼻の、ものす うれい ごい高齢の老人だった。ひとりでしゃべっている。 「すべてのイギリス人はウソつきである。だが、それを 言っているのが私であるとすれば、どうなるか ? なにし ろ私はイギリス人なのだ。とすれば、私もウソをついてい ることになる。だが、そうなると、さっき私は『すべての イギリス人はウソつきである』と言ったが、それがホント ウではないことになる。だがイギリス人がホントウを言う のなら、さっき私が言ったことも、ホントウでなくてはな らない。とすれば私たちがウソをついていることになる ! 」 ひとりでブップッ言いながら、その老人は部屋のなかを ちょこちょこ歩きまわっている。 数の悪魔がロバートに合図して、ふたりは先へ進んだ。 「あれがな、かわいそうなラッセル卿じゃ」と、悪魔が 説明した。「ほら、あの、 1 十 1 = 2 を証明した人だ」 「あの人、ちょっとおかしいの ? 無理ないよね、あん とし な齢だもん」 ずのうめいせき 「とんでもない ! おっそろしく頭脳明晰なんだぞ。そ れにな、ここじゃ簡単に年寄りだなんて言うんじゃない。 ラッセル卿はこの建物じや一番若いんだ。まだ 150 歳に もなっておらん」 ろうか 252

7. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

ーナが右」 「やだ、絶対に、やだ」。べッティーナがさけんだ。 「わがまま言うんじゃない」と老人が言った。 5 人はいやいや腰をあげ、こんなふうにすわった。 A ( B 「気がついたか、ロノヾート。おい、ロノヾート、おまえに 聞いてるんだぞ。こっちの 5 人には見当もつかんだろうが」。 ートは黒板をじっと見た。 ロノヾ A B ( 6 A BA B ( A A ( B ( A B A B ( B A ( 146 「あれつ、どうしたの。ポッケル先生は ? あのう、ど けて入ってきた。ちょっと息をきらしている。 そう言い終わらないうちに ドリスがドアをパタンとあ だ何人もいるだろうが」 まえのクラス、生徒が 4 人だけなんてことないだろう。ま 「わたしもそう思う」。数の悪魔が言った。「だがな、お トが言った。 「どうやら全部のすわり方をやったみたいだけど」。ロノヾ

8. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

ほかの組合せ方も考えられるはずだろ」 かね ? ートは考えた。それから黒板に書いた。 ロノヾ A 6 C A 6 A C D B ( D 「 4 通りあるよ」 「そこへな、たまたま工ンツイオ Enzio が通りかかった。 こうほ 工ンツイオだって掃除してもいいわけだ。すると候補が 5 人になる。さあ、計算してごらん」 ートは計算したくなかった。 ロノヾ 「いいから、答を教えてよ」。ロバートはくたびれていた のだ。 「まあ、いいだろ。 5 人のときは、 1 通りのグループしか なかった。 4 人になると、 4 通りのグループができる。 5 人 になると 10 通りじゃ。かわりに書いてやろうか」 グループ 人数 3 A 託 B(D 午 ABC ABD ACD 5 ABC ABD ABE ACD ACE ADE bCD BCE 6 の E CDE この表には。わたしは 「ほかにも奇妙なことがあるぞ、 156

9. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

しよくよくおう ホールががやがやとざわめいた。たいていの悪魔は食欲旺 むちゅう 盛だった。だが数人の悪魔だけは、考えごとに夢中になっ て、トルテの生地をこねまわして小さなボールをつくって いた。飲み物もたくさんあった。さいわいなことに、五角 形のクリスタルグラスで、クライン氏の狂ったビンではな かった。 食事の時間がおしまいになると、銅鑼が鳴って、 0 の発 明者は玉座を立ち、上へ消えていった。ほかの数の悪魔も しだいに席を立った。もちろんえらい人が先で、それぞれ の研究室へのろのろ歩いて引きあげていった。テープルに すわっていたのは、とうとうロバートと、後見人の悪魔だ けになった。 豪華な制服を着た紳士がふたりのほうへやってきた。そ の紳士のことはそれまでロバートはまったく気づいていな かった。きっと事務総長なんだ。ばくの招待状にサインし た人だな。 「さて」と、位の高いその人はきびしい表情で言った。 「こちらが、あなたのお弟子さん ? かなり若いじゃあり ませんか。すこしは魔法、できますか ? 」 「いえ、まだ」。ロバートの友人が答えた。「でも、この ままつづければ、きっと近いうちにできるようになります」 「では、素数はどうですか ? どれくらいあるか、知っ てますか ? 」 「たくさんあります」と、ロバートが急いで答えた。「自 然数や奇数やホップした数なんかとおなじくらい、たくさ 「よろしい。では、ほかの試験は免除しましよう。さて、 しむそうちょう しけんめんじよ 240

10. 数の悪魔 : 算数・数学が楽しくなる12夜

+ 4 「さて、もちろん、おまえのクラスでもガムがほしい子 がいるだろ」 「アルバートとべッティーナ」とロバートが言った。 「いいよ。アルバートはおまえのところ。べッティーナ はわたしのところ。それぞれ半分ずつにすると、みんな 4 分の 1 ずつになる」 4 イ + づ + イ十イ 「もちろんこれで終わりじゃない。ガムがほしい人がも っといるからな。まず、おまえのクラスのみんな。それか ら学校のみんな。それに町のみんな。いま 4 人がもってい るガムを半分にわり、それをまた半分にわり、さらに半分 の半分を半分に、というふうにわっていく」 「気が遠くなるほど小さくなってく」とロバートが言っ 「目では見えないくらい小さくなるだろうな。だがそん なことは気にせずに、地球に住んでる 60 億人がみんな、 ガムをもらえるようになるまで、わりつづける。いや、そ れだけじゃない。 6000 億匹のネズミもガムを待ってるぞ。 18