認知症だけではないグルテンの悪影響 いつもの全粒粉パンや、元気の出る糖質やグルテンたつぶりの炭水化物の食べ物が、あなた : 。では、短期的にはど の脳の長期的な健康や機能に徐々にダメ 1 ジを与えているとしたら : ・ んな影響があるのだろうか たとえば、行動に変化を引き起こすだろうか。集中力を乱し、チックやうつ病のような障害 のもとになるのだろうか。性的頭痛や偏頭痛の原因になるのだろうか 答えは「そのとおりなのだ。 糖質やグルテンたつぶりの炭水化物は、単に脳の神経組織の発生を妨げ、時間をかけて進行 する認知症のリスクを高めるだけではない 前章まででもお伝えしたように、炎症性の炭水化物がたつぶりで、脂肪が少ない食事は心の 状態にも干渉してくる。認知症だけではなく、 ( 注意欠如・多動性障害 ) 、不安障害、 トウ 1 レット症候群、精神的疾患、偏頭痛、さらには自閉症などの一般的な神経病のリスクに つながるのである ここまで、おもに認知低下や認知症に目を向けてきたが、一般的な心理的不調という視点か 200
さらに明確なのは肥満の人たちは、正常な体重の人たちと比べて脳組織が八パーセント少な く、やや肥満の人たちは正常な体重の人たちと比べて四パーセント少なかったことだ。 中でも、脳の前頭葉と側頭葉、つまり決断を下したり記憶を蓄積したりする場所で組織の多 くが失われていた。 この研究者たちによると、彼らの発見は、老化が進み、体重過多で肥満の人たちにとって、 アルッハイマー病のリスクがより高まることを含め、大きな意味があるのだという。 間違いなく、ここにはよくないサイクルかある 遺伝的特徴は、食べすぎて体重が増えすぎる傾向に影響を与えるだろうし、するとこれが行 動レベル、インスリン抵抗性、糖尿病のリスクに組み込まれる。そして糖尿病は体重コントロ ールと血糖バランスに悪影響をもたらす。いったん糖尿病をわすらい、運動不足になると、脳 を含む体の組織や器官が衰え、弱るのは避けられない。さらに、脳が変性したり、物理的に縮 退したりし始めると適切に機能できなくなってくる。すなわち、脳の欲求や体重のコントロ 1 ルの中枢は正しく作動しなくなり、それどころか誤って動くようになる。そしてこれがよくな いサイクルを助長するのだ。 重要なのは、余分な体脂肪がっき始めるとただちに変化が起こるということである。つまり、 1 92
脳にダメ 1 ジを与えたくないなら、「糖化を防げ 内臓脂肪はそれ自体が悪い炎症を起こす 腹部が大きい人ほど脳の海馬は小さい 細くてしなやかな体、よく働く鋭い脳を手にするために 第 5 章心の病も頭痛も「食事」を変えれば治っていく 認知症だけではないグルテンの悪影響 「」 ( 注意欠如・多動性障害 ) だとされた君の回復例 薬に頼らない治療法がある 低コレステロールと「うつ」の関係 食事を変えて 1 週間で現われる変化 ごく一般的な頭痛でさえも お腹の脂肪が頭痛を悪化させている 200
ィリー』誌に引用されている。「結果として、血管疾患のリスクがある人に、年齢を重ねてか らスタチンを投与しても認知症は防げないことがわかる」。 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者、べアトリス・ゴロムは、結果についてコメン トをするように求められ、「予防薬としてのスタチンについて言えば、症例の中には、恝日能 ( 四 ) 力がスタチンによって、不都合な影響を受けている個々の事例がある」と答えている さらにゴロムはさまざまな研究によってスタチンが認知能力によくない影響を与えるか、ど ちらともいえないかであることをつけ加えている。逆に、肯定的な結果を示せた実験はいまの ところないことにも触れている スタチンがコレステロールに直接に与える影響以外に、スタチンは脂肪酸と抗酸化物質の供給 に間接的な影響をもたらす。 粒子に含まれるコレステロールの量を減らすだけではなく、粒子の数自体も減ら すのだ。したがって、コレステロールを使い果たすのに加えて、脳にとって利用可能な秘蔵の脂 肪酸や抗酸化物質も制限してしまう。これらの脂肪酸と抗酸化物質は、粒子に運び込まれ るものでもある。脳はうまく機能するために、これら三つの物質に依存している。 152
も重要な情報の一つは、セリアック病は消化管に限定されないということだ。極端に言えば、 グルテン過敏症は常に脳に影響を与えるということである。 神経生物学者、アリスト・ヴォジャニ博士は、西洋人においてグルテン過敏症の発生率は三 怖 〇パ 1 セント程度になると述べている。それから、セリアック病の場合はほとんど無症候性な 恐 の ので、その有病率は二〇年前に考えられていたものに比べ、現在は二〇倍だとされている。 質 ク ニュージーランドの小児胃腸病・アレルギークリニックのロドニー・フォード博士は、二〇 ン 〇九年に発表した『グルテン症候群神経疾患』というタイトルをつけた論文で次のように提タ す 案した。 わ 「グルテンに関する基本的な問題は体の神経回路網への介入だ : : : グルテンは患者の神経学的 わ 損害に結びついている。セリアック病だという証拠の有無にかかわらず」 せ そして、大胆に次のように結論づけた。 さ と 「神経回路網のダメ 1 ジをもたらすグルテンは、ほかにどのような影響をもたらすのか、計り ロ 知れない。少なくとも一〇人に一人がグルテンの影響を受けると見積もれば、グルテンが健康 を に与える影響は大きい。グルテン症候群を理解することは地球規模での人びとの健康のために 物 べ 食 重要なのだ」
摂ることとは違、つ。 ちなみにフルクトースは、自然由来の炭水化物の中でもっとも甘く、だからこそ私たちの大 のお気に入りなのだろう。しかし、これだけ甘いのに自然由来のすべての糖質の中でフルクト ースはもっともグリセミックインデックス ((.-5—値 ) が低い。理由は簡単だ。肝臓がほとんど のフルクトースを代謝するので、血糖値やインスリン値にただちに影響が出るわけではないか らだ。 グラニュ 1 糖や異性化糖の場合は違う。グラニュ 1 糖や異性化糖に含まれるグルコースは全 身を循環して血糖値を上げてしまうのである。 しかし、この事実だけにだまされてはいけない。フルクトースはただちに影響をもたらさな いとはいえ、それなりの量を摂れば長期的な影響はある。これは科学的に実証されている。フ ルクトースを消費すれば、耐糖能、インスリン耐性、高血中脂肪、そして高血圧症の悪化を伴 うのだ。しかも、フルクト 1 スを消費しても、インスリンやレプチンという代謝の調整におい て重要な二つのホルモンを生成するきっかけにはならないので、フルクトースが多い食事をと れば肥満になり、代謝に影響する。たくさんのフルーツを食べる人たちにとって、これがどう いう意味を持つのかについてはのちに明らかにする。ただ、幸いなことに、フル 1 ッ一個に含 まれるフルクト 1 スの量は、加工食品に含まれるフルクトースの量にはおよばない。 1 66
( 5 ) 睡眠不足の影響を受けるホルモンは、男女で違うらしいのだ。男女とも過食傾向という結果 は同じだが、 その空腹感を生む刺激は男女で異なる。男性の場合、睡眠不足は食欲を刺激する ホルモンであるグレリンの値を引き上げる。これに対し女性の場合、グレリン値は睡眠不足の 影響を受けないが、 食欲を抑えるホルモンのー 1 の量が影響される。この違いは重要で はないように見えるかもしれない。どちらにしても結果として起こる過食は同じだからだ。し かし、こうしたことから睡眠が、まだまだ未知の領域であることがわかる。 睡眠について確かにわかっていることが一つあるとすれば、高齢になるほど熟睡するのが難 しくなっていくとい、つことである。 そこ これにはいろいろな原因があり、多くが熟睡を損なう病状から生じる。四〇パ 1 セントもの 高齢者が睡眠時無呼吸症候群や不眠症などの慢性的問題のせいでぐっすり眠れていない そんな寝つきの悪さと認知力低下とに関係があることも実証されてきている。 カリフォルニア大学サンフランシスコ校の精神科医クリスティン・ヤッフェは、認知機能障 害や認知症になるリスクの高い人びとを調査した。ャッフェの記憶障害クリニックでは、患者 に共通する一連の症状が見られる。なかなか眠れず、眠っても何度も目が覚めてしまうという 症状だ。 286
( 9 ) な性質があることを示した。プルシナーらは実験で、マウスの片側の脳にアミロイドベータタン ハク質を注入し、その影響を観察することによって、疾患の進行を追跡することができた。彼ら は発光する分子を用いた。うろっき回っていたタンパク質はマウスの脳に光を当てると凝集し始 めた。アルッハイマー病患者の脳内で起きていることと類似した有害な事象だったのだ。 この発見は、脳疾患以外に対しても重要なカギになっていた。体のほかの部分に関心を寄せる 科学者もまた、形を変えるタン。ハク質の影響に注目してきた。「狂った」タンパク質はいろいろ な疾串 5 にかかわっているのかもしれない たとえば二型糖尿病を考えてみよう。糖尿病患者は、すい臓にインスリン分泌によくない影響 を与える狂気のタンパク質を持っていると考えられる。アテローム性動脈硬化症を考えれば、コ レステロールの蓄積がこの疾患の特徴で、それが起こるのはタンパク質が誤って折りたたまれる せいだ。白内障をわずらう人たちは変異タンパク質を持っており、それが目の水晶体に凝集して のうほうせいせんいしよう いる。嚢胞性線維症という遺伝性疾患は、 QZ< の欠陥に原因があり、タンパク質が不適切に折 りたたまれていることが特徴だ。さらに、ある種の肺気腫でさえ、その苦しみを引き起こすのは 異常なタンパク質のせいだ。そのタンパク質は肝臓でつくられるもので決して肺には達しない。 形を変えたタンパク質が、とくに神経変性において害をなすことは明らかだ。 1 / 8
糖質の体への影響について、私たちはこのように耳にする機会があるだろう。しかし、脳に ついてはそうではない。くり返すが、マスコミでもこれまで驚くほど注目されてこなかったこ とだ。ここで問うべき問題、そして私がこの章の中で答えるつもりの問題は次のとおりだ。 ・糖質の摂りすぎは脳にどのように影響するか ・脳は糖質の種類を区別できるのか。何に由来するかによって、代謝は異なるのか 私があなただったら、いま、コ 1 ヒーとともに食べようとしていたビスケットを置いてしま う。この章を読めば、フル 1 ツやデザートに対する見方も変わるだろう。 ・グラニュー糖、清涼飲料水の糖、果物の糖 まずいくつかの用語を定義しよう。 グラニュ 1 糖、果糖、異性化糖などの違いはどこか。これまで説明したように、フルクト 1 スはフルーツやハチミツに自然に含まれている糖質で、グルコースと同じように単糖だ。 1 6 / 脳を。糖 " でベトベトにするな
もある。 結論ーーグルテン過敏症は、セリアック病であろうとなかろうと、炎症性分子の産生を増大さ せる。そしてこれらの炎症性分子は神経変性疾患において極めて重要な役割を果たす。さらに、 炎症による有害な影響を受け入れやすい器官として脳に勝るものはない。体内でもっとも活発な 器官ではあるが、完璧な保護因子は持たない。血液脳関門はある種の門番として働き、特定の分 子が血流から脳へ流れ込むのを防いでいるが、絶対危険のないしくみではない。 たくさんの物質がこの表玄関をこっそり通過し、望ましくない影響を引き起こしている ( 本書 内で、こうした炎症性分子、および食べ物の力を利用してそれらと闘う方法についてさらにくわ しく述べるつもりだ ) 。 しいころだ。 「グルテン過敏症」であるとは何を意味するのか、そろそろ新しい基準を設けても、 グルテンにまつわる問題はこれまで思い描いてきたものよりもはるかに深刻だからだ。 ・・現代の多くの食べ物に含まれるグルテンの罪 もし、グルテンがそんなに悪いのなら、私たちはグルテンを食べながらどのようにして生き 9 ・