を好むのだ。内部でつくるのは複雑で何段階にも及ぶ生物学的プロセスを経なければならず、 肝臓に負担がかかる。 では、現在、多くの人が誤って実践しているように、コレステロールの摂取を制限したら何 が起こるだろ、つか か 体は危機 ( 飢餓 ) を示す警告を発する。肝臓はこの信号を感じてー 0 0 < 還元酵素と 呼ばれる酵素をつくり出す。この酵素のおかげで、食事に含まれる炭水化物を使用して不足を て っ 補い、コレステロールを余分につくり出せるのだ ( これはスタチンが対象にするのと同じ酵素 だ ) 。 炭水化物を摂りすぎると、コレステロール摂取を減らしても、体内ではコレステロールが絶怖 恐 肪 え間なく過剰生産されるのだ。 日 この体内の異常事態を収めるただ一つの方法は、食事から適量のコレステロ 1 ルを摂取し、 や 炭水化物を摂らないことに尽きる。これによって高コレステロ 1 ルの者は、コレステロ 1 ル 毒 中 豊富なおいしい食事を楽しみながら、薬を使わずに正常な値に戻っていく。 物 水 炭
: 食事からコレステロールを摂る必要性 炭水化物の摂取を本当に必要な量だけに限定し ( くわしくは第 9 章に ) 、おいしい脂肪とタ ンパク質で穴埋めできれば、文字どおり、遺伝子のプログラムを組み直し、生まれたときに持 っていた自然な状態に体をリセットできる。 これこそ、あなたにとって「頭の回転がよく、脂肪も燃やせる」状態だ。 血中コレステロールの検査をすると出てくる数値は、実際のところ七五 5 八〇パーセントは あなたの体がつくり出したものに由来していて、必すしも食べたものが反映されているわけで コレステロールの高い食べ物は、体がつくるコレステロールを減らしている。私たちはみな 一日に二〇〇〇グラムものコレステロ 1 ルをつくり出すが、それはどうしても必要だからだ。 これはしかも食事で摂る分の数倍に値する。 しかし、この驚くべき能力があるにもかかわらず、食事からコレステロールを摂取するのは やはり重要なのである。 人間の体は、内部でコレステロールをつくるよりも、食べ物からのコレステロールを摂るの 1 56
る必要はない。 ◎サプリメントを開始する 第一週開始前に日々のサプリメントの養生法を無期限でスタートさせる。これらのサプリメ ントはどれも健康食品店、ほとんどのドラッグストアやスー ーマーケット、インターネット で購入できる。 私が愛用しているサプリメント商品の一部は、ウエプサイト http://www.DrPerImutter. com にリストかある プロバイオティクスは空腹時に摂取すべきだが、それ以外のサプリメントは空腹時であって もなくても摂取できる。ターメリックやレスペラトロールのような水溶性のサプリメントは、 ししヒタミン 代謝がかなり速いので、これらのサプリメントは毎日二回摂るのがもっとも、 とは油性なので、一日一回摂れば申し分ない。 列挙されている服用量はみな、成人も子供も一般的な適量オカ月ーノ下 どゞ、、斗医に子供の体重に合 った個別の適量を教えてもらおう。たとえば私のクリニックでは、一〇〇を生後一八 カ月までの子供に、それ以降は毎日二〇〇を処方するが、の子供には通常もっと多 くして、毎日約四〇〇の服用量になる。 306
・・糖質ーーこの特定の炭水化物 糖質ーーーこの特定の炭水化物は、過剰に摂取したり、精白あるいは加工した形で摂取したり し成分とは言えないことは誰もが知っている。それは、 する場合にはとくに、さほど健康にい、 棒つきキャンデイから摂ろうか、シナモンレーズンパンから摂ろうが変わりはない。 さらに、糖質は肥満、食欲、血糖コントロール、二型糖尿病、インスリン抵抗性などにかか わる原因の一つだともわかっている。それでは糖質と脳についてはどうだろうか トーベス 『よいカロリ 1 、 亜いカロリー (Good Calories. Bad Calories) 』の著者、ゲ ( 3 ) は、二〇一一年、『ニュ 1 ヨーク・タイムズ』紙に「糖質は毒かというタイトルの秀逸な記 事を寄せた。 その中で、人類の生活や食物加工品における糖質の歴史や、糖質が私たちの体にどのような 影響を与えるのかについてもくわしく述べている。 さらに、カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学大学院における小児肥満の第一人者で あり、糖質が「毒素」あるいは「毒薬ーであると主張しているロバート・ラスティグの著作を ( 2 ) 1 64
もう一つ大事なことは、私たちは大量の炭水化物をさほどうまく処理できないということであ る。たとえその炭水化物がグルテンフリ 1 で、全粒穀物で、繊維が豊富であったとしても。 興味深いことに、人間が食事として必要な炭水化物は、ほばゼロだ。つまり、私たちは最低 限の量の炭水化物で生きられる。そしてその炭水化物は必要に応じて肝臓に供給されるように なっている ところが脂肪はそうではない。摂らなければ生きていけないのである。残念ながら、現在は 脂肪を摂取することは太ることと等しいと考える人が多い。だが実のところ、肥満は、食事に よる脂肪摂取とは、ほとんど無関係だ。同じことはコレステロールにも一一一一口える。高コレステロ 1 ルの食べ物を口にしても実際のコレステロ 1 ル値には影響は出ない。高コレステロールと心 臓病のリスクの相関関係が疑われているが、これは完全に誤りだといっていい。 「脂肪を蓄積せよ」と指示する遺伝子 この本で得られることの中で、ぜひ真剣に受け止めてほしいことがある。それはあなたのゲ ノム、つまり遺伝子を尊重しよ、つとい、つことだ。 113 「炭水化物中毒」や「脂肪恐怖症」に陥っていないか
リノレン酸から合成もできる。しかし少なくとも一日に必要な二〇〇 5 三〇〇ミリグラムをす べて食べ物から摂取するのは難しく、ほとんどの人はこの目標のうち二五パーセントも摂れて 、 0 しオし 今日では多くの高品質のサプリメントが入手でき、強化食品は五〇〇以上ある 魚油からのか藻類からのかは、大きな違いはない。厳格な菜食主義者ならば藻類 しいたろ、つ からの < を選べば、 255 最良の「脳のための食習慣とサプリメント」
境有害物質 ) が組み合わさって体の中、とくに脳において最悪の状況を生み出している つまるところ、炭水化物は、私たちの体に害をなす成分の源なのだ。 血糖バランス、グルテン過敏症、あらゆる炎症を考えるとき、炭水化物が体や脳におよばす 影響を問題の中心に据えなくてはならない。 左ページの表は、グルテン過敏症とつながりのあるおもな症状である。 私たちは炭水化物を摂取しすぎると、脂肪、つまり脳が健康のために必要としているその成 分をあまり摂らなくなる。 次章では、炭水化物がどうやって脳を破壊するかを調べていこう。 10 イ
「グルテン」だけが悪役ではない 私は、飲食物からグルテンを一切摂らず、炭水化物の代わりに脂肪を摂ることで生活や健康 状態を一変させた人たちの研究もしている。 このたった一つの食事の変化によって、うつ病が改善し、慢性疲労が回復し、二型糖尿病が そう 央方に向かいリ、 、迫的な行動に出なくなり、頭のモヤモャから双極性障害 ( 躁うつ病 ) にいた るまで多くの症状が治癒するのを目の当たりにしてきた。 グルテンはさておき、一般的な炭水化物が脳の健康におよばす影響の話はまだ終わっていな い。グルテンだけが唯一の悪役ではないのだ。 体が脂肪を燃焼させ、炎症を抑え、病気をはねのける体になるために、大きな要因をもう一 っ考慮に入れなくてはならない。 それが、「炭水化物と脂肪の関係ーだ。この章では、人間の体が低炭水化物・高脂肪の食事 を本質的に求めている理由を示していく。炭水化物は、たとえグルテンを含まないものであっ ても、過剰に摂取すると、グルテンたつぶりの食事と同じくらいダメ 1 ジを受けてしまう。そ の理由もご説明しよう。
断食をしたときと同様の反応が起こる。つまり、脳を働かせるための燃料として脂肪を使っ てケトンをつくるようになるのだ。 前述のように、炭水化物ではなく、脂肪を燃焼させるとケトン症になる。これは本来、悪、 ことではない。 人間の体は地上を歩きまわり出してからすっと、このしくみとともに生きてきた。軽いケト ン症の状態は、実際には健康であり、私たちは朝起きたとき、軽いケトン症の状態とも言える。 それは肝臓が体内の脂肪を燃料として使うために動員するからだ。心臓も脳も、血糖よりケト ンを使うほうが二五パーセントほど効率よく働く。健康で正常な脳細胞は、ケトンを燃料にす ると成長する 完全にケトン食療法を実施しようとするとカロリーの八〇 5 九〇パ 1 セントを脂肪から摂り、 残りを炭水化物とタンパク質から摂らなければならない。確かにこれは極端だが、ケトンか脳 にとって、はるかに効率的な燃料であることを思い出してほしい。 一九二一年にメイヨ 1 クリニックのラッセル・ワイルダーがケトン食療法を開発したときは、 「基本的にすべて脂肪から」と提唱していた。 そして一九五〇年代になって、中鎖脂肪酸トリグリセリド (äoe) が体内で″ヒドロキシ 酪酸の前駆体になること、そしてそれはココナツツオイルから摂取できることがわかった。 2 イ 9 最良の「脳のための食習慣とサプリメント」
を示しておこう。 ・睡眠のサイクルをきっちりと守ること。これは体のホルモンを調整し、「ホメオス タシス」を維持するのに重要だ。ホメオスタシスとは、身体的に望ましい状態のこと で、その状態だと生理機能のバランスがとれていることになる。 ・脂肪を減らすこと。体重が重ければ重いほど、頭痛に苦しみやすくなる。 ・活動的であること。じっとしていると炎症を引き起こす。 ・カフェインとアルコールの摂取には気をつけること。どちらも摂りすぎは頭痛を誘 発する。 、こ丿、不規則な食習慣のままにしたりしないこと。睡眠と同様に食事の ・食事を抜しオし ハターンによって、頭痛のリスクに影響するホルモンのプロセスをコントロールでき る。 ・ストレス、不安、心配、さらには興奮を減らすこと。こうした感情は頭痛の原因と してごく一般的なものだ。 偏頭痛に苦しむ人はたいがいストレスの多い状況に敏感で、そのために脳内である 化学物質が放出される。その化学物質のせいで、血管の病変が起こり、偏頭痛につな がる。悪循環だが、不安や心配のような感情を持っと、筋肉が緊張して、血管が拡張 229 心の病も頭痛も「食事」を変えれば治っていく