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検索対象: 「いつものパン」があなたを殺す
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1. 「いつものパン」があなたを殺す

( 5 ) 炭水化物の食事を摂らなければ肥満もまれな症状になっているだろう。 糖尿病、心臓疾患、認知症、がんなど、関連性のあるほかの症状もきっと、めったにない症 状になっていただろう。そしてあらゆる疾患を回避するという観点から、ここでもっとも重要 な要素をあげなくてはならない。それは「糖尿病」だ。 糖尿病が認知機能を低下させる 糖尿病になってよ、ナよ、。 ーししオしこれは、何度もくり返して述べても足りないくらいだ。 もしもすでに糖尿病になっているなら、血糖のバランスをとっておくことが重要だ。米国で は、六五歳以上の人の一一〇〇万人近くが「二型糖尿病」である。この事実から、その人たち、 そしてまだきちんとした診断を受けていない人たちがアルッハイマー病を発症した場合に起こ る大惨事が見えてくる。 糖尿病とアルッハイマー病の相関関係を示すデータは難解だが、糖尿病が認知機能の低下そ のものに対する強力なリスクであることは強調しておきたい。これは、糖尿病がコントロール できない人たちにおいて、とくに顕著だ

2. 「いつものパン」があなたを殺す

えるなら「異常なほどの炭水化物好き」だと言われても何らおかしくないだろう。そうなれば、 まんえん 代謝機能障害や糖尿病が蔓延していても驚くことはない。 たくさんの炭水化物の摂取と糖尿病の関係を裏づけるデータは明白だ ( ページ参照 ) 。 一九九四年に米国糖尿病学会が米国民に対し、カロリ 1 の六〇 5 七〇パーセントを炭水化物 から摂取するように勧めて以降、糖尿病の割合が爆発的に増加したことはここで強調しておく。 な ( 幻 ) 実際、この国の糖尿病患者数は一九九七年から二〇〇七年の間に倍増しているのだ。 て っ さらに、一九八一年から二〇一一年にかけての急速な上昇を見てほしい。この間、糖尿病と 診断された米国人の数は三倍を超えた。 この事実がなぜ危機的かと言うと、すでに述べたように、糖尿病になるとアルッハイマー病怖 恐 肪 にかかるリスクが二倍になるということだ。「前糖尿病ーになると血糖の問題が見え始め、そ 日 れに伴って脳の機能低下や記憶中枢の萎縮が起こる。これは本格的なアルッハイマ 1 病のリス や ク因子でもある。 毒 中 糖尿病と認知症のこの結びつきが、なぜもっと以前に解明されなかったのか 物 水 点と点を結び、また結論を導くための実験に時間がかかりすぎたことは否めない。 炭 5 この結びつきから生じる当然の疑問も解明されてきた。

3. 「いつものパン」があなたを殺す

わかっているのは、ど、つやらインスリン抵抗生は、アルッハイマー病とかかわる際に、アルツ ハイマー病に侵された脳に見られる忌まわしい斑点の発生を引き起こすということだ。 この斑点は、芯から脳を乗っ取り、正常な脳細胞に取って代わる異常なタンパク質が積み重な ったものだ。 そして、インスリン値の低さと脳疾患が結びつくということは、研究者の間でそれを「三型糖 尿病」と見る理由となっている。 肥満体の人たちは脳の機能が損なわれるリスクが非常に高く、糖尿病を抱える人たちは少なく とも二倍はアルッハイマー病にかかりやすいのである。 とはいえ、糖尿病がアルッハイマー病の原因であるというつもりはない。両者の源は同じだと 一一一一口いたした。た どちらの疾患も、機能障害や、やがては病気につながる生物学的反応を体に起こさせる食物が 原因だ。糖尿病になっている人と認知症をわずらっている人との間には、以前に考えられていた 「一型」は遺伝的影響も環境的影響もどちらも作用した結果だということは、 かなり ( 則から . 知ら れている。しかし、最近の数十年で増えつつある事象から、環境因子は以前に認識されていたよ りも、「一型ーの進行をいっそう助長していると考えている医者もいる。 イ 9 頭の中で何が起きているのか

4. 「いつものパン」があなたを殺す

の形成と維持を促進し、炎症を助長する。インスリン値が高いときには、ほかのホルモンはイン スリンのせいで増加するか減少する。それを受けて、体は不健康で混沌としたパターンにならざ るを得ない。すると、体は正常代謝に戻れなくなる。 ( いったん細 人が糖尿病を発症するか否かにおいて、遺伝が関係しているのは確かだ。さらこ、 胞が高血糖に耐えられなくなると、どの時点で糖尿病スイッチが入るのかも遺伝によって決まる。 糖尿病の中でも「一型糖尿病」は自己免疫疾患と考えられる別の疾患だ。糖尿病全症例のたっ た五パーセントを占めるにすぎない 一型糖尿病の患者がインスリンをほとんど、あるいはまっ たく分泌できないのは、インスリンを分泌するすい臓の細胞が免疫系によって傷つけられたり破 壊されたりするからだ。したがって、この重要なホルモンを日常的に注射して血糖の均衡を保つ 必要がある。 「二型糖尿病」は通常、長い時間をかけてグルコースを過剰摂取し、体を酷使した大人が発症す るものだが、 「一型」はこれとは違い、一般的に子供にも大人にも見られる。 さらに「二型ーは食事や生活習慣の変化を通じて回復可能だが、「一型」には治療法がない。 つまり、「一型糖尿病」の発症に遺伝子が強く影響を与えているといっても、環境も無関係では ないと頭に置いておく必要がある。

5. 「いつものパン」があなたを殺す

☆残念な真実 よりも共通点がたくさんある。 アメリカではここ一〇年で、「二型糖尿病」の症例数と肥満と見なせる人の数が並行して上昇 しているのを私たちは目の当たりにしてきた。 現在では、認知症をわずらっている人たちの間に、あるパターンが見えつつある。たとえば、 アルッハイマー病の割合が「二型糖尿病」の割合と同調して増えているようにだ。私はこれが根 拠のない観察結果だとは思わない。急増する医療費や高齢化社会という重圧を引き受ける際には みんなが直面しなくてはならない現実だ 新たな概算によれば、二〇五〇年までには地球上で一億人がアルッハイマー病にかかるだろう とされている。私たちの医療システムにとってその数は莫大であり、これに比べれば肥満の増大 はト幅にすら見、んるだろ、つ。 アメリカではニ〇歳未満でも一八万六〇〇〇人が糖尿病をわずらっている ( 一型と ニ型を合わせて ) 。ほんの一〇年前、ニ型糖尿病は「成人発症型糖尿病」として知ら 、こ。しかし、この病気にかかる若者も非常に多く、この言い方はしなくなった。 れてしナ また、この疾患は成人よりも子供のほうが進行も速いことが科学的に判明している。

6. 「いつものパン」があなたを殺す

運動の程度を比較したアルツハイマー病のリスク 3 0 程度のも。とも高い 10 % ロ程度のも。とも低い 10 % 5 5 2 2 アルッハイマー病のリスク 230 % 075 0 運動の強度を比較したアルツハイマー病のリスク 3 0 強度がもっとも高し、 10 % ロ強度がもっとも低い 10 % 225 5 7 0 アルッハイマー病のリスク 280 % 0 2 / 1 最良の「脳のための運動」

7. 「いつものパン」があなたを殺す

アメリカ人に糖尿病患者が急増したのは・・ 25 20 0 糖尿病患者数 ( 百万人 ) 5 0 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 1 1 年 1994 年に米国糖尿病学会と米国心臓協会は、 高炭水イヒ物、低脂肪の食事を推奨。 それ以来、糖尿病 ( および肥満 ) になる人が急増している・・ 13 / 「炭水化物中毒」や「脂肪恐怖症」に陥っていないか

8. 「いつものパン」があなたを殺す

ぎようけっ ると考える人が増えている。これは、アスピリンが抗凝血作用の性質を持つのに加え、心臓 発作だけではなく脳卒中のリスクを軽減するのに有益な理由でもある。 しかし、「脳の炎症」がパーキンソン病からさまざまな多発性硬化症、癲癇、自閉症、アル ッハイマー病、うつ病にいたるまでのあらゆる病気とは、何ら関係がないと思ってしまいがち な理由の一つは、畄には体のほかの部分と違って、痛みを感じる受容体がないためだろう。っ まり、脳の炎症を感じることかできないのだ。 炎症は関節炎やぜん息といった疾状に関係していることは、私たちの誰もがよく知っている。 しかし、さまざまな神経変性疾患を考えるときに、その原因が炎症にあるとはっきり指摘する研 カ 究が行なわれてきたのはここ一〇年ほどにすぎない の る 一九九〇年代までさかのばると、イププロフェンやナプロキセンのような非ステロイド系の抗 て き 炎症剤を二年あるいはそれ以上服用すると、アルッハイマー病やパーキンソン病にかかる危険が 起 (5)(2) か 四〇パーセント以上低減することが研究によって示されていた。同時に、アルッハイマー病やパ 何 ーキンソン病をはじめとして脳変性疾戡に苦しむ人たちの脳内では、細胞間で炎症の情報を伝達中 こんにち の 頭 するサイトカインが急上昇することを明確に示す研究もあった。今日、新しい画像技術のおかげ で、アルッハイマ 1 病患者の脳内では、細胞が炎症性サイトカインの産生に活発に関与するとこ

9. 「いつものパン」があなたを殺す

リこ、一つ考えよう 「炎症」と脳の結びつきに触れる前。 脳疾患の原因は多くの症例において、たいがいは食事だ。脳の不具合の発生と進行にはいく つかの因子がかかわっているものの、だいたいの場合、炭水化物を食べすぎたとか、健康的な 脂肪をほとんど口にしなかったという過ちのせいだ この事実を理解するには、あらゆる神経系の病気の中でもっとも恐るべきもの、つまりアル ッハイマー病を考えることだ。そしてアルッハイマー病を、食事だけが引き金となる糖尿病の 一種という視点で見てみることだ。質の悪い食事をとっていると肥満や糖尿病になり得ること は誰もがわかっている。果たして脳も同じように壊れてしまうのか の ・・アルッハイマー病は「 3 型糖尿病」なのか る て き この章の冒頭で狩猟採集民と話をしたときのことを思い出してみよう。 起 彼らの脳はあなたの脳とさほど変わらない。両者とも進化を経て、脂肪と糖質が高い食べ物電 で を探し求めるようになっている。結局、それが生存のためのしくみなのだ。問題なのは、あな 中 の 頭 たは豊かな時代に生きているから狩猟に出ている時間も早々に終えられること、それから、加 工された脂肪や糖質に囲まれているということだ。

10. 「いつものパン」があなたを殺す

いま注目の文献に登場する、この「終末糖化産物」とはいったい何なのか ・・・終末糖化産物 (<OWV)) とは 一九九〇年代中ごろに、世界中をかけめぐったニュースを覚えているだろ、つか 当時、イギリスで狂牛病がウシからヒトに伝染するという証拠が明らかになり始め、その恐 怖が一気に拡散したのだ。一九九六年の夏、ピ 1 ター・ホールという二〇歳の菜食主義者が人 間における狂牛病にあたる、変異型クロイッフェルト・ヤコブ病で死亡した。彼は子供のとき にビーフバーガーを食べて以来、ずっと菜食主義だった。その後すぐに、ほかの症例が確認さ れた。それを見た米国を含めた国々が英国産の牛肉の輸入を禁止した。マクドナルドでさえ、 一部の地域では、問題を撲滅させる措置がとられるまで、しばらくはバーガー類の販売を見合 わせた。 狂牛病は、感染したウシが奇妙な行動をとるところから名づけられた。ウシ海綿状脳症とも 呼ばれるプリオン病の一種で、畜産牛が感染するまれな疾患だった。 狂牛病は通常、アルッハイマー病やルー・ゲーリッグ病のような、よく知られた神経変性疾 患には分類されない。それに、アルッハイマー病やル 1 ・ゲ 1 リッグ病は、狂牛病のように人 1 乃脳を。糖 " でベトベトにするな