統合失調症 - みる会図書館


検索対象: 「いつものパン」があなたを殺す
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1. 「いつものパン」があなたを殺す

だが、やはりグルテン過敏症を発症している場合が多いことが、さまざまな研究によって明ら かになっている それに、セリアック病の病歴があれば、そうでない人よりもこうした精神障害にかかるリス クが高い。その上、現在では、グルテン過敏症の母親が産んだ子供の五〇パーセント以上が、 のちの人生において統合失調症をわずらいやすいという証拠が得られている。 最近、『米国精神医学誌』で発表された研究によって、のちの人生において現われる疾患の 多くは、出生前かその直後に要因が発生している証拠がさらに積み重ねられている 「生活習慣と遺伝子は疾患リスクを決定づける唯一の要因ではない。出産前、出産中、出産後 の要因や周辺環境によって、成人してからの健康の大部分が決まるのだ。私たちの行なった研 究は、生まれる前の食事の過敏症が、一一五年後の統合失調症や、同様の異常の発症を促進する ( 圏 ) 働きをし得ることを説明づける実例だ」 生まれる前の過敏症と将来の統合失調症が、いったいどのようにして結びつくのか ジョンズ・ホプキンズ大学と、ヨーロッパ最大かつもっとも高名な医科大学の一つ、スウェー デンのカロリンスカ研究所に所属するこの研究論文の著者たちは、スウェーデンで一九七五年か 217 心の病も頭痛も「食事」を変えれば治っていく

2. 「いつものパン」があなたを殺す

米軍の研究者カーティス・ドーハン博士は、戦後のヨ 1 ロッパにおける食料不足 ( そして結 果的に食事における小麦不足 ) と統合失調症による入院期間の大幅な減少との関係に初めて気 づいた研究者の一人だ。 また研究によって、第 6 章で説明するような、低炭水化物、高脂肪の食事はうつ病ばかりで はなく、統合失調症の症状も改善することがわかっている 文献内でくわしく説明されているある女性の例によると、グルテンフリー、低炭水化物の食 事を採用したところ、統合失調症の症状が完全になくなった。彼女は一七歳のときに初めて統っ ムロ 合失調症と診断され、日常的な幻覚などを経験し、自殺未遂を起こして何度も入院し、薬を使 れ え っても症状が改善することはなかった。ところが七〇歳になって低炭水化物の新たな食事を開 変 を 始すると一週間もたたないうちに、何だか気分がよく、カが出てきたと感想を述べ、三週間た 事 っと、もはや幻聴も幻覚もなくなったという。 食 も 痛 頭 ごく一般的な頭痛でさえも も 病 の 慢性的な頭痛の苦しみをずっと抱えてきた多くの患者も私は診てきた。たとえば、二〇一一一 年の一月に初めて会った六六歳の紳士、 o さんのことを考えてみよう。

3. 「いつものパン」があなたを殺す

ら一九八五年の間に生まれた子供たちの出生記録と新生児の血液サンプルを調査した。 この七六四人の子供たちのうち、二一一人はのちの人生において精神疾患をわずらっており、 カー・り・ その人生は著しい人格の乱れと現実との乖離という特徴を持っている。 血液サンプル中の、牛乳と小麦に対する免疫グロプリン抗体の値を見ると、小麦タンパク質 であるグルテンに対する抗体の値が異常に高い母親の子供は、グルテンに対する抗体の値が正常 な母親の子供よりも、五〇パーセント以上、のちの人生において統合失調症を発症する可能性が 高いことが判明した。 この関連性は、妊娠中の母親の年齢や子供が産道を通って生まれたか帝王切開だったかといっ た、統合失調症を発症するリスクを高めるものとして知られている、そのほかの要因が明らかに なってからでさえも変わらず正しかった ( 概して、遺伝子の要因と子宮内での環境の影響は、の ちの人生でさらされる環境要因よりも、統合失調症のリスクとしてはるかに重視される ) 。 しかし、牛乳のタンパク質に対する抗体の値が異常に高い母親の子供は、精神障害のリスクが 高くはないよ、つだった。 精神障害と母親から受け継いだ食物過敏症の結びつきが明らかになり始めたのは、第二次世 界大戦のころになってからだった。 218

4. 「いつものパン」があなたを殺す

たとえこうした異常にいま悩んでいない場合でも、本書はあなたが健康や知力を保っための 一助となる。 年配者も若者も、これから妊娠する予定、あるいは現在妊娠中の女性もだ。この「プロロ 1 グ」を書いている最中に、グルテン過敏症の女性が産んだ赤ん坊は、のちの人生において統合 失調症などの精神疾患にかかるリスクが高いことを示すさらなる研究成果が明らかになった。 これは恐ろしく、また重大な発見であり、すべての妊娠中の女性は知っておくべきことだろう。 本書の 3 つの構成について 私は人びとが健康を取り戻す瞬間をいくつも目にしてきた。 たとえば、ある二三歳の男性はひどい震えがあったが、食事をちょっと変えるとその震えが 消えた。 穀物をやめて脂肪とタンパク質を増やしたその日に発作が止んだ癲癇患者については、数え きれないほどの事例研究がある。 とある三十代の女性は、私のところに来る前には、偏頭痛、うつ病、そしてつらい不妊症を 経験し、それだけではなくさらに、筋失調症と呼ばれるまれに起こる異常を抱えていた。これ は、筋肉がゆがみ、姿勢異常となり、体がほとんど動かなくなるという病気だ。彼女にも食事 23 プロローグ

5. 「いつものパン」があなたを殺す

あなたは、セリアック病をわずらう人と同じようにグルテンに過敏ではないかもしれないが、 神経学的観点から考えると、私たちはみな、グルテンに過敏であろうことがよくわかる。 神経系や脳という人目に触れない奥深い領域で起きているので、多くの人はただそれに気づ かないだけだ。 思い出してほしいのは、実際にあらゆる不調や疾患の核心にあるのは「炎症」だということ だ。炎症反応を引き起こすものを体内に取り入れると、さまざまな健康上のリスクにさらされ る。これは頭痛や頭がモヤモャするなどの慢性的な不快からうつ病やアルッハイマー病のよう な深刻な病気にいたるまでを指す。 さらにいまや、グルテン過敏症と、何千年にもわたって医者たちにも理解不能だった脳疾患 ( 統合失調症、癲癇、双極性障害、うつ病、さらに最近の自閉症やなど ) との結びつ きは証明されている。 こうした結びつきについては本書でこれから扱うつもりだ。さしあたって、問題の範囲を見 通し、グルテンは正常な脳だけではなく、脆弱で異常をきたした脳にも影響をおよばし得るこ とをしつかりと理解する必要がある。 いま一度、セリアック病に関する文献を参照しておこう。たとえば、セリアック病をわずらう ぜいじゃく 4

6. 「いつものパン」があなたを殺す

二〇〇九年『精神医学研究誌』が、米国の退役軍人四五〇〇人を一五年にわたって追跡した 研究を発表した。コレステロール値が低く、、つつ状態の人は、自殺や事故のような不自然な原 因で早死にするリスクがほかの人たちの七倍だった。 このほかにも同じ結論に達している世界中の研究をどんどん紹介できる。もし、あなたのコ レステロール値か低いなら、うつ病にかかるリスクがはるかに高く、自殺という考えを心に抱 くようになりやすくなる。私は決していい加減に言っているのではなく、この因果関係がどれ ほど深刻なものかについて、多くの高名な学会による数多くの証明があるのだ。 ・食事を変えて 1 週間で現われる変化 グルテンが一般的な精神障害と結びついていることについて、このように話をしていくと、 なぜ、そうなるのかという疑問が持ち上がる ここでいう病気とは、米国ではもっとも一般的な精神疾患である不安障害 ( およそ米国内で 四〇〇〇万人がこれに苦しんでいる ) から、統合失調症や双極性障害のように複雑な苦しみに いたるまでだ。 統合失調症や双極性障害のような精神疾患は、遺伝的因子や環境的な因子が働く複雑な病気 216

7. 「いつものパン」があなたを殺す

て っ 現在、一般的には、総脂肪摂取量をカロリーのせいぜい二〇パーセントに制限すべき ( さら 飽和脂肪に関しては、一〇パーセント未満にすべき ) だと言われている。そしてそれは現 症 実的になかなか実行できない ( でも安心してほしい。 それは間違った助言だからだ。私のプロ 怖 恐 肪 グラムでは、脂肪のグラム数を数えたり、全体のパ 1 センテージを気にしたりする必要はない ) 。 匕日 ところが、マーガリンや加工食品に含まれる、合成トランス脂肪は有毒である一方で、現在 や では多価不飽和脂肪 ( アボカド、オリープ、ナツツに含まれる ) は健康にいいとわかっている 毒 また、冷水魚 ( サケなど ) や植物 ( アマニなど ) に含まれる多価不飽和脂肪「オメガ 3 脂肪 ( ししーと見なされている 水 炭 しかし、肉や卵の黄身、チーズ、バタ 1 に含まれるような自然由来の飽和脂肪はどうなのか これまでは、飽和脂肪は評判が悪かった。ほとんどの人は、どうしてこういった脂肪は健康の 十分なビタミン < が摂取できないと、あなたの脳はうまく機能しないだろう。失明したり、 感染症に対して極端に弱くなったりするだろう。 ビタミンの不足は、統合失調症、アルッハイマ 1 病、パーキンソン病、うつ病などの慢性 疾患、それに「一型糖尿病」のような自己免疫疾患などへかかりやすくなることが知られてい る。

8. 「いつものパン」があなたを殺す

ではなかった。 脳のやっかいな状况はおもに、消化管が栄養素を適切に消化、吸収できないことに起因する 「電解質喪失」のせいだとしたのだ。グルテンに対する過敏症と脳の結びつきについて理解し、 十分に説明できるようになるには、炎症反応の役割を理解することは一言うまでもなく、技術面で 大いに進歩しなくてはならなかった。しかし、さらなる大局観の方向転換は実に衝撃的なものだ ったし、比較的最近の話だ。二〇〇六年、メイヨークリニックは再び、セリアック病と認知機能 障害についての報告を医学誌『アーカイプスオプニューロロジー』で発表した。 今回の結論は考えを根本から変えるようなものだった。「進行性の認知機能障害とセリアック 病には関連性が認められる可能性がある。ただし、運動失調症と末梢神経障害 ( 一般的にセリア ック病と関係がある ) の間の一過性の関係性、および相対的な頻度の高さを仮定すればだ」 運動失調症とは、随意筋のコントロールとバランスの維持ができないことで、脳疾患に起因す 末梢神経障害とは、神経損傷のしゃれた言い方で、広範にわたる不調を る場合がとりわけ多い。 含む。たとえば、脳や脊髄以外で損傷を受けた神経 ( 末梢神経 ) は無感覚、虚弱、痛みを引き起 こす。 この研究で、研究者たちは一三人の患者を調べた。患者たちはセリアック病の症状が出始めた 、悪化し始めたりして二年以内に進行性の認知機能障害の徴候を示していた ( こうした患者が

9. 「いつものパン」があなたを殺す

クルテン過敏症が引き起こす、おもな症状一覧 この表はグルテン過敏症と関連する症状や疾患のリストだ。 グルテン過敏症かどうかを知る一番いい方法は、検査を受ける ことである。たとえこうした異常が見られなくても最新の検査を 受けることをお勧めする ( 31 ~ 34 ページ参照 ) 。 A D H D アルコール依存症 骨の痛み / 骨量減少 / 骨イヒ石症 ほねかせきしよう マチなど ) 性リンパ球性甲状腺炎、関節リウ 三例をあげると、糖尿病、慢 自己免疫疾患 自閉症 運動失調、平衡感覚の喪失 不安 筋萎縮性側索硬化症 きんいしゆくせいそくさくこうかしよう 成長遅延 乳製品過敏症 絶えず病気になる 胸の痛み がん 頭に霧がかかった感覚 うつ病 消化困難 ( 腸内ガス、膨満、下痢、 便秘、激しい腹痛など ) 心臓疾患 じんましん / 発疹 生殖不能 かびんせいちょう 過敏性腸症候群 食べ物の吸収不良 偏頭痛 流産 吐き気 / 嘔吐 神経障害 ( 認知症、アルッハイ マー病、統合失調症など ) パーキンソン病 てんかん 発作 / 癲癇 糖質を摂りたい欲求 1 05 食べ物をトロリとさせ、ふわふわにするタンバク質の恐怖

10. 「いつものパン」があなたを殺す

敏症のせいだと推測できた。それを証拠に、患者がグルテンフリーの食事に変えると、症状が軽 減した。 ・グルテンは脳に影響を与える この章の初めに述べた若者、さんについて思い出してみよう。 もともと筋失調症という運動障害だと診断された男性だ。緊張をコントロ 1 ルできず、体中 が手に負えないほどの激しいけいれんに見舞われる。そのために通常の生活が送れない このような場合、神経疾患や薬の副作用のせいだとされることが多いが、私が考えるに、筋 失調症やほかの運動障害は単にグルテン過敏症のせいではないか。 この患者の場合、いったん食事からグルテンを除外すると、震えやけいれん性の引きつりは 止まった。ほかの運動障害、たとえば運動失調症、けいれん性で断続的な筋肉の収縮、ある種 の癲癇などは誤診されることが多い。グルテン過敏症のような明白な事柄ではなく、説明のつ かない神経学的原因とされてしまうのだ。 私は癲癇の患者の中に、危険な手術を受けようと考え、発作に対処するために日常的に薬を 用いた治療法に頼るのをやめ、その代わりに単に食事を変えることで発作から完全に解放され 91 食べ物をトロリとさせ、ふわふわにするタンバク質の恐怖