製品 - みる会図書館


検索対象: 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義
45件見つかりました。

1. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

ハンド、カラ 1 ペン、パイプ・クリ 1 ナー、テープなどが、アイデアを実現するための試 作品づくりに使われます。所狭しと並んだ可動式のホワイトボードには、プレイン・スト ーミング用の色つきマグネット・シートがべタベタと貼られています。壁には、クリエイ テイプな発想のヒントになるように、過去のプロジェクトの写真や加工品が飾ってありま す。 学生たちに与える課題は、現実的で、決まった答えのないものです。たとえば、大学内 で自転車の安全性を向上する方法や、体にいい 食べ物を子どもが喜んで食べるようにする 方法を考える、といった課題です。こうした、その場でできる課題にくわえて、ジム・ペ イテルとデイプ・ビーチが教える「超低価格の製品デザインーを履修した学生は、途上国 のパ 1 トナ 1 と共同で問題を見つけ、コスト効率よく解決する方法を考えます。このプロ ジェクトからは、刺激的な製品が数多く生まれ、市場化の過程にあります。たとえば、あ るチームはまったく新しい保育器をデザインしました。ネパ 1 ルの病院を訪ね、従来の西 洋式保育器は元値が二万ドルもするうえ、現地の環境に合っていないことに気づいたのが きっかけです。多くが故障しているか、部品が手に入らなくて放置されていました。使用 説明書や警告のラベルも外国語で書かれているため、看護スタッフは読めません。そして、 もっとも重要な問題は、保育器を備えた都市の病院ではなく、遠く離れた村で出産する女 性がほとんどだということでした。つまり、温かい保育器が必要な未熟児には行きわたら 208

2. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

耐え難いことでした。でも彼は、この不運を幸運に変える方法を思いついたのです。 ・シュー ビリをしているあいだ、スキーの代わりにならないものかと、木製の古いスノー ズを取り出して、ターンしてみました。でも、まったく使い物にならず、がつくりしまし た。そこで終わらないのがペリ 1 のペリーたる所以です。クローゼットにしまいこんで、 ・シューズを自分でデザインしよ、つと 足首が完治するのを待つのではなく、新しいスノ 1 思いたったのです。当時はプロダクト・デザインを専攻していたので、学んだ技術を使っ て自分の問題を解決しようと考えたわけです。一〇週間のあいだに、八種類の製品をデザ インしました。ウィ 1 クデ 1 には学校の機械室で試作品をつくり、週末になると山に行っ て試し履きしました。一〇週目が終わる頃には、特許を申請できる発明になっていました。 デザインが完成すると、何足かを自分で作り、スポーツ用品店に売り込みに行きました。 仕入れ担当者は、一瞥するなり「これは何ですか ? ーと聞いてきました。それまでに見た ・シュ 1 ズの市場などありま ものとは似ても似つかない形だったのです。そもそもスノ 1 せんでした。でも、ペリ 1 はあきらめませんでした。スキーはできないけれど、雪山で過 ごしたい人は大勢いるに違いないと知っていたからです。だったら、市場は自分でつくれ そう考えたのです。 ペリーは毎週末、スポ 1 ツ用品の販売担当者を雪山に連れて行き、自分の作ったスノ ・シュ 1 ズを試してもらいました。客にこの靴を売り込んでもらわなくても構わない、 155 第 7 章レモネードがヘリコプターに化ける

3. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

ターは問題に真正面からぶつかり、常識をひっくり返します。ジェフ・ホーキンスはすば らしいお手本です。ジェフは、携帯端末「パ 1 ム・パイロット、で、スケジュール管理に 革命を起こしました。ジェフが魅了されたのは、使いやすい小型パソコンをつくる、とい うテ 1 マでした。この究極の目標を達成するまでに、つぎつぎと問題にぶつかりました。 起業家とは、たえず大きな問題にぶつかり、その都度、それを解決するための独創的な方 法を見つけ出す人間だと本人も語っています。 ジェフは、出だしから大きな壁にぶつかりました。最初に開発した製品「ズ 1 マ 1 」が、 無残な失敗に終わったのです。それでも、すごすごと引き下がりはしませんでした。「ズ 1 マー」を買った顧客と、競合するアップル社の「ニュートン、を買った顧客に電話をか け、どんな機能が欲しいか意見を聞きました。そのなかに、ごちやごちゃした予定を整理 して、いくつものカレンダーをひとつにまとめ、予定を一括管理できる製品が欲しい、と ゞ、ほかのコンピ いう声がありました。これを聞いたジェフは、「ズ 1 マ 1 」のライバルカ ュータ 1 製品ではなく、卓上カレンダ 1 だと気づいたのです。当初の思惑とは違いました か、こうした意外な声を生かしたことが、次世代製品「パーム・パイロット」の爆発的な ヒットにつながったのです。 開発の途中でも難問にぶつかりました。小さな端末にどうやって情報を入力するかとい う入力方式の問題です。ごく自然な動作にするには、小さなキーポード以外に、手書きで 27 第 2 章常識破りのサーカス

4. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

のビルに分散し、それぞれ孤島のような状態にあり、士気が下がっていました。これを立 て直すためにペリ 1 が招聘されたのです。ペリーは、あらゆる面を一流に押し上げるつも りで、状况を詳細に分析しました。まずはコミュニティとしての一体感を強化するために、 従業員をひとっ屋根の下に集めました。さらに、経営幹部チームを七日間の野生探検に連 れ出しました。自然のなかでは、原始的な意味でお互いを頼るしかありません。これにく らべれば、会社の問題などとるに足らないことに思えます。つぎに、会社の理念を反映し、 強化する形で、従業員に報いることにしました。毎月、全従業員が自分の趣味や活動を書 いて提出し、くじで一人を選びます。選ばれた従業員は、自分の趣味に合うようにデザイ ンされたメッセンジャ 1 ・バッグを受け取ります。バッグはとてもユニークで、手のこん だものであり、この会社の要である独創性と革新性を表現しています。 さらにペリ 1 は、製品の改良にユ 1 ザーの参加を促すモジラなどのオ 1 プン・ソース・ デザインに触発されて、デザイン・プロセスをネットのコミュニティで公開し、新製品の デザインづくりに顧客の参加を呼びかけることにしました。最初から数百人の顧客が参加 し、デザインを見てさまざまな意見を出し、テイムバック 2 の製品の枠を広げたのでした。 こうした取り組みのおかげで、同社にはつねに新鮮な見方やアイデアがもたらされていま す。 壊れたインフラを整備し直しただけでもテイムバック 2 は再建を果たしていたと思いま 196

5. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

スプリング社を経営しているとき、独自開発したパ 1 ソナル・デジタル・アシスタント の「」の出荷に向けて、何もかもうまくいっていました。でもジェフは、何か 問題が起きるはすだと、事あるごとに言い続けました。そして実際、問題は起きたのです。 最初の製品を発表してから数日も経たないうちに、出荷は一〇万個を超えました。これは すごい数字です。でも、請求と出荷の管理システムがダウンしてしまったのです。代金を 支払ったのに製品が届かない客もいれば、注文した数の三倍から四倍もの製品が届いた客 もいました。これから知名度を上げようという企業にとっては最悪の事態です。そこでど うしたか ? 社員全員が腕まくりをして、顧客ひとりひとりに電話をかけまくったのです。 もちろんジェフも率先してやりました。何を注文したのか、注文どおりに届いたか、請求 内容は正しいかを顧客に確認して回り、不備があればその場で対応しました。ここで大事 なのは、問題が起きることをジェフが想定していた、という点です。どんな問題かがはっ きりわかっていたわけではありませんが、いさという時に即座に対応できるだけの心の準 備ができていました。自分の経験から、失敗は避けられないものであること、成功のカギ は、すべての弾をかわすことではなく、いかに素早く立ち直るかにあることを知っていた のです。 成功者に話を聞くと、このテ 1 は繰り返し登場します。彼らは、多くのことに挑「し ようとし、実験の一部が大きな成果につながると自信を持っています。しかし同時に途 103 第 5 章シリコンバレーの強さの秘密

6. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

ナー・デザイン研究所にも所属しています。この学際的なプログラムには、工学、医学、 経済学、教育学など学部の垣根を越えて、学内全体から教育者が集まっています。構想を 練り、研究所を立ち上げたのは、機械工学のデビッド・ケリー教授です。教授は、独創的 な商品や経験を提案することで知られるデザイン会社、の創業者としても有名で す。スクールの講座はすべて、最低でも専門の異なる一一人の教授が受け持ちます。取り 上げるテ 1 マは、途上国向けの超低価格の製品デザインから、伝染力のある行動を起こす 方法、元気な高齢者のためのデザインまで、じつに多彩です。わたしは教員のひとりとし て、正解が何通りもあるような複雑で大きな課題を、学生に、そして自分自身に投げかけ てきました。そして、そのなかで積極的に協力し、過激なプレイン・スト 1 ミングを行な い、短期間でプロトタイプをつくるという醍醐味を味わってきました。 この本は、こうしたスタンフォ 1 ドの授業から生まれた物語と、それ以前に科学者、起 業家、経営コンサルタント、教育者、著者としてわたしが経験してきたことをまとめたも のです。さらに、起業家や発明家、ア 1 ティスト、学者など、さまざまな道を歩んできた 人々の物語も盛り込んでいます。常識を疑うことによって、卓越した仕事を成し遂げ、失 敗も成功も包み隠さず話してくれる人々がごく身近にいるという点で、わたしはとても恵 まれています。 この本で紹介する考え方の多くは、従来の教育制度の下での教えとは対極にあります。

7. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

的に重要な問題に取り組むチャンスと捉えたのです。 どんなに大きな問題も、解決するにはまず、問題を明確にしなくてはなりません。製品 企画では「ニ 1 ズの発掘」と言います。これは、学習して身につけることのできるスキル です。じつは、スタンフォードのバイオデザイン・プログラムでは、必須科目のひとつに なっています。バイオデザイン・プログラムでは、工学や薬学、経済学を学んだ大学院生 が集まり、医療の現場で何が必要とされているのかを一年間かけて見極め、それに対応し た製品を設計します。指揮を執るのは、心臓血管医で発明家で起業家でもある、ポ 1 ル・ * 2 ョックです。ポ 1 ルは、「特徴がはっきりしたニーズこそ、発明の素」だと言います。一一一一口 い換えれば、問題を明確に定義できれば、その解決策はおのずからあきらかになるのです。 バイオデザイン・プログラムの研究員は、三カ月間、影のように医師について歩き、医 師がどんな問題を抱えているのかを見極めます。注意深く観察し、同僚の医師や看護師、 患者、管理部門の担当者など、関係者全員に話を聞き、改善すべき点を洗い出します。何 百もの要望が並ぶ膨大なリストを少数に絞り込み、最終的には、いちばん大きな問題を取 り上げます。いったんテーマが決まると、さまざまな解決策を考え、短期間でプロトタイ プを作ります。集中して取り組んだ後は、新製品のコンセプトを主要な関係者に披露し、 ニ 1 ズに応えているかどうか意見をもらいます。 面白いのは、現場にいる人ほど、日常的に問題にぶつかっているので、その状態に慣れ

8. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

クは受けられるわけですし、うまくいけば新しい社員を見つけられるのです。 常識に逆らったり、ルールを破ったりするのは、個人や人数の少ない新興企業の方がや りやすいと思うかもしれませんが、大企業でも障害となるルールを変えることはできます。 教え子のトリシア・リーから、マイクロソフトの携帯音楽端末「ズーンーの開発秘話を聞 いたので、紹介しましよう。「ズーンーは、アップルの「アイボッド」に対抗して企画さ れた製品で、開発スケジュールは非常にタイトでした。予定の期間が半分ほど過ぎた段階 で、大胆な目標を達成するのは不可能であることがはっきりしました。ソフトウェアの完 成度は半分には遠く及ばず、このままチェックとフィードバック、官僚的な承認手続きな ど、通常の作業フローに従えば、完成は大幅にずれ込みます。この問題に対処するため、 プロジェクト内のサプ・グル 1 プが完全に独立して作業にあたり、ソフトウェアの中核部 分を完成しました。これでプロジェクトは軌道に乗り、全体の士気があがり、予定どおり 製品が完成したそ、つです。 マイクロソフトのような企業が導入しているビジネス・プロセスには、拡張性がありま す。つまり、組織横断的な大きなグループで作業をするようになっています。ですが、拡 張可能なプロセスは、必ずしも効率的ではありません。火急の問題があり、突貫工事が必 要なとき、トリシアらズーン・チームのように、官僚制を打ち破らなくてはなりません。

9. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

のポストイットが世界一〇〇カ国以上で販売されています。の技術者が、この「失敗 作の可能性に気づかなければ、大きな機会を逃すところでした。このように、失敗を失 敗で終わらせないための心がまえを教えるのが、前に紹介した「最悪」とされる案を妙案 に変えてもらう授業です。 わたしたちは往々にして成功か失敗の分かれ目にいます。どちらに転ぶかは、よくわか りません。リスクが高いことに取り組むのなら、なおのこと先行きは不透明です。レスト ランやハイテクのべンチャー事業でもそうですし、スポーツですらそうです。成功と失敗 は紙一重の差でしかありません。自転車のロード・レース、ツール・ド・フランスを見て ください。何日にもわたって、曲がりくねった山道を登り降りした後でも、勝者と敗者の 差はタッチの差。一〇〇分の一秒とまでは言わなくても、わずか数秒の違いです。ときに は、ほんの一漕ぎが、逆転勝利につながることもあります。 ほかの企業なら失敗だと切り捨ててしまうような製品やプロジェクトに、価値を見出す 術を身につけている企業があります。グ 1 グルで製品開発を統括するマリッサ・メイヤー は、プロジェクトの撤退は早過ぎてはいけない、全面的に中止するのではなく、変更をく わえることが大切だと語っています。つまり、全面的に中止するのではなく、どの部分が うまくいき、どの部分に改良が必要かを見極めるのです。動いているとは思えないプロジ 112

10. 20歳のときに知っておきたかったこと : スタンフォード大学集中講義

が期待されています。 元気が出る例として、プラジルの起業家、レイラ・べレズを紹介しましよう。レイラは、 リオデジャネイロを見下ろす丘にあるスラム街、ファベラスで、清掃員としてぎりぎりの フラジルには、ク 生活をしていました。でも、レイラには起業のアイデアがありました。、 セ毛をどうにかしたいという女性が大勢います。レイラと義理の妹のヘロイサ・アシスは、 クセ毛をカーリ 1 ・ ヘアに変えるヘアケア製品を思いついたのです。何年も試行錯誤を繰 り返し、ときには大失敗もしましたが、ようやく納得のいく製品ができました。リオデジ ャネイロに開いたサロンは大流行。そこで、フランチャイズ展開したいと考えるようにな りました。そんなときに知った「エンデバ 1 」が、この夢の実現のために手を貸してくれ しまでは一〇〇〇人の従業員を抱 たのです。こうして生まれたべレザ・ナチュラル社は、、 え、数百万ドルを売り上げる企業に成長しています。 これは、何百とある成功例のほんのひとつに過ぎません。わたしは二年前、二年に一度 のエンデバー最高会議に出席したのですが、会場の熱気と興奮に圧倒されました。どの参 加者も、自分が必要とする手段と成功するためのヒントを授けてくれたことをエンデハ に感謝していました。「あなたはどうかしている」と言われて布気づいていたら、起こり えないことでした。 49 第 3 章ピキニを着るか、さもなくば死か